JP2555883B2 - 楽音波形発生装置 - Google Patents

楽音波形発生装置

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JP2555883B2 JP1060531A JP6053189A JP2555883B2 JP 2555883 B2 JP2555883 B2 JP 2555883B2 JP 1060531 A JP1060531 A JP 1060531A JP 6053189 A JP6053189 A JP 6053189A JP 2555883 B2 JP2555883 B2 JP 2555883B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、楽音波形発生装置に関する。
〔従来の技術〕
デジタル信号処理技術の進歩により、当該デジタル処
理を用いた電子楽器の第1の従来例として、単純な特性
の楽音波形を発生するのみならず、自然楽器の楽音・人
間又は自然界の音声等(以下、まとめて自然音と呼ぶ)
を直接サンプリングして記憶し、任意の音高で再生が可
能なPCM方式の電子楽器が実現されている。
一方、様々な種類の複雑な特性の楽音波形をデジタル
的に発生可能な電子楽器の第2の従来例として、特公昭
54−33525号公報又は特開昭50−126406号公報等に記載
のFM方式に基づく電子楽器がある。この方式は基本的に
は、 e=A・sin{ωct+I(t)sinωmt} ・・・(A) なる演算式により得られる波形出力eを楽音波形とする
ものであり、搬送波周波数ωとそれを変調するための
変調波周波数ωを適当な比で選択し、時間的に変化し
得る変調指数I(t)を設定し、また、同様に時間的に
変化し得る振幅係数Aを設定することにより、複雑な倍
音特性を有し、かつ時間的にその倍音特性が変化し得る
非常に個性的な合成音等を得ることができる。
また、FM方式を改良した第3の従来例として、特公昭
61−12279号公報に記載の電子楽器がある。この方式
は、前記(A)式のsin演算の代わりに三角波演算を用
い、 e=A・T{α+I(t)T(θ)} ・・・(B) なる演算式により得られる波形出力eを楽音波形とする
ものである。ここで、T(θ)は、搬送波位相角θによ
って生成される三角波関数である。そして、搬送波位相
角αと変調波位相角θを適当な進行速度比で進め、ま
た、前記第1の従来例と同様に変調指数I(t)と振幅
係数Aを設定することにより、楽音波形を合成できる。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記のような従来技術を背景として、近年では電子楽
器に対して、電子楽器特有の非常に個性的な楽音から自
然音までダイナミックに発音させることのできる性能が
求められている。
しかし、第1の従来例であるPCM方式の電子楽器は、
自然音そのものを発音させることは非常に得意である
が、その自然音を加工して個性的な音色を出そうとした
場合の処理が不得意である。
すなわち、例えば原音から正弦波等に連続的に変化さ
せたいような場合、デジタルフィルタ又はアナログフィ
ルタ等で原音の倍音成分を削る等して正弦波を得るよう
にしているが、デジタルフィルタではその回路規模が比
較的大きくなってしまい、また、エンベロープ等の時間
関数でその特性を変化させようとした場合、自然音のデ
ータに更に加えてフィルタの特性に対応したフィルタ係
数を記憶する必要がある。一方、アナログフィルタで
は、所望の特性が得にくく、また、複数の楽音を並列し
て発音させるための時分割動作を行わせることができな
いという問題点を有している。
更に、上記とは逆に、原音から更に複雑な倍音構成の
楽音に連続的に変化させたいような場合、上記フィルタ
で楽音の倍音構成を削る等の方式では、新たな倍音成分
を生成することは不可能であるという問題点を有してい
る。
一方、例えば、ピアノ等の実際の楽器の楽音には、ピ
ッチ周波数に基づく基本波成分の他に、その整数倍の複
数の周波数の倍音成分が含まれ、かなり高次の倍音成分
まで存在する。更には、非整数倍の倍音成分が含まれる
こともある。また、楽器の種類によって、各高次倍音の
含まれる割合等も異なり、楽器によって様々な倍音特性
が存在する。このように各楽器固有の倍音成分の存在に
よって豊かな音質の楽音が生成されている。しかし、前
記第2又は第3の従来方式であるFM方式に基づく電子楽
器は、発音される楽音の倍音構成を操作するのは非常に
得意であるが、出力として上記のような各楽器特有の所
望の楽音を得たい場合、そのパラメータを最適に設定す
るのが困難である。
すなわち、前記第2の従来例では、正弦波による変調
を基本としているため、前記(A)式で生成される楽音
は、その周波数成分が低次の(周波数の低い)倍音成分
に集中し、変調指数I(t)を大きな値にし変調を深く
かけても高次の(周波数の高い)倍音成分がうまく現れ
ない。従って、上記第2の従来例では、実際の楽音のよ
うな豊かな音質の楽音を生成することができず、生成可
能な楽音の音質が制限されてしまうという問題点を有し
ている。
これに対して、前記(B)式に基づく第3の従来例で
は、元々多くの倍音を含む三角波による変調を基本とし
ているため、周波数成分として一応高次の倍音成分まで
明確に存在する楽音を容易に生成することが可能である
が、出力として所望の楽音を得たい場合、それに対応し
て前記(B)式における搬送波位相角αと変調波位相角
θの進行速度比、変調指数I(t)及び振幅係数A等を
最適に決定するのは困難である。これに加え第3の従来
例は、三角波で三角波を駆動する方式のため、例えば楽
音が発生開始してから徐々に減衰してゆく過程で、高次
の倍音成分から順にその振幅が減少してゆき、最終的に
ピッチ周波数に対応する単一正弦波成分のみになるよう
な過程を実現することができないという問題点を有して
いる。
更に、得ようとする楽音波形が発音開始後、時間の経
過と共に変化するような波形の場合、第2、第3の従来
例ともに、時間経過に従って所望の波形を得るよう各パ
ラメータを設定するのは更に困難である。
本発明の課題は、小さな回路規模で連続的に特性が変
化する自然音を忠実に発音させることが可能で、かつ、
その倍音成分を容易かつ連続的に制御でき、単一正弦波
等の楽音も容易に合成できるようにすることにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、まず、搬送信号を発生する搬送信号発生手
段を有する。同手段は、例えば位相角が1周期の間で時
間経過に対し順次線形に増加する動作を繰り返す搬送波
位相角信号を入力とし、それを一定の関数に従って変換
して搬送信号として出力する手段であり、搬送波位相角
信号をアドレス入力とするROM等によって構成される。
なお、出力される搬送信号の特性については後述する。
次に、変調信号を発生する変調信号発生手段を有す
る。同手段は、例えば前記搬送波位相角信号を入力と
し、それを一定の関数に従って変換して変調信号として
出力する手段であり、搬送波位相角信号をアドレス入力
とするROM等によって構成される。なお、出力される変
調信号の特性については後述する。
また、上記変調信号を前記搬送信号発生手段から発生
される搬送信号に混合する場合の前記変調信号の前記搬
送信号に対する混合率を0から任意の混合率までの間で
制御し、前記搬送信号と前記変調信号とが当該混合率で
混合された混合信号を出力する混合制御手段を有する。
同手段は、例えば前記変調信号発生手段から出力される
変調信号に対して、例えば値が0から1の間で変化し得
る変調指数を乗算する乗算器と、該乗算器の出力信号と
前記搬送信号発生手段から発生される搬送信号を加算
し、混合信号として出力する加算器である。なお、上記
混合率は、前記楽音波形の発音開始以後時間的に変化し
得る。すなわち例えば上記乗算器で乗算される変調指数
は、前記楽音波形の発音開始以後経過する各時間毎に前
記乗算器で乗算させるように動作する。
更に、入力と出力が所定の関数関係を有し前記混合制
御手段から出力される混合信号を入力として変調された
楽音波形を出力する波形出力手段を有し、前記所定の関
数関係は正弦関数、呼弦関数のいずれの関係でもない。
同手段は、例えば前記混合信号を上記所定の関数関係に
従って変換して楽音波形として出力するデコーダであ
る。又は、前記混合信号をアドレス入力とするROM等で
ある。
上記構成と共に、前記所定の関数関係と前記搬送信号
は、前記混合制御手段で前記変調信号の混合率が0にな
るように制御された場合に、前記波形出力手段から発生
される前記楽音波形が正弦波又は余弦波となるような関
係を有する。
また、前記搬送信号発生手段及び前記変調信号発生手
段は、各々任意周期の複数の各波形区間毎に、前記混合
制御手段で前記変調信号の混合率が所定の混合率例えば
1になるように制御された場合に、前記波形出力手段か
ら該対応する波形区間の所望の楽音波形が出力されるよ
うな搬送信号及び変調信号を発生する。
以上の各構成に加え、前記波形出力手段から出力され
る前記楽音波形の振幅包絡特性を時間的に変化させる振
幅包絡制御手段を有する。同手段は、例えば波形出力手
段から出力される楽音波形に対し、楽音波形の発音開始
以後、所定の振幅包絡関数に従って値が例えば0から1
の間で時間的に変化し得る振幅係数を乗算する乗算器で
ある。なお、同手段は、前記波形出力手段の出力の振幅
を正規化して前記所望の楽音波形に一致させるための手
段としてもよい。
〔作用〕
本発明の作用は以下の通りである。
波形出力手段から出力される楽音波形は、基本的には
搬送信号発生手段から出力される搬送信号を所定の関数
関係に従って変換した特性を有し、前記所定の関数関係
は正弦関数、余弦関数のいずれの関係でもなく、更に、
混合制御手段において上記搬送信号に前記変調信号が混
合されることにより、上記楽音波形が上記変調信号で変
調された特性が付加される。
この場合、前記波形出力手段における前記所定の関数
関係と前記搬送信号発生手段からの搬送信号との関係
を、前記混合制御手段で前記変調信号の混合率が0にな
るよう制御された場合に、波形出力手段から発生される
楽音波形が正弦波又は余弦波となるような関係に設定す
る。これにより、前記混合制御手段で予め変調信号の混
合率を0に設定しておけば、正弦波又は余弦波のみから
なる楽音波形を発生させることが可能である。
更に、前記搬送信号発生手段及び前記変調信号発生手
段は、各々任意周期の複数の各波形区間毎に、前記混合
制御手段で前記変調信号の混合率が例えば1になるよう
に制御された場合に、前記波形出力手段から該対応する
波形区間の所望の楽音波形が得られるような搬送信号及
び変調信号を発生する。これにより、前記混合制御手段
で予め変調信号の混合率を例えば1に設定しておけば、
発音開始以後、時間経過と共に特性が連続的に変化する
ような自然楽器の楽音等の所望の楽音波形を得ることが
可能である。この場合、前記波形区間は必ずしも所望の
波形のピッチ周期に同期させて分割する必要はなく、適
当な周期(例えばゼロクロス点毎)で分割すればよいた
め、所望の波形に対応する各変調信号及び搬送信号も容
易に決定することができる。
また、演奏中において、楽音の発音開始直後は例えば
混合率を1に設定し、それ以後の時間経過と共に混合率
を0に近づけることで、所望の楽音波形の状態から単一
正弦波成分又は単一余弦波成分のみを含む状態になるよ
うに、徐々に楽音波形の周波数特性を制御することがで
きる。又は、混合率を連続的に例えば1以上になるよう
に変化させることにより、所望の楽音波形の状態から更
に複雑な倍音構成を有する個性的な楽音が発音されるよ
うに制御することができる。
以上の動作と共に、振幅包絡制御手段によって、波形
出力手段から出力される楽音波形の振幅包絡特性も、時
間的に例えば減衰するように制御することにより、実際
の楽器の楽音の如く、発音開始以後、楽音波形が徐々に
減衰してゆく過程を実現することができる。
〔実施例〕
以下、図面を参照しながら本発明の実施例を説明す
る。
楽音波形発生装置の1実施例の原理説明 第1図は、本発明による楽音波形発生装置の1実施例
の原理構成図である。
まず、波形データROM1からは、時間的に増加するアド
レスデータAdd(t)に従って、周期データF(t)、
位相差M(t)及び各波形区間毎(後述する)に一定な
値の正規化係数K(区間)が互いに同期して読み出され
る。まず、位相差データM(t)〔rad〕は、乗算器4
で変調指数Iと乗算された後、加算器3で周期データF
(t)〔rad〕と加算され、sin波(正弦波)を変調する
ための位相角データF(t)+I・M(t)が得られ
る。同データは、sin波データを記憶しているROMメモリ
であるsin ROM2からsin波を変調して読み出すためのア
ドレス信号として、同ROMに入力する。sin ROM2から読
み出された変調出力D(t)は、乗算器5で前記波形デ
ータROM1から各波形区間毎に読み出される正規化係数K
(区間)と乗算された後、波形出力OUT(t)として出
力される。ここで、sin ROM2に記憶れているsin波の振
幅の絶対値の最大値は1になるように正規化されてい
る。
上記原理構成に基づく第1図の楽音波形発生装置の動
作につき、以下に説明する。
まず、自然楽器等の楽音波形の原波形ORG(t)を、
第2図(a)のように例えば基本波の各周期区間(ピッ
チ周期)毎に波形区間A〜Dに分割する。
そして、各波形区間内で、0〔rad〕以上2π〔rad〕
未満の間で第2図(b)のように時間tの経過と共に順
次線形に増加する位相角データを、第1図の波形データ
ROM1から読み出される周期データF(t)〔rad〕とす
る。今、第1図の変調指数Iを0とし、上記周期データ
F(t)そのものにより、sin ROM2に記憶されているsi
n波を、その位相角を線形に指定して読み出して出力sin
(F(t))を得た場合、第2図(c)のように各波形
区間A〜D毎に0〜2π〔rad〕の位相角に対応する1
周期ずつのsin波が無変調で読み出される。なお、各波
形区間A〜Dは、正確にピッチ周期に対応する必要はな
く、特に打楽器音のように周期性の弱い楽音では、例え
ば適当なゼロクロス点(振幅が0の時点)からゼロクロ
ス点までを1波形区間としてよい。
次に、第1図の波形データROM1から読み出される位相
差データM(t)は、乗算器4で乗算される変調指数I
の値を1として加算器3から出力される第3図(b)に
示される位相角データF(t)+M(t)を用いて、si
n ROM2に記憶されている1周期分のsin波を変調して読
み出した場合に、第3図(a)に示すように波形出力OU
T(t)として振幅の絶対値の最大値が1に正規化され
た1波形区間分の原波形ORG(t)が読み出されるよう
なデータであり、第3図(c)に示される。
また、第1図の波形データROM1から読み出される各波
形区間毎の正規化係数K(区間)は、前記したように第
1図のsin ROM2に記憶されているsin波の振幅の絶対値
の最大値が1に正規化されているため、波形区間毎に最
終的な原波形ORG(t)の振幅に戻すための係数であ
る。
以上の関係より、 OUT(t)=K(区間)・sin(F(t)+I・M (t)) ・・(1) ORG(t)=K(区間)・sin(F(t)+M(t)) ・・(2) の関係があることがわかる。これらの関係からわかるよ
うに、各波形区間毎に、変調指数Iの値を1としたとき
に波形出力OUT(t)として所望の原波形ORG(t)を得
たい場合には、その波形区間の原波形ORG(t)に対応
する周期データF(t)、位相差データM(t)及び正
規化係数K(区間)を求める必要がある。その求め方を
第2図の原波形ORG(t)の波形区間Aの場合を例にと
って説明する。
まず、周期データF(t)の導出法については、第2
図(b)で既に説明した。
次に、第2図(a)の波形区間Aで、原波形ORG
(t)の振幅の絶対値の最大値を正規化係数K(区間
A)とする。そして、同区間の原波形ORG(t)の各振
幅値を上記正規化係数K(区間)で除算することによ
り、第3図(a)のように振幅が±1以内になるように
正規化する。なお、第3図(a)では、正負の絶対値の
最大値が共に1となっているが、どちらか一方のみ最大
値が1となり他方は1以下となってもかまわない。
次に、このようにして得られる正規化された原波形OR
G(t)を用いて、以下の〜の処理によって位相差
データM(t)を求める(なお、第4図を参照)。
まず、正規化された原波形ORG(t)の波形区間A内
の任意の時間txにつき、その時間txに対応する正規化さ
れた原波形ORG(t)の振幅Axを求める(第4図
(a))。
振幅の絶対値の最大値が1であるsin波上で、上記
で求まった振幅Axと等しい位置の位相角pxを求める(第
4図(b))この場合、原波形ORG(t)内の時間tx
位置と、sin波内の位相角pxの位置は、概略同じ関係に
なるように求める。すなわち、例えば時間txが波形区間
Aの先頭から1/4程度以内の位置にあれば、位相角も先
頭から1/4程度以内の0〜π/2付近で決定するようにす
る。
上記で求まる位相角pxと、予め求めてある波形区間
Aの周期データF(t)を用いて、 px−F(tx) として時間txに対応する位相差データM(tx)を求める
(第4図(c))。
時間txを波形区間A内の全域で変化させて上記〜
の処理を繰り返し、波形区間Aの各時間tに対応する位
相差データM(t)を求める。
以上〜処理を第2図(a)の原波形ORG(t)の
各波形区間A〜D毎に繰り返し、各波形区間毎に求まる
周期データF(t)、位相差データM(t)及び正規化
係数K(区間)を第1図の波形データROM1に格納する。
上記各データと共に、第1図の乗算器4で乗算される
変調指数Iの値を1として、前記変調動作を行うことに
より、第1図の波形出力OUT(t)として第2図(a)
の原波形ORG(t)を得ることができる。
次に、第1図において、乗算器4で乗算される変調指
数Iの値を変化させることにより、様々に変調された波
形出力OUT(t)を得ることができる。
まず、変調指数I=0とすれば、第2図(c)に既に
示したように各波形区間内で無変調のsin波を得ること
ができる。
また、変調指数Iの値を1.0、1.5、2.0と変化させる
ことにより、第1図のsin ROM2からの変調出力D(t)
として、第5図(a)、(b)、(c)のように順次深
く変調された波形を得ることができる。
以上のようにして、変調指数Iの値を変化させること
により、原波形を中心としてsin波から深く変調された
波形まで様々な変調波形を得られる。
また、変調指数Iを発音開始から消音までの間で連続
的に変化させることにより、例えば変調が深くかかった
状態から、楽音の減衰と共にsin波に変化するような波
形出力OUT(t)を得ることも可能となる。
楽音波形発生装置の1実施例の具体的構成の説明 次に、第6図は、上記楽音波形発生装置の1実施例の
具体的構成図である。同図で、第1図の原理構成と同じ
番号を付した部分は第1図の同じ機能を有する。なお、
第1図の波形データROM1は、第6図においてFM ROM11
K ROM12の2つのROMから構成される。
第6図において、FM ROM11から周期データF(t)呼
び位相差データM(t)を読み出すためのアドレスデー
タADD#1は、加算器7、セレクタ8及びラッチ9から
なる累算部において、先頭アドレスaを初期値として、
ラッチ6にラッチされた音高データdのアドレス間隔
で、ラッチ9に入力するクロックCLK#1の立ち上がり
に同期して順次累算される。この場合、先頭アドレスa
は特には図示しない制御部から出力され、スタートパル
スSTRTがハイレベルの間にセレクタ8で選択されて累算
値の初期値としてラッチ9に与えられる。スタートパル
スSTRTがローレベルなら加算器7の出力を選択して累算
動作を実行する。また、音高データdは特には図示しな
い制御部から出力され、スタートパルスSTRTの立ち上が
りに同期してラッチ6にラッチされる。
FM ROM11から出力される位相差データM(t)は、乗
算器4においてラッチ16にラッチされた変調指数Iと乗
算され、加算器3においてFM ROM11から出力された周期
データF(t)と加算される。このこれにより得られた
位相角データF(t)+I・M(t)は、sin ROM2の読
み出しアドレスとして同ROMに入力する。なお、変調指
数Iは特には図示しない制御部から出力され、スタート
パルスSTRTの立ち上がりに同期してラッチ16にラッチさ
れる。
これにより、sin ROM2から乗算器5に変調出力D
(t)が出力される。
一方、FM ROM11から出力される区間識別データIBは、
クロックCLK#1をインバータ11で反転して得たクロッ
クの立ち上がりに同期して動作するDフリップフロップ
(F/F、以下同じ)10に入力すると共に、排他論理和回
路(EOR、以下同じ)12の第1の入力に入力する。ま
た、EOR12の第2の入力には上記F/F10の正論理出力Qが
入力する。上記回路構成により、FM ROM11から順次出力
される区間識別データIBの値に変化があった場合に、EO
R12の出力が論理「1」となる。
K ROM12へのアドレス入力となるアドレスデータADD#
2は、加算器13、セレクタ14及びラッチ15からなる累算
部において、先頭アドレスbを初期値として上記EOR12
の出力が論理「1」となる毎に1アドレスずつ順次累算
される。なお、先頭アドレスbは特には図示しない制御
部から出力され、スタートパルスSTRTがハイレベルの間
にセレクタ14で選択されて累算値の初期値としてラッチ
15に与えられる。スタートパルスSTRTがローレベルなら
加算器13の出力を選択して累算動作を実行する。
これにより、K ROM12にアドレスデータADD#2が与え
られ、K ROM12から乗算器5には正規化係数K(区間)
が出力される。
乗算器5では、sin ROM2から出力された変調出力D
(t)に上記正規化係数K(区間)が乗算され、この乗
算結果は、更に乗算器18においてエンベロープジェネレ
ータ17から発生されるエンベロープ値と乗算される。
そしてこの乗算結果が、クロックCLK#1をインバー
タ20で反転したクロックの立ち上がりに同期してラッチ
19にラッチされ、波形出力OUT(t)として出力され
る。
以上の構成において、クロックCLK#1、CLK#2及び
スタートパルスSTRTは、特には図示しない制御部から出
力される。
次に、第6図のFM ROM11に記憶されるデータの構成を
第7図に示す。
同図において、発音開始から消音までの1組の波形デ
ータは、先頭アドレスaから順に記憶されており、1ア
ドレスには1つの周期データF(t)、1つの位相差デ
ータM(t)及び1ビットの区間識別データIBが組で記
憶される。この場合、アドレスが進むにつれて、第2図
(a)の各波形区間A、B、C、D、・・・の各サンプ
リング点のデータが記憶されている。また、波形区間が
A、B、C、D、・・・と変化するに従って、区間識別
データIBの各アドレスの値が、区間Aでは「0」、区間
Bでは「1」、区間Cでは「0」、区間Dでは「1」、
・・・というように区間単位で交互に変化する。この区
間識別データIBは、後述するように区間の境界を識別し
てK ROM12において指定されるアドレスを更新するため
のデータである。
次に、第6図のK ROM12に記憶されるデータの構成を
第8図に示す。
同図において、発音開始から消音までの各波形区間
A、B、C、D、・・・に対応して、先頭アドレスbか
ら順に正規化係数K(区間)が1つずつ記憶されてい
る。
以上の構成の実施例の動作を、第9図の動作タイミン
グチャートに従って説明する。以下、特に言及しない限
り第6図を参照するものとする。
発音開始時には、特には図示しない制御部(以下、単
に制御部と呼ぶ)から出力されるスタートパルスSTRT
が、第9図のt1のタイミングで論理「1」(以下、単に
「1」と呼ぶ。論理「0」についても同様。)に立ち上
がり、その直後にクロックCLK#1が「1」になるt2の
タイミングから発音動作を開始する。この場合、クロッ
クCLK#1の周期が楽音発生のサンプリング周期に対応
し、また、制御部から発生するクロックCLK#2は、ク
ロックCLK#1と同一周期を有し、同クロックから1/4周
期分遅れたクロックである。以下の動作は、上記2つの
クロックCLK#1及びCLK#2に従って制御される。ま
た、スタートパルスSTRTは、発音開始時においてクロッ
クCLK#1が「0」に立ち下がってから次に「0」に立
ち下がるまでの1周期分の間「1」を維持し、その後は
次の発音開始まで「0」を維持する。
まず、制御部からのスタートパルスSTRTが、第9図
(a)のように論理「1」に立ち上がるタイミングt1
で、制御部からの音高データdが同図(c)のようにラ
ッチ6にラッチされる。
続いて、スタートパルスSTRTが「1」のタイミングt1
〜t4の間は、セレクタ8が制御部からの先頭アドレスa
を選択し、この先頭アドレスaはクロックCLK#1が
「1」に立ち上がるタイミングt2でラッチ9にラッチさ
れ、第9図(d)のようにアドレスデータADD#1の初
期値が定まる。
これにより、t2からわずかな遅延時間の後、FM ROM11
の先頭アドレスaの周期データF(t)、位相差データ
M(t)及び区間識別データIB(第7図参照)が第9図
(e)、(k)及び(l)のように読み出される。以
後、ラッチ9の出力のアドレスデータADD#1は加算器
7にフィードバックされ、ラッチ6にセットされている
音高データdが順次累算されてゆく。この場合、上記累
算値は、クロックCLK#1が「1」に立ち上がる第9図
(d)の各タイミングt5、t8、t11、t14、t17等におい
て、セレクタ8を介して順次ラッチ9にラッチされて新
たなアドレスデータADD#1として指定され、FM ROM11
上の対応するアドレスの周期データF(t)、位相差デ
ータM(t)及び区間識別データIB(第7図参照)が第
9図(e)、(k)及び(l)のように読み出される。
なお、スタートパルスSTRTは、t4において「0」に立ち
下がるため、セレクタ8はt4以降は加算器7の出力を選
択する。
この場合、楽音の発音開始の指示は、特には図示しな
い例えば鍵盤部の何れかの鍵を演奏者が押鍵することに
より行われ、そのとき押鍵された鍵が高音側の鍵であれ
ば、制御部からラッチ6には大きな値の音高データdが
ラッチされる。これにより、FM ROM11上で読み飛ばされ
るアドレス幅が大きくなり、高いピッチ周期の波形出力
OUT(t)が得られる。逆に、例えば最低音鍵が押鍵さ
れた場合は、音高データdとして値1がラッチされ、こ
れによりFM ROM11上では1アドレスずつ各データが読み
出され、最低ピッチ周期の波形出力OUT(t)が得られ
る。
以上のようにしてFM ROM11から読み出される各データ
のうち、位相差データM(t)は乗算器4に入力する。
今、スタートパルスSTRTが「1」に立ち上がるt1におい
て、制御部からラッチ16に変調指数Iがセットされてい
る。従って、乗算器4では、位相差データM(t)に上
記変調指数Iが乗算される。この出力は加算器3に入力
し、ここでFM ROM11から出力された周期データF(t)
と加算され、位相角データF(t)+I・M(t)が得
られる。
上記位相角データF(t)+I・M(t)によりsin
ROM2がアクセスされ、前記周期データF(t)及び位相
差データM(t)の出力(第9図(k)、(l)の各タ
イミングt2、t5、t8、t11、t14、t17等の直後)からわ
ずかな遅延の後、sin ROM2から第9図(n)のようにし
て変調出力D(t)が出力される。
一方、スタートパルスSTRTが「1」のタイミングt1〜
t4の間で、セレクタ14が制御部からの先頭アドレスbを
選択し、この先頭アドレスbはクロックCLK#2が
「1」に立ち上がるタイミングt3でラッチ15にラッチさ
れ、第9図(i)のようにアドレスデータADD#2の初
期値が定まる。
これにより、t3からわずかな遅延時間の後、K ROM12
の先頭アドレスbの正規化係数K(区間A)が第9図
(j)のように読み出される。以後、ラッチ15の出力の
アドレスデータADD#2は加算器13にフィードバックさ
れ、EOR12の論理出力値「0」又は「1」が順次累算さ
れてゆく。この場合上記累算値は、クロックCLK#2が
「1」に立ち上がる第9図(i)の各タイミングt6、t
9、t10、t12、t15、t18等において、セレクタ14を介し
て順次ラッチ15にラッチされ、新たなアドレスデータAD
D#2として指定され、K ROM12上の対応するアドレスの
正規化係数K(区間)が第9図(j)のように読み出さ
れる。なお、スタートパルスSTRTは、t4において「0」
に立ち下がるため、セレクタ14はt4以降は加算器13の出
力を選択する。
上記動作と並行して、クロックCLK#1が「1」に立
ち上がる第9図(b)の各タイミングt2、t5、t8、t1
1、t14、t17等からわずかな遅延の後に、第9図(e)
のようにFM ROM11から区間識別データIBが順次出力され
る。このデータは、クロックCLK#1が「0」に立ち下
がる第9図(b)の各タイミングt4、t7、t10、t13、t1
6、t19等において、F/F10にセットされてその正論理出
力Qが第9図(f)のように順次定まる。そして、この
正論理出力Qと前記FM ROM11からの区間識別データIBと
の排他論理和がEOR12で演算される。
ここで、FM ROM11から出力される区間識別データIB
は、第7図に示したように各波形区間単位で「0」又は
「1」が交互に記憶されているので、波形区間がAから
B、BからC、CからD等に変化する毎に「0」から
「1」、「1」から「0」、「0」から「1」というよ
うに変化する。従って、上記波形区間が変化する時点の
みEOR12の出力は「1」となり、他のタイミングでは
「0」となる。第9図の例では、波形区間AからBに変
化するt14の直後からt16のクロックCLK#1が「1」の
間のみ、EOR12の出力が「1」となる。これより、上記
タイミング内のみ、加算器13でラッチ15からのアドレス
データADD#2の値bに1が累算され、この累算値b+
1はクロックCLK#2が「1」に立ち上がる第9図
(h)のタイミングt15においてラッチ15に新たなアド
レスデータADD#2としてラッチされる。従って、クロ
ックCLK#2が「1」に立ち上がるタイミングt15以降
は、この新たなアドレスデータADD#2の値b+1に基
づくK ROM12上の正規化係数K(区間B)が第9図
(j)のように読み出される。
一方、EOR12の出力が「0」である他のタイミングで
は、加算器13では累算動作は行われないため、ラッチ15
には1タイミング前と同様のアドレスデータADD#2が
ラッチされる。従って、第9図(h)のタイミングt6、
t9、t12、t18等においては、1タイミング前と同様の正
規化係数K(区間)がK ROM12から第9図(j)のよう
に読み出される。
このように、FM ROM11からの波形区間Aの周期データ
F(t)及び位相差データM(t)に基づく変調出力D
(t)がsin ROM2から読み出されているタイミングで
は、K ROM12から波形区間Aに対応する正規化係数K
(区間A)が読み出され、同様に波形区間BではK ROM1
2から波形区間Bに対応する正規化係数K(区間B)が
読み出されるというように、各波形区間の変調出力D
(t)が出力されるのに対応して、その波形区間の正規
化係数K(区間)がK ROM12から読み出される。
以上のようにして、第9図(b)のクロックCLK#1
が「1」に立ち上がる各タイミングt2、t5、t8、t11、t
14、t17等から若干の遅延の後に、sin ROM2から第9図
(n)のように変調出力D(t)が出力され、これと並
行して、第9図(h)のクロックCLK#2が「1」に立
ち上がる各タイミングt3、t6、t9、t12、t15、t18等か
らわずかな遅延の後に、K ROM12から第9図(j)のよ
うに正規化係数K(区間)が出力される。そして、これ
ら各タイミングの変調出力D(t)及び正規化係数K
(区間)は、乗算器5で乗算された後、更に、乗算器18
でエンベロープジェネレータ17からのエンベロープデー
タと乗算され、第9図(b)のクロックCLK#1が
「0」に立ち下がる各タイミングt4、t7、t10、t13、t1
6、t19等において、第9図(o)のようにラッチ19にラ
ッチされ、各タイミング毎の波形出力OUT(t)が定ま
る。ここで、エンベロープジェネレータ17及び乗算器18
は、第1図では示さなかったが、波形出力OUT(t)に
原波形以外のエンベロープを付加したい場合に動作させ
ればよく、必ずしも必要なものではない。
以上に示した動作により、第6図の実施例において、
第2図〜第5図に示した第1図の楽音波形発生装置と同
様の動作を実現することができる。
楽音波形発生装置の一実施例の具体的構成における他の
態様 上記第6図では、第1図の波形データROM1に対応する
ものを、FM ROM11とK ROM12の2つのROMで構成したが、
多少アドレス指定が複雑になるのを許容できれは1つの
ROMで構成するようにしてもよい。
また、FM ROM11において、周期データF(t)は第7
図に示したように各サンプリング点毎の値を記憶するよ
うにしたが、1つの波形区間内では周期データF(t)
は第2図(b)のように各波形区間幅で位相角が0から
2π〔rad〕まで変化する直線特性であるため、演算時
間に余裕があれば、各サンプリング点毎に周期データF
(t)を演算して出力することにより、記憶容量を節約
することができる。
なお、第6図においては、1楽音分の波形出力OUT
(t)を得るものとして実現したが、各部を時分割動作
させることにより、複数の楽音波形を並列して出力させ
ることも可能である。
楽音波形発生装置の一実施例の原理構成の他の態様 第1図の楽音波形発生装置の1実施例の原理構成で
は、変調指数I=0の場合には前記(1)式より、 OUT(t)=K(区間)・sin(F(t)) ・・(3) となり、周期データF(t)は第2図(b)に示したよ
うに各波形区間内で線形に増加するデータで、また、正
規化係数K(区間)は各波形区間内で一定であるため、
波形出力OUT(t)としてsin波が得られた。また、変調
指数I=1の場合は前記(2)式のように、 ORG(t)=K(区間)・sin(F(t)+M(t))・
・(2) として原波形ORG(t)が得られた。そして、変調指数
Iの値を0から1の間で変化させることにより、sin波
から原波形までの間で波形を連続的に変化させることが
できる。また、変調指数Iの値を1以上にすれば更に原
波形から更に変調された波形まで連続的に変化させるこ
とができる。
このように、本実施例では、各波形区間で線形に変化
する周期データF(t)と、そのデータからの差分デー
タである位相差データM(t)とによって、少なくとも
sin波と原波形を出力できることを特徴とする。従っ
て、I=0のときにsin波を出力でき、I=1のときに
原波形を出力できれば、前記(1)、(2)式等に拘泥
する必要はなく、 OUT(t)=K(区間)・f(g(F(t)+I・M (t)) ・・・(4) の関係にある演算を実現する実施例であればどのような
ものでもよい。
例えば上記(4)式で、入力をαとしてfを、 f(α)=(2/π)α ・・(0≦α≦π/2) f(α)=−1+(2/π)(3π/2−α) ・・(π/2≦α≦3π/2) f(α)=−1+(2/π)(α−3π/2) ・・(3π/2≦α≦2π) ・・・(5) を満たす三角波関数として定義し、また、入力をβとし
てgを、 g(β)=(π/2)sinβ ・・(0≦β≦π/2) g(β)=π−(π/2)sinβ ・・(π/2≦β≦3π/2) g(β)=2π+(π/2)sinβ ・・(3π/2≦β≦2π) ・・・(6) を満たす関数として定義すれば、変調指数Iの値が0す
なわち無変調の場合に、上記(5)、(6)式を前記
(4)式に代入することにより、 f(g(β))=K(区間)・f((π/2)sinβ) =K(区間)・(2/π)(π/2)sinβ =K(区間)・sinβ ・・(0≦β≦π/2) f(g(β))=K(区間)・f((π−(π/2) ・sinβ)) =K(区間)・(−1+(2/π)(3π/2−π +(π/2)sinβ)) =K(区間)・sinβ ・・(π/2≦β≦3π/2) f(g(β))=K(区間)・f(2π+(π/2) ・sinβ) =K(区間)・(−1+(2/π)(2π+ +(π/2)sinβ−3π/2)) =K(区間)・sinβ ・・(3π/2≦β≦2π) ・・・(7) となる。すなわち、無変調時には単一sin波が出力され
る。
また、前記(5)、(6)式を前記(4)式に代入
し、変調指数I=1としたときに原波形ORG(t)が得
られるようにするためには、前記第4図(b)のsin波
を前記(5)式で定義される三角波に置き換え、また、
同図(c)の周期データF(t)を前記(6)式で定義
される関数g(t)に置き換えて、当該g(t)からの
差分データとして位相差データM(t)を決定すればよ
い。
この場合、第1図のsin ROM2に対応する三角波を生成
する手段としては、ROMの他にデコーダ回路等によって
三角波を生成することも可能である。
上記態様の他にも、前記(4)式を満たす関数f、g
として様々な関数の組合わせを定義できる。
〔発明の効果〕
本発明によれば、混合制御手段で予め変調信号の混合
率を0に設定しておけば、正弦波又は余弦波のみからな
る楽音波形を発生でき、混合制御手段で予め変調信号の
混合率を所定の混合率(例えば1)に設定しておけば、
自然楽器の音楽等の所望の楽音波形を得ることが可能で
ある。
従って、演奏中において、楽音の発音開始直後は例え
ば混合率を1に設定し、それ以後の時間経過と共に混合
率を0に近づけることで、所望の楽音波形の状態から単
一正弦波成分又は単一余弦波成分のみを含む状態になる
ように、徐々に楽音波形の周波数特性を制御することが
できる。又は、混合率を連続的に例えば1以上になるよ
うに変化させることにより、所望の楽音波形の状態から
更に雑な倍音構成を有する個性的な楽音が発音されるよ
うに制御することができる。
この場合特に、前記波形区間は必ずしも所望の波形の
ピッチ周期に同期させて分割する必要はなく、適当な周
期(例えばゼロクロス点毎)で分割すればよいため、所
望の波形に対応する各変調信号及び搬送信号も容易に決
定することができる。
上記動作と共に、振幅包絡制御手段によって、波形出
力手段から出力される楽音波形の振幅包絡特性も、時間
的に例えば減衰するように制御することにより、実際の
楽器の楽音の如く、発音開始以後、楽音波形が徐々に減
衰してゆく過程を実現することができる。
以上のように、本発明は、自然音の楽音を発音する状
態と単一正弦波成分又は単一余弦波成分のみを含む状態
の両者を容易に生成することができ、かつ、様々な倍音
特性を生成することができる。しかも、それを実現する
ための構成として、通常のROM、デコーダ、加算器、乗
算器等の組み合わせのみで実現できるため、複雑な楽音
波形を簡単な回路構成で実現することが可能となり、結
果として、質のよい電子楽器等を低コストで提供するこ
とが可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明による楽音波形発生装置の1実施例の
原理構成図、 第2図は、ORG(t)とF(t)の関係を示した図、 第3図は、ORG(t)とF(t)とM(t)の関係を示
した図、 第4図は、M(t)の求め方を示した図、 第5図は、Iを変化させたときのD(t)とF(t)と
M(t)の関係を示した図、 第6図は、楽音波形発生装置の1実施例の具体的構成
図、 第7図は、FM ROMのデータ構成図、 第8図は、K ROMのデータ構成図、 第9図は、楽音波形発生装置の1実施例の具体的構成の
動作タイミングチャートである。 1……波形データROM、 2……sin ROM、 3……加算器、 4、5……乗算器、 Add(t)……アドレスデータ、 F(t)……周期データ、 M(t)……位相差データ、 I……変調指数、 F(t)+I・M(t)……位相角データ、 K(区間)……正規化係数、 D(t)……変調出力、 OUT(t)……波形出力。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】搬送信号を発生する搬送信号発生手段と、 変調信号を発生する変調信号発生手段と、 該変調信号を前記搬送信号発生手段から発生される搬送
    信号に混合する場合の前記変調信号の前記搬送信号に対
    する混合率を0から任意の混合率までの間で制御し、前
    記搬送信号と前記変調信号とが当該混合率で混合された
    混合信号を出力する混合制御手段と、 入力と出力が所定の関数関係を有し前記混合制御手段か
    ら出力される混合信号を入力として変調された楽音波形
    を出力する波形出力手段と、 を有し、 前記波形出力手段における前記所定の関数関係は正弦関
    数、余弦関数のいずれの関係でもなく、かつ、前記所定
    の関数関係と前記搬送信号は、前記混合制御手段で前記
    変調信号の混合率が0になるように制御された場合に、
    前記波形出力手段から発生される前記楽音波形が正弦波
    又は余弦波となるような関係を有し、 前記搬送信号発生手段及び前記変調信号発生手段は、各
    々任意周期の複数の各波形区間毎に、前記混合制御手段
    で前記変調信号の混合率が所定の混合率になるように制
    御された場合に、前記波形出力手段から該対応する波形
    区間の所望の楽音波形が出力されるような搬送信号及び
    変調信号を発生する、 ことを特徴とする楽音波形発生装置。
  2. 【請求項2】前記波形出力手段から出力される前記楽音
    波形の振幅包絡特性を時間的に変化させる振幅包絡制御
    手段を有することを特徴とする請求項1記載の楽音波形
    発生装置。
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