JP2617836B2 - 通電時に耐摩耗性を示すパンタグラフすり板用材料組成物及びパンタグラフすり板 - Google Patents

通電時に耐摩耗性を示すパンタグラフすり板用材料組成物及びパンタグラフすり板

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JP2617836B2
JP2617836B2 JP3248716A JP24871691A JP2617836B2 JP 2617836 B2 JP2617836 B2 JP 2617836B2 JP 3248716 A JP3248716 A JP 3248716A JP 24871691 A JP24871691 A JP 24871691A JP 2617836 B2 JP2617836 B2 JP 2617836B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、通電時に耐摩耗性を示
すパンタグラフすり板用材料組成物およびこの材料組成
を用いたパンタグラフすり板に関する。
【0002】鉄道のパンタグラフすり板は、トロリー線
とパンタグラフすり板との接触部分で通電時において摺
動による摩擦が生じるので、この通電時の摺動摩擦に耐
えるために、パンタグラフすり板の材料には、耐磨耗性
を示す材料が使用されている。その材料には、在来線で
は銅を主成分とした銅系焼結合金が、新幹線では、鉄を
主成分とした鉄系焼結合金および銅を主成分とした銅系
焼結合金が用いられていた。その焼結合金の製造には、
鉄または銅を主成分とした金属粉を混合し、圧縮成形し
て圧粉体とし、これを焼結し、再加工またはサイジング
等を施して製品としていた。
【0003】従来の例えば焼結合金を用いた新幹線のパ
ンタグラフすり板の種類と成分を次の表1に示す。
【0004】
【表1】
【0005】表1からわかるように、鉄系焼結合金から
なるパンタグラフすり板には鉛が17〜27重量%含ま
れており、また、銅系焼結合金ではクロムが10〜13
重量%含まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】近年、車両の高速化が
進められており、また、車両当りのパンタグラフの数の
削減が行なわれており、ますますパンタグラフすり板は
苛酷な条件のもとに使用されている。このために、パン
タグラフすり板とトロリー線との摩擦で擦り減る量も多
くなり、パンタグラフすり板の交換周期も短くなってき
ている。
【0007】鉄系焼結合金からなるパンタグラフすり板
は鉛を多く含み、また銅系焼結合金からなるパンタグラ
フすり板は、クロムを多く含むために、これらのパンタ
グラフすり板が使用中に磨耗するとこれらの成分が環境
へ排出されるので好ましくなかった。また、従来のパン
タグラフのすり板は、圧縮成形、焼結等を施して製造さ
れるために、鋳造等に比べ、その製造装置が大型であ
り、自由な形を製造するのが困難で、しかもコストが高
くついていた。
【0008】そこで、本発明は、従来のパンタグラフす
り板より磨耗が少なく、環境へ害を及ぼす鉛、クロム等
を用いずに製造でき、比較的簡単な装置で自由な形に製
造することができ、製造コストを従来のものよりも低く
できるパンタグラフすり板とするための通電磨耗材料を
提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記した問題点を解決す
るために本発明は、鋳鉄を必須構成材料として含むこと
を特徴とする通電時に耐摩耗性を示すパンタグラフすり
板用材料組成物とするものである。また、本発明は前記
通電時に耐摩耗性を示すパンタグラフすり板用材料組成
を用いてパンタグラフすり板とするものである。
【0010】鋳鉄のうち球状黒鉛鋳鉄、鋳鉄の組織の
中に黒鉛が球状粒子となってほぼ均一に分散したもので
ある。本発明のパンタグラフすり板用材料組成物に使用
することができる球状黒鉛鋳鉄中の炭素原子は2.5〜
4.5重量%含まれる。また、球状黒鉛鋳鉄中には、
黒鉛を球状に分散させるために少量成分としてSi、M
n、P、S、Mg等が含まれる。本発明のパンタグラフ
すり板用材料組成物に使用することができる球状黒鉛鋳
鉄の製造方法は、一般の球状黒鉛鋳鉄の製造方法が適用
できる。例えば、原材料として、銑鉄、鋼屑、返り屑、
加炭剤および少量のFe−75%Siからなるフェロシ
リコン等のフェロアロイが使用される。これらの材料を
酸性キュポラ、塩基性キュポラ、アーク炉、誘導炉、高
周波炉等の炉により溶解する。例えば、原材料20kg
容の高周波炉で鉄の融点1538℃以上の約1570℃
程度で溶解する。この溶解工程で、原材料からのS含量
を調整し、最終製品でS含量が0.01%以下となるよ
うに脱硫処理をおこなう。また、この溶解工程で、炭素
含量が最終製品で2.5〜4.5重量%になるように加
炭剤を添加して調整する。
【0011】次に、MgまたはMg合金等を黒鉛球状化
のための添加金属として添加し、約1570℃を保った
まま、黒鉛球状化処理を行なう。このような球状化材と
して、例えば、Fe−45%Si−8%Mgが、好適に
使用される。この球状化材の添加量は湯に対して約1.
0重量%用いるのが適当である。次に、黒鉛形状をより
球状化するため及び黒鉛粒数の調整のために、約157
0℃を保ったまま、例えば、Fe−50%Siからなる
接種材を湯に対して約0.3重量%添加する。
【0012】次に、この溶湯を例えば、砂型等よりなる
鋳型に注湯することにより鋳込みを行なう。鋳込んだも
のをそのまま空冷して、ブロックを取り出す。このブロ
ックを必要とする特性に見合うように熱処理を行なう。
例えば、900℃、3時間程度の熱処理を行なう。次い
で、このブロックをパンタグラフすり板の必要な形状と
なるように切り出して、パンタグラフすり板製品とす
る。
【0013】本発明の通電時に耐摩耗性を示すパンタグ
ラフすり板用材料組成物は、前記球状黒鉛鋳鉄以外に、
CV鋳鉄、合金鋳鉄、片状黒鉛鋳鉄が球状黒鉛鋳鉄と同
等に使用できる。
【0014】
【実施例1】炭素原子の含有量の異なる3種類の球状黒
鉛鋳鉄を用意した。その球状黒鉛鋳鉄は、Fe−3.8
%C−Me(KSX1とする)、Fe−4.0%C−M
e(KSX2とする)、Fe−4.5%C−Me(KS
X3とする)の3種類である。なお、上記Meとは、少
量成分として含まれるSi、Mn、P、S、Mg等をい
う。この少量成分の割合は、KSX1〜KSX3のいず
れも2.2%Si、0.51%Mn、0.33%P、
0.011%S、0.031%Mgである。
【0015】本実施例1で用いる球状黒鉛鋳鉄の通電時
に耐摩耗性を示すパンタグラフすり板用材料組成物とし
ての性能試験は、次のようにして行なった。まず、球状
黒鉛鋳鉄の約23cm×15cmの大きさのブロックを
作成した。このブロックから、長さ90mm、幅25m
m、厚さ10mmの大きさに切り出した。この切り出し
たものを加熱処理して、即ち、常温から2時間かけて徐
々に昇温して900℃とし、この温度を3時間保ち、炉
冷により冷却して図1に示す試験片を作成した。この加
熱処理の試験片の処理温度の変化グラフを図8に示す。
【0016】この試験片は、潤滑と防錆を目的として油
含浸を行なったものと、油含浸後に加熱して油を飛ばし
た油ヌキのものとの2種類を調製した。この調製には、
油としてFBKタービン(商品名,日本油脂製,ISO
VG32相当)を用い、真空中で60℃、12時間含
浸した後、試験片の表面を洗浄し、アセトンで脱脂した
ものを油含浸試験片として第1回目の磨耗試験を行なっ
た。
【0017】また、既に1回目の磨耗試験がなされたこ
の油含浸試験片を電気炉中で200℃、2時間加熱して
油を飛ばし、第1回目の磨耗試験が行なわれた面と反対
側の磨耗試験を行なう面を研磨し、そして超音波洗浄器
によりアセトンで脱脂を行ない、油ヌキ試験片とし、こ
れを用いて第2回目の磨耗試験を行なった。以下に、磨
耗試験の詳細を示す。磨耗試験装置は、図2に示すもの
を使用した。磨耗試験に用いる相手材の銅のトロリ線は
磨耗試験前にバイトで切削し、やすりでバリを除き、均
一な表面状態とした。本発明のパンタグラフすり板の磨
耗試験を行なうために、トロリ線を図2に示すローター
に巻付け、パンタグラフすり板をセットしたすり板押し
付け部により、トロリ線に押付け力50Nで押し付け、
ローターの摺動速度100km/h、通電電流0Aと1
00A、摺動時間30分間の条件で磨耗試験を行なっ
た。
【0018】比磨耗量を示す実験結果を油含浸試験片に
ついては、図3に、各試験片毎に比磨耗量(m3 /N・
m)を表したグラフを示した。油ヌキ試験片については
図4に図3と同様のグラフを示した。なお、図3および
図4の対照品は、現在、新幹線に使用されているもので
あり、旧国鉄規格でJRS1種と呼ばれているものであ
る。図3によれば、油含浸試験片の3種類の球状黒鉛鋳
鉄は、いずれも対照品の鉄系焼結合金すり板よりも良好
な通電時磨耗特性を示していることがわかる。また、図
4によれば、油ヌキ試験片の3種類の球状黒鉛鋳鉄も、
いずれも対照品の鉄系焼結合金すり板よりも良好な通電
時磨耗特性を示しており、さらに、油含浸試験片よりも
油ヌキ試験片の方が、特に無通電時及び通電時の磨耗特
性が共に良好であることがわかる。
【0019】上記磨耗試験に供した球状黒鉛鋳鉄KSX
−2の油ヌキ試験片の摺動面外観を図5の写真に、ま
た、KSX−2の油ヌキ試験片の断面図の金属組織の倍
率の異なる顕微鏡写真を図6および図7に示す。次に、
衝撃試験として、JIS−Z2242(金属材料引張試
験方法)のシャルピー衝撃試験を行なった。試験結果
は、旧国鉄規格の9.8J/cm2 以上に比べて、各試
験片は最小値で比較しても規格以上であった。一番高い
のはKSX2であり、最大値が62J/cm2 であっ
た。
【0020】
【発明の効果】鉄を主成分とした鋳鉄材料、特に、球状
黒鉛鋳鉄を用いて通電時に耐摩耗性を示すパンタグラフ
すり板用材料組成物を得ることができた。本発明の通電
時に耐摩耗性を示すパンタグラフすり板用材料組成物
ら製造されたパンタグラフすり板は、通電使用時に磨耗
が少なく、環境へ害を及ぼす鉛、クロム等を排出しな
い。
【0021】本発明の通電時に耐摩耗性を示すパンタグ
ラフすり板用材料組成物の製法は、鋳造により行なうの
で比較的簡単な装置で自由な形に製造することができ、
製造コストを従来のものよりも低くできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】通電時に耐摩耗性を示すパンタグラフすり板用
材料組成物としての性能試験を行なうための試験片の平
面図及び側面図を示す。
【図2】磨耗試験装置の平面図及び側面図を示す。
【図3】油含浸試験片の比磨耗量を表したグラフ。
【図4】油ヌキ試験片の比磨耗量を表したグラフ。
【図5】球状黒鉛鋳鉄KSX−2の油ヌキ試験片の摺動
面外観の写真を示す。
【図6】KSX−2の油ヌキ試験片の断面図の金属組織
の顕微鏡写真を示す。
【図7】KSX−2の油ヌキ試験片の断面図の金属組織
の倍率の異なる顕微鏡写真を示す。
【図8】試験片の処理温度の変化グラフを示す。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋳鉄を必須構成成分として含むことを特
    徴とする通電時に耐摩耗性を示すパンタグラフすり板用
    材料組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の通電時に耐摩耗性を示す
    パンタグラフすり板用材料組成物を用いたことを特徴と
    するパンタグラフすり板。
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