JP2602094Y2

JP2602094Y2 - ルアー

Info

Publication number: JP2602094Y2
Application number: JP1993017667U
Authority: JP
Inventors: 一弥宮崎; 宏之中村
Original assignee: Ryobi Ltd
Current assignee: Ryobi Ltd
Priority date: 1993-04-08
Filing date: 1993-04-08
Publication date: 1999-12-20
Anticipated expiration: 2008-04-08
Also published as: JPH0679263U

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、飛行性能、遊泳性能及
び音響性能等に優れたルアーに関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、ルアーは遊泳中に尾を振らせて
釣果を高めようとするのでルアー本体の前部の下側に重
心が来るように形成される。しかし、重心をルアー本体
の前部の下側に設定したルアーは、投擲時に回転したり
して飛行中の姿勢が不安定になるため空気抵抗が大きく
なり飛距離が伸びず目的のポイントに投入することがで
きないという問題を有する。

【０００３】そこで、従来のルアーは、例えば図４乃至
図７に示されるように、ルアー本体の下部に前後方向に
伸びるラトル室を設け、ラトル室に内装した重りをルア
ー投擲時にラトル室後部に移動させるようにして投擲時
におけるルアー本体の回転を防止し飛行姿勢を安定させ
ることができるような構造になっている。

【０００４】即ち、図４のルアーは、ミノー型ルアーで
あり、ルアー本体１内には、前後方向に伸びるラトル室
２が設けられ、該ラトル室２内には、ルアー飛行時に重
心を後方に移動させるための重り３が収容されている。
また、水中でルアーの遊泳性能を発揮させる上で、重り
３が上記飛行時の位置（図４中の右端位置）にあること
は不都合であるから、ラトル室２の前端には、重り３を
ラトル室２内にて前部に固定するための磁石４が設けら
れている。

【０００５】図５のミノー型ルアーは、ルアー本体１内
にラトル室２を有し、その中に前後方向に伸びる案内軸
６を有する。案内軸６は、重り３を貫通しており、ルア
ー飛行時に重り３が案内軸６に案内されて後方に移動す
るようになっている。

【０００６】図６のルアーは、ルアーの前後方向に伸び
る比較的大きいラトル室２を有し、その中の前寄りの箇
所には、重り３を保持するためのラトルポケットが突起
１０により形成されている。ルアーが着水した時に重り
３をラトルポケット内に収容し、遊泳性能を発揮させよ
うとするものである。

【０００７】図７のルアーは、クランクベイト型ルアー
であり、そのルアー本体１内にはルアー前後方向に伸び
るラトル室２が設けられている。ラトル室２内には、飛
行時に重心をルアー後方に移動させるための重り３が収
納されている。ラトル室２の中央は上方に湾曲してお
り、ルアーの遊泳中は重り３をラトル室２の前部内に保
持するようにしてルアーのコントロール性能を高めよう
とする。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】しかし、図５のルアー
のようにルアーの投擲時に重り３がルアー本体内を後方
に移動するように単にルアー本体の下部に前後方向に伸
びるラトル室２や案内軸６を設けたのみでは、投擲終了
後の遊泳中に重り３がルアー本体１内を前後方向に移動
しルアーをコントロールすることができなくなるという
問題を生じる。

【０００９】図４のルアーは、図５のルアーの有する問
題を解消しようとするもので、ルアーの遊泳中は重り３
を磁石４で吸着しルアー本体１の前部に保持してルアー
のコントロール性能を高めようとする。

【００１０】しかし、磁石４によりルアー本体の前部に
重り３を吸着位置決めしようとする場合は、磁石４自体
を強力にしなければルアーの投擲後に速やかに重り３を
吸着することができないので磁石４の大型化と重量増加
を招いてルアー全体のバランスを壊し、しかも巻き取り
の都度竿を振って重り３を磁石４から離脱させた後投擲
しなければならず投擲動作に迅速に移ることができない
という問題を有する。

【００１１】また、図６のルアー及び図７のルアーは図
４のルアーのような欠点はないが、ルアーの投擲後に重
り３が突起１０やラトル室２中央湾曲部を乗り越え難く
速やかに遊泳動作に移ることができないという問題を有
する。

【００１２】また、上記従来のルアーは、いずれも重り
３は単一であってその形状、大きさも限られ、かつ遊泳
時に重り３が定位置に固定されてしまうことから、所望
の音圧、音質等の音響効果を得ることができない。音響
効果は、釣果に大きな影響を与え、対象魚によっても大
きく異なるので、音響効果は調整可能にしておく必要が
あるが、従来の構造では音響の調整は困難である。

【００１３】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、請求項１に係る考案は、ルアー本体（１４）に前後
方向に設けられたラトル室（２３）と、該ラトル室（２
３）に投擲時に後方に移動し遊泳時に前方に移動するよ
うに内装された重り（２４）とを備えたルアーにおい
て、上記ラトル室（２３）の後部（２３_１）を上記ルア
ー本体（１４）の上下方向の中心より上方に配置し、上
記ラトル室（２３）の底（２５）を上記ラトル室（２
３）の後部（２３_１）から上記ラトル室（２３）の前部
（２３_２）に向けて下降傾斜させたルアーを採用してい
る。

【００１４】また、請求項２に係る考案は、上記ラトル
室（２３）を上記ルアー本体（１４）の前後方向複数個
形成した請求項１に記載のルアーを採用する。

【００１５】また、請求項３に係る考案は、上記ラトル
室（２３）に重り（２４）を複数個内装した請求項１又
は請求項２の何れかに記載のルアーを採用する。

【００１６】

【作用】ルアーの飛行時には、重り（２４）がラトル室
（２３）内をルアーの上部後方に移動し、ラトル室（２
３）の後部（２３_１）内に入る。

【００１７】ルアーの遊泳時には、重り（２４）がラト
ル室（２３）の下降傾斜する底（２５）を伝ってルアー
の下部前方に転がり落ち、ラトル室（２３）の前部（２
３_２）内に入る。

【００１８】重り（２４）は、ラトル室（２３）内にお
いて拘束されていない。移動も規制されていない。

【００１９】

【実施例】以下、図面に基づき、本考案に係るルアーの
実施例について説明する。

【００２０】実施例１図１に示されるように、このルアーは、クランクベイト
型ルアーであり、小魚等の餌に似せたルアー本体１４を
備えている。

【００２１】このルアー本体１４の下部中央と後端に
は、夫々アイ（止め輪）１５，１６が取り付けられてお
り、各アイ１５，１６には、スプリットリング１７，１
８を介してフック（釣針）１９，２０が装着されてい
る。

【００２２】上記ルアー本体１４の前部には、リップ２
１が取り付けられ、該リップ２１の略中央部には、アイ
２２が取り付けられ、該アイ２２には、必要に応じて糸
を結ぶためのスプリット・リング（図示せず）が装着さ
れている。

【００２３】ルアーの本体１４内には、ルアーの前寄り
の下部から後ろ寄りの上部に向ってラトル室２３が設け
られ、該ラトル室２３内に重り２４が三次元的に移動可
能なように収納されている。すなわち、ラトル室２３の
後部２３_１がルアー本体１４の上下方向の中心より上方
に配置され、またラトル室２３の底２５がラトル室２３
の後部２３_１からラトル室２３の前部２３_２に向けて下
降傾斜している。

【００２４】ラトル室２３の上部すなわち、ラトル室２
３の後部２３_１は、ルアーの投擲時の円運動の半径線ａ
が、最も飛行に適した姿勢にあるルアーと交差する箇所
に設定されている。ラトル室２３の下部すなわち、ラト
ル室２３の前部２３_２は、遊泳時に重心が低下するよ
う、ルアー本体１４の表層近くまで到達している。

【００２５】重り２４は、球形であり、ラトル室２３内
に複数個装填されており、ラトル室２３内で自在な向き
に転動するようになっている。重り２４の形状は球形に
限るものではない。その個数も三個に限るものではな
い。

【００２６】しかして、ルアーの飛行時には、重り２４
が図１中実線位置から鎖線位置へとラトル室２３内をル
アーの上部後方に移動する。重心は上記半径線ａ上に位
置することとなり、ルアーはバランス良く飛行し、より
遠くへ飛ぶ。

【００２７】ルアーが着水し、水中を遊泳する時には、
重り２４が重力でラトル室２３内をルアーの前寄りに転
がり落ち、飛行時の偏在を解消する。このため、ルアー
の重心がルアーの下部寄りに移動し、ルアーの水中での
運動性能が高まる。

【００２８】また、ラトル室２３はルアーの下部前方か
ら上部後方に向って斜めに伸びているので、ラトル室２
３の容積及び形状の変更の自由度が増す。かつ、重り２
４の大きさ、形状、材質、個数等も自在に変更可能であ
る。従って、ラトル室２３の容積等、重り２４の大きさ
等を種々組み合わせることにより、ルアーの水中での音
圧、音色等の音響効果を自在に調整することができる。

【００２９】次に、上記実施例１のルアーに関し、重り
２４がラトル室２３内を移動可能とした試料２ａと重り
２４をラトル室２３の前寄りの下部に固定した試料１ａ
の飛距離について比較したところ、表１のような結果を
得た。この表１から明らかなように、重心が上部後方に
移動することにより２０％程度飛距離を増やすことがで
きた。

【００３０】なお、測定条件は、ライトアクションのス
ピニングタックル、ライン径０．２８ｍｍ、無風状態、
ルアー重量１０．９ｇとした。

【００３１】

【表１】

【００３２】上記本考案品のルアー（試料３，４）と図
７に示されるような構造とした従来品のルアー（試料
５）について、音圧の測定を行ったところ、表２の結果
を得た。この表２から明らかなように、音圧が向上して
いる。

【００３３】なお、試料３，４，５において、いずれも
重り２４，３として金属球を用い、全体の重量を夫々５
ｇとし、試料３，５における重り２４，３の径は３ｍ
ｍ、試料４における重り２４の径は１ｍｍとした。音圧
の測定には、騒音計（株式会社小野測器製）を用い、空
気中にてルアーに遊泳時と同じ横向きの振動を加えつ
つ、集音マイクにより０．６ｍの距離から集音した。

【００３４】

【表２】

【００３５】実施例２図２に示されるように、このルアーは、ミノー型であ
り、ルアーの本体１４内には、ルアーの前寄りの下部か
ら後ろ寄りの上部に向って傾斜した三つのラトル室２３
ａ，２３ｂ，２３ｃがルアー前後方向に併設されてい
る。すなわち、各ラトル室２３の後部２３_１はルアー本
体１４の上下方向の中心より上方に配置され、また各ラ
トル室２３の底２５は各ラトル室２３の後部２３_１から
ラトル室２３の前部２３_２に向けて下降傾斜している。
そして、各ラトル室２３ａ，２３ｂ，２３ｃ内に重り２
４ａ，２４ｂ，２４ｃが三次元的に移動可能なように収
納されている。

【００３６】ラトル室２３ａ，２３ｂ，２３ｃの上部
は、ルアーの投擲時の円運動の半径線ａ（図１参照）
が、最も飛行に適した姿勢にあるルアーと交差する箇所
に設定されている。

【００３７】重り２４ａ，２４ｂ，２４ｃは、球形その
他の形状であり、各ラトル室２３ａ，２３ｂ，２３ｃ内
に一個ずつ又は複数個ずつ装填されており、ラトル室２
３ａ，２３ｂ，２３ｃ内で自在な向きに転動するように
なっている。

【００３８】しかして、ルアーの飛行時には、重り２４
ａ，２４ｂ，２４ｃが図２中実線位置から鎖線位置へと
ラトル室２３ａ，２３ｂ，２３ｃ内をルアー上部後方に
移動する。重心は上記半径線ａ上に位置することとな
り、ルアーはバランス良く飛行し、より遠くへ飛ぶ。

【００３９】ルアーが着水し、水中を遊泳する時には、
重り２４ａ，２４ｂ，２４ｃが重力でラトル室２３ａ，
２３ｂ，２３ｃ内を下降傾斜する底２５を伝ってルアー
の下部前方に転がり落ち、飛行時の偏在を解消する。こ
のため、ルアーの重心の位置がルアーの下部寄りに移動
し、ルアーの水中での運動性能が高まる。

【００４０】また、この実施例においても、各ラトル室
２３ａ，２３ｂ，２３ｃの容積及び形状の変更の自由度
が増し、重り２４ａ，２４ｂ，２４ｃの大きさ、形状、
材質、個数等も自在に変更可能である。従って、ラトル
室２３ａ，２３ｂ，２３ｃの容積等、重り２４ａ，２４
ｂ，２４ｃの大きさ等を種々組み合わせることにより、
ルアーの水中での音圧、音色等の音響効果を自在に調整
することができる。

【００４１】次に、上記実施例２のルアーに関し、重り
２４ａ，２４ｂ，２４ｃがラトル室内を移動可能とした
試料２ｂと重り２７ａ，２７ｂ，２７ｃをラトル室下部
前方に固定した試料１ｂの飛距離について比較したとこ
ろ、表３のような結果を得た。この表３から明らかなよ
うに、１０％程度飛距離を増やすことができた。

【００４２】なお、測定条件は、ライトアクションのス
ピニングタックル、ライン径０．２８ｍｍ、無風状態、
ルアー重量１３．３ｇとした。

【００４３】

【表３】

【００４４】実施例３図３に示されるように、このルアーは、ミノー型であ
り、ルアーの本体１４内には、ルアーの前寄りの下部か
ら後ろ寄りの上部に向って傾斜した一つのラトル室２３
が設けられ、該ラトル室２３内に多数の重り２４が三次
元的に移動可能なように収納されている。すなわち、各
ラトル室２３の後部２３_１はルアー本体１４の上下方向
の中心より上方に配置され、また各ラトル室２３の底２
５は各ラトル室２３の後部２３_１からラトル室２３の前
部２３_２に向けて下降傾斜している。

【００４５】ラトル室２３の上部は、ルアーの投擲時の
円運動の半径線ａが、最も飛行に適した姿勢にあるルア
ーと交差する箇所に設定されている。

【００４６】重り２４は、各々球形その他の形状であ
り、ラトル室２３内に５〜１０個装填されており、ラト
ル室２３内で自在な向きに転動するようになっている。

【００４７】しかして、ルアーの飛行時には、すべての
重り２４が図３中実線位置から鎖線位置へとラトル室２
３内をルアー上部後方に移動する。重心は上記半径線ａ
上に位置することとなり、ルアーはバランス良く飛行
し、より遠くへ飛ぶ。

【００４８】ルアーが着水し、水中を遊泳する時には、
重り２４が重力でラトル室２３内をルアーの下部前方に
転がり落ち、飛行時の偏在を解消する。このため、ルア
ーの重心の位置がルアーの下部寄りに移動し、ルアーの
水中での運動性能が高まる。

【００４９】また、重り２４は、ラトル室２３内で転動
し、所望の音を発する。

【００５０】この実施例においても、ラトル室２３の容
積及び形状の変更の自由度が増し、重り２４の大きさ、
形状、材質、個数等も自在に変更可能である。従って、
ラトル室２３の容積等、重り２４の大きさ等を種々組み
合わせることにより、ルアーの水中での音圧、音色等の
音響効果を自在に調整することができる。

【００５１】

【考案の効果】請求項１に係る考案によれば、ラトル室
の後部をルアー本体の上下方向の中心より上方に配置
し、ラトル室の底をラトル室の後部からラトル室の前部
に向けて下降傾斜させたことから、ルアーを投擲した
後、重りをラトル室の後部から前部に迅速且つ確実に移
動させることができる。従って、ルアーを投擲した後、
速やかに遊泳動作に移ることができる。また、ルアーの
巻き取り後投擲姿勢に入るとルアーはその前部を上方に
して竿の先端から垂下するので重りが自重によりラトル
室内を前部から後部へと移動する。従って、特別な操作
をすることなく迅速に投擲動作に移ることが出来る。

【００５２】請求項２に係る考案によれば、ラトル室を
ルアー本体の前後方向に複数個形成したことから、投擲
時と遊泳時との間での重りの移動距離を可及的に短くす
ることができ、投擲から遊泳までの移行を更に迅速に行
うことができる。

【００５３】請求項３に係る考案によれば、ラトル室に
重りを複数個内装したことから複数種の形状の重りを入
れて遊泳中にルアーから発する音響・音質を自由に設定
することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るルアーの部分切欠側面図である。

【図２】他の実施例のルアーの部分切欠側面図である。

【図３】さらに他の実施例のルアーの部分切欠側面図で
ある。

【図４】従来のルアーの部分切欠側面図である。

【図５】従来の他のルアーの部分切欠側面図である。

【図６】従来のさらに他のルアーの部分切欠側面図であ
る。

【図７】従来のさらに他のルアーの部分切欠側面図であ
る。

【符号の説明】

２３，２３ａ，２３ｂ，２３ｃ，…ラトル室２４，２４ａ，２４ｂ，２４ｃ，…重り

Claims

(57)【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】ルアー本体に前後方向に設けられたラト
ル室と、該ラトル室に投擲時に後方に移動し遊泳時に前
方に移動するように内装された重りとを備えたルアーに
おいて、上記ラトル室の後部を上記ルアー本体の上下方
向の中心より上方に配置し、上記ラトル室の底を上記ラ
トル室の後部から上記ラトル室の前部に向けて下降傾斜
させたことを特徴とするルアー。
【請求項２】上記ラトル室を上記ルアー本体の前後方
向に複数個形成したことを特徴とする請求項１に記載の
ルアー。
【請求項３】上記ラトル室に重りを複数個内装したこ
とを特徴とする請求項１又は請求項２の何れかに記載の
ルアー。