JP2598209B2 - 水素を有する含フッ素アミン化合物の製造方法 - Google Patents

水素を有する含フッ素アミン化合物の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、冷媒、発泡剤、洗浄剤
等に有用な、水素を分子内に有する含フッ素アミン化合
物の製造方法に関するものである。
【0002】冷媒、発泡剤、洗浄剤等に有用なクロロフ
ルオロカーボンは、その安定な性質のために、成層圏に
まで達してオゾン層を破壊することが明らかとなり、地
球環境保護のために全廃することが国際的に決められて
いる。さらに、クロロフルオロカーボンの代替物として
開発されているヒドロクロロフルオロカーボンについて
も、オゾン層破壊能力が存在するため、その使用が制限
される動きがある。また、開発中のヒドロフルオロカー
ボンはオゾン層の破壊はないが、地球温暖化への影響が
懸念されている。
【0003】このためオゾン層の破壊がなく、かつ地球
温暖化への影響が少ない代替品の開発が要望されてお
り、炭素、フッ素、水素および窒素のみから成る化合物
が、塩素を含まないので、オゾン層の破壊能力がなく、
地球温暖化への影響が少ないと予想され期待されてい
る。本発明は、このような水素を有する含フッ素アミン
化合物の効率的な製造方法に関するものである。
【0004】
【従来の技術】炭素、フッ素、水素および窒素のみから
成る化合物の製造方法は、例えばトリメチルアミン、
N,N−ジメチルエチルアミン等のアルキルアミンを電
解フッ素化してパーフルオロトリアルキルアミンを製造
する際に、副生物としてわずかに単離されたということ
が知られている程度である(Journal of Flourine Chem
istry,17(1981)p65−74 )(ジャーナル
オブ フルオリン ケミストリ)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、分子内に水
素を有する含フッ素アミン化合物、特に少量の水素を分
子内に有する含フッ素アミン化合物を、効率よく高収率
で経済的に製造する方法につき鋭意研究を重ねた結果、
本発明を完成した。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、式(1)で示
される第三アミン(以下、単に第三アミンと称する)を
フッ素化し、これにより得られる塩素を有する含フッ素
アミン化合物を脱塩素水素化することを特徴とする水素
を有する含フッ素アミン化合物の製造方法である。 R1 2 3 N ────(1) (ただし、R1 、R2 、R3 は式(2)で示される塩素
を有するアルキル基であり、R1 、R2 、R3 はそれぞ
れ同じでも異なっていてもよい。) Cn Clm 2n+1-m ────(2) (ただし、n=1,2または3であり、またm=0,
1,2または3であり、かつ式(1)のR1 、R2 、R
3 におけるmの総計値は1以上である。) R5 6 7 N ────(3) (ただし、R5 、R6 、R7 は式(4)で示される水素
を有するフルオロアルキル基であり、R5 、R6 、R7
はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。) Cn m 2n+1-m ────(4) (ただし、nまたはmは式(2)と同じである。)
【0007】第三アミンは、上記式(1)で示され、具
体的には下記の化合物が挙げられる。 (CH3 2 NCH2 Cl、(CH3 2 NCHC
2 、(CH3 2 NCCl3 、(CH3 2 NCH2
CH2 Cl、(CH3 2 NCHClCH3 、(C
3 2 NCH2 CHCl2 、(CH3 2 NCCl2
CH3 、(CH3 2 NCH2 CH2 CH2 Cl、(C
3 2 NCH2 CHClCH3 、(CH3 2 NCH
ClCH2 CH3 、(CH3 2 NCH2 CH2 CHC
2 (CH3 2 NCH2 CCl2 CH3 、(CH3
2 NCCl2 CH2 CH3 、CH3 (C2 5 )NCH
2 Cl、CH3 (C2 5 )NCHCl2 、CH3 (C
2 5 )NCH2 CH2 Cl、CH3 (C2 5 )NC
HClCH3 、CH3 (C2 5 )NCH2 CHC
2 、CH3 (C2 5 )NCCl2 CH3 、CH
3 (C3 7 )NCH2 Cl、CH3 (C3 7 )NC
2 CHCl2 、(C2 5 2 NCH2 CH2 Cl、
(C2 5 2 NCHClCH3 、CH3 N(CH2
l)2 、CH3 N(CH2 Cl)CHCl2 、CH3
(CHCl2 2 、C2 5 N(CH2 Cl)2 、C3
7 N(CH2 Cl)2 、(CH2 Cl)3 N等。
【0008】本発明は上記第三アミンをフッ素化して、
塩素を有する含フッ素アミン化合物を得る第一工程と、
次いで、第一工程で得られた塩素を有する含フッ素アミ
ン化合物を脱塩素水素化して、水素を有する含フッ素ア
ミン化合物を得る第二工程からなる。
【0009】〔第一工程〕第一工程において得られる、
第三アミンをフッ素化して得られる塩素を有する含フッ
素アミン化合物とは、第三アミンの総ての水素原子がフ
ッ素原子と置換したものである。第三アミンのフッ素化
方法としては、直接フッ素化法、コバルトフッ素化法、
電解フッ素化法等が挙げられるが、特にフッ素化率が高
いという点で電解フッ素化法が好ましい。
【0010】電解フッ素化法を用いた場合についての具
体的な一例を示すと、軟鋼製の電解槽中で、第三アミン
を無水フッ化水素のようなフッ素化剤に溶解し、ニッケ
ル板を電極として電解を行う。電解電圧、陽極電流密
度、電解温度等の反応条件については特に限定されるも
のではないが、電解電圧4V〜8V、陽極電流密度0.
1A/dm2 〜5A/dm2 、電解温度−5℃〜20℃
が好ましい。
【0011】第三アミンとフッ素化剤との反応系への供
給割合は、例えば、電解フッ素化法により、フッ素化剤
として無水フッ化水素を用いて、回分式でフッ素化を行
った場合を例にとると、第三アミンと無水フッ化水素の
合計量に対して、第三アミンが5〜20wt%が好まし
い。また、直接フッ素化法、コバルトフッ素化法の場
合、第三アミンに対するフッ素化剤は、それぞれ1〜2
倍モル、50〜100倍モルとするのが好ましい。その
他のフッ素化の反応条件等は公知の方法に従えばよい。
【0012】上記のようにして得た反応液には、中間生
成物である、塩素を有する含フッ素アミン化合物の他
に、CF4 、NF3 等の低沸点化合物等の副生物が存在
する。これらの不純物は、沸点差を利用した簡易蒸留法
等により簡単に分離除去することが出来るので、これら
を完全に分離することなく、第一工程の反応液を第二工
程に供給することが可能であり、この方法は精製手段を
簡略化出来る点で有利である。
【0013】〔第二工程〕第二工程では、第一工程で得
られた塩素を有する含フッ素アミン化合物を脱塩素水素
化し、目的物である、水素を有する含フッ素アミン化合
物を得る。
【0014】この水素を有する含フッ素アミン化合物
は、第一工程で得られた塩素を有する含フッ素アミン化
合物の総ての塩素原子が水素原子と置換されたもので、
前掲の式(3)で示される化合物であり、その具体例は
下記の通りである。 (CF3 2 NCF2 H、(CF3 2 NCFH2
(CF3 2 NCH3 、(CF3 2 NCF2 CF
2 H、(CF3 2 NCFHCF3 、(CF3 2 NC
2 CFH2 、(CF3 2 NCH2 CF3 、(C
3 2 NCF2 CF2 CF2 H、(CF3 2 NCF
2 CFHCF3 、(CF3 2 NCFHCF2 CF3
(CF3 2 NCF2 CF2 CFH2 、(CF3 2
CF2 CH2 CF3 、(CF3 2 NCH2 CF2 CF
3 、CF3 (C2 5 )NCF2 H、CF3 (C
2 5 )NCFH2 、CF3 (C2 5 )NCF2 CF
2 H、CF3 (C2 5 )NCFHCF3 、CF3 (C
2 5 )NCF2 CFH2 、CF3 (C2 5)NCH
2 CF3 、CF3 (C3 7 )NCF2 H、CF3 (C
3 7 )NCF2 CFH2 、(C2 5 2 NCF2
2 H、(C2 5 2 NCFHCF3、CF3 N(C
2 H)2 、CF3 N(CF2 H)CFH2 、CF3
(CFH2 2 、C2 5 N(CF2 H)2 、C3 7
N(CF2 H)2 、(CF2 H)3 N等。
【0015】塩素を有する含フッ素アミン化合物を脱塩
素水素化する方法としては、例えば公知の還元方法によ
り塩素原子を水素原子に置換すればよい。還元方法とし
ては、Na、Li等の金属、(n−C4 9 3 Sn
H、(n−C4 9 2 SnH2 、Ph2 SnH2 など
の金属水素化合物、LiAlH4 、NaBH4 等の金属
水素錯化合物、(CH3 2 NHBH3 等のジボラン誘
導体を用いたり、あるいは電解還元および接触水素添加
等種々の方法が挙げられ、特に限定されるわけではない
が、接触水素添加が好適である。塩素を有する含フッ素
アミン化合物と還元剤との反応条件等は公知の方法に従
えばよい。目的物である水素を有する含フッ素アミン化
合物は、上記脱塩素水素化反応液を簡易蒸留することに
より、容易に分離取得することが出来る。
【0016】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説
明する。実施例1 〔第一工程(電解フッ素化)〕極板面積1.7dm2
枚のニッケル板を陰極、陽極とし、陰極11枚、陽極1
0枚を交互に配列した内容積約800mlの軟鋼製電解
槽に、無水フッ化水素600mlを仕込み、水、硫酸等
の微量の不純物を予備電解により除去した。次いで、電
解槽に(CH3 2 NCH2 CH2 Clを47.3g
(0.44mol)溶解し、ヘリウムガスを連続的に供
給しながら、電解温度7℃〜8℃、電解電圧6V〜8
V、陽極平均電流密度2A/dm2 で9.5時間反応を
行った。通電量は323Ahrであった。得られるガス
状反応生成物を、同伴するHFをフッ化ナトリウムおよ
び/または水により除去した後、冷やしたトラップに捕
集した。得られた生成物の収量は133.2gであり、
これをガスクロマトグラフィー分析した結果、中間目的
物である(CF3 2 NCF2 CF2 Clの選択率は1
2%であった。 〔第二工程(脱塩素水素化)〕75mlシリンダー(S
US製)に、前記第一工程の生成液を簡易蒸留して得た
(CF3 2 NCF2 CF2 Clを5.40g(0.0
2mol )、(n−C49 3 SnHを5.84g
(0.02mol )、及びアゾビスイソブチロニトリルを
0.20g仕込み、80℃の温浴中に21時間保った。
反応進行に伴い、発生する窒素によりシリンダー内の内
圧が上昇し、シリンダー内で反応が起こっていることが
確認出来た。反応終了後、シリンダーに捕集トラップを
設置し、生成ガスを5.08g捕集した。ガスクロマト
グラフィー分析の結果、目的物である(CF3 2 NC
2CF2 Hの、第二工程における選択率は97%であ
った。
【0017】実施例2〜4 第三アミンの種類を、(CH3 2 NCH2 CH2 CH
2 Cl(実施例2)、(CH3 2 NCH2 CHClC
3 (実施例3)、および(CH3 2 NCH2 Cl
(実施例4)とした以外は、実施例1と同様にして、第
一工程および第二工程の反応を行った。第一工程および
第二工程における各生成物の種類および選択率を表1に
示す。
【0018】
【表1】
【0019】
【発明の効果】本発明は、冷媒、発泡剤、洗浄剤等に有
用な、水素を分子内に有する含フッ素アミン化合物の製
造方法に関するものであり、特定の第三アミンをフッ素
化し、次いで脱塩素水素化することにより、効率的、高
収率かつ経済的に水素を分子内に有する含フッ素アミン
化合物を得ることができる。
フロントページの続き (72)発明者 関屋 章 茨城県つくば市東1丁目1番地 工業技 術院化学技術研究所内 (72)発明者 岩崎 正巳 東京都文京区本郷2丁目40番17号 本郷 若井ビル6階 財団法人地球環境産業技 術研究機構内 (72)発明者 佐藤 幸生 東京都文京区本郷2丁目40番17号 本郷 若井ビル6階 財団法人地球環境産業技 術研究機構内 審査官 山本 昌広 (56)参考文献 特開 平5−132451(JP,A) 特開 昭63−139154(JP,A) 特開 昭63−310852(JP,A) 特開 昭51−98202(JP,A) 特公 昭45−35523(JP,B1)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1)で示される第三アミンをフッ素
    化し、次いでこれにより得られる塩素を有する含フッ素
    アミン化合物を脱塩素水素化することを特徴とする式
    (3)で示される水素を有する含フッ素アミン化合物の
    製造方法。 R1 2 3 N ────(1) (ただし、R1 、R2 、R3 は式(2)で示される塩素
    を有するアルキル基であり、R1 、R2 、R3 はそれぞ
    れ同じでも異なっていてもよい。) Cn Clm 2n+1-m ────(2) (ただし、n=1,2または3であり、またm=0,
    1,2または3であり、かつ式(1)のR1 、R2 、R
    3 におけるmの総計値は1以上である。) R5 6 7 N ────(3) (ただし、R5 、R6 、R7 は式(4)で示される水素
    を有するフルオロアルキル基であり、R5 、R6 、R7
    はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。) Cn m 2n+1-m ────(4) (ただし、nまたはmは式(2)と同じである。)
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