JP2606916B2 - 分解澱粉の製造方法 - Google Patents

分解澱粉の製造方法

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JP2606916B2 JP1007880A JP788089A JP2606916B2 JP 2606916 B2 JP2606916 B2 JP 2606916B2 JP 1007880 A JP1007880 A JP 1007880A JP 788089 A JP788089 A JP 788089A JP 2606916 B2 JP2606916 B2 JP 2606916B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は分解澱粉の製造方法に関する。
植物性の製品中にみられ、限定量の水を含む天然澱粉
を、加温下、密閉空間内で、したがって加圧下で加熱し
て溶融体を形成することができることが知られている。
この方法は、射出成形機又は押出成形機中で好都合に行
なわれる。澱粉は、ホッパーを通って、回転しておりか
つ射出成形のために回転及び往復運動しているスクリュ
ー上に供給される。供給材料は、スクリューに沿ってチ
ップへ向かって移動する。この工程の間、バレルの外側
を被包する外部ヒーターによってかつスクリューの剪断
作用によってその温度が上昇する。供給域から始まり、
圧縮域において継続して、粒子状の供給物が徐々に溶融
する。次に、溶融体の均質化が起こる計量域を通ってス
クリューの終端部に移送せしめられる。次に、チップ部
における溶融材料を、射出成形又は押出成形あるいは熱
可塑性溶融体を処理するための他の任意の公知の方法に
よって更に処理し、成形物品を得る。
この処理は、ヨーロッパ特許公開第118240号(特開昭
59−196335号公報)において記載されており、実質的に
分解された澱粉を生成する。これが起こる理由は、その
成分の融点及びガラス転移温度以上に加熱するために澱
粉が吸熱転移を受けるためである。澱粉粒子の分子構造
の溶融及び分解(disordering)が起こる結果として、
実質的に分解された澱粉が得られる。「分解澱粉」とい
う表現は、かかる熱可塑性溶融体形成によって得られる
澱粉を定義している。
天然澱粉の射出成形によって得られる物品は有用であ
るが、これから得られた成形物品は比較的低い物理的強
度しか有しなかった。更に、溶融体の粘度が、スクリュ
ーバレル内の剪断速度に高く依存するために、方法それ
自体が比較的高い不安定性を示し、これによって例えば
射出成形又は押出による処理が、スクリュー速度、温
度、圧及び/又は含水率の条件に対してより感受性を示
すようになり、得られる製品の平均的な質を低下させる
ことが見出された。
この澱粉を射出成形する方法においては、二つの重要
な工程がある。即ち、(A)分解工程、即ち澱粉粒をそ
の成分の融点及びガラス転移点以上に加熱し、分子構造
の高温転移を行なって溶融体を形成する工程及び(B)
製造工程、即ち溶融体を例えば射出成形又はダイを通し
て押出すことによって成形物品に成形する工程である。
製造される成形物品の特性は、該溶融体がかかる成形
物品に成形される直前の分解工程において得られる溶融
体の性質に大きく依存する。
ここで、驚くべきことに、組成物の重量を基準として
約5〜約40重量%の範囲内の含水率を有する澱粉を、密
閉空間内で加温下に加熱すると、酸化及び熱分解の特徴
であるその吸熱変化の直前に「特定の幅狭な吸熱転移」
を受けることが見出された。この特定の吸熱転移は、示
差走査熱量分析(DSC)によって測定することができ、D
SCダイアグラム上において、酸化及び熱分解の特徴であ
る吸熱変化の直前の特定の比較的幅狭なピークによって
示される。このピークは上記の特定の吸熱転移が起こる
とすぐに消滅する。
この特定の吸熱転移及びDSC中におけるその指示、即
ち対応する特定のピークはこれまで知られていなかっ
た。
更に、熱及び酸化分解に先立つこの最後の吸熱転移
が、溶融体形成において重要な役割を果すことが分かっ
た。この特定の吸熱転移を受ける前に形成される澱粉/
水溶融体は不透明である。しかしながら、最初に形成さ
れた溶融体を、DSCにおけるピークによって上記の「特
定の吸熱転移」が消滅したことが示されるまで更に加熱
すると、溶融体は透明になる。
DSC分析から、従来技術において公知な室温から上方
へ向かう広範な吸熱量が存在し、これによって、澱粉の
成分の融点及びガラス転移温度に関する理論的考察に関
連して転移を示す解釈が与えられる。新しく発見された
吸熱高温転移(upper−transition)は、同様のタイプ
のものであるが、これまでの所、それに対して明確な解
釈は与えられておらず、更なる研究が必要である。
本発明によれば、欠陥部品の数を大きく減少せしめて
改良された物理的特性を有する製品が製造され、ここで
記載するように澱粉/水組成物の加工性が比較的改良さ
れた透明な溶融体が提供される。
本発明は、成形品を製造するための溶融体組成物を形
成する次の工程からなる方法であって、 a)主としてアミロース及び/又はアミロペクチンから
なる澱粉並びに水を含む固体の澱粉組成物であって、該
水の含有量が該組成物の重量をもとにして5〜40重量%
の範囲内にあり、該澱粉が、示差走査熱(DSC)分析に
より検査した場合に、澱粉の酸化的及び熱的分解の特徴
である吸熱変化の直前に、最後の幅狭な吸熱転移を示す
サーモグラムを有する組成物を供給し、 (b)DSCにより、最後の幅狭な吸熱転移の温度を決定
し、 (c)該組成物を、射出成形機又は押出機のスクリュー
/バレル中で80℃から200℃までの温度範囲内で加熱
し、それによりバレル中で発生した圧力が少なくとも用
いられた温度での水の蒸気圧に相当する圧力で、溶融体
を形成する方法において、 (d)澱粉の該最後の幅狭な吸熱転移を含む、それまで
のすべての吸熱転移が起きるまで、段階b)において決
定した温度まで該組成物が加熱されるように、段階c)
の加熱の設定温度及び滞留時間を選択することを特徴と
する方法に関する。
本発明はまた、該方法によって得られる溶融体並びに
該溶融体から得られる固体成形品又は粒状物にも関す
る。更に、転移の温度及びエンタルピーを低下させ、し
たがって加工を促進させるファクターの発見に関連す
る。
ここで記載するような方法によって得られる溶融体
は、熱可塑性溶融体であり適宜処理することができる。
ここで用いる「澱粉」という用語としては、例えば、
一般的に、主としてアミローズ及び/又はアミロペクチ
ンからなる天然の植物性炭水化物のような実質的に化学
的変性を受けていない澱粉が挙げられる。これらは、種
々の植物、例えば、ジャガイモ、米、タピオカ、トウモ
ロコシ及びライ麦、大麦及び小麦のような穀物類から抽
出することができる。変性された酸価(pH)を有する、
例えば、酸を加えてその酸価を約3〜6.5の範囲に低め
ている澱粉のような物理的に変性された澱粉が挙げられ
る。更に、ホスフェート基を橋架しているCa+2又はMg+2
イオンのような2価のイオンがこの橋架官能基から全部
又は部分的に脱離している、即ち、ホスフェート橋架部
が全部又は部分的に分解されている澱粉、例えばジャガ
イモ澱粉が挙げられる。更に、酸化及び熱分解の特徴で
ある吸熱変化の直前のかかる特定の幅狭な吸熱転移が未
だ消失していない処理済澱粉、例えば予め延伸された澱
粉が挙げられる。
かかる澱粉は、好適には、押出器のスクリュー/バレ
ル内において分解を行なうのに十分な長さの時間、分解
のために加熱される。設定温度は、用いる澱粉の種類に
依存して、好ましくは約120〜約190℃、より好ましくは
約130〜約190℃の範囲内である。この分解のために、澱
粉材料を好ましくは密閉空間内で加熱する。密閉空間
は、密閉容器であっても、又は、射出成形機又は押出機
のスクリュー内において発生するような、非溶融供給材
料の封止作用によって生成する空間であってもよい。こ
の意味において、射出成形機又は押出機のスクリュー及
びバレルは密閉容器であると理解すべきである。密閉容
器内で発生する圧は、用いる温度における水の蒸気圧に
相当するが、もちろん、圧を加えても、及び/又は、圧
が、スクリュー/バレル内で通常発生するように発生し
てもよい。加える及び/又は発生する圧は、好ましく
は、押出法又は射出成形法において発生する圧の範囲内
でありそれ自体公知なものである。即ち、0〜150×105
N/m2、好ましくは0〜75××105N/m2、最も好ましくは
0〜50×105N/m2である。
当業者に公知なように、溶融体形成の挙動、即ち、ス
クリュー/バレル内における溶融体形成速度、粘度等
は、バレルの寸法、その長さ及び直径、スクリューの形
状、回転速度、加熱状態等のような多くのファクターに
依存する。
したがって、本発明による溶融体形成を行なう、即
ち、そのDSCサーモグラムにおいて特定の最後の幅狭な
吸熱転移をもはや示さない溶融体を生成するのに必要な
温度及び滞留時間を、用いる全ての機械に関して測定す
る必要がある。
処理中の転移の消失は、成形材料のDSCサーモグラム
を得て、それを同等の走査速度で得られた非成形材料の
ものと比較することによって簡単に確認することができ
る。かかる比較を図1及び図2において行なっている。
図1は、10℃/分で操作した、主として天然澱粉及び水
からなる成形混合物のDSCサーモグラムを示す。図2
は、射出成形後の同様の混合物のサーモグラムを示す。
鋭利な高温転移が見られず、約160℃から上において、
熱移動における全般的な上昇、及び、処理済材料のより
ブロードな溶融体形成の特徴によって置き換わってい
る。よりブロードな転移は、おそらくは、射出成形後に
冷却したことによる材料の新しい形態に起因するもので
ある。
処理後に高温転移が消失しなかった場合には、真に均
一な溶融体を得るために、処理条件を変化させる、即
ち、処理による転移の消失が起こるまで、設定温度、滞
留時間及びスクリューの回転速度を上昇させなければな
らない。
この工程には二重の意味がある。即ち、 (1) DSC装置によって記録される公称温度が、試料
及びホルダーの有限の熱容量及び用いる加熱の有限の速
度のために試料の温度ではないことは周知である。
(2) 押出機又は射出成形機のスクリュー内の材料の
温度が、溶融体形成、構造変化及びスクリューの剪断作
用のためにバレルの設定温度とは異なることは周知であ
る。
したがって、DSC測定中の公称温度及び滞留時間と、
処理中の設定温度及び滞留時間とは同等でない。例え
ば、図2において、材料が射出成形によって処理され、
500秒かかって室温から155℃の設定温度に加熱される。
しかしながら、図1におけるサーモグラムによって、高
温転移は182℃の公称温度において起こり、30℃から180
℃に900秒かかって温度が上昇したことが示される。DSC
測定のものと比較して設定温度が低く処理時間が短いに
もかかわらず、DSC試料における真の温度が公称温度よ
りも低く、処理中の材料の真の温度が上記の理由のため
により高いものであるために、高温転移が起こる。
本発明による実質的に分解された澱粉/水組成物は、
好ましくは、組成物の重量を基準として約10〜20重量
%、より好ましくは12〜19重量%、特に好ましくは14〜
18重量%の範囲内の含水率を有する。
本発明による澱粉/水組成物は、通常約80〜200℃の
範囲内、好ましくは約120〜190℃の範囲内、特に約130
〜190℃の温度に加熱される。
溶融体を形成するための最小圧力は、これらの温度に
おいて生じる水蒸気圧に相当する。本方法は、上記記載
のような密閉空間内において、押出又は射出成形法にお
いて用いられておりそれ自体公知な圧の範囲、例えば0
〜150×105N/m2、好ましくは0〜75×105N/m2、最も好
ましくは0〜50×105N/m2の圧力下で行なわれる。
押出によって成形物品を成形する場合は、圧は上記記
載のものが好ましい。本発明による分解澱粉組成物を、
例えば射出成形する場合には、射出成形において用いら
れている通常の射出圧、即ち、300×105N/m2〜3,000×1
05N/m2、好ましくは700×105N/m2〜2,200×105N/m2の圧
が加えられる。
本発明の澱粉材料は、増量剤、滑剤、可塑化剤及び/
又は着色剤のような添加剤を含んでいてもよく、また、
これらを混合してもよい。
異なる疎水性/親水性特性を有する添加剤を用いて、
高温転移のエンタルピーを減少させ、したがって処理を
促進させることができる。低温における更なる吸熱は、
通常、添加剤の溶融によるものであり、これがあまり低
い温度において起こると溶融体の均一性に悪影響を与え
る。
これらの添加剤は、分解工程の前に加えてもよく、又
はこの工程の後、即ち、分解澱粉の固体状粒子と混合し
てもよい。これは主として分解澱粉の所期の用途に依存
するものである。
かかる添加剤は異なる種類の増量剤であってよく、例
えば、ヒマワリ蛋白、大豆蛋白、綿実蛋白、落花生蛋
白、菜種蛋白のような植物性蛋白;血液蛋白、卵蛋白、
アクリル化蛋白;水溶性多糖類、例えば、アルキルセル
ロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシア
ルキルアルキルセルロース、例えばメチルセルロース、
ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロ
ース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチ
ルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロ
ース、ヒドロキシブチルメチルセルロース;セルロース
エステル及びヒドロキシアルキルセルロースエステル、
例えばセルロースアセチルフタレート(CAP)、ヒドロ
キシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP);
カルボキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルア
ルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロースエス
テル、例えばカルボキシメチルセルロース及びそのアル
カリ金属塩;水溶性合成ポリマー、例えばポリアクリル
酸及びポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸及び
ポリメタクリル酸エステル、ポリビニルアセテート、ポ
リビニルアルコール、ポリビニルアセテートフタレート
(PVAP)、ポリビニルピロリドン、ポリクロトン酸、フ
タレート化ゼラチン、コハク酸ゼラチン、架橋ゼラチ
ン、シェラック、澱粉の水溶性化学誘導体、例えばジエ
チルアミノエチル基のような所望の場合には4級化され
ていてもよい第3級又は第4級アミノ基を有するアクリ
レート及び/又はメタクリレートのカチオン変性ポリマ
ー;並びに他の同様のポリマーである。
かかる増量剤は、場合によって、好ましくは全成分の
重量を基準として50重量%以下、より好ましくは3〜10
重量%の範囲内の任意の所望の量で加えることができ
る。
更なる添加剤は、好ましくは全成分の重量を基準とし
て約0.02〜3重量%、より好ましくは0.02〜1重量%の
範囲の濃度の、マグネシウム、アルミニウム、珪素、チ
タン等の酸化物のような無機充填剤である。
添加剤の更なる例は、全成分の重量を基準として0.5
〜15重量%、好ましくは0.5〜5重量%の範囲の温度で
加えられる、ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコール、ポリエチレン−プロピレングリコールのよ
うなポリアルキレンオキシドをはじめとする可塑化剤;
グリセロール、クリセロールモノアセテート、ジアセテ
ート又はトリアセテートのような低分子量の有機可塑化
剤;プロピレングリコール、ソルビトール、ジエチルス
ルホコハク酸ナトリウム、クエン酸トリエチル、クエン
酸トリブチル等である。
着色剤の例としては、公知のアゾ染料、有機又は無機
顔料あるいは天然の着色剤が挙げられる。酸化物がそれ
自体公知である、鉄又はチタンの酸化物のような無機顔
料が好ましく、全成分の重量を基準として0.001〜10重
量%、好ましくは0.5〜3重量%の範囲の濃度で加えら
れる。
可塑化剤及び含水量の合計は、全成分の重量を基準と
して25重量%を超えないことが好ましく、20重量%を超
えないことが最も好ましい。
更に、好ましくはその水素化形態の動物性又は植物性
脂肪のような化合物を加えて澱粉材料の流動性を改良さ
せることができる。これらの脂肪は、好ましくは50℃以
上の融点を有する。C12−、C14−、C16−及びC18−脂肪
酸によるトリグリセリドが好ましい。
これらの脂肪は、増量剤又は可塑化剤を加えることな
く単独で加えることができる。
これらの脂肪は、有利には、単独で又はモノ及び/又
はジグリセリドあるいはホスファチド、特にレシチンと
共に加えることができる。モノ及びジグリセリドは、好
ましくは上記のタイプの脂肪、即ちC12−、C14−、C16
−及びC18−脂肪酸を有するものから誘導される。
脂肪モノ−、ジグリセリド及び/又はレシチンの使用
総量は、全組成物の5重量%以下、好ましくは約0.5〜
2重量%の範囲内である。
二酸化珪素又は二酸化チタンを全組成物の約0.02〜1
重量%の濃度で加えることが更に推奨される。これらの
化合物は質感付与剤(texturizing agent)として作用
する。
上記記載の材料は、制御された含水率及び圧力条件下
において密閉容器内で加熱することによって熱可塑性を
有する溶融体を形成する。かかる溶融体は、熱可塑性材
料と同様に種々の方法において用いることができる。こ
れらの方法としては、射出成形、吹込成形、押出及び共
押出(ロッド、パイプおよびフィルム押出)、圧縮成形
が挙げられ、これらの方法を用いて公知の物品を製造す
ることができる。これらの物品としては、瓶、シート、
フィルム、包装材料、パイプ、ロッド、積層品、サッ
ク、袋部材、医薬カプセルが挙げられる。
以下の実施例で更に本発明を説明する。
実施例1 全重量基準で17%の水を含む天然ジャガイモ澱粉の試
料を、DSCの密閉皿中において10℃/分の速度で加熱し
た。得られたサーモグラムを図3に示す。高温転移(up
per−transition)が183℃の公称温度において起こっ
た。同一の物質の2つの試料を該条件下で別々に加熱し
た。第1の試料は、転移が完了した直後に195℃の公称
温度に加熱した。冷却し、DSCの皿を開放すると、試料
が凝固した透明な溶融体として観察された。第2の試料
は、同一の条件下で172℃の公称温度にしか加熱しなか
った。冷却し、DSCの皿を開放すると、不透明な物質が
認められ、不完全な溶融体形成が示された。
実施例2 12%、14%、17%、20%、25%、30%、35%及び42%
の含水率(全重量基準による重量%)を有する天然澱粉
からDSC−サーモグラムを作成した。結果を図4に示
す。高温転移が約40%の含水率以上で起こったことが明
らかである。
実施例3 ジャガイモ澱粉の異なる試料を用い、バレルの温度を
室温から160℃迄9.5分で上昇するように設定して射出成
形によって小型の薄壁(約0.3mm)医薬容器を製造し
た。10℃/分のDSCによって測定すると14℃の公称高温
転移温度の巾(183〜197℃)があったので、成形された
容器を試験した。欠陥成形品の%を、その高温転移温度
に関連して表1に示す。欠陥部品の%は、材料の高温転
移温度の下降につれて減少した。
処理中の溶融体の真の温度は設定温度よりも高く、高
温転移吸熱は約20℃の幅を有し、公称温度は真の温度よ
りも高いことに注意すべきである。この観点及び表1の
結果から、材料の公称高温転移温度が低くなるほど、処
理において高温吸熱転移を受たその溶融体の割合が高く
なり、得られる欠陥部品の%が低くなることが分かる。
実施例4 高温転移温度を澱粉中の対イオンの濃度及び種類によ
って制御することができる。表2及び表3は、天然の状
態、及び、この状態において金属カチオンを、熱分解が
起こらないように室温で洗浄することによって除去する
か又は他のカチオンと交換した2種類の澱粉の転移温度
を示す。
試料9は、澱粉5kgあたり1gの遊離塩を含むことが確
認された天然澱粉である。この澱粉を、室温において過
剰の脱イオン水で洗浄して該塩が除去されたことを重量
分析によって測定して、試料番号9の対応する天然材料
と比較して高温転移温度が12℃低下したことが示される
試料番号10を得た。より低温における試料9の澱粉の処
理は、水で洗浄することによって容易になった。
第2の天然澱粉(試料番号11)を、室温において過剰
の0.1M−HClで洗浄した後、適当な量の0.1Mの塩基で中
性化し、澱粉のホスフェート基に結合している天然のカ
チオンが表3(試料番号12〜15)において示されている
単一のカチオン種によって置換されているカチオン系澱
粉試料12〜15を得た。この場合においては、驚くべきこ
とに、高温転移温度がカチオンの種類に依存して上昇し
た。
試料10に関しては、処理は天然澱粉よりも容易であっ
た。試料12〜15に関しては、処理は、天然材料と比べて
困難であった。
実施例5 天然澱粉(含水率17%)を、連鎖長が分配されてお
り、固体のソヤレシチン0.5%を含む脂肪酸のモノ−ジ
−及びトリグリセリドの混合物1%と混合した。添加剤
の量は天然澱粉のみを基準として計算した。
図5は、この天然混合物のDSCサーモグラム(B線)
及びジャガイモ澱粉+水17%のDSCサーモグラム(A
線)を示す。
高温転移のエンタルピーはB線に関するものが非常に
小さく、したがって、処理が容易であった。B線に関す
る低温における更なる吸熱は、添加剤の融解であり、溶
融体が均一化する温度としては低すぎる。
【図面の簡単な説明】
図1は、10℃/分で操作した、主として天然澱粉及び水
からなる成形混合物のDSCサーモグラムを示す図; 図2は、射出成形後の同様の混合物のサーモグラムを示
す図 図3は、実施例1において得られたサーモグラムを示す
図; 図4は、実施例2において得られたサーモグラムを示す
図であり; 図5は、実施例5において得られたサーモグラムを示す
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ベアト・ドブレア スイス国、ツエーハー‐4054 バーゼ ル、ネウヴェイレアシュトラーセ 46 (56)参考文献 特開 昭59−196335(JP,A)

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】成形品を製造するための溶融体組成物を形
    成する次の工程からなる方法であって、 a)主としてアミロース及び/又はアミロペクチンから
    なる澱粉並びに水を含む固体の澱粉組成物であって、該
    水の含有量が該組成物の重量をもとにして5〜40重量%
    の範囲内にあり、該澱粉が、示差走査熱(DSC)分析に
    より検査した場合に、澱粉の酸化的及び熱的分解の特徴
    である吸熱変化の直前に、最後の幅狭な吸熱転移を示す
    サーモグラムを有する組成物を供給し、 (b)DSCにより、最後の幅狭な吸熱転移の温度を決定
    し、 (c)該組成物を、射出成形機又は押出機のスクリュー
    /バレル中で80℃から200℃までの温度範囲内で加熱
    し、それによりバレル中で発生した圧力が少なくとも用
    いられた温度での水の蒸気圧に相当する圧力で、溶融体
    を形成する方法において、 (d)澱粉の該最後の幅狭な吸熱転移を含む、それまで
    のすべての吸熱転移が起きるまで、段階b)において決
    定した温度まで該組成物が加熱されるように、段階c)
    の加熱の設定温度及び滞留時間を選択することを特徴と
    する方法。
  2. 【請求項2】澱粉が、ジャガイモ、コメ、タピオカ、ト
    ウモロコシ、ライ麦、大麦及び/又は小麦から抽出され
    たものである請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】澱粉組成物が120℃から190℃までの温度範
    囲内の設定温度で加熱される請求項1又は2記載の方
    法。
  4. 【請求項4】用いられる圧力が0〜150×105N/m2である
    請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  5. 【請求項5】該組成物の含水率が、組成物の重量を基準
    として10〜20重量%の範囲である請求項1〜4のいずれ
    か1項に記載の方法。
  6. 【請求項6】該組成物に、増量剤、滑剤、可塑化剤、無
    機充填剤及び/又は着色剤を混合する請求項1〜5のい
    ずれか1項に記載の方法。
  7. 【請求項7】請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法
    によって得られる組成物の溶融体。
  8. 【請求項8】請求項7に記載の溶融体から製造される固
    体物品。
  9. 【請求項9】射出成形、吹込成形、押出成形、共押出又
    は圧縮成形によって製造される請求項8記載の成形物
    品。
  10. 【請求項10】成形物品が、粉末、顆粒、瓶、シート、
    フィルム、包装材料、パイプ材、ロッド材、積層品、サ
    ック、袋部材又は医薬カプセルである請求項8又は9の
    物品。
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