JP2602494B2 - Nmr走査装置 - Google Patents

Nmr走査装置

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は核磁気共鳴(NMR)装置に関する。更に具
体的にいえば、この発明は、NMR走査装置(scanner)の
一部分を形成するRF電力増幅器及びRF受信器前置増幅器
にNMR無線周波(RF)コイルを結合するために相互イン
ダクタンスを利用するインピーダンス整合装置に関す
る。
[従来の技術] 核磁気共鳴現象は、化学的な組成物の構造を解析する
ために、従来構造化学者によて解像度の高いNMR分光装
置で利用されている。更に最近になって、NMRは解剖学
的な部分の作像(イメージング)並びに生体内の非侵入
形の分光分析を行なうのに用途を持つ医療診断様式が開
発された。現在では周知のように、核磁気共鳴現象は、
患者のようなサンプル物体を分極用磁界の中に配置し、
ラーモア周波数のRFエネルギーでこの物体を照射するこ
とにより、励振することが出来る。医療診断の用途で
は、これは典型的には検査する患者を円筒形のRFコイル
の中に位置決めし、RFコイルをRF電力増幅器で付勢する
ことによって行なわれるのが典型的である。RF励振が止
むと、同じRFコイル又は異なるRFコイルとRF前置増幅器
を用いて、RFコイルの場の中にある患者の容積から出る
NMR信号を受信する。NMR信号は、この信号に空間情報を
符号化するために使われる直線的な磁界勾配の存在の下
に観測するのが普通である。完全なNMR走査の過程出、
複数個のNMR信号を観測するのが典型的である。この
後、この信号を使って検査する物体のNMR作像情報又は
分光情報を取出す。
RF電力増幅器とRFコイルの間、並びにコイルとNMR受
信器の前置増幅器の間のエネルギーの伝達を最大にする
ため、コイルの入力インピーダンスが電力増幅器の出力
インピーダンス及び前置増幅器の入力インピーダンスと
整合していなければならない。更にRFコイルのインピー
ダンスは、RFコイルをRF電力増幅器又は前置増幅器の何
れかに結合する伝送線路の特性インピーダンスと整合し
ていなければならない。これは調節自在のインピーダン
ス整合回路を使うことによって達成することが出来る。
従来のNMR用RFコイル整合回路で起こる問題は、こうい
う回路が適正に動作するためには、コイルの良さの係数
Qに依存することである。このQがコイルの中にある物
体の寸法と共に変化する。このため、大きな人(例えば
体重が220ポンドを越える人)は小さい人よりも、余計
にコイルのQを下げる。一般的に、Q値が小さいと、Q
値の下降に伴ってコイルの入力インピーダンスが同じ様
に減少するために、インピーダンス不整合が起こる。
[従来技術の問題点] 最適の入力インピーダンスに戻すために、普通の整合
回路は電気接続部を動かしたり、コンデンサの値を取替
えたり、或いは可変コンデンサ又はインダクタを調節す
ることを必要とする。然し、別々の値を持つ部品に置換
えることは又は電気接続部を移動することは、有限の数
のNMR用RFコイルの負荷しかインピーダンス整合するこ
とが出来ない。磁界の均質性に対する影響があるため、
NMR用磁石の中孔の近くに調節自在の容量及びインダク
タンス素子を使うことも同じ様に望ましくない。
[発明の目的] 従って、この発明の主な目的は、上に述べた従来の装
置の欠点を解決するNMR用RFコイル・インピーダンス整
合装置を提供することである。
この発明の別の目的は、複数個の負荷を広い範囲の負
荷インピーダンスにわたって有効に整合させるために可
変相互インダクタンスを用いたNMR用RFコイル・インピ
ーダンス整合装置を提供することである。
[発明の構成] 無線周波信号を発信及び受信するRFコイル手段と、発
信モードで動作する時にRFコイル手段を付勢する付勢手
段と、受信モードで動作する時に無線周波信号を受信す
る受信手段を含むNMR走査装置において、RFコイル手段
を付勢手段及び受信手段に結合する整合コイル手段が設
けられる。整合コイル手段は、動作中、該整合コイル手
段とRFコイル手段とが相互インダクタンスによって結合
されるようにRFコイル手段の磁界の中に配置されてい
て、RFコイル手段を付勢手段並びに受信手段にインピー
ダンス整合させるために用いられる。
この発明の新規と考えられる特徴は特許請求の範囲に
具体的に記載してあるが、この発明自体の構成、作用並
びにその他の目的及び利点は、以下図面について説明す
るところから最も良く理解されよう。
[好ましい実施例の説明] 本発明を説明する前に、先ず従来のNMR装置について
簡略に説明する。第1図は分極用磁界を発生するNMR磁
石10の側面断面図である。以下の説明では、磁石を超導
電形の設計として説明するが、これは例に過ぎず、この
他の磁石の設計も利用することが出来る。磁石はソレノ
イド構造であって、縦軸線14を中心とする円筒形の中孔
12を持っていて、一組の主コイル巻線16を持っている。
主コイル巻線は、付勢された時、分極用磁界すなわち静
磁界を発生する。超導電形磁石では、コイルに使われる
材料に特有の超導電温度に巻線を保つために、液体ヘリ
ウム及び窒素の様な適当な極低温剤を入れた極低温槽18
の中にコイルが配置される。主コイル巻線に隣接して、
一組又は更に多くの抵抗形又は超導電形シム・コイル20
を配置するのが有利である。シム・コイルが、巻線16に
よって発生された分極用磁界の固有な非均質性を補正す
るように作用する。勿論超導電形シム・コイルは極低温
槽18の中に収容される。RFコイル集成体22が、シム・コ
イルに隣接して配置された勾配コイル集成体24の内側に
同軸に配置される。RF減結合遮蔽体26がRF及び勾配コイ
ル集成体の間に同軸に配置され、両方のコイルを減結合
するように作用する。実質的に遮蔽体は低域フィルタと
して作用し、可聴範囲の周波数を持つ勾配磁界パルスが
妨げられずにその中を通過することが出来るようにしな
がら、RF周波数では実質的に短絡回路として作用し、こ
うしてRFコイルに対する勾配コイルの結合の望ましくな
い影響を避けるようになっている。使う時、患者(図に
示してない)の検査領域を磁石の中孔の全体的に球状の
容積28とを整合させる。この容積では分極用磁界及びRF
磁界が均質であって、コイル集成体によって発生される
勾配磁界が直線的である。
NMR走査装置の全体的な構造を第1図を参照して一般
的に説明した。次に第2図を参照して、RFコイル及びRF
遮蔽体の構成、並びにRFコイルを直接的に付勢する従来
の1つの方法について説明する。RFコイルは全体的に参
照数学30で示してあるが、RF遮蔽体32によって囲まれる
ものとして示されている。このRF遮蔽体の一部分を破断
して、図面を判り易くしている。RFコイルは、8個の軸
方向導電セグメント37乃至44によって相互接続された1
対の導電ループ素子34,36で構成される。各々の軸方向
導電セグメントは、セグメント37乃至44に夫々対応する
コンデンサ46乃至53として示すような少なくとも1つの
容量素子を持っている。導電ループ素子34は、軸方向導
電セグメント37の両側で該導電ループ素子中に配置され
た第1対の直列接続されたコンデンサ54,55を持ってい
る。また導電セグメント37と直径上で向かい合って配置
された軸方向導電セグメント41の両側で、第2対の直列
接続されたコンデンサ56,57が導電ループ素子34中に接
続されている。同様に、導電ループ素子36は、軸方向導
電セグメント37及び41の両側に夫々接続された対のコン
デンサ62,63及び64,65を持っている。コンデンサ54乃至
57及び62乃至65の作用は、NMR作像の用途に使われる磁
界勾配パルス状に印加されることによる導電ループ素子
中の渦電流の循環を防止すること、並びに正しい駆動点
インピーダンスを作ることである。第2図には別個に示
してないが、ループ素子34,36の導電部分には固有のイ
ンダクタンスが関係しており、コイルの適正な動作を達
成するためには、このインダクタンスを軸方向導電セグ
メントに配置された容量素子と組合せるのが必要であ
る。更に、第2図に示すRFコイルは8個の軸方向導電セ
グメントを持つものとして示してある。しかし、実際に
は、コイルはこの様に制限されず、セグメントはこれよ
り多くても少なくても良いが、セグメントの数が多けれ
ば多い程、その結果出来るRF磁界の均質性が高くなる。
RFコイルはRF電力増幅器66によって付勢される。RF電
力増幅器66は発信器(図に示してない)から入力RF信号
を受取る。RF増幅器の出力が、例えば同軸ケーブル68、
発信/受信(T/R)スイッチ70及び第2の同軸ケーブル7
2を介して、容量素子54,55の両端に印加される。同軸ケ
ーブル72の中心導体が直列接続されたコンデンサ54,55
の片側に接続され、そのシールドが反対側に接続される
と共に、点74でRF遮蔽体32に接地されている。RFコイル
が受信アンテナとして動作する時、受信NMR信号が同軸
ケーブル72及び発信/受信スイッチ70を介してRF前置増
幅器76に印加され、そこからRF受信器(図に示していな
い)に印加される。
第2図について説明したRFコイルを付勢する直接的な
駆動方法は多くの用途で満足に作用する。然し、それに
は欠点が伴っている。前に述べたように、コイルのイン
ピーダンスが作像する物体の寸法に応じて変化し、物体
が大きくなるにつれてインピーダンスが減少する。この
結果、コイルとRF電力増幅器の間のインピーダンス不整
合が生じ、コイルに電力が結合される時の効率が低下す
る。更に、RF電力増幅器の出力インピーダンスは業界の
標準の50オームのインピーダンスに定められているか
ら、コイルの入力インピーダンスはこの値に極く近い状
態に保たなければならない。その目的のため、その両端
でRFコイルを付勢するコンデンサ54,55は、静電容量の
減少につれてインピーダンスが増加することから、小さ
く(100乃至200ピコファラッド程度)しなければならな
い。コイルの所望のインピーダンスを得るためにこうい
うコンデンサを小さくしなければならないという条件
は、大きいRF電流によってコンデンサの両端に誘起され
る高い電圧の結果として起こるコイルの早期の故障を避
けるために、コンデンサを出来るだけ大きくする条件と
相反する。この様な高い電圧は、コンデンサの誘電体絶
縁破壊により、RFコイルの早期の故障を起こす原因にな
ることがある。RFコイルを励振する直接的な駆動方法に
伴う別の欠点は、RFコイル及び勾配コイルを減結合する
ためにRFコイルをRF遮蔽体の中に封じ込めなければなら
ないという条件、並びにケーブルの配置並びに移動によ
るインピーダンスの変化を最小限に抑えるために、RFコ
イル及び遮蔽体を同軸駆動ケーブルに(第2図の74に示
すような点で)接地しなければならないという条件によ
って起こる。遮蔽体及びRFコイルが同軸ケーブルに接続
されている結果、RFコイルを付勢した時、RFコイルと遮
蔽体が互いに接近していることによってRFコイルと遮蔽
体との間に形成される標遊静電容量により、電流の不平
衡が起こる。この電流の不平衡により、RF磁界が非均質
になり、それによって像にアーチファクトが生じること
がある。電流の不平衡は普通の平衡不平衡変成器によっ
て除くことが出来るが、こういう装置はNMR装置内で保
守が困難であることが判っている。RFコイルの共振周波
数が、RF増幅器から供給されるRF励振周波数と若干異な
る場合も電流の不平衡が起こり得る。電流の不平衡によ
り、コイルの1つ部分でより大きな電圧が発生する。こ
れが像のアーチファクトを招き、過大な電圧による誘電
体の早期の故障を招く。
この発明は、前述の従来のNMR用RFコイル駆動方法に
伴うの欠点を解決する。この発明では、無線周波信号を
発信及び受信するRFコイル手段(例えば、前述のRFコイ
ル30で構成される)と、発信モードで動作する時にRFコ
イル手段を付勢する第1の付勢手段(例えば、前述の要
素66,68,70,72で構成される)と、受信モードで動作す
る時に無線周波信号を受信する受信手段(例えば、前述
の要素76,70,72で構成される)を含むNMR走査装置にお
いて、RFコイル手段を付勢手段及び受信手段に結合する
第1の整合コイル手段が設けられる。第1の整合コイル
手段は、動作中、該整合コイル手段とRFコイル手段とが
相互インダクタンスによって結合されるようにRFコイル
手段の磁界の中に配置されていて、RFコイル手段を付勢
手段並びに受信手段にインピーダンス整合させるために
用いられる。第1の整合コイル手段とRFコイル手段との
間の相互インダクタンスによる結合度は第1の調節手段
により調節される。第1の調節手段は、前記RFコイルの
磁界に結合される前記第1の整合コイル手段の面積を変
えるように前記第1の整合コイル手段を動かす手段で構
成される。第1の整合コイル手段は遮蔽手段(例えば、
遮蔽体30または後述の第5図の遮蔽体90)に電気的に接
地される。
この発明による解決法を次に第3図及び第4図を参照
して更に詳しく説明する。第3図には、第2図について
前に述べた遮蔽体及びコイルと略同一の遮蔽体32及びRF
コイル30が示されている。第3図でも、同様の部分には
同じ参照数字を用いている。更に、第3図には、本発明
の第1の整合コイル手段を構成する整合コイル80が示さ
れている。整合コイル80は、RFコイルと遮蔽体の間に配
置されていて、その1端がコンデンサC1を介して同軸給
電ケーブル72の中心導体に結合され、他端がRF遮蔽体
(点75で)並びに同軸ケーブルの外側導体に結合された
細長い導電ループで構成されている。整合コイル80はRF
コイル30に対し、矢印82で例示するように、RFコイルの
共振周波数でRF磁束密度が最大である場所に配置され
る。これにより、同軸ケーブル72を介して整合コイルに
印加されたRFエネルギは、可変相互インダクタンス(す
なわち整合コイルとRFコイルとの間の変成器作用)によ
ってRFコイルに結合される。整合コイルと磁束(従って
RFコイル)との間の結合度は、磁束に対する結合のため
に利用し得る整合コイルの実効面積と、整合コイルとRF
コイルの間の結合係数に関係する。整合コイルの平面が
矢印82で示したRF磁束に対して垂直である時、結合が最
大になる。
この発明の1実施例では、結合度を変える、すなわち
調節する第1の調節手段として、両方向の矢印86で示す
方向に、整合コイル80を縦軸線84の周りに回転させて、
磁束が結合し得る整合コイルの面積を可変にする手段
(図示ぜず)を設ける。一般的に、整合コイルとRFコイ
ルの間に高い結合度を生ずる位に大きな面積を持つ整合
コイルを作ることが望ましい。
次にRFコイル、整合コイル及びRF電力増幅器を略図で
示す第4図について、可変相互インダクタンスを利用し
てRFコイルを付勢するこの発明の動作方法を詳しく説明
する。第4図では、整合コイルがインダクタンスL1を持
つものとして表わされており、これがコンデンサC1及び
抵抗R1と直列に接続されている。この説明では、抵抗R1
は無視し得る位に小さいと仮定する。NMR用RFコイルに
関係する静電容量及びインダクタンスが夫々集中定数C2
及びL2で示されている。インダクタンスL1及びL2が相互
インダクタンスMによって結合される。可変抵抗R2がイ
ンダクタンスL2及び容量C2と直列に接続されている。抵
抗R2を可変素子として示してあるが、これはNMR用RFコ
イルの良さの係数Qが患者の寸法の変化により変わるこ
とを示すためである。例えば、大きな患者では、コイル
のQが低下する。これは抵抗R2の値の増加に相当する。
RF電力源88の出力インピーダンスR5が整合コイルの両端
のインピーダンスZinに等しい時、電力の伝達が最大に
なる。この状態により、NMR用RFコイルに最大の電流I2
が流れる。即ち、 RS=ω2M2/R2 (1) である時に、電流I2が最大である。この式でωはRFコイ
ルの共振周波数、Mは整合コイルとNMR用RFコイルの間
の相互インダクタンスの結合係数である。普通の動作の
場合のように、コイルの容量及びインダクタンスが共振
状態にある時、この式が成立する。この時、整合コイル
及びRFコイルは、関心が持たれる原子核のラーモア周波
数で共振するように設計されており、RF電力源の周波数
は所望の共振周波数に等しい。
式(1)から、インピーダンスZinが抵抗R2の値に関
係することは明らかである。前に述べたように、抵抗R2
はコイルの良さの係数Qに関係する。従って、良さの係
数Qが変化すると、RF電力源から見た入力インピーダン
スZinが変化し、この結果インピーダンス不整合が起こ
る。この発明では、前に挙げた式から明らかなように、
整合コイルのインダクタンスL1とNMR用RFコイルのイン
ダクタンスL2の間の結合を変えることにより、インピー
ダンスZinの値を調節することが出来る。結合度が相互
インダクタンスの結合係数Mによって表わされている。
前に述べたように、第3図で整合コイル80を回転して、
RF磁束との結合のために利用し得るコイル・ループによ
って囲まれた面積を変えることにより、結合度を調節す
ることが出来る。整合コイルを回転することは、相互イ
ンダクタンスMを変える効果があるが、回転運動の結果
として、整合コイルの長さ及び形状が変化しないため
に、整合コイル自己インダクタンスL1にはほとんど影響
がない。このため、整合コイルの自己インダクタンスを
平衡させるために使われるコンデンサC1は、NMR用RFコ
イルの中に色々な身長の患者が配置される時、調節する
必要がない。
NMR用RFコイルと整合コイルとの間の結合を、整合コ
イルを回転させることによって変える上述の方法は、一
例に過ぎず、整合コイルとRFコイルの間の距離をRF磁束
密度が一層大きく又は一層小さくなる位置に変えるとい
うようなこの他の方法も有利に用いることが出来ること
が理解されよう。
第5A図は、同軸に配置されたRF遮蔽体90とRFコイルコ
イル92の端面図である。RFコイル92は、そのうちの2つ
を参照数字94で示すような16個の軸方向導電セグメント
を持っている。第5A図には、特にNMR作像に役立つ直線
偏波RF磁界を発生するようにRFコイルを付勢するための
整合コイル96の好ましい位置も示されている。整合コイ
ル96は、RFコイルと遮蔽体の間の、磁束線98が相対的に
接近していることによって図示されているように、RF磁
束密度が最大である領域に配置される。第5A図に示す磁
束の形は、軸方向導電セグメントの電流が(第5A図の角
度に対し)正弦状分布を持つコイルの共振様式の場合で
あり、この結果、RFコイルの内側のRF磁束は、磁束線部
分100で示すように一様である。
第5B図は実質的に第5A図と同じであり、同じ部分には
同じ参照数字を付けてある。第5B図は、円偏波磁界を発
生するようにRFコイルを付勢するために可変相互インダ
クタンスを利用するこの発明の実施例を示す。公知のよ
うに、円偏波磁界は、NMRの用途では、電力を減少する
と共に、信号対雑音比を改善するという利点がある。第
5A図及び第5B図の主な違いは、第5B図では、RFコイルか
ら円偏波磁界を発生させるために、第1の整合コイル手
段すなわち第1の整合コイル96に加えて、第2の整合コ
イル手段すなわち第2の整合コイル102が設けられてい
ることである。整合コイル96,102は第5B図に示すよう
に、夫々垂直から45゜変位しており、このため整合コイ
ル96,102はRFコイルの円周に沿って互いに90゜離れてい
る。この構成では、非対称な被検体を検査する時にRFコ
イルの不均一な負荷が避けられる。整合コイル102の場
所は、第5A図について説明し、第5B図で実線で示した共
振モードに対して直交する共振モードに関連する最大の
RF磁束密度と一致するように選ばれる。直交モードに関
連する磁束が第5B図では破線で示されており、整合コイ
ル102は参照数字104で示した最大磁束密度の領域に配置
される。直交共振モードに結合するため、第1及び第2
の整合コイル96,102はそれぞれ、互いに電気角で90゜ず
れた位相を持つRF電力源を含む第1及び第2の付勢手段
(図に示してない)により、整合コイル及びRFコイルの
共振周波数で付勢される。好ましい実施例では、このた
めの付勢手段としては、第6図に示す直角ハイブリッド
装置106のような幾つかの公知の4ポート装置の内の1
つを用いる。
次に第6図について説明すると、RF電力増幅器110の
出力が発信/受信スイッチ110aを介して直角ハイブリッ
ド装置のポート1に印加され、そこで互いに90゜位相が
ずれている、大きさの略等しい2つの信号に分割され
る。この電力の分割によって得られた2つの信号がポー
ト3及び4に現れ、第5B図について説明した96,112に示
すような整合コイルに印加される。このように第1及び
第2の整合コイルを付勢する第1及び第2の付勢手段
は、要素110,110a,106で構成される。受信モードでは、
RFコイルが受信したNMR信号がポート3,4に印加され、直
角ハイブリッド装置で正しい位相にされて、略全部の信
号がポート2に現れるようにし、このポートから発信/
受信スイッチ110bを介してRF前置増幅器112に印加さ
れ、その後NMR受信器(図に示してない)に印加され
る。整合負荷抵抗114が発信/受信スイッチを介して直
角ハイブリッド装置のポート2に結合されて、発信サイ
クルの間の適正な動作を保証することが示されている。
このように第1及び第2の整合コイルから信号を受信す
る受信手段は、要素106,110b,112で構成される。この他
の適当な4ポート装置の例としては、これに限らない
が、リング・ハイブリッド装置、対称形カップラ、被対
称形カップラ、テーパつき整合カップラ及び集中定数カ
ップラがある。
第5A図及び第5B図において、NMR用RFコイル92と第1
及び第2の整合コイル96,102のそれぞれとの間の結合を
変えて調節するためのそれぞれの第1及び第2の調節手
段の各々は、第3図について整合コイル80を回転させる
ための手段と同様なもので構成することが出来る。
この発明の別の実施例の整合コイルが第7図に示され
ている。このコイルはアングル形導電素子116を持ち、
この導電素子の長い部分がRF遮蔽体118と平行に配置さ
れ、一層短い垂直セグメントによってそれと電気的に接
続されている。第2アングル形導電素子120の長い部分
が導線素子116と平行に配置されていて、それから隔た
って狭いすき間を作る。導電素子120の垂直の短い部分
が同軸ケーブル122の中心導体に接続される。この同軸
ケーブルがRF電力源(図に示してない)に結合されてお
り、その外側導体が遮蔽体118に接地されている。導電
素子116,120が、その長い部分とRF遮蔽体との間に、破
線で示す区域124を作る。この区域124は、RFコイルの磁
束と結合する整合コイルの面積であり、整合コイルとRF
との間の結合度を決定する。導電素子116,120の間のす
き間が前に第4図につい説明したコンデンサC1に対応
し、導電素子がインダクタンスL1に対応する。導電素子
を取替えずに区域(すなわち面積)124を調節する1つ
の方法は、両方向の矢印126a,126bで示すように、遮蔽
体に対するその高さを調節することである。このように
区域を調整するための調節手段は、導電素子を保持して
動かすことの出来る任意の適当な手段で構成しうる。コ
ンデンサC1の容量値は、例えば1対のねじ128,130を調
節して、導電素子116,120の間のすき間を狭くしたり広
げることによって変えることが出来る。実際には、正確
なインピーダンス整合状態からの若干の偏差があっても
差支えないので、この区域及び静電容量は、走査が予想
される大抵の患者にとって許容し難い程のインピーダン
ス不整合を生じないような経験的に設定された値に調節
される。
この発明では、可変相互インダクタンスを用いてRFコ
イルを付勢する結果として、幾つかの利点が得られる。
例えば、第2図に示す導電ループ素子34,36に夫々配置
された容量素子54乃至57及び62乃至65は、一層大きく作
ることができ、このため、その両端間に生じる電圧降下
が一層小さくなり、従って誘電体の絶縁破壊の恐れが小
さくなる。このことは、通常これらの容量素子がRFコイ
ルにおいて(入力インピーダンスを高くするために必要
である)最も小さな値を持ち、そのため高電圧状態の下
で最初に故障するので、それを防止する点で有利であ
る。更に、この発明の方法を利用することによって得ら
れるインピーダンスが(RFコイルを正しく励振するため
に必要な共振状態のために)実数(real)の性格を持っ
ており、磁界の磁束と結合するための整合コイルの面積
を増加することにより、高いレベルに設定することが出
来る。もう1つの利点は、RFコイルが点74で遮蔽体に結
合されている第2図に示した従来の駆動装置の場合と比
べて、NMR用RFコイルをもはやどの点でも遮蔽体に直接
的に接続する必要がないことである。これにより、RFコ
イルは電気的に「浮動状態(floating)」すなわちアー
スや電源回路などに何ら接続されていない状態にするこ
とができ、従って隣接の要素との間の漂遊静電容量(st
ray capacitance)に応じて自動的に平衡する、すなわ
ちRFコイルの電位が漂遊静電容量に応じて自動的に定ま
る。この発明では、整合コイルは遮蔽体が誘導駆動装置
の一体的な部分として使用されるように第3図の点75で
遮蔽体に接地されており、これによりRF電力増幅器に対
して安定な入力インピーダンスが形成されると共に、平
衡不平衡変成器を設ける必要がなくなる。この整合コイ
ルの周波数外れの動作では、電力増幅器からRFコイルへ
のエネルギの伝達が共振磁束パターンによって最小限に
抑えられる。即ち、コイルが共振していない場合(即
ち、RFコイルの共振周波数とは異なる周波数を持つRF電
力源によって付勢されている場合)、増幅器はコイルに
電力を結合することが出来ない。これは、コイルが整合
コイルと結合するのに必要な磁界の磁束パターンを持た
ないからである。これは、RFコイルを付勢する従来の直
接的な駆動方法では得られない自己保護機構として望ま
しい。
こヽで説明したRFコイルに役立つ1実施例のNMR用RF
遮蔽体が第8図に示されている。この遮蔽体1983年12月
16日出願の米国特許出願通し番号562121号に記載されて
いる。簡単にいうと、第8図は、誘電体材料によって隔
てられた両面印刷配線板の2つの導電面に使われる食刻
パターンを示している。実線(例えば140)は、印刷配
線板の内側の導電シート(即ち、遮蔽体の内側内筒面と
なる導電シート)に食刻すべき区域を表わし、破線(例
えば142)は外側導電シートに食刻すべき区域を表わ
す。食刻された印刷配線板を円筒の形にし、内側導電シ
ートの縁A−B及びC−Dはんだ付けすることにより、
NMR用RFコイルをその中に受入れるようにする。外側導
電シートの縁は電気的に接続せず、点A−B及びC−D
を結ぶ破線144で示すように、すき間を形成する。内側
及び外側導電シートの文字EFGHで示した中心矩形領域を
食刻して、NMR用RFコイルの軸方向導電セグメントと平
行な複数個の垂直導電条片146,148を作る。内側及び外
側導電面の各々に食刻した線は例えば条片の幅の半分だ
け変位していて、一方の導電シートのすき間が他方の導
電シートの同じ場所にある導電条片によって架橋される
ようになっている。内側導電シートの導電条片150,152,
154及び導電条片156,158,160が、夫々第3図に示しNMR
用RFコイルの導電ループ素子34,36に流れる電流に対応
する電流を通す。導電ループ素子34は条片154を中心と
し、導電ループ素子36は導電条片156を中心とする。こ
れらの通路には切れ目がない。これは、線の末端が文字
J及びK、L及びMで表わされた線に沿って配置された
食刻区域は、ループ素子の電流が最低であるループ周辺
に沿った点に配置することが出来るからである。食刻線
162,164が垂直方向の電流の流れを妨げる。然し、こう
いう切れ目は遮蔽体に誘起させる渦電流を防止するため
に必要である。然し、コイルのこの区域では、コイル電
流が広い区域に渡って広がっていて、条片154,156より
も線162,164の前後では電流密度が一層小さい。更に、
一層大きな容量結合の区域が線162,164を架橋してい
る。外側導電シートの食刻線166,168,170が内側導電シ
ートの対応する食刻線162,164から遠く離れた位置にあ
って、線162,164の間の容量性架橋を最大にする。食刻
線144,172が、完成された遮蔽体で外側導電シートにす
き間を形成する。このすき間が勾配によって誘起された
渦電流ループを防止するが、遮蔽体の効率には何の悪影
響もない。内側導電シートに設けられたどの食刻線も、
外側導電シートの食刻線と交差しないことに注意された
い。しかし、例えば線162,164を結合して点N及びPの
間の1本の連続的な食刻線を形成することにより、この
様な交差部を作れるようにすることが望ましいことがあ
る。この場合、146に示すような、遮蔽体のすべての導
電素子は、内面に誘起された電流に対して略同じインピ
ーダンスを持つ。
この発明を特定の実施例及び例について説明したが、
当業者には、以上の説明からこの他の変更が容易に考え
られよう。従って、この発明は、特許請求の範囲内で、
こヽに具体的に説明しなかった形で実施することが出来
ることを承知されたい。
【図面の簡単な説明】
第1図はRFコイル集成体、勾配コイル集成体、シム・コ
イル集成体及びRF遮蔽体を含むNMR走査装置用の磁石の
断面図、第2図はNMR用RFコイルを直接的に励振する従
来の1つの方法を示す図で、RF遮蔽体を一部破断して示
す概略図、第3図は第2図と同様であるが、可変相互イ
ンダクタンスを用いたこの発明のNMR用RFコイル・イン
ピーダンス整合装置の1実施例を示す概略図、第4図は
この発明に従って可変相互インダクタンスを利用してRF
コイルを励振する様子を示す等価回路図、第5A図はRF磁
束の分布と、直線偏波RF磁界を発生するためのこの発明
の整合コイルの好ましい位置を示した、第3図に示され
ているようなNMR用RFコイルの端面図、第5B図は第5A図
と同様であるが、更に直交共振モードの磁束分布と、円
偏波RF磁界を励振するためのこの発明の整合コイルの好
ましい位置とを示すRFコイルの端面図、第6図は円偏波
RF磁界を発生するために直角励振を利用した好ましい実
施例のブロック図、第7図は第5A図及び第5B図に示した
実施例に有利に用いることが出来るこの発明の別の実施
例のインピーダンス整合コイルを詳しく示す図、第8図
はRFコイルを付勢するためにこの発明に利用できる1実
施例のRF遮蔽体を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 マシユウ・ジー・イアシユ アメリカ合衆国、ウイスコンシン州、オ コノモワク、ウエスト・ウイスコンシ ン・アベニユー、805番 (56)参考文献 特開 昭58−39939(JP,A) 実公 昭58−4284(JP,Y2)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無線周波信号を発信及び受信するRFコイル
    手段(30)と、発信モードで動作する時に前記RFコイル
    手段を付勢する第1の付勢手段(66,68,70,72)と、受
    信モードで動作する時に無線周波信号を受信する受信手
    段(72,70,76)を含むNMR走査装置において、 前記RFコイル手段を前記付勢手段及び前記受信手段に結
    合する第1の整合コイル手段(80,96)であって、当該
    整合コイル手段は、動作中、当該整合コイル手段と前記
    RFコイル手段とが相互インダクタンスによって結合され
    るように前記RFコイル手段の磁界の中に配置されてい
    て、前記RFコイル手段を前記付勢手段並びに前記受信手
    段にインピーダンス整合させるための当該第1の整合コ
    イル手段を有することを特徴とするNMR走査装置。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第1項に記載したNMR走査
    装置に於て、前記第1の整合コイル手段と前記RFコイル
    手段との間の相互インダクタンスによる結合度を調節す
    る第1の調節手段を有するNMR走査装置。
  3. 【請求項3】特許請求の範囲第2項に記載したNMR走査
    装置に於て、前記第1の調節手段が、前記RFコイルの磁
    界に結合される前記第1の整合コイル手段の面積を変え
    るように前記第1の整合コイル手段を動かす手段で構成
    されているNMR走査装置。
  4. 【請求項4】特許請求の範囲第1又は2項に記載したNM
    R走査装置に於て、遮蔽手段(32,90)を有し、前記第1
    の整合コイル手段が該遮蔽手段に電気的に接地されて、
    前記RFコイル手段を前記第1の整合コイル手段及び前記
    遮蔽手段に対して電気的に浮動状態にするようにしたNM
    R走査装置。
  5. 【請求項5】特許請求の範囲第1、2又は3項に記載し
    たNMR走査装置に於て、前記RFコイルを前記受信手段に
    結合する第2の整合コイル手段(102)を有し、該第2
    の整合コイル手段は前記RFコイル手段の磁界の中に配置
    されていて物理的には前記RFコイルの周縁に沿って前記
    第1の整合コイル手段から90゜だけずれて配置されてお
    り、更に前記第2の整合コイル手段を付勢する第2の付
    勢手段を有し、該第2の付勢手段の出力が前記第1の整
    合コイル手段を付勢する前記第1の付勢手段から電気的
    に90゜ずれているNMR走査装置。
  6. 【請求項6】特許請求の範囲第5項に記載したNMR走査
    装置に於て、前記第2の整合コイル手段と前記RFコイル
    手段との間の相互インダクタンスによる結合度を調節す
    る第2の調節手段を有するNMR走査装置。
  7. 【請求項7】特許請求の範囲第6項に記載したNMR走査
    装置に於て、前記第2の調節手段は、前記RFコイルの磁
    界に結合される前記第2の整合コイル手段の面積を変え
    るように前記第2の整合コイル手段を動かす手段で構成
    されているNMR走査装置。
  8. 【請求項8】特許請求の範囲第7項に記載したNMR走査
    装置に於て、遮蔽手段(32,90)を有し、前記第1及び
    第2の整合コイル手段が該遮蔽手段に電気的に接地され
    て、前記RFコイル手段を前記第1及び第2の整合コイル
    手段並びに前記遮蔽手段に対して電気的に浮動状態にす
    るようにしたNMR走査装置。
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