JP2596120B2 - 楽音波形発生装置 - Google Patents

楽音波形発生装置

Info

Publication number
JP2596120B2
JP2596120B2 JP1060530A JP6053089A JP2596120B2 JP 2596120 B2 JP2596120 B2 JP 2596120B2 JP 1060530 A JP1060530 A JP 1060530A JP 6053089 A JP6053089 A JP 6053089A JP 2596120 B2 JP2596120 B2 JP 2596120B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
waveform
output
carrier
signal
wave
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP1060530A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH02239286A (ja
Inventor
広 岩瀬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Casio Computer Co Ltd
Original Assignee
Casio Computer Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Casio Computer Co Ltd filed Critical Casio Computer Co Ltd
Priority to JP1060530A priority Critical patent/JP2596120B2/ja
Priority to US07/492,664 priority patent/US5103711A/en
Publication of JPH02239286A publication Critical patent/JPH02239286A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2596120B2 publication Critical patent/JP2596120B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、楽音波形発生装置に係り、更に詳しくは変
調を行って様々な倍音特性を有する楽音波形を発生する
楽音波形発生装置に関する。
〔従来の技術〕
デジタル信号処理技術の進歩により、当該デジタル処
理を用いた電子楽器の第1の従来例として、単純な特性
の楽音波形を発生するのみならず、自然楽器の楽音・人
間又は自然界の音声等(以下、まとめて自然音と呼ぶ)
を直接サンプリングして記憶し、任意の音高で再生が可
能なPCM方式の電子楽器が実現されている。
一方、様々な種類の複雑な特性の楽音波形をデジタル
的に発生可能な電子楽器の第2の従来例として、特公昭
54−33525号公報又は特開昭50−126406号公報等に記載
のFM方式に基づく電子楽器がある。この方式は基本的に
は、 e=A・sin{ωct+I(t)sin ωmt} ・・・(1) なる演算式により得られる波形出力eを楽音波形とする
ものであり、搬送波周波数ωとそれを変調するための
変調波周波数ωを適当な比で選択し、時間的に変化し
得る変調指数I(t)を設定し、また、同様に時間的に
変化し得る振幅係数Aを設定することにより、複雑な倍
音特性を有し、かつ時間的にその倍音特性が変化し得る
非常に個性的な合成音等を得ることができる。
また、FM方式を改良した第3の従来例として、特公昭
61−12279号公報に記載の電子楽器がある。この方式
は、前記(1)式のsin演算の代わりに三角波演算を用
い、 e=A・T{α+I(t)T(θ)} ・・・(2) なる演算式により得られる波形出力eを楽音波形とする
ものである。ここで、T(θ)は、搬送波位相角θによ
って生成される三角波関数である。そして、搬送波位相
角αと変調波位相角θを適当な進行速度比で進め、ま
た、前記第1の従来例と同様に変調指数I(t)と振幅
係数Aを設定することにより、楽音波形を合成できる。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記のような従来技術を背景として、近年では電子楽
器に対して、電子楽器特有の非常に個性的な楽音から自
然音までダイナミックに発音させることのできる性能が
求められている。
しかし、第1の従来例であるPCM方式の電子楽器は、
自然音そのものを発音させることは非常に得意である
が、その自然音を加工して個性的な音色を出そうとした
場合の処理が不得意である。
すなわち、例えば原音から正弦波等に連続的に変化さ
せたいような場合、デジタルフィルタ又はアナログフィ
ルタ等で原音の倍音成分を削る等して正弦波を得るよう
にしているが、デジタルフィルタではその回路規模が比
較的大きくなってしまい、また、エンベロープ等の時間
関数でその特性を変化させようとした場合、自然音のデ
ータに更に加えてフィルタの特性に対応したフィルタ係
数を記憶する必要がある。一方、アナログフィルタで
は、所望の特性が得にくく、また、複数の楽音を並列し
て発音させるための時分割動作を行わせることができな
いという問題点を有している。
更に、上記とは逆に、原音から更に複雑な倍音構成の
楽音に連続的に変化させたいような場合、上記フィルタ
で原音の倍音構成を削る等の方式では、新たな倍音成分
を生成することは不可能であるという問題点を有してい
る。
一方、例えば、ピアノ等の実際の楽器の楽音には、ピ
ッチ周波数に基づく基本波成分の他に、その整数倍の複
数の周波数の倍音成分が含まれ、かなり高次の倍音成分
まで存在する。更には、非整数倍の倍音成分が含まれる
こともある。また、楽器の種類によって、各高次倍音の
含まれる割合等も異なり、楽器によって様々な倍音特性
が存在する。このように各楽器固有の倍音成分の存在に
よって豊かな音質の楽音が生成されている。しかし、前
記第2又は第3の従来方式であるFM方式に基づく電子楽
器は、発音される楽音の倍音構成を操作するのは非常に
得意であるが、出力として上記のような各楽器特有の所
望の楽音を得たい場合、そのパラメータを最適に設定す
るのが困難である。
すなわち、前記第2の従来例では、正弦波による変調
を基本としているため、前記(1)式で生成される楽音
は、その周波数成分が低次の(周波数の低い)倍音成分
に集中し、変調指数I(t)を大きな値にして変調を深
くかけても高次の(周波数の高い)倍音成分がうまく現
れない。従って、上記第2の従来例では、実際の楽音の
ような豊かな音質の楽音を生成することができず、生成
可能な楽音の音質が制限されてしまうという問題点を有
している。
これに対して、前記(2)式に基づく第3の従来例で
は、元々多くの倍音を含む三角波による変調を基本とし
ているため、周波数成分として一応高次の倍音成分まで
明確に存在する楽音を容易に生成することが可能である
が、出力として所望の楽音を得たい場合、それに対応し
て前記(2)式における搬送波位相角αと変調波位相角
θの進行速度比、変調指数I(t)及び振幅係数A等を
最適に決定するのは困難である。これに加え第3の従来
例は、三角波で三角波を駆動する方式のため、例えば楽
音が発音開始してから徐々に減衰してゆく過程で、高次
の倍音成分から順にその振幅が減少してゆき、最終的に
ピッチ周波数に対応する単一正弦波成分のみになるよう
な過程を実現することができないという問題点を有して
いる。
本発明の課題は、小さな回路規模で自然音を忠実に発
音させることが可能で、かつ、その倍音成分を容易かつ
連続的に制御でき、単一正弦波等の楽音も容易に合成で
きるようにすることにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、まず、搬送信号を発生する搬送信号発生手
段を有する。同手段は、例えば位相角が1周期の間で時
間経過に対し順次線形に増加する動作を繰り返す搬送波
位相角信号を入力とし、それを一定の関数に従って変換
して搬送信号として出力する手段であり、搬送波位相角
信号をアドレス入力するROM等によって構成される。な
お、出力される搬送信号の特性については後述する。
次に、変調信号を発生する変調信号発生手段を有す
る。同手段は、例えば前記搬送波位相角信号を入力と
し、それを一定の関数に従って変換して変調信号として
出力する手段であり、搬送波位相角信号をアドレス入力
とするROM等によって構成される。なお、出力される変
調信号の特性については後述する。
また、上記変調信号を前記搬送信号発生手段から発生
させる搬送信号に混合する場合の前記変調信号の前記搬
送信号に対する混合率を0から任意の混合率までの間で
制御し、前記搬送信号と前記変調信号とが当該混合率で
混合された混合信号を出力する混合制御手段を有する。
同手段は、例えば前記変調信号発生手段から出力される
変調信号に対して、例えば値が0から1の間で変化し得
る変調指数を乗算する乗算器と、該乗算器の出力信号と
前記搬送信号発生手段から発生される搬送信号を加算
し、混合信号として出力する加算器である。なお、上記
混合率は、前記楽音波形の発音開始以後時間的に変化し
得る。すなわち例えば上記乗算器で乗算される変調指数
は、前記楽音波形の発音開始以後経過する各時間毎に前
記乗算器で乗算させるように動作する。
更に、入力と出力が所定の関数関係を有し前記混合制
御手段から出力される混合信号を入力として変調された
楽音波形を出力する波形出力手段を有し、前記所定の関
数関係は正弦関数、余弦関数のいずれの関係でもない。
同手段は、例えば前記混合信号を上記所定の関数関係に
従って変換して楽音波形として出力するデコーダであ
る。又、前記混合信号をアドレス入力とするROM等であ
る。
上記構成と共に、前記所定の関数関係と前記搬送信号
は、前記混合制御手段で前記変調信号の混合率が0にな
るように制御された場合に、前記波形出力手段から発生
される前記楽音波形が正弦波又は余弦波となるような関
係を有する。
また、前記変調信号は前記所定の関数関係及び前記搬
送信号に対し、前記混合制御手段で前記変調信号の混合
率が所定の混合率例えば1になるように制御された場合
に、前記波形出力手段から所望の楽音波形が得られるよ
うに設定される。この場合、前記搬送信号及び前記変調
信号は、前記波形出力手段から所望の楽音波形が所定の
周期で繰り返し出力されるように、前記搬送信号発生手
段及び前記変調信号発生手段から各々前記所定の周期で
繰り返し発生される信号である。又は、前記搬送信号発
生手段及び前記変調信号発生手段は、各々一定周期間隔
の複数の各波形区間毎に、前記波形出力手段から該対応
する波形区間の前記所望の楽音波形が出力されるような
搬送信号及び変調信号を発生する。
以上の各構成に加え、前記波形出力手段から出力され
る前記楽音波形の振幅包絡特性を時間的に変化させる振
幅包絡制御手段を有する。同手段は、例えば波形出力手
段から出力される楽音波形に対し、楽音波形の発音開始
以後、所定の振幅包絡関数に従って値が例えば0から1
の間で時間的に変化し得る振幅係数を乗算する乗算器で
ある。なお、同手段は、前記波形出力手段の出力の振幅
を正規化して前記所望の楽音波形に一致させるための手
段としてもよい。
〔作用〕
本発明の作用は以下の通りである。
波形出力手段から出力される楽音波形は、基本的には
搬送信号発生手段から出力される搬送信号を所定の関数
関係に従って変換した特性を有しており、前記所定の関
数関係は正弦関数、余弦関数のいずれの関係でもなく、
更に、混合制御手段において上記搬送信号に前記変調信
号が混合されることにより、上記楽音波形が上記変調信
号で変調された特性が付加される。
この場合、前記波形出力手段における前記所定の関数
関係と前記搬送信号発生手段からの搬送信号との関係
を、前記混合制御手段で前記変調信号の混合率が0にな
るよう制御された場合に、波形出力手段から発生される
楽音波形が正弦波又は余弦波となるような関係に設定す
る。これにより、前記混合制御手段で予め変調信号の混
合率を0に設定しておけば、正弦波又は余弦波のみから
なる楽音波形を発生させることが可能である。
更に、前記変調信号は前記所定の関数関係及び前記搬
送信号に対し、前記混合制御手段で前記変調信号の混合
率が例えば1になるように制御された場合に、前記波形
出力手段から所望の楽音波形が得られるように設定され
る。これにより、前記混合制御手段で予め変調信号の混
合率を例えば1に設定しておけば、自然楽器の楽音等の
所望の楽音波形を得ることが可能である。
また、演奏中において、楽音の発音開始直後は例えば
混合率を1に設定し、それ以後の時間経過と共に混合率
を0に近づけることで、所望の楽音波形の状態から単一
正弦波成分又は単一余弦波成分のみを含む状態になるよ
うに、徐々に楽音波形の周波数特性を制御することがで
きる。又は、混合率を連続的に例えば1以上になるよう
に変化させることにより、所望の楽音波形の状態から更
に複雑な倍音構成を有する個性的な楽音が発音されるよ
うに制御することができる。
以上の動作と共に、振幅包絡制御手段によって、波形
出力手段から出力される楽音波形の振幅包絡特性も、時
間的に例えば減衰するように制御することにより、実際
の楽器の楽音の如く、発音開始以後、楽音波形が徐々に
減衰してゆく過程を実現することができる。
〔実施例〕
以下、図面を参照しながら本発明の実施例を説明す
る。
楽音波形発生装置の第1の実施例の原理説明 第1図は、本発明による楽音波形発生装置の第1の実
施例の原理構成図である。
その値が0〜2π〔rad〕の間で順次線形に増加し、
2πの直前に達した後は再び0から増加する状態を繰り
返す搬送波位相角ωctは、搬送波ROM1のアドレスとされ
て搬送信号WCを読み出させる。ここで搬送波位相角ωct
は、角速度ω〔rad/sec〕に時間t〔sec〕を乗じた値
であるが、以後特に言及しない限りは、「ct」をまとめ
て添字で表すこととする。
また、前記搬送波位相角ωctは、変調波ROM2のアドレ
スにもなり、ここから出力される変調信号に乗算器(以
下、MULと呼ぶ)3で、時間的に変化し得る変調指数I
(t)が乗算されることで、変調信号WMが得られる。
上記変調信号WMと前記搬送信号WCは、加算器(以下、
ADDと呼ぶ)4で加算され、その加算波形WC+WM〔rad〕
は更にデコーダ5でデコードされてデコード出力Dを得
る。
そして、デコード出力DはMUL6で振幅係数Aと乗算さ
れ、この出力として最終的な波形出力eが得られる。
上記構成の楽音波形発生装置において、まず、搬送波
ROM1には第2図に示す関数波形が記憶されている。今、
πを円周率とし、同図I、II及びIIIの各領域での搬送
波位相角ωct〔rad〕と搬送信号WC〔rad〕との関係は、
各々、 WC=(π/2)sin ωct ・・(領域I:0≦ωct≦π/2) WC=π−(π/2)sin ωct ・・(領域II:π/2≦ωct≦3π/2) WC=2π+(π/2)sin ωct ・・(領域III:3π/2≦ωct≦2π) ・・・(3) となる。
一方、変調波位相角ROM2における搬送波位相角ωct
MUL3を通過した後の変調信号WM〔rad〕との関係は、 WM=I(t)Δt(ωct) ・・・(4) となる。但し、関数Δfは、後述する位相差関数であ
る。
上記(3)式及び(4)式によって演算される搬送信
号WC及び変調信号WMが加算され、デコーダ5に入力する
ことにより、デコーダ5からデコード出力Dが出力さ
れ、更にこれに、MUL6で振幅係数Aが乗算された後の波
形出力eは、 e=A・TRI{(π/2)sin ωct+I(t)Δf(ωct)} ・・(0≦ωct≦π/2) e=A・TRI{π−(π/2)sin ωct+I(t)Δf(ωct)} ・・(π/2≦ωct≦3π/2) e=A・TRI{2π+(π/2)sin ωct+I(t)Δf(ωct)} ・・(3π/2≦ωct≦2π) ・・・(5) となる。
ここで、まず、変調指数I(t)の値が0、すなわち
無変調の場合、デコーダ5への入力波形は前記(3)式
で定まる搬送信号WCそのものとなる。すなわち、 e=A・TRI(WC) ・・・(6) である。なお、搬送信号WCと搬送波位相角ωctは、前記
(3)式又は第2図より、第3図の関係Aで示される。
一方、デコーダ5において演算される三角波関数D=
TRI(x)(但し、xは入力)は、 D=TRI(x)=(2/π)x ・・(領域I:0≦x≦π/2) D=TRI(x)=−1+(2/π)(3π/2−x) ・・(領域II:π/2≦x≦3π/2) D=TRI(x)=−1+(2/π)(x−3π/2) ・・(領域III:3π/2≦x≦2π) ・・・(7) で定義され、第3図の関係Bに示す関数である。
第3図の関係A及び関係Bからわかるように、デコー
ダ5へ入力波形である搬送信号WCと、デコーダ5で演算
される三角波関数D=TRI(x)は、前記(3)式又は
(7)式で定義されている各領域I、II及びIIIにおい
て単調増加関数となっており、従って、前記(3)式で
の入力である搬送波位相角ωctと前記(7)式での入力
xは、常に同じ区間の値をとることになるので、前記
(3)式、(6)式及び(7)式は、同一区間どうしで
合成できる。すなわち、前記(3)式及び(7)式を前
記(6)式に代入すると、 e=A・TRI{(π/2)sin ωct} =A・(2/π)(π/2)sin ωct =A・sin ωct ・・(領域I:0≦ωct≦π/2) e=A・TRI{π−(π/2)sin ωct} =A・{−1+(2/π)(3π/2−π +(π/2)sin ωct)} =A・sin ωct ・・(領域II:π/2≦ωct≦3π/2) e=A・TRI{2π+(π/2)sin ωct} =A・{−1+(2/π)(2π+ +(π/2)sin ωct−3π/2)} =A・sin ωct ・・(領域III:3π/2≦ωct≦2π) ・・・(8) となる。すなわち、無変調時には、搬送波位相角ωct
いずれの領域に対しても、高次倍音を全く含まない単一
正弦波A・sin ωctが出力される。すなわち、例えば振
幅係数A=1とすれば、無変調時の搬送波位相角ωct
波形出力eとの関係は、第3図の関係Cのように単一正
弦波となる。
以上の関係より、楽音が減衰して単一正弦波成分のみ
になってゆく過程、あるいは単一正弦波成分のみからな
る楽音の生成を実現するためには、前記(5)式で変調
指数I(t)の値を時間と共に0に近づければよいこと
がわかる。
次に、第1図の変調波ROM2における位相差関数Δf
(ωct)は、MUL3で乗算される変調指数I(t)の値を
1としてADD4から出力される加算波形WC+WM=WC+Δf
(ωct)(前記(4)式参照)を用いて、デコーダ5を
アクセスした場合に、第4A図(c)に示すように波形出
力eとして、例えば振幅の絶対値の最大値が1に正規化
された1波形区間分の鋸歯状波が読み出されるようなデ
ータであり、加算波形WC+Δf(ωct)から搬送信号WC
を減算した同図(b)の斜線部の波形すなわち同図
(a)の波形が記憶されている。
また、波形出力eとして例えば第4B図(c)に示すよ
うに振幅の絶対値の最大値が1に正規化された1波形区
間分の矩形波が読み出されるようなデータであり、加算
波形WC+Δf(ωct)から搬送信号WCを減算した同図
(b)の斜線部の波形すなわち同図(a)の波形が記憶
されている。
更に別の例として、波形出力eとして例えば第4C図
(c)に示すように振幅の絶対値の最大値が1に正規化
された1波形区間分の非対称矩形波が読み出されるよう
なデータであり、加算波形WC+Δf(ωct)から搬送信
号WCを減算した同図(b)の斜線部の波形すなわち同図
(a)の波形が記憶されている。
これらの関係からわかるように、変調指数I(t)の
値を1としたときに波形出力eとして所望の鋸歯状波、
矩形波又は非対称矩形波を得たい場合には、対応する位
相差関数Δf(ωct)を求める必要がある。その求め方
は以下の通りである。
まず、振幅が±1以内に正規化された1周期の波形出
力eの任意の搬送波位相角ωctにつき、その位相角に対
応する正規化された波形出力eの振幅を求める。
振幅の絶対値の最大値が1である三角波関数(前記
(7)式参照)上で、上記で求まった振幅と等しい位
置の位相角を求める。
上記で求まる位相角から前記の搬送波位相角ωct
に対応する搬送信号WCの値を減算し、前記の搬送波位
相角ωctに対応する位相差関数Δf(ωct)を求める。
搬送波位相角ωctを波形出力e内の全域で変化させて
上記〜の処理を繰り返し、波形出力eの各搬送波位
相角ωctに対応する位相差関数Δf(ωct)を求める。
以上〜の処理で求まる位相差関数Δf(ωct)を
第1図の変調波ROM2に格納する。
上記位相差関数Δf(ωct)を、第4A図〜第4C図等に
例示される複数の波形出力eにつき求めて変調波ROM2に
格納しておき、必要に応じて選択して出力するように
し、MUL3で乗算される変調指数I(t)の値を1とする
ことにより、第4A図〜第4C図等に例示される鋸歯状波、
矩形波、非対称矩形波等の様々な波形出力eを得ること
ができる。
次に、第1図において、MUL3で乗算される変調指数I
(t)の値を変化させた場合について考える。
まず、変調指数I(t)=0.0(時間的に一定値)と
すれば、第5図(a)のように加算波形WC+WM=WCとな
り無変調のsin波の波形出力eを得ることができる。
また、変調指数I(t)の値を0.3、0.6、1.0と変化
させることにより(時間的に一定値)、第5図(b)、
(c)、(d)のように順次深く変調された波形出力e
を得ることができる。このようにして、変調指数I
(t)の値を変化させることにより、sin波から原波形
までの様々な変調波形を得られる。また、変調指数I
(t)を発音開始から消音までの間で連続的に変化させ
ることにより、例えば変調が深くかかった状態から、楽
音の減衰と共にsin波に変化するような波形出力eを得
ることも可能となる。更に、変調指数I(t)の値を1
以上にすれば、より深い変調がかかった波形出力eを得
られる。
第1の実施例の原理構成におけるデコーダ5と搬送波RO
M1の他の組合わせ例 以上の楽音波形発生装置に関する原理構成では、前記
(7)式又は第3図の関係Bに示す特性を有するデコー
ダ5に対して、その波形出力eが正弦波となるような前
記(3)式又は第2図若しくは第3図の関係Aに示すよ
うな搬送信号WCを搬送波ROM1に記憶させることにより、
単一正弦波の生成を可能にし、変調指数I(t)=0の
場合には前記(6)式より波形出力eとしてsin波が得
られた。
また、変調波ROM2に第4A図(a)、第4B図(a)又は
第4C図(a)に例示されるような位相差関数Δf
(ωct)を記憶させ、前記(5)式において変調指数I
(t)=1とおくことにより、第4A図(c)、第4B図
(c)、第4C図(c)に例示されるような所望の波形出
力eが得られた。
従って、変調指数I(t)=0のときにsin波が得ら
れ、I(t)=1のときに所望の波形出力eが得られれ
ば、デコーダ5の特性と搬送波ROM1に記憶される搬送信
号WCの特性の組合わせは、前記(7)式又は第3図の関
係Bと前記(3)式又は第2図若しくは第3図の関係A
との組合わせに限られるものではなく、デコーダ5で単
一正弦波以外の元々倍音成分を含んでいる関数の演算を
行わせ、これに対してそのデコード出力Dが正弦波とな
るような関数を搬送波ROM1に記憶させ、その上で変調波
ROM2に波形出力eが所望の波形となるような位相差関数
Δf(ωct)を記憶させることで同様の効果を得ること
ができる。第6図(a)〜(d)に、デコーダ5で演算
される関数及び搬送波ROM1に記憶される関数の組み合わ
せの例を示す。同図において、搬送波位相角ωctと搬送
信号WCとを関係付ける関数が搬送波ROM1に記憶され、入
力xとデコード出力Dとを関係付ける関数がデコーダ5
で演算される。また、第6図(a)〜(d)に対応する
特性を以下に示す。
まず、第6図(a)に対応して第1図のデコーダ5で
演算される関数は以下のようになる。
D=(4/π)x ・・・(0≦x≦π/4) D=1 ・・・(π/4≦x≦3π/4) D=−(4/π)x+4 ・・・(3π/4≦x≦5π/4) D=−1 ・・・(5π/4≦x≦7π/4) D=(4/π)x−8 ・・・(7π/4≦x≦2π) ・・・(9) また、第6図(a)に対応して第1図の搬送波ROM1に
記憶される関数は以下のようになる。
WC=(π/4)sin ωct ・・・(0≦ωct≦π/2) WC=−(π/4)sin ωct+π ・・・(π/2≦ωct≦3π/2) WC=(π/4)sin ωct+2π ・・・(3π/2≦ωct≦2π) ・・・(10) 次に、第6図(b)に対応して第1図のデコーダ5で
演算される関数は以下のようになる。
D=sin 2x ・・・(0≦x≦π/4) D=1 ・・・(π/4≦x≦3π/4) D=sin(2x−π) ・・・(3π/4≦x≦5π/4) D=−1 ・・・(5π/4≦x≦7π/4) D=sin(2x−2π) ・・・(7π/4≦x≦2π) ・・・(11) また、第6図(b)に対応して第1図の搬送波ROM1に
記憶される関数は以下のようになる。
WC=ωct/2 ・・・(0≦ωct≦π/2) WC=ωct/2+π/2 ・・・(π/2≦ωct≦3π/2) WC=ωct/2+π ・・・(3π/2≦ωct≦2π) ・・・(12) 更に、第6図(c)に対応して第1図のデコーダ5で
演算される関数は以下のようになる。
D=sin x ・・・(0≦x≦π/2) D=−(2/π)x+2 ・・・(π/2≦x≦3π/2) D=sin x ・・・(3π/2≦x≦2π) ・・・(13) また、第6図(c)に対応して第1図の搬送波ROM1に
記憶される関数は以下のようになる。
WC=ωct ・・・(0≦ωct≦π/2) WC=−(π/2)sin ωct+π ・・・(π/2≦ωct≦3π/2) WC=ωct ・・・(3π/2≦ωct≦2π) ・・・(14) そして、第6図(d)に対応して第1図のデコーダ5
で演算される関数は以下のようになる。
D=(2/π)x ・・・(0≦x≦π/2) D=sin x ・・・(π/2≦x≦3π/2) D=(2/π)x−4 ・・・(3π/2≦x≦2π) ・・・(15) また、第6図(d)に対応して第1図の搬送波ROM1に
記憶される関数は以下のようになる。
WC=(π/2)sin ωct ・・・(0≦ωct≦π/2) WC=ωct ・・・(π/2≦ωct≦3π/2) WC=(π/2)sin ωct+2π ・・・(3π/2≦ωct≦2π) ・・・(16) 以上、(9)式と(10)式、(11)式と(12)式、
(13)式と(14)式、(15)式と(16)式の組み合わせ
で、第1図のMUL3における変調指数I(t)の値を0と
した場合に、搬送波ROM1から出力される搬送信号WCがデ
コーダ5への入力xとして入力されることにより、波形
出力eとして単一正弦波を出力させることができる。
また、第6図(a)〜(d)に示したようなデコーダ
5の関数により、変調深度関数I(t)の値を1にした
ときに、波形出力eとして鋸歯状波、矩形波、非対称矩
形波等の所望の波形出力を得るためには、前記第4A図〜
第4C図の場合に説明した前記〜の手順と同様にし
て、位相差関数Δf(ωct)を決定し、変調波ROM2に記
憶させればよい。
なお、第1図のMUL6で乗算される振幅係数Aは、上記
各実施例では一定値として説明したが、実際には時間的
に変化し得るものであり、これにより楽音に振幅変調さ
れたエンベロープ特性を付加させることができる。
楽音波形発生装置の第1の実施例の具体的構成の説明 次に、第7図は、上記楽音波形発生装置の第1の実施
例の具体的構成図である。同図は、第1図の楽音波形発
生装置の第1の実施例の原理構成を基本としているた
め、以下の説明では随時第1図等を参照しながら説明す
る。
コントローラ7は、特には図示しないパラメータ設定
部における設定状態及び例えば鍵盤部等の操作に従っ
て、キャリア周波数CF、モジュレータ周波数MF及びエン
ベロープ情報ED(エンベロープの各レート値、レベル値
等)を生成・出力する手段である。
アダー8は、その出力を被加算端子Bにフィードバッ
クさせ、加算端子Aにキャリア周波数CFを入力させるこ
とにより、当該周波数のステップ幅ずつ順次増加してゆ
く10ビットの搬送波位相角ωct0〜ωct10を生成するた
めの累算器である。ここで、搬送波位相角ωct0〜ωct1
0は、第1図の搬送波位相角ωctに対応する。また、キ
ャリア周波数CFは搬送波位相角ωctの角速度ωに対応
する。
上記搬送波位相角ωct0〜ωct10は、搬送波発生回路
9及び変調波発生回路10に各アドレス信号として入力す
る。なお、搬送波発生回路9は、第1図の搬送波ROM1に
対応し、変調波発生回路10は、同じく変調波位相角ROM2
に対応する。
一方、エンベロープジェネレータ11は、コントローラ
7からのエンベロープ情報EDに基づいて端子C及びMか
ら11ビット及び10ビットの2チャネルの変調指数I0〜I1
0及び振幅係数AMP0〜AMP10を出力する。なお、これらは
各々、第1図の変調指数I(t)及び振幅係数Aに対応
し、共に時間的に変化し得る。
変調指数I0〜I10は1以下の値をとり、乗算器12の端
子Bに入力して、端子Aに入力する変調波発生回路10か
らの出力と乗算され、11ビットの変調信号WM0〜WM10を
出力する。ここで、乗算器12と変調信号WM0〜WM10は、
各々、第1図のMUL3及び変調信号WMに対応する。
前記搬送波発生回路9及び上記乗算器12から出力され
る搬送信号WC0〜WC10及び変調信号WM0〜WM10は、各々ア
ダー13の端子A及びBに入力し加算され、11ビットの加
算波形O0〜O10を出力する。なお、アダー13及び加算波
形O0〜O10は、各々、第1図のADD4と加算波形WC+WM
対応する。
上記加算波形O0〜O10は、三角波デコーダ14のアドレ
ス信号となり、10ビットのデコード出力MA0〜MA9を出力
させる。ここで、三角波デコーダ14及びデコード出力MA
0〜MA9は、各々、第1図のデコーダ5及びデコード出力
Dに対応する。
上記デコード出力MA0〜MA9は、更に乗算器15の端子A
に入力し、端子Bに入力する振幅係数AMP0〜AMP9と乗算
されて振幅変調される。なお、振幅係数AMP0〜AMP9は1
以下の値をとる。
このようにして生成されたデジタル楽音信号は、D/A
変換器16及びローパスフィルタ17においてアナログ楽音
信号に変換され、特には図示しないサウンドシステムか
ら放音される。
以上の構成により、演奏者による演奏操作に対応して
コントローラ7から出力されるキャリア周波数CF及びエ
ンベロープ情報EDを制御することにより、該演奏操作に
基づいて音高、音量及び音色等が制御された楽音を、第
1図の場合と全く同様にして出力し、放音させることが
できる。
次に、第8図に第7図の搬送波発生回路9の第1の実
施例の構成を示す。
#0〜#9の排他論理和回路(以下、EORと呼ぶ)19
の各第1の入力端子には、第7図のアダー8からの最上
位ビットの搬送波位相角ωct10が入力し、また、各第2
の入力端子には0〜9ビットの搬送波位相角ωct0〜ω
ct9が入力する。
#0〜#9のEOR19の出力A0〜A9は、1/2波搬送波ROM1
8の各アドレス信号として入力する。
1/2波搬送波ROM18のROM出力D0〜D9は、各々、#0〜
#9のEOR20の第1の入力端子に入力する。また、#0
〜#9のEOR20の第2の入力端子には最上位ビットの搬
送波位相角ωct10が入力する。
#0〜#9のEOR20の各出力及び最上位ビットの搬送
波位相角ωct10は、搬送信号WC0〜WC10として第7図の
アダー13に出力される。
上記第1の実施例の動作を第9図の動作説明図に基づ
いて説明する。
まず、第8図の1/2波搬送波ROM18には、前記第2図又
は(3)式で説明した搬送信号WCのうち、1/2周期分
(0〜π〔rad〕)に相当する波形が記憶されている。
すなわち、前記(3)式より、第8図の1/2波搬送波ROM
18の出力D0〜D9で定まる値をY1とすれば、 Y1=(π/2)sin ωct ・・(0≦ωct≦π/2) Y1=π−(π/2)sin ωct ・・(π/2≦ωct≦π) ・・・(17) なる波形が記憶されている。なお、ここでいう搬送波位
相角ωctとは、ωct0〜ωct9で定まる値をいう。
一方、第7図のアダー8から出力される搬送波位相角
ωct0〜ωct10は、最上位ビットωct10が論理0の状態
で下位10ビットωct0〜ωct9のフルレンジによって、0
〜π〔rad〕の位相角を指定でき、更に、最上位ビット
ωct10が論理1の状態で、下位10ビットωct0〜ωct9の
フルレンジによって、π〜2π〔rad〕の位相角を指定
できる。
従って、今、第7図のアダー8で搬送波位相角ωct0
〜ωct10のフルレンジが指定される時間をTとすれば、
まず時間0〜T/2において、第9図(b)のように、最
上位ビットの搬送波位相角ωct10が論理0で、かつ、同
図(a)のように、下位10ビットの搬送波位相角ωct0
〜ωct9のフルレンジが指定される。そして、このとき
#0〜#9のEOR19の第1の入力端子には、論理0の最
上位ビットの搬送波位相角ωct10が入力しているため、
時間0〜T/2で下位10ビットの搬送波位相角ωct0〜ωct
9の値が順次増加で、第9図(c)のように、それと全
く同様の関係で順次増加するアドレス信号A0〜A9が得ら
れる。この結果、第8図の1/2波搬送波ROM18の出力D0〜
D9は、第9図(d)に示すように、前記(17)式に基づ
く0〜π〔rad〕の範囲の波長が順次読み出される。そ
して、この波形は#0〜#9のEOR20の第1の入力端子
に入力するが、上記EOR20の第2の入力端子には、論理
0の最上位ビットの搬送波位相角ωct10が入力している
ため、その出力の下位10ビットの搬送信号WC0〜WC9は、
第9図(e)のように、同図(d)の出力D0〜D9と全く
同様の波形が出力される。更に、最上位ビットの搬送信
号WC10は、最上位ビットの搬送波位相角ωct10に等しく
論理0であるため、結局、第9図(f)の時間0〜T/2
で示されるように、同図(d)の出力D0〜D9と全く同様
の波形が搬送信号WC0〜WC10として出力される。
次に、時間T/2〜Tでは、第9図(b)のように、最
上位ビットの搬送波位相角ωct10が論理1で、かつ、同
図(a)のように、下位10ビットの搬送波位相角ωct0
〜ωct9のフルレンジが指定される。そして、このとき
#0〜#9のEOR19の第1の入力端子には、論理1の最
上位ビットの搬送波位相角ωct10が入力するため時間T/
2〜Tにおいて下位10ビットの搬送波位相角ωct0〜ωct
9の値が順次増加することにより、第9図(c)のよう
に、それと全く逆の関係で順次減少するアドレス信号A0
〜A9が得られる。これにより、第8図の1/2波搬送波ROM
18の出力D0〜D9は、第9図(d)に示すように、前記
(17)式に基づく0〜π〔rad〕の範囲の波形が逆方向
に読み出される。そして、この波形は#0〜#9のEOR2
0の第1の入力端子に入力するが、上記EOR20の第2の入
力端子には論理1の最上位ビットの搬送波位相角ωct10
が入力しているため、その出力である下位10ビットの搬
送信号WC0〜WC9は、第9図(e)のように、同図(d)
の出力D0〜D9に対して増減関係が反転された波形が出力
される。これに加え、最上位ビットの搬送信号WC10は、
最上位ビットの搬送波位相角ωct10に等しく論理1であ
るため、上記出力に下位10ビットの搬送波位相角ωct0
〜ωct9のフルレンジ分にあたるπ〔rad〕のオフセット
が重畳され、結局、第9図(f)の時間T/2〜Tで示さ
れる波形が、搬送信号WC0〜WC10として出力される。
以上の動作からわかるように、時間0〜Tの範囲で出
力される波形は、前記第2図又は(3)式で説明した搬
送信号WCと全く同様の波形が出力される。そして、この
第1の実施例の場合、第8図の1/2波搬送波ROM18には、
第2図の1周期分の波形に対して1/2周期分の波形を記
憶させればよいため、単純に1周期分の波形を記憶させ
る場合に比較してメモリ容量を1/2にすることができ
る。
第10図に第7図の搬送信号発生回路9の第2の実施例
の構成を示す。
#0〜#8のEOR22の各第1の入力端子には、第7図
アダー8からの10ビット目の搬送波位相角ωct9が入力
し、また各第2の入力端子には0〜8ビットの搬送波位
相角ωct0〜ωct8が入力する。
#0〜#8のEOR22の出力A0〜A8は、1/4波搬送波ROM2
1の各アドレス信号となる。
1/4波搬送波ROM21のROM出力D0〜D8は、各々、#0〜
#8のEOR23の第1の入力端子に入力する。また、#0
〜#8のEOR23の第2の入力端子には10ビット目の搬送
波位相角ωct9が入力する。
#0〜#8のEOR20の各出力、10ビット目の搬送波位
相角ωct9及び最上位ビットの搬送波位相角ωct10は、
搬送信号WC0〜WC10として第7図のアダー13に出力され
る。
上記第2の実施例の動作を第11図の動作説明図に基づ
いて説明する。
まず、第10図の1/4波搬送波ROM21には、前記第2図又
は(3)式で説明した搬送信号WCのうち、1/4周期分
(0〜π/2〔rad〕)に相当する波形が記憶されてい
る。すなわち、前記(3)式より、第10図の1/4波搬送
波ROM21からの出力D0〜D8で定まる値をY2とすれば、 Y2=(π/2)sin ωct ・・(0≦ωct≦π/2) ・・・(18) なる波形が記憶されている。なお、ここでいう搬送波位
相角ωctとは、ωct0〜ωct8で定まる値をいう。
一方、第7図アダー8から出力される搬送波位相角ω
ct0〜ωct10は、最上位ビットωct10と10ビット目ωct9
の論理の組み合わせ(ωct10、ωct9)で、(0、0)
となる場合に下位9ビットωct0〜ωct8のフルレンジに
よって、0〜π/2〔rad〕の位相角を指定でき、(0、
1)となる場合に下位9ビットωct0〜ωct8のフルレン
ジによって、π/2〜π〔rad〕の位相角を指定でき、
(1、0)となる場合に同様にπ〜3π/2〔rad〕の位
相角を指定でき、(1、1)となる場合に同様に3π/2
〜2π〔rad〕の位相角を指定できる。以下、上記4つ
の各場合毎に説明する。
今、第7図のアダー8で搬送波位相角ωct0〜ωct10
のフルレンジが指定される時間をTとすれば、上記第1
の場合として、(ωct10、ωct9)=(0、0)となる
場合は、第11図(b)及び(c)のように、時間0〜T/
4に相当する。この時間範囲においては、#0〜#8のE
OR22の第1の入力端子には、論理0の10ビット目の搬送
波位相角ωct9が入力しているため、時間0〜T/4で下位
9ビットの搬送波位相角ωct0〜ωct8の値が順次増加す
ることにより、第11図(d)のように、それと全く同様
の関係で順次増加するアドレス信号A0〜A8が得られる。
これにより、第10図の1/4波搬送波ROM21の出力D0〜D8
は、第11図(e)のように、前記(18)式に基づく0〜
π/2〔rad〕の範囲の波形が順次読み出される。そし
て、この波形は#0〜#8のEOR23の第1の入力端子に
入力するが、上記EOR23の第2の入力端子には論理0の1
0ビット目の搬送波位相角ωct9が入力しているため、そ
の出力の下位9ビットの搬送信号WC0〜WC8は、第11図
(f)のように、同図(e)の出力D0〜D8と全く同様の
波形が出力される。更に、10ビット目及び最上位ビット
の搬送信号WC9及びWC10は、10ビット目及び最上位ビッ
トの搬送波位相角ωct9及びωct10に等しく共に論理0
であるため、結局、第11図(g)の時間0〜T/4で示さ
れるように、同図(e)の出力D0〜D8と全く同様の波形
が搬送信号WC0〜WC10として出力される。
次に、第2の場合として、(ωct10、ωct9)=
(0、1)となる場合は、第11図(b)及び(c)のよ
うに、時間T/4〜T/2に相当する。この時間範囲において
は、#0〜#8のEOR22の第1の入力端子には、論理1
の10ビット目の搬送波位相角ωct9が入力するため時間T
/4〜T/2において下位9ビットの搬送波位相角ωct0〜ω
ct8の値が順次増加することにより、第11図(d)のよ
うに、それと全く逆の関係で順次減少するアドレス信号
A0〜A8が得られる。これにより、第10図1/4波搬送波ROM
21の出力D0〜D8は、第11図(e)に示すように、前記
(18)式に基づく0〜π/2〔rad〕の範囲の波形が逆方
向に読み出される。そして、同波形は#0〜#8のEOR2
3の第1の入力端子に入力するが、上記EOR23の第2の入
力端子には論理1の10ビット目の搬送波位相角ωct9が
入力するため、その出力である下位9ビットの搬送信号
WC0〜WC8は、第11図(f)のように同図(e)の出力D0
〜D8に対して増減関係が反転された波形が出力される。
これに加え、10ビット目及び最上位ビットの搬送信号WC
9及びWC10は、10ビット目及び最上位ビットの搬送波位
相角ωctt9及びωct10に等しく各々の論理は1及び0で
あるため、上記出力に下位10ビットの搬送波位相角ωct
0〜ωct9のフルレンジ分にあたるπ/2〔rad〕のオフセ
ットが重畳され、結局、第11図(g)の時間T/4〜T/2で
示されるような波形が搬送信号WC0〜WC10として出力さ
れる。
続いて、第3の場合として、(ωct10、ωct9)=
(1、0)となる場合は、第11図(b)及び(c)のよ
うに、時間T/2〜3T/4に相当する。この時間範囲におい
ては、10ビット目の搬送波位相角ωct9の論理が0であ
るため、EOR22、1/4波搬送波ROM21及びEOR23における動
作は、前記第1の場合と全く同様である。従って、EOR2
3の出力である下位9ビットの搬送信号WC0〜WC8は、第1
1図(f)のように、同図(e)の出力D0〜D8と全く同
様の波形が出力される。これに加え、10ビット目及び最
上位ビットの搬送信号WC9及びWC10は、10ビット目及び
最上位ビットの搬送波位相角ωct9及びωct10に等しく
各々の論理は0及び1であるため、上記出力に下位9ビ
ットの搬送波位相角ωct0〜ωct8のフルレンジ分の2倍
にあたるπ〔rad〕のオフセットが重畳され、結局、第1
1図(g)の時間T/4〜T/2で示されるような波形が搬送
信号WC0〜WC10として出力される。
最後に、第4の場合として、(ωct10、ωct9)=
(1、1)となる場合は、第11図(b)及び(c)のよ
うに、時間3T/4〜Tに相当する。この時間範囲では、10
ビット目の搬送波位相角ωct9の論理が1であるため、E
OR22、1/4波搬送波ROM21及びEOR23における動作は、前
記第2の場合と全く同様である。従って、EOR23の出力
の下位9ビットの搬送信号WC0〜WC8は、第11図(f)の
ように同図(e)の出力D0〜D8に対して増減関係が反転
された波形が出力される。これに加えて、10ビット目及
び最上位ビットの搬送信号WC9及びWC10は、10ビット目
及び最上位ビットの搬送波位相角ωct9及びωct10に等
しく共に論理1であるため、上記出力に下位9ビットの
搬送波位相角ωct0〜ωct8のフルレンジ分の3倍にあた
る3π/2〔rad〕のオフセットが重畳され、結局、第11
図(g)の時間3T/4〜Tで示される波形が、搬送信号WC
0〜WC10として出力される。
以上の動作からわかるように、時間0〜Tの範囲で出
力される波形は、前記第2図又は(3)式で説明した搬
送信号WCと全く同様の波形が出力される。そして、この
第2の実施例の場合、第10図の1/4波搬送波ROM21には、
第2図の1周期分の波形に対して1/4周期分の波形を記
憶させればよいため、メモリ容量を、前記第1の実施例
に比較して更に1/2、単純に1周期分の波形を記憶させ
る場合に比較して1/4にすることができる。
次に、第12図に第7図の三角波デコーダ14の実施例を
示す。
#9の2つの各入力端子には、第7図アダー13からの
10ビット目及び最上位ビットの加算波形O9及びO10が入
力し、この出力は#0〜#8のEOR24の各第1の入力端
子に入力する。また、#0〜#8のEOR24の各第2の入
力端子には0〜8ビットの加算波形O0〜O8が入力する。
上記#0〜#8のEOR24の各出力はデコード出力MA0〜
MA8として、また、最上位ビットの加算波形O10は符号ビ
ットを表す最上位ビットのデコード出力MA9として第7
図の乗算器15に出力される。
上記実施例の動作を以下に説明する。
今、加算波形O0〜O10で定まる値Zが時間経過に正比
例して順次増加すると仮定し、加算波形O0〜O10のフル
レンジで1周期分すなわち0〜2π〔rad〕の位相角を
指定できるとする。そして、まず第1の場合として、加
算波形の最上位ビットO10と10ビット目O9の論理の組み
合わせ(O10、O9)が(0、0)となる場合は、加算波
形O0〜O10の示す値が0からフルレンジの4分の1すな
わちπ/2〔rad〕まで変化する場合である。そして、こ
の範囲では#9のEOR24の出力は論理0となるため、#
0〜#8のEOR24に入力する加算波形O0〜O8が時間経過
と共に順次増加するに従って、それと全く同様の波形が
下位9ビットのデコード出力MA0〜MA8として現れる。更
に、符号ビットである最上位ビットのデコード出力MA9
は、最上位ビットの加算波形O10に等しく論理0であ
り、従って、上記範囲では正のデコード出力を生成す
る。これを式で表すと、前記デコード出力MA0〜MA9で定
まる値をWとすれば、 W=Z 但し、(0≦Z≦π/2) ・・・(19) となる。
第2の場合として、(O10、O9)=(0、1)となる
場合は、加算波形O0〜O10の示す値が、π/2〜π〔rad〕
まで変化する場合である。そして、この範囲では#9の
EOR24の出力は論理1となるため、#0〜#8のEOR24に
入力する加算波形O0〜O8が時間経過と共に順次増加する
に従って、それと全く逆の関係で順次減少する波形が下
位9ビットのデコード出力MA0〜MA8として出力される。
更に、符号ビットである最上位ビットのデコード出力MA
9は、最上位ビットの加算波形O10に等しく論理0であ
り、従って、上記範囲では正のデコード出力を生成す
る。これを式で表すと、 W=−Z+π 但し、(=π/2≦Z≦π) ・・・(20) となる。
第3の場合として、(O10、O9)=(1、0)となる
場合は、加算波形O0〜O10の示す値が、π〜3π/2〔ra
d〕まで変化する場合である。そして、この範囲では#
9のEOR24の出力は前記第2の場合と同様に論理1とな
るため、#0〜#8のEOR24の状態も前記第2の場合と
同様で、入力する加算波形O0〜O8が時間経過と共に順次
増加するに従って、それと全く逆の関係で順次減少する
波形が下位9ビットのデコード出力MA0〜MA8として出力
される。一方、符号ビットである最上位ビットのデコー
ド出力MA9は、最上位ビットの加算波形O10が論理1に変
化したため、上記範囲では負のデコード出力を生成す
る。これを式で表すと、 W=−Z+π 但し、(π≦Z≦3π/2) ・・・(21) となる。
第4の場合として、(O10、O9)=(1、1)となる
場合は、加算波形O0〜O10の示す値が、3π/2〜2π〔r
ad〕まで変化する場合である。そして、この範囲では#
9のEOR24の出力は前記第1の場合と同様に論理0とな
るため、#0〜#8のEOR24の状態も前記第1の場合と
同様で、入力する加算波形O0〜O8が時間経過と共に順次
増加するに従って、それと全く同様の波形が下位9ビッ
トのデコード出力MA0〜MA8として出力される。一方、符
号ビットである最上位ビットのデコード出力MA9は、最
上位ビットの加算波形O10が論理1であるため、上記範
囲では負のデコード出力を生成する。これを式で表す
と、 W=Z−2π 但し、(3π/2≦Z≦2π) ・・・(22) となる。
以上の第1〜第4の場合に対応する(19)〜(22)式
をまとめると、 W=Z 但し、(0≦Z≦π/2) W=−Z+π 但し、(π/2≦Z≦3π/2) W=Z−2π 但し、(3π/2≦Z≦2π) ・・・(23) となる。
ここで、第1図のデコーダ5の特性として既に示した
前記(7)式を変形すると、 D=(2/π)x ・・(0≦x≦π/2) D=(2/π)(−x+π) ・・(π/2≦x≦3π/2) D=(2/π)(x−2π) ・・(3π/2≦x≦2π) ・・・(24) となる。上記(24)式と前記(23)式を比較すると、入
出力の関係は、全体的なゲインが2/π異なるだけで、実
質的に全く同じ関係であり、従って、第12図に示される
第7図の三角波デコーダ14は、前記(7)式の特性で示
される第1図のデコーダ5と全く同様に動作することが
わかる。
続いて、第7図の変調信号発生回路10は、第1図の変
調波位相角ROM2に対応する。
まず、変調波位相角ROM2の構成を第13図に示す。この
ROMは、A0〜A12の13ビットのアドレス入力を有し、ま
ず、上位2ビットのアドレスA11、A12に波形ナンバーセ
レクト信号WNo.として、0〜2の値(10進)を入力さ
せることにより、例えば第4A図〜第4C図の3種類の各位
相差関係Δf(ωct)が記憶されているアドレス領域の
うち任意の1つを指定することができる。なお、この指
定は、特には図示しない選択スイッチにより演奏者が任
意に行えるようにし、このスイッチ状態を第7図のコン
トローラ7が検出し、それに対応する値を有する波形ナ
ンバーセレクト信号WNo.を変調信号発生回路10に供給
するようにすればよい。
このようにして、上記位相差関係Δf(ωct)を選択
した後、A0〜A10の下位11ビットに第7図のアダー8か
ら搬送波位相角ωct0〜ωct10を入力させることによ
り、変調信号WM0〜WM10を第7図の変調信号発生回路10
及び乗算器12を介して出力させることができる。
以上、第7図の実施例の搬送信号発生回路9、変調信
号発生回路10及び三角波デコーダ14について具体的な回
路を示したが、そのほかアダー8、10、14又は乗算器1
2、16等は公知の回路で実現でき、エンベロープジェネ
レータ11についても、電子楽器における公知のものを用
いれば実現可能である。
また、上記第7図の実施例では、1音の楽音波形を出
力するための回路として説明したが、同図のアダー8、
搬送信号発生回路9、変調信号発生回路10、エンベロー
プジェネレータ11、乗算器12、アダー13、三角波デコー
ダ14及び乗算器15を時分割で動作できるように構成し、
D/A変換器16の入力段で、各時分割チャネルの楽音を各
サンプリング周期毎に累算するようにすれば、複数の楽
音波形を並列して発音させることが可能となる。
楽音波形発生装置の第2の実施例の原理説明 次に、第14図は、本発明による楽音波形発生装置の第
2の実施例の原理構成図である。前記第1図及び第7図
の第1の実施例では、波形出力eとして各ピッチ周期毎
に規則的に繰り返す鋸歯状波、矩形波、非対称矩形波等
の所望の波形を得られ、かつ、当該波形と正弦波との間
で波形の特性を連続的に変化させることのできる。これ
に対して、以下に説明する第2の実施例では、更に、波
形出力として自然楽器の発音開始から消音までの各ピッ
チ周期の楽音波形等に対応する任意の波形を得られ、か
つ、当該波形と正弦波との間で波形の特性を連続的に変
化させることのできることを特徴としている。以下、第
14図以降、順次説明してゆく。
まず、波形データROM25からは時間的に増加するアド
レスデータAdd(t)に従って、周期データF(t)、
位相差データM(t)及び各波形区間毎(後述する)に
一定な値の正規化係数K(区間)が互いに同期して読み
出される。まず、位相差データM(t)〔rad〕は、乗
算器28で変調指数Iと乗算された後、加算器27で周期デ
ータF(t)〔rad〕と加算され、sin波(正弦波)を変
調するための位相角データF(t)+I・M(t)が得
られる。同データは、sin波データを記憶しているROMメ
モリであるsin ROM26からsin波を変調して読み出すため
のアドレス信号として同ROMに入力する。sin ROM26から
読み出された変調出力D(t)は、乗算器29において前
記波形データROM25から各波形区間毎に読み出される正
規化係数K(区間)と乗算された後、波形出力OUT
(t)として出力される。ここで、sin ROM26に記憶れ
ているsin波の振幅の絶対値の最大値は1になるように
正規化されている。
上記原理構成に基づく第14図の楽音波形発生装置の動
作につき、以下に説明する。
まず、自然楽器等の楽音波形の原波形ORG(t)を、
第15図(a)のように、例えば基本波の各周期区間(ピ
ッチ周期)毎に波形区間A〜Dに分割する。
そして、各波形区間内で、0〔rad〕以上2π〔rad〕
未満の間で第15図(b)の様に時間tの経過と共に順次
線形に増加する位相角データを、第14図の波形データRO
M25から読み出される周期データF(t)〔rad〕とす
る。今、第14図の変調指数Iを0とし上記周期データF
(t)そのものにより、sin ROM26に記憶されているsin
波をその位相角を線形に指定して読み出し出力sin(F
(t))を得た場合、第15図(c)のように各波形区間
A〜D毎に0〜2π〔rad〕の位相角に対応する1周期
ずつのsin波が無変調で読み出される。なお、各波形区
間A〜Dは、正確にピッチ周期に対応する必要はなく、
特に打楽器音のように周期性の弱い楽音では、例えば適
当なゼロクロス点(振幅が0の時点)からゼロクロス点
までを1波形区間としてよい。
次に、第14図の波形データROM25から読み出される位
相角データM(t)は、乗算器28で乗算される変調指数
Iの値を1として、加算器27から出力される第16図
(b)の位相角データF(t)+M(t)を用い、sin
ROM26に記憶されている1周期分のsin波を変調して読み
出した場合に、第16図(a)に示すように波形出力OUT
(t)として振幅の絶対値の最大値が1に正規化された
1波形区間分の原波形ORG(t)が読み出されるような
データであり、第16図(c)に示される。
また、第14図の波形データROM25から読み出される各
波形区間毎の正規化係数K(区間)は、前記したように
第14図のsin ROM26に記憶されているsin波の振幅の絶対
値の最大値が1に正規化されているため、波形区間毎に
最終的な原波形ORG(t)の振幅に戻すための係数であ
る。
以上の関係より、 OUT(t)=K(区間)・sin(F(t)+I・M
(t)) ・・・(25) ORG(t)=K(区間)・sin(F(t)+M(t)) ・・・(26) の関係があることがわかる。これらの関係からわかるよ
うに、各波形区間毎に、変調指数Iの値を1としたとき
に波形出力OUT(t)として所望の原波形ORG(t)を得
たい場合には、その波形区間の原波形ORG(t)に対応
する周期データF(t)、位相差データM(t)及び正
規化係数K(区間)を求める必要がある。その求め方を
第15図の原波形ORG(t)の波形区間Aの場合を例にと
って説明する。
まず、周期データF(t)の導出法については、第15
図(b)で既に説明した。
次に、第15図(a)の波形区間Aで原波形ORG(t)
の振幅の絶対値の最大値を正規化係数K(区間A)とす
る。そして、同区間の原波形ORG(t)の各振幅値を上
記正規化係数K(区間)で除算することにより、第16図
(a)のように振幅が±1以内になるように正規化す
る。なお、第16図(a)では、正負の絶対値の最大値が
共に1となっているが、どちらか一方のみ最大値が1と
なり他方は1以下となってもかまわない。
次に、このようにして得られる正規化された原波形OR
G(t)を用いて、以下の〜の処理によって位相差
データM(t)を求める(なお、第17図を参照)。
まず、正規化された原波形ORG(t)の波形区間A内
の任意の時間txにつき、その時間txに対応する正規化さ
れた原波形ORG(t)の振幅Axを求める(第17図
(a))。
振幅の絶対値の最大値が1であるsin波上で、上記
で求まった振幅Axと等しい位置の位相角pxを求める(第
17図(b))この場合、原波形ORG(t)内の時間tx
位置と、sin波内の位相角pxの位置は、概略同じ関係に
なるように求める。すなわち、例えば時間txが波形区間
Aの先頭から1/4程度以内の位置にあれば、位相角も先
頭から1/4程度以内の0〜π/2付近で決定するようにす
る。
上記で求まる位相角pxと、予め求めてある波形区間
Aの周期データF(t)を用いて、 px−F(tx) として時間txに対応する位相差データM(tx)を求める
(第17図(c))。
時間txを波形区間A内の全域で変化させて上記〜
の処理を繰り返し、波形区間Aの各時間tに対応する位
相差データM(t)を求める。
以上〜の処理を第15図(a)の原波形ORG(t)
の各波形区間A〜D毎に繰り返し、各波形区間毎に求ま
る周期データF(t)、位相差データM(t)及び正規
化係数K(区間)を第14図の波形データROM25に格納す
る。
上記各データと共に第14図の乗算器28で乗算される変
調指数Iの値を1として、前記変調動作を行うことによ
り、第14図の波形出力OUT(t)として第15図(a)の
原波形ORG(t)を得ることができる。
次に、第14図において、乗算器28で乗算される変調指
数Iの値を変化させることにより、様々に変調された波
形出力OUT(t)を得ることができる。
まず、変調指数I=0とすれば、第15図(c)に既に
示したように各波形区間内で無変調のsin波を得ること
ができる。
また、変調指数Iの値を1.0、1.5、2.0と変化させる
ことにより、第14図のsin ROM26からの変調出力D
(t)として、第18図(a)、(b)、(c)のように
順次深く変調された波形を得ることができる。
以上のようにして、変調指数Iの値を変化させること
により、原波形を中心としてsin波から深く変調された
波形まで様々な変調波形を得られる。
また、変調指数Iを発音開始から消音までの間で連続
的に変化させることにより、例えば変調が深くかかった
状態から、楽音の減衰と共にsin波に変化するような波
形出力OUT(t)を得ることも可能となる。
楽音波形発生装置の第2の実施例の具体的構成の説明 次に、第19図は、上記楽音波形発生装置の第2の実施
例の具体的構成図である。同図において、第14図の原理
構成と同じ番号を付した部分は第14図と同じ機能を有す
る。なお、第14図の波形データROM25は第19図において
は、FM ROM11とK ROM12の2つのROMから構成される。
第19図においてFM ROM11から周期データF(t)及び
位相差データM(t)を読み出すためのアドレスデータ
ADD#1は、加算器31、セレクタ32及びラッチ33からな
る累算部において、先頭アドレスaを初期値として、ラ
ッチ30にラッチされた音高データdのアドレス間隔で、
ラッチ33に入力するクロックCLK#1の立ち上がりに同
期して順次累算される。この場合、先頭アドレスaは特
には図示しない制御部から出力されて、スタートパルス
STRTがハイレベルの間にセレクタ33で選択され、累算値
の初期値としてラッチ33に与えられる。スタートパルス
STRTがローレベルなら加算器31の出力を選択して累算動
作を実行する。また、音高データdは特には図示しない
制御部から出力され、スタートパルスSTRTの立ち上がり
に同期してラッチ30にラッチされる。
FM ROM11から出力される位相差データM(t)は、乗
算器28においてラッチ40にラッチされた変調指数Iと乗
算され、加算器27においてFM ROM11から出力された同期
データF(t)と加算される。これにより得られた位相
角データF(t)+I・M(t)は、sin ROM26の読み
出しアドレスとして同ROMに入力する。なお、変調指数
Iは特には図示しない制御部から出力され、スタートパ
ルスSTRTの立ち上がりに同期してラッチ40にラッチされ
る。
これにより、sin ROM26から乗算器29に変調出力D
(t)が出力される。
一方、FM ROM11から出力される区間識別データIBは、
クロックCLK#1をインバータ35で反転して得たクロッ
クの立ち上がりに同期して動作するDフリップフロップ
(F/F、以下同じ)34に入力すると共に、排他論理和回
路(EOR、以下同じ)36の第1の入力に入力する。ま
た、EOR36の第2の入力には上記F/F34の正論理出力Qが
入力する。上記回路構成により、FM ROM11から順次出力
される区間識別データIBの値に変化があった場合に、EO
R36の出力が論理「1」となる。
K ROM12へのアドレス入力となるアドレスデータADD#
2は、加算器37、セレクタ38及びラッチ39からなる累算
部において、先頭アドレスbを初期値として上記EOR36
の出力が論理「1」となる毎に1アドレスずつ順次累算
される。なお、先頭アドレスbは特には図示しない制御
部から出力され、スタートパルスSTRTがハイレベルの間
にセレクタ38で選択されて累算値の初期値としてラッチ
39に与えられる。スタートパルスSTRTがローレベルなら
加算器37の出力を選択して累算動作を実行する。
これにより、K ROM12にアドレスデータADD#2が与え
られ、K ROM12から乗算器29には正規化係数K(区間)
が出力される。
乗算器29では、sin ROM26から出力された変調出力D
(t)に上記正規化係数K(区間)が乗算され、この乗
算結果は、更に乗算器42においてエンベロープジェネレ
ータ41から発生されるエンベロープ値と乗算される。
そしてこの乗算結果が、クロックCLK#1をインバー
タ44で反転したクロックの立ち上がりに同期してラッチ
43にラッチされ、波形出力OUT(t)として出力され
る。
以上の構成において、クロックCLK#1、CLK#2及び
スタートパルスSTRTは、特には図示しない制御部から出
力される。
次に、第19図のFM ROM11に記憶されるデータの構成を
第20図に示す。
同図において、発音開始から消音までの1組の波形デ
ータは、先頭アドレスaから順に記憶されており、1ア
ドレスには1つの周期データF(t)、1つの位相差デ
ータM(t)及び1ビットの区間識別データIBが組で記
憶される。この場合、アドレスが進むにつれて、第15図
(a)の各波形区間A、B、C、D、・・・の各サンプ
リング点のデータが記憶されている。また、波形区間が
A、B、C、D、・・・と変化するに従って、区間識別
データIBの各アドレスの値が、区間Aでは「0」、区間
Bでは「1」、区間Cでは「0」、区間Dでは「1」、
・・・というように区間単位で交互に変化する。この区
間識別データIBは、後述するように区間の境界を識別し
てK ROM12において指定されるアドレスを更新するため
のデータである。
次に、第19図のK ROM12に記憶されるデータの構成を
第21図に示す。
同図において、発音開始から消音までの各波形区間
A、B、C、D、・・・に対応して、先頭アドレスbか
ら順に正規化係数K(区間)が1つずつ記憶されてい
る。
以上の構成の実施例の動作を、第22図の動作タイミン
グチャートに従って説明する。以下、特に言及しない限
り第19図を参照するものとする。
発音開始時には、特には図示しない制御部(以下、単
に制御部と呼ぶ)から出力されるスタートパルスSTRT
が、第22図のt1のタイミングで論理「1」(以下、単に
「1」と呼ぶ。論理「0」についても同様。)に立ち上
がり、その直後にクロックCLK#1が「1」になるt2の
タイミングから発音動作を開始する。この場合、クロッ
クCLK#1の周期が楽音発生のサンプリング周期に対応
し、また、制御部から発生するクロックCLK#2は、ク
ロックCLK#1と同一周期を有し、同クロックから1/4周
期分遅れたクロックである。以下の動作は、上記2つの
クロックCLK#1及びCLK#2に従って制御される。ま
た、スタートパルスSTRTは、発音開始時においてクロッ
クCLK#1が「0」に立ち下がってから次に「0」に立
ち下がるまでの1周期分の間「1」を維持し、その後は
次の発音開始まで「0」を維持する。
まず、制御部からのスタートパルスSTRTが、第22図
(a)のように論理「1」に立ち上がるタイミングt1
で、制御部からの音高データdが同図(c)のようにラ
ッチ30にラッチされる。
続いて、スタートパルスSTRTが「1」のタイミングt1
〜t4の間は、セレクタ32が制御部からの先頭アドレスa
を選択し、この先頭アドレスaはクロックCLK#1が
「1」に立ち上がるタイミングt2でラッチ33にラッチさ
れ、第22図(d)のようにアドレスデータADD#1の初
期値が定まる。
これにより、t2からわずかな遅延時間の後、FM ROM11
の先頭アドレスaの周期データF(t)、位相差データ
M(t)及び区間識別データIB(第20図参照)が第22図
(e)、(k)及び(l)のように読み出される。
以後ラッチ33の出力のアドレスデータADD#1は加算
器31にフィードバックされ、ラッチ30にセットされてい
る音高データdが順次累算されてゆく。この場合、上記
累算値は、クロックCLK#1が「1」に立ち上がる第22
図(d)の各タイミングt5、t8、t11、t14、t17等にお
いて、セレクタ32を介して順次ラッチ33にラッチされ新
たなアドレスデータADD#1として指定され、FM ROM11
上の対応するアドレスの周期データF(t)、位相差デ
ータM(t)及び区間識別データIB(第20図参照)が第
22図(e)、(k)及び(l)のように読み出される。
なお、スタートパルスSTRTは、t4において「0」に立ち
下がるため、セレクタ32はt4以降は加算器31の出力を選
択する。
この場合、楽音の発音開始の指示は、特には図示しな
い例えば鍵盤部の何れかの鍵を演奏者が押鍵することに
より行われ、そのとき押鍵された鍵が高音側の鍵であれ
ば、制御部からラッチ30には大きな値の音高データdが
ラッチされる。これにより、FM ROM11上で読み飛ばされ
るアドレス幅が大きくなり、高いピッチ周期の波形出力
OUT(t)が得られる。逆に例えば最低音鍵が押鍵され
た場合は、音高データdとして値1がラッチされ、これ
によりFM ROM11上では1アドレスずつ各データが読み出
され、最低ピッチ周期の波形出力OUT(t)が得られ
る。
以上のようにしてFM ROM11から読み出される各データ
のうち、位相差データM(t)は乗算器28に入力する。
今、スタートパルスSTRTが「1」に立ち上がるt1におい
て、制御部からラッチ40に変調指数Iがセットされてい
る。従って、乗算器28では、位相差データM(t)に上
記変調指数Iが乗算される、この出力は加算器27に入力
し、ここでFM ROM11から出力された周期データF(t)
と加算され、位相角データF(t)+I・M(t)が得
られる。
上記位相角データF(t)+I・M(t)によりsin
ROM26がアクセスされ、前記周期データF(t)及び位
相差データM(t)の出力(第22図(k)、(l)の各
タイミングt2、t5、t8、t11、t14、t17等の直後)から
わずかな遅延の後、sin ROM26から第22図(n)のよう
にして変調出力D(t)が出力される。
一方、スタートパルスSTRTが「1」のタイミングt1〜
t4の間で、セレクタ38が制御部からの先頭アドレスbを
選択し、この先頭アドレスbはクロックCLK#2が
「1」に立ち上がるタイミングt3でラッチ39にラッチさ
れ、第22図(i)のようにアドレスデータADD#2の初
期値が定まる。
これにより、t3からわずかな遅延時間の後、K ROM12
の先頭アドレスbの正規化係数K(区間A)が第22図
(j)のように読み出される。以後、ラッチ39の出力の
アドレスデータADD#2は加算器37にフィードバックさ
れ、EOR36の論理出力値「0」又は「1」が順次累算さ
れてゆく。この場合上記累算値は、クロックCLK#2が
「1」に立ち上がる第22図(i)の各タイミングt6、t
9、t10、t12、t15、t18等において、セレクタ38を介し
て順次ラッチ39にラッチされ、新たなアドレスデータAD
D#2として指定され、K ROM12上の対応するアドレスの
正規化係数K(区間)が第22図(j)のように読み出さ
れる。なお、スタートパルスSTRTは、t4において「0」
に立ち下がるため、セレクタ38はt4以降は加算器37の出
力を選択する。
上記動作と並行してクロックCLK#1が「1」に立ち
上がる第22図(b)の各タイミングt2、t5、t8、t11、t
14、t17等からわずかな遅延の後に、第22図(e)のよ
うにFM ROM11から区間識別データIBが順次出力される。
このデータは、クロックCLK#1が「0」に立ち下がる
第22図(b)の各タイミングt4、t7、t10、t13、t16、t
19等において、F/F34にセットされてその正論理出力Q
が第22図(f)のように順次定まる。そして、この正論
理出力Qと前記FM ROM11からの区間識別データIBとの排
他論理和がEOR36で演算される。
ここで、FM ROM11から出力される区間識別データIB
は、第20図に示したように各波形区間単位で「0」又は
「1」が交互に記憶されているので、波形区間がAから
B、BからC、CからD等に変化する毎に「0」から
「1」、「1」から「0」、「0」から「1」というよ
うに変化する。従って、上記波形区間が変化する時点の
みEOR36の出力は「1」となり、他のタイミングでは
「0」となる。第22図の例では波形区間AからBに変化
するt14の直後からt16のクロックCLK#1が「1」の間
のみ、EOR36の出力が「1」となる。これより、上記タ
イミング内のみ、加算器37でラッチ39からのアドレスデ
ータADD#2の値bに1が累算され、この累算値b+1
はクロックCLK#2が「1」に立ち上がる第22図(h)
のタイミングt15において、ラッチ39に新たなアドレス
データADD#2としてラッチされる。従って、クロックC
LK#2が「1」に立ち上がるタイミングt15以降は、こ
の新たなアドレスデータADD#2の値b+1に基づくK R
OM12上の正規化係数K(区間B)が第22図(j)のよう
に読み出される。
一方、EOR36の出力が「0」である他のタイミングで
は、加算器37では累算動作は行われないため、ラッチ39
には1タイミング前と同様のアドレスデータADD#2が
ラッチされる。従って、第22図(h)のタイミングt6、
t9、t12、t18等においては、1タイミング前と同様の正
規化係数K(区間)がK ROM12から第22図(j)のよう
に読み出される。
このように、FM ROM11からの波形区間Aの周期データ
F(t)及び位相差データM(t)に基づく変調出力D
(t)がsin ROM26から読み出されているタイミングで
は、K ROM12から波形区間Aに対応する正規化係数K
(区間A)から読み出され、同様に波形区間BではK RO
M12から波形区間Bに対応する正規化係数K(区間B)
が読み出されるというように、各波形区間の変調出力D
(t)が出力されるのに対応して、その波形区間の正規
化係数K(区間)がK ROM12から読み出される。
以上のようにして、第22図(b)のクロックCLK#1
が「1」に立ち上がる各タイミングt2、t5、t8、t11、t
14、t17等から若干の遅延の後に、sin ROM26から第22図
(n)の様に変調出力D(t)が出力され、これと並行
して、第22図(h)のクロックCLK#2が「1」に立ち
上がる各タイミングt3、t6、t9、t12、t15、t18等から
わずかな遅延の後に、K ROM12から第22図(j)のよう
に正規化係数K(区間)が出力される。そして、上記各
タイミングの変調出力D(t)と正規化係数K(区間)
は、乗算器29で乗算された後、更に乗算器42でエンベロ
ープジェネレータ41からのエンベロープデータと乗算さ
れて、第22図(b)のクロックCLK#1が「0」に立ち
下がる各タイミングt4、t7、t10、t13、t16、t19等にお
いて、第22図(o)のようにラッチ43にラッチされ、各
タイミング毎の波形出力OUT(t)が定まる。ここで、
エンベロープジェネレータ41及び乗算器42は、第14図で
は示さなかったが、波形出力OUT(t)に原波形以外の
エンベロープを付加したい場合に動作させればよく、必
ずしも必要なものではない。
以上に示した動作により、第19図の実施例において、
第15図〜第18図に示した第14図と同様の動作を実現する
ことができる。
楽音波形発生装置の第2の実施例の具体的構成における
他の態様 上記第19図の電子楽器においては、第14図の波形デー
タROM25に対応するものをFM ROM11とK ROM12の2つのRO
Mで構成したが、多少アドレス指定が複雑になるのを許
容できれば1つのROMで構成するようにしてもよい。
また、FM ROM11において、周期データF(t)は第20
図に示したように各サンプリング点毎の値を記憶するよ
うにしたが、1つの波形区間内では周期データF(t)
は第15図(b)のように各波形区間幅で位相角が0から
2π〔rad〕まで変化する直線特性であるため、演算時
間に余裕があれば、各サンプリング点毎に周期データF
(t)を演算して出力することにより、記憶容量を節約
できる。
特に、第15図の各波形区間A、B、C、D等の周期を
全区間で一定になるように選べば、例えば第19図のアド
レスデータADD#1の上位ビットでFM ROM11内の各波形
区間を選択し、下位ビットで各区間内の位相差データM
(t)を選択すると共に、当該下位ビットを直接周期デ
ータF(t)の各値とすることにより、周期データF
(t)を記憶する必要がなくなる。
なお、第19図においては、1楽音分の波形出力OUT
(t)を得るものとして実現したが、各部を時分割動作
させることにより、複数の楽音波形を並列して出力させ
ることも可能である。
楽音波形発生装置の第2の実施例の原理構成の他の態様 第14図の楽音波形発生装置の第2の実施例の原理構成
においては、変調指数I=0の場合には前記(25)式に
より、 OUT(t)=K(区間)・sin(F(t))・・・(27) となり、周期データF(t)は第15図(b)に示したよ
うに各波形区間内で線形に増加するデータで、また、正
規化係数K(区間)は各波形区間内で一定であるため、
波形出力OUT(t)としてsin波が得られた。
また、変調指数I=1の場合は前記(26)式のよう
に、 ORG(t)=K(区間)・sin(F(t)+M(t)) ・・・(26) として原波形ORG(t)が得られた。そして、変調指数
Iの値を0から1の間で変化させることにより、sin波
から原波形までの間で波形を連続的に変化させることが
できる。また、変調指数Iの値を1以上にすれば更に原
波形から更に変調された波形まで連続的に変化させるこ
とができる。
このように、本実施例では、各波形区間で線形に変化
する周期データF(t)と、そのデータからの差分デー
タである位相差データM(t)とによって、少なくとも
sin波と原波形を出力できることを特徴とする。従っ
て、I=0のときにsin波を出力でき、I=1のときに
原波形を出力できれば、前記(25)、(26)式等に拘泥
する必要はなく、 OUT(t)=K(区間)・f(g(F(t))+I・M
(t)) ・・・(28) の関係にある演算を実現する実施例であればどのような
ものでもよい。
例えば上記(28)式で、入力をαとしてfを、 f(α)=(2/π)α ・・(0≦α≦π/2) f(α)=−1+(2/π)(3π/2−α) ・・(π/2≦α≦3π/2) f(α)=−1+(2/π)(α−3π/2) ・・(3π/2≦α≦2π) ・・・(29) を満たす三角波関数として定義し、また、入力をβとし
てgを、 g(β)=(π/2)sin β ・・(0≦β≦π/2) g(β)=π−(π/2)sin β ・・(π/2≦β≦3π/2) g(β)=2π+(π/2)sin β ・・(3π/2≦β≦2π) ・・・(30) を満たす関数として定義すれば、変調指数Iの値が0す
なわち無変調の場合に、上記(29)、(30)式を前記
(28)式に代入することにより、 f(g(β))=K(区間)・f((π/2)sin β) =K(区間)・(2/π)(π/2)sin β =K(区間)・sin β ・・(0≦β≦π/2) f(g(β))=K(区間)・f((π−(π/2)・sin β)) =K(区間)・(−1+(2/π)(3π/2−π+(π/2)sin β)) =K(区間)・sin β ・・(π/2≦β≦3π/2) f(g(β))=K(区間)・f(2π+(π/2)・sin β) =K(区間)・(−1+(2/π)(2π+ +(π/2)sin β−3π/2)) =K(区間)・sin β ・・(3π/2≦β≦2π) ・・・(31) となる。すなわち、無変調時には単一sin波が出力され
る。
また、前記(29)、(30)式を前記(28)式に代入
し、変調指数I=1としたときに原波形ORG(t)が得
られるようにするためには、前記第17図(b)のsin波
を前記(29)式で定義される三角波に置き換え、また、
同図(c)の周期データF(t)を前記(30)式で定義
される関数g(t)に置き換えて、当該g(t)からの
差分データとして位相差データM(t)を決定すればよ
い。
この場合、第14図のsin ROM26に対応する三角波を生
成する手段としては、ROMの他にデコーダ回路等によっ
て三角波を生成することも可能である。
上記態様の他にも、前記(28)式を満たす関数f、g
として様々な関数の組合わせを定義できる。
〔発明の効果〕
本発明によれば、混合制御手段で予め変調信号の混合
率を0に設定しておけば、正弦波又は余弦波のみからな
る楽音波形を発生でき、混合制御手段で予め変調信号の
混合率を所定の混合率(例えば1)に設定しておけば、
自然楽器の楽音等の所望の楽音波形を得ることが可能で
ある。
従って、演奏中において、楽音の発音開始直後は例え
ば混合率を1に設定し、それ以後の時間経過と共に混合
率を0に近づけることで、所望の楽音波形の状態から単
一正弦波成分又は単一余弦波成分のみを含む状態になる
ように、徐々に楽音波形の周波数特性を制御することが
できる。又は、混合率を連続的に例えば1以上になるよ
うに変化させることにより、所望の楽音波形の状態から
更に複雑な倍音構成を有する個性的な楽音が発音される
ように制御することができる。
上記動作と共に、振幅包絡制御手段によって、波形出
力手段から出力される楽音波形の振幅包絡特性も、時間
的に例えば減衰するように制御することにより、実際の
楽器の楽音の如く、発音開始以後、楽音波形が徐々に減
衰してゆく過程を実現することができる。
以上のように、本発明は、自然音の楽音を発音する状
態と単一正弦波成分又は単一余弦波成分のみを含む状態
の両者を容易に生成することができ、かつ、様々な倍音
特性を生成することができる。しかも、それを実現する
ための構成として、通常のROM、デコーダ、加算器、乗
算器等の組み合わせのみで実現できるため、複雑な楽音
波形を簡単な回路構成で実現することが可能となり、結
果として、質のよい電子楽器等を低コストで提供するこ
とが可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明による楽音波形発生装置の第1の実施
例の原理構成図、 第2図は、搬送波ROMの記憶内容を示した図、 第3図は、楽音波形発生装置の第1の実施例の無変調時
の動作説明図、 第4A図は、波形出力eが鋸歯状波の場合のΔf
(ωct)、Wcとの関係図、 第4B図は、波形出力eが矩形波の場合のΔf(ωct)、
Wcとの関係図、 第4C図は、波形出力eが非対称矩形波の場合のΔf(ω
ct)、Wcとの関係図、 第5図は、I(t)を変化させたときのWC、WC+WM、e
の関係図、 第6図は、搬送波ROMと三角波デコーダの記憶波形の他
の実施例を示した図、 第7図は、楽音波形発生装置の第1の実施例の具体的構
成図、 第8図は、搬送信号発生回路の第1の実施例の構成図、 第9図は、搬送信号発生回路の第1の実施例の動作説明
図、 第10図は、搬送信号発生回路の第2の実施例の構成図、 第11図は、搬送信号発生回路の第2の実施例の動作説明
図、 第12図は、三角波デコーダの構成図、 第13図は、変調波ROMの構成図、 第14図は、本発明による楽音波形発生装置の第2の実施
例の原理構成図、 第15図は、ORG(t)とF(t)の関係を示した図、 第16図は、ORG(t)とF(t)とM(t)の関係を示
した図、 第17図は、M(t)の求め方を示した図、 第18図は、Iを変化させたときのD(t)とF(t)と
M(t)の関係を示した図、 第19図は、楽音波形発生装置の第2の実施例の具体的構
成図、 第20図は、FM ROMのデータ構成図、 第21図は、K ROMのデータ構成図、 第22図は、楽音波形発生装置の第2の実施例の具体的構
成の動作タイミングチャートである。 1……搬送波ROM、 2……変調波ROM、 3、6、28、29……乗算器、 4、27……加算器、 5……デコーダ、 25……波形データROM、 26……sin ROM、 ωct……搬送波位相角、 ωmt……変調波位相角、 ωt′……変調波補正位相角、 WC……搬送信号、 WM……変調信号、 I(t)、I……変調指数、 WC+WM……加算波形、 D……デコード出力、 A……振幅係数、 e、OUT(t)……波形出力、 Add(t)……アドレスデータ、 F(t)……周期データ、 M(t)……位相差データ、 F(t)+I・M(t)……位相角データ、 K(区間)……正規化係数、 D(t)……変調出力.

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所定の周期で繰り返し発生する搬送信号を
    発生する搬送信号発生手段と、 所定の周期で繰り返し発生する変調信号を発生する変調
    信号発生手段と、 該変調信号を前記搬送信号発生手段から発生される搬送
    信号に混合する場合の前記変調信号の前記搬送信号に対
    する混合率を0から任意の混合率までの間で制御し、前
    記搬送信号と前記変調信号とが当該混合率で混合された
    混合信号を出力する混合制御手段と、 入力と出力が所定の関数関係を有し前記混合制御手段か
    ら出力される混合信号を入力として変調された楽音波形
    を出力する波形出力手段と、 を有し、 前記波形出力手段における前記所定の関数関係は正弦関
    数、余弦関数のいずれの関係でもなく、かつ、前記所定
    の関数関係と前記搬送信号は、前記混合制御手段で前記
    変調信号の混合率が0になるように制御された場合に、
    前記波形出力手段から発生される前記楽音波形が正弦波
    又は余弦波となるような関係を有し、 前記変調信号は前記所定の関数関係及び前記搬送信号に
    対し、前記混合制御手段で前記変調信号の混合率が所定
    の混合率になるように制御された場合に、前記波形出力
    手段から所望の楽音波形が所定の周期で繰り返し出力さ
    れるように設定される、 ことを特徴とする楽音波形発生装置。
  2. 【請求項2】前記搬送信号発生手段及び前記変調信号発
    生手段は、各々一定周期の複数の各波形区間毎に、前記
    混合制御手段で前記変調信号の混合率が前記所定の混合
    率になるように制御された場合に、前記波形出力手段か
    ら該対応する波形区間の前記所望の楽音波形が出力され
    るような搬送信号及び変調信号を発生することを特徴と
    する請求項1記載の楽音波形発生装置。
JP1060530A 1988-03-13 1989-03-13 楽音波形発生装置 Expired - Fee Related JP2596120B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1060530A JP2596120B2 (ja) 1989-03-13 1989-03-13 楽音波形発生装置
US07/492,664 US5103711A (en) 1988-03-13 1990-03-12 Musical sound waveform generator having a carrier signal and a modulation signal mixed at a controlled mixing ratio

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1060530A JP2596120B2 (ja) 1989-03-13 1989-03-13 楽音波形発生装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH02239286A JPH02239286A (ja) 1990-09-21
JP2596120B2 true JP2596120B2 (ja) 1997-04-02

Family

ID=13144956

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1060530A Expired - Fee Related JP2596120B2 (ja) 1988-03-13 1989-03-13 楽音波形発生装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2596120B2 (ja)

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4175464A (en) * 1978-01-03 1979-11-27 Kawai Musical Instrument Mfg. Co. Ltd. Musical tone generator with time variant overtones
JP2596154B2 (ja) * 1988-12-29 1997-04-02 カシオ計算機株式会社 楽音波形発生装置及び楽音波形発生方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH02239286A (ja) 1990-09-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5164530A (en) Electronic musical instrument with improved capability for simulating an actual musical instrument
US5340938A (en) Tone generation apparatus with selective assignment of one of tone generation processing modes to tone generation channels
US5604323A (en) Musical tone electronic synthesizer and method
JPS6129895A (ja) 楽音発生装置
JP2596120B2 (ja) 楽音波形発生装置
US5103711A (en) Musical sound waveform generator having a carrier signal and a modulation signal mixed at a controlled mixing ratio
JP2555883B2 (ja) 楽音波形発生装置
JP3007096B2 (ja) 楽音波形発生装置
JPS59187398A (ja) 楽音発生システム
JP3007093B2 (ja) 楽音波形発生装置
JP2596154B2 (ja) 楽音波形発生装置及び楽音波形発生方法
JP2797140B2 (ja) 楽音波形発生装置
JP2900082B2 (ja) 楽音発生装置
JP2625669B2 (ja) 楽音波形発生装置
JP2797141B2 (ja) 楽音波形発生装置
JPH0830954B2 (ja) 楽音波形発生装置
JP3235315B2 (ja) フォルマント方式音源
JPH1049172A (ja) 楽音信号合成方法および装置
JP2625670B2 (ja) 楽音波形発生装置
JP2001175264A (ja) 楽音信号合成装置
JP2678970B2 (ja) 楽音発生装置
JP3399340B2 (ja) 楽音合成装置および楽音合成プログラムが記録された記録媒体
JP3082653B2 (ja) 波形発生装置
JPS6325679B2 (ja)
JPH0766268B2 (ja) 楽音発生装置

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090109

Year of fee payment: 12

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees