JP2614524B2 - 誤り訂正符号の復号方法 - Google Patents

誤り訂正符号の復号方法

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JP2614524B2
JP2614524B2 JP2049567A JP4956790A JP2614524B2 JP 2614524 B2 JP2614524 B2 JP 2614524B2 JP 2049567 A JP2049567 A JP 2049567A JP 4956790 A JP4956790 A JP 4956790A JP 2614524 B2 JP2614524 B2 JP 2614524B2
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正良 大橋
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、誤り訂正用線型符号器によって符号化され
て送信された系列に対し、受信側で、各々の復号情報ビ
ットの誤り率を最小化する誤り訂正符号の復号方法に関
するものである。
(従来技術) 従来伝送路上で生じる誤りを効果的に取り除いて信頼
度の高い通信を行う手法の一つとして、あらかじめ送信
側において、ある一定の冗長度を含んだ符号化を行い、
受信側では逆にこの符号化された受信系列から、送信側
で送信されたと判断される情報系列の推定を行うことに
より、伝送路で生じた誤りを訂正する方法がある。これ
はFEC(Forward Error Correction)または前方誤り訂
正方式と呼ばれている。
FECに用いる符号化の方法としては大別してブロック
符号化によるものと、たたみ込み符号化によるものが存
在する。このうち、たたみ込み符号化は一定長のシフト
レジスタを用いて情報系列を連続的に符号化してゆく方
式である。一方、ブロック符号化は、ある一定長の情報
系列をひとまとめとして符号化を行う方式である。次
に、これらの符号に対する代表的な復号方式としては、
ビタビ復号方式が存在する。ビタビ復号方式は、一般に
はトレリス構造を有する線型符号に対して適用可能であ
るが、現在は主にたたみ込み符号に対して適用されてい
る。ビタビ復号は、記憶のない雑音通信路における有限
状態離散時間マルコフ過程の下で状態系列の最尤推定を
行うアルゴリズムであり、観測系列全体が与えられた下
では最も尤度が大きい状態系列すなわち符号語が必ず選
び出される。従ってビタビ復号はこの意味において、最
適な復号アルゴリズムであるといえる。ビタビ復号はま
た軟判定復号も比較的簡単に行えることから、現在衛星
通信システムを中心としてたたみ込み符号に対する有効
な復号アルゴリズムとして広く普及している。このビタ
ビアルゴリズムについては文献(1)(G.D.Forney,J
r.:“The Viterbi Algorithm",Proc,of IEEE,Vol.61,N
o.3,pp.268−278,March 1973)に詳しく述べられてい
る。
一方、符号語としての誤り率を最小化するビタビ復号
に対し、符号語を構成するシンボルまたはビット毎の誤
り率を最小化する復号アルゴリズムが存在する(以下こ
のアルゴリズムを最小ビット誤り復号アルゴリズムと呼
ぶ)。以下このアルゴリズムについて簡単に説明する。
ここで表記は文献(1)に従う。符号拘束長をv時刻
kにおける送信情報をUk,その直前の符号器の状態をxk
=(Uk-1,Uk-2,…,Uk-v)とする。また時刻0からkま
での受信側での観測系列をZo k=(Z0,Z1,…,Zk)、これ
に対応した時刻0の初期状態から時刻kの終端状態まで
の状態系列をX0 k+1=(X0,X1,…,Xk+1)とする。X0 k+1
に対する尤度は, で与えられる。
但しξ=(xi+1,xi)は時刻iの遷移を、また、P
(%)は条件突き確率をそれぞれ表す。
符号語は符号化系列の最終時刻である時刻Kの直後、
ある状態XK+1で終端されるとする。その間の観測系列z
(=z0 K)とXkとの結合確率は、 P(Xk,Z)=P(xk,z0 k-1)P(zk K|xk) …(2) で与えられるが、これは、 の繰り返し演算で求められる。S(uK)を時刻kにおけ
るxk+1のはじめの成分がuK∈{0,1}であるような状態
の集合とする。このとき を計算することで時刻kの情報ビットukの結合確率が求
まる。P(uk=0,z)>P(uk=1,z)ならばuk=0、P
(uk=0,z)<P(uk=1,z)ならばuk=1、P(uk=0,
z)=P(uk=1,z)ならばランダムにuk=0またはuk
1を出力することで復号を行う。なおこの最小ビット誤
り復号アルゴリズムについては文献(2)(L.R.Bahl,
J.Cocke,F.Jelinek and J.Raviv:“Optimal Decoding o
f Linear Codes for Minimizing Symbol Error Rate",I
EEE Trans.Inf.Theory,Vol.IT−20,pp.284−287,March1
974)に詳しく述べられている。最小ビット誤り復号ア
ルゴリズムはビット誤り率特性において最も優れた特性
を有すると同時に各ビットまたはシンボル単位にその復
号結果の確かさの尺度を与えられるという長所がある
が、反面、以下に述べるように本質的な欠点をいくつか
持っているためビタビ復号にとって代わる復号方式とは
なっていない。
ビタビ復号と比較を行ったとき、最小ビット誤り復号
アルゴリズムの持つ欠点としては、復号中にビタビ復号
で必要な前方繰りかえし演算の他に後方繰りかえし演算
が要求されるところにある。しかも後方繰りかえし演算
の対象となる受信系列は、常に復号対象としているビッ
トの時刻から受信後の終わりまでの区間であるために、
復号にあたっては、必ず符号語全体を受信し終わった後
に前方および後方繰りかえし演算を行わねばならない。
一方、ビタビ復号の場合には、前方繰りかえし演算のみ
で復号を行うことが可能である。しかもビットまたはシ
ンボルが受信される毎に前方繰りかえし演算を続けてゆ
けばよいので、一括して受信系列が与えられる必要もな
く、連続モードでの復号が可能である。
また、最小ビット誤り復号の場合、さらに復号に際し
て大きな記憶領域が必要となること、積和演算の繰りか
えしが多数必要になる等の欠点がある。これらの理由に
より現在ではビタビ復号が特にたたみ込み符号の復号用
に幅広く用いられるすう勢にある。
(発明が解決しようとする課題) 最小ビット誤り復号アルゴリズムは従来技術の項でも
述べたように、演算量が多大な上、復号に要求される記
憶領域が非常に大きくなる。文献(2)に従えば、拘束
長v、符号化率R=k0/n0のたたみ込み符号を用い、GF
(2)上で定義された符号長をτとすると、前方繰りか
えし演算に の記憶領域が要求される。また後方繰りかえし演算も、
直接演算を行えば前方繰りかえし演算と同じだけの記憶
領域が必要となるため、総数で だけの記憶領域が必要となる。例えば符号長をτ=1000
ビット、v=6、R=1/2、1個の記憶領域に32ビット
が割当てられるとすると総記憶領域は約4Mbitとなり復
号器にかかる負担は大きい。また実際に前方および後方
繰りかえし演算を行う際には、構成されるトレリスに応
じ、初期処理、定常処理、終端処理とその演算処理を変
更する必要があるという欠点を持っている。
次に最小ビット誤り復号アルゴリズムを実際に実行す
る際には尤度を実数値で取り扱うため、実数間での乗算
が必要になる。その結果ブロック長Lが長くなると尤度
の値が極度に増加したり、極度に減少して演算器の演算
可能範囲を逸脱する可能性が非常に高くなる。また本ア
ルゴリズムは前述の如く結合確率P(uk,z)を求めてい
るためにuk=0の確率とuk=1の確率を加えても1とは
ならない。従ってこの情報だけからは客観的な信頼度が
得られ難いという欠点を有している。
さらに最上ビット誤り復号アルゴリズムを用いて復号
を行う際には、適切な復号用の枝メトリックを用いるこ
とが望ましいが、そのためにはあらかじめ通信路の遷移
確率を知っておく必要がある。通信路の状態が既知であ
る場合には問題は生じないが、そうでない場合には適当
な通信路の状態を仮定するか、もしくは他の何らかの手
段を用いて遷移確率の情報を得なければならない。
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するため
になされたもので、効率的にビット誤り率を減少するこ
とのできる誤り訂正符号の復号方法を提供するものであ
る。
(課題を解決するための手段) この目的を達成するための本発明の方法は、構成にお
いて次のような特徴を有している。
すなわち、本発明の第1の特徴は、符号語がある長さ
で終端された線型符号にたいして最小ビット誤り復号ア
ルゴリズムを適用する際に、前方繰りかえし演算に要求
される記憶領域のみを用いて、前方繰りかえし演算なら
びに後方繰りかえし演算を1度づつ行って、効率的に最
小ビット誤り復号アルゴリズムを実行し、メモリの削減
を図るものである。
本発明の第2の特徴は、前方繰りかえし演算で得た値
の逆数を後方繰りかえし演算の初期値として用いること
により最大事後確率P(uk|z)を求められるようにした
ことにある。
本発明の第3の特徴は、メトリックテーブルの規格化
を行うことにより演算器のオーバーフローを避けること
にある。
本発明の第4の特徴は、軟判定復号を行う場合に受信
された軟判定重み情報を利用して通信路の遷移確率を推
定し、この情報を用いて適切な枝メトリックを選び出
し、これを復号演算に用いることで精度の良い最小ビッ
ト誤り復号を行うことにある。
(発明の構成および作用) 以下具体例により本発明の構成および作用を詳細に説
明する。なお本発明の実施例は、簡単のため符号化率R
=1/2のたたみ込み符号を対象として述べる。
(実施例1) 第1図は本発明を用いて構成した最小ビット誤り復号
器である。図において受信された軟判定受信系列100
は、一旦受信系列RAM110中に格納される。この格納デー
タは、必要に応じて読み出され、ROMアドレス演算部142
を通じてメトリック用ROM11の適当な番地がアクセスさ
れる。メトリック用ROM11の中には枝メトリックの値が
格納されており、受信データと、演算対象となるトレリ
スの上の枝に応じた適切なメトリック値がマルチプレク
サ130を通じて乗算器に与えられる。
復号過程における途中の計算結果は、全で復号用演算
RAM112中に格納されている。復号を進める際には、同RA
M112よりデータを読み出し、前述の枝メトリック値との
積和演算を乗算器140、加減算器141、アキュムレータ12
2によって行う。アキュムレータ122に残された演算結果
は復号用演算RAM112に格納されるか、あるいは必要に応
じて後に続く積和演算に利用される。またアキュムレー
タ122の内容の正負に応じてステータスレジスタ123の内
部のフラグが変化する。アキュムレータ122中に最終演
算結果が得られた時には、ステータスレジスタ123のフ
ラグ内容が復号結果格納RAM113中に書き込まれる。受信
符号語に対する復号が全て終了したならばこの格納デー
タが読み出され、復号データ101が得られる。
次に本復号器を用いて実際に復号が行われる過程が本
発明の中心であるので、以下これについて詳述する。
ここで復号対象とするたたみ込み符号は、符号化率R
=1/2拘束長v=2の非組織符号とし、符号語長はL=
6枝とする。但し、この中には符号語を終端するための
2枝が含まれている。第2図にたたみ込み符号器の結線
図を、第3図にはこの符号器によって構成されるトレリ
ス線図を示す。第3図において、状態から状態への遷移
は一定時刻毎に生じるとし、時刻tの遷移が生じる直前
の状態の持つ時刻を状態時刻t-と呼ぶこととする。各状
態は符号器のシフトレジスタの状態に対応しており、0
0、01、10、11の4状態を有する。枝上には符号化され
た枝コードが示されている。また図中実線の枝は情報ビ
ット入力が0、点線は情報ビット入力が1であることを
示している。
表1.1は、復号を行うための最小ビット誤り復号用演
算RAM112の構成および初期状態の内容を示している。同
RAMは2v行L+2列の2次元配列の構造を持ち、i行j
列のRAMの内容をΓ(i,j)で示す。本発明の例ではv=
2 L=6であるので0≦i≦3、0≦j≦7となる。
またi=0、1、2、3に対応する符号器の状態は00、
10、01、11とする。
復号は大別して、前方繰りかえし演算と後方繰りかえ
し演算に分けられる。
前方繰りかえし演算においては、まず演算RAM112の内
容をゼロクリアした後、初期状態での状態時刻0-の状態
00の確率(1)をΓ(0,0)に書き込む。これが表1.1に
示された状態である。ここで表の添字jは状態時刻j-
対応している。
続けて1-〜5-にわたる状態時刻j-の状態の確率P(xj
-,Z0 j-1)を以下のように1≦j≦5までの繰りかえし
演算で求め、これをΓ(xj -,j)の値とする。
状態時刻j- 状態00:Γ(0,j)=Γ(0,j−1)λi-1(00)+Γ
(2,j−1)λj-1(11) 状態10:Γ(1,j)=Γ(0,j−1)λj-1(11)+Γ
(2,j−1)λj-1(00) 状態01:Γ(2,j)=Γ(1,j−1)λj-1(01)+Γ
(3,j−1)λj-1(10) 状態11:Γ(3,j)=Γ(1,j−1)λj-1(10)+Γ
(3,j−1)λj-1(01) ここでλ(00)とは時刻jにおける枝コード00の枝
に対応する枝メトリックを示している。以上のステップ
は、復号器中において次のように行わわれる。
第1にアキュムレータ122の内容をクリアする。続い
て時刻j−1における受信語を受信系列格納RAM110より
取り出し、ROMアドレス演算部142内にラッチしておく。
マルチプレクサ130はROM111からの入力を選択するよう
にしておく。
第2に以下の様にして状態00から状態11に至るまでの
状態時刻j-に対するΓの更新を行う。状態00を例にとれ
ば、まずRAM112からΓ(0,j−1)を取り出しレジスタ1
21にロードする。同時にROMアドレス演算部142を通じメ
トリック用ROM111よりλj-1(00)を求める。次のタイ
ミングで乗算器140は両者間の乗算を行い、その結果Γ
(0,j−1)λj-1(00)がアキュムレータ122に残
る。次のタイミングでRAM112よりΓ(2,j−1)を取り
出し同じくレジスタ121にロードする。このとき、同時
にROMアドレス演算部142を通じメトリック用ROM111より
λj-1(11)がロードされる。次のタイミングでΓ(2,j
−1)λj-1(11)が乗算器140により求められ、最終
的に加減算器141で加算が行われてアキュムレータ122内
にΓ(0,j−1)λj-1(00)+Γ(2,j−1)λj-1
(11)の値が残る。最後にこの計算値がRAM112内のΓ
(0,j)に格納され、アキュムレータ122はクリアされ
る。この動作を全ての状態に対して行うことにより、時
刻jにおける受信語に対する演算が終了したので、引続
き時刻j+1に対応する受信語を受信系列格納RAM110よ
り取り出し、同様の動作を繰り返す。
前方繰りかえし演算が終わった時点でのRAM112の内容
を表1.2に示す。図中斜線を引いた部分が計算で行われ
た部分である。なお斜線を引いた部分で0が書き込まれ
ているのは演算結果が必ず0であることを示している。
このことは特に例外処理を行うことなく初期初期が行わ
れたことを示している。また特別な終端処理も特に行わ
れていないが、後に示すように後方繰りかえし演算終了
時には自動的に等価な処理が行われることになる。
続いて後方演算を行う。まず演算RAM112においてΓ
(0,7)=1において後方探索の初期値をセットする。
表1.3にこの時点のRAM112の状態を示す。0≦j≦5ま
では前方繰りかえし演算で得られた結果が格納されてい
る。なお、後方繰りかえし演算においては状態時刻j-
対する状態xj-の演算結果は Γ(xj -,j+1)に格納される。
続けて、5-〜1-にわたる状態時刻j-の状態の確率P
(zj 5|xj -)を以下のように計算した後、前に求めたP
(xj -,z0 j-1)との積をとりP(xj -,z)を求める。
状態時刻j- 状態00:Γ(0,j+1)=Γ(0,j+2)λj(00)+
Γ(1,j+2)λj(11) 状態10:Γ(1,j+1)=Γ(2,j+2)λj(01)+
Γ(3,j+2)λj(10) 状態01:Γ(2,j+1)=Γ(0,j+2)λj(11)+
Γ(1,j+2)λj(00) 状態11:Γ(3,j+1)=Γ(2,j+2)λj(10)+
Γ(3,j+2)λj(01) ある状態時刻j-に対して実際に復号器内で演算が行わ
れる過程は前方繰りかえし演算と全く同様であるので省
略する。j-における上記繰りかえし演算が終了した時点
で、Γ(xj -,j)には状態時刻j-の状態xj -の前方繰りか
えし演算結果、Γ(xj -,j+1)には同状態時刻の状態
xの後方繰りかえし演算結果が格納されている。Γ(xj
-,j)Γ(xj -,j+1)を計算することによりP(xj -,
z)を得る。この後、時刻j−1の情報ビットが0であ
るような枝が繋がっている状態P(xj -,z)の和、およ
び情報ビットが1であるような枝が繋がっているP(xj
-,z)の和をそれぞれ求め、両者の大小を比較し、確率
の大なる方を選択することにより時刻j−1における復
号を行うことができる。この動作を時刻0まで繰りかえ
せば全ての受信語に対する復号が完了する。ここで後方
繰りかえし演算において、状態時刻5-ではΓ(2.6),
Γ(3,6)が0となり、この結果P(x5 -=2,z)、P(x
5 -=3,z)がそれぞれ0となる。このことは特に例外処
理を行うことなく終端処理が行われたことを示してい
る。また同様にP(x1 -=2,z)、P(x1 -=3,z)もそれ
ぞれ0となり、初期処理も完了している。
本実施例の符号器を用いる場合には第3図のトレリス
線図より明らかなように状態00,01には情報ビット=0
の枝の先端が、状態10,11には情報ビット=1の枝の先
端が対応している。すなわちRAM112においてi=0,2が
情報ビット=0の枝の先端に、i=1,3が情報ビット=
1の枝の先端に対応する。これらより復号の実際例は以
下のように行われる。
まずアキュムレータ122をクリアし、マルチプレクサ1
30をRAM112に選択しておく。RAM112よりΓ(0,j+1)
をレジスタ121にロードする。続いて同じくRAM112より
Γ(0,j)を読み出し、レジスタ121との間で乗算を行
い、その結果をアキュムレータ122に格納する。次にRAM
112より(1,j+1)をレジスタにロードする。続いて同
じくRAM112よりΓ(1,j)を読み出し、レジスタ121との
間で乗算を行うが、この結果は情報ビット=1に対応す
る状態に対する結果であるので、加減算器141によりア
キュムレータ122から乗算結果を減じる演算を行う。さ
らに次のi=2の状態に対しては乗算を上記と同様に実
施した後、加減算器141によりアキュムレータ122に乗算
結果を加える。最後にi=3の状態に対して加減算器14
1を用いて減算処理を行う。これらの演算を行った結果
は、P(uk=0,z)−P(uk=1,z)となっている。すな
わちこれは、時刻jにおける情報ビット=0の尤度から
情報ビット=1の尤度を減じたものであり、この値が正
ならば0を、負ならば1を、0ならばランダムに0また
は1を復号結果とする。この場合、アキュムレータ122
の内容の正負の情報はステータスレジスタ123に格納さ
れているので、これを復号結果格納RAM113に書き込む。
以上の演算処理により時刻j−1における復号が完了す
る。この時点でj列の前方繰りかえし演算結果は不要と
なるので、これを時刻j−2の後方繰りかえし演算用の
記憶領域として使用する。この演算、記憶領域の使用を
繰りかえし行い、時刻0に至るまでの復号が完了したな
らば、最終的に端末からの要求により復号結果格納RAM1
13の情報を復号データ101として出力する。
なお本例では、メモリの最初と最後の列に固定した初
期値を書き込んでいるが、オペレーションの工夫により
この2列は省略が可能である。この時には2v行列の2次
元配列の構造を持ったメモリで本発明が実施できる。
(実施例2) 第4図は本発明に基づく第2の実施例を示した図であ
る。第1図と異なる点は、受信語を格納するRAM410から
のMSBを除く軟判定重みデータがマルチプレクサ431を通
じて加減算器441に接続されていることと、アキュムレ
ータ422の演算結果がレジスタ424に格納されることであ
る。このレジスタ424はROMアドレス演算部422へ与える
値を保持する機能を持つ。またメトリックROM411中には
異なる伝送路の状態にして最適化されたメトリックテー
ブルが複数個格納されている。このテーブルの1例を示
したのが表2.1である。
表2.1はES/N0(伝送路における1ビットあたりのエネ
ルギ/片側雑音電力密度)=0.0dBの伝送路を想定して
作られた8値軟判定用のメトリックテーブルROMの内容
を示している。表2.1においてアドレスは8ビットであ
り、うち上位2ビットが復号器が想定するトレリス枝上
の枝コード、下位3ビット×2がそれぞれの枝コードに
対応する8値軟判定受信データである。
表2.2 (ES/N0=0.0dB) 軟判定受信領域 領域確率 0 (011) 0.4658 1 (010) 0.1948 2 (001) 0.1591 3 (000) 0.1017 4 (100) 0.0509 5 (101) 0.0199 6 (110) 0.0061 7 (111) 0.0017 例えば枝コードが00で軟判定受信ビット1、2がそれ
ぞれ000、001のとき、表2.2の領域遷移確率を参照して
枝メトリック値は 0.1017×0.1591=0.01618 となる。この値が本来の枝メトリック値である。しかし
ながら、このような小さな値を枝メトリック値として採
用し、乗算の実行を繰りかえすと計算がアンダーフロー
する可能性が高い。そこで本来の枝メトリック値全てに
ある一定の値をあらかじめ乗算しておいて復号を行う
と、アンダーフローおよびオーバーフローの問題を解決
することができる。そこで領域確率そのものを確率変数
とみてその平均をとると、この場合0.2936が得られる。
従って受信ビット1ビットあたりメトリック値を0.2936
-1=3.4060倍あればメトリックの平均増分は1となり発
散を抑制できる。ここでは受信2ビットの規格化のため
本来のメトリック値を3.40602=11.6008倍した値を枝メ
トリックデータとして用いる。ROM411中には各種のES/N
0値に応じたこのような枝メトリックテーブルが複数用
意される。
次に第4図に基づき動作の概要について述べる。まず
受信された軟判定受信系列400は一旦受信語規格RAM410
中に格納される。初期値としてマルチプレクサ431はRAM
410側に接続されており、アキュムレータ422の内容は0
にリセットされている。
受信系列格納RAM410中に格納された軟判定データのう
ちMSBを除いた受信データ重み情報は順にマルチプレク
サ431を通じて加減算器441に入力され、アキュムレータ
422の内容と加算され、その結果がアキュムレータ422に
残る。この演算を受信したデータ全てについて実施すれ
ば、受信語全てにわたる受信軟判定重みの総和がアキュ
ムレータ422に得られる。これをレジスタ424に格納す
る。軟判定の重み分布は、伝送路の雑音状態と密接に関
連しているため、レジスタ424の値から伝送路の状態を
推定することが可能である。ROMアドレス演算部422は、
この情報を受けて伝送路の雑音状態に最も整合したメト
リックテーブルを複数の伝送路用に最適化されたグルー
プの中から選び、そのROMアドレスをROM411に与える。
この後マルチプレクサ431は乗算器440側に接続され
る。またレジスタ424の内容は受信系列全体が復号され
るまでの間保持される。
以降最小ビット誤り復号アルゴリズムに基づく復号動
作は実施例1の場合と同様である。なお本実施例では、
受信軟判定重みの総和より伝送路状態を推定して、その
後、その伝送路に最適化されたメトリックテーブルを選
ぶ手段を述べたが、メトリックテーブル一つしが存在せ
ず、規格化を各符号語の復号毎に行う場合には、受信軟
判定重みの分布を求め、この分布より最適な規格化の値
を決定して復号を行えば、効果的にオーバーフローおよ
びアンダーフローを防止することができる。
(実施例3) 第5図は最小ビット誤り復号アルゴリズムを用いて、
復号情報ビットをそれぞれ0、1とした時の確度情報を
与える復号器の構成を示したものである。同図の動作に
ついて説明する。
前方繰りかえし演算および後方繰りかえし演算によっ
て状態時刻j-での状態xj -に対する前方繰りかえし演算
結果Γ(xj -,j)と同状態時刻での後方繰りかえし演算
結果Γ(xj -,j+1)が得られるまでの過程は実施例1
と同一である。全てのxj -について上記のΓ(xj -,j)と
Γ(xj -,j+1)が求められたならば、時刻j−1の情
報ビットが0であるような枝が繋がっている状態P(xj
-,z)の和を求め、P(uj-1=0,z)としてこの値を確度
情報納RAM513に保存する。全く同様にして、P(uj-1
1,z)をRAM513に保存する。このための積和乗算が行わ
れる過程は実施例1と同一である。全ての時刻にわたり
確度情報が計算され、RAM513に格納されたならばこの値
は確度情報501として端末側にわたされる。
(実施例4) 表3.1と3.2は本発明に基づき、第5図の回路構成を用い
て、復号中にuk=0とuk=1をとる確率の和が1となる
規格化が自動的に行われるような第4の実施例を示した
ものである。
以下実施例3と異なる点について述べる。本実施例で
は前方繰りかえし演算をj=6のレベル、あるいは少な
くともΓ(0,6)の値が求まるまで行う。j=6に対す
る前方繰りかえし演算が終了した時点のRAM112の状態を
表3.1に示す。Γ(0,6)にはP(z)の値が格納されて
いる。
次にP(z)から、除算を行うことにより1/P(z)
の値を求め、Γ(0,7)に格納する。Γ(0,7)を初期値
として後方繰り返し演算を開始する。この時点のRAM112
の状態を示したのが表3.2であるj=6の値は不要なの
で、この領域を状態時刻5-に対する作業領域とし、実施
例3と同様に後方繰りかえし演算を実行する。これによ
り時刻jの復号結果として得られる確度情報はP(uj,
z)/P(z)=P(uj|z)となる。これはuj=1である
確率と、0である確率の和が常に1となることを意味す
る。従って特に規格化等を施すことなく、直ちに当該ビ
ットの信頼度を評価することが可能である。また本演算
処理によってトレリスの初期処理、終端処理に影響が及
ぶことはない。
(応用例) 次に本発明の応用例について述べる。実施例1,2は最
小ビット誤り復号アルゴリズムに基づいた、情報ビット
を決定する復号器を、実施例3は同アルゴリズムを用い
て情報ビットを決定したとき、その確度情報を与える復
号器を示した。この2者は容易に組み合せることができ
る。その際には、情報ビットを決定した上にどの程度当
該ビットに関する確度が高いかの情報を含んだ復号器を
構成することができる。また本実施例では簡単のため、
符号化率R=1/2の時不変たたみ込み符号による実現例
のみを示したが、他の符号化率を有するたたみ込み符号
や、時変のたたみ込み符号、さらにはパンクチャド符号
に対しても本発明は全く同様に適用できる他、線型ブロ
ック符号に値しても本発明の適用は容易である。このよ
うに本発明は、符号語が終端されていること以外にはほ
とんど符号に対する拘束が存在しない。従って、既に存
在している通信システムに対しても、システムの符号仕
様、送信側の装置に何ら変更を行うことなく、受信側の
装置変更のみで本発明の実現が可能であるので、本発明
は極めて容易、円滑に既システムに導入できる。
また、本発明による誤り訂正復号方式は、同一発明者
が同日出願している「二重復号方式」の最小ビット誤り
復号器に適用すれば極めて有効である。
(発明の効果) 本発明方法を用いると、受信系列の全ての時刻に対し
て同一のアルゴリズムを繰りかえし行うだけで復号が行
えるため、ハードウェア実現が容易になる。また本発明
による復号方法は、本来なら前方繰りかえし演算、後方
繰りかえし演算に別々のメモリを用いる必要があったも
のが一個のメモリにより復号を行うことができるのでメ
モリの削減効果が大きい。また復号に用いるメトリック
テーブルの規格化を行うことにより、実数積和演算に伴
うレジスタのオーバーフローやアンダーフローの発生を
抑えることができる。さらに本発明により、最小ビット
誤り復号アルゴリズムを実施する上で、伝送路の状態に
最も合致したメトリックのパラメータを選び出すことが
できるという効果を持つ。さらに本発明では全復号ステ
ップ中に除算を1回加えるだけで、任意の時刻iにおけ
る復号結果の信頼度情報P(ui|z)を正しく得られる。
従ってこの値に基づき消失判定や軟判定情報を後段の復
号器や端末に容易に渡すことができる。本発明により実
現される復号器は、与えられた受信系列の下ではビット
誤り率を最も小さくする復号器であることが文献(1)
により明らかにされている。このような復号器の実現に
より通信の信頼性を向上させる効果は大きいと考えられ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による第1の実施例を示すブロック図、
第2図は拘束長v=2,符号化率R=1/2たたみ込み非組
織符号器の例を示すブロック図、第3図は第2図の符号
器によって構成されるトレリス線図、第4図は本発明の
第2の実施例を示すブロック図、第5図は本発明による
第3の実施例を示すブロック図である。 100……軟判定受信系列、 101……復号データ出力、 110……受信系列格納RAM、 111……メトリック用ROM、 112……復号用演算RAM、 113……復号結果格納RAM、 120……アドレス用補助レジスタ、 121……乗算器入力用レジスタ、 122……アキュムレータ、 123……ステータスレジスタ、 130……マルチプレクサ、 140……乗算器、 141……加減算器、 142……ROMアドレス演算部、 200……情報ビット入力端子、 210……符号化出力端子1、 211……符号化出力端子2、 213……1タイムスロット遅延素子、 214……1タイムスロット遅延素子、 215……モジュロ2加算回路、 216……モジュロ2加算回路、 400……軟判定受信系列、 401……復号データ出力、 410……受信系列格納RAM、 411……メトリック用ROM、 412……復号用演算RAM、 413……復号結果格納RAM、 420……アドレス用補助レジスタ、 421……乗算器入力用レジスタ、 422……アキュムレータ、 423……ステータスレジスタ、 424……レジスタ、 430……マルチプレクサ、 431……マルチプレクサ、 440……乗算器、 441……加減算器、 442……ROMアドレス演算部、 450……軟判定重み情報(MSBを除く)、 451……軟判定情報(MSBを含む)、 500……軟判定受信系列、 501……確度情報系列、 510……受信系列格納RAM、 511……メトリック用ROM、 512……復号用演算RAM、 513……確度情報格納RAM、 520……アドレス用補助レジスタ、 521……乗算器入力用レジスタ、 522……アキュムレータ、 530……マルチプレクサ、 540……乗算器、 541……加減算器、 542……ROMアドレス演算部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−56208(JP,A) 特開 昭62−164321(JP,A) 特開 平2−309821(JP,A) IEEE Trans.on Inf ormation Theory,IT −20[2](1974)P.284−287

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】各トレリス上の尤度計算を作業用記憶領域
    を用いる復号演算器により受信時刻の早いビットから受
    信時刻の遅いビットの方向に前方繰りかえし演算により
    行った後に逆方向に後方繰りかえし演算を行うか、また
    は該後方繰りかえし演算を行った後に該前方繰りかえし
    演算を行うことによってビット誤りを最小とする誤り訂
    正符号の復号方法において、 前記前方あるいは後方の繰りかえし演算を前記復号演算
    器により行った際に用いた前記作業用記憶領域を逆方向
    の繰りかえし演算において再度使用して復号を行うこと
    を特徴とする誤り訂正符号の復号方法。
  2. 【請求項2】前記尤度計算に用いるための枝メトリック
    の全ての要素に、ある一定値をあらかじめ乗算して規格
    化しておくことにより、前記復号演算器のオーバーフロ
    ーおよびアンダーフローを防ぐことを特徴とする請求項
    (1)記載の誤り訂正符号の復号方法。
  3. 【請求項3】前記受信系列に対する軟判定復調データが
    与えられている場合に、該復号すべき受信系列の重み情
    報より伝送路状態を推定し、この推定値に基づいて前記
    の規格値を決定して、前記復号演算器のオーバーフロー
    およびアンダーフローを防ぐことを特徴とする請求項
    (2)記載の誤り訂正符号の復号方法。
  4. 【請求項4】前記受信系列に対する軟判定復調データが
    与えられている場合に、該復号すべき受信系列の重み情
    報より伝送路状態を推定し、この推定値に基づいて前記
    復号演算器のための適切なメトリック表を選択して、精
    度の良い復号を行うように構成されたことを特徴とする
    請求項(1)記載の誤り訂正符号の復号方法。
  5. 【請求項5】前記復号演算器によって前記前方あるいは
    後方の繰りかえし演算が終了した時点で、当該受信系列
    の生起確率の推定を行い、この値の逆数を初期値として
    前記復号演算器により逆方向の繰りかえし演算を行うよ
    うに構成されていることを特徴とする請求項(1)記載
    の誤り訂正符号の復号方法。
  6. 【請求項6】前記復号演算器によって前記前方あるいは
    後方の繰りかえし演算が終了した時点で、当該受信系列
    の生起確率の推定を行い、この値の逆数を初期値として
    前記復号演算器により逆方向の繰りかえし演算を行い、
    これによって得られる復号ビットの確度情報を出力する
    ことを特徴とする請求項(1)記載の誤り訂正符号の復
    号方法。
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