JP2603990B2 - 沸騰水型原子炉の炉心部安定化装置 - Google Patents

沸騰水型原子炉の炉心部安定化装置

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JP2603990B2 JP63068115A JP6811588A JP2603990B2 JP 2603990 B2 JP2603990 B2 JP 2603990B2 JP 63068115 A JP63068115 A JP 63068115A JP 6811588 A JP6811588 A JP 6811588A JP 2603990 B2 JP2603990 B2 JP 2603990B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 (産業上の利用分野) 本発明は、原子炉の炉心の安定性を維持する沸騰水型
原子炉の炉心部安定化装置に関する。
(従来の技術) 沸騰水型原子炉の炉心内に発生した熱を除去するため
に、原子炉圧力容器の冷却材をポンプにより強制的に循
環させる方式が用いられている。かかる冷却方式として
は再循環ポンプ方式とインターナルポンプ方式とある。
最近では原子炉圧力容器に大型の外部配管を設けること
を避け、またポンプを小型化して運転性や経済性を向上
させるために後者の再循環ポンプ内蔵(インターナルポ
ンプ)型原子炉が採用されつつある。
このようなインターナルポンプを有する原子炉は、第
2図に示す構成となっている。
原子炉圧力容器21に収納されている炉心23の出力は、
反応度制御系24によって制御される。反応度制御系24
は、炉心に挿脱される制御棒25と、この制御棒25を駆動
する制御棒駆動系26,および再循環流量制御系27等から
構成され、制御棒25,および制御棒駆動系26は、炉心の
出力制御,および出力分布の調整機能を有している。
これらの調整は、制御棒駆動系操作盤28を介して運転
員が手動にて制御する制御信号29により操作すべき制御
棒25を選択し、制御棒駆動系26を遠隔操作することによ
り行なわれる。出力制御は、制御棒25の位置を調整する
ことにより行われ、出力分布の調整は、制御棒位置の炉
心内におけるパターンを変更することにより行われる。
再循環流量の調整による出力制御は、炉心流量に対し
て出力がほぼ比例して変化する特性を利用するものであ
り、再循環流量の調整は、通常、再循環流量制御系操作
盤30を介して運転員が手動にて制御する制御信号31によ
ってインターナルポンプ32の速度指令信号を変化させ、
再循環流量制御系27を介して、インターナルポンプ電源
装置33の電源周波数を変化させることにより、ポンプ回
転数制御装置34でポンプ回転数を変化させて行われる。
このようなインターナルポンプを有する沸騰水型原子
炉では、第3図に示すように、インターナルポンプがト
リップした場合に至る可能性のある自然循環・高出力の
運転領域Aを回避するように、予め選択した制御棒を挿
入すること(以下、SRI)により、原子炉固有の安定性
が損なわれないように設計されている。
原子炉固有の安定性としては、冷却材流量の振動によ
り減速材への熱の移動が妨げられたり、またそれにより
原子炉出力が振動したりするようなチャンネル内の水力
学的な安定性と、原子炉全体の反応度帰還効果による炉
心安定性とが検討される。
通常、これらの安定度の評価として、沸騰水型原子炉
の設計では、減幅比を用いている。第4図は、減幅比の
定義を示すものである。すなわち、外乱に対する系の応
答曲線41の振幅X2とX0との比X2/X0で減幅比を定義し、
X2/X0<1.0では系は安定し、X2/X0>1.0では系は振動
し不安定な状態にある。また、X2/X0=1は安定限界を
示す。
これらの安定性は、冷却材流量が低いほど、また原子
炉出力が高いほど減幅比が大きくなり悪くなる。
また、チャンネル安定性について考えると、冷却材流
量が低いほど、また原子炉出力が高いほどボイド体積の
割合が大きくなり、単相圧損に対する二相圧損の割合が
大きくなってチャンネル安定性を悪くする。
またボイド体積の割合が大きいと、ボイド反応度係数
は負値で大きくなり、炉心安定性を悪くする。
(発明が解決しようとする課題) インターナルポンプを有する沸騰水型原子炉では、原
子炉固有の安定性を損なわないように、自然循環・高出
力の運転領域Aを回避するようにSRIを行う設計として
いる。従って、SRIによる出力低下幅、即ち選択制御棒
の反応度は、このような運転領域を回避するために十分
なものとなっている。
一方、SRIを行う必要のあるインターナルポンプトリ
ップ時の運転モードとしては、第5図に示すようなモー
ドである。
現在の設計では、運転点bでポンプトリップが発生し
た場合、選択制御棒挿入が必要な領域を通り運転点cに
至らせるに十分なSRIの反応度を固定している。しかし
ながらこのように反応度を固定しておくと運転点aでイ
ンターナルポンプトリップが発生してSRIが作動した場
合、安定性に問題がないにもかかわらず、出力を大幅に
低下させることになる。
また、SRI制御棒の本数が多い場合には、運転復旧の
際のSRIに係る制御棒の引抜に時間を要する等の理由か
ら不要に電力の損失を招く恐れがある。
本発明は、自然循環・高出力の運転領域Aを回避する
SRIを行う必要がある様々な運転モードに対して、原子
炉固有の安定性を確保するのに必要、かつ適切な出力低
下幅(選択制御棒の反応度)を自動的に与えることが可
能な沸騰水型原子炉の炉心部安定化装置を提供すること
を目的とする。
〔発明の構成〕
(課題を解決するための手段) 本発明は、炉心を内蔵する原子炉圧力容器と、この原
子炉圧力容器内に設けられ炉心内に冷却材を供給する複
数のインターナルポンプと、前記炉心内に挿入される制
御棒と、この制御棒を駆動する装置を有する原子炉の炉
心部安定化装置において、インターナルポンプトリップ
の有無を判定するポンプトリップ判定部と、運転点の位
置を判定する運転領域判定部と、予め定めた選択制御棒
挿入(SRI)パターン設定部とからの信号を入力とし
て、制御棒駆動装置にSRI指令信号を発する機能をもつ
制御棒駆動制御部を有することを特徴とする。
(作用) 本発明に係る沸騰水型原子炉の炉心部安定化装置にお
いては、インターナルポンプトリップの有無を判定する
ポンプトリップ判定部、運転点の位置を判定する運転領
域判定部、及び予め定めておくSRIパターン設定部から
の信号を入力として、制御棒駆動装置にSRI指令信号を
発する機能を制御棒駆動制御部を用いて、原子炉固有の
安定性を確保するのに必要、かつ適切な出力低下幅(選
択制御棒の反応度)を自動的に定めることにより、運転
信頼性を十分維持しつつ、プラント運転稼働率の向上が
図られる。
(実施例) 以下、本発明の一実施例を第1図を参照して説明す
る。
第1図は、本発明に係る沸騰水型原子炉の炉心部安定
化装置の一例を示すもので、制御棒駆動制御部1は、ポ
ンプトリップ判定部2,SRIパターン設定部3,運転領域判
定部4からの各々の出力信号を入力信号として、制御棒
駆動装置5に出力信号を発する。この図に示されるよう
に、制御棒駆動制御部1、制御棒駆動装置5及び運転領
域判定部4は一つのフィードバックループを形成してい
る。この構成により、後述するように、運転領域の判定
及びSRI操作及び運転点の変動が一連のループを構成し
ていることが本実施例の特徴である。ポンプトリップ判
定部2では、複数のインターナルポンプ6からのポンプ
電源のON−OFF信号、ポンプ回転数信号等7を入力とし
て、ポンプトリップ発生の有無を判別し、ポンプトリッ
プ発生があった場合には、ポンプトリップ発生信号8を
制御棒駆動制御部1に出力する。
ここで、ポンプトリップ判定部2におけるポンプトリ
ップ発生の有無の判別方法としては、複数のポンプ電源
のON−OFF信号のうち、OFFとなっている信号数が定数N1
以上である場合にポンプトリップ発生と判定する方法、
もしくは、複数のインターナルポンプの個々のポンプ回
転数を見て、最低ポンプ回転数Rを下回るポンプ台数が
定数N2以上である場合にポンプトリップ発生と判定する
方法があり、定数N1,N2及び最低ポンプ回転数Rは、炉
心特性、及びどの程度の安定度を確保するかにより決め
られるものである。
また、ポンプトリップ判定部2におけるポンプトリッ
プ発生の判別方法としては、前記の例以外に、ポンプ電
源の電圧,電流信号等、信頼性の高い信号であればそれ
を用いてもよい。SRIパターン設定部3には、SRIに使用
される複数の制御棒パターンのクループ(Gr1,…Gri)
を予め設定,記憶させておく。制御棒パターンの設定と
しては、それぞれのグループのSRI制御棒の全反応度
が、最低ポンプ速度流量より低流量側の運転領域におい
て、例えば出力低下幅が5%程度となるようにSRI制御
棒パターンを複数設定しておく。この出力低下幅は、必
ずしも5%に限定するものではない。しかし本発明の目
的であるポンプトリップ発生時等に自然循環・高出力領
域に至るような場合に、原子炉固有の安定性を確保する
のに必要かつ適切な出力低下幅を自動的に与えるという
ことを実現するためには、複数のそれぞれのSRI制御棒
パターンの全反応度は出力低下幅が5%以下相等となる
ようにしておくことが望ましい。更に、具体的なパター
ン(制御棒選択位置)については、1/4炉心対称となる
ようなパターンとし、制御棒挿入時の炉心内出力分布が
歪まない(軸方向出力分布が下方に歪まない、径方向出
力ピーキングが制御棒挿入前に比べ大きくならない)よ
うに選択する。
このようにして設定された複数のSRI制御棒パターン
が、SRIパターン設定部3で設定され、記憶されてい
る。
運転領域判定部4では、運転点の情報として、炉心平
均中性子束を検出するAPRM9の信号を熱出力換算回路10
で換算した熱出力P1,及び炉心流量センサ11で検出され
た炉心流量W1が入力され、判定値設定部12で設定された
運転領域(熱出力Pと炉心流量Wの関数)との比較を行
う。
判定値設定部12における運転領域の設定例としては、 P>0.75W+5(%)かつ W<w ここで、w:最低ポンプ速度流量 と定めることができる。
このような設定は、予め行った安定性解析において安
定な炉心状態として、第4図で定義される炉心/チャン
ネル安定性の減幅比がそれぞれ0.25,0.5以下となるよう
に定めた例である。
更に、この設定は一例であり、どの程度の安定度を解
析結果で見込むかによって様々な設定が可能である。
運転領域判定部4における判定条件としては、 を設け、この条件が成立する場合には、SRI要求信号13
を制御棒駆動制御部1に対して出力する。
制御棒駆動制御部1では、ポンプトリップ判定部2か
らのポンプトリップ発生信号8,及び運転領域判定部4か
らのSRI要求信号13が入力された場合、SRIパターン設定
部3で設定された複数の制御棒パターンのグループのう
ち、Gr1のパターンを挿入する制御棒パターン指定信号1
4が制御棒駆動装置5に出力され、この制御棒駆動装置
からSRI信号15が出力されSRI16が行われるとともに、SR
I信号15が出力されてからタイマー17で設定された時定
数の後、運転領域判定部4に運転領域判定信号18を出力
する。
本タイマーの時定数の設定としては、SRIの制御棒の
挿入開始から100%挿入されるまでの挿入時間を最小値
として、この最小値に熱出力の整定時間(1分間程度)
を加えた値を設定値を選ぶことができる。
以降、制御棒駆動制御部1に、ポンプトリップ発生信
号8、及びSRI要求信号13が入力され続けている間、SRI
パターン設定部3で設定された制御棒パターンのグルー
プGr2,Gr3,…GriのパターンのSRIが順次行われ、熱出力
が低下するのに伴い、運転領域判定部4において、
(1)の判定条件が成立しなくなり、SRI要求信号13が
制御棒駆動制御部1に出力されなくなると、新たな制御
棒パターングループのSRI信号15は出力されなくなり、S
RIは作動しなくなる。
〔発明の効果〕
以上のように、本発明は、炉心を内蔵する原子炉圧力
容器と、前記原子炉圧力容器内に設けられて前記炉心内
に冷却材を供給する複数のインターナルポンプと、前記
炉心内に挿入される制御棒と、前記制御棒を駆動する装
置を有する原子炉の炉心部安定化装置において、インタ
ーナルポンプトリップの有無を判定するポンプトリップ
判定部,運転点の位置を判定する運転領域判定部,及び
予め定めた選択制御棒挿入(SRI)パターン設定部から
の信号を入力として、制御棒駆動装置にSRI指令信号を
発する機能をもつ制御棒駆動制御部を有している。よっ
て必要、かつ適切なSRIによる出力低下幅が自動的に定
められるため、原子炉固有の安定性が損なわれるような
運転を確実に防止し、プラント運転稼働率の向上と運転
員の負担軽減が図られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示す沸騰水型原子炉の炉心
部安定化装置のブロック図、第2図は一般的なインター
ナルポンプ型原子炉の炉心部と反応度制御系の概略図、
第3図は選択制御棒挿入が必要な運転領域を示す図、第
4図は減幅比の定義を示す図、第5図はインターナルポ
ンプトリップ時の運転モードを示す図である。 1…制御棒駆動制御部 2…ポンプトリップ判定部 3…SRIパターン設定部 4…運転領域判定部 5…制御棒駆動装置 6…インターナルポンプ 7…ポンプ電源のON−OFF信号,ポンプ回転数信号等 8…ポンプトリップ発生信号 9…APRM 10…熱出力換算回路 11…炉心流量センサー 12…判定値設定部 13…SRI要求信号 14…制御棒パターン指定信号 15…SRI信号 16…SRI 17…タイマー 18…運転領域判定信号 21…原子炉圧力容器 22…原子炉 23…炉心 24…反応度制御系 25…制御棒 26…制御棒駆動系 27…再循環流量制御系 28…制御棒駆動系操作盤 29…制御信号 30…再循環流量制御系操作盤 31…制御信号 32…インターナルポンプ 33…インターナルポンプ電源装置 34…ポンプ回転数制御装置 41…応答曲線 51…選択制御棒挿入が必要な領域 52…100%出力制御棒パターン流量制御ライン 53…再循環ポンプ最低速度ライン 54…自然循環ライン A…自然循環・高出力の運転領域

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炉心を内蔵する原子炉圧力容器と、前記原
    子炉圧力容器内に設けられて前記炉心内に冷却材を供給
    する複数のインターナルポンプと、前記炉心内に挿入さ
    れる制御棒と、前記制御棒を駆動する制御棒駆動装置と
    を有する沸騰水型原子炉の炉心部安定化装置において、
    前記複数のインターナルポンプのうちポンプ電源のON−
    OFF信号がOFFとなっているポンプの台数が所定数以上で
    ある場合にポンプトリップ発生信号を発するポンプトリ
    ップ判定部と、熱出力及び炉心流量の測定値をもとに運
    転点の位置を判定しSRI要求信号を発する運転領域判定
    部と、反応度可変の複数の制御棒選択挿入パターンを内
    蔵する制御棒選択挿入パターン設定部と、前記制御棒駆
    動装置にSRI指令信号を発する制御棒駆動制御部を有
    し、前記SRI指令信号は前記ポンプトリップ判定部から
    のポンプトリップ発生信号及び前記運転領域判定部から
    のSRI要求信号が入力されているときに発せられ、かつ
    前記SRI指令信号が発せられているときに前記制御棒駆
    動装置によって前記複数の制御棒選択挿入パターンに基
    づき前記制御棒を順次選択挿入し、この制御棒選択挿入
    が開始されてから一定時間経過後に前記制御棒駆動装置
    から前記運転領域判定部へ運転領域判定信号が発せら
    れ、さらにこの運転領域判定信号の入力に伴い前記運転
    領域判定部において再び前記運転点の位置の判定を行う
    ことで前記運転点の変動を監視することを特徴とする沸
    騰水型原子炉の炉心部安定化装置。
  2. 【請求項2】選択制御棒挿入パターン設定部において、
    反応度可変の複数の制御棒パターンが設定できることを
    特徴とする特許請求の範囲第1項記載の沸騰水型原子炉
    の炉心部安定化装置。
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