JP2598984B2 - 漏電探査装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、低圧配電線に接続された線路及び負荷が漏
電しているのを通電状態で探査するようにした漏電探査
装置に関するものである。

［従来の技術］ 一般に、配電用変圧器の二次側から延設された低圧配
電線は、単相二線式、単相三線式、三相三線式、三相四
線式の各種配電方式が採用されているが、いずれの方式
においても混触時の低圧側電圧上昇を抑制する目的で、
一線（または中性点）が接地されている。そして、低圧
配電線から屋内・外配線（以下、配線という）を介して
需要家側の負荷（以下、負荷という）に電力が供給され
ているが、前記負荷または配線が絶縁不良を起すと、そ
の配線で漏電が発生する。

この漏電している配線を通電状態を探査する漏電探査
器としては、いわゆるクランプ形電流計と呼ばれている
ものが従来より用いられている。これは第５図に示すよ
うに、環状鉄心を分割して拡開可能に形成し、これに２
次巻線を巻装した零相変流器６と、これの２次巻線出力
を増幅して出力するようにした増幅回路７と、これの出
力を指針を振らせて表示するようにした指示計８とを備
え、上記環状鉄心に通電状態にある配線を貫通させるよ
うに構成されている。

そして、漏電している配線の探査にあたっては、第６
図に示すように、配電線１の非接地相配電線1aと、Ｇ点
で接地された接地相配電線1bに、配線2a,2bを介して接
続された負荷４の上記配線2a,2bを、クランプ形電流計
５の零相変流器６環状鉄心を拡開して貫通させ装着し、
漏電が発生していれば、配電線１の非接地相配電線1a→
配線2a→漏電箇所（Ａ点）→大地→Ｇ点→接地相配電線
1b→配電用変圧器２次巻線３→非接地相配電線1aの経路
で流れる漏れ電流によって配線2aと2bに生じる電流の不
平衡により指示計８の指針を振らせ、漏電している配線
2aを検出するようにしていた。

［発明が解決しようとする課題］ しかしながら、従来の漏電探査にあっては、漏電して
いる配線から大地に流れる漏れ電流によって漏電を検出
するようにしていたので、配電線１の非接地相配電線1a
に接続された配線2a側で漏電していること（第６図のＡ
点と接続する配線2a）は検出できるが、接地相配電線1b
に接続された配線2b側に漏電（第６図のＢ点と接続する
配線2b）が発生した場合は、大地と同電位であるため漏
れ電流が流れず、漏電を検出できないという問題を有し
ていた。

本発明の目的は、前記した点を解決し、通電状態で、
非接地相配電線側の漏電でだけでなく、接地相配電線側
で発生した漏電をも的確に検出することができるように
した漏電探査装置を提供することにある。

［課題を解決するための手段］ 本発明は前記目的を達成するため、漏電探査時に配電
線の非接地相配電線と大地間に、地絡電流を流すように
した回路を特別に設け、漏電が発生している接地相配電
線側を介して配線に流入する前記地絡電流を検出するよ
う構成したことを特徴とする。

［作 用］ 漏電探査時、配電線の非接地相配電線と大地間に地絡
電流を流し、大地を経て漏電が生じている接地相配電線
側から配線に流入する前記地絡電流によって生じる電流
の不平衡を検出して接地相配電線側の漏電を表示する。
また、非接地相配電線側の漏電を検出する場合は、前記
地絡電流を流すことなく、これまでと同様、漏れ電流に
よって生じる電流の不平衡により検出・表示する。

［実施例］ 以下、本発明の実施例を第１図によって説明する。な
お、第５図及び第６図と同一部材は同一符号を付して説
明する。第１図において、９は漏電探査装置で、配電線
１の非接地相配電線1aと大地との間に着脱可能に接続し
て地絡電流を流すように構成した地絡電流発生器10と、
負荷４と接続する屋内・外配線（以下、単に配線とい
う）2a,2bを貫通させて、漏電している配線2aまたは2b
に流入する前記地絡電流、あるいは、漏電している配線
2aまたは2bから流出する漏れ電流によって配線2a,2bに
生じる電流の不平衡を検出して表示する地絡検出器11と
からなる。そして、前記地絡電流発生器10は、変圧器、
整流器、定電圧回路等から形成され、非接地相配電線1a
と大地間に接続されて交流電圧を所望の直流電圧に変換
するようにした電源回路12と、これらの出力電源によっ
て動作する周波数可変形の矩形波パルス発振器からな
り、あらかじめ設定された発振周期（例えば数秒周期）
のパルス信号を駆動信号として出力するようにした駆動
回路13と、４個のダイオードをブリッジ接続して非接地
相配電線1aと大地間に接続するダイオードブリッジ15の
直流端子間に、限流可変抵抗17を介して、NPN形トラン
ジスタ18のコレクタ・エミッタ間を接続し、このトラン
ジスタ18のベース・エミッタ間に前記駆動回路13の出力
端を接続して、トランジスタ18の導通により非接地相配
電線1aと大地間に電流を流すようにした電流発生回路14
と、これと上記電源回路12の入力端とを、リード線を介
して、非接地相配電線1aと大地とに着脱可能に接続する
ようにした接続金具16a,16bとからなり、非接地相配電
線1aと大地間に交流電流を地絡電流として流すように構
成されている。また、この地絡電流発生器10から発生す
る前記地絡電流は、数百mA〜1A以下となるよう接地相配
電線1bの接地抵抗値等の状況に応じて限流可変抵抗17に
より調整可能となっている。また、地絡検出器11は、例
えば第５図で示すようなクランプ形電流計５で形成され
ている。

次に動作について説明する。第１図に示すように、ま
ず地絡検出器11を、漏電探査する箇所の配線2a,2bを貫
通させて取付け、次に地絡電流発生器10の接続金具16a,
16bを前記配線2a,2bに近い配電線１の非接地相配電線1a
（Ｄ点）と大地間に接続する。電源回路12は配電線１か
ら受けた交流を直流に変換して駆動回路13に出力する。
これを受けた駆動回路13は、トランジスタ18にあらかじ
め設定した発振周期の駆動信号を送出してこれを間欠的
に導通させ、非接地相配電線1a（Ｄ点）と大地間に、第
２図で示すような地絡電流i_eを流す。今、負荷４の接地
相配電線1b側のＣ点において漏電が発生していたとする
と、上記地絡電流i_eは、非接地相配電線1a（Ｄ点）→ダ
イオードブリッジ15→限流抵抗17→トランジスタ18→ダ
イオードブリッジ15→大地→Ｃ点→配線2b→接地相配電
線1b→配電用変圧器２次巻線３→非接地相配電線1aの経
路と、非接地相配電線1a（Ｄ点）→ダイオードブリッジ
15→限流抵抗17→トランジスタ18→ダイオードブリッジ
15→大地→接地相配電線1b（Ｇ点）→配電用変圧器２次
巻線３→非接地相配電線1aの経路とに分流して流れ、上
記Ｃ点へ流入する地絡電流i_eにより配線2aと2bに流れる
電流が不平衡となるので、地絡検出器11は、これを検出
して指示計８が指針を上記発振周期毎に振って表示する
ため、接地相配電線1bの配線2b側で漏電していることが
判る。

また、前記漏電箇所が負荷の非接地相側に生じていた
とすると、地絡検出器11は漏れ電流によって配線2a、2b
に生ずる電流の不平衡を検出することになるため、指示
計８の指針は前記発振周期毎に振れず、ほぼ一定値を示
しているので、この指針の振れ方によって非接地相配電
線1a側に接続されている配線2aに漏電が生じていること
が判る。なお、指示計８の指針が振れなければ接地相、
非接地相の各配電線1a、1bのいずれにも漏電が発生して
いないことになる。

本実施例によれば、地絡検出器11の指示計８の指針の
振れ具合によって、漏電している配線2a、2b箇所が接地
相配電線1a側か非接地相配電線1b側かを容易に判別する
ことができる。しかも、地絡検出器11は汎用のクランプ
形電流計５が使用できるので、特殊な検出器を用いるこ
となく検出することが可能となる。

次に本発明の他の実施例について説明する。前記地絡
電流発生器10の駆動回路13の発振周期を例えば数百Hz程
度の高周波でパルス信号を発振させるよう設定してトラ
ンジスタ18を導通制御するよう形成し、この導通制御に
よって第３図に示すような波形の地絡電流i_e（以下、高
周波地絡電流という）を流すようにする。地絡検出器11
は、第４図に示すように、上記クランプ形電流計５の零
相変流器６の２次巻線の出力端に、上記高周波地絡電流
i_eの成分のみ通すようにしたフィルタ回路19を介して、
増幅回路７を接続する。そして、上記フイルタ回路19の
入・出力端子間に切換スイッチ20を挿入して、上記切換
スイッチ20の閉路により側路を形成するようになってい
る。漏電探査は、まず地絡検出器11の切換スイッチ20を
閉路して、地絡検出器11を、上述同様、配線2a,2bを貫
通させて取付ける。このとき指示計８の指針が振れれ
ば、非接地相配電線1a側の配線2aが漏電していることを
示す。次に地絡検出器11の切換スイッチ20を開路し、零
相変流器６の出力がフィルタ回路19を通るようにして、
地絡電流発生器10を非接地相配電線1aと大地間に接続
し、高周波地絡電流i_eを流す。このとき地絡検出器11の
指示計８の指針が振れれば、接地相配電線1b側の配線2b
に漏電していることが検出される。

本実施例によれば、接地相配電線1bの配線2bの漏電に
よって流入する高周波地絡電流i_eが微弱であってもこれ
を商用周波の負荷電流からろ波し増幅して検出できるの
で、接地相配電線1bの漏電を的確に検出・表示すること
ができるとともに、切換スイッチ20の開閉操作だけで非
接地相配電線1aの商用周波漏れ電流も検出・表示でき
る。

前記実施例において、地絡検出器11の指示計８の指針
を単に振らせるように説明したが、上記指示計８を置針
式等の記憶形に形成し、これを複数の負荷の配線にそれ
ぞれ取付ける。このとき指針が振れた配線を除いて、地
絡電流発生器10により地絡電流i_eを極短時間流すように
すれば、負荷４の接地相配電線1b側に漏電がある場合
は、上記指示計８が表示を保持して、同時的に複数箇所
の漏電箇所の探査を少人数で行うことができるようにし
てもよい等、本発明の要旨を変更しない範囲で種々変形
することができることはいうまでもない。

［発明の効果］ 以上説明したように本発明によれば、 （１） 漏電探査時、配電線の非接地相配電線と大地間
に地絡電流を流すようにしてあるので、通電状態で接地
相配電線側の漏電を的確に探査することができる。

（２） 地絡電流発生器は、配電線の電源を利用するよ
うになっているので、地絡電流を流すための特別な電源
装置を必要とせずに、簡略化した回路で小形、軽量化を
図って構成することができ、携帯用として至便なものと
することができる。

（３） 非接地相配電線の配電線と大地との間に地絡電
流を流してこれを検出する漏電探査装置であるので、地
絡電流発生器を１台と地絡検出器を複数個用いるだけ
で、その配電線と同一バンクの複数箇所を同時に探査す
ることもできる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例を示すブロック図、第２図は間
欠的に流す商用周波地絡電流の波形の説明図、第３図は
高周波地絡電流の波形の説明図、第４図は地絡検出器の
他の実施例を示す原理的構成図、第５図は従来の漏電探
査器の原理的構成図、第６図は従来の漏電探査を説明す
るブロック図である。 1:配電線、1a:非接地相配電線 1b:接地相配電線、2a,2b:配線 4:負荷、9:漏電探査装置 10:地絡電流発生器、11:地絡検出器 C:接地側漏電箇所、i_e:地絡電流

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】低圧配電線に屋内・外配線を介して負荷を
   接続する前記屋内・外配線の漏電を通電状態で探査する
   漏電探査装置において、上記低圧配電線の非接地相配電
   線と大地間に着脱可能に接続されて地絡電流を流すよう
   にした地絡電流発生器と、負荷に接続された前記屋内・
   外配線を貫通させて大地を経て流入する前記地絡電流を
   検出・表示する地絡検出器とを備えて、前記負荷と接続
   する低圧配電線の接地相配電線側の漏電を探査するよう
   にしたことを特徴とする漏電探査装置。