JP2616007B2 - 熱可塑性樹脂フィルム - Google Patents

熱可塑性樹脂フィルム

Info

Publication number
JP2616007B2
JP2616007B2 JP13654389A JP13654389A JP2616007B2 JP 2616007 B2 JP2616007 B2 JP 2616007B2 JP 13654389 A JP13654389 A JP 13654389A JP 13654389 A JP13654389 A JP 13654389A JP 2616007 B2 JP2616007 B2 JP 2616007B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thermoplastic resin
film
particles
resin film
organic fine
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP13654389A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH03742A (ja
Inventor
聡 西野
郁夫 萩原
晃一 阿部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP13654389A priority Critical patent/JP2616007B2/ja
Publication of JPH03742A publication Critical patent/JPH03742A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2616007B2 publication Critical patent/JP2616007B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、熱可塑性樹脂フイルム、更に詳しくは、包
装用、コンデンサー用、および磁気テープ用ベースフイ
ルムなどとして好適な熱可塑性樹脂フイルムに関するも
のである。
[従来の技術] 従来、熱可塑性樹脂フイルムには、ハンドリング性、
易滑性をもたせるために、酸化チタン、シリカ、炭酸カ
ルシウム等の不活性物質を含有させておく手段(例え
ば、特開昭55−133431号公報など)や特定の粒状有機物
を含有させておく手段(特開57−147543号公報など)が
知られている。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、フイルムに要求される平滑性はますま
す厳しくなる一方で、フィルムの加工工程、たとえば包
装用途における印刷工程、磁気媒体用途における磁性層
塗布・カレンダー工程などの工程速度の増大にともな
い、フイルムに要求される耐摩耗性も益々厳しくなって
いるため、上述の如き従来の熱可塑性樹脂フイルムで
は、耐摩耗性や走行性などの特性を十分満足することが
できず、加工工程上、製品性能上のトラブルとなるとい
う欠点が、最近、問題となってきている。
本発明の目的は、かかる課題を解消せしめ、耐摩耗性
及び走行性が共に優れた熱可塑性樹脂フイルムを提供せ
んとするものである。
[課題を解決するための手段] 本発明は、セミIPN(semi−interpenetrating polyme
r networks)構造を持った、平均粒径が0.01〜3μmの
有機微粒子を0.001〜5重量%含有することを特徴とす
る熱可塑性樹脂フイルムをその骨子とするものである。
本発明の熱可塑性樹脂フイルムとしてはポリエチレン
テレフタレート、ポリエチレンα,β−ビス(2−クロ
ルフェノキシ)エタン4,4′−ジカルボキシレート、ポ
リエチレン2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタ
レート等で代表されるポリエステルや、ポリプロピレ
ン、ポリエチレン、及びポリフェニレンサルファイトな
どが用いられる。中でもポリエステル、特にポリエチレ
ンテレフタレートが好ましい。
本発明フイルムに含有される有機微粒子はセミIPN(s
emi−interpenetrating polymer networks)構造を持っ
ている必要がある。此処で言うセミIPN構造とは、例え
ば実学高分子(向井、金城著、講談社刊)p196〜p197な
どにある様に、非架橋高分子成分の中に架橋高分子成分
が絡み合った構造を持つものを言う。
セミIPN構造を持っていることの確認は、熱可塑性樹
脂フイルム中の有機微粒子のみを取り出し、C13−NMRス
ペクトルや赤外吸収スペクトル、ラマン散乱スペクトル
などを取ることにより識別できる。
有機微粒子がセミIPN構造を持たない場合には、熱可
塑性樹脂中に含有させる時に粒子が形状を保持すること
が難しく、たとえできたとしても粒子同士の凝集などが
起こり、本発明の走行性や耐摩耗性を満足させることは
できない。
また本発明フイルムに含有される有機微粒子の非架橋
高分子成分としては、ポリスルフォン系化合物、ポリア
ミド系化合物、ポリエーテルエーテルケトン系化合物、
ポリエステル系化合物などがあるが、特にポリスルフォ
ン系化合物の場合には耐摩耗性がより一層良好となるの
で好ましい。
また本発明フイルムに含有される有機微粒子の架橋高
分子成分としては、熱または光、電子線などの外部から
のエネルギーにより硬化して、少なくとも部分的に三次
元硬化物を形成する樹脂であれば特に限定されないが、
例えばエポキシ樹脂系化合物、メラミン樹脂系化合物、
フェノール樹脂系化合物などがその例として挙げられ
る。中でも、エポキシ樹脂系化合物が耐摩耗性の点で好
ましい。
本発明の熱可塑性樹脂フイルムに用いる有機微粒子の
平均粒径は0.01〜3μm、好ましくは0.1〜1.5μm、さ
らに好ましくは0.15〜1.0μmである必要がある。平均
粒径が上記範囲より大きいと耐摩耗性が不良となるので
好ましくない。また、平均粒径が上記範囲より小さいと
走行性が不良となるので好ましくない。
本発明の熱可塑性樹脂フイルムには有機微粒子が0.00
1〜5重量%、好ましくは0.05〜2重量%含有されてい
る必要がある。含有量が上記範囲より多いと耐摩耗性が
不良となり、少ないと走行性が不良となるので好ましく
ない。
また、本発明の熱可塑性樹脂フイルムに用いられる有
機微粒子の形状係数は、0.85〜1.0の間であることが、
耐摩耗性をさらに良好とするのに有効である。
本発明フイルムに含有される有機微粒子の弾性率は、
特に限定されないが、300〜5000kg/mm2、好ましくは500
〜3500kg/mm2の範囲であると、耐摩耗性がさらに良好と
なるので好ましい。
また、有機微粒子の耐熱温度は350℃以上、好ましく
は380℃以上であることが、走行性を良好とするために
極めて有効である。
また該粒子は熱可塑性樹脂と実質的に反応しないほう
が好ましい。実質的に反応しない粒子とは、粒子が熱可
塑性樹脂中に含有されているときに熱可塑性樹脂と実質
的に化学反応を起こすことなく、かつ、粒子と熱可塑性
樹脂の間に実質的な共有結合やイオン結合などの化学的
結合を持たない粒子のことを示す。粒子と熱可塑性樹脂
が積極的に反応する場合には、粒子同志の凝集が多くな
り粗大粒子となって、耐摩耗性が不良となるので好まし
くない。
また粒子と共に分散剤を添加することは、粒子の凝集
を防ぎ、耐摩耗性をより一層良好とするのに好ましい。
尚、本発明で用いる熱可塑性樹脂フイルムには、本発
明の目的を阻害しない範囲であれば、該有機微粒子以外
の粒子が含まれていてもかまわない。特に極少量の無機
粒子を同時に含有することにより耐摩耗性が良好となる
ので好ましい。この時無機粒子の添加量は0.005〜0.5重
量%の範囲で、かつ、有機高分子粒子の含有量よりも少
量である場合が耐摩耗性をより一層良好とするために好
ましい。また、該無機粒子の平均粒径は0.4〜2.0μmの
範囲であると耐摩耗性がより良好となるので好ましく、
この時、該無機粒子の平均粒径が有機高分子粒子の平均
粒径よりも大きいと耐摩耗性がさらに良好となるので好
ましい。無機粒子の種類としては、例えば二酸化チタ
ン、シリカ、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、アル
ミナなどがあるが、シリカが好ましく、特にコロイダル
シリカが好ましい。また、内部析出粒子を併用しても良
い。
本発明の熱可塑性樹脂フイルムの表面に形成される突
起高さ20nm以上の全突起のうち、その半数以上の突起に
ついて、好ましくは80%以上の突起について、突起高さ
h(単位μm)と突起先端曲率半径β(単位μm)の関
係が下式(1)、更に好ましくは下式(2)を満足して
いると耐摩耗性がより一層良好となるので特に好まし
い。
0.1×h−0.3<β<1.0×h−0.9 ・・(1) 0.1×h−0.4<β<0.55×h−0.9 ・・(2) また突起個数は特に限定されないが、5000〜250000個
/mm2の範囲であると耐摩耗性がさらに良好となるので好
ましい。
更に、本発明フィルムの平均表面粗さは特に限定され
ないが、少なくとも片面の平均表面粗さが0.003〜0.060
μmの範囲にある場合に走行性及び耐摩耗性が共により
一層良好となるので望ましい。
更に、本発明の熱可塑性樹脂フイルムは突起高さ標準
偏差が1μm以下、好ましくは0.5μm以下の範囲であ
ると、耐摩耗性がより一層良好となるので望ましい。
次に本発明フイルムの製造方法を説明する。
まず、セミIPN構造を持った粒子の製造方法の一例を
示すがこの製造方法に限定される訳ではない。
まず非架橋高分子成分を有機溶媒、例えばクロロホル
ム、塩化メチレン、ヘキサンなどに溶解しポリマー溶液
を得る。該ポリマー溶液に架橋高分子成分のモノマーを
添加した後、乳化剤を含有した水を加え攪拌し、乳化さ
せる。続いて、該乳化液を加熱し、有機溶媒を除去し、
架橋高分子成分を硬化させる。この時、乳化剤の種類は
特に限定されないが、保護コロイド性物質、例えばポリ
ビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースなどが
好ましい。また、この時の乳化剤の種類、添加量、攪拌
速度、及び温度などをコントロールすることにより、粒
子径をコントロールできる。
次にこの有機微粒子を所定の熱可塑性樹脂に含有せし
める。添加方法としては、熱可塑性樹脂の重合前、重合
中、重合後のいずれに添加してもよいが、例えばポリエ
ステルの場合には、ポリエステルのジオール成分である
エチレングリコールなどに、スラリーの形で混合、分散
せしめて添加する方法を用いると本発明の効果がいっそ
う大きくなるので好ましい。この時、微細なガラスビー
ズ等をメディアとして分散させても良い。また、ベント
式二軸混練押出機などをもちいて混練しても良い。
また、粒子の含有量を調節する方法としては、高濃度
のマスターペレットを製膜時に稀釈する方法を用いると
本発明の効果がいっそう大きくなるので好ましい。
次に、この熱可塑性樹脂を十分乾燥した後、押出機に
供給し、高精度瀘過した後スリット状口金から溶融押出
し、冷却固化せしめて未延伸フイルムを作る。この時、
押出温度は低い方が好ましく、例えばポリエチレンテレ
フタレートの場合には、265℃〜300℃の間で押出するこ
とが好ましく、特に、押出機の原料供給部の温度は265
℃〜280℃の範囲であることが、耐摩耗性をさらに良好
とするので好ましい。また、熱可塑性樹脂の押出機中で
の滞留時間は短い方が良く、滞留時間が10分以内である
場合が、耐摩耗性をさらに良好とするので好ましい。
またキャスト時のドラフト比(口金のスリット幅/未
延伸フイルムの厚み)は3〜10倍程度の高い値であるこ
とが好ましい。
次にこの未延伸フイルムを二軸延伸し、二軸配向せし
める。延伸方法としては、逐次二軸延伸法または同時二
軸延伸法を用いることができる。ただし、最初に長手方
向、次に幅方向の延伸を行なう逐次二軸延伸法を用いた
方がより好ましい。
長手方向の延伸条件は、例えばポリエチレンテレフタ
レートでは100〜130℃という高温で、しかも2段または
3段に分けて、4〜5倍延伸する方法が、好適である。
幅方向の延伸は、例えばポリエチレンテレフタレート
では、80〜120℃で3〜4倍延伸するのが好ましいが、
幅方向の延伸温度が長手方向の延伸温度より低いと、耐
摩耗性をより一層良好とするのに好適である。
また、一旦、二軸延伸したフイルムを少なくとも一方
向に更に延伸しても良い。
また必要に応じて、この延伸フイルムを熱処理するこ
ともできる。この場合の熱処理条件としては、例えばポ
リエチレンテレフタレートでは、定長下で150〜220℃、
好ましくは170〜210℃の範囲で0.5〜30秒間行なうこと
が好ましい。
[作用] 本発明フイルムは、熱可塑性樹脂に、特定の構造を持
った特定の粒径の有機微粒子を特定量含有させたフイル
ムとしたので、粒子と熱可塑性樹脂が特異な相互作用を
示し、効果的に表面突起が生成し、かつ粒子の脱落がな
くなるものと推定される。
[特性の測定法] 本発明の特性値は次の測定法、評価基準によるもので
ある。
平均粒径 粒子をエチレングリコール中に均一に分散してスラリ
ーとし、これを測定に便利な濃度に希釈し、遠心沈降式
粒子径測定装置(島津製作所製SA−CP2型)で測定す
る。得られた粒子径分布を対数確率紙にプロットし、積
算通過百分率が50%となった点のメジアン径を、その粒
子の平均粒径とした。
粒子含有量 熱可塑性樹脂を溶解させ、かつ粒子を溶解させない溶
媒に、粒子を含有した熱可塑性樹脂100グラムを加えて
加熱し、完全に熱可塑性樹脂を溶解させる。この溶液を
日立工機(株)製超遠心機55P−72を用い、30000rpmで4
0分間遠心分離を行ない、得られた粒子を真空乾燥す
る。該粒子を走査形差動熱量計にて測定した時、熱可塑
性樹脂に相当する融解ピークが認められる場合には該粒
子に再び溶媒を加え、加熱溶解後、遠心分離操作を行な
う。融解ピークが認められなくなった時、この粒子の重
量を測定する。この重量を100グラムで割り、パーセン
ト表示したものを含有量とした。
なお、通常遠心分離操作は3回程度で十分である。
また、必要に応じて熱分解ガスクロマトグラフィーや
赤外吸収、蛍光X線分析法、ラマン散乱、SEM−XMAなど
を利用して定量することもできる。
粒子の弾性率 ダイヤモンド圧子を備えた超微小硬度計を用いて、粒
子をダイヤモンド圧子で押し込み、押し込み深さと荷重
の関係より弾性率を算出する。また粒子と同じ組成を持
った樹脂片を用い算出することもできる。
突起個数、突起高さ標準偏差 2検出器方式の走査型電子顕微鏡[ESM−3200、エリ
オニクス(株)製]と断面測定装置[PMS−1、エリオ
ニクス(株)製]においてフィルム表面の平坦面の高さ
を0として走査した時の突起の高さ測定値を画像処理装
置[IBAS2000、カールツァイス(株)製](512×512画
素)に送り、画像処理装置上にフィルム表面突起画像を
再構築する。この測定されたい個々の突起部分の中で最
も高い値をその突起の高さとし、個々の突起について突
起高さを求める。この測定を場所をかえて50回繰返す。
この時、突起高さが20nm以上の突起個数をカウントし、
1mm2あたりに換算したものを突起個数とした。
また、上記の測定された全ての突起の高さを、突起高
さ0を中心とする正規分布に当てはめ、この時の標準偏
差を突起高さ標準偏差とした。
尚、走査型電子顕微鏡の倍率は、通常3000倍である
が、突起の大きさに応じて2000〜5000倍の範囲の間で最
適な倍率を選択することができる。
突起先端曲率半径β 上記突起高さ標準偏差、及び突起個数を測定する時と
同様に、走査型電子顕微鏡及び断面測定装置からの高さ
情報を、画像処理装置(512×512画素)上に送りフイル
ム表面突起画像として再構築し、測定された個々の突起
のうち突起高さが20nm以上のものについて、突起先端曲
率半径βを次の定義に基づき計算した。
画像処理装置(512×512画素)上で、フイルム表面突
起画像の突起の頂点を通る突起の断面曲線(y=f
(x))において、突起の頂点を中心とする前後合わせ
て9画素の部分に対応する高さの値を、下式(3)で表
わす関数に最小二乗法で補間し、下式(4)に従い長手
方向の曲率半径βMDと幅方向の曲率半径βTDを計算し
た。次に、この値より、突起先端曲率半径βを下式
(5)により算出した。
尚、走査型電子顕微鏡の倍率は、通常3000倍である
が、突起の大きさに応じて2000〜5000倍の範囲の間で最
適な倍率を選択することができる。
y=ax2+bx+c ・・・(3) βMD,TD=1/|y″| ・・・(4) β=2βMDβTD/(βMD+βTD) ・・・(5) 走行性 フィルムを1/2インチにスリットし、テープ走行性試
験機TBT−300型((株)横浜システム研究所製)を使用
し、20℃、60%RH雰囲気で走行させ、初期のμを下記
の式より求めた。
μ=0.733log(T1/T2) ここでT2は入側張力、T1は出側張力である。ガイド径
は6mmφであり、ガイド材質はSUS27(表面粗度0.2S)、
巻き付け角は180゜、走行速度は3.3cm/秒である。
上記μが0.35以下であるものを走行性良好とした。
μが0.35という値はフィルム加工時または、製品とし
たときの走行性が極端に悪くなるかどうかの臨界の値で
ある。
耐摩耗性 フィルムを幅1/2インチのテープ状にスリットし、張
力100g、走行速度400m/分で、ビデオカセットのテープ
ガイドピン(表面粗さがRtで2500nm程度の表面を持った
ステンレス製ガイドピン)上を巻き付け角90゜で走行さ
せ、その時につく傷の量を次の基準にしたがい目視で判
定した。
まったく傷のないもの・・・・・5点 浅い傷のあるもの・・・・・・・3点 深い傷が多数あるもの・・・・・1点 また、5点と3点の中間を4点、3点と1点の中間を
2点とした。この時、3点以上を耐摩耗性良好、3点未
満を耐摩耗性不良とした。
この時の判定で3点未満のフイルムは、フイルムの加
工時や製品としたときの走行時にフィルム表面が摩耗し
て深い傷が発生するため、製品の品質が著しく悪くな
る。
粒子耐熱温度 島津製作所製TG−30Mを用いて、昇温速度10℃/分、
窒素中で熱重量分析を行ない、10%減量時の温度を熱分
解温度とした。尚、試料重量は5mgとした。
形状係数 電子顕微鏡にて粒子を観察し、イメージアナライザー
にてひとつの粒子について最大直径と円相当径を測定
し、最大直径と円相当径の比を求める。この測定を500
個の粒子について測定し、この最大直径と円相当径の比
の平均を形状係数とした。
表面粗さ 小坂研究所製の高精度薄膜段差測定器ET−10を用いて
測定した。条件は下記のとおりであり、20回の測定の平
均値をもって表面粗さとした。
・触針先端半径:0.5μm ・触針荷重:5mg ・測定長:1mm ・カットオフ値:0.08mm [実施例] 次に実施例に基づき、本発明の実施態様を説明する。
実施例1(第1表) ポリエーテルスルフォン81重量部、エポキシ樹脂15重
量部及び硬化剤としてジアミノジフェニルメタン4重量
部をクロロホルム300重量部に添加、溶解してポリマー
溶液を得た。この溶液を800rpmで攪拌しながら、10%の
ポリビニルアルコール水溶液300重量部を添加し、乳化
液を得た。この乳化液を45℃、300rpmで攪拌しながら有
機溶媒を除去し、さらに加熱し架橋高分子成分を硬化さ
せた。その後、十分に洗浄、乾燥し、平均粒径0.5μm
の有機微粒子を得た。
次に、この粒子をエチレングリコール中に均一に分散
させ、エチレングリコールとジメチルテレフタレートと
重合して、有機微粒子を含有するポリエチレンテレフタ
レートのペレットを得た。ポリエステルに対する粒子の
含有量は、0.25重量%であった。
このペレットを、180℃で3時間減圧乾燥(3Torr)し
た後、押出機に供給し、高精度瀘過した後300℃で溶融
押出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度30℃のキ
ャスティングドラムに巻きつけて冷却固化し、厚さ約18
0μmの未延伸フイルムを作った。この時のドラフト比
は6.7であった。
この未延伸フイルムを長手方向に3段階に分け、110
℃で4.2倍延伸した。この一軸フイルムをステンタを用
いて100℃で幅方向に3.6倍延伸し、定長下で210℃にて
5秒間熱処理し、厚さ12μmのフイルムを得た。
このフイルムの平均表面粗さは、0.0165μmであっ
た。
次にこのフイルムの耐摩耗性を測定すると、4.8点で
あり、非常に良好であった。また走行性も0.20で非常に
良好であった。
このように、特定の構造を持った特定の粒径の有機微
粒子をフイルム中に特定量含有させると、平滑性と耐摩
耗性を共に満足する優れたフイルムとなり得ることが分
る。
実施例2〜6、比較例1〜6(第1表) 含有する有機微粒子の構造、成分、平均粒径、含有量
及び熱可塑性樹脂の種類などを種々変えて、実施例1と
同様に熱可塑性樹脂の二軸配向フイルムとした。有機微
粒子の構造、粒子の平均粒径、含有量の全てが本発明の
範囲内であるものは、走行性と耐摩耗性が共に良好であ
った(実施例2〜6)。
しかし、有機微粒子の構造、粒子の平均粒径、含有量
のいずれかが本発明外であるときは、走行性と耐摩耗性
を共に満足させることはできなかった(比較例1〜
6)。
[発明の効果] 本発明フイルムは、熱可塑性樹脂に、特定の構造を持
った特定の粒径の有機微粒子を特定量含有させたフイル
ムとしたので、粒子と熱可塑性樹脂が特異な相互作用を
示し、フイルムの表面構造が特異なものとなるので、次
の如き優れた効果を奏するものである。
フイルムの加工工程で、加工速度が増大してもフイ
ルム表面が削られることがないため、削れ物によるトラ
ブルがなくなる。
走行性がよく、透明性もよいので包装材料用、工業
材料用として好適である。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セミIPN(semi−interpenetrating polyme
    r networks)構造を持った、平均粒径が0.01〜3μmの
    有機微粒子を0.001〜5重量%含有することを特徴とす
    る熱可塑性樹脂フイルム。
  2. 【請求項2】熱可塑性樹脂フイルムがポリエステルフィ
    ルムであることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹
    脂フイルム。
  3. 【請求項3】セミIPN(semi−interpenetrating polyme
    r networks)構造を持った有機微粒子の非架橋高分子成
    分がポリスルフォン系化合物からなることを特徴とする
    請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂フイルム。
JP13654389A 1989-05-29 1989-05-29 熱可塑性樹脂フィルム Expired - Lifetime JP2616007B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13654389A JP2616007B2 (ja) 1989-05-29 1989-05-29 熱可塑性樹脂フィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13654389A JP2616007B2 (ja) 1989-05-29 1989-05-29 熱可塑性樹脂フィルム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH03742A JPH03742A (ja) 1991-01-07
JP2616007B2 true JP2616007B2 (ja) 1997-06-04

Family

ID=15177658

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP13654389A Expired - Lifetime JP2616007B2 (ja) 1989-05-29 1989-05-29 熱可塑性樹脂フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2616007B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2963949B2 (ja) * 1990-10-08 1999-10-18 東洋紡績株式会社 配向ポリエステルフィルム

Also Published As

Publication number Publication date
JPH03742A (ja) 1991-01-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0755975B1 (en) A polyester composition and film
JP2616007B2 (ja) 熱可塑性樹脂フィルム
JP2615963B2 (ja) 二軸配向ポリエステルフイルム
JPH0781021B2 (ja) 二軸配向ポリエステルフイルム
JP3254930B2 (ja) ポリエステルフイルム
JP2765196B2 (ja) 二軸配向積層ポリエステルフイルム
JP2597803B2 (ja) 二軸配向ポリエステルフィルム
JP2936711B2 (ja) 二軸配向ポリエステルフイルムおよびその製造方法
JP2513826B2 (ja) 二軸配向ポリエステルフィルム
JP2525449B2 (ja) 二軸配向ポリエステルフイルム
JP3257242B2 (ja) 二軸配向積層ポリエステルフィルム
JPH05124100A (ja) 二軸配向ポリエステルフイルム
JP3044765B2 (ja) ポリエステルフィルム
JP7326929B2 (ja) ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物
JPH06104731B2 (ja) 二軸配向ポリエステルフイルム
JP3254915B2 (ja) ポリエステルフイルム
JP3243958B2 (ja) 磁気記録媒体用フィルム
JPH01292059A (ja) ポリエステル組成物およびそれからなるフィルム
JPH0751637B2 (ja) 二軸配向ポリエステルフィルム
JP3629822B2 (ja) ポリエステル組成物およびフイルム
JP2527259B2 (ja) 二軸配向ポリエステルフィルム
JPH0571614B2 (ja)
JP3254929B2 (ja) ポリエステル組成物およびそれからなるフイルム
JP2021059649A (ja) ポリエステル樹脂組成物
JP2525396B2 (ja) 二軸配向熱可塑性樹脂フィルム