JP2597830Y2 - 水中貯槽 - Google Patents

水中貯槽

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JP2597830Y2 JP1992081800U JP8180092U JP2597830Y2 JP 2597830 Y2 JP2597830 Y2 JP 2597830Y2 JP 1992081800 U JP1992081800 U JP 1992081800U JP 8180092 U JP8180092 U JP 8180092U JP 2597830 Y2 JP2597830 Y2 JP 2597830Y2
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、水中において燃料や飲
料水等の流体を貯蔵するための水中貯槽に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】例えば、着船の困難な離島等のように、
飲料水や燃料を備蓄する施設を必要とするものの、立地
条件や高額な設備コストのために地上に貯蔵タンクを建
造し得ない場合、地上タンクの代替手段として各種の水
中貯槽が提案されている。例えば、特公昭 47-21879 号
公報には、円錐状を呈する容器本体を水底地盤内のアン
カに係留するとともに、上記容器本体の底部開口をゴム
等の伸縮性材料から成る隔壁で覆い、容器本体の内部に
油や液化ガス等、水(海水)よりも比重の小さい流体を
貯蔵するとともに、隔壁に作用する水圧によって容器本
体の上部に設けた注排部から油等の貯蔵流体を取り出す
よう構成した水中貯槽(水中容器)が示されている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】ところで、上記従来の
水中貯槽では、環境保護に関する対策が十分に為されて
おらず、万が一、容器本体や隔壁の一部が破損した場合
には、内部の油や液化ガス等が海中に流出して重大な環
境汚染を招来する虞れがあった。一方、水(海水)より
も比重の大きな流体を水中貯槽に貯蔵した場合、上記水
中貯槽から貯蔵流体を取り出すには、ポンプ等を備えて
成る専用の動力設備を必要とするものの、上記動力設備
は水中あるいは水上等、上記水中貯槽に近接した状態で
の設置および運転を強いられるため、設備コストの増大
やメインテナンス作業の繁雑化を招来していた。本考案
は上記実状に鑑みて、環境汚染の発生を可及的に抑制す
ることにより環境保護に貢献し、併せて不用意な設備コ
ストの増大やメインテナンス作業の繁雑化を未然に防止
し得る水中貯槽を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで本考案に関わる水
中貯槽では、バランス水取入口とバランス水排出口とを
備えた密閉容器から成るとともに水中に係留される貯槽
外殻の内部に、内容積を増大・減少させる態様で変形自
在な周壁を有するとともに貯槽外殻の外部と連通する貯
蔵流体取入口および貯蔵流体排出口を備えた貯槽本体を
設け、さらに上記貯槽本体の内容積を減少させる態様で
周壁を付勢する付勢手段を設けることによって上記目的
を達成している。
【0005】
【作用】上記構成によれば、貯槽本体は貯槽外殻の内部
に収容設置されているため、流体を貯蔵している貯槽本
体が損傷した場合でも、該貯槽本体内の流体は貯槽外殻
の内部に漏出し、水中貯槽の外部へ直接に流出してしま
うことはない。また上記構成では、貯槽本体を付勢手段
によって内容積を減少させる態様に付勢しているため、
ポンプ等を備えて成る専用の動力設備を必要とすること
なく、上記付勢力によって貯槽本体の内部から流体を取
り出すことができる。
【0006】
【実施例】以下、本考案を一実施例を示す図面に基づい
て詳細に説明する。図1ないし図3に、本考案に関わる
水中貯槽を、製油所周辺の沿岸部に設置されて製品油を
貯溜する水中貯槽として適用した例を示す。
【0007】図1に示すように本考案に関わる水中貯槽
1は、貯槽外殻10と、この貯槽外殻10の内部に設け
られた貯槽本体20および付勢手段30とを具備してお
り、上記貯槽外殻10は海上のポンツーン2と海底の重
錘3,3とに張り渡された係留索4,4,…を介して水
中に係留されている。
【0008】上記貯槽外殻10は、図1に示す如く球形
状を呈する中空の密閉容器であり、FRP(繊維強化プ
ラスチック)から成る多数の分割パネルを、ボルト等の
締結手段を介して互いに結合することによって構築され
ている。
【0009】また、図1に示す如く、貯槽外殻10の側
部にはバランス水取入口11が設けられている一方、貯
槽外殻10の上部にはバランス水排出口12が設けられ
ており、さらに上記バランス水取入口11には逆止弁1
3が取り付けられている。
【0010】上記逆止弁13は、外部から貯槽外殻10
の内部への水の侵入のみを許容するよう構成されてお
り、常態においては図示していないスプリングの付勢力
によって閉止位置に占位している。
【0011】また貯槽外殻10には、上部から下方に向
かって延びるとともに、上記貯槽外殻10の底部に開口
する外殻内沈殿物排出管14が設けられている。
【0012】一方、図1に明示するように、上記貯槽外
殻10の内部に設けられた貯槽本体20は、袋状を呈す
る周壁21を具備しており、この周壁21は貯槽外殻1
0の頂部に設けられた上壁22と、貯槽外殻10の底部
とに取り付けられて、貯蔵流体を収容するための室を画
成している。
【0013】また、上記周壁21は伸縮性あるいは柔軟
性を有する材料、例えばゴム材料や布材料等から成る膜
状部材から構成されており、もって上記貯槽本体20の
内容積を増大および減少させる態様で自由に変形するこ
とができる。
【0014】貯槽本体20を構成する上壁22には、貯
蔵流体取入口23および貯蔵流体排出口24が設けられ
ているとともに、上部から下方に延びて上記貯槽本体2
0の底部に開口する本体内沈殿物排出管25が設けられ
ている。
【0015】図1に示す如く、上記貯槽外殻10のバラ
ンス水排出口12と、上記貯槽本体20の貯蔵流体取入
口23および貯蔵流体排出口24とは、ポンツーン2に
取り付けられたバランス水排出管112、貯蔵流体供給
管123、および貯蔵流体排出管124に、それぞれフ
レキシブルホース100を介して接続されている。
【0016】また、上記外殻内沈殿物排出管14および
本体内沈殿物排出管25も、上記ポンツーン2に取り付
けられた沈殿物排出管114および沈殿物排出管125
に、それぞれフレキシブルホース100を介して接続さ
れている。
【0017】さらに、上述したバランス水排出管11
2、沈殿物排出管114,貯蔵流体供給管123、貯蔵
流体排出管124、および沈殿物排出管125には、後
述する貯蔵流体の供給・排出作業時において適宜開閉動
作される開閉バルブ112A、114A、123A、1
24A、および125Aがそれぞれ介装されている。
【0018】一方、上記貯槽外殻10の内部には、図1
および図2に示すように、付勢手段30を構成する多数
本の付勢バンド31,31,…が張り渡されており、こ
れら付勢バンド31は伸縮性を備えたゴム材料あるいは
スプリング等から構成され、貯槽本体20の周壁21を
絞るように付勢して、上記貯槽本体20の内容積を減少
させる態様で押し縮めている。
【0019】なお、上述したように貯槽外殻10は、多
数の分割パネルを互いに結合することによって構築され
ているので、貯槽外殻10の内部に多数本の付勢バンド
31が張り渡されることにより、各分割パネルが貯槽外
殻10の中心方向に緊張されて隣接する分割パネル同士
が圧接されるため、上記貯槽外殻10の強度が十分に確
保されることとなる。
【0020】いま、上記水中貯槽1に貯蔵流体としての
製品油を貯蔵する場合には、先ずバランス水排出管11
2の開閉バルブ112Aと、貯蔵流体供給管123の開
閉バルブ123Aとを開くとともに、貯蔵流体排出管1
24の開閉バルブ124Aを閉じ、次いで図3(a)に
矢印Fi で示すように、上記貯蔵流体供給管123を介
して、製品油を水中貯槽1における貯槽本体20の内部
に送り込む。
【0021】このとき、上記貯槽本体20の周壁21
は、貯槽本体20における製品油の貯蔵量が増大するの
に伴って付勢バンド31,31,…の付勢力に抗し、言
い換えれば上記付勢バンド31,31,…の付勢力を増
大させる態様で変形させつつ、径外方向へと膨らむよう
に変形する。
【0022】一方、貯槽外殻10の内部における水(バ
ランス水)は、周壁21の拡張に伴う内圧の上昇によ
り、バランス水排出口12およびバランス水排管112
を介して、図3(a)に矢印Wo で示すように貯槽外殻
10の外部へ排出される。このとき、貯槽外殻10に設
けられた逆止弁13は、スプリング(図示せず)とバラ
ンス水の内圧とによって、図3(a)に示すように閉止
されている。
【0023】なお、上述した貯槽本体20への製品油の
供給作業時、沈殿物排出管114の開閉バルブ114A
を開いておくことにより、周壁21の拡張に伴うバラン
ス水の圧力上昇により、貯槽外殻10の底部に堆積した
沈殿物を、外殻内沈殿物排出管14および沈殿物排出管
114を介して貯槽外殻10の外部へ排出させることが
できる。
【0024】上記水中貯槽1に設けられた貯蔵量検出手
段、例えば上記周壁21の変形量や付勢バンド31の変
異量に基づいて貯槽本体20内における流体の貯蔵量を
検出する手段により、上記貯槽本体20の内部に所定量
の製品油が供給されたことがモニターされた時点で製品
油の供給を停止し、こののち開かれていたバランス水排
出管112の開閉バルブ112A、および貯蔵流体供給
管123の開閉バルブ123Aを閉じることにより上記
水中貯槽1の内部に製品油が貯蔵される。
【0025】ここで、製品油を貯蔵している際、万が一
貯槽本体20が損傷した場合でも、上記貯槽本体20は
貯槽外殻10の内部に収容設置されているため、上記貯
槽本体20から漏出した製品油は一旦貯槽外殻10の内
部に流れ出て、水中貯槽1の外部へ直接に流出すること
はない。
【0026】また、上述した貯槽本体20への製品油の
供給作業時、貯槽外殻10の内部から排出されるバラン
ス水の水質をモニターし、製品油が含まれていた場合に
は直ちにバランス水排出管112の開閉バルブ112A
を閉じることにより、製品油の漏出による環境汚染を未
然に防止することができる。
【0027】一方、上記水中貯槽1に貯蔵されている製
品油を取り出すには、バランス水排出管112の開閉バ
ルブ112Aと、貯蔵流体供給管123の開閉バルブ1
23Aとを共に閉じる一方、貯蔵流体排出管124の開
閉バルブ124Aを開ければよい。
【0028】ここで、上記貯槽本体20の周壁21は、
上述したように製品油の供給時において、付勢バンド3
1,31,…の付勢力を増大させる態様で変形させなが
ら径外方向へ膨出しているので、上記貯蔵流体排出管1
24の開閉バルブ124Aを開けることにより、上記付
勢バンド31,31,…の弾性復帰力によって貯槽外殻
10の中心方向に向けて絞るようにして押し縮められ、
この結果、上記貯槽本体20の内部に貯蔵されていた製
品油は、図3(b)に矢印Fo で示すように、貯蔵流体
排出口24と貯蔵流体排出管124とを介して貯槽外殻
10の外部に取り出されることとなる。
【0029】すなわち、上述した構成の水中貯槽1によ
れば、開閉バルブ124Aを開けるだけで、上記付勢バ
ンド31,31,…の付勢力に基づいて、言い換えれば
ポンプ等を備えて成る専用の動力設備を必要とすること
なく、貯槽本体20の内部に貯蔵されている製品油を取
り出すことができる。
【0030】一方、上記貯槽本体20が押し縮められ
て、貯槽外殻10内におけるバランス水の内圧が低下す
ると、図3(b)に示すように逆止弁13がスプリング
(図示せず)の付勢力に抗して開成し、これによって外
部の水が図3(b)に矢印Wiで示すように貯槽外殻1
0の内部に取り入れられ、こののち貯槽外殻10内外に
おける圧力が平衡した時点で、上記逆止弁13はスプリ
ング(図示せず)の付勢力によって再び閉止される。
【0031】また、上述した貯槽本体20から製品油を
取り出す際、沈殿物排出管125の開閉バルブ125A
を開いておくことにより、周壁21の収縮に伴う製品油
の圧力上昇に基づいて、貯槽本体20の底部に堆積した
沈殿物を、本体内沈殿物排出管25と沈殿物排出管12
5とを介して外部へ排出させることができる。
【0032】なお、上述した実施例では、製油所周辺の
沿岸部に設置されて製品油を貯溜するための水中貯槽を
例示したが、もちろん原油を貯溜するための水中貯槽と
して構成することも可能である。また、本考案に関わる
水中貯槽は、実施例に示した製油所の付帯設備としての
みならず、例えば離島において飲料水や燃料を備蓄する
ための手段として、あるいは災害等の緊急時における飲
料水や燃料の貯蔵手段、工事中における仮設設備等、様
々な状況下における流体の貯蔵手段としても有効に適用
することが可能であり、さらには貯槽外殻を流線形に形
成して船舶による曳航を可能し、もってタンカーの代替
として使用することも可能である。
【0033】
【考案の効果】以上詳述したように、本考案に関わる水
中貯槽は、バランス水取入口とバランス水排出口とを備
えた密閉容器から成るとともに水中に係留される貯槽外
殻の内部に、内容積を増大・減少させる態様で変形自在
な周壁を有するとともに貯槽外殻の外部と連通する貯蔵
流体取入口および貯蔵流体排出口を備えた貯槽本体を設
け、さらに上記貯槽本体の内容積を減少させる態様で周
壁を付勢する付勢手段を設けることによって構成されて
いる。すなわち、流体を貯蔵している貯槽本体は貯槽外
殻の内部に収容設置されているため、貯槽本体が損傷し
た場合でも、流体は貯槽外殻の内部に漏出するので、言
い換えれば水中貯槽の外部へ直接に流出しないので、環
境汚染の発生を可及的に抑制することが可能となった。
また、上記貯槽本体は付勢手段によって内容積を減少さ
せる態様で付勢されているため、ポンプ等を備えて成る
専用の動力設備を必要とすることなく内部の流体を取り
出すことができ、もって不用意な設備コストの増大やメ
インテナンス作業の繁雑化を未然に防止することが可能
となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に関わる水中貯槽を示す全体概念図。
【図2】本考案に関わる水中貯槽の要部横断面図。
【図3】(a)および(b)は、それぞれ本考案に関わ
る水中貯槽の使用態様を示す概念図な側面図。
【符号の説明】
1…水中貯槽、 10…貯槽外殻、 11…バランス水取入口、 12…バランス水排出口、 13…逆止弁、 20…貯槽本体、 21…周壁、 23…貯蔵流体取入口、 24…貯蔵流体排出口、 30…付勢手段。

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水中に係留されるとともにバランス
    水取入口およびバランス水排出口を備えた密閉容器から
    成る貯槽外殻と、 上記貯槽外殻の内部に設けられて貯蔵流体を収容すると
    ともに、内容積を増大・減少させる態様で変形自在な周
    壁を備え、かつ上記貯槽外殻の外部と連通する貯蔵流体
    取入口および貯蔵流体排出口を有する貯槽本体と、 上記貯槽本体の内容積を減少させる態様で上記周壁を付
    勢する付勢手段と、 を具備して成ることを特徴とする水中貯槽。
JP1992081800U 1992-11-26 1992-11-26 水中貯槽 Expired - Lifetime JP2597830Y2 (ja)

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