JP2600931Y2 - 防爆弁を有する円筒型電池の封口構造 - Google Patents

防爆弁を有する円筒型電池の封口構造

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JP2600931Y2
JP2600931Y2 JP6323393U JP6323393U JP2600931Y2 JP 2600931 Y2 JP2600931 Y2 JP 2600931Y2 JP 6323393 U JP6323393 U JP 6323393U JP 6323393 U JP6323393 U JP 6323393U JP 2600931 Y2 JP2600931 Y2 JP 2600931Y2
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昌武 西尾
影英 泉
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富士電気化学株式会社
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は防爆弁を有する円筒型電
池の封口構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、防爆弁を有する円筒型電池の封
口構造は、例えば特公平5−11652号公報に示され
ているように、内筒部と外筒部とが一体的に連結成形さ
れるとともに内筒部の内周面に弁部が形成されたプラス
チック製のガスケットを用い、このガスケットの内筒部
に正極集電子としての集電棒を挿通して上記弁部を集電
棒に密着させて集電棒をガスケットに組み付けている。
そして、更に有底円筒型の負極亜鉛缶の開口縁部の内周
に前記外筒部を嵌合させ、前記集電棒の上端突出部の上
に正極端子板を被せて円筒型電池を封口するようにして
いる。
【0003】このような円筒型電池の封口構造を、図5
のガスケット平面図、図6のガスケット断面図、図7の
封口構造断面図及び図8の封口構造拡大断面図を用いて
説明する。図5〜図8において、10はプラスチック製
ガスケット40の内筒部、20はガスケット40の外筒
部、30は内筒部10と外筒部20とを連結する連結
部、50は正極集電子としての集電棒、60は負極亜鉛
缶、70は正極端子板であり、ガスケット40には、集
電棒50の外周に圧接する内筒部10の内周面120に
上下に延びる溝80が形成されている。この溝80には
弾性を有する薄肉の弁部90が形成されて、溝80を途
中で上下に仕切るようになっている。内筒部10の下端
面と集電棒50との継目部分は集電棒50に予め塗布さ
れたピッチ等のシール剤100によって封止されて、集
電棒50の上端突出部の上に正極端子板70を被せて正
極端子板70の下面に内筒部10の上端面を圧接し、負
極亜鉛缶60の開口縁部を内方へカール状にかしめ、正
極端子板70の外周縁部と負極缶60のカール状開口縁
部とでガスケット40の外筒部20を内外周から圧縮す
ることにより円筒型電池を封口するようにしている。
【0004】以上の構成において、例えばマンガン電池
を誤って充電するなどして、電池の内圧が過大になると
その圧力で弁部90は上方へ撓み変形し、集電棒50と
の間に空気室110ができる。この空気室110と正極
端子板70に穿設した図示しない排気口とを通って電池
内部のガスが外部に抜けるようになっている。そして、
内圧が低下すると弁部90は弾性によって閉じて再び電
池内部を密閉する。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た封口構造にあっては、弁部90と集電棒50とシール
剤100との間(溝部80)に空気室110が形成され
て電池の気密性が損なわれてしまうという問題があっ
た。すなわち、集電棒50を弁部90に挿通させていく
様子を示した図9(a)〜(c)の封口構造の要部拡大
断面図に示すように、予めシール剤100が塗布された
集電棒50を弁部90に緊密に挿通させると、弁部90
と集電棒50とシール剤100との間(溝部80)に空
気室110が形成される。このような電池を高温下で貯
蔵する場合には空気室110に存在する空気が熱膨張す
るため、あるいは長期保存する場合には気温の変動など
により空気室110内の空気が膨張収縮を繰り返すため
にシール剤100に穴が開いてしまい、電池の気密性が
損なわれてしまうという問題があった。
【0006】また、空気室110に存在する空気が内圧
の変動を吸収してしまうため、弁部90はそのヒンジ特
性が低下して微妙な内圧変動に対応したガス抜きができ
なくなるという問題もあった。
【0007】この考案は以上の問題を解決するものであ
って、その目的は、気密性向上が図れるとともに微妙な
内圧変動に対応したガス抜きが行える円筒型電池の封口
構造を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、この考案は、内筒部と外筒部とが一体的に連結成形
されたガスケットを用い、該内筒部の内周面に上下に延
びる溝を形成するとともに該溝を途中で上下に仕切る薄
肉の弁部を形成し、前記内筒部に正極集電子としての集
電棒を挿通して該弁部を該集電棒に密着させるとともに
前記集電棒の外表面の所定の位置に予め塗布したシール
剤を前記内筒部の下端面と前記集電棒との継目部分に介
在させることによって前記集電棒を前記ガスケットに組
み付け、負極缶の開口縁部の内周に前記外筒部を嵌合さ
せ、前記集電棒の上端突出部の上に正極端子板を被せ、
該正極端子板の外周縁部と前記負極缶の開口縁部とで前
記ガスケット外筒部を内外周から圧縮してなる円筒型電
池の封口構造において、前記弁部の内周端下面から前記
ガスケットの前記内筒部を外下方に向かって傾斜して切
り欠いてなるのである。
【0009】
【作用】上記構成の本考案によれば、弁部の内周端下面
からガスケットの前記内筒部を外下方に向かって傾斜し
て切り欠かれているので、集電棒を弁部に緊密に挿通さ
せる際に、弁部と集電棒とシール剤との間にある空気は
傾斜した切り欠き面に沿ってガスケットの下方に抜ける
ことになり、シール剤は弁部と集電棒とに確実に密着
し、弁部と集電棒とシール剤との間に空気が閉じこめら
れることはない。
【0010】
【実施例】以下、本考案の好適な一実施例を添付図面に
基づき詳述する。
【0011】本考案に関する封口構造を有する円筒型電
池の基本構成は前出の図5〜図8に示された従来の封口
構造と共通するため、その共通する部分については同一
の符号を付して詳しい説明は省略する。
【0012】本実施例においては、図1のガスケット4
0の断面図に示すように、ガスケット40の弁部90の
下方に位置する内筒部10を弁部の内周端下面から外下
方に向かって傾斜して切り欠き、この切り欠き面130
は円錐面の一部をなすような形状になっている。
【0013】以上の構成において、集電棒50を弁部9
0に緊密に挿通させると、図4(a)〜(c)の封口構
造の要部拡大断面図に示すように、シール剤100が弁
部90と集電棒50とに接着される際に、弁部90と集
電棒50とシール剤100との間に存在する空気は傾斜
した切り欠き面130に沿ってガスケット40の下方に
抜けていき、空気の抱き込みの発生、即ち弁部90と集
電棒50とシール剤100との間に空気が閉じこめられ
ることはない。このようにして作製した封口構造を用い
た円筒型電池(R03型)の上記空気抱き込みの発生率
及び空気侵入による開路電圧低下品発生率を測定したと
ころ、以下の表に示す結果が得られた。
【0014】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】 表1は組み立て時における空気の抱き込み発生率を示し
ており、従来品では40個中32個が空気の抱き込みが
発生しているのに対し、本実施例のものにおいては1個
しか発生していない。しかも、この空気の抱き込みが起
きた1個については抱き込んだ空気量は極めて微小な量
であった。また、表2は常温貯蔵3年後における空気の
抱き込み品発生率及び空気侵入による開路電圧低下品発
生率を示しており、従来品の一部がこれらを発生してい
るのに比し、本実施例のものは発生していない。表3の
80℃貯蔵3カ月経過後常温貯蔵1年後の同発生率及び
表4の100サイクルテスト(−20℃1時間/70℃
1時間)後常温貯蔵1年後に関しても同様である。すな
わち、抱き込まれた空気が熱膨張あるいは膨張収縮を繰
り返してシール剤100に穴が開いてしまって気密性が
損なわれるといったことが防止されている。以上の結果
から、本考案の封口構造にあっては、気密性および信頼
性が極めて向上していることが確認された。
【0015】また、空気室110が生じて内圧の変動が
吸収されて薄肉弁部90のヒンジ特性が低下するといっ
たことを防止し、微妙な内圧変動に対応したガス抜きが
できる。
【0016】以上、本考案を実施例に基づき具体的に説
明したが、この考案は上記実施例に限定されるものでは
なく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であ
る。例えば、図2に示すように、切り欠き面130をド
ーム曲面の一部をなすように切り欠いた形状にすること
もできるほか、図3に示すように、切り欠き面130
を、円錐面の一部をなすようなテーパ面にストレートな
円筒部を繋げた形状にしてもよく、図1に示した実施例
と同様の効果が得られる。
【0017】
【考案の効果】以上詳細に説明したように、本考案によ
れば、弁部の内周端下面からガスケットの内筒部を外下
方に向かって傾斜して切り欠かれているので、集電棒を
弁部に緊密に挿通させる際に、弁部と集電棒とシール剤
との間にある空気は傾斜した切り欠き面に沿ってガスケ
ットの下方に抜けることにより、シール剤は弁部と集電
棒とに確実に密着し、弁部と集電棒とシール剤との間に
空気が閉じこめられることはない。
【0018】したがって、高温貯蔵による閉じこめられ
た空気の熱膨張、あるいは長期保存時の気温変動などに
よる空気の膨張収縮の繰り返しのためにシール剤に穴が
開いてしまうといったことを防止して、円筒型電池の封
口構造の気密性及び信頼性の向上を図ることができる。
【0019】また、閉じこめる空気は存在しないので電
池の内圧の変動が吸収されるといったことがないため、
弁部のヒンジ特性を可及的に向上させることができ、以
て微小な内圧変動に対応したガス抜きを行うことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係るガスケットの拡大断面図である。
【図2】本考案に係る別形態のガスケットの拡大断面図
である。
【図3】本考案に係るさらに別形態のガスケットの拡大
断面図である。
【図4】本考案に係る封口構造の要部拡大断面図であ
り、(a)〜(c)は集電棒をガスケットに挿通させて
いく様子を示している。
【図5】従来のガスケットの平面図である。
【図6】図5の従来のガスケットをVI-VI 線より見た断
面図である。
【図7】従来の封口構造の断面図である。
【図8】従来の封口構造の拡大断面図である。
【図9】従来の封口構造の要部拡大縦断面図であり、
(a)〜(c)は集電棒をガスケットに挿通させていく
様子を示している。
【符号の説明】
10 内筒部(ガスケット40の) 20 外筒部(ガスケット40の) 30 連結部(ガスケット40の) 40 ガスケット 50 正極集電棒 60 負極亜鉛缶 70 正極端子板 80 溝(内筒部10の) 90 薄肉弁部 100 シール剤 110 空気室 120 内周面(内筒部10の) 130 切り欠き面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 村越 光男 東京都港区新橋5丁目36番11号 富士電 気化学株式会社内 (56)参考文献 実開 平1−83264(JP,U) 実開 平3−112867(JP,U) 実開 平4−85570(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01M 2/08

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内筒部と外筒部とが一体的に連結成形さ
    れたガスケットを用い、該内筒部の内周面に上下に延び
    る溝を形成するとともに該溝を途中で上下に仕切る薄肉
    の弁部を形成し、前記内筒部に正極集電子としての集電
    棒を挿通して該弁部を該集電棒に密着させるとともに前
    記集電棒の外表面の所定の位置に予め塗布したシール剤
    を前記内筒部の下端面と前記集電棒との継目部分に介在
    させることによって前記集電棒を前記ガスケットに組み
    付け、負極缶の開口縁部の内周に前記外筒部を嵌合さ
    せ、前記集電棒の上端突出部の上に正極端子板を被せ、
    該正極端子板の外周縁部と前記負極缶の開口縁部とで前
    記ガスケット外筒部を内外周から圧縮してなる円筒型電
    池の封口構造において、前記弁部の内周端下面から前記
    ガスケットの前記内筒部を外下方に向かって傾斜して切
    り欠いてなることを特徴とする円筒型電池の封口構造。
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