JP2608925B2 - 電力ケーブルの部分放電検出方法 - Google Patents

電力ケーブルの部分放電検出方法

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靖隆 藤原
康光 海老沼
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昭和電線電纜株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 (発明の技術分野) 本発明は、電力ケーブルの破壊試験において実施され
る電力ケーブルの部分放電検出方法に関する。
(発明の技術的背景とその課題) 電力ケーブルの特性試験には、破壊試験と非破壊試験
とがある。電力ケーブルの絶縁特性を調べるためには、
その破壊電圧以上の試験電圧を印加し、実際に破壊が生
じさせて破壊の原因等を調査することが行なわれてい
る。
通常、この破壊試験においては、試験電圧を印加した
後、その課電中に試料ケーブルにカップリングコンデン
サを取り付けて部分放電を判定する。そして、試料ケー
ブルの絶縁体が全路破壊した後、電源の遮断器を切る。
ところが、このような従来の試験方法では、試験終了
後、破壊点の調査を行なっても、破壊と共に欠陥の原因
が同時に焼失してしまい、破壊の原因を推定することが
困難な場合が多い。
又、課電中、部分放電の大きさを測定することは可能
であるが、その発生位置を見付けることは非常に難し
い。実際には、検出端に直接到達する部分放電信号と、
試料ケーブルの他端において一度反射して到達する部分
放電信号との時間差を検出したり、あるいは試料ケーブ
ルを実際に1/2ずつに縁切りしながら追い込んでいくと
いった方法が採用されている。
しかし、もともと極めて小さい部分放電信号が試料ケ
ーブルの他端において反射すると、更に減衰しその検出
は容易でない。又、試料ケーブルを1/2ずつ縁切りしな
がら追い込む方法は、比較的煩雑で作業性が悪い。
又、例えば、試料ケーブルの両端末がミニクラッドの
ようにケースによって密閉されているような場合、カッ
プリングコンデンサを接続することは容易でなく、その
ままで部分放電の検出を行なうことは極めて困難である
という難点もあった。
(発明の目的) 本発明は以上の点に着目してなされたもので、部分放
電発生位置の測定が容易で、かつ、試料ケーブルの絶縁
破壊原因の推定を容易にする電力ケーブルの部分放電検
出方法を提供することを目的とするものである。
(発明の概要) 本発明の電力ケーブルの部分放電検出方法は、試料ケ
ーブルの両端末近傍において、当該試料ケーブルの金属
シースを長手方向に分断して縁切りし、電気的に独立し
た環状部を形成し、前記試料ケーブルの導体に電源を接
続して試験電圧を印加する一方、前記両端の環状部を通
じて前記試料ケーブル内部に生じた部分放電を検出し、
この部分放電が検出されたとき、直ちに前記電源を遮断
し、かつ、前記試料ケーブルの両端の環状部を通じて検
出した部分放電の検出時間差から、前記試料ケーブル内
部における前記部分放電の発生位置を算出することを特
徴とするものである。
(発明の実施例) 以下、本発明を図の実施例を用いて詳細に説明する。
第1図は、本発明の電力ケーブルの部分放電検出方法
を実施した検出回路の結線図である。
図において、試料ケーブル1の両端末はブッシング2
等によって終端しており、その導体の一端には、電源3
によって試験電圧が印加されるように結線されている。
又、試料ケーブル1の金属シースは、その両端及び中央
において接地されている。そして、試料ケーブル1の両
端末近傍において、この金属シースが長手方向に分断さ
れ縁切りされて、電気的に独立した環状部4a,4bが形成
されている。
こうして、試料ケーブル1の金属シースから電気的に
独立した環状部4a,4bには、検出インピーダンスRa,Rbの
一端が接続されている。この検出インピーダンスRa,Rb
の他端は接地されている。検出インピーダンスRa,Rb
は、ここでは通常の抵抗器とする。そして、環状部4a,4
bは、部分放電検出器5の検出端子5a,5bにそれぞれ電気
接続されている。
部分放電検出器5には、その部分放電検出信号に基づ
いて、トリガ用パルスを発生するパルス発生器6が接続
されている。パルス発生器6のトリガ用パルスは、電源
3に内蔵された遮断器3aに入力するよう結線されてい
る。
部分放電検出器5は、従来から使用されている部分放
電検出機能を持った検出部51,52と、その検出時間差を
演算する時間差演算部53と、部分放電の検出をパルス発
生器6に伝える通知部54とから構成されている。
通知部54が、部分放電検出を伝えると、パルス発生器
6は、電源3の遮断器3aをトリップする所定のトリガ用
パルスを生成する。遮断器3aは、従来一般に電力回路の
遮断等に使用されている図示しないトリップコイルや、
断路器等から構成されるものである。
以上のような結線を行なった場合、先ず、電源3によ
り試料ケーブル1の導体に対し試験電圧を印加すると、
その試験電圧が破壊電圧に近い場合、試料ケーブル1の
絶縁体内部において部分放電が発生する。この部分放電
信号は、試料ケーブル全長に渡って伝播する。一方、試
料ケーブルの両端末近傍に設けられた環状部4a,4bは、
試料ケーブルの導体とその絶縁体を介して対向している
ので、これがカップリングコンデンサの役割をし、環状
部4a,4bを通じて、部分放電検出器5の検出部51と52が
その部分放電を検出する。両検出部51,52の、部分放電
を検出するタイミングは、試料ケーブル1のどの位置で
部分放電が発生したかにより相違してくる。
部分放電検出器5における時間差演算部53は、その部
分放電検出の時間差を捕らえて、その演算結果を図示し
ない表示装置等に出力する。部分放電信号の伝播速度が
予め分かっていれば、この検出時間差から、試料ケーブ
ル1のどの位置で部分放電が発生したかを比較的正確に
求めることができる。
一方、検出部51あるいは検出部52において検出される
部分放電信号は、試料ケーブルの破壊が進行するにつれ
て次第にレベル上昇する。
例えば、通知部54は、この2つの信号をそのまま受け
入れて合成し、パルス発生器6に出力するようにする。
パルス発生器6は、その信号が所定のスレショルドレベ
ルを越えた場合に、電源3の遮断器3aをトリップするト
リガ用パルスを出力する。パルス発生器6は、例えば、
従来周知の簡単な比較回路によって構成することが可能
である。遮断器3aは、パルス発生器6からこのトリガ用
パルスを受けて電源3を直ちに遮断する。
このパルス発生器6によって、トリガ用パルスを発生
するべき部分放電信号のレベルを適当に設定しておけ
ば、試料ケーブル1が全路破壊する以前に電源3を遮断
することが可能である。又、検出部51,52においては、
部分放電信号を反射波でなく直接捕らえるため、比較的
その信号レベルは高く、時間差演算部53における分解能
を高くすれば、部分放電発生位置を高い精度で評定する
ことも可能である。
本発明は以上の実施例に限定されない。
上記実施例においては、試料ケーブルのみについてそ
の部分放電を検出するよう構成したが、試料ケーブルの
一端に付属品が接続されているような場合においても、
その付属品を含めた破壊試験の実施が可能である。
(発明の効果) 以上説明した本発明の電力ケーブルの部分放電検出方
法によれば、試料ケーブルの一部をカップリングコンデ
ンサとして利用するため、その施工が容易であり、試料
ケーブルの両端末が密閉されているような場合でも部分
放電の検出が可能となる。又、試料ケーブルが全路破壊
する前に電源の遮断を行なうため、放電発生の原因究明
が容易になる。更に、試料ケーブル両端から部分放電信
号を取り出すため、その部分放電の発生位置が正確に迅
速に評定できるという利点も有している。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の電力ケーブルの部分放電検出方法を実
施した検出回路の結線図である。 1……試料ケーブル、 2……終端、 3……電源、 3a……遮断器、 4a,4b……環状部、 5……部分放電検出器、 6……パルス発生器。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】試料ケーブルの両端末近傍において、当該
    試料ケーブルの金属シースを長手方向に分断して縁切り
    し、電気的に独立した環状部を形成し、前記試料ケーブ
    ルの導体に電源を接続して試験電圧を印加する一方、前
    記両端の環状部を通じて前記試料ケーブル内部に生じた
    部分放電を検出し、この部分放電が検出されたとき、直
    ちに前記電源を遮断し、かつ、前記試料ケーブルの両端
    の環状部を通じて検出した部分放電の検出時間差から、
    前記試料ケーブル内部における前記部分放電の発生位置
    を算出することを特徴とする電力ケーブルの部分放電検
    出方法。
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