JP2614386B2 - 分水栓、その取付方法及び装置 - Google Patents

分水栓、その取付方法及び装置

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JP2614386B2
JP2614386B2 JP12501092A JP12501092A JP2614386B2 JP 2614386 B2 JP2614386 B2 JP 2614386B2 JP 12501092 A JP12501092 A JP 12501092A JP 12501092 A JP12501092 A JP 12501092A JP 2614386 B2 JP2614386 B2 JP 2614386B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、水道管など大径の流
体管に穿孔された分岐口に取付けられる耐震性に優れた
分水栓、その取付方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種の分水栓として従来から知られて
いるのは、図38に示すものである。01は分水栓で、下端
部が径大部03に形成された上下開口の中空筒状金具02
と、この筒状金具02の外周に嵌合して装着されたゴム輪
04と、座金05と、筒状金具02の上端部に形成されたおね
じ07に螺合して取付けられた締付ナット06とから構成さ
れている。径大部03は大径の環状フランジ部08となって
おり、このフランジ部08は段部09とテーパ部010を介し
て下端に形成されている。011はゴム輪04の下端に形成
された環状突部であり、また012は流体管013に穿孔され
た分岐口で、ここにはゴム輪04が締付ナット06の螺合で
中空筒状金具02により嵌入押圧されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この従来の
分水栓01と該栓を取付けた装置においては、次のような
各種の問題点があった。 (1)筒状金具02のフランジ部08の外径が分岐口012よ
りも小さいため、分水栓01に抜け出し力が働くと、ゴム
輪04のせん断力以上の抜け止め効果が期待できない。こ
れはゴム輪04にコイルスプリングを環状に埋め込んでい
ても、該スプリングが管内面側に逃げてしまい同様であ
る。 (2)流体管013に分岐口012として円孔を穿孔するか
ら、管内面の孔縁は水平面上にある円ではなく、曲面上
に作られた円であるから、分岐口012の中心部と周縁部
とでは高さに差がある。筒状金具02のテーパ部010、フ
ランジ部08は水平面上の円であるから、分岐口012にゴ
ム輪04を押圧しても圧縮状態に不均一を生じ、流体のシ
ールに不安がある。特に管軸方向の孔縁付近に問題があ
る。 (3)ゴム輪04を締付ナット06とテーパ部010、フラン
ジ部08で座金05を介して挾み込むため、座金05と管外面
が接触し、横方向の力に対して曲がり難い。 (4)地震等で地盤が変動し、分水栓01に大きな横方向
の力が加わり、傾動すると、(2)の圧縮率の不均一状
態がさらに増し、片側の圧縮力が保てない。フランジ
部08、テーパ部010と座金05でゴム輪04をサンドイッチ
状に挾持しているので、栓が動くとゴム輪04を傷つける
恐れがある。 (5)管013を穿孔するときに切粉が出る。この切粉が
管頂部に位置し、その状態で締付ナット06を締め付ける
と切粉は座金05と管013の間に挾まる。この状態でのシ
ール機構は問題ないが、地震や他工事による振動、車両
による振動等でこの挾まれた切粉が移動し、座金05の下
部から脱落した場合、切粉の厚さぶんだけ分水栓01が下
がり、ゴム輪04の圧縮状態が解放され、シール効果が大
幅に低下する。 (6)分水栓01を装着後、管内面を清掃するため清掃弾
なるものを圧力水などで送り込んだ場合、清掃弾が分水
栓01のフランジ部08に引っ掛る恐れがある。 (7)ゴム輪04を締付ナット06とテーパ部010、フラン
ジ部08で挾み込むため、筒状金具02の胴部が引っ張り荷
重を常時受ける。そのため、胴部上部のねじの関係もあ
り、胴部の厚さを大きくとらなければならない。管013
の分岐口012の口径に対して筒状金具02の内径が小さく
なるので、流量等を考慮すれば穿孔径に対する効率が悪
くなる。
【0004】そこでこの発明は、前記のような従来の問
題点を解決し、流体管に形成した分岐口からの離脱防止
力を向上することができ、分岐口の孔縁の高さの差によ
るゴム輪の圧縮率の不均一をなくすことができ、横方向
の力が加わった場合でも、柔らかく屈曲する構造にで
き、屈曲してもゴム輪を傷つけずにシール機能を低下さ
せないようにでき、しかも切粉等が管頂部に残ってもシ
ール機能に影響しないようにでき、さらに管内面に清掃
のための清掃弾を挿入しても引っ掛からないようにで
き、管の分岐口径に対する内径の比を小さくすることが
できる分水栓と、該分水栓の取付方法及び分水栓の装置
を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、この発明の分水栓は、前記のような分水栓におい
て、筒状金具を薄肉状とし、かつ該筒状金具の下端部の
内面をその外径が分岐口より大きくなるように凸状湾曲
面にした拡径部に形成している。ゴム輪の分岐口から突
出した上端部に外向き環状フランジ部を形成している。
このフランジ部の上面に当接する内向き環状フランジ部
を下端部に有する筒状の取付部材を配置している。この
取付部材のフランジ部の上面に当接する外向き環状フラ
ンジ部を前記筒状金具の上端部に形成している。前記に
おける取付部材は、内周面に止水栓取付用めねじ部が形
成された取付ナットとなっている。
【0006】またこの発明の分水栓の取付方法は、成形
面を有する傾動部材をピンで軸線に対し所定角度傾動可
能に下端部に枢支した拡径治具を具え、この拡径治具に
取付部材の下端部に形成したフランジ部と薄肉状の筒状
金具の上端部に形成したフランジ部が係合した該金具と
取付部材を嵌入するとともに、ゴム輪をその上端部に形
成したフランジ部が筒状金具の下端面に当接するように
嵌入して支持した後、この拡径治具を下端部側から流体
管に穿孔された分岐口に押し込んで圧入し、ゴム輪のフ
ランジ部が管の外周面に接し、かつゴム輪のフランジ部
の上面に取付部材のフランジ部が接した後、さらに拡径
治具の押し込みにより筒状金具の下端より下方に突出し
た傾動部材を所定角度傾動させて成形面をゴム輪の下端
から突出した筒状金具の下端部に接するようにし、しか
る後に拡径治具を回転させ、筒状金具の下端部を成形面
に沿って内側から外側に向かってラッパ状に拡径して外
径が分岐口の口径よりも大きい拡径部に成形することを
特徴とする。前記の拡径治具を下端部側から分岐口に押
し込む際、流体管にバルブを取付け、該バルブで覆われ
た流体管部に分岐口を明け、しかる後に前記バルブを開
弁状態として拡径治具を下端部側から分岐口に押し込む
ようにしてもよい。
【0007】さらにこの発明の分水栓の取付装置は、成
形面を有する傾動部材をピンで軸線に対し所定角度傾動
可能に下端部に枢支した筒状の主軸、及びこの主軸内に
収容されて傾動部材を所定角度傾動させる第1操作部材
をもち、取付部材の下端部に形成したフランジ部と薄肉
状の筒状金具の上端部に形成したフランジ部が係合した
該金具と取付部材を嵌入するとともに、ゴム輪をその上
端部に形成したフランジ部が筒状金具の下端面に当接す
るように嵌入して下端部に支持する拡径治具と、この拡
径治具を昇降可能、かつ回転可能に保持する保持部材
と、流体管に穿孔された分岐口と連通して着脱可能に取
付けられ、保持した拡径治具の下端部が分岐口に嵌入可
能なように保持部材の下端部を着脱可能に取付けた取付
部を有するバルブとを具えている。拡径治具を下端部側
からゴム輪のフランジ部が流体管の外周面に接し、かつ
ゴム輪のフランジ部の上面に取付部材のフランジ部が接
するように分岐口に押し込んで圧入可能に該拡径治具を
昇降させる第2操作部材を保持部材に設けている。拡径
治具の圧入後の押し込みにより筒状金具の下端より下方
に突出した傾動部材が第1操作部材により所定角度傾動
させられその成形面がゴム輪の下端から突出した筒状金
具の下端部に接するようになったとき、該筒状金具の下
端部を成形面に沿って内側から外側に向かってラッパ状
に拡径して外径が分岐口の口径よりも大きい拡径部に成
形可能に該拡径治具を回転させる第3操作部材を拡径治
具に設けている。
【0008】
【作用】前記のように流体管の分岐口に装着される分水
栓は、筒状金具の下端部の内面をその外径が分岐口より
大きくなるように凸状湾曲面にした拡径部に形成してい
るため、該拡径部により分岐口からの抜け出し力に対し
て強いものとなる。
【0009】
【実施例】図1はこの発明の一実施例を示す分水栓が流
体管の分岐口に装着された状態の縦断正面図である。1
は分水栓で、下端部が拡径部3に形成された上下端開口
の薄肉状の中空筒状金具2と、この筒状金具2の外周に
嵌合して装着されたゴム輪4と、このゴム輪4の上方の
筒状金具2の外周に嵌合して装着された取付部材として
取付ナット5等から構成されている。6は流体管とし
てのダクタイル管で、本管7とその内面にライニングさ
れたセメントモルタルライニング層8からなっている。
9はダクタイル管6に穿孔された分岐口である。筒状金
具2の拡径部3の内面はその外径が分岐口9より大きく
なるように凸状湾曲面に形成され、拡径部3の外縁は管
6の内面近くに位置している。
【0010】ゴム輪4の分岐口9から突出した上端部に
は外向き環状フランジ部10が形成され、分岐口9から管
6内面を臨む下端部には内向き環状突部11が形成されて
いる。取付ナット5は筒状金具2より内外径とも大きい
上下端開口の中空筒状を呈し、下端部にはゴム輪4のフ
ランジ部10の上面に当接する内向き環状フランジ部12が
設けられている。フランジ部12の内径は筒状金具2の外
径よりやや大きい程度となっている。13は取付ナット5
の内周面に形成された止水栓14取付用めねじ部である。
また、筒状金具2の上端部には取付ナット5のフランジ
部12の上面に当接する外向き環状フランジ部15が設けら
れている。
【0011】前記において、図2に示すように取付ナッ
ト5のめねじ部13の内径eは筒状金具2のフランジ部15
の外径fよりもわずかに大きく、筒状金具2の胴部の外
径dはゴム輪4の上端開口部に形成したやや大径の分水
栓案内部18の内径bよりもわずかに大きく、分岐口9の
口径Dはゴム輪4の胴部の外径aよりわずかに大きくな
っている。
【0012】図3,4は筒状金具2の下端部を拡径部3
に形成するための拡径治具を示す。この拡径治具21は
中空円筒状の主軸22と、該主軸の下端二又部にピン2
3で枢支された傾動部材としてのローラ部材24と、該
ローラ部材の上端カム部25に下端面が当接して主軸2
2内に収容された移動棒26とを有している。移動棒2
6の上方の主軸22内にはその内面に形成されためねじ
27に螺合した第1操作部材としての押しボルト28が
下端面を移動棒26の上端面に当接させて配置されてい
る。29は押しボルト28の上端面に形成された回動操
作用凹部、30は後記の拡径ハンドルを嵌めて取付ける
スプライン溝、31と図6の31aはOリング、32は
昇降用ねじ部。33は板ばねで、ローラ部材24のカム
部25のカム面25aに当接して移動棒26の下端面を
図3のようにカム面25aに当接するようにローラ部材
24を傾動可能に付勢する。また、ローラ部材24はカ
ム部25と一体となったローラ軸35と、該軸に針状こ
ろ軸受36を介して装着され、凹状に湾曲した成形面と
してのアール面37を有するローラ本体38と、ローラ
軸35の軸端に形成されたねじ部39にスラスト軸受4
0を介して螺合して取付けられたナット41とからなっ
ている。
【0013】前記のような拡径治具21は保持部材とし
ての図5,6に示すような保持カバー43内に保持され
る。保持カバー43は固定保持カバー44と昇降保持カ
バー45からなっている。固定保持カバー44の上端部
外周面に形成したおねじ46と昇降保持カバー45の内
周面に形成しためねじ48が螺合し、昇降保持カバー4
5を回動することにより昇降保持カバー45が固定保持
カバー44に対して上下に可動するようになっている。
50は両保持カバー44,45内に移動可能に配置され
た本体で、この本体50の下端部には主軸22を摺動自
在に保持する保持部52が設けられ、該保持部には分水
栓1の取付ナット5のめねじ部13に螺合して取付けら
れる固定ボルト53がボールプランジャー54によって
取付けられている。56,57は保持部52に設けられ
たシール部材、58は固定保持カバー44の下端拡開部
の頂壁内面に設けられたシール部材である。また、本体
50の上端部にも主軸22を摺動自在に保持する保持部
60が設けられている。61は昇降保持カバー45の上
端部に取付けられた第2操作部材としての締付ハンド
ル、62はスラストベアリング、63はスラストベアリ
ング64を介して取付けられた引上げナットで、主軸2
2のねじ部32に螺合されている。65は引上げナット
63の回転止めボルト、66は主軸22のスプライン溝
30に嵌入して取付けられた第3操作部材としての拡径
ハンドルである。
【0014】前記分水栓1を流体管6の分岐口9に対
し、不断水下で取付ける方法を以下に説明する。
【0015】まず、図5に示すようにバルブ68を流体管
6にボルトナット69で締め付けて固定する。バルブ68の
上部に図示しない公知の穿孔機を取付けて管6に穿孔
し、分岐口9を明ける。そしてバルブ68の弁体70を閉に
した後、前記穿孔機をバルブ68の上部の螺合部から取り
外す。
【0016】拡径ハンドル66を回して引上げナット63に
対して拡径治具21を上げ、また締付ハンドル61を回して
昇降保持カバー45を固定保持カバー44に対してその上限
に位置するまで上げる。しかる後、取付ナット5内に筒
状金具2を、フランジ部12とフランジ部15が係合し合う
ように預け、ナット5のめねじ部13に固定ボルト53を螺
合して筒状金具2を締め付ける。そのうえで固定ボルト
53の上部を本体50の下端凹部に挿し込むと、固定ボルト
53の上部に切ってある溝にボールプランジャー54のボー
ルが入る。これにより固定ボルト53は本体50と一体化す
る。次に、拡径治具21のローラ部材24を直立にして移動
棒26を押しボルト28で押し固定する(図4)。押しボル
ト28の操作は拡径治具21の主軸22の上端開口から図示し
ない操作片を入れ、凹部29に係合させて行う。前記固定
後、ゴム輪4を図6のようにナット41に挿し込む。次
に、引上げナット63を回転止めボルト65で締め付けると
ともに、バルブ68の上部に固定保持カバー44の下端拡開
部を螺合により取付ける(図5)。
【0017】締付けハンドル61を回転させながら固定保
持カバー44に対して昇降保持カバー45を下降させると、
本体50は固定保持カバー44の下端より突出し、分岐口9
にゴム輪4が入り、なおも締付けハンドル61を回転させ
ると、筒状金具2の胴部下部がゴム輪4を押し拡げなが
ら降下する。ゴム輪4のフランジ部10とナット5のフラ
ンジ部12が接しても、なおゴム輪4を強く加圧するまで
締め付ける。これによりゴム輪4の環状突部11がそれま
での内向きから外向きに位置が反転し、また、ゴム輪4
の圧入により筒状金具2の外周面とゴム輪4間、分岐口
9の口縁とゴム輪4間のシールが保たれる。次に、拡径
ハンドル66を回転させながら拡径治具21を降ろし、ピン
23が筒状金具2の下端まで降りたところで拡径ハンドル
66の回転を止める(図11)。
【0018】押しボルト28を緩めると、板ばね33の加圧
でローラ部材24はピン23を中心に少し傾斜する(図
7)。そして、再び、押しボルト28を締め付けると、移
動棒26の下端面とカム部25のカム面25aが当接してロー
ラ部材24は一定の傾斜角で固定される(図8)。
【0019】拡径ハンドル66を反転させると、拡径治具
21は昇降用ねじ部32のピッチ分だけ上昇する。拡径ハン
ドル66を回転させながら拡径治具21を上昇させると、筒
状金具2の下端部とローラ部材24のローラ本体38のアー
ル面37が接触する。このときからローラ本体38自体もロ
ーラ軸35の回りを回転する。さらに、拡径ハンドル66を
回転させながら上昇させると、徐々に筒状金具2の下端
部がローラ本体38のアール面37に沿って内側から外側に
向かってラッパ状に拡径される(図9)。
【0020】さらに、回転させながら上昇し続けると、
筒状金具2の下端部はローラ本体38のアール面37に沿っ
て拡径が進み、最後にはゴム輪4下部の環状突部11に軽
く沿った状態になる。この状態で上昇を止める。このと
きラッパ状に拡径された筒状金具2の下端部の外径は管
6の分岐口9の口径よりも大きくなっている。これで回
転止めボルト65を緩めて拡径ハンドル66と引上げナット
63を同時に回転すると、ローラ本体38のアール面37と接
触した筒状金具2の下端部の内面は凹凸がなく滑らかな
凸状湾曲面の拡径部3となり、成型は完了する(図1
0)。
【0021】このような状態の後、拡径治具21、固定ボ
ルト53等の止水部分を除いた保持カバー43をバルブ68か
ら外すとともに、このバルブ68も外す(図12)。さら
に、固定ボルト53を外す(図13)。
【0022】この状態の後、筒状金具2のフランジ部15
の上面にパッキン72を入れるとともに、拡径治具21が挿
通可能な弁体を有する止水栓14の下部をナット5のめね
じ部13に螺合し、パッキン72をナット5との間で締め付
ける(図14)。
【0023】拡径治具21を取り外すとき、管6の水圧で
拡径治具21が飛び出すのを防ぐために、図15,16に示す
ような保護カバー75を前記止水栓14の上部に取付ける。
この保護カバー75は可動保護カバー76と固定保護カバー
77からなり、止水栓14に取付けた固定保護カバー77と拡
径治具21の上端部に可動保護カバー76の内面上部が当た
るまで、可動保護カバー76を降ろす(図15)。
【0024】可動保護カバー76の上端面の穴より押しボ
ルト28を緩めると、板ばね33は伸び、ローラ部材24は再
び図7のようにほぼ直立した状態に戻り、可動保護カバ
ー76を回転させながら上昇させると、拡径治具21は管6
の水圧で押し上げられる(図16)。拡径治具21の下部が
止水栓14の弁体より上になるまで上げたら止水栓14の弁
体を閉め、保護カバー75を取り外す。これにより耐震分
水栓の取付けは完了する(図17,18)。尚。78は可動保
護カバー76に設けられた窓で、拡径治具21の昇降状態を
確認するものである。
【0025】図19及び図20は拡径治具の第2実施例
を示す。この拡径治具81は主軸82の下端開口部に上
面がテーパ面83となった下部材84を下方から嵌合し
てピン85で固定している。テーパ面83前方の主軸8
2には開口部86が設けられている。また、移動棒88
の下端部にはフック部材(傾動部材)89の上端部がピ
ン90で枢支され、このフック部材89は移動棒88が
主軸82内を下動すると、下端部が下部材84のテーパ
面83を滑り時計方向に回動して開口部86から突出可
能になっている。フック部材89の開口部86側の面は
凹状のアール面(成形面)91となっている。93は移
動棒88の上端部に形成されたねじ部92に螺合された
フック調整ナットで、主軸82の上端に当接することに
より移動棒88の昇降を調整できるようになっている。
94は昇降用ねじ部、95はゴム輪4の装着のために形
成された小径部である。
【0026】前記拡径治具81も図21,22に示すように拡
径治具21と同様に保持カバー43内に保持される。保持カ
バー43の構造等は図5,6に示すものと同様であるの
で、同様の部分には同一符号を付し、説明を省略する。
【0027】この拡径治具81においても、図7〜10と対
応させて示した図23〜26のように締付けハンドル61を回
転させながら固定保持カバー44に対して昇降保持カバー
45を下降させることにより分岐口9にゴム輪4および筒
状金具2を装着し(図23)、ナット93を緩めてフック89
をアール面91が開口部86より外に出るまで降ろし(図2
4)、拡径ハンドル66を回転させながら拡径治具81を上
昇させることによりフック89のアール面91を筒状金具2
の下端部に接触させ、筒状金具2の下端部を内側から外
側に向かってラッパ状に拡径し(図25)、さらに回転さ
せながら上昇し続けることにより筒状金具2の下端部を
外径が管6の分岐口9の口径よりも大きくなった凸状湾
曲面の拡径部3に成形する(図26)。
【0028】図27及び図28は拡径治具の第3実施例
を示す。この拡径治具101は主軸102の下端開口部
に取付部材103を下方から嵌合してピン104で固定
している。取付部材103上方の主軸102には窓10
5が設けられている。また、移動棒108の下端部には
上部アーム110の上端部がピン111で枢支され、こ
の上部アーム110の下端部には下端部が取付部材10
3にピン113で枢支された下部アーム115の上端部
がピン116で枢支され、両アーム110,115は屈
曲して窓105から突出するようになっている。上部ア
ーム110には凹状のアール面(成形面)117が形成
されたローラ(傾動部材)118が軸119により回転
自在に取付けられている。121は下部アーム115に
取付けられ、常時、下部アーム115を窓105側に付
勢する板ばね、123は下部アーム115の上下枢支部
に二又状に切欠された溝の奥壁であり、図28のように
両アーム110,115が屈曲したとき、アーム110
の縁又は取付部材103の縁に当接する。
【0029】この拡径治具101においても、図7〜10と
対応させて示した図29〜32のようにして分岐口9にゴム
輪4および筒状金具2を装着し、筒状金具2の下端部を
外径が管6の分岐口9の口径よりも大きくなった凸状湾
曲面の拡径部3に成形する。
【0030】図33及び図34は拡径治具の第4実施例
を示す。この拡径治具131は第3実施例の上、下部ア
ーム110,115を左右に1対有し、これらアーム1
10,115及び110a,115bが左右の窓10
5,105aから突出可能となっている。したがって、
第3実施例の部材と対応する部材には同一符号にアルフ
ァベットのaを付し、説明を省略する。尚、133,1
33aは上部アーム110,110aに設けた拡径部形
成用の凹状のアール面(成形面)134,134aを有
するローラ(傾動部材)である。また、136は上部取
付部材で、ピン137により移動棒108の下端部に取
付けられている。
【0031】この拡径治具131においても、図29〜31と
対応させて示した図35〜37のようにして分岐口9にゴム
輪4および筒状金具2を装着し、筒状金具2の下端部を
外径が管6の分岐口9の口径よりも大きくなった凸状湾
曲面の拡径部3に成形する。
【0032】前記実施例は不断水下での分水栓1の取付
方法として説明したが、流体管6を断水しての取り付け
でも有効であることは言うまでもない。
【0033】
【発明の効果】請求項1,2の発明は前記のような構成
からなるので、次のような優れた効果がある。 (1)分水栓に抜け出し力が働いた場合、筒状金具の下
端拡径部の外径が分岐口の口径よりも大きいので、拡径
部が変形又は破断するまで抜け出し力に耐える。 (2)ゴム輪を押し広げて筒状金具を圧入しているの
で、分岐口の口縁の高さの差に関係なく、ゴム輪と分岐
口の口縁、ゴム輪と筒状金具の外周面の面圧が均等であ
り、シール機構に不安がない。 (3)分水栓に大きな横方向の力が加わり、傾動して
も、ゴム輪の上端フランジ部とゴム輪の下端部の反転し
た環状突部の弾力で横方向力を無理なく吸収し、ゴム輪
を傷つけることなく、容易に屈曲することができる。 (4)管を穿孔したときに出る切粉が分岐口上の管頂部
に残っていても、ゴム輪の上端フランジ部が凹み、切粉
を吸収する。地震、他工事による振動、車両による振動
等にも切粉は脱落しない。もし脱落してもゴム輪の圧縮
状態に影響はない。 (5)分水栓を装着後、管内面を清掃するための清掃弾
を管内面に挿入した場合でも、筒状金具の拡径部が丸く
なっているので、清掃弾が引っかかる恐れがない。 (6)筒状金具の胴部は取付による引っ張り荷重を受け
ないので、胴部の厚さを小さくすることができ、管の分
岐口の口径に対して該金具の内径を大きくとれるので、
流量に対する効率がよい。
【0034】請求項3,4,5の発明は前記のような分
水栓を拡径治具等の取付機構を介して流体管の分岐口に
きわめて容易に取付けることができ、特に請求項4,5
の発明は不断水下で取付ることができ、極めて実用的で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示す分水栓が流体管の分
岐口に装着された状態の縦断正面図である。
【図2】分水栓と分岐口の各部の寸法関係を示す取付前
の縦断正面図である。
【図3】拡径治具の一部省略の縦断正面図である。
【図4】同上のローラ部を破断した一部省略の縦断正面
図である。
【図5】拡径治具を保持カバーで保持し、分岐口に取付
ける状態を示す縦断正面図である。
【図6】図5の要部拡大図である。
【図7】作用説明図である。
【図8】作用説明図である。
【図9】作用説明図である。
【図10】作用説明図である。
【図11】図5と対応する作用説明図である。
【図12】図5と対応する作用説明図である。
【図13】図5と対応する作用説明図である。
【図14】図5と対応する作用説明図である。
【図15】図5と対応する作用説明図である。
【図16】図5と対応する作用説明図である。
【図17】図5と対応する作用説明図である。
【図18】図17の拡大図である。
【図19】拡径治具の第2実施例を示す一部省略の縦断
正面図である。
【図20】同上のフックが開口部から突出した状態の一
部省略の縦断正面図である。
【図21】同上の拡径治具を保持カバーで保持し、分岐
口に取付ける状態を示す縦断正面図である。
【図22】図21の要部拡大図である。
【図23】作用説明図である。
【図24】作用説明図である。
【図25】作用説明図である。
【図26】作用説明図である。
【図27】拡径治具の第3実施例を示す一部省略の縦断
正面図である。
【図28】同上のアームが窓から突出した状態の一部省
略の縦断正面図である。
【図29】作用説明図である。
【図30】作用説明図である。
【図31】作用説明図である。
【図32】作用説明図である。
【図33】拡径治具の第4実施例を示す一部省略の縦断
正面図である。
【図34】同上のアームが窓から突出した状態の一部省
略の縦断正面図である。
【図35】作用説明図である。
【図36】作用説明図である。
【図37】作用説明図である。
【図38】従来例の分水栓が流体管の分岐口に装着され
た状態の縦断正面図である。
【符号の説明】
1 分水栓 2 筒状金具 3 拡径部 4 ゴム輪 5 取付ナット 6 流体管 9 分岐口 21,81,101,131 拡径治具 43 保持カバー 68 バルブ

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上下端開口の中空筒状金具と、この筒状
    金具の下端部の外周に嵌合して装着され、かつ下端部に
    環状突部が設けられたゴム輪とを具え、このゴム輪を装
    着した筒状金具を流体管に穿孔された分岐口に圧入嵌合
    して装着した分水栓において、前記筒状金具を薄肉状と
    し、かつ該筒状金具の下端部の内面をその外径が分岐口
    より大きくなるように凸状湾曲面にした拡径部に形成
    し、前記ゴム輪の分岐口から突出した上端部に外向き環
    状フランジ部を形成し、このフランジ部の上面に当接す
    る内向き環状フランジ部を下端部に有する筒状の取付部
    材を配置し、この取付部材のフランジ部の上面に当接す
    る外向き環状フランジ部を前記筒状金具の上端部に形成
    したことを特徴とする分水栓。
  2. 【請求項2】 取付部材が、内周面に止水栓取付用めね
    じ部が形成された取付ナットである請求項1記載の分水
    栓。
  3. 【請求項3】 成形面を有する傾動部材をピンで軸線に
    対し所定角度傾動可能に下端部に枢支した拡径治具を具
    え、この拡径治具に取付部材の下端部に形成したフラン
    ジ部と薄肉状の筒状金具の上端部に形成したフランジ部
    が係合した該金具と取付部材を嵌入するとともに、ゴム
    輪をその上端部に形成したフランジ部が筒状金具の下端
    面に当接するように嵌入して支持した後、この拡径治具
    を下端部側から流体管に穿孔された分岐口に押し込んで
    圧入し、前記ゴム輪のフランジ部が管の外周面に接し、
    かつゴム輪のフランジ部の上面に取付部材のフランジ部
    が接した後、さらに前記拡径治具の押し込みにより筒状
    金具の下端より下方に突出した傾動部材を所定角度傾動
    させて成形面をゴム輪の下端から突出した筒状金具の下
    端部に接するようにし、しかる後に拡径治具を回転さ
    せ、前記筒状金具の下端部を成形面に沿って内側から外
    側に向かってラッパ状に拡径して外径が分岐口の口径よ
    りも大きい拡径部に成形することを特徴とする分水栓の
    取付方法。
  4. 【請求項4】 流体管にバルブを取付け、該バルブで覆
    われた流体管部に分岐口を明け、しかる後に前記バルブ
    を開弁状態として拡径治具を下端部側から分岐口に押し
    込む請求項3記載の分水栓の取付方法。
  5. 【請求項5】 成形面を有する傾動部材をピンで軸線に
    対し所定角度傾動可能に下端部に枢支した筒状の主軸、
    及びこの主軸内に収容されて前記傾動部材を所定角度傾
    動させる第1操作部材をもち、取付部材の下端部に形成
    したフランジ部と薄肉状の筒状金具の上端部に形成した
    フランジ部が係合した該金具と取付部材を嵌入するとと
    もに、ゴム輪をその上端部に形成したフランジ部が筒状
    金具の下端面に当接するように嵌入して下端部に支持す
    る拡径治具と、この拡径治具を昇降可能、かつ回転可能
    に保持する保持部材と、流体管に穿孔された分岐口と連
    通して着脱可能に取付けられ、保持した拡径治具の下端
    部が分岐口に嵌入可能なように前記保持部材の下端部を
    着脱可能に取付けた取付部を有するバルブとを具え、前
    記拡径治具を下端部側からゴム輪のフランジ部が流体管
    の外周面に接し、かつゴム輪のフランジ部の上面に取付
    部材のフランジ部が接するように分岐口に押し込んで圧
    入可能に該拡径治具を昇降させる第2操作部材を前記保
    持部材に設けるとともに、前記拡径治具の圧入後の押し
    込みにより筒状金具の下端より下方に突出した傾動部材
    が第1操作部材により所定角度傾動させられその成形面
    がゴム輪の下端から突出した筒状金具の下端部に接する
    ようになったとき、該筒状金具の下端部を成形面に沿っ
    て内側から外側に向かってラッパ状に拡径して外径が分
    岐口の口径よりも大きい拡径部に成形可能に該拡径治具
    を回転させる第3操作部材を前記拡径治具に設けたこと
    を特徴とする分水栓の取付装置。
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