JP2603479B2 - 動力舵取装置 - Google Patents

動力舵取装置

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JP2603479B2 JP18608387A JP18608387A JP2603479B2 JP 2603479 B2 JP2603479 B2 JP 2603479B2 JP 18608387 A JP18608387 A JP 18608387A JP 18608387 A JP18608387 A JP 18608387A JP 2603479 B2 JP2603479 B2 JP 2603479B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、自動車に装備され、舵輪操作に要する力を
電動モータの回転力により補助する電動式の動力舵取装
置(パワーステアリング装置)に関する。
〔従来技術〕
舵輪に加えられた操舵トルクの検出結果に基づいて操
舵補助用のモータを駆動し、自動車の操舵に要する力を
該モータの回転力により補助することにより、運転者に
快適な操舵感覚を提供する電動式の動力舵取装置が開発
されている。
この動力舵取装置は、自動車の舵取機構の形式により
若干の相違はあるが、例えば、舵輪軸(ステアリングコ
ラム)にユニバーサルジョイントを介して連結されたピ
ニオンと、これに噛合されたラック軸とからなり、舵輪
の回動操作に伴うピニオンの回動をラック軸の軸長方向
への移動に変換して舵取りを行わせるラック・ピニオン
式の舵取機構を備えた自動車においては、前記ピニオン
の軸を舵輪軸に連なる入力軸と、ラック軸に連なる出力
軸とに分割すると共に、これらをトーションバーを介し
て同軸上に連結し、該トーションバーに生じる捩れに伴
って前記入力軸と出力軸との間に生じる相対変位として
前記操舵トルクを検出する、例えばポテンシオメータを
用いてなるトルクセンサを構成すると共に、前記ピニオ
ン又は該ピニオンと異なる軸長方向位置において前記ラ
ック軸に噛合する他のピニオンに、適宜の減速装置を介
してその回転力を伝達するように前記操舵補助用のモー
タを配設した構成となっている。
そして、このような減速装置を備えた電動パワーステ
アリング装置は、例えば特開昭60−234069号、特開昭59
−63264号、特開昭59−63265号、実開昭61−122542号及
び実開昭じか60−182279号の各公報に示されている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
このように従来の動力舵取装置においては、トククセ
ンサ及び操舵補助用のモータが、いずれも車体前部のエ
ンジンルームの下部に位置する舵取機構の周辺に配設さ
れており、余剰空間の少ないエンジンルーム内において
前記モータの配置の制約を受けると共に、トルクセンサ
又はモータに不都合が生じた場合、これらの修理又は調
整を狭い空間内において行わざるを得ず、困難なメテン
ナンス作業を強いられるという難点があった。また、特
開昭60−234069号、特開彰59−63264号、特開昭59−632
65号、実開昭61−122542号、実開昭60−182279号の各公
報に示されている電動パワーステアリング装置における
減速装置は、平歯車とベルトとの組合せ、平歯車同士の
組合せ、又はギヤとベベルギヤとの組合せにより構成さ
れているため、大きい減速比を得るためには、構成部品
点数が多くなり減速装置の小型化が図れないという問題
がある。
特に例えば軽自動車のように寸法制約が厳しい仕様の
場合、舵輪軸の長さ方向の寸法を短くする必要がある。
しかし、舵輪軸の長さ方向寸法を短くすると所望の衝撃
エネルギー吸収特性を得ることが難しくなる。即ち、2
次衝突(運転者が車輌衝突時の衝撃で前方へ移動し、舵
輪に突当たる現象)時の衝撃を緩和する上で、舵輪軸の
長さ方向の衝撃エネルギー吸収機構の吸収ストロークを
大きくとることが好ましく、そのために変形しない構造
物(減速装置など)の部分の同方向の長さを可及的に小
さくすることが望まれるのである。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、メ
ンテナンスの容易性を保持しつつ、以上のような舵輪軸
の長さ方向の衝撃エネルギー吸収機構の吸収ストローク
を大きくすると共に2次衝撃によって運転者が舵輪から
受ける荷重(撃力)を可及的に小さくできる動力舵取装
置を提供することを目的とする。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明に係る動力舵取装置は、舵輪に連設され車室内
部に配設された舵輪軸を車室外部に配設されたラックピ
ニオン式舵取機構に連結部材を介して連結してあり、前
記舵輪に加えられる操舵トルクの検出結果に基づいて操
舵補助用のモータを駆動する動力舵取装置において、前
記舵輪軸は、舵輪側の上部軸と舵取機構側の下部軸とを
備え、該下部軸はトーションバーを介して連結される入
力軸と出力軸とを備え、前記上部軸から下部軸への伝動
系中に介装された第1衝撃エネルギー吸収機構と、前記
トーションバーのねじれ変位を検出して前記操舵トルク
を検出するトルクセンサと、前記舵輪軸の前記トルクセ
ンサの配設位置よりも舵取機構側の部分に嵌着されたウ
ォームホイール及び該ウォームホイールの軸心と直交し
て噛合されたウォーム軸を有する伝動装置と、上部軸ハ
ウジング、下部軸ハウジング及び該上部軸ハウジングと
下部軸ハウジングとを連結する連結部材ハウジングから
なる前記舵輪軸のハウジングと、この上部軸ハウジング
及び連結部材ハウジングの間に配設された第2衝撃エネ
ルギー吸収機構とを備え、前記下部時ハウジングは前記
舵輪軸のハウジングの舵取機構側端部に配設され、前記
伝動装置及び前記トルクセンサを収納すると共に、舵輪
側及び舵取機構側の分割構成となっており、そのいずれ
かの外側に前記モータを装着してあることを特徴とす
る。
〔作用〕
本発明においては、操舵トルクを検出するトルクセン
サ,操舵補助用のモータ及び該モータの回転力の伝動装
置のいずれもが、車室内に位置する舵輪軸の周辺に配さ
れ、メンテナンスが容易である。
また車輌衝突時には第1,第2の衝撃エネルギー吸収機
構が作動して運転者の安全を確保するが、前記伝動装置
としてウォーム軸及びウォームホイールを使用するの
で、伝動装置を装着する部分の舵輪軸方向寸法が短縮さ
れ、その分、衝撃エネルギー吸収機構の吸収ストローク
が大きくなり、これにより、単位長さ当たりの衝撃吸収
荷重を低くできるので、運転者への衝撃を低くおさえる
ことができ、安全性が高まる。
更に、下部軸ハウジングは舵輪軸のハウジングの舵取
機構側端部に配設されていて重量の伝動装置を収納し、
モータを装着してある。つまり2次衝撃についてみると
衝撃エネルギー吸収機構の可動側(舵輪側)を軽くし、
重量の下部軸ハウジングを固定側(舵取機構側)として
いるのである。これによって2次衝撃時の運転者に加わ
る荷重(撃力)は低減される。以下これにつき説明す
る。
第5図はその説明図であり、(a)は本発明の、
(b)は逆に重量物を衝撃エネルギー吸収機構より舵輪
側(可動側)としたものを示している。これらにつきエ
ネルギー保存の法則から2次衝撃の前後の運動エネルギ
ーを求め、舵輪軸の2次衝撃エネルギー吸収機構の可動
側部材の質量の違いによる撃力の比較を行う。
衝突前の運動エネルギーは 人体の質量:M1 衝突前の速度:V1 とすると E=1/2×M1×(V1)…(1)と表される。
一方、衝突後の運動エネルギーは 舵輪軸の可動側部材の質量:M2 衝突後の速度:V2 とすると E=1/2×(M1+M2)×(V2)…(2)と表される。
(但し、衝突後、人体と舵輪軸の可動側部材は同一の速
度を得ると仮定する。) 舵輪、舵輪軸支持部材などが町突時に塑性変形又は弾
性変形することによるエネルギー損失(吸収)を無視す
るとエネルギー保存の法則から衝突前後の運動エネルギ
ーは等しいので上記の(1)式と(2)式は等しい。こ
のことは、M2が0に近づくほどV2がV1に近づくことを示
す。またこのことは人体が舵輪に衝突するごく微小な時
間(Δt)に人体の速度がV1からV2に変化することを示
す。即ち、人体はΔtの間に舵輪軸可動部から次に求め
る荷重(撃力)を受けることを示す。
加速度 α=(V2−V1)/Δt 荷重 F=M1×α=M1×(V2−V1)/Δt …(3) (3)式で求めた荷重(撃力)を小さくするためには
衝突前後の速度差(V2−V1)を小さくすることが有効で
ある。
即ち、((1)・(2)式から)M2(舵輪軸の可動側
部材(第5図のハッチング部)の質量)を可能な限り軽
減することが必要である。
第5図(a),(b)の比較で(a)の本発明の構造
が(b)の構造よりも前記質量が軽量であることは一見
して明白であり、 M1=34(kg) V1=6.694(m/sec) E=761.764(kg・m2/sec2) と仮定すると (a)の場合: M2=3.549(kg) V2=6.370(m/sec) F=11.038/Δt(N) (b)の場合: M2′=6.151(kg) V2′=6.160(m/sec) F′=18.173/Δt(N) となり、その差は明らかである。
〔実施例〕
以下、本発明をその実施例を示す図面に基づいて詳述
する。第1図は本発明に係る動力舵取装置における舵輪
に連なる軸系の側断面図である。
図示の軸系は、これに軸長方向の過大な力が作用した
場合にこの力を吸収し、衝突事故の際に運転者を保護す
る、所謂安全バンドル構造を有するものであり、図にお
いて1は、その上端部(第1図の右側端部)に図示しな
い舵輪をこれと同軸をなした状態に固定してなる上部軸
10と、この下端部に薄肉円筒形をなす連結部材11を介し
て同軸上に連結されてなる下部軸12とからなり、舵輪の
回動に伴ってその軸心廻りに回動する舵輪軸(ステアリ
ングコラム)である。上可軸10の下部には、軸長方向に
適長離隔させて2本の環状溝10a,10aが形成してあり、
また連結部材11の上部には、前記環状溝10a,10a間の離
隔路離と略等しい距離だけ軸長方向に離隔した位置に、
これを半径方向に貫通する各複数個の円孔11a,11aが周
方向に略等配をなして形成してある。そして、上部軸10
と連結部材11とは、環状溝10a,10aが円孔11a,11aの形成
位置の内側に位置するまで上部軸10を連結部材11に内嵌
せしめた後、各円孔11a,11a…から環状溝10a,10aに樹脂
を注入し、該樹脂を固化せしめて連結されている。該樹
脂は、通常の舵輪操作に伴い上部軸10に作用する力に対
しては十分な強度を有し、上部軸10と連結部材11とを強
固に連結するが、上部軸10の軸長方向に過大な力が作用
した場合には剪断破壊するから、上部軸10は連結部材11
の内部をその軸長方向に移動でき衝撃エネルギーが吸収
される。
また上部軸10をその内部に支承する円筒状をなす上部
軸ハウジング20は、連結部材11を囲繞する円筒状の連結
部材ハウジング21の外側に、薄肉円筒状の球保持部材22
の軸長方向の2個所に保持させた各複数個の小球22a,22
aを介して係合させてあり、前述した如く上部軸10と連
結部材11とを連結する樹脂が破断して上部軸10が移動す
る際に、前記小球22a,22a…の夫々が、上部軸ハウジン
グ20の内周面上又は連結部材ハウジング21の外周面上を
摺動し、その摺動抵抗により上部軸10に作用する衝撃エ
ネルギーが吸収されるようになっている。
前述の環状溝10a,10a、円孔11a,11a及びこれらに注入
されて固化した樹脂が前記第1衝撃エネルギー吸収機構
を構成している。また上部側ハウジング(上部軸ハウジ
ング20)及び下部側ハウジング(連結部材ハウジング21
及び下部軸ハウジング23)の間に配設した小球22a,22a
…及び球保持部材22が第2衝撃エネルギー吸収機構に相
当する。
さて前記下部軸12は、夫々が中空の断面形状をなす
上,下2本の入力軸12a及び出力軸12bからなり、入力軸
12aは筒状をなし前記連結部材ハウジング21の下側に連
設された下部軸ハウジング23の内部に玉軸受24にて支承
され、また出力軸12bは下部軸ハウジング23の内部に玉
軸受25及び26にて支承されている。入力軸12a及び出力
軸12bの夫々の中空部には、両者の長さの和に略相当す
る長さを有し、その中央部分を細径の一様な円形断面に
加工してなるトーションバー3が内挿してある。該トー
ションバー3は、そのやや大径に加工された両端部を、
入力軸12aの上端部及び出力軸12bの下端部の半径方向に
これらを貫通するノックピン3a,3bにより夫々係止さ
れ、入力軸12aと出力軸12bとを同軸上に連結している。
入力軸12aの上端部には、前記連結部材11の下端部が外
嵌され、前記ノックピン3aによりトーションバー3と共
に係止されており、入力軸12aは連結部材11を介して前
記上部軸10の回動、換言すれば舵輪の回動に伴って回動
するようになしてある。また前記出力軸12bの下端部
は、車体前部のエンジンルーム内に配設された図示しな
い舵取機構に、ユニバーサルジョイント13を介して連結
してあり、該出力軸12bの回動方向及び回動量に大じた
舵取りがなされるようになっている。
以上の如く入力軸12aと出力軸12bとはトーションバー
3を介して連係されているから、舵輪に操舵トルクが加
えられた場合、舵輪と共に回動する入力軸12aと、舵取
機構中において拘束された状態にあるピニオン軸に連結
された出力軸12bとの間には、該操舵トルクによりトー
ションバー3に生じる捩れに応じた相対変位が生じる。
入力軸12aと出力軸12bとの間に装着されたトルクセンサ
4は、操舵トルクを前記相対変位として検出するポテン
シオメータを用いてなるものであり、入力軸12aに遊嵌
されたスリーブ40に外嵌され、該スリーブ40と共にピン
41aによりその回動を入力軸12aに拘束された低抗体保持
部材41と、その上半部を前記スリーブ40の外観されてい
ると共に、その下半部を出力軸12bの上端部に遊嵌さ
れ、ピン42aによりその回動を出力軸12bに拘束された検
出子保持部材42とからなる。抵抗体保持部材41の下端面
と検出子保持部材42の上端面とは、夫々下部軸12の軸心
に直交し、軸長方向の適長離隔した状態で互いに対向さ
れており、前者にはその軸心を中心とする適宜の円環状
にポテンシオメータの抵抗体43が形成してあり、後者に
は抵抗体43に摺接する検出子44が装着されている。抵抗
体43への所定の電位の印加及び検出子44の摺接位置に応
じた値となるポテンシオメータの出力電位の取出しは、
抵抗体保持部材41の外周面に設けた複数本のスリップリ
ング45,45…に各別に摺接するスリップリングワイヤ46,
46…及び下部軸ハウジング23に固着した端子箱47を介し
て行われる。第2図はトルクセンサ4の部分の拡大断面
図であり、各スリップリングワイヤ46,46…と、これら
に各別に接続したリード線48,48…との間には、本図に
示す如く、一側をボディーアースに接続してなる貫通コ
ンデンサー49,49…が介装されており、ポテンシオメー
タへの印加電位、又はポテンシオメータの出力電位に外
部からの電波障害に起因する外乱電位が付加されること
を防止している。なお一層の防止効果を得ようとする場
合には、リード線48,48…にシールド線を用いればよ
い。更に、前述の如く介装した貫通コンデンサー49,49
…は、スリップリングワイヤ46,46…が貫通する部分か
ら、下部軸ハウジング23の内部に水,ほこり等が浸入す
ることをも防止しており、これらに起因するトルクセン
サ4の誤動作の虞がない。
トルクセンサ4の出力信号は、制御部7の入力側に与
えられており、制御部7はこの信号により舵輪に加えら
れた操舵トクルの方向及びその大きさを認識し、該制御
部7の出力側に図示しない駆動回路を介して接続された
操舵補助用のモータ5(第3図参照)を、舵輪の操作方
向に対応する方向に回転させる。
さて前記出力軸12bの軸長方向の中間部には、該出力
軸12bに操舵補助用のモータ5の回転力を伝達するウォ
ームホイール50が、これと同軸をなした状態に嵌合され
ている。該ウォームホイール50は、出力軸12bの上部を
支承する前記玉軸受25と、出力軸12bの下部外周面に圧
入固定され出力軸12bの下部を支承する前記玉軸受26と
によりその両側面を挾持されて軸長方向に位置決めされ
ており、半月キー50aにより周方向に位置決めされてい
る。ウォームホイール50の外周面には、これと軸心を直
交させて、操舵補助用のモータ5に連動連結されたウォ
ーム軸51が噛合せしめてある。
第3図はモータ5の伝動機構の構造を示す第1図のII
I−III線による断面図である。本図に示す如くウォーム
軸51は、その軸長方向の中間部にウォーム歯を形成して
あり、該ウォーム歯の谷径と同径か又はこれよりも小径
に加工された先端部を下部軸ハウジング23に圧入固定さ
れ玉軸受52に内嵌せしめてこれに支承させ、また基部側
の中途部をウォーム歯形成部を挟んで前記玉軸受52と逆
側に位置する玉軸受53に支承させて、前述した如く、ウ
ォームホイール50と軸心を直交させた状態で下部軸ハウ
ジング23の内部に軸支してある。前記玉軸受53は、ウォ
ーム軸51に外嵌せしめた状態でその内輪の両側をウォー
ム軸51の中途部に設けた大径部と該軸51の外周面に係合
させた止め輪51aとにて挾持させた後、ウォーム歯形成
部を内側としてウォーム軸51と共にその外輪を下部軸ハ
ウジング23に形成した軸受装着孔に内嵌せしめ、その外
輪の両側を、該装着孔の内周面に係合させた止め輪51b
と該装着孔の底面とにて挾持せしめて軸長方向に位置決
めしてあり、ウォーム軸51をラジアル方向及びスラスト
方向に指示するようになしてある。操舵補助用のモータ
5は、これと同軸上に連動連結された電磁クラッチ6を
内側として下部軸ハウジング23に形成したモータ装着孔
に嵌合せしめ、取付ボルトにて固定してウォーム軸51と
同軸をなすように下部軸ハウジング23の外側に装着して
ある。前記ウォーム軸51は、その玉軸受53側の端部に形
成したスプライン51cにより電磁クラッチ6の出力軸に
係合してあり、前記モータ5の回転力は電磁クラッチ6
を介してウォーム軸51に伝達され、更に該軸51と噛合す
るウォームホイール50を介して前記出力軸12bに伝達さ
れるようになっている。
モータ5の伝動機構はこのような構成になっており、
電磁クラッチ6とウォーム軸51とがスプライン結合され
ているから、モータ5はその取付ボルトを外すだけで、
電磁クラッチ6と共に容易に取り外すことができ、ま
た、ウォーム軸51の先端部がウォーム歯の谷径よりも小
径であるから、止め輪51bを取り外した後、ウォーム軸5
3を手前に引くことにより、ウォーム軸51を玉軸受53と
共に容易に外部に取出すことができる。従って、伝動機
構の点検若しくは修理作業が容易に行え、また初期組立
ての際のウォームホイール50とウォーム軸51との間の整
合性が悪い場合、ウォーム軸51を前述の如く取出し、こ
れを他のウォーム軸51に取換えることにより、両者の整
合性を容易に改善することができる。またウォームホイ
ール50とウォーム軸51とにより大きい減速比が得られる
ので、構成部品点数が少なく伝動装置を小型化できる。
モータ5への駆動電流の給断は、前記制御部7の動作
により、トルクセンサ4により検出される操舵トルクの
大きさ及び方向に応じて行われる。そしてこの駆動電流
により回転するモータ5の回転力は、前述した如く電磁
クラッチ6,ウォーム軸51及びウォームホイール50を介し
て出力軸12bに伝達され、更にユニバーサルジョイント1
3を経て舵取機構中のピニオン軸に伝達され、該ピニオ
ン軸の回転に伴う前記ラック軸の左又は右方向への移動
により、左又は右への舵取りがなされる。
第4図はモータ5内部のブラシ取付構造を示す模式的
断面図である。ブラシ54は、その先端部をモータ5の整
流子56の外周面に半径方向に摺接させた状態で基部を箱
形をなすブラシ取付台55の内部に収納し、モータ5の内
部の適宜位置に係止した渦巻きばね57により整流子56に
向かう方向に付勢された状態に取付けられている。渦巻
きばね57は、その一端部を適宜位置に設けた係止部材58
に係止すると共に他端部をブラシ54の基部に形成した孔
54aに挿入せしめて装着され、ブラシ54に前記方向への
付勢力を加え、ブラシ54の磨耗が進行した場合において
も該ブラシ54を整流子56に確実に摺接せしめるものであ
るが、ブラシ54の磨耗が所定量に達した後において以後
の前記付勢力の付加を防止するストッパ59が、渦巻きば
ね57の前記他端部側の途中部に当接するように設けてあ
る。このストッパ59は、ブラシ54の磨耗が前記孔54aの
位置に達するまで進行し、該孔54a中に挿入された渦巻
きばね57の端部が整流子56に接触してモータ5の回転子
が拘束されることを防止するために設けたものである。
モータ5の回転子が拘束された場合、該モータ5に連結
したウォーム軸51及びこれに噛合するウォームホイール
50を介して出力軸12bの回転が拘束される結果、舵取り
が不能になる虞があるが、前述した如きストッパ59を設
けた場合、渦巻きばね57がストッパ59に当接した後に
は、ブラシ54と整流子56との接触状態は良好に保たれな
くなる結果、モータ5への駆動電流の供給はなされなく
なるが、モータ5の回転子は拘束されないため、出力軸
12bの回転が拘束されることはなく、舵取り不能の危険
性は回避される。
〔効果〕
以上詳述した如く本発明に係る動力舵取装置において
は、トルクセンサ及び操舵補助用のモータが車室の内部
の舵輪軸の周辺に配設されているから、広い車室の内部
においてトルクセンサ及びモータのメンテナンス作業が
行え、また必要であれば、舵輪軸をそのハウジングと共
に取りはずすことにより、トルクセンサ及びモータの修
理又は調節作業を外部において行うことが可能であり、
メンテナンス作業の困難さの解消が図れる。また舵輪軸
のルクセンサの配設位置よりも舵取機構側の部分に嵌着
させたウォームホイールと、このウォームホイールの軸
心と直交して噛合され、モータの回転軸に連結されるウ
ォーム軸とにより伝動装置を構成したので、大きい減速
比で、小型の伝動装置を得ることができる。しかもウォ
ーム軸とウォームホイールとの噛合位置はウォームホイ
ールの周上において適宜に設定することができるから、
前記モータは、ハウジングの外側において、これの周方
向のいかなる位置に装着することもでき、車室の内部の
余剰空間にこれを配置することが可能である。更に本発
明に係る動力舵取装置は、第1、第2衝撃エネルギー吸
収機構を備えているので衝撃時の安全性が高いことは当
然であるが、これらを備えながらなお小型短寸に構成で
き、軽自動車への適用が可能となった。また舵輪軸をそ
のハウジングと共と取換えるだけで後付けできるから、
手動操舵式の自動車を動力舵取装置を備えた自動車に容
易に改造することが可能となる。更にモータからの伝動
装置にウォーム軸及びウォームホイールを使用したこと
により伝動装置を装着する部分の舵輪軸の長さ方向寸法
が短寸化でき、その分を衝撃エネルギー吸収機構の吸収
ストロークに当てることができ、安全性を高めることが
できた。加えてモータ,伝動装置などの重量部材を衝撃
エネルギー吸収機構の固定側に設けたことで2次衝突の
際に運転者に加わる荷重が減少し、この面からも安全性
が高くなった。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明の一実施例を示すものであり、第1図は本
発明に係る動力舵取装置の断面図、第2図はトルクセン
サ部の拡大断面図、第3図はモータの伝動機構の構成を
示す第1図のIII−III線による拡大断面図、第4図はモ
ータ内部のブラシ取付構造を示す模式図、第5図は2次
衝突時に運転者が受ける荷重の計算のための説明図であ
る。 1……舵輪軸、3……トーションバー、4……トルクセ
ンサ、5……モータ、10……上部軸11……連結部材、12
……下部軸、12a……入力軸、12b……出力軸、23……下
部軸ハウジング、50……ウォームホイール、51……ウォ
ーム軸
フロントページの続き (72)発明者 松原 英雄 大阪府大阪市南区鰻谷西之町2番地 光 洋精工株式会社内 (72)発明者 池木 美一 大阪府大阪市南区鰻谷西之町2番地 光 洋精工株式会社内 (72)発明者 渡辺 正幸 大阪府大阪市南区鰻谷西之町2番地 光 洋精工株式会社内 (72)発明者 上桝谷 哲雄 大阪府大阪市南区鰻谷西之町2番地 光 洋精工株式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−234069(JP,A) 特開 昭59−63265(JP,A) 特開 昭59−63264(JP,A) 特開 昭61−37580(JP,A) 実開 昭61−122542(JP,U) 実開 昭60−182279(JP,U) 実開 昭60−188064(JP,U) 実開 昭61−58169(JP,U) 特公 昭46−35527(JP,B1) 米国特許2248251(US,A) 米国特許3191109(US,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】舵輪に連設され車室内部に配設された舵輪
    軸を車室外部に配設されたラックピニオン式舵取機構に
    連結部材を介して連結してあり、前記舵輪に加えられる
    操舵トルクの検出結果に基づいて操舵補助用のモータを
    駆動する動力舵取装置において、 前記舵輪軸は、舵輪側の上部軸と舵取機構側の下部軸と
    を備え、該下部軸はトーションバーを介して連結される
    入力軸と出力軸とを備え、 前記上部軸から下部軸への伝動系中に介装された第1衝
    撃エネルギー吸収機構と、 前記トーションバーのねじれ変位を検出して前記操舵ト
    ルクを検出するトルクセンサと、 前記舵輪軸の前記トルクセンサの配設位置よりも舵取機
    構側の部分に嵌着されたウォームホイール及び該ウォー
    ムホイールの軸心と直交して噛合されたウォーム軸を有
    する伝動装置と、 上部軸ハウジング、下部軸ハウジング及び該上部軸ハウ
    ジングと下部軸ハウジングとを連結する連結部材ハウジ
    ングからなる前記舵輪軸のハウジングと、 この上部軸ハウジング及び連結部材ハウジングの間に配
    設された第2衝撃エネルギー吸収機構と を備え、 前記下部軸ハウジングは前記舵輪軸のハウジングの舵取
    機構側端部に配設され、前記伝動装置及び前記トルクセ
    ンサを収納すると共に、舵輪側及び舵取機構側の分割構
    成となっており、そのいずれかの外側に前記モータを装
    着してあることを特徴とする動力舵取装置。
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