JP2613130B2 - 共焦点走査型位相差顕微鏡 - Google Patents

共焦点走査型位相差顕微鏡

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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は共焦点走査型顕微鏡、特に詳細には、透明試
料の位相情報を可視化する共焦点走査型位相差顕微鏡に
関するものである。
(従来の技術) 従来より、照明光を微小な光点に収束させ、この光点
を試料上において2次元的に走査させ、その際該試料を
透過した光あるいはそこで反射した光、さらには試料か
ら発せられた蛍光を光検出器で検出して、試料の拡大像
を担持する電気信号を得るようにした光学式走査型顕微
鏡が公知となっている。
なかでも、照明光を光源から発生させた上で試料上に
おいて光点に結像させる一方、この試料からの光束を再
度点像に結像させてそれを光検出器で検出するように構
成した共焦点走査型顕微鏡は、試料面上にピンホールを
配する必要が無く、実現容易となっている。
この共焦点走査型顕微鏡は基本的に、 照明光を発する光源と、 試料が載置される試料台と、 この照明光を試料上において微小な光点として結像さ
せる送光光学系と、 上記試料からの光束(透過光、反射光あるいは蛍光)
を集光して点像に結像させる受光光学系と、 この点像を検出する光検出器と、 上記光点を試料上において2次元的に走査させる走査
機構とから構成されるものである。なお特開昭62−2172
18号公報には、この共焦点走査型顕微鏡の一例が示され
ている。
一方従来より、透明な物体(位相物体)を観察するた
めの顕微鏡の一つとして、位相差顕微鏡が提供されてい
る。この位相差顕微鏡は基本的に、試料をはさんで互い
に反対側に配されたλ/4板等の位相板とリング絞りとを
有し、試料で回折した照明光と、試料を透過あるいはそ
こで反射した非回折照明光の一方のみに位相遅れを与え
た上で干渉させ、それにより、試料の位相情報を明暗に
変換するようにしたものである。
(発明が解決しようとする課題) 従来の共焦点走査型顕微鏡においては、上記走査機構
として、 試料台を2次元的に移動させる機構、あるいは 照明光ビームを光偏向器によって2次元的に偏向させ
る機構が用いられていた。
しかしの機構を採用した場合には、高速走査を行な
うと試料が飛んでしまうという問題が生じていた。顕微
鏡で観察される試料としては生物試料も多く、この生物
試料を観察する際に高速走査ができないと、生物試料の
微妙な動きを捕えることが不可能となる。また、このよ
うな生物試料に限らなくても、ほぼリアルタイムで試料
像を撮像したいという要求は広く存在するものであり、
高速走査が不可能であれば、当然、このような要求に応
えることができない。
一方、の機構によれば十分高速の走査が可能である
が、この機構においては、ガルバノメータミラーやAOD
(音響光学光偏向器)等の高価な光偏向器が必要である
という難点が有る。またこのの機構においては、照明
光ビームを光偏向器で振るようにしているから、送光光
学系の対物レンズにはこの光ビームが刻々異なる角度で
入射することになり、それによる収差を補正するために
対物レンズの設計が困難になるという問題も認められて
いる。特にAODを使用した場合には、対物レンズ以外に
もAODから射出した光束に非点収差が生ずるため特殊な
補正レンズが必要となり、光学系をより複雑なものとし
ている。
また従来、前述したような位相差顕微鏡を、共焦点走
査型のものとして構成する試みもなされているが、その
場合も、以上説明したような問題が同様に生じるものと
なっていた。
そこで本発明は、高速走査が可能で、その一方、構成
が簡単で安価に形成することができる共焦点走査型位相
差顕微鏡を提供することを目的とするものである。
(課題を解決するための手段及び作用) 本発明による共焦点走査型位相差顕微鏡は、先に述べ
たような試料台と、光源と、送光光学系と、受光光学系
と、光検出器と、光点の2次元走査機構とを備えた共焦
点走査型顕微鏡において、 前述した通りの位相差光学系を構成するλ/4板等の位
相板とリング絞りとを、一方は送光光学系側に他方は受
光光学系側に配設するとともに、 上記送光光学系と受光光学系と位相差光学系とを一体
的に保持する移動台と、 この移動台を、上記光点が試料上を一方向に主走査す
るように往復移動させる主走査手段と、 上記移動台と試料台とを、上記主走査の方向とほぼ直
交する方向に、該主走査の速度よりも低い速度で相対移
動させて、上記光点を試料上において副走査させる副走
査手段とによって走査機構を構成したことを特徴とする
ものである。
なお上述の副走査手段は、移動台を移動させるもので
あってもよいし、それとは反対に、試料台を移動させる
ものであってもよい。副走査速度は比較的低速とするこ
とができるから、上記のように試料台を移動させても、
試料が飛んでしまうことを防止可能である。
上記の構成においては、光点走査のために照明光ビー
ムが振られることがないから、光学系の設計は光軸上の
光線のみを考えて行なえばよいことになり、該光学系の
設計は非常に容易となる。
(実 施 例) 以下、図面に示す実施例に基づいて本発明を詳細に説
明する。
第1図は、本発明の第1実施例による透過型共焦点走
査型顕微鏡を示すものであり、また第2および3図は、
それに用いられた走査機構を詳しく示している。第1図
に示されるように、単色光レーザ10からは、照明光とし
てのレーザビーム11が射出される。この照明光11はビー
ムコンプレッサ12でビーム径が調整され、偏波面調整用
のλ/2板9に通され、屈折率分布型レンズ13で集光され
て偏波面保存光ファイバー14内に入射せしめられる。
この光ファイバー14の一端は移動台15に固定されてお
り、該光ファイバー14内を伝搬した照明光11はこの一端
から出射する。この際光ファイバー14の一端は、点光源
状に照明光11を発することになる。移動台15には、コリ
メーターレンズ16および対物レンズ17からなる送光光学
系18と、対物レンズ19および集光レンズ20からなる受光
光学系21とが、互いに光軸を一致させて固定されてい
る。また両光学系18、21の間には、移動台15と別体とさ
れた試料台22が配されている。
そして送光光学系18の両レンズ16、17の間にはリング
絞り7が配され、一方受光光学系21の両レンズ19、20の
間には、上記リング絞り7と共に位相差光学系を構成す
るリング状の位相板(λ/4板)8が配されている。なお
リング絞り7は対物レンズ17の前側焦点面に配され、位
相板8はリング絞り7と共役の関係に配されている。
上記の照明光11はコリメーターレンズ16によって平行
光とされ、リング絞り7によって輪帯光とされ、次に対
物レンズ17によって集光されて、試料台22に載置された
試料23上で微小な光点Pに結像する。試料23を透過した
透過光(非回折光)11′の光束は、受光光学系21の対物
レンズ19によって平行光とされ、位相板8に入射する。
この位相板8は、輪帯光となっている透過光(非回折
光)11′とちょうど重なるように配置されている。つま
りこの位相板8の内径、外径は、リング絞り7の内径、
外径にそれぞれ、対物レンズ17、19による倍率を乗じた
値とされる。そしてこの位相板8の表面部分には、非回
折光11′を適宜吸収する薄層が形成されている。一方試
料23で回折して位相がλ/4程度遅れた回折光11″は、主
に上記位相板8の外側を通過する。
この回折光11″と非回折光11′は、集光レンズ20によ
って集光され、互いに干渉してQの位置において、像を
結像する。この結像位置には偏波面保存光ファイバー24
の一端が配され、非回折光11′および回折光11″はこの
一端から該光ファイバー24内に入射せしめられる。この
光ファイバー24の上記一端は移動台15に固定されてお
り、またその他端には屈折率分布型レンズ25が接続され
ている。光ファイバー24内を伝搬した非回折光11′およ
び回折光11″はその他端から出射し、上記屈折率分布型
レンズ25によって集光される。
これらの非回折光11′および回折光11″は、アパーチ
ャピンホール26を通して、例えば光電子増倍管等の光検
出器27によって検出される。前述した通りの位相差光学
系により、非回折光11′および回折光11″による像の明
るさは、回折光11″の位相に応じて(すなわち試料23の
照明光照射部分の位相情報に応じて)変化するものとな
っている。したがって上記光検出器27からは、試料23の
位相情報に対応した光量信号Sが出力される。
次に、照明光11の光点Pの2次元走査について、第
2、3図を参照して説明する。第2図と第3図はそれぞ
れ、移動台15の周辺部分を、第1図の上方側、右方側か
ら見た状態を示している。この移動台15は架台32に、積
層ピエゾ素子33を介して保持されている。積層ピエゾ素
子33はピエゾ素子駆動回路34から駆動電力を受けて、移
動台15を矢印X方向に高速で往復移動させる。この往復
移動の振動数は、例えば10kHzとされる。その場合、主
走査幅を100μmとすると、主走査速度は、 10×103×100×10-6×2=2m/s となる。なお、光ファイバー14、24は可撓性を有するの
で、それぞれ照明光11、散乱光11″を伝搬させつつ、移
動台15の振動を許容する。
一方試料台22は、2次元移動ステージ35に固定されて
いる。この2次元移動ステージ35は、モータ駆動回路36
から駆動電流を受けるパルスモータ37により、マイクロ
メータ38を介して矢印Y方向に往復移動される。それに
より試料台22は移動台15に対して相対移動され、前記光
点Pが試料23上を、前記主走査方向Xと直交するY方向
に副走査する。なおこの副走査の所要時間は例えば1/20
秒とされ、その場合、副走査幅を100μmとすると、副
走査速度は、 20×10×10-6=0.002m/s =2mm/s と、前記主走査速度よりも十分に低くなる。この程度の
副走査速度であれば、試料台22を移動させても、試料23
が飛んでしまうことを防止できる。
以上のようにして光点Pが試料23上を2次元的に走査
することにより、該試料23の2次元像を担持する時系列
の信号Sが得られる。この信号Sは、例えば所定周期毎
に積分する等により、画素分割された信号とされる。こ
の信号Sに基づいて、例えばCRT等の画像再生手段にお
いて画像を再生すれば、試料23の位相情報を明暗によっ
て示す画像が得られる。
なお上記実施例の装置は、非回折光11′をλ/4板8に
通しているので、位相変化が明るく観察される正の位相
コントラストタイプとなっているが、この位相板8の代
わりに位相を3λ/4(3π/2)遅らせる位相板を用いる
ことにより、位相変化が暗く観察される負の位相コント
ラストタイプとすることも可能である。
さらに上記実施例では、非回折光11′を位相板8に通
すようにしているが、それとは逆に回折光11″を位相板
に通すようにしてもよいことは勿論である。
また本実施例においては2次元移動ステージ35が、モ
ータ駆動回路39から駆動電流を受けるパルスモータ40に
より、主、副走査方向X、Yと直交する矢印Z方向(す
なわち光学系18、21の光軸方向)に移動される。こうし
て2次元移動ステージ35をZ方向に所定距離移動させる
毎に照明光光点Pの2次元走査を行なえば、合焦点面の
情報のみが光検出器27によって検出される。そこで、こ
の光検出器27の出力Sをフレームメモリに取り込むこと
により、試料23をZ方向に移動させた範囲内で、3次元
画像を担う信号を得ることが可能となる。
なおピエゾ素子駆動回路34およびモータ駆動回路36、
39には、制御回路41から同期信号が入力され、それによ
り、光点Pの主、副走査および試料台22のZ方向移動の
同期が取られる。
以上説明した実施例においては、種々の変更が可能で
ある。例えば受光光学系21側の集光素子である屈折率分
布型レンズ25は、顕微鏡対物レンズ等であってもよい。
そして、2次元移動ステージ35に固定された試料台22を
Y方向に往復移動(副走査)させるための駆動源である
パルスモータ37は、エンコーダ付きのDCモータでもよ
く、またこのように試料台22を移動させることによって
光点Pの副走査を行なう代わりに、移動台15を移動させ
ることによって光点Pの副走査を行なうようにしてもよ
い。さらに移動台15の移動は積層ピエゾ素子33を利用し
て行なう他、例えばボイスコイルや音叉、さらには超音
波による固体の固有振動を利用した走査方式等を用いて
行なうことも可能である。
次に第4図を参照して、本発明の第2実施例による共
焦点走査型位相差顕微鏡について説明する。なおこの第
4図において、第1図ないし第3図と共通部分には同じ
番号を付し、それらについての詳細な説明は省略する
(以下、同様)。
この実施例では、第1実施例とは逆に、送光光学系18
側に位相板8′が配され、受光光学系21側にリング絞り
7′が配されている。上記位相板8′は、環状の部分8a
が他の部分に対して照明光11の位相をλ/4遅らせるよう
に形成され、この部分8a以外の部分には、照明光11を吸
収する薄層が形成されている。一方リング絞り7′は、
光を遮断する環状の部分7aを有し、上記の部分8aを通過
した後試料23を透過した透過光(非回折光)11′がちょ
うど上記の部分7aに入射するように配置されている。す
なわち、位相板8′は対物レンズ17の前側焦点面に配さ
れ、リング絞り7′は位相板8′と共役の関係に配され
ている。
上記の構成においては、位相板8′の部分8aにより位
相がλ/4遅れてから試料23を透過した透過光(非回折
光)11′は、リング絞り7′によって遮断される。した
がって、位相板8′の部分8a以外を通過した後試料23を
透過した透過光(非回折光)11′と、上記部分8aを通過
して位相がλ/4遅れてから試料23に入射して回折した回
折光11″とが集光レンズ20により集光され、互いに干渉
する。この場合は、回折光11″が非回折光11′に対して
位相が約λ/2遅れるので、負の位相コントラストタイプ
となる。
次に、第5図を参照して本発明の第3実施例について
説明する。この実施例の共焦点走査型位相差顕微鏡は反
射型に形成されたものであり、第4図のものと同様の位
相板8′と対物レンズ17との間には、ビームスプリッタ
6が配されている。
コリメータレンズ16と位相板8′を通過した照明光11
は、ビームスプリッタ6の膜面6aを透過して対物レンズ
17に入射し、光点Pに収束する。位相板8′の部分8aに
より位相がλ/4遅れてから試料23で反射した反射光(非
回折光)11Rは、膜面6aで反射した後、リング絞り7′
によって遮断される。したがって、位相板8′の部分8a
以外を通過した後試料23で反射した反射光(非回折光)
11Rと、上記部分8aを通過して位相がλ/4遅れてから試
料23に入射して回折、反射した回折光11″とが、膜面6a
で反射した後集光レンズ20により集光され、互いに干渉
する。
以上説明の通りこの装置においては、対物レンズ17が
送光光学系および受光光学系用に共用されている。なお
第5図図示のように、受光側の偏波面保存光ファイバー
24の光入射端前方には、集光レンズ20による集光スポッ
ト径と等しい径の開口を有するアパーチャピンホール5
を配置するのが望ましい。
また、以上説明した各実施例のように光ファイバー1
4、24をそれぞれ送光光学系18、受光光学系21に接続す
る代わりに、光源として半導体レーザ等の小型のものを
用い、また光検出器27としてフォトダイオード等の小型
のものを用いて、それらを移動台15に搭載するようにし
てもよい。
(発明の効果) 以上詳細に説明した通り、本発明の共焦点走査型位相
差顕微鏡においては、送光光学系と受光光学系と位相差
光学系とを一体的に移動台に保持させ、この移動台を往
復移動させて光点の主走査を行なうように構成したか
ら、試料台を高速で移動させる必要がなく、よって試料
が飛んでしまうことを防止可能で、また、高速走査も可
能となる。
そして本発明の共焦点走査型位相差顕微鏡において
は、照明光ビームが振られることがないから、光学系の
設計が容易となり、またガルバノメータミラーやAOD等
の高価な光偏向器が不要で簡単な構造となっているか
ら、本装置は従来の共焦点走査型位相差顕微鏡に比べて
安価に形成可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の第1実施例による共焦点走査型位相
差顕微鏡を示す概略正面図、 第2図と第3図はそれぞれ、上記共焦点走査型位相差顕
微鏡の要部を示す平面図と側面図、 第4図と第5図はそれぞれ、本発明の第2実施例、第3
実施例による共焦点走査型位相差顕微鏡を示す概略正面
図である。 6……ビームスプリッタ、7、7′……リング絞り 8、8′……位相板、10……単色光レーザ 11……照明光、11′……透過光(非回折光) 11″……回折光、11R……反射光(非回折光) 14、24……光ファイバー、15……移動台 16……コリメーターレンズ、17、19……対物レンズ 18……送光光学系、20……集光レンズ 21……受光光学系、22……試料台 23……試料、27……光検出器 32……架台、33……積層ピエゾ素子 34……ピエゾ素子駆動回路 35……2次元移動ステージ 36、39……モータ駆動回路、37、40……パルスモータ 38……マイクロメータ、41……制御回路

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】試料が載置される試料台と、 照明光を発する光源と、 この照明光を試料上において微小な光点として結像させ
    る送光光学系と、 前記試料からの光束を集光して点像に結像させる受光光
    学系と、 この点像を検出する光検出器と、 一方が前記送光光学系側に他方が受光光学系側に配され
    た位相板および絞りを有し、前記試料で回折した照明光
    と、試料を透過あるいはそこで反射した非回折照明光の
    一方のみに位相遅れを与えた上で干渉させる位相差光学
    系と、 前記送光光学系と受光光学系と位相差光学系とを一体的
    に保持する移動台と、 この移動台を、前記光点が前記試料上を一方向に主走査
    するように往復移動させる主走査手段と、 前記移動台と試料台とを、前記主走査の方向とほぼ直交
    する方向に、該主走査の速度よりも低い速度で相対移動
    させて、前記光点を前記試料上において副走査させる副
    走査手段とからなる共焦点走査型位相差顕微鏡。
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