JP2596433Y2 - トラックボール座標情報入力装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、パーソナルコンピュー
タ等において、Ｘ−Ｙ座標位置に関する情報の入力・指
示操作を簡便かつ高度化するための外部入力装置として
用いられるトラックボール座標情報入力装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、このようなトラックボール座標情
報入力装置（以下、トラックボールと略称する）は、例
えば、図１０（断面図）に示される如くに、座標情報入
力用のボール３と、このボール３を収容するフレーム２
と、このフレーム２内に挿入された上記ボール３の脱落
を防ぐべく上記フレーム２に着脱可能に取り付けられた
リング状のリテーナ１５とを備えている。そして、上記
フレーム２内には、ボール３に対して直交する２方向に
当接する一対のドライバ４，５と、このドライバ４，５
を介してボール３の回転量をそれぞれＸ座標，Ｙ座標の
座標情報として検知する二つの変位検知部６，７とが設
けられている。

【０００３】それらの検知部６，７は、それぞれフレー
ム２内に収容された所定の導電パターン備えたプリント
配線基板（図示せず）に接続されており、このプリント
配線基板上にはフレーム２の上蓋に一体的に形成された
押しボタンにより操作される、座標位置の決定，解除用
のマイクロスイッチ等が実装されている。

【０００４】さらに、ボール３は、合成樹脂製のフレー
ム部材８の中央に設けられた上方に開口する断面円形の
収容部８ａ内に収容されるとともに、このボール３を上
記収容部８ａ内で浮き上がった状態で回転可能に支承す
べく、複数個（ここでは５個）の支承球体９が上記収容
部８ａの球状内壁面から内方にその外表面の一部を露出
した状態で回転自在に保持されている。

【０００５】したがって、上記ボール３は収容部８ａの
球状内壁面及びリテーナ１５に接触せず、支承球体９に
のみ点接触することになるので、極めて軽い操作力で円
滑に回転させることができる。

【０００６】このようなトラックボール１によれば、ボ
ール３の回転方向及び回転量がローラ４，５を介して検
知部６，７により検出され、該検知部からの信号が接続
ケーブル等を介してパーソナルコンピュータ等に入力さ
れ、かくしてそのコンピュータに接続されたディスプレ
イの画面上にて、カーソル等が移動せしめられ、その際
フレーム２上の入力ボタンを押すことにより、そのとき
のカーソル位置が決定され、あるいは解除されることに
なる。

【０００７】ところで、上記トラックボール座標情報入
力装置１においては、ボール３にドライバ４，５を回動
自在に圧接させるため、次のような工夫がなされてい
る。

【０００８】すなわち、一対のドライバ４，５は合成樹
脂製のフレーム部材８に立設された軸受部１３，１４の
上端に枢支され、下端側が揺動可能なレバー１１，１２
の揺動端側に軸受１１ａ，１２ａにて回動自在に懸架さ
れている。

【０００９】これを、一方のドライバ５について説明す
ると、図４に示される如くに、上記レバー１２の一側に
は、一端が該レバー１２の上端付近に固定され他端がフ
レーム部材８に固定された引張ばね１２ｃが張架されて
おり、これによって、レバー１２の揺動端側に取り付け
られたドライバ５は、常時ボール３側に付勢されてい
る。

【００１０】このドライバ５が固定された回転軸５ａの
一端側には、検知部７を構成する、円板形で多数の放射
状スリットが形成されたエンコーダ７ａが取り付けられ
ているので、ボール３の回転変位は例えばＹ座標の回転
運動として検出されることになる。

【００１１】

【考案が解決しようとする課題】ところで、上述した如
くの従来のトラックボール１においては、その下側に取
り付けられるプリント配線基板５０に搭載された信号処
理用のＩＣ等に人の手等からの静電気が帯電すると誤作
動並びにＩＣ等が破壊する等の不具合が生じるので、そ
れを回避すべく、例えば図１０に例示される如くに、フ
レーム２に銅箔７１をボール３廻りに環状に貼着し、そ
の銅箔７１とフレーム２の下側に配されるプリント配線
基板５０との間にコイルバネ７２を縮装して、上記銅箔
７１とプリント配線基板５０のＧＮＤとをそのコイルバ
ネ７２で導通させるようになすことが行われている。

【００１２】しかしながら、上記のような静電対策に、
複数の部品（例えば銅箔７１，コイルバネ７２）を使用
することは、組み立て性が悪く、また、コスト高になる
嫌いがあった。

【００１３】かかる点に鑑み本考案は、静電対策用の部
品を一つにして組立性やコストを改善できるようにされ
たトラックボール座標情報入力装置を提供することを目
的とする。

【００１４】

【課題を解決するための手段】上述の目的を達成すべ
く、本考案に係る座標情報入力装置は、基本的には、座
標情報入力用のボールと、このボールを収納する収容部
が形成されたフレームと、このフレーム内に挿入された
上記ボールの脱落を防ぐべく上記フレームに着脱可能に
取り付けられるリング状のリテーナとを備え、上記ボー
ルが上記リテーナの中央開口部からその外表面の一部を
外部に露出させた状態で上記フレーム内に収容され、こ
のボールの回転量と回転方向とに基づいて座標情報を検
出するようにされている。

【００１５】そして、上記収容部に、バネ性及び導電性
を有する線材から折曲成形されて上記収容部の上端周縁
部を周回するように配されるリング状部とこのリング状
部から下方に折り曲がって上記フレームの下側に配され
るプリント配線基板のＧＮＤに弾発的に接触せしめられ
る引出部とを具備した単一の静電気対策部材が取り付け
られていることを特徴とする。

【００１６】

【作用】上述の如くの構成とされた本考案に係るトラッ
クボール座標情報入力装置においては、静電対策用に線
材を折曲成形して作製された単一の部材が用いられるの
で、組立が容易となり、また部品コストも抑えられるこ
とになる。

【００１７】

【実施例】以下、本考案の実施例を図面を参照しつつ説
明する。図１〜図５は、それぞれ本考案のトラックボー
ル座標情報入力装置の一実施例を示しており、図１は表
面斜視図、図２は基板を取り去った状態の裏面斜視図、
図３は平面図、図４は底面図、図５は図３のＡ−Ａ線に
沿う断面図である。

【００１８】図に示される本実施例のトラックボール座
標情報入力装置１０は、基本的には、座標情報入力用の
ボール３５と、このボール３５を収容すべく上方に向か
って開口する半球状の収容部２２が設けられたフレーム
２０と、このフレーム２０の収容部２２の上端外周縁部
２２ｂ上に取り付けられて上記ボール３５の抜け落ちを
防ぐ環状のリテーナ１５と、上記ボール３５を上記収容
部２２内で回転可能に支承すべく上記収容部２２の球状
内壁面から内方にその外表面の一部を露出した状態で回
転自在に保持された複数個の支承球体２５と、上記収容
部２２内の裏面側に配され、該収容部２２に形成された
開口からその外表面の一部を上記収容部２２内に臨ませ
て、上記ボール３５に対して直交する２方向から当接す
るようにされた一対のドライバ２６，２７と、この一対
のドライバ２６，２７の回転軸２６ａ，２７ａに取り付
けられた、円板形で多数の放射状スリットが形成された
エンコーダ３０ａ及びこのエンコーダ３０ａに対向配置
された一対の発光部３０ｂ，受光部３０ｃを有する、上
記ボール３５の回転量を検出するための検知部３０と、
を備えている。図中の符号５０は、所定の導電パターン
を有するプリント配線基板を示している。

【００１９】なお、プリント配線基板５０に対してトラ
ックボール１０は、そのフレーム２０の側部に突設され
た２つの足部５１，５２の下側凸部５１ａ，５２ａと収
容部２２の下端に設けられた凸部２２ａが上記基板５０
に設けられた挿通穴５０ａ，５０ｂ、５０ｃに挿入され
るとともに、上記フレーム２０の下面に下向きに突設さ
れたＬ字形係止片部２０ａが上記基板５０に設けられた
係止穴５０ｄに係合せしめられることにより固定されて
いる（図４及び図５参照）。

【００２０】また、上記ドライバ２６，２７の回転軸２
６ａ，２７ａの一端部がフレーム２０の底面側から見て
（図４参照）、右上及び左下のコーナー部にフレーム２
０に一体成型した支持突起５５と押圧突起５６とで形成
されて設けられた支持穴３６，３７に遊挿支持されてお
り、それらの他端部が、それぞれフレーム２０の左下の
コーナー部付近に下向きに立設された支軸３９の上下に
回転可能に装着された一対のレバー４６，４６に保持さ
れて、該レバー４６，４６を介して単一のねじりコイル
バネ４０により上記ドライバ２６，２７を上記ボール３
５に圧接させる方向に付勢されている。

【００２１】ここで、一対のレバー４６，４６は同一形
状であり、一方に対して他方が逆さにされかつ約９０°
開かれた状態で上下に重ねられて支軸３９に外挿されて
いる。それらのレバー４６，４６は、支軸３９に遊挿さ
れる筒状部と、この筒状部の上半分から側方に延設され
たアーム部と、このアーム部の先端に連設された係合部
と、からなっており、係合部の外周部上下に上記ドライ
バ２６，２７の回転軸２６ａ，２７ａの他端部を保持す
るための半円形の嵌合溝が形成されるとともに、ねじり
コイルバネ４０の両端を受ける係止片部４８ａ，４８ｂ
が設けられている。

【００２２】また、上記一対のレバー４６，４６及びね
じりコイルバネ４０は、共通の支軸３９にその下端から
圧入された鍔付きピン４９により係止されている。

【００２３】従って、上記ドライバ２６，２７の回転軸
２６ａ，２７ａは上記支持穴３６，３７側の一端部を支
点にして上記ボール３５に対して接近離隔する方向に揺
動するようにされるとともに、レバー４６，４６側とさ
れる他端側がねじりコイルばね４０の作用により上記ド
ライバ２６，２７を上記ボール３５に圧接させる方向に
付勢されていることになり、しかも、該回転軸２６ａ，
２７ａの揺動支点側に上記エンコーダ３０ａが取り付け
られていることになる。

【００２４】このような構成を有する本実施例のトラッ
クボール座標情報入力装置１０にあっては、ドライバ２
６，２７の回転軸２６ａ，２７ａの一端側にエンコーダ
３０ａが取り付けられ、該回転軸２６ａ，２７ａがその
エンコーダ３０ａが取り付けられた回転軸２６ａ，２７
ａの一端部を支点にしてボール３５に対して接近離隔す
る方向に揺動するようにされているので、ドライバ２
６，２７等が偏心回転して上記回転軸が振り子運動を行
っても、上記エンコーダ３０ａの振れは最小限のものに
抑えられる。

【００２５】そのため、エンコーダ３０ａと発光部３０
ｂ及び受光部３０ｃとの位置ずれが生じ難くされてボー
ル３５の回転量が正確に検出され、装置の信頼性を向上
させることが可能となる。

【００２６】そして、本実施例においては、図６及び図
７に示される如くに、上記フレーム２０の収容部２２の
上端周縁部２２ｂ廻りに、図８に詳細に示される如く
の、バネ性及び導電性を有する線材から折曲成形された
静電対策部材６５が取り付けられている。

【００２７】この静電対策部材６５は、上記収容部２２
の上端周縁部２２ｂを周回するように配されるリング状
部６５ａとこのリング状部６５ａから下方に折り曲がっ
てフレーム２０の下側に配されるプリント配線基板５０
のＧＮＤに接触せしめられる、下端が半円形にカールさ
れた引出部６５ｂとを具備し、上記リング状部６５ａは
上記引出部６５ｂが下方に折り曲がる部分で切り欠かれ
て弾性的に拡径−縮径できるようになっており、かつ、
その切り欠かれた部分の前後はＬ字を呈するように折り
曲げられて、挿通孔に一端を挿入する挿通孔６５ｃと、
これとは別に設けた挿通孔に引出部６５ｂを挿通して挟
持部６５ｄとなし、この挟持部６５ｃ，６５ｄによりフ
レーム２０の収容部２２の挿通係止部２２ｃを挟持固定
するようになっている。

【００２８】したがって、この静電対策部材６５は、リ
ング状部６５ａの弾力性を利用してその挟持部６５ｃ，
６５ｄによって上記挿通係止部２２ｃを挟圧保持するこ
とにより、収容部２２の上端周縁部２２ｂにリング状部
６５ａを露出した状態で取り付けられる。なお、収容部
２２の上端周縁部２２ｂには３箇所、上記リング状部６
５ａを押さえる係止突起２２ｄが設けられている。

【００２９】また、上記リテーナ１５の下面と上記収容
部２２の上端周縁部２２ｂとの間にはボール浮きを防止
すべくリング状のボールホルダー６０が介装されてい
る。

【００３０】上述の如くの構成とされた本実施例のトラ
ックボール１０においては、線材を折曲成形して作製さ
れた静電対策部材６５が用いられるので、組立が容易と
なり、また部品コストも抑えられることになる。

【００３１】

【考案の効果】以上の説明から明らかな如く、本考案に
係るトラックボール座標情報入力装置は、静電対策用に
線材を折曲成形して作製された単一の部材が用いられる
ので、組立が容易となり、また部品コストを低く抑える
ことができるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るトラックボール座標情報入力装置
の一実施例の表面斜視図。

【図２】実施例の裏面斜視図。

【図３】実施例の平面図。

【図４】実施例の底面図。

【図５】図３のＡ−Ａ線に沿う断面図。

【図６】実施例の静電対策部材の配置状態を示す平面
図。

【図７】実施例の静電対策部材の配置状態を示す断面
図。

【図８】実施例の静電対策部材の詳細構成示す図。

【図９】従来のトラックボール座標情報入力装置の一例
の底面図。

【図１０】図９に示される従来例の断面図。

【符号の説明】

１０ トラックボール座標情報入力装置 ２０ フレーム ２２ 収容部 ２２ａ 上端周縁部 ２５ 支承球体 ２６，２７ ドライバ ２６ａ，２７ａ ドライバの回転軸 ３０ 検知部 ３０ａ エンコーダ ３０ｂ 発光部 ３０ｃ 受光部 ３５ ボール ３６，３７ 支持穴 ３９ 支軸 ４０ ねじりコイルばね ４６ レバー ４７ａ，４７ｂ 嵌合溝 ４９ 鍔付きピン ５０ 配線基板 ６５ 静電対策部材 ６５ａ リング状部 ６５ｂ 引出部

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 座標情報入力用のボールと、このボール
   を収納するための収容部が形成されたフレームと、この
   フレーム内に挿入された上記ボールの脱落を防ぐべく上
   記フレームに着脱可能に取り付けられるリング状のリテ
   ーナとを備え、上記ボールが上記リテーナの中央開口部
   からその外表面の一部を外部に露出させた状態で上記フ
   レーム内に収納され、このボールの回転量と回転方向と
   に基づいて座標情報を検出するようにされたトラックボ
   ール座標情報入力装置において、 上記収容部に、バネ性及び導電性を有する線材から折曲
   成形され、上記収容部の上端周縁部を周回するように配
   されるリング状部とこのリング状部から下方に折り曲が
   って上記フレームの下側に配されるプリント配線基板の
   ＧＮＤに接触せしめられる引出部とを具備した単一の静
   電気対策部材が取り付けられていることを特徴とするト
   ラックボール座標情報入力装置。