JP2609366B2 - 電界効果型トランジスタ及びこれを用いた液晶表示装置 - Google Patents

電界効果型トランジスタ及びこれを用いた液晶表示装置

Info

Publication number
JP2609366B2
JP2609366B2 JP50180890A JP50180890A JP2609366B2 JP 2609366 B2 JP2609366 B2 JP 2609366B2 JP 50180890 A JP50180890 A JP 50180890A JP 50180890 A JP50180890 A JP 50180890A JP 2609366 B2 JP2609366 B2 JP 2609366B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
semiconductor layer
liquid crystal
conjugated polymer
electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP50180890A
Other languages
English (en)
Inventor
利彦 田中
秀二 土居
裕至 肥塚
顯 津村
宏幸 渕上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Priority to JP50180890A priority Critical patent/JP2609366B2/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2609366B2 publication Critical patent/JP2609366B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Thin Film Transistor (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 この発明は、有機半導体を用いた電界効果型トランジ
スタ(以下、FET素子と略称する)、及びそれを駆動素
子として用いた液晶表示装置に関するものである。
背景技術 従来、FET素子としては、半導体層としてシリコンやG
aAs単結晶を用いたものが知られており、実用に供され
ている。しかし、これらの素子においては、用いられる
材料が高価であるばかりか、素子作成プロセスが大変複
雑である。しかも、素子を組み込むことのできる面積は
ウエハーの大きさで制限される。例えば、大画面液晶表
示素子に用いられるアクティブ駆動素子を作製する場合
においては、上記ウエハーを用いている限り、価格面か
らも、その面積からも著しい制約がある。このような制
約のため、現在では、液晶表示素子において駆動素子と
して用いられるFET素子としては、アモルファスシリコ
ンを用いた薄膜トランジスタが実用に供されている。し
かし、アモルファスシリコンを用いた薄膜トランジスタ
も、表示素子面積の増大化に伴い、低価格で、多くの素
子を一平面上に、しかも均一に作製するのが困難となり
つつある。この様な背景の下に、最近では有機半導体を
用いてFET素子を作製しようとする試みがなされてい
る。有機半導体の中でもπ−共役系高分子を用いたもの
が、高分子材料の特徴である加工性に優れ大面積化が容
易なことから、特に注目されている(特開昭62−85224
号公報)。
π−共役系高分子とは化学構造の骨格が共役二重結合
や三重結合からなっており、π−電子軌道の重なりによ
って形成される価電子帯と伝導帯およびこれを隔てる禁
制帯からなるバンド構造を有しているものと考えられて
いる。禁制帯幅は材料によって異なるが、殆どのπ−共
役系高分子では1〜4eVの範囲にある。このためにπ−
共役系高分子は、それ自身では絶縁体、またはそれに近
い電導度しか示さない。しかし、化学的方法,電気化学
的方法,物理的方法等によって価電子帯から電子を引き
去ったり(酸化)、または伝導帯に電子を注入(還元)
すること(以下、ドーピングという)によって、電荷を
運ぶキャリヤー(担体)が生じるものと説明されてい
る。その結果、ドーピングの量を制御することによっ
て、電導度は絶縁体領域から金属領域に至る幅広い範囲
に渡って任意に変えることが可能である。ドーピングが
酸化反応のときに得られるπ−共役系高分子はp型、還
元反応の場合にはn型になる。これは無機半導体におけ
る不純物添加に似ている。このためにπ−共役系高分子
を半導体材料として用いた、色々な半導体素子を作製す
ることができる。
π−共役系高分子を半導体として用いたFET素子とし
ては、ポリアセチレン(ジャーナル オブ アプライイ
ド フィジクス(J.Appl.Phys.)54巻,3255頁,1983年)
を用いたものが知られている。第15図は、従来のポリア
セチレンを用いたFET素子の断面図である。この図にお
いて、1は基板となるガラス、2はゲート電極となるア
ルミニウム膜、3は絶縁膜となるポリシロキサン膜、4
は半導体層として働くポリアセチレン膜、5および6は
それぞれソース電極およびドレイン電極となる金膜であ
る。
このポリアセチレンを半導体層に用いたFET素子の動
作について説明する。ソース電極5とドレイン電極6の
間に電圧をかけると、ポリアセチレン膜4を通してソー
ス電極5とドレイン電極6の間に電流が流れる。このと
き、ガラス基板1上に設けられ、かつ絶縁膜3によりポ
リアセチレン膜4と隔てられたゲート電極2に電圧を印
加すると、電界効果によってポリアセチレン膜4の電導
度を変えることができ、従ってソース・ドレイン間の電
流を制御することができる。これは絶縁膜3に近接する
ポリアセチレン膜4内の空乏層の幅がゲート電極2に印
加する電圧によって変化し、実効的な正のキャリヤーか
らなるチャネル断面積が変化するためと考えられてい
る。しかし、このFET素子ではゲート電圧によって変え
ることのできるソース・ドレイン間の電流は極めて小さ
い。
π−共役系高分子を半導体として用いたFET素子の他
の例としては、ポリ(N−メチルピロール)(ケミスト
リー レターズ (Chem.Lett.)863頁,1986年)および
ポリチオフェン(アプライド フィジクス レターズ
(Appl.Phys.Lett.)49巻、1210頁,1986年)を適用した
ものが知られている。第16図に、ポリ(N−メチルピロ
ール)またはポリチオフェンを半導体層とするFET素子
の断面図を示す。この図において、3は絶縁膜となる酸
化シリコン、4は半導体層として働くポリ(N−メチル
ピロール)膜またはポリチオフェン膜、5および6はそ
れぞれソース電極およびドレイン電極となる金膜、1は
基板兼ゲート電極となるシリコン板、2はシリコン板7
とオーミック接触をとるための金属である。ポリ(N−
メチルピロール)を半導体層として用いた場合には、半
導体層4を通してソース電極5とドレイン電極6の間を
流れる電流(電導度)をゲート電圧でわずかに制御でき
るだけであり、実用的価値はない。
一方、ポリチオフェンを半導体層に適用した場合に
は、半導体層4を通してソース電極5とドレイン電極6
の間を流れる電流(電導度)をゲート電圧で、100〜100
0倍も変調することができる。しかしながら、従来はポ
リチオフェンを電解重合法によって作製しているため
に、多くのFET素子を同時に、しかも均一に作る場合に
は甚だ問題が多い。
このように、ポリアセチレン並びにポリ(N−メチル
ピロール)を半導体層に用いたFET素子では、ゲート電
圧によって変調できるソース・ドレイン間電流は、小さ
すぎる。更に、ポリチオフェンを半導体層として用いた
FET素子の場合には、ゲート電圧によって変調できるソ
ース・ドレイン間電流は大きく、更に安定性にも優れる
が、ポリチオフェン膜を電界重合法によって直接素子基
板上に作製する手段でFET素子を作製しているために、
素子作製プロセス上、多くのFET素子を大面積基板上に
同時に均一に作製することは難しく、製造上問題となっ
ていた。
発明の開示 本発明に係るFET素子は、半導体層として働くπ−共
役系高分子膜を、最初に下記一般式 (但し、R1及びR2は−H、アルキル基、アルコキシ基の
内の一種、R3は炭素数1〜10の炭化水素基、nは10以上
の整数)で示され、かつ溶剤可溶なπ−共役系高分子前
駆体を用いてπ−共役系高分子前駆体膜を作製し、その
後、この前駆体高分子膜を下記一般式 (但し、R1及びR2は−H、アルキル基、アルコキシ基の
内の一種、nは10以上の整数)で示されるπ−共役系高
分子膜に変えることによって作製するようにしたもので
ある。
また、本発明に係る液晶表示装置は、上記のようなFE
T素子をアクティブ駆動素子として用いたものである。
本発明においては、電解重合等の方法のように直接π
−共役系高分子膜を作る代わりに、上記一般式で示され
る前駆体を用いているので、化学的に安定であり、溶剤
可溶なπ−共役系高分子前駆体からπ−共役系高分子前
駆体膜を作製し、その後、この前駆体高分子膜をπ−共
役系高分子膜に変え、このπ−共役系高分子膜を半導体
層として用いることにより、素子作製プロセスが著しく
容易となり、多くのFET素子を同時に大面積基板上に、
低価格で作ることができるようになったばかりか、作製
した全てのFET素子が安定に動作し、ゲート電圧によっ
て、ソース・ドレイン間電流を大きく変調させることが
できるようになった。
また、上記のように作製したFET素子を液晶表示装置
の駆動素子として用いることにより、大面積化が容易で
あり、優れた性能を有する低価格な液晶表示装置を得る
ことができるようになった。
又別の発明に係るFET素子は、半導体層として働くπ
−共役系高分子膜を、最初に溶剤可溶なπ−共役系高分
子前駆体用いてπ−共役系高分子前駆体のLangmuir−Bl
odgett(以下LBと略す)膜を作製し、その後この前駆体
高分子のLB膜をπ−共役系高分子のLB膜(このLB膜は、
有機薄膜であるが、広義にLB膜という)に変えることに
よって作製するようにしたものである。
また、別の発明に係る液晶表示装置は、上記のような
FET素子をアクティブ駆動素子として用いたものであ
る。
これらの別の発明でも、上記の発明と同様の効果があ
り、素子作製プロセスが著しく容易となり、多くのFET
素子を同時に大面積基板上に、低価格で作ることができ
るようになったばかりか、作製した全てのFET素子が安
定に動作し、ゲート電圧によってソース・ドレイン間電
流を大きく変調させることができるようになった。
また、上記のように作製したFET素子を液晶表示装置
の駆動素子として用いることにより、大面積化が容易で
あり、優れた性能を有する低価格な液晶表示装置を得る
ことができるようになった。
又さらに別の発明に係るFET素子は、ソース電極とド
レイン電極に挟まれた領域を、溶剤可溶な前駆体から得
られるπ−共役系高分子で形成する半導体層と、上記溶
剤可溶な前駆体からπ−共役系高分子を得る反応におい
て、酸を供与する酸供与膜との積層膜とすることによ
り、π−共役系高分子前駆体膜をπ−共役系高分子膜に
効率良く変えることができ、ゲート電圧によってソース
・ドレイン間電流をより大きく変調させることができる
ようになった。
図面の簡単な説明 第1は本発明によるFET素子の一実施例を示す断面
図、第2図は本発明による液晶表示装置の一実施例の一
画素に相当する部分を示す断面図、第3図と第4図はそ
れぞれ本発明によるFET素子の他の実施例を示す断面
図、第5図は本発明による液晶表示装置の他の実施例の
一画素に相当する部分を示す断面図、第6図は、実施例
1のFET素子の各ゲート電圧におけるソース・ドレイン
間電流−ソース・ドレイン間電圧特性図、第7図,第8
図,および第9図はそれぞれ実施例2,実施例3,および実
施例4における同特性図、第10図は実施例1,実施例4の
各FET素子と比較例のFET素子の−50Vのソース・ドレイ
ン間電圧を印加した状態におけるソース・ドレイン間電
流−ゲート電圧特性図、第11図は実施例2,実施例3の各
FET素子と比較例のFET素子の同特性図、第12図は実施例
5の液晶表示装置中のFET素子の各ゲート電圧における
ソース・ドレイン間電流−ソース・ドレイン間電圧特性
図、第13図,第14図は、それぞれ実施例6,実施例7にお
ける同特性図、第15図は従来のポリアセチレンを半導体
層として用いたFET素子を示す断面図、第16図は従来の
ポリ(N−メチルピロール)またはポリチオフェンを半
導体層として用いたFET素子を示す断面図である。
なお図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
発明を実施するための最良の形態 第1図は、この発明によるFET素子の一例を示す構成
図である。図中、1は基板、2は基板1上に設けられた
ゲート電極、3は絶縁膜、4は半導体層として働くπ−
共役系高分子膜又はそのLB膜、5および6はそれぞれソ
ースおよびドレイン電極である。
また、第2図はこの発明による液晶表示装置の一例を
示す断面図である。この図において、1は基板、2は基
板1の片側に設けられたゲート電極、3は基板1および
ゲート電極2上に設けられた絶縁膜、5は絶縁膜3上に
設けられたソース電極、6は同じく絶縁膜3上にソース
電極5と分離して設けられたドレイン電極、4は絶縁膜
3,ソース電極5,およびドレイン電極6上に設けられソー
ス電極5とドレイン電極6にそれぞれ接触するπ−共役
系高分子又はそのLB膜からなる半導体層であり、これら
2ないし6は液晶表示装置の内、FET素子の部分11であ
る。また、7はFET素子11のドレイン電極6と接続した
電極、8は液晶層、9は透明電極、10は偏光板付きガラ
ス板である。電極7および電極9には配向処理を施して
いる。上記7ないし10は液晶表示装置の内、液晶表示の
部分12である。
ここでこの発明によるFET素子および液晶表示装置に
用いる材料としては、以下に述べるものがある。
基板1は絶縁性の材料であればいずれも使用可能であ
り、具体的には、ガラス,アルミナ焼結体やポリイミド
フィルム,ポリエステルフィルム,ポリエチレンフィル
ム,ポリフェニレンスルフィド膜,ポリパラキシレン膜
などの各種絶縁性プラスチックなどが使用可能である。
また、液晶表示装置の場合には基板1としては透明であ
ることが好ましい。
ゲート電極2,ソース電極5およびドレイン電極6とし
ては、金,白金,クロム,パラジウム,アルミニウム,
インジウム,モリブデン等の金属や、低抵抗ポリシリコ
ン,低抵抗アモルファスシリコン,錫酸化物,酸化イン
ジウム,インジウム・錫酸化物(ITO)等を用いるのが
一般的であるが、勿論これらの材料に限られる訳ではな
く、またこれらの材料を2種以上用いても差し支えな
い。ここでこれら電極を設ける方法としては、蒸着,ス
パッタリング,めっき,各種CVD成長等の方法がある。
更に導電性の有機系低分子化合物やπ−共役系高分子を
用いても差し支えない。その場合はLB法も適用可能であ
る。
なお、第1図に示すFET素子や、第2図に示すFET素子
を駆動部とする液晶表示装置においては、p型シリコン
やn型シリコンをゲート電極2と基板1を兼ねて用いて
もよい。この場合には、基板1を省略することができ
る。また、この場合にはp型シリコンやn型シリコンの
体積固有抵抗率は幾らでも良いが、実用上は半導体層と
して用いるπ−共役系高分子膜4のそれよりも小さいこ
とが好ましい。また、FET素子の使用目的に応じて、ゲ
ート電極2と基板1を兼ね、ステンレス板,銅板などの
導電性の板またはフィルムを用いることも可能である。
また絶縁膜3としては絶縁性のものであれば、無機,
有機のいずれの材料でも使用可能であり、一般的には酸
化シリコン(SiO2),窒化シリコン,酸化アルミニウ
ム,ポリエチレン,ポリエステル,ポリイミド,ポリフ
ェニレンスルフィド,ポリパラキシレン,ポリアクリロ
ニトリル,各種絶縁性LB膜等が用いられる。勿論、これ
らの材料を2つ以上併せて用いても良い。これらの絶縁
膜の作製方法としては特に制限はなく、例えばCVD法,
プラズマCVD法,プラズマ重合法,蒸着法,スピンコー
ティング法,ディッピング法,クラスターイオンビーム
蒸着法,LB法などが挙げられるがいずれも使用可能であ
る。また、p型シリコンやn型シリコンをゲート電極2
と基板1を兼ねて用いる場合には、絶縁膜3としてはシ
リコンの熱酸化法等によって得られる酸化シリコン膜が
好んで用いられる。
液晶表示装置の内、液晶表示部12においてFET素子の
ドレイン電極6と短絡した電極7は充分な電導度を有
し、液晶に不溶であるものならばなんでも良く、金,白
金,クロム,アルミニウムなどの金属や錫酸化物,酸化
インジウム,インジウム・錫酸化物(ITO)などの透明
電極、あるいは導電性を有する有機系高分子を用いても
良い。勿論、これらの材料を2つ以上組み合わせて用い
ても良い。ガラス板10上の電極9としては錫酸化物,酸
化インジウム・錫酸化物(ITO)などの透明電極を用い
るのが一般的である。また、適度の透明度を有する導電
性有機系高分子を用いても良い。あるいはこれらの材料
を2つ以上併せて用いても良い。ただし、これら電極7
および電極9には、SiO2の斜め蒸着またはラビング等の
配向処理を施しておく必要がある。液晶層8にはゲスト
・ホスト型液晶,TN型液晶,またはスメクチックC相液
晶等の液晶が用いられるが、基板1においてガラスを用
い、電極7に透明電極を用いる場合には、基板1に偏光
板を取り付けることによりコントラスト比が上がる。偏
光板付きガラス板10の偏光板は偏光するものであればな
んでも良い。
また、半導体層として働くπ−共役系高分子膜又はそ
のLB膜4の材料としては、そのπ−共役系高分子の前駆
体が溶剤に可溶であれば使用可能であり、2種以上を併
せて用いても良い。また前駆体のLB膜の作製には、両親
媒性を有しているものが好んで用いられる。π−共役系
高分子の前駆体が溶剤に可溶であるものの内、特に一般
式(1) (但し、R1およびR2は−H,アルキル基、アルコキシ基の
内の一種、nは10以上の整数)で表されるπ−共役系高
分子がFET素子の特性上優れている。更に、π−共役系
高分子前駆体の合成の容易さから、R1およびR2が−Hの
π−共役系高分子が好んで用いられる。ここで溶剤と
は、各種有機溶媒,水、およびそれらの混合されたもの
をいう。
特に前駆体のLB膜の作製には、水よりも比重が軽く、
水に溶けにくく、かつ蒸発しやすい有機溶媒が好んで用
いられる。
次に一般式(1)において、R1およびR2が共に−Hで
あるπ−共役系高分子の前駆体について説明する。一般
式(1)において、R1およびR2が共に−Hであるπ−共
役系高分子の前駆体としては、一般式(2) (但し、R3は炭素数1〜10の炭化水素基)で表されるも
のが保存安定性の観点から好んで用いられる。ここで、
一般式(2)の中のR3としては、炭素数1〜10の炭化水
素基であればいずれも使用可能であり、例えばメチル,
エチル,プロピル,イソプロピル,n−ブチル,2−エチル
ヘキシル,シクロヘキシル基等が挙げられるが、炭素数
1〜6の炭化水素基、特にメチル、エチル基が実用上好
まれる。本発明に用いられる高分子前駆体の合成法につ
いては、特に制限はないが、以下に述べるスルホニウム
塩分解法によって得られる高分子前駆体が、安定性の上
から好ましい。
一般式(2)をスルホニウム塩分解法によって得る場
合のモノマーとしては、一般式(3) (但し、R4およびR5は炭素数1〜10の炭化水素基、A-
対イオン)で表される2,5−チェニレンジアルキルスル
ホニウム塩が用いられる。ここで一般式(3)中のR4
よびR5としては、炭素数1〜10の炭化水素基であればい
ずれも使用可能であり、例えばメチル,エチル,プロピ
ル,イソプロピル,n−ブチル,2−エチルヘキシル,シク
ロヘキシル,ベンジル基等が挙げられるが、炭素数1〜
6の炭化水素基、特にメチル,エチル基が好んで用いら
れる。対イオンA-としては特に制限がないが、例えばハ
ロゲン,水酸基,4フッ化ホウ素,過塩素酸,カルボン
酸,スルホン酸イオン等が挙げられるが、そのなかでも
塩素,臭素等のハロゲンおよび水酸基イオンが好まし
い。
一般式(3)を縮合重合して一般式(2)を得る場合
の溶媒としては、水,アルコール単独、並びに水および
/またはアルコールを含む混合溶媒などが用いられる。
縮合重合させる場合には、反応溶液はアルカリ溶液であ
ることが好ましく、アルカリ溶液としてはpH11以上の強
い塩基性溶液であることが好ましい。用いられるアルカ
リとしては、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水酸
化カルシウム,第4級アンモニウム塩水酸化物,スルホ
ニウム塩水酸化物,強塩基性イオン交換樹脂(OH型)等
が挙げられるが、特に水酸化ナトリウム,水酸化カリウ
ム,第4級アンモニウム塩水酸化物,強塩基性イオン交
換樹脂が好んで用いられる。
スルホニウム塩が熱、光、特に紫外線,強塩基性など
の条件下では不安定であるために、縮合重合の後、徐々
に脱スルホニウム塩化が生じ、アルコキシ基への変換が
有効に行えなくなくため、縮合重合反応は比較的低温、
即ち、℃以下、特に25℃以下、更に−10℃以下の温度で
反応を行うのが望ましい。反応時間は重合温度により適
宜決めればよく、特に限定されないが、通常10分〜50時
間の範囲にある。
スルホニウム塩分解法によれば、重合後、最初にπ−
共役系高分子の前駆体はスルホニウム塩、 即ち を側鎖に有する高分子量の高分子電解質(高分子スルホ
ニウム塩)として生成するが、スルホニウム塩側鎖が溶
液中のアルコール(R3OH)と反応し、アルコールのアル
コキシ基〔(2)式中のOR3に相当する〕が側鎖とな
る。従って、用いる溶媒は上記のR3OHのアルコールを含
むことが必要である。これらのアルコールは単独または
他の溶媒と併用して用いても良い。混合して用いる溶媒
はアルコールに可溶であれば特に制限はないが、実用上
水が好んで用いられる。混合溶媒を用いるときの混合比
についてはアルコールが存在しておれば良いが、アルコ
ールは5重量パーセント以上であるのが好ましい。
スルホニウム側鎖をアルコキシ基に置換する反応にお
いては、縮合重合後アルコールを含む溶媒中で縮合重合
温度より高くすることで、有効にスルホニウム側鎖をア
ルコキシ基に置換させることができる。重合の溶媒が上
記アルコールを含む場合、重合に引き続いてアルコキシ
基の置換反応を行わせることができる。一方、重合の溶
媒が水などで、アルコールを含まない場合には、重合後
アルコールを混合して同様に行うことができる。アルコ
ール基への置換反応では、反応速度の観点から0℃から
50℃が好ましく、0℃から25℃がより好ましい。アルコ
キシ基を側鎖に有する高分子は、一般的に用いた混合溶
媒に不溶であるので、反応の進行と共に沈澱する。従っ
て反応時間は沈澱が充分生じるまで行うのが効果てきで
あり、15分以上が好ましいが、収量の観点からは1時間
以上が好ましい。このようにして側鎖にアルコキシ基を
有するπ−共役系高分子前駆体は沈澱生成物をろ過する
ことによって分離される。
塗布性の高いπ−共役系高分子前駆体を得るために
は、分子量が充分大きいことが好ましく、少なくとも一
般式(2)のπ−共役系高分子前駆体の繰り返し単位n
を10以上、好ましくは20ないし50000を有するもの、例
えば分画分子量3500以上の透析膜による透析処理で透析
されない分子量を有するようなものが効果的に用いられ
る。
一般式(2)でしめされるアルコキシ基などの脱離基
を側鎖に有するπ−共役系高分子前駆体は溶解性に優
れ、多くの有機溶媒に可溶であり、これらの有機溶媒と
してはジメチルホルムアミド,ジメチルアセトアミド,
ジメチルスルホキシド,ジオキサン,クロロホルム,テ
トラヒドロフラン等が挙げられる。
又前駆体のLB膜の作製には、水よりも比重が軽く、水
に溶けにくく、かつ蒸発しやすい有機溶媒が好ましい。
本発明において用いられるπ−共役系高分子前駆体薄
膜を得る方法としては、溶剤に溶かしたπ−共役系高分
子前駆体溶液を用いて、スピンコート法,キャスト法,
ディッピング法,パーコート法,ロールコート法等が用
いられる。その後、溶剤を蒸発させてπ−共役系高分子
前駆体薄膜を得、このπ−共役系高分子前駆体薄膜を加
熱することによって半導体をして働くπ−共役系高分子
膜を得る。π−共役系高分子前駆体薄膜を加熱すること
によって、π−共役系高分子膜にするときの加熱条件と
しては特に制限がないが、実用上200℃以上、300℃以下
で、不活性気体雰囲気下で行うことが望ましい。勿論、
200℃以下の加熱においても、π−共役系高分子前駆体
薄膜をπ−共役系高分子膜にすることは可能である。ま
た、HClやHBrなどのプロトン酸を含む不活性気体雰囲気
下で加熱すると、π−共役系高分子前駆体薄膜からπ−
共役系高分子薄膜への変換がスムーズに進む場合が多
い。
一方本発明において用いられるπ−共役系高分子前駆
体のLB膜を得る方法としては、純粋または塩の水溶液等
をサブフェイズとし溶剤に溶かしたπ−共役系高分子前
駆体溶液を展開液として用いて、Kuhn型トラフを用いた
垂直浸漬法,水平付着法,およびムービングウォール型
トラフを用いたLB膜作製法等によるLB法を用い、基板に
堆積する。その後、水分を蒸発させて乾燥したπ−共役
系高分子前駆体のLB膜を得、このπ−共役系高分子前駆
体のLB膜を加熱することによって半導体として働くπ−
共役系高分子のLB膜を得る。π−共役系高分子前駆体の
LB膜を加熱することによって、π−共役系高分子のLE膜
にするときの加熱条件としては特に制限はないが、実用
上200℃以上、300℃以下で、不活性気体雰囲気下で行う
ことが望ましい。勿論、200℃以下の加熱においても、
π−共役系高分子前駆体のLB膜をπ−共役系高分子のLB
膜にすることは可能である。また、HClやHBrなどのプロ
トン酸を含む不活性気体雰囲気下で加熱すると、π−共
役系高分子前駆体のLB膜からπ−共役系高分子のLB膜へ
の変換がスムーズに進む場合が多い。
なお前駆体のLB膜の作製上、π−共役系高分子の前駆
体が溶剤可溶であっても、充分な両親媒性を有していな
い場合には、これをステアリン酸やアラキジン酸などの
良好な両親媒性化合物と混合して調整した展開液を用い
てLB膜を作製することが可能である。またサブフェイズ
上の両親媒性化合物の単分子膜に上記π−共役系高分子
の前駆体を吸着させてLB膜を作製することが可能であ
る。
このように、π−共役系高分子膜を、従来の電解重合
等のように直接π−共役系高分子膜又はそのLB膜を作る
のではなく、最初に溶剤可溶なπ−共役系高分子前駆体
を用いて高分子前駆体膜又はそのLB膜を作製し、これを
π−共役系高分子膜又はそのLB膜に変えるようにすれ
ば、π−共役系高分子膜又はそのLB膜を大面積基板上に
均一に作製することが容易となる。
π−共役系高分子は、ドーピング処理を施さなくても
電導度は低いものの、一般的には半導体としての性質を
示すものは多い。しかし、FET素子の特性の向上のため
に、しばしばドーピング処理が行われる。このドーピン
グの方法としては化学的方法と物理的方法がある。(工
業材料,34巻,第4号,55頁,1986年)。前者には気相
からのドーピング,液相からのドーピング,電気化
学的ドーピング,光開始ドーピング等の方法があり、
後者ではイオン法入法があり、いずれも使用可能であ
る。
次に、第3図と第4図はそれぞれ本発明によるFET素
子の他の実施例を示す断面図で、13は第3図ではπ−共
役系高分子膜4上に積層し、第4図では基板1とゲート
電極2上に積層したもので、それぞれπ−共役系高分子
膜4の前駆体膜からπ−共役系高分子膜への変換反応を
促進させる酸供与膜である。第3図において、π−共役
系高分子膜4と酸供与膜13の位置を交換し、すなわち絶
縁膜3、ソース電極5とドレイン電極6上に酸供与膜13
を積層し、酸供与膜13上にπ−共役系高分子膜を積層し
た構成としても、作製されたFET素子はゲート電圧の印
加により、ソース・ドレイン電流を制御することができ
る。
第5図は本発明による液晶表示装置の他の実施例を示
す断面図で、13はπ−共役系高分子膜4上に積層し、π
−共役高分子4の前駆体膜からπ−共役系高分子への変
換反応を促進させる酸供与膜である。
第3図,第4図及び第5図におけるその他の部分は、
上述した第1図及び第2図の相当部分と同様なものであ
り、作製法も同様である。
酸供与層13は、π−共役系高分子前駆体からπ−共役
系高分子4への変換反応を促進させるための酸を供与す
るものであれば良く、特に制限はない。
但し、FET素子特性上、酸供与膜自体は絶縁体である
方が望ましい。例えば、ポリイミドフィルム,ポリエス
テルフィルム,ポリエチレンフィルム,ポリフェニレン
スルフィドフィルム,ポリパラキシレンフィルム等を用
いた酸含浸高分子膜、ルイス酸・アミン錯体,第三アミ
ン類,ルイス酸ジアゾニウム塩,ルイス酸ジアリルイオ
ドニウム塩,ルイス酸スルホニウム塩等の酸発生剤を含
有した上記高分子膜,p−キシリレン−ビス(スルホニウ
ム ハロゲナイド)あるいはその誘導体等反応により容
易に酸を脱離する膜等があげられる。酸供与膜を得る方
法としては特に制限はないが、例えばCVD法、プラズマC
VD法、プラズマ重合法、蒸着法、クラスターイオンビー
ム蒸着法、有機分子線エピタキシャル成長法、スピンコ
ーティング法、ディッピング法、LB法などが挙げられる
がいずれも使用可能である。
以下、一例として、一般式(1)で表されるπ−共役
系高分子を半導体層に用い、一般式(4) (但し、R6は、−H,アルキル基,アルコキシ基の内の一
種、nは10以上の整数)で表されるπ−共役系高分子を
酸供与膜に用いたものについて説明する。一般式(4)
は、一般式(5) (但し、R6は、−H,アルキル基,アルコキシ基の内一
種,R7及びR8は炭素数1〜10の炭化水素基、X-はBr,Cl等
のハロゲン、nは10以上の整数)で表されるπ−共役系
高分子前駆体を有する。一般式(5)は水溶性であり、
スピンコート法、キャスト性、ディッピング法、バーコ
ート法、ロールコート法等を用いて、容易に膜を形成で
きる。したがって半導体層となるπ−共役系高分子薄膜
前駆体(一般式(2))と酸供与膜となるπ−共役系高
分子前駆体膜(一般式(5))からなる積層膜を得る方
法としては特に制限はないが、溶剤に溶かしたπ−共役
系高分子前駆体溶液を用いて、スピンコート法,キャス
ト法,ディッピング法,バーコート法,ロールコート法
等により半導体となるπ−共役高分子前駆体膜(一般式
(2))を得、溶剤を蒸発させた後、上記同様の手法に
より酸供与膜(一般式(5))を積層するのがFET素子
作製上好ましい。あるいは上記のごとく酸供与膜(一般
式(5))を得た後に、溶剤に溶かしたπ−共役系高分
子前駆体溶液を用いて、スピンコート法,キャスト法,
ディッピング法,バーコート法,ロールコート法等によ
り半導体層となるπ−共役系高分子前駆体膜(一般式
(2))を得、積層膜としてもよい。もちろん、上記積
層は繰り返し行っても構わない。その後、上記のごとく
得られた積層膜を加熱することによって、半導体として
働くπ−共役系高分子膜(一般式(1))と絶縁膜(一
般式(4))の積層膜を得る。π−共役系高分子前駆体
薄膜(一般式(2))と酸供与膜(一般式(5))から
なる積層膜を加熱することによって、π−共役系高分子
膜(一般式(1))と絶縁膜(一般式(4))からなる
積層膜を得る加熱条件としては特に制限はないが、実用
上100℃以上、300℃以下で、不活性気体雰囲気下で行う
事が望ましい。
上記のように酸供与膜としてπ−共役系前駆体膜(一
般式(5))を用いたときの酸供与法について説明す
る。酸供与層であるπ−共役系高分子前駆体膜(一般式
(5))は、加熱により、π−共役系高分子(一般式
(4))へ変換し、その際に、スルホニウム 及び酸(HX)を脱離する。この脱離した酸が、半導体層
となるπ−共役系高分子前駆体膜(一般式(2))へ拡
散することにより酸が供与される。
なお、酸供与膜のうち、絶縁体のものは、FET素子に
おいて、酸供与膜とゲート絶縁膜を兼ねることができる
(第4図)。この場合は、FET素子作製プロセスを簡略
化できる。
上記のように構成されたFET素子並びにこのFET素子を
駆動素子とする液晶表示装置の動作機構について、液晶
表示装置の動作機構を述べることによって説明する。
動作機構については未だ不明の点が多いが、π−共役
系高分子膜又はそのLB膜4と絶縁膜3の界面において、
π−共役系高分子膜4又はそのLB膜側に形成した空乏層
の幅がゲート電極2とソース電極5との間にかけた電圧
で制御され、実効的なキャリヤーのチャネル断面積が変
化するためにソース電極5とドレイン電極6の間を流れ
る電流が変化すると考えられる。このとき、π−共役系
高分子膜4又はそのLB膜として電導度の低いp型半導体
性しか持たせていない場合には、ゲート電極2としては
金属電極以外にp型シリコンやn型シリコン、あるいは
導電性を有する有機系高分子などの電導度の高い材料を
用いても、π−共役系高分子膜4又はそのLB膜中に充分
大きな幅の空乏層が形成されて電界効果が現れると考え
られる。
本発明の液晶表示装置において、上記FET素子部11と
液晶表示部12は直列に接続されている。π−共役系高分
子膜4又はそのLB膜がp型半導体性を示す場合には、ソ
ース電極5を基準として透明電極9に負電圧を印加して
おき、ゲート電極2に負電圧を印加すると、液晶8が点
灯することになる。これは上述したように、FET素子の
ソース・ドレイン電極間の抵抗がゲート電極2への負電
圧印加により減少し、液晶表示部12に電圧がかかるため
であると考えられる。一方、ソース電極5を基準として
透明電極9に負電圧を印加したままゲート電圧を切る
と、液晶8は点灯しなくなる。これはFET素子のソース
・ドレイン電極間の抵抗が大きくなり、液晶表示部12に
電圧がかからなくなるためであると考えられる。以上の
ように、本発明の液晶表示装置では、付属させたFET素
子に印加するゲート電圧を変えることにより、液晶表示
部12の駆動を制御できる。
なお、第2図では基板1上にゲート電極2が設けられ
ているが、逆に、基板上にπ−共役系高分子膜又はLB膜
を設け、その上にソース電極及びそのソース電極と分離
してドレイン電極を設け、上記ソース電極及びドレイン
電極との間に絶縁膜を介在させて、絶縁膜上にゲート電
極を設けても良い。また、基板上にゲート電極を設け、
絶縁膜を介在させて、その上にπ−共役系高分子膜又は
LB膜を設け、更にその上にソース電極及びこのソース電
極と分離してドレイン電極を設けても良い。あるいはま
た、基板上にソース電極及びこのソース電極と分離して
ドレイン電極を設け、この上にπ−共役系高分子膜又は
LB膜を設け、更に絶縁膜を介在させてゲート電極を設け
ても良い。
また第3図では半導体層となるπ−共役系高分子膜4
の上に酸供与膜13が設けられているが、逆に、基板1上
にゲート電極2を設け、絶縁膜3を介在させて、その上
にソース電極5及びドレイン電極6を設け、その上に酸
供与膜13を設け、その上に半導体層であるπ−共役系高
分子膜4を設けてもよい。あるいはまた、第4図に示す
ように、基板1上にゲート電極2を設け、その上に酸供
与層13を設けその上にソース電極5及びドレイン電極6
設け、さらにその上に半導体層であるπ−共役系高分子
膜4を設け、酸供与膜13とゲート絶縁膜3を兼ねて使用
してもよい。あるいはまた、基板1上にゲート電極2を
設け、その上に絶縁膜3を兼ねた酸供与層13を設け、そ
の上に半導体層であるπ−共役系高分子膜4を設け、そ
の上にソース電極5及びドレイン電極6を設けてもよ
い。
あるいはまだ基板1上にゲート電極2を設け、絶縁膜
3を介在させて、その上にπ−共役系高分子膜4を設
け、その上に酸供与膜13設け、更にその上にソース電極
5及びドレイン電極6を設けても良い。或はまた基板1
上にソース電極5及びドレイン電極6を設け、この上に
π−共役系高分子膜4を設け、さらに酸供与膜13を兼ね
た絶縁膜3を介在させて、その上にゲート電極2を設け
ても良い。
また、第2図及び第5図の例ではFET素子部11と液晶
表示部12を同一基板上に作製したが、これらを別々の基
板上に作製した後接続しても良い。
以下具体的な実施例にて本発明を詳細に説明するが、
これによって本発明を限定するものではない。
実施例1 抵抗率が4〜8Ωcmである3インチn型シリコン板を
酸素気流中で加熱し、厚さ3000Åの酸化シリコン膜で被
覆した。次に、片側の酸化シリコン膜上に通常の真空蒸
着法,フォトリングラフィー技術,及びエッチング技術
を用いて、厚さ200Åのクロムを下地とする厚さ300Åの
金電極を5対設けた。この5対の金電極は、FET素子に
おいてソース電極とドレイン電極として働く。ここで一
対の金電極の幅、即ちチャネル幅は2mmであり、両電極
の間隔、即ちチャネル長は6μmであるようにした。こ
のようにして作製した基板を以下FET素子基板と呼ぶ。
上記FET素子基板の温度及び雰囲気温度を約60℃に設
定し、次の化学構造からなるポリ(2, 5−チェニレンビニレン)前駆体の約2wt%ジメチルホ
ルムアミド(DMF)溶液を用いて、スピンコート法にて
前駆体フィルムをFET素子基板上に得た。このとき、ス
ピナーの回転数は毎分2000回転とした。得られた前駆体
フィルムの膜厚は、約800Åであった。
次に、ポリ(2,5−チェニレンビニレン)前駆体フィ
ルムで被覆したFET素子基板を赤外線イメージ炉にて、
約2時間、窒素気流下、270℃の条件で加熱した。この
結果、前駆体フィルムの色は、淡黄色から褐色に変わっ
た。上記加熱処理によって、ポリ(2,5チェニレンビニ
レン)前駆体フィルムはポリ(2,5−チェニレンビニレ
ン)フィルムへと変わり、これに伴い、赤外線吸収スペ
クトルにおいて、1590cm-1に基づく吸収が現れた。
次に、上記のようにして得られたフィルムで被覆した
FET素子基板の他面の酸化シリコン膜を機械的に剥離し
て、裸のシリコン表面にガリウムとインジウムの合金を
塗布してオーミック接触を取った。
以上のようにして、シリコン板自体が5個のFET素子
の共通ゲート電極として働き、シリコン板上の酸化シリ
コン膜が5個のFET素子の共通のゲート絶縁膜として働
くようにした。このようにして、第1図に示すFET素子
を得た。ここで1及び2は基板兼ゲート電極であるシリ
コン板であり、3は絶縁膜である酸化シリコン膜、4は
半導体層として働くポリ(2,5−チェニレンビニレン)
前駆体膜から得られたポリ(2,5−チェニレンビニレ
ン)膜、5及び6はそれぞれソース及びドレイン電極と
して働く金膜である。
実施例2 実施例1で作製したFET素子基板を用いる。サブフェ
イズ(水)の温度を約20℃に設定し、次の化学構造から
なるポリ(2, 5−チェニレンビニレン)前駆体の約2wt%ジメチルホ
ルムアミド(DMF)溶液0.5mlとクロロホルム9.5mlを混
合した溶液を展開液として用いて、Kuhn型トラフによる
垂直浸漬法にて前駆体のLB膜を上記FET素子基板上を得
た。このとき表面圧πは20mN/mとした。得られた前駆体
LB膜の層数は、100層であった。
次に、ポリ(2,5−チェニレンビニレン)前駆体のLB
膜で被覆したFET素子基板を赤外線イメージ炉にて、約
2時間、窒素気流下、210℃の条件で加熱処理した。こ
の結果、前駆体LB膜の色は、淡黄色から褐色に変わっ
た。上記加熱処理によって、ポリ(2,5−チェニレンビ
ニレン)前駆体のLB膜はポリ(2,5−チェニレンビニレ
ン)のLB膜へと変わり、これに伴い、赤外線吸収スペク
トルにおいて、1590cm-1に基づく吸収が現れた。
次に、上記のようにして得られたLB膜で被覆したFET
素子基板の他面の酸化シリコン膜を機械的に剥離して、
裸のシリコン表面にガリウムとインジウムの合金を塗布
してオーミック接触を取った。
以上のようにして、シリコン板自体が5個のFET素子
の共通ゲート電極として働き、シレコン板上の酸化シリ
コン膜が5個のFET素子の共通のゲート絶縁膜として働
くようにした。このようにして、第1図に示すFET素子
を得た。ここで1及び2は基板兼ゲート電極であるシリ
コン板であり、3は絶縁膜である酸化シリコン膜、4は
半導体層として働くポリ(2,5−チェニレンビニレン)
前駆体のLB膜から得られたポリ(2,5−チェニレンビニ
レン)のLB膜、5及び6はそれぞれソース及びドレイン
電極として働く金膜である。
実施例3 第1図に示す構造のFET素子を得るための、実施例2
とは異なる加熱処理を用いた他の実施例を以下に示す。
実施例2と同様にして、LB法により、FET素子基板上
にポリ(2,5−チェニレンビニレン)のLB膜(100層)を
得た。ただし、この実施例ではFET素子基板上の金電極
を厚さ200Åのクロムを下地とする厚さ300Åの白金電極
に代えている。
次に、ポリ(2,5−チェニレンビニレン)前駆体のLB
膜で被覆したFET素子基板を赤外線イメージ炉にて、約
1.5時間、塩化水素ガスを含む窒素気流下、90℃の条件
で加熱処理した。この結果、前駆体LB膜の色は、淡黄色
から金属光沢を帯びた暗紫色に変わった。上記加熱処理
によって、ポリ(2,5−チェニレンビニレン)前駆体のL
B膜はポリ(2,5−チェニレンビニレン)のLB膜へと完全
に変化した。これに伴い、赤外線吸収スペクトルにおい
て、1590cm-1に基づく吸収が現れ、1099cm-1のC−O−Cに基づ
くと思われる吸収が消失した。
以下、実施例2と同様にして、シリコン板自体が5個
のFET素子の共通ゲート電極として働き、シリコン板上
の酸化シリコン膜が5個のFET素子の共通のゲート絶縁
膜として働くようにし、第1図に示す構造のFET素子を
得た。ここで1及び2は基板兼ゲート電極であるシリコ
ン板であり、3は絶縁膜である酸化シリコン膜、4は半
導体層として働くポリ(2,5−チェニレンビニレン)前
駆体のLB膜から得られたポリ(2,5−チェニレンビニレ
ン)のLB膜、5及び6はそれぞれソース及びドレイン電
極として働く白金膜である。
実施例4 実施例1で用いたものと同様のFET素子基板の温度及
び雰囲気温度を約60℃に設定し、次の化学構造からなる ポリ(2,5−チェニレンビニレン)前駆体の約2wt%ジメ
チルホルムアミド(DMF)溶液を用いてスピンキャスト
法にて前駆体フィルムをFET素子基板上に得た。このと
き、スピナーの回転数は毎分2000回転とした。得られた
前駆体フィルムの膜厚は、約800Åであった。溶媒をあ
る程度蒸発させた後、さらに、上記FET素子基板の温度
及び雰囲気度を約60℃に設定し、次の化学構造からなる ポリ(p−フェニレンビニレン)前駆体の約2wt%水溶
液を用いてスピンキャスト法にてポリ(p−フェニレン
ビニレン)前駆体フィルムをポリ(2,5−チェニレンビ
ニレン)前駆体上に得た。このとき、スピナーの回転数
は毎分2000回転とした。得られた前駆体フィルムの膜厚
は700Åであった。
次に、ポリ(2,5−チェニレンビニレン)前駆体フィ
ルムとポリ(p−フェニレンビニレン)前駆体フィルム
の2層膜で被覆したFET素子基板を赤外線イメージ炉に
て、窒素気流下、210℃の条件で約2時間加熱した。こ
の結果、フィルムの色は、淡黄色から暗褐色ないし暗紫
色に変わった。上記加熱処理によって、ポリ(2,5−チ
ェニレンビニレン)前駆体フィルムとポリ(p−フェニ
レンビニレン)前駆体フィルムからなる積層膜は、それ
ぞれポリ(2,5−チェニレンビニレン)フィルムとポリ
(p−フェニレンビニレン)からなる積層膜へと変わ
り、これに伴い赤外線吸収スペクトルにおいて、1590cm
-1にポリ(2,5−チェニレンビニレン)のC=Cに基づ
く吸収が、970cm-1にポリ(p−フェニレンビニレン)
のC=Cに基づく吸収がそれぞれ現れた。一方、加熱処
理による反応中、ポリ(2,5−チェニレンビニレン)か
ら成る半導体層以外の素子構成部には酸による腐蝕等の
悪影響はなかった。
次に、上記のようにして得られたフィルムで被覆した
FET素子基板の他面の酸化シリコン膜を機械的に剥離し
て、裸のシリコン表面にガリウムとインジウムの合金を
塗布してオーミック接触を取った。
以上のようにしてシリコン板自体が5個のFET素子の
共通のゲート電極として働き、シリコン板上の酸化シリ
コン膜が5個のFET素子の共通のゲート絶縁膜として働
くようにした。このようにして、第3図に示すFET素子
を得た。ここで1及び2は基板兼ゲート電極であるシリ
コン板であり、3は絶縁膜である酸化シリコン膜、4は
半導体層として働くポリ(2,5−チェニレンビニレン)
前駆体膜から得られたポリ(2,5−チェニレンビニレ
ン)膜、5及び6はそれぞれソース及びドレイン電極と
して働く金膜、13は酸供与膜として働く(p−フェニレ
ンビニレン)前駆体膜から得られたポリ(p−フェニレ
ンビニレン)膜である。
実施例5 第2図に示す構造の液晶表示装置の作製法の一例を以
下に示す。抵抗率が4〜8Ωcmであり、厚さ300μmの
n型シリコン板(25mm×40mm)を熱酸化して厚さ約900
Åの酸化膜(SiO2膜)を両面に形成させた。この表面上
に第2図におけるソース電極5,ドレイン電極6,及び電極
7となるべき金電極(下地クロム200Å,金300Å)を実
施例1と同様にして設けた。ここでソース電極5及びド
レイン電極6は、いずれも有効面積2mm×4mmであり、3
μm幅で分離されている。即ち、FET素子としたときに
チャネル幅が2mmであり、チャネル長が3μmになるよ
うにした。また、電極7は有効面積17×19mm2単位であ
る。以下、この基板を液晶表示装置基板と呼ぶ。ポリ
(2,5−チェニレンビニレン)前駆体の約2wt%のDMF溶
液を用いて、実施例1と同様にして、上記液晶表示装置
基板上にポリ(2,5−チェニレンビニレン)前駆体フィ
ルムを得た。
次に、この液晶表示装置基盤のFET素子部以外のポリ
(2,5−チェニレンビニレン)前駆体フィルムをクロロ
ホルムを用いて洗浄後、この基板を赤外線イメージ炉を
用いて、約1%の塩化水素ガスを含む窒素気流中で約1
時間、200℃で加熱した。以上の操作により、FET素子部
のみポリ(2,5−チェニレンビニレン)フィルムで被覆
し、液晶表示装置の内、第2図におけるFET素子部11を
完成させた。
次に、液晶表示装置基板とこれと対向させるITO9を形
成したガラス板10上にSiO2を斜め蒸着し液晶の配向が起
こるように配向処理を施した。そして、液晶表示装置基
板とこれと対向させるITO9を形成したガラス板10との間
に10μm厚のポリエステルフィルムを液晶表示部が開口
部となるように一部分だけ残してはさみ込み、その周辺
を同じく一部分だけ残してエポキシ樹脂で封止した。そ
して、この未封止部分からゲスト・ホスト液晶(Merck
社製 商品名 ZLI1841)を注入してエポキシ樹脂で封
止し、ガラス板10上に偏光板をはり合わせ、液晶表示装
置の内、液晶表示部12を完成させた。
最後に、液晶表示装置基板の裏面のSiO2の一部をはが
し、ここにガリウムとインジウムの合金を塗布して、オ
ーミックコンタクトを取り、これに銀ペーストでリード
線を取り付けて、液晶表示装置を完成させた。
実施例6 ポリ(2,5−チェニレンビニレン)前駆体の約2wt%の
DMF溶液0.5mlとクロロホルム9.5mlを混合した溶液を展
開液として用いて、実施例1と同様にして、上記液晶表
示装置基板上にポリ(2,5−チェニレンビニレン)前駆
体のLB膜(100層)を得た。
次に、この液晶表示装置基板のFET素子部以外のポリ
(2,5−チェニレンビニレン)前駆体のLB膜をクロロホ
ルムを用いて洗浄後、この基板を赤外線イメージ炉を用
いて、約1%の塩化水素ガスを含む窒素気流中で1.5時
間、90℃で加熱した。以上の操作により、FET素子部の
みポリ(2,5−チェニレンビニレン)のLB膜で被覆し、
液晶表示装置の内、第2図におけるFET素子部11を完成
させた。
次に、液晶表示装置基板とこれと対向させるITO9を形
成したガラス板10上にSiO2を斜め蒸着し液晶の配向が起
こるように配向処理を施した。そして、液晶表示装置基
板とこれと対向させるITO9を形成したガラス板10との間
に10μm厚のポリエステルフィルムを液晶表示部が開口
部となるように一部分だけ残してはさみ込み、その周辺
を同じく一部分だけ残してエピキシ樹脂で封止した。そ
して、この未封止部分からゲスト・ホスト液晶(Merck
社製 商品名 ZLI1841)を注入してエポキシ樹脂で封
止し、ガラス板10上に偏光板をはり合わせ、液晶表示装
置の内、液晶表示部12を完成させた。
最後に、液晶表示装置基板の裏面のSiO2の一部をはが
し、ここにガリウムとインジウムの合金を塗布して、オ
ーミックコンタクトを取り、これに銀ペーストでリード
線を取り付けて、液晶表示装置を完成させた。
実施例7 第5図に示す構造の液晶表示装置の作製法の一例を以
下に示す。上記液晶表示装置基板上にポリ(2,5−チェ
ニレンビニレン)前駆体の約2wt%のDMF溶液を用い、実
施例4と同様にしてポリ(2,5−チェニレンビニレン)
前駆体フィルムを得た。次に、このポリ(2,5−チェニ
レンビニレン)前駆体フィルム上にポリ(パラ−フェニ
レンビニレン)前駆体の約2wt%の水溶液を用い、実施
例4と同様にしてポリ(パラ−フェニレンビニレン)前
駆体フィルムを得た。この液晶表示装置基板のFET素子
部以外のポリ(2,5−チェニレンビニレン)前駆体なら
びにポリ(パラ−フェニレンビニレン)前駆体フィルム
をクロロホルムを用いて洗浄後、この基板を赤外線イメ
ージ炉を用いて窒素気流中で約1時間、200℃で加熱し
た。以上の操作により、FET素子部のみポリ(2,5−チェ
ニレンビニレン)及びポリ(パラ−フェニレンビニレ
ン)で被覆し、液晶表示装置の内第5図におけるFEB素
子部11を完成させた。次いで、実施例5と同様の操作に
より、液晶表示装置の内、液晶表示部12を完成させた。
さらに、実施例5と同様に、液晶表示装置を完成させ
た。
比較例 比較例の素子は前述の文献(Appl.Phys.Lett.,49巻
1210頁 1986年)に従って作製した。即ち、75mlのアセ
トニトリルに、モノマーとして2,2′−ジチオフェンを
0.15g溶かし、電界質として過塩素酸テトラエチルアン
モニウムを0.55g溶かしてこれを反応溶液とした。この
反応溶液に高純度窒素ガスを通気して充分脱気した後、
これに実施例1で得たFET素子基板を浸した。次にFET素
子基板上の5対の金電極を作用極として対極の白金電極
(10mm×20mm)との間に一定電流(100μA/cm2)を480
秒間流して電解重合を行い、5対の金電極上及びその周
辺の酸化シリコン膜上に厚さ約1400Åのポリチオフェン
膜を得た。このポリチオフェン膜には電解重合と同時に
多量の過塩素酸イオンがドーピングされているため、電
解重合後、ただちに5対の金電極の電位を飽和カロメル
電極に対して0Vに設定して脱ドーピングを行い、ポリチ
オフェン膜に半導体程度の電導度を持たせた。得られた
FET素子は、アセトニトリルで2回洗浄した後、真空デ
シケータに入れて乾燥させた。
次に、実施例1〜7及び比較例によって得られたデバ
イスの特性について述べる。
まず、実施例1にて得られた5個のFET素子の内の一
つのFET素子の電気特性を第6図に示す。この図におい
て、横軸はソース・ドレイン間電圧(VDS)であり、縦
軸はソース・ドレイン間電流(IS)である。ゲート電圧
(VG)が0Vの時には、VDSが大きくなってもISは殆ど流
れないが、負のVGを印加した時には大きなISが流れるよ
うになる。しかも、VDSが大きな領域ではISの飽和が観
られ、典型的なエンハンス型の電界効果型トランジスタ
の電気特性が得られた。図から判るように、印加するゲ
ート電圧によってソース・ドレイン間電流を大きく変調
させることができる。第6図の特性は作製した5個のFE
T素子の内の一つの素子の特性であるが、残りのFET素子
の特性についても測定したところ第6図の特性とほぼ同
じ特性を示した。また、これらの素子を空気中に約1ケ
月放置した後、再びその電気特性を測定したところ、そ
の特性は殆ど変化せず本実施例で得られた素子が極めて
安定性に優れることが判った。
次に実施例2にて得られた5個のFET素子の内の一つ
のFET素子の電気特性及び実施例3にて得られた5個のF
ET素子の内の一つのFET素子の電気特性をそれぞれ第7
図及び第8図に示す。これらの図において、横軸はソー
ス・ドレイン間電圧(VDS)であり、縦軸はソース・ド
レイン間電流(IS)である。ゲート電圧(VG)が0Vの時
には、VDSが大きくなってもISは殆ど流れないが、負のV
Gを印加した時には大きなISが流れるようになる。しか
も、VDSが大きな領域ではISの飽和が観られ、典型的な
エンハンス型の効果型トランジスタの電気特性が得られ
た。これらの図から判るように、印加するゲート電圧に
よってソース・ドレイン間電流を大きく変調させること
ができる。第7図及び第8図の特性はそれぞれの実施例
にて作製した5個のFET素子の内の一つの素子の特性で
あるが、残りのFET素子の特性についても測定したとこ
ろ第7図及び第8図の特性とほぼ同じ特性を示した。ま
た、これらの素子を空気中に約1ケ月放置した後、再び
その電気特性を測定したところ、その特性は殆ど変化せ
ず本実施例で得られた素子が極めて安定性に優れること
が判った。
第9図には、実施例4で作製した5個のFET素子の内
の一つのFET素子の電気特性を示す。この図において、
横軸はソース・ドレイン間でんあつ(VDS)であり、縦
軸はソース・ドレイン間電流(IS)である。実施例1と
同様典型的なエンハンス型の電界効果型トランジスタの
電気特性が得られた。図から判るように、実施例1の第
6図と比較し、印加するゲート電圧によってソース・ド
レイン間電流を大きく変調できる。
第10図には実施例1及び実施例4で作製した5個のFE
T素子の内の一つのFET素子と比較例において作製したFE
T素子の、ソース・ドレイン間電圧一定(−50V)条件下
のソース・ドレイン間電流−ゲート電圧特性を示す。こ
の図において、横軸はゲート電圧(VG)であり、縦軸は
ソース・ドレイン間電流(IS)である。第10図から明ら
かなように、実施例1で得られたFET素子においてはゲ
ート電圧によって変調できるソース・ドレイン間電流は
4桁以上に達し、さらに実施例4で得られたFET素子に
おいては、変調できるソース・ドレイン電流は5桁以上
に達したのに対し、比較例の従来FET素子では、ゲート
電圧によって変調できるソース・ドレイン間電流は2桁
半にすぎない。このように、実施例1及び実施例4で得
られるFET素子は従来FET素子に比べ特性が大幅に向上し
た。
次に第11図は、実施例2で作製した5個のFET素子の
内の一つのFET素子と実施例3で作製した5個のFET素子
の内の一つのFET素子及び比較例において作製したFET素
子の、ソース・ドレイン間電圧一定(50V)の条件下の
ソース・ドレイン間電流−ゲート電圧特性を示す。この
図において、横軸はゲート電圧(VG)であり、縦軸はソ
ース・ドレイン間電流(IS)である。第11図から明らか
なように、実施例2及び実施例3で得られたFET素子の
おいてはゲート電圧によって変調できるソース・ドレイ
ン間電流は4桁以上に達したのに対し、比較例の従来FE
T素子では、ゲート電圧によって変調できるソース・ド
レイン間電流は5桁半にすぎない。このように、実施例
2及び実施例3で得られるFET素子は従来FET素子に比べ
特性が大幅に向上した。
第12図は実施例5で得られた液晶表示装置中のFET素
子のゲート電圧を変えたときのソース・ドレイン間電流
−ソース・ドレイン間電圧特性を示す特性図である。こ
の図において、横軸はソース・ドレイン間電圧
(VDS)、縦軸はソース・ドレイン間電流(IS)を示
す。図においてFET素子のゲート電圧を0Vにしている時
にはソース電極とドレイン電極の間に電圧を印加して
も、ソース・ドレイン間電流は殆ど流れないが、負のゲ
ート電圧を印加すればするほど大きなソース・ドレイン
間電流が流れた。このFET素子と液晶表示部は直列に接
続しているため、液晶表示部のガラス板10上の透明電極
9とFET素子のソース電極5の間に液晶8を駆動するの
に充分な電圧を印加しておき、ゲート電極2に負電圧を
印加すると液晶表示部に電圧がかかり、液晶8が配向し
て液晶表示部が駆動したが、ゲート電圧を0Vにすると液
晶表示部 に電圧がかからず、液晶表示部の駆動は止ま
った。即ち、液晶の駆動を、付属させたπ−共役系高分
子膜を半導体層とするFET素子で制御することができ
た。また、安定性の面でも本実施例の液晶表示装置は1
カ月以上経過しても安定に動作した。
第13図は実施例6で得られた液晶表示装置中のFET素
子のゲート電圧を変えたときのソース・ドレイン間電流
−ソース・ドレイン間電圧特性を示す特性図である。こ
の図において、横軸はソース・ドレイン間電圧
(VDS)、縦軸はソース・ドレイン間電流(IS)を示
す。図においてFET素子のゲート電圧を0Vにしている時
にはソース電極とドレイン電極の間に電圧を印加して
も、ソース・ドレイン間電流は殆ど流れないが、負のゲ
ート電圧を印加すればするほど大きなソース・ドレイン
間電流が流れた。このFET素子と液晶表示部は直列に接
続しているため、液晶表示部のガラス板10上の透明電極
9とFET素子のソース電極5の間に液晶8を駆動するの
に充分な電圧を印加しておき、ゲート電極2に負電圧を
印加すると液晶表示部に電圧がかり、液晶8が配向して
液晶表示部が駆動したが、ゲート電圧を0Vにすると液晶
表示部に電圧がかからず、液晶表示部の駆動は止まっ
た。即ち、液晶駆動を、付属させたπ−共役系高分子の
LB膜を半導体層とするFET素子で制御することができ
た。また、安定性の面でも本実施例の液晶表示装置は1
カ月以上経過しても安定に動作した。
第14図は実施例7で得られた液晶表示装置中のFET素
子のゲート電圧を変えたときのソース・ドレイン間電流
−ソース・ドレイン間電圧特性を示す特性図である。こ
の図において、横軸はソース・ドレイン間電圧
(VDS)、縦軸はソース・ドレイン間電流(IS)を示
す。図から判るように、実施例5の第12図と比べ、ゲー
ト電圧を印加したときのソース・ドレイン間電流値が大
きくなり特性が向上した。また、実施例5と同様液晶の
駆動を本FET素子で制御することができた。また、安定
性も実施例5と同様であった。
なお実施例5〜7ではFET素子及び液晶表示部を一つ
だけ作製して液晶表示装置としたが、同様の手法用いて
複数のFET素子及び液晶表示部を作製して液晶表示装置
とすることも可能である。ただし、その場合はフォトレ
ジストを用いたパターニングなどの処理が必要である。
産業上の利用可能性 以上のように、本発明は有機半導体を用いた電界効果
型トランジスタ及びこれを用いた液晶表示装置に関する
ものであり、電界効果トランジスタや、それを駆動素子
とする液晶表示装置に適用される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 肥塚 裕至 兵庫県尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電機株式会社 材料研究所内 (72)発明者 津村 顯 兵庫県尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電機株式会社 材料研究所内 (72)発明者 渕上 宏幸 兵庫県尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電機株式会社 材料研究所内 (56)参考文献 特開 昭63−76378(JP,A)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ソース電極、ドレイン電極、ソース電極と
    ドレイン電極間の電流通路であり、下記一般式 (但し、R1及びR2は−H、アルキル基、アルコキシ基の
    内の一種、R3は炭素数1〜10の炭化水素基、nは10以上
    の整数)で示され、かつ溶剤可溶な前駆体から得られ、
    下記一般式 (但し、R1及びR2は−H、アルキル基、アルコキシ基の
    内の一種、nは10以上の整数)で示されるπ−共役系高
    分子で形成される半導体層、この半導体層に対向する絶
    縁膜、及びこの絶縁膜の上記半導体層と反対側に設け、
    上記半導体層の電導度を印加する電圧により制御するゲ
    ート電極を備えた電界効果型トランジスタ。
  2. 【請求項2】半導体層が溶剤可溶な前駆体のLB膜から得
    られるπ−共役系高分子のLB膜で形成される請求の範囲
    第1項記載の電界効果型トランジスタ。
  3. 【請求項3】ソース電極、ドレイン電極、ソース電極と
    ドレイン電極間の電流通路であり、下記一般式 (但し、R1及びR2は−H、アルキル基、アルコキシ基の
    内の一種、R3は炭素数1〜10の炭化水素基、nは10以上
    の整数)で示され、かつ溶剤可溶な前駆体から得られ、
    下記一般式 (但し、R1及びR2は−H、アルキル基、アルコキシ基の
    内の一種、nは10以上の整数)で示されるπ−共役系高
    分子で形成される半導体層、この半導体層に接し、上記
    溶剤可溶な前駆体からπ−共役系高分子を得る反応にお
    いて、酸を供与する酸供与膜、上記半導体層に対向する
    絶縁膜、及びこの絶縁膜の上記半導体層と反対側に設
    け、上記半導体層の電導度を印加する電圧により制御す
    るゲート電極を備えた電界効果型トランジスタ。
  4. 【請求項4】酸を供与する膜は、一般式 (但し、R6は、−H、アルキル基、アルコキシ基の内一
    種、R7及びR8は炭素数1〜10の炭化水素基、XはBr、Cl
    等のハロゲン、nは10以上の整数)で表されるπ−共役
    系高分子前駆体であり、酸を供与することにより、一般
    (但し、R6は−H、アルキル基、アルコキシ基の内の一
    種、nは10以上の整数)で示されるπ−共役系高分子に
    転換する請求の範囲第3項記載の電界効果型トランジス
    タ。
  5. 【請求項5】ゲート絶縁膜が酸供与膜を兼ねている請求
    の範囲第3項記載の電界効果型トランジスタ。
  6. 【請求項6】ソース電極、ドレイン電極、ソース電極と
    ドレイン電極間の電流通路であり、下記一般式 (但し、R1及びR2は−H、アルキル基、アルコキシ基の
    内の一種、R3は炭素数1〜10の炭化水素基、nは10以上
    の整数)で示され、かつ溶剤可溶な前駆体から得られ、
    下記一般式 (但し、R1及びR2は−H、アルキル基、アルコキシ基の
    内の一種、nは10以上の整数)で示されるπ−共役系高
    分子で形成される半導体層、この半導体層に対向する絶
    縁膜、及びこの絶縁膜の上記半導体層と反対側に設け、
    上記半導体層の電導度を印加する電圧により制御するゲ
    ート電極を有する電界効果型トランジスタからなる駆動
    部、並びに上記ソース電極及びドレイン電極の内のいず
    れか一方と直列に接続し、上記ゲート電極に印加される
    電圧を変化させることにより制御される液晶表示部を備
    えた液晶表示装置。
  7. 【請求項7】ソース電極、ドレイン電極、ソース電極と
    ドレイン電極間の電流通路であり、下記一般式 (但し、R1及びR2は−H、アルキル基、アルコキシ基の
    内の一種、R3は炭素数1〜10の炭化水素基、nは10以上
    の整数)で示され、かつ溶剤可溶な前駆体のLB膜から得
    られ、下記一般式 (但し、R1及びR2は−H、アルキル基、アルコキシ基の
    内の一種、nは10以上の整数)で示されるπ−共役系高
    分子のLB膜で形成される半導体層、この半導体層に対向
    する絶縁膜、及びこの絶縁膜の上記半導体層と反対側に
    設け、上記半導体層の電導度を印加する電圧により制御
    するゲート電極を有する電界効果型トランジスタからな
    る駆動部、並びに上記ソース電極及びドレイン電極の内
    のいずれか一方と直列に接続し、上記ゲート電極に印加
    される電圧を変化させることにより制御される液晶表示
    部を備えた液晶表示装置。
  8. 【請求項8】ソース電極、ドレイン電極、ソース電極と
    ドレイン電極間の電流通路であり、下記一般式 (但し、R1及びR2は−H、アルキル基、アルコキシ基の
    内の一種、R3は炭素数1〜10の炭化水素基、nは10以上
    の整数)で示され、かつ溶剤可溶な前駆体から得られ、
    下記一般式 (但し、R1及びR2は−H、アルキル基、アルコキシ基の
    内の一種、nは10以上の整数)で示されるπ−共役系高
    分子で形成される半導体層、この半導体層に接し、上記
    溶剤可溶な前駆体からπ−共役系高分子を得る反応にお
    いて、酸を供与する酸供与膜、上記半導体層に対向する
    絶縁膜、及びこの絶縁膜の上記半導体層と反対側に設
    け、上記半導体層の電導度を印加する電圧により制御す
    るゲート電極を有する電界効果型トランジスタからなる
    駆動部、並びに上記ソース電極及びドレイン電極の内の
    いずれか一方と直列に接続し、上記ゲート電極に印加さ
    れる電圧を変化させることにより制御される液晶表示部
    を備えた液晶表示装置。
JP50180890A 1989-01-10 1990-01-10 電界効果型トランジスタ及びこれを用いた液晶表示装置 Expired - Lifetime JP2609366B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP50180890A JP2609366B2 (ja) 1989-01-10 1990-01-10 電界効果型トランジスタ及びこれを用いた液晶表示装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP417789 1989-01-10
JP1-4177 1989-01-10
JP50180890A JP2609366B2 (ja) 1989-01-10 1990-01-10 電界効果型トランジスタ及びこれを用いた液晶表示装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2609366B2 true JP2609366B2 (ja) 1997-05-14

Family

ID=26337910

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP50180890A Expired - Lifetime JP2609366B2 (ja) 1989-01-10 1990-01-10 電界効果型トランジスタ及びこれを用いた液晶表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2609366B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004125791A (ja) * 2002-09-25 2004-04-22 Stmicroelectronics Inc 有機半導体センサー装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004125791A (ja) * 2002-09-25 2004-04-22 Stmicroelectronics Inc 有機半導体センサー装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5892244A (en) Field effect transistor including πconjugate polymer and liquid crystal display including the field effect transistor
US7306969B2 (en) Methods to minimize contact resistance
JP3872246B2 (ja) 半導体チャネルとして有機/無機混成材料を有する電界効果トランジスタ及びこれの製造方法
JP3246189B2 (ja) 半導体表示装置
JP4736324B2 (ja) 半導体素子及びその製造方法
US7560731B2 (en) Organic electronic device and method for manufacturing the same
US20060273303A1 (en) Organic thin film transistors with multilayer electrodes
TWI222223B (en) Transistor and display device including the transistor
JP2007013138A (ja) 有機簿膜トランジスタの製造方法及びこれによって製造された有機薄膜トランジスタ
US20040232411A1 (en) Field-effect organic transistor
US20120313086A1 (en) Organic Semiconductor Material, Organic Semiconductor Composition, Organic Thin Film, Field-Effect Transistor, And Manufacturing Method Therefor
JP2003304014A (ja) 有機電子デバイス及びその作製方法
WO2007125950A1 (ja) 有機半導体薄膜および有機半導体デバイス
EP2117059B1 (en) Organic Thin Film Transistors
US7094625B2 (en) Field effect transistor and method of producing the same
KR101462526B1 (ko) 유기 반도체 재료 및 전계 효과 트랜지스터 그리고 그의 제조 방법
JPH0469971A (ja) 電界効果トランジスタ
WO1990008402A1 (en) Fet transistor and liquid crystal display device obtained by using the same
JP2006245559A (ja) 電界効果トランジスタ及びその製造方法
JP4419425B2 (ja) 有機薄膜トランジスタ素子
JP2609366B2 (ja) 電界効果型トランジスタ及びこれを用いた液晶表示装置
JP2004103638A (ja) 有機トランジスタ素子
Mukherjee et al. One-step fabrication of ordered organic crystalline array for novel optoelectronic applications
US20070045613A1 (en) Organic semiconductor material, Organic semiconductor structure and Organic semiconductor apparatus
JPH0638491B2 (ja) 電界効果型トランジスタ

Legal Events

Date Code Title Description
S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080213

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090213

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090213

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 13

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100213

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 13

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100213

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 13

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100213

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100213

Year of fee payment: 13

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 13

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100213

R370 Written measure of declining of transfer procedure

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R370

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 13

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100213

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100213

Year of fee payment: 13

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 13

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100213

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

EXPY Cancellation because of completion of term