JP2619149B2 - 蛍光x線スペクトルのバックグラウンド成分の推定方法 - Google Patents

蛍光x線スペクトルのバックグラウンド成分の推定方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、蛍光X線分析におい
て、蛍光X線スペクトルのバックグラウンド成分の推定
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】蛍光X線分析は、試料に放射線を照射し
て、試料から発生する蛍光X線をX線検出器で測定し、
このX線検出器での測定値に基づいて試料の元素分析を
行うものである。かかる分析に用いる分析装置の一例を
図9に示す。
【0003】この図において、X線管50は、一次X線B1
を出射して試料51に一次X線B1を照射する。照射された
一次X線B1は試料51の原子を励起して、その元素固有の
蛍光X線B2を発生させる。試料51からの蛍光X線B2は、
分光結晶52に入射角θで入射し、下記のブラッグの式を
満足する所定の波長の蛍光X線B2のみが、入射角θと同
一の角度の回折角θで回折される。 2dsinθ=nλ d:結晶の面間隔 λ:蛍光X線の波長 n:反射の次数 上記回折された蛍光X線B3は、X線検出器53に入射して
検出される。一方、図示しないゴニオメータを駆動し
て、分光結晶52およびX線検出器53を1:2の角度比で
回転させて、所定の分光角度2θごと(たとえば、0.02
°ごと) に、蛍光X線B3の強度を測定する。
【0004】図10は、測定した蛍光X線のX線強度を、
分光角度2θの成分に分けた蛍光X線スペクトルを示
す。この図において、たとえば、成分60および成分61
は、各々、分光角度2θと上記ブラッグの式からAs-Kα
線およびAs-Kβ1 線であることが予想さる。しかし、こ
れらの成分60, 61は、反射の次数nが2以上の短波長側
の高次線であることも考えられるので、上記分光角度2
θ(波長)だけではスペクトルを同定することができな
い。そこで、このような場合には、成分60および成分61
から二点鎖線で示すバックグラウンド成分Baを除去した
強度I60, I61を求め、一方、As-Kα線およびAs-Kβ1
線の強度比が約5:1になることを利用して、上記バッ
クグラウンド成分Baを除去した両成分60, 61の強度
60,I61が約5:1になれば、As-Kα線、As-Kβ1
であると同定することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、バックグラウ
ンド成分を各分光角度ごとに目視で除去して、正確にピ
ーク強度を推定するのは困難である。また、図11のよう
に、バックグラウンド成分を除去した状態で蛍光X線ス
ペクトルを表示できれば、スペクトル線の同定の判断が
容易になる。
【0006】この発明は上記従来の課題に鑑みてなされ
たもので、蛍光X線スペクトルのバックグラウンド成分
を電子計算機によって迅速に推定する方法を提供するこ
とを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明の方法および原
理を図1を用いて説明する。まず、図1(a) のように等
間隔にプロットした分光角度ごとのX線強度を演算基礎
値Ii として分光角度に沿って順に並べて、プロットし
た分光角度のうち、(i−1)番目の分光角度の演算基
礎値Ii-1 と、(i+1)番目の分光角度の演算基礎値
i+1 との平均値Xi =(Ii-1 +Ii+1 )/2を求め
る。ついで、上記平均値Xi と、1.0 以上の係数 (1+
α)との積をi番目の分光角度についての演算値Xi
(1+α)とする。係数 (1+α)は分光角度の領域お
よびプロットした分光角度の間隔Sに基づいて定める。
【0008】つぎに、演算値Xi ・ (1+α)と、i番
目の演算基礎値Ii とを比較する。比較した結果、i番
目の演算値Xi・ (1+α)がi番目の演算基礎値Ii
よりも小さい場合は、上記i番目の演算値Xi ・ (1+
α)を、図1(b) のように、新たな演算基礎値Ii とす
る。一方、比較した結果、図1(d) のように、i番目の
演算値Xi ・ (1+α)がi番目の演算基礎値Ii 以上
の場合は、この演算基礎値Ii をそのまま新たな演算基
礎値Ii とする。
【0009】これらの新たな演算基礎値Ii は、次回以
後において、上記i番目の演算基礎値として用いられ、
上記演算値Xi ・ (1+α)と新たな演算基礎値Ii
求める演算を全ての点iについて行う。つまり、図1
(b) において説明すると、i番目の新たな演算基礎値I
i と(i+2)番目の演算基礎値Ii+2 との平均値Xi+1
=(Ii +Ii+2 )/2を求める。ついで、上記平均値
i+1 と係数(1+α)との積を(i+1)番目の演算
値Xi+1 ・(1+α)とし、前述と同様に演算基礎値I
i+1 との比較を行い、新たな演算基礎値を求める演算を
繰り返す。こうして、プロットした全ての分光角度につ
いて新たな演算基礎値を求める。
【0010】求めた新たな演算基礎値Ii を前述の元の
演算基礎値Ii として用い、図1(c) のように、新たな
演算基礎値を求める演算を所定回数繰り返す。この繰り
返し演算によって得られた最終の演算基礎値Ii をバッ
クグラウンド成分 (二点鎖線で示す)BaのX線強度と推
定する。なお、以上の説明では、分光角度を横軸に設定
したが、分光角度に代えて、波長を横軸に設定して用い
てもよく、あるいは、エネルギ分散形では、分光角度に
代えて、エネルギを横軸に設定して用いてもよい。
【0011】
【作用】ここで、一般に、バックグラウンド成分Baのス
ペクトルは、図10のように、短波長 (高エネルギ) 側に
おいて上に凸となっており、一方、長波長 (低エネル
ギ) 側において緩やかに下に凸となっている。そのた
め、前述の係数 (1+α)は、短波長領域において1.0
よりも大きく設定し、一方、長波長領域において1.0ま
たは1.0 に極めて近い値に設定することにより、この図
に示すバックグラウンド成分Baを推定することができ
る。
【0012】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面にしたがって
説明する。まず、基本的な推定方法を第1実施例とし
て、図2ないし図6にしたがって説明する。図2は図10
の蛍光X線スペクトルSpの一部を取り出して模式的に示
したものである。図2のスペクトルは、前述の図9の分
析装置を用いて、分光角度2θ=0.02°ごとに蛍光X線
B3の強度を測定して得たものである。図2のスペクトル
から、たとえば分光角度2θ=0.2 °ごとにプロットし
た分光角度2θごとの相対X線強度Iを分光角度2θの
大きさに沿って、図3のように順に並べる。このX線強
度Iは、以下に述べる演算において、演算基礎値Ii
して用いられる。
【0013】つぎに、演算基礎値Ii を用いて、上記
「課題を解決するための手段」の項において述べたよう
に、演算値Xi ・(1+α)から新たな演算基礎値Ii
を求めるが、ここでは、図4を用いて具体的に、その求
め方を説明する。まず、図4(a) のように、i=1にお
ける演算基礎値I1 と、i=3における演算基礎値I3
との平均値X2 = (I1 +I3 ) /2を求め、この平均
値X2 =(I1 +I3)/2と、1.0 以上の係数 (以下、
「膨み係数」という) 1+αとの積をi=2における演
算値X2 ・(1+α)とする。ついで、この演算値X2
・(1+α)と演算基礎値I2 とを比較すると、I2
2 ・(1+α)であるから、I2 をそのまま新たな演
算基礎値I2 とする。
【0014】この演算後、図4(b) のように、新たな演
算基礎値I2 と演算基礎値I4 との平均値 (I2 +I
4 )/2を求め、この平均値(I2 +I4 )/2と膨み
係数(1+α)との積をi=3における演算値X3
(1+α)とする。この演算値X3・(1+α)とi=3
における演算基礎値I3 とを比較すると、I3 >X3
(1+α)であるから、演算値X3 ・(1+α)を新た
な演算基礎値I3 とする。これらの演算を繰り返すこと
により、プロットした全ての分光角度について、新たな
演算基礎値を求めると、図3(c) のように、i=3,5, 8
11, 21, 22 において、演算基礎値Ii が演算値Xi
・(1+α)の値に更新される。
【0015】全ての点について新たな演算基礎値Ii
求めた後、これらの新たな演算基礎値Ii を演算基礎値
i として、図5(a),(b),(c)に示すように、演算値X
i ・(1+α)を求め、演算値Xi ・(1+α)と演算
基礎値Ii とを比較し、新たな演算基礎値Ii を求め
る。このように、演算を繰り返すことにより、たとえ
ば、演算基礎値I21, 22が図5(a),(b),(c) に示すよ
うに徐々に小さくなり、所定回数( たとえば、 300回)
繰り返し演算を行った後、最終の演算基礎値Ii をバッ
クグラウンド成分のX線強度と推定することにより、図
10のバックグラウンド成分Baのスペクトル (二点鎖線で
示す) が得られる。この推定後、必要に応じて、蛍光X
線スペクトルSpからバックグラウンド成分Baを減算し
て、図11のように、バックグラウンド成分を除去した蛍
光X線スペクトルSp1 を得る。
【0016】このように、バックグラウンド成分を除去
した蛍光X線スペクトルSp1 を得ることで、各ピークの
ネット強度を正確に求めることができ、また、目視によ
る成分60および61の強度比の比較が容易になり、そのた
め、この強度比から、成分60および61が、それぞれ、As
-Kα線およびAs-Kβ1 線であるか否かを容易に判定でき
る。したがって、蛍光X線分析が簡易かつ迅速になる。
【0017】つぎに、上記推定方法を図6のフローチャ
ートを用いて説明する。まず、ステップS1において開始
すると、ステップS2に進みi=i+1とし、ステップS3
に進んで、平均値Xi = (Ii-1 +Ii+1 )/2を求め
る。つづいて、ステップS4に進み、平均値Xi に膨み係
数 (1+α)を乗算し、演算値Xi =Xi ・(1+α)を
求める。この後、ステップS5に進み、演算値Xi と演算
基礎値 Ii とを比較する。この比較の結果、演算値Xi
が演算基礎値 Ii よりも小さければステップS6に進み、
演算値Xi を新たな演算基礎値 Ii とする。一方、上記
ステップS5での比較の結果、演算値Xi が演算基礎値 I
i 以上であれば、ステップS7に進み、元の演算基礎値 I
i をそのまま、新たな演算基礎値 Ii とする。
【0018】つづいて、ステップS8に進み、全ての点に
ついて図4の上記更新演算が終了しているか否かを判断
する。この判断の結果、全点について終了していなけれ
ば、再び図6のステップS2に戻り、同様な更新演算を行
う。一方、この判断の結果、全点について終了していれ
ば、ステップS9に進む。
【0019】ステップS9では、上記更新演算の反復 (図
5) が終了しているか否か、つまり、所定回数繰り返さ
れたか否かを判断する。この判断の結果、反復が終了し
ていなければ、再びステップS2に戻り、一方、反復が終
了していればステップ10に進み、最終の演算基礎値 Ii
をバックグラウンド成分のX線強度と推定する。
【0020】つぎに、上記膨み係数 (1+α)について
説明する。図10に示すように、バックグラウンド成分Ba
のスペクトルの形状は、試料によって絶対値が異なるも
のの、脹らみの形状自体は、類似している。そのため、
分光角度2θ(波長)の領域に応じて、膨み係数 (1+
α)を予め設定することができる。一方、図3のように
プロットした分光角度2θのピッチSに応じて、膨み係
数 (1+α)を大きくする必要がある。これらの点に着
目し、この発明者が経験的に求めたところ、 α=k・S2 k:領域定数(分光角度(波長)の領域に応じて定まる
定数) S:プロットした分光角度のピッチ により、膨み係数 (1+α)が定まる。
【0021】ここで、図10のように、バックグラウンド
成分Baのスペクトルは、短波長側において上に凸となっ
ており、一方、長波長側において緩やかに下に凸となっ
ているので、たとえば、図9の分光結晶52にLiF( 反射
面=(200) 面) を用いた場合には、 7.0°≦2θ<14.0
°においてk=0.10とし、14.0°≦2θ<25°において
k=0.008 とし、25°≦2θにおいてk=0として、膨
み係数 (1+α)を設定する。
【0022】ところで、図1(b) の新たな演算基礎値 I
i を求める方法としては、図1(e)に示すような所定の
放物線Paを用意し、この放物線Paを2つの座標(i−1, I
i-1 ) および (i+1, Ii+1 )を通る位置に移し、こ
の放物線Pa上の座標(i,Xi )を求め、Xi と Ii とを
比較して求めることもできる。しかし、この方法では、
二次曲線が2つの座標を通る位置を計算する必要がある
ので、演算速度が遅くなる。これに対し、この発明は、
新たな演算基礎値 Ii を、{( Ii-1 − Ii+1 )/2}
(1+α)という極めて簡単な数式から求めることがで
きる。したがって、バックグラウンド成分を電子計算機
によって、迅速に求めることができる。
【0023】ところで、上記第1実施例では、発明の理
解を容易にするために、図4のように、分光角度2θの
ピッチSを一定(S=0.2 °) にした場合について説明
した。しかし、こうすると、i=17〜24のように、大き
なX線強度を有するスペクトルについては、新たな演算
基礎値 Ii が一度の演算では小さくならず、そのため、
図5のように、繰り返し数が多く (たとえば 500回) に
なる。したがって、バックグラウンド成分を十分な精度
で求め得る程度に分光角度2θのピッチSを小さくする
と、演算時間を今一つ短縮することができない。
【0024】そこで、図7および図8の第2実施例のよ
うに、プロットした点をサンプリングして用いる方法に
ついて説明する。図7(a) において、まず、分光角度2
θ=0.8 °ごとにサンプリングする。サンプリングした
点は二重丸で示す。サンプリングしたi=1+4m(m
は0以上の整数)の点のみを用いて、前述の第1実施例
と同様に、まず、演算値Xi ・ (1+α)を求める。こ
の場合の演算値Xi ・ (1+α)は、 Xi ・ (1+α)= (1+α)・( I i-4+I i+4)/
2 として求める。この演算値Xi ・ (1+α)と、もとの
演算基礎値 Ii とを比較して、前述の第1実施例と同様
に、新たな演算基礎値 Ii を求め、この新たな演算基礎
値 Ii を求める計算を、図7(a) に示すように、サンプ
リングした全ての点i+4mについて行う。その後、図
示していないが、前述の第1実施例と同様に、全ての点
(i+4m)について新たな演算基礎値 Ii を求める演
算を 100回程度繰り返す。
【0025】ついで、サンプリングする分光角度2θを
1/2 倍にして分光角度2θ=0.4 °ごとにサンプリング
する。新たにサンプリングした点と、既に新たな演算基
礎値となっている点は、二重丸で示す。サンプリング
後、i=1+2mの点のみを用いて、前述の第1実施例
と同様に、i=1+2mの点について演算値Xi ・ (1
+α)を求める。この場合の演算値Xi ・ (1+α)
は、 Xi ・ (1+α)= (1+α)(Ii-2 +I i+2 )/2 として求める。この演算後、前述と同様に、演算値Xi
・(1+α)と演算基礎値Ii との比較を行い、新たな演
算基礎値 Iiを求め、この新たな演算基礎値 Ii を求め
る計算を、図7(b) に示すように、サンプリングした全
ての点 (i+2m)について行う。その後、図示してい
ないが、前述の第1実施例と同様に、サンプリングした
全ての点(i+2m)について新たな演算基礎値 Ii
求める演算を50回程度繰り返す。
【0026】この後、サンプリングする分光角度2θを
更に1/2 倍、つまり、分光角度2θ=0.2 °に設定し、
図7(c) の新たなサンプリングした点(一重丸で示す)
と、既に新たな演算基礎値 Ii となっている点(二重丸
で示す)を用いて、前述の第1実施例と同様に、新たな
演算基礎値 Ii を求める。この分光角度2θ=0.2 °に
おける新たな演算基礎値 Ii を求める計算は、図示して
いないが、たとえば25回程度繰り返し、最終的な演算基
礎値 Ii をバックグラウンド成分のX線強度と推定す
る。
【0027】つぎに、上記第2実施例の推定方法を図8
のフローチャートを用いて説明する。まず、ステップS1
において開始すると、ステップS21 に進みn=4とし
て、ステップS2A に進む。ステップS2A ではi=i+4
とし、ステップS3A に進んで、平均値Xi =( Ii-4
i+4 )/2を求める。この平均値Xi を求めた後、ス
テップS4からステップS9までは、前述の第1実施例と同
様であり、同一部分または相当部分に同一符号を付し
て、その詳しい説明を省略する。
【0028】ステップS9において、更新演算の反復が終
了しているか否かを判断する。判断の結果、反復が終了
していなければステップS2A に戻り、一方、反復が終了
していればステップ22に進む。
【0029】ステップS22 では、n=1か否かを判断す
る。n=1でなければステップS23に進み、nをn/2
に更新して、ステップS2A に戻る。一方、ステップS22
において、n=1であれば、ステップS10 に進み、最終
の演算基礎値 Ii をバックグラウンド成分のX線強度と
推定する。
【0030】この第2実施例によれば、図7(a) および
図7(b) のように、大きな分光角度(2θ=0.8 °,0.4
°) ごとにサンプリングしたX線強度を演算基礎値 Ii
として用いるから、図5の第1実施例に比べ、大きなX
線強度を有するスペクトル(i=17〜24) についても、図
7(a),(b),(c) に示すように、新たな演算基礎値 Ii
一度の演算で著しく小さくなる。したがって、バックグ
ラウンド成分の推定を、より一層迅速に行うことができ
る。なお、分光角度2θのピッチを徐々に小さくして、
演算するので、バックグラウンド成分の推定値が不正確
になることもない。
【0031】ところで、上記各実施例では、図2のよう
に、分光角度2θを横軸に設定したが、分光角度2θに
代えて、波長を横軸に設定して用いてもよい。また、エ
ネルギ分散形では、分光角度2θに代えて、エネルギを
横軸に設定して用いてもよい。なお、これらの場合、演
算基礎値としては、波長またはエネルギ順に等間隔にプ
ロットした波長またはエネルギごとのX線強度を用い
る。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、測定した蛍光X線のX線強度から蛍光X線スペクト
ルのバックグラウンド成分を電子計算機によって推定す
ることができる。特に、推定する際に、分光角度、エネ
ルギまたは波長の領域と、プロットした分光角度、エネ
ルギまたは波長の間隔に基づいて定められる1.0 以上の
係数を用いて、i番目の分光角度、エネルギまたは波長
についての演算値を求めるので、演算が容易になるか
ら、迅速にバックグラウンド成分を求めることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a) ないし図1(d) は、この発明の推定方
法に係る平均値、演算値および新たな演算基礎値を求め
る方法を示す概念図、図1(e) はこの発明に含まれない
方法を示す概念図である。
【図2】この発明の第1実施例にかかる蛍光X線スペク
トルの部分拡大図である。
【図3】プロットした分光角度ごとのX線強度を示す特
性図である。
【図4】新たな演算基礎値を求める方法を示す概念図で
ある。
【図5】新たな演算基礎値を用いて、さらに新たな演算
基礎値を繰り返し求める方法を示す概念図である。
【図6】フローチャートである。
【図7】第2実施例にかかる推定方法を示す概念図であ
る。
【図8】フローチャートである。
【図9】一般的な分析装置の一例を示す概略構成図であ
る。
【図10】測定した蛍光X線スペクトルの特性図である。
【図11】バックグラウンド成分を除去した蛍光X線スペ
クトルの特性図である。
【符号の説明】
Ii …演算基礎値、新たな演算基礎値、Xi …平均値、
i ・ (1+α)…演算値、Ba…バックグラウンド成
分、S…分光角度の間隔。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 測定した蛍光X線スペクトルのバックグ
    ラウンド成分の推定方法であって、分光角度順に等間隔
    にプロットした分光角度ごとのX線強度を演算基礎値と
    して用い、プロットした上記分光角度のうち、(i−
    1)番目の分光角度と(i+1)番目の分光角度の演算
    基礎値の平均値と、分光角度の領域およびプロットした
    分光角度の間隔に基づいて定められる 1.0以上の係数と
    の積をi番目の分光角度についての演算値とし、このi
    番目の演算値とi番目の分光角度についての演算基礎値
    とを比較して、上記i番目の演算値が上記i番目の分光
    角度についての演算基礎値よりも小さい場合は、上記i
    番目の演算値を新たな演算基礎値とし、上記i番目の演
    算値が上記i番目の分光角度についての演算基礎値以上
    の場合は、この演算基礎値をそのまま新たな演算基礎値
    とし、この新たな演算基礎値を上記i番目の分光角度の
    演算基礎値として用い、演算値と新たな演算基礎値を求
    める演算を繰り返して、プロットした全ての分光角度に
    ついて新たな演算基礎値を求め、これらの新たな演算基
    礎値を上記演算基礎値として用いて、新たな演算基礎値
    を求める演算を所定回数繰り返し、この繰り返し演算に
    よって得られた最終の演算基礎値をバックグラウンド成
    分のX線強度と推定する蛍光X線スペクトルのバックグ
    ラウンド成分の推定方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、上記分光角度に代え
    て、エネルギまたは波長のいずれか一方を用いた蛍光X
    線スペクトルのバックグラウンド成分の推定方法。
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