JP2613440B2 - メルト・ブローン式紡糸装置 - Google Patents

メルト・ブローン式紡糸装置

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JP2613440B2 JP63177736A JP17773688A JP2613440B2 JP 2613440 B2 JP2613440 B2 JP 2613440B2 JP 63177736 A JP63177736 A JP 63177736A JP 17773688 A JP17773688 A JP 17773688A JP 2613440 B2 JP2613440 B2 JP 2613440B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、医療用マスクやガウン、テント用材およ
び壁材等の原材料としての極細繊維状物の製造に適した
メルト・ブローン式紡糸装置に関するものである。
[従来の技術] 周知のように、この種紡糸装置は、高分子量樹脂を熱
溶融あるいは溶剤で溶解し、紡糸幅方向に沿って直線的
に配列された細孔からなる多数個の紡糸口を通して高速
度の水蒸気もしくは空気等の気体の噴射ガス流中に押し
出させながら、上記紡糸幅方向と直交方向へ進行する金
網ベルトのような無端状の捕集体上に不織布を形成させ
るようになつており、極細繊維ウエブが1工程で得られ
る簡便かつ経済的なものとして、不織布の製造において
は賞用されている。
[発明が解決しようとする課題] ところで、上記不織布の製品幅は、多数個の紡糸口の
配列長(紡糸幅)で決まるものであるが、従来の装置で
は、上記紡糸口が形成されている紡糸口金ブロツクが固
定状態で設置されているので、ユーザの要求する様々の
製品幅に即応しにくいといつた問題がある。
ユーザの要求する多様な幅の製品を製造する一つの方
法として、すべての要求幅に対応可能な幅広の紡糸口金
を用いて紡糸し、不要部分は切り取つて別のユーザに仕
向けるか、あるいは廃棄する策が採られている。しか
し、この場合、必ずしも別のユーザが所望する切り残し
部分が生じるとは限らず、在庫として残つてしまうこと
が多い。他方、多様な製品幅ごとに対応する複数種の紡
糸口金を用意しておき、ユーザの要求する製品幅に応じ
た長さの紡糸口金を取り換えて紡糸する方法も採られて
いるが、この場合、複数種の紡糸口金を用意しなければ
ならないため、コスト高になるうえ、紡糸口金の交換の
ために長時間の運転停止を余儀なくされ、生産性の向上
のうえでの支障となつていた。
この発明は上記従来のものの問題点を解消するために
なされたもので、製品の歩留り低下を招くことなく、製
品幅の多様化に容易に対応可能となり、生産性の向上に
寄与し得るメルト・ブローン式紡糸装置を提供すること
を目的としている。
[課題を解決するための手段] この発明に係るメルト・ブローン式紡糸装置は、長手
方向へ進行駆動される無端ベルト状の不織布捕集体と、
この不織布捕集体の幅方向に沿って直線状に配列された
多数の細孔状の紡糸口を通して溶融状の高分子量樹脂を
高速度の気体の噴出ガス流中に押し出して上記不織布捕
集体上に紡糸させる紡糸口金ブロツクとを備え、紡糸口
金ブロックの可動機構は、不織布捕集体の上方を横断す
る水平な架設フレームを設け、該架設フレームに、内周
面に歯部を有する内輪とこの内輪にボールを介して嵌合
する外輪とからなるボールベアリングの該外輪を固定
し、該ボールベアリングの内輪に固定した架台に紡糸口
金ブロックを吊持し、前記ボールベアリングの内輪の歯
部に駆動手段の出力シャフトに固定された出力歯車をか
み合せた構造としてなり、上記駆動手段の駆動により、
ボールベアリングの内輪を回転させて、紡糸口金ブロッ
クを、紡糸口の配列方向を不織布捕集体の幅方向に対し
て不織布捕集体に平行な平面内で角度可変に回転変位さ
せるものである。
[作用] この発明においては、紡糸口金ブロックの可動機構を
用いて、紡糸口の配列方向の不織布捕集体の幅方向に対
する角度を選択設定すれば、紡糸幅が変わり、任意の幅
の不織布製品が得られる。また、ボールベアリングを用
いて紡糸口金ブロックを回転させているので、回転が滑
らかとなり回転方向の位置決め精度を向上することがで
きる。さらに、ボールベアリングの内輪を歯車伝達機構
の歯車に兼用しているので、可動機構を部品点数の少な
いコンパクトなものにできる。しかも、可動機構が架設
フレーム上に集約されているので、保守点検が容易にな
る。
[実施例] 以下、この発明の一実施例を図面にしたがつて説明す
る。
第1図、第2図および第3図はそれぞれこの発明に係
るメルト・ブローン式紡糸装置の一例を示す正面断面
図、上面図および一部をブロツク化した側面断面図であ
る。
同図において、1は本体フレームであり、この本体フ
レーム1には、前側および後側に位置してそれぞれ1対
ずつの軸受2A,2Bおよび3A,3Bが設けられており、各軸受
2A,2Bおよび3A,3Bには、それぞれ支持ロール4A,4Bおよ
び5A,5Bが軸支されている。6は上記支持ロール4A,4B,5
A,5Bにループ状に張設された無端状の不織布捕集体、た
とえば金網ベルトである。上記支持ロール4A,4B,5A,5B
のうち、1つの支持ロール4Aは、たとえば直径40cm、幅
60cmのゴムロールからなり、モータのような回転駆動装
置7の駆動力を伝動ベルト8を介して上記金網ベルト6
を長手方向(矢印a方向)へ一定速度で進行させるよう
になつている。
上記金網ベルト6の上方には、紡糸口金ブロツク9が
該金網ベルト6の幅方向(矢印b方向)、すなわち紡糸
幅方向に沿つた向きに配設されている。この紡糸口金ブ
ロック9について、第5図、第6図および第7図で簡単
に説明する。
10はステンレス鋼からなる紡糸口金本体であり、この
紡糸口金本体10には紡糸幅方向へ沿つて幅16mm、高さ16
mm程度の樹脂流動路11が穿設されている。12は上記紡糸
口金本体10の紡糸幅方向で所定間隔毎に1対ずつ形成さ
れて上記樹脂流動路11に連通する直径10mm程度の複数組
の樹脂供給孔であり、それぞれ紡糸口金本体10の上面に
開口している。13は上記樹脂供給孔12に対応する樹脂ポ
ート13aを有し、上記紡糸口金本体10にボルト14等で固
定されたギヤポンプ取付部であり、それぞれ計量ポン
プ、たとえばギヤポンプ15が取付けられており、各ギヤ
ポンプ15の吐出口と上記樹脂供給孔12とは上記樹脂ポー
ト13aを介して連通されている。
上記紡糸口金本体10は、その上面および側面にそれぞ
れボルト16,17等で取り付けられたヒータ18,19で加熱さ
れるようになつている。20は上記ギヤポンプ取付部13に
取り付けられたヒータである。
上記樹脂流動路11の下側には、たとえば直径D=2m
m、長さL=21mm(L/D=10.5)の多数の細孔21が上記紡
糸幅方向に沿って30mm程度のピツチで穿設されており、
これら細孔21により樹脂分配機構22を構成している。
23は上記紡糸口金本体10の下面のボルト24等で固定さ
れた紡糸口金であり、この紡糸口金23には、たとえば紡
糸幅方向の長さ303mm、断面幅6mm、上下方向の長さ45mm
のスリツト状の樹脂整流部25が形成されており、この樹
脂整流部25の上端は上記樹脂分配機構22における各細孔
21に連通している。
上記紡糸口金23の下端部には、たとえば直径0.3mm、
上下方向の長さ3mmの多数の細孔状の紡糸口26が上記紡
糸幅方向へ沿つて1mm程度のピツチで直線状に配列され
て、それぞれ上記樹脂整流部25に連通している。この紡
糸口26の配列長lが紡糸幅の有効長であり、ここでは、
たとえば300mmに設定してある。
上記紡糸口23の両側には、上記紡糸幅方向へ沿って延
びる1対のリップ部材27,28が配設されており、両リッ
プ部材27,28と紡糸口金23の先端部外面との間には、空
気噴出用のスリツト29,30が形成されており、両スリツ
ト29,30の各内端はそれぞれ空気送給管31(第1図、第
3図)に連結した空気通路32,33に連通されている。
上記紡糸口金ブロツク9の支持構造について、第1
図,第2図ならびに第4図で説明する。
34A,34Bは金網ベルト6の前後両側方に位置する支柱3
5A,35Bで支持された左右1対の水平フレームであり、両
水平フレーム34A,34B間には、金網ベルト6の上方を横
断する架設フレーム36が支持・固定されている。上記架
設フレーム36には、内周面に歯部37aを有する内輪37A
と、内輪37Aにボール37Cを介して嵌合する外輪37Bとか
らなるボールベアリング37の上記外輪37Bが固定されて
いる。38は吊持部材39を介して上記ボールベアリング37
の内輪37Aに固定された架台であり、前記ギヤポンプ15
にそれぞれ対応する複数のギヤポンプ駆動機40が取り付
けられており、さらに上記架台38の下端には、ボルト41
等を介して前記紡糸口金ブロツク9が吊持されている。
42は上記架台38に装着されたギヤポンプ15の回転速度検
出器である。
43は上記架設フレーム36の上面側に取り付けられた回
転機、たとえばモータ、44は上記ボールベアリング37の
歯部37aに噛合する出力歯車、45は上記モータ43の回転
力を減速するウオーム歯車等からなる減速機構であり、
この減速機構45の出力シヤフト46に上記出力歯車44が固
定されている。47は上記架設フレーム36に装着されて上
記出力シヤフト46を軸支する軸受である。上記水平フレ
ーム34A,34B、支柱35A,35B、架設フレーム36、ボールベ
アリング37等により、前記紡糸口金ブロック9の回転支
持手段48aが構成され、モータ43、出力歯車44、減速機
構45および出力シャフト46により回転支持手段48aを駆
動させる駆動手段48bが構成され、これら回転支持手段4
8a,駆動手段48bにより可動機構48が形成されている。こ
れら可動機構48により、前記紡糸口26の配列方向と金網
ベルト6の幅方向との金網ベルト6の上面に平行な平面
内での角度θ(第8図)が連続的に可変に設定されてい
る。
49は上記架設フレーム36上に支持壁50を介して設置さ
れた角度表示板であり、表示指針51の回転軸52は、たと
えばはすばかさ歯車53,54を介して上記減速機構45側に
連結されている。55は上記架設フレーム36の立壁56に取
り付けられた回転角度検出器である。57は回転軸52の軸
受部材である。
なお、図中、58は前記ギヤポンプ15の入口側に接続さ
れた樹脂送給パイプである。
つぎに、上記構成の動作を説明する。
樹脂送給パイプ58を介して送給された高分子量樹脂は
ギヤポンプ15で計量され、樹脂ポート13aおよび樹脂供
給孔12を経て樹脂流動路11に供給され、加熱されながら
左右へ配給される。この樹脂流動路11の横断面形状は任
意に選択できるが、内径寸法は上記樹脂供給孔12から供
給される樹脂が大きな圧力を受けずに紡糸幅方向に流れ
て行ける程度に大きく設定する必要がある。
上記樹脂流動路11において紡糸幅方向へ送給された樹
脂は樹脂分配機構22の各細孔21で分配されて樹脂整流部
25に送られる。上記樹脂の流速を上げる面では、細孔21
の数は少ない方がよいが、あまり少なくすると、樹脂整
流部25での樹脂の滞留が起こるおそれがあり、紡糸有効
幅1000mm当り、5〜50個程度に設定するのが適当であ
る。
上記樹脂整流部25で均一化された樹脂は紡糸口から吐
出される。この時、上記紡糸口26の両側のスリツト29,3
0から空気が高速で噴出しているため、上記紡糸口26か
ら吐出された上記樹脂は上記空気で吹き飛ばされて細化
され、繊維ウエブとなつて金網ベルト6上に堆積され
る。金網ベルト6は長手方向へ一定速度で進行している
ため、上記繊維ウエブは上記金網ベルト6上に一定の厚
さのシート状不織布Mとして連続的に形成される。上記
紡糸口26の配列有効長が紡糸幅、すなわち不織布Mの幅
となる。
上記不織布捕集体は金網ベルト6に限らず、ゴムベル
トや布帛ベルトなど、無端体であれば任意に選択できる
ものであるが、上記金網ベルト6の場合、紡糸口26から
の樹脂を捕集させ易い。
ここで、紡糸口金ブロツク9を可動機構48により、水
平面内で回動変位可能としてあるため、紡糸口金ブロツ
ク9を回動変位させれば、上記不織布幅Wを変更するこ
とができる。
すなわち、モータ43を駆動して減速機構45を介して出
力歯車44によりボールベアリング37の内輪37Aを回転変
位させれば、紡糸口金ブロツク9が回転変位する。上記
紡糸口26の配列方向と金網ベルト6の幅方向とのなす角
度をθ、紡糸口26の配列有効長lとした場合、不織布M
の幅Wは次式で表わされる(第8図)。
W=lcosθ 上記角度θを変えることにより、任意の幅(W≦l)
の不織布Mを得ることができる。したがつて、従来のよ
うに不織布製品に無駄な部分が残ったりすることもない
うえ、1つの紡糸口金23で任意の不織布幅に対応できる
ため、生産性が向上し、コストの低減化に貢献すること
ができる。
上記角度θの可変を、紡糸口金ブロツク9を架設フレ
ーム36に直接取付け手動式で行なうようにする構成も可
能であるが、その場合、角度θを変更する毎にこの装置
の稼動を一旦停止する必要があり、ヒータ18,19,20によ
る加熱条件が変動しないように留意しなければならなく
なる。この点に関し、上記の例では、角度検出器55の検
出信号をモータ43にフイードバツクして該モータ43を制
御させることにより、自動的に上記角度θを可変設定で
きるため、不織布幅Wの変更の度毎に操業を停止させる
必要がなくなり、したがつて加熱条件も一定に保たれ、
不織布製品の品質のばらつきが抑制される。また、上記
角度θは角度表示板49の指針51で示されるため、角度θ
の確認等が容易となる。
ところで、上記紡糸口金ブロツク9の可動機構48は、
上記の例のものに限定されることなく、適宜、他の構成
を採用できることは勿論である。上記の例のようにボー
ルベアリング37を使用すれば、該ボールベアリング37の
中空部分を、たとえば種々の配管挿通用スペースとして
利用できるうえ、ボールベアリング37の内輪37Aを外輪3
7Bとがボール37Cで嵌合して緊密な連結関係が保たれて
いるため、紡糸口金ブロツク9の水平支持精度が確保さ
れ、不織布Mの厚さ分布の均一化を図ることができる。
なお、上記の例では、不織布製品幅Wが比較的大きな
ものを対象としており、複数のギヤポンプ15を紡糸口金
ブロツク9に取り付け、ギヤポンプ駆動機40を架台38に
取り付けたが、不織布製品幅Wが小さいものを対象とす
る場合は、紡糸口金ブロツク9や架台38も小さくなるの
で、上記ギヤポンプ15やギヤポンプ駆動機40を外部に設
ければよい。
また、金網ベルト6のウエブ堆積面は必ずしも上記の
ように水平面にある必要はなく、鉛直面あるいは傾斜面
とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
第1図、第2図および第3図はそれぞれこの発明に係る
メルト・ブローン式紡糸装置の一例を示す正面断面図、
上面図および一部をブロツク化した側面断面図、第4図
は同装置における紡糸口金ブロツクおよび可動機構とそ
の周辺の構成を示す側面断面図、第5図および第6図は
それぞれ同装置における紡糸口金ブロツクの構成を示す
正面断面図および側面断面図、第7図は同紡糸口金ブロ
ツクにおける紡糸口金の下面図、第8図は同装置の要部
の作用説明図である。 6……不織布捕集体、9……紡糸口金ブロツク、26……
紡糸口、48a……回転支持手段、48b……駆動手段、48…
…可動機構、a……長手方向(進行方向)、b……幅方
向、θ……角度。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浅野 正司 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社ク ラレ内 (72)発明者 岡田 弘正 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社ク ラレ内 (72)発明者 小倉 行夫 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社ク ラレ内 (56)参考文献 特開 平2−26977(JP,A) 特開 昭59−199856(JP,A) 特開 昭62−162063(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】長手方向へ進行駆送される無端ベルト状の
    不織布捕集体6と、この不織布捕集体6の幅方向へ沿っ
    て直線状に配列された多数の細孔状の紡糸口26を通して
    溶融状の高分子樹脂を高速度の気体の噴出ガス流中に押
    し出して上記不織布捕集体6上に紡糸させる紡糸口金ブ
    ロック9とを備えたメルト・ブローン紡糸装置におい
    て、 紡糸口金ブロック9の可動機構48は、不織布捕集体6の
    上方を横断する水平な架設フレーム36を設け、該架設フ
    レーム36に、内周面に歯部37aを有する内輪37Aとこの内
    輪37Aにボール37Cを介して嵌合する外輪37Bとからなる
    ボールベアリング37の該外輪37Bを固定し、該ボールベ
    アリング37の内輪37Aに固定した架台38に紡糸口金ブロ
    ック9を吊持し、前記ボールベアリング37の内輪37Aの
    歯部37aに駆動手段48bの出力シャフト46に固定された出
    力歯車44をかみ合せた構造としてなり、 上記駆動手段48bの駆動により、ボールベアリング37の
    内輪37Aを回転させて、紡糸口金ブロック9を、紡糸口2
    6の配列方向を不織布捕集体6の幅方向に対して不織布
    捕集体6に平行な平面内で角度可変に回転変位させるこ
    とを特徴とするメルト・ブローン紡糸装置。
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