JP2618619B2 - D−グルタミン酸の製造方法 - Google Patents

D−グルタミン酸の製造方法

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誠 矢ケ崎
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、D−グルタミン酸の製造方法に関する。D
−グルタミン酸は医薬、農薬などの合成原料として用い
られる産業上有用な物質である。
従来の技術 従来のD−グルタミン酸の製造方法としては、DL−5
−カルボキシエチルヒダントインに微生物由来の加水分
解酵素を作用させる方法(特開昭55-114291)、α−ケ
トグルタル酸にD−アミノ酸トランスアミナーゼを作用
させ、D−グルタミン酸を製造する方法(特開昭62-205
790)、DL−グルタミン酸を優先晶出法により、光学分
割する化学的方法(特公昭31-422,31-423,31-2972)、D
L−グルタミン酸と他の光学活性化合物との塩をつく
り、ジアステレオマーとして分割する方法(特公昭32-5
419)などが知られている。
発明が解決しようとする課題 従来の方法では、原料気質が高価なため製造コストが
高い。また従来の方法は酸素系が不安定であったり、製
造工程が複雑で生産性が低かったりするなど工業的に有
利な方法ではない。
そこで、安価で効率よくD−グルタミン酸を製造する
方法の開発が要求されている。
課題を解決するための手段 本発明者は、D−グルタミン酸を安価で効率よく製造
する方法を開発するために鋭意研究をおこなった。その
結果ラクトバチルス層に属し、グルタミン酸ラセマーゼ
活性およびL−グルタミン酸脱炭酸酵素活性を有する微
生物を見出し、該微生物を用いることによって、発酵生
産により工業的に安価に製造されるL−グルタミン酸か
らD−グルタミン酸を生成させることができることを見
出し、本発明を完成するに至った。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明は、ラクトバチルス属に属し、グルタミン酸ラ
セマーゼ活性およびL−グルタミン酸脱炭酸酵素活性を
有する微生物の菌体、培養液またはそれらの処理物を水
性媒体中でL−グルタミン酸と接触させて、D−グルタ
ミン酸を水性媒体中に生成させ、該水性媒体中から生成
したD−グルタミン酸を採取することを特徴とするD−
グルタミン酸の製造方法に関する。
これまで単一の微生物でL−グルタミン酸のラセミ化
と脱炭酸反応を連続的におこなえる例は知られておら
ず、本発明はこの点においてまったく新規なD−グルタ
ミン酸の製造方法を提供するものである。
本発明で用いる微生物は、ラクトバチルス属に属し、
グルタミン酸ラセマーゼ活性とL−グルタミン酸脱炭酸
酵素活性を有する微生物であればよい。好適な例として
は、ラクトバチルス・ブレビスATCC8287があげられる。
本微生物は、 同一菌体内に、グルタミン酸ラセマーゼとL−グルタ
ミン酸脱炭酸酵素を生成蓄積する。
グルタミン酸ラセマーゼの反応性は、高濃度基質(10
〜20% v/v)でも低下せず、ラセミ化効率が極めて高
い。
という性質を有している。これらの性質はD−グルタミ
ン酸を工業的に製造するのに都合が良い。
微生物を培養する倍地としては、炭素源、窒素源、無
機塩類、ビタミン類を含有しているものが使用できる。
炭素源としては、グルコース、フラクトース、シュク
ロース、ラクトースなどの各種の炭水化物およびこれら
を含有する糖蜜、デンプン加水分解物などが用いられ
る。
窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫
酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウ
ムなどの各種無機酸や有機酸のアンモニウム塩、アミン
類、その他含窒素化合物、ならびにペプトン、肉エキ
ス、酵母エキス、コーンスチープリカー、カゼイン加水
分解物、大豆粕加水分解物、各種発酵菌体およびその消
化物などが用いられる。特にペプトン、肉エキス、酵母
エキス、コーンスチープリカー、カゼイン加水分解物、
大豆粕加水分解物、各種発酵菌体およびその消化物など
の増殖促進成分を添加することが好ましい。
無機物としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カ
リウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化
ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸
カルシウムなどが用いられる。
培養温度は28〜42℃、好適には30〜38℃が用いられ
る。
培養中pHは5.0〜9.0、好適には6.0〜7.0に保持する。
pHの調整は、無機あるいは有機の酸、アルカリ溶液、尿
素、炭酸カルシウム、アンモニア等を用いておこなう。
培養時間は通常16〜96時間である。
このようにして培養して得られた微生物菌体中には、
L−グルタミン酸をDL−グルタミン酸にするグルタミン
酸ラセマーゼと、L−グルタミン酸を分解してγ−アミ
ノ酪酸にするL−グルタミン酸脱炭酸酵素が同時に生成
蓄積される。
これまで、グルタミン酸ラセマーゼとL−グルタミン
酸脱炭酸酵素が一つの微生物菌体内に同時に生成蓄積さ
れる例は報告されていない。
菌体内に生成蓄積されたグルタミン酸ラセマーゼとL
−グルタミン酸脱炭酸酵素は機能するpH領域が異なって
おり、前者はpH7.5〜9.5、後者はpH3.5〜5.5である。本
発明ではこの酵素活性の差を利用する。すなわち、本発
明は、水性媒体をpH7.5〜9.5に保持してL−グルタミン
酸をDL−グルタミン酸にラセミ化する第一工程と、つづ
いてpH3.5〜5.5に保持してL−グルタミン酸を分解する
第二工程とからなる。
最初に該微生物の培養液、菌体あるいは菌体処理物を
pH7.5〜9.5、好適にはpH8.0〜9.0に保持しつつ水性媒体
中でL−グルタミン酸と接触させることにより、L−グ
ルタミン酸とDL−グルタミン酸にする。
接触される際に用いられるL−グルタミン酸は、化学
的な純品でも粗精製品でも良く、水性媒体中、10〜200g
/l、好適には50〜150g/lの濃度範囲で用いる。
また菌体の濃度は湿菌体として10〜200g/l、好適には
50〜150g/lが用いられる。その際、そのまま菌体を用い
てもよいが、トルエンやキシレンなどの有機溶剤を添加
したり、アセトン処理菌体を用いたりすることができ
る。トルエンやキシレンなどの有機溶剤を添加する場合
には、その添加量は0.1〜5.0%(v/v)であれば良い。
pHの調整は、アンモニア水、水酸化ナトリウムなどの
アルカリ溶液を用い、接触中の温度は25〜45℃、好適に
は35〜40℃でおこなう。接触時間は用いるグルタミン酸
量および菌体量により異なるが、通常1〜72時間であ
る。
次に水性媒体のpHを3.5〜5.5、好適には4.0〜5.0に低
下させ、かつ保持することにより、該水性媒体中のL−
グルタミン酸のみを該微生物の保有するL−グルタミン
酸脱炭酸酵素活性を利用して、γ−アミノ酪酸とするこ
とができる。
pHの調整は、リン酸、塩酸などの酸溶液を用い、接触
中の温度は25〜40℃でおこなう。接触時間はラセミ化反
応に用いたL−グルタミン酸量と菌体量によって異なる
が通常1〜72時間である。
このようにして得られた該水性媒体中には、D−グル
タミン酸およびγ−アミノ酪酸が存在している。該水性
媒体より、微生物菌体または菌体処理物を遠心分離など
の手段により除去した後、直接晶出法、イオン交換樹脂
処理などにより、D−グルタミン酸を得ることができ
る。なお、比旋光度を測定することによって、D−グル
タミン酸を同定する。
以下に本発明の実施例を示す。
実施例1 ラクトバチルス・ブレビスATCC 8287を酵母エキス−
ペプトン寒天平板培地(酵母エキス5.5g/l、ペプトン1
2.5g/l、グルコース11.0g/l、KH2PO40.25g/l、K2HPO40.
25g/l、酢酸ナトリウム10g/l、MgSO4・7H2O0.1g/l、MnS
O4・4〜6H2O5mg/l、FeSO4・7H2O 5mg/l、寒天20g/
l、pH6.8)に塗布し、37℃、2日間培養した。
培養菌体を1白金身、200m1の発酵培地(グルコース2
0g/l、コーンスティープリカー30g/l、酢酸ナトリウム2
0g/l、KH2PO41g/l、K2HPO43g/l、MgSO4・7H2O1g/l、FeS
O4・7H2O10m1/l、MnSO4・4〜6H2O1mg/l、微量金属液1
m1およびビタミン混合液1m1からなる液をpH7.0に調整
後、120℃、20分間殺菌したもの。)に植菌し、37℃で2
4時間静置培養した。なお、微量金属液とは、(NH46M
o7O24・4H2O37mg/l、FeSO4・7H2O990mg/l、ZnSO4・7H2
O880mg/l、CuSO4・5H2O393mg/l、MnCl2・4H2O72mg/lお
よびNa2B4O7・10H2O88mg/lの組成からなる液のことをい
い、ビタミン混合液とは、リボフラビン2g/l、チアミン
−HCl1g/l、p−アミノ安息香酸1g/l、ニコチン酸1g/
l、パントテン酸カルシウム1g/l、ピリドキシン1g/l、
ビオチン10mg/lおよび葉酸1mg/lの組成からなる液のこ
とをいう。
得られた培養液全量を前記発酵培地20lに植菌し、37
℃にて36時間静置培養した。培養中、アンモニア水溶液
によりpH6〜6.5に維持した。培養液を4℃、5000rpm、1
0分間遠心分離し、集菌後、得られた菌体を湿菌体とし
て、100g/lになるようにL−グルタミン酸100g/lを含む
基質溶液(100mMリン酸−ナトリウム緩衝液 pH8.5、L
−グルタミン酸100g/l、ピリドキサールリン酸20mg/l、
トルエン20m1/l)600m1に懸濁し、37℃で24時間接触さ
せ、D−グルタミン酸を生成した。
次に、該水性媒体のpHをリン酸を用いて4.0に下げ、
さらに37℃、30時間接触させた。該水性媒体のpHは、リ
ン酸にて4.0〜5.0に維持した。その結果、水性媒体中の
L−グルタミン酸が定量的にγ−アミノ酪酸に転換し、
D−グルタミン酸が48g/l残存した。
該水性媒体100m1をとり、菌体を遠心除去し、上清液
のpHを6N塩酸にて、3.2に調整後、濃縮し、D−グルタ
ミン酸の結晶4.2gを得た。得られたD−グルタミン酸の
比旋光度は〔α〕20 D=−31.8°(c=10、2NHcl)であ
った。
発明の効果 本発明により、工業的に安価で大量に生成されている
L−グルタミン酸から、医薬・農薬などの合成原料とし
て重要なD−グルタミン酸を効率良く生産できる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ラクトバチルス属に属し、グルタミン酸ラ
    セマーゼ活性およびL−グルタミン酸脱炭酸酵素活性を
    有する微生物の菌体、培養液またはそれらの処理物を水
    性媒体中でL−グルタミン酸と接触させて、D−グルタ
    ミン酸を水性媒体中に生成させ、該水性媒体中から生成
    したD−グルタミン酸を採取することを特徴とするD−
    グルタミン酸の製造方法。
  2. 【請求項2】該接触によってL−グルタミン酸からD−
    グルタミン酸を生成させる際、水性媒体をpH7.5〜9.5に
    保持してL−グルタミン酸をDL−グルタミン酸にラセミ
    化する第一工程と、つづいてpH3.5〜5.5に保持してL−
    グルタミン酸を分解する第二工程とからなる請求項1記
    載の方法。
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