JP2595637Y2

JP2595637Y2 - パンティストッキング

Info

Publication number: JP2595637Y2
Application number: JP1992079644U
Authority: JP
Inventors: 義雄林; 正和横濱
Original assignee: 鐘紡株式会社
Priority date: 1992-11-18
Filing date: 1992-11-18
Publication date: 1999-05-31
Anticipated expiration: 2007-11-18
Also published as: JPH0642904U

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、通気性，吸汗性およ
びヒップアップ効果に優れたパンティストッキングに関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】最近、「足を細く見せる」とか「丈夫」
等のキャッチフレーズでサポートタイプのパンティスト
ッキングが広く出回っている。上記サポートタイプのパ
ンティストッキングは、ポリウレタン弾性糸を芯糸とし
これにナイロン糸をカバリングしたカバリング糸等、特
殊な原糸を用いたり、編み方を工夫したりして、従来の
ウーリーナイロンを原糸とするパンティストッキングよ
りも足に対する締め付け力を強くしたものである。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上記カ
バリング糸は従来の糸よりも太く、また締めつけ力を強
めるために編み目を従来より密に形成することが多いた
め、上記サポートタイプのパンティストッキングは、従
来のものよりもむれやすいという問題点がある。そこ
で、最近、パンティストッキング全体もしくはパンティ
部１（図４参照）に限定して、ナイロン糸と綿糸とを引
き揃えるか甘撚してなる綿ナイロンを編み込んだものが
出回っているが、このようなパンティストッキングは、
ナイロン糸よりも高価な綿糸をふんだんに使用している
ため、通常のパンティストッキングよりも製造費用が高
くつくという問題がある。また、綿糸には伸縮性がない
ため、綿ナイロンを編み込んだ部分の伸縮性が乏しくな
り、臀部が偏平になったり脚のサポート力が低下したり
するという不都合を生じる。そこで、綿ナイロンを編み
込む場合には、パンティ部１の前後で編み方を変えたり
足被覆部２（図４参照）において編み目を調整すること
も行われているが、設計に手間を要するだけでなく、股
上部縫製時のマーク合わせが難しくなるという問題が派
生する。

【０００４】一方、むれを防止するために、図４に示す
ように、パンティストッキングのマチ部１１に、内側か
ら綿生地を当てることも行われている。しかしながら、
機械では上記綿生地をマチ部１１に縫い付けることがで
きないため、新たに手縫い工程が増加して人手と所要時
間が余分にかかるという問題がある。このように、従来
の技術では、作業効率とコスト高をある程度犠牲にしな
ければ通気性に優れた実用的なパンティストッキングを
提供することができないのであり、その改良が強く望ま
れていた。

【０００５】この考案は、このような事情に鑑みなされ
たもので、通気性および伸縮性に優れ、しかもヒップア
ップ効果の高いパンティストッキングを安価に提供する
ことをその目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、この考案のパンティストッキングは、腹部，臀部お
よび股部から左右の太もも部に連なる部分を被覆するパ
ンティ部と、左右の太もも部から下の部分を被覆する足
被覆部とを備えたパンティストッキングであって、上記
パンティ部下部の、左右の太もも部に連なる帯状領域
が、ウレタン糸をナイロン糸でシングルカバリングした
カバリング糸の周囲に、綿糸とナイロン糸とを引き揃え
た糸をリラックスした状態で巻回してなる複合糸で編成
されているという構成をとる。

【０００７】

【作用】すなわち、この考案のパンティストッキング
は、従来からむれやすかったパンティ部の、特に汗ばみ
やすい足の付け根部分に相当する帯状領域にのみ、特殊
な綿入り複合糸を編み込んだものである。したがって、
このパンティストッキングによれば、足の付け根部分に
相当する部分において、上記帯状領域に編み込まれた綿
糸が通気性および吸汗性を発揮するため、清潔で快適な
着用感を有する。しかも、上記帯状領域を構成する複合
糸は、ウレタン糸をナイロン糸でシングルカバリングし
たカバリング糸の周囲に、綿糸とナイロン糸とを引き揃
えた糸をリラックスした状態で巻回した特殊なものであ
るため、ある程度伸縮性を有し、足の動きに追従しやす
い。また、上記帯状領域は他の部分よりも圧縮性が高い
ため、臀部を下から上に持ち上げる作用を有し、ヒップ
アップ効果に優れるという利点を有する。しかも、上記
特殊な複合糸は、糸の滑りおよび集束性を考慮した構造
になっているため、外側に、滑りの悪い綿糸を含んだ糸
が、緊密ではなくリラックスした状態で巻回されている
にもかかわらず、良好に編み立てることができるという
利点を有する。

【０００８】つぎに、この考案を実施例にもとづいて詳
細に説明する。

【０００９】

【実施例】図１はこの考案の一実施例の平面図を示して
いる。このパンティストッキングは、通常のパンティス
トッキングと同様、腹部，臀部および股部から左右の太
もも部に連なる部分を被覆するパンティ部１と、左右の
太もも部から下の部分を被覆する足被覆部２とを備えて
いるが、上記パンティ部１のうち、下部の、左右の太も
も部に連なる帯状領域Ａが、特殊な複合糸で編成されて
いる。

【００１０】すなわち、上記帯状領域Ａは、パンティ部
１の下端縁１ａから上方向に、幅Ｗ＝４．５cmで形成さ
れており、着用時に、左右の足の付け根部分および股部
を環状に覆うようになっている。そして、この部分は、
図２に示す特殊な複合糸３を１×１メッシュ編みして形
成されている。この複合糸３は、１４０番手の綿糸４と
７ｄのナイロン糸５とを引き揃えた糸６と、芯糸である
２０ｄのウレタン糸７の周囲に１５ｄのナイロン糸８を
シングルカバリングしたカバリング糸９とで形成されて
おり、上記カバリング糸９の周囲に、上記引き揃え糸６
が、リラックスした状態で巻回されている。なお、引き
揃え糸６がリラックス状態になっているのは、綿糸４に
負荷をかけると綿糸４を構成する短繊維が抜けるおそれ
があることと、ウレタンカバリング糸９の伸縮性を殺さ
ないよう考慮したものである。

【００１１】一方、パンティ部１の、上記帯状領域Ａ以
外の部分は、４コース中、３０ｄのポリウレタン弾性糸
を芯糸としこれに３０ｄのナイロン糸をカバリングした
シングルカバリング糸で１コースを編成し、つぎの３コ
ースを４０ｄ／１０ｆのナイロン加工糸で編成した平編
によって形成されている。したがって、この部分におい
ては、通常のパンティストッキングのパンティ部と同
様、一定の保温性と補強性が確保されており、おなかを
冷えにくくし、腹部および臀部にある程度締め付け力を
与えることができる。

【００１２】また、足被覆部２は、２０ｄのポリウレタ
ン弾性糸を芯糸としこれに１３ｄ／３ｆのナイロン糸を
カバリングしたシングルカバリング糸と、１３ｄ／３ｆ
の未加工ナイロン糸を１コースごとに交互に用いた平編
によって形成されており、通常のパンティストッキング
と同様、透明感ある外観と足に対する一定の締め付け力
を備えている。

【００１３】なお、上記パンティストッキングは、染色
後の後加工工程において、全体に吸汗・制電加工が施さ
れている。

【００１４】したがって、このパンティストッキングを
着用すると、図３（ａ）および（ｂ）に示すように、左
右の足の付け根部分が、綿糸４入りの特殊な複合糸３で
編成された帯状領域Ａで覆われるため、この部分の通気
性および吸汗性が良好となる。このため、足の付け根部
分がむれにくく、夏期の着用や暖房のきいた室内での長
期着用、あるいは長時間のデスクワーク等が苦にならな
い。しかも、上記帯状領域Ａを構成する複合糸３は、ウ
レタンカバリング糸９の伸縮性が損なわれないよう、引
き揃え糸６がリラックスした状態でその周囲に巻回され
ているため、一定の伸縮性が確保されており、足の動き
に追従しやすい。さらに、上記帯状領域Ａにおける綿糸
４とウレタンカバリング糸９との組み合わせによって、
この帯状領域Ａには他の部分よりも強い圧縮性が備わっ
ているため、この部分が下から臀部を持ち上げる作用を
果たし、ヒップアップ効果が高い。そして、帯状領域Ａ
にのみ綿糸４を使用するので、原料コストがさほど高く
ならず、しかも通常の編み立て機で通常のパンティスト
ッキングと同様にして製造することができるため、余分
な工程を付加する必要がなく、製造に手間がかからない
という利点を有する。

【００１５】なお、上記実施例では、帯状領域Ａの幅を
４．５cmに設定しているが、必ずしもこの値に設定する
必要はない。ただし、幅Ｗが３．５cmよりも狭いと足の
付根に対するむれ防止効果が低く、逆に７cmよりも広い
と、ヒップラインが不自然になって適正なヒップアップ
効果が得られにくい。このため、３．５〜７．０cmの範
囲内に設定することが好適である。

【００１６】また、上記実施例では、足の付け根の帯状
領域Ａのみを特殊な複合糸３で編成したが、トウ部１０
（図１参照）についても、この複合糸３を用いて通気性
および吸汗性を持たせるようにしてもよい。

【００１７】ただし、この考案では、複合糸３におい
て、綿糸４をナイロン糸５と引き揃えて用いなければな
らない。すなわち、綿糸４のみを使用すると、糸の滑り
が悪いため、複合糸３の製造時、編み立て時の操業性が
悪くなるからである。

【００１８】また、この考案では、上記複合糸３の芯糸
として、ウレタン糸７にナイロン糸８をシングルカバリ
ングしたものを用いなければならない。すなわち、芯糸
として、カバリングしないウレタン糸７を用いると、そ
の周囲に、上記綿糸４とナイロン糸５とを引き揃えた糸
をリラックスした状態で巻回して得られる複合糸３の集
束性が悪くなり、やはり編み立て時の操業性が悪くなる
からである。

【００１９】さらに、上記実施例では、帯状領域Ａを、
複合糸３のみで編成しているが、複合糸３と他のナイロ
ン糸等とを、例えば一コースごとに交編する等、適宜組
み合わせるようにしてもよい。もちろん、編み目も、１
×１メッシュ編み以外の編み方で形成するようにしても
よい。

【００２０】

【考案の効果】以上のように、この考案のパンティスト
ッキングは、足の付け根部分に相当する帯状領域に、特
殊な綿入り複合糸が編み込まれている。したがって、こ
の考案のパンティストッキングを用いると、足の付け根
部分に相当する部分において、上記帯状領域に編み込ま
れた綿糸が通気性および吸汗性を発揮するため、清潔で
快適な着用感を有する。しかも、上記帯状領域を構成す
る複合糸は、ウレタン糸をナイロン糸でシングルカバリ
ングしたカバリング糸の周囲に、綿糸とナイロン糸とを
引き揃えた糸をリラックスした状態で巻回した特殊なも
のであるため、ある程度伸縮性を有し、足の動きに追従
しやすい。また、上記帯状領域は他の部分よりも圧縮性
が高いため、臀部を下から上に持ち上げる作用を有し、
ヒップアップ効果に優れるという利点を有する。しか
も、上記特殊な複合糸は、糸の滑りおよび集束性を考慮
した構造になっているため、外側に、滑りの悪い綿糸を
含んだ糸が、緊密ではなくリラックスした状態で巻回さ
れているにもかかわらず、良好に編み立てることができ
るという利点を有する。また、綿糸の使用面積がごく限
られているため、コストが比較的割安になるとともに、
前後で編み方を変えたり、マチの管理や手縫い工程をし
なくてもよく、通常の製造コストで得ることができると
いう利点を有する。そして、この製品は、股部が、綿糸
を編み込んだ帯状領域で構成されるため、下着を着けず
に着用しても違和感がない。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例を示す平面図である。

【図２】上記実施例に用いる複合糸の説明図である。

【図３】（ａ）は上記実施例を実際に着用した状態を前
からみた部分的な斜視図、（ｂ）は同じく後ろからみた
部分的な斜視図である。

【図４】従来のパンティストッキングを示す平面図であ
る。

【符号の説明】

１パンティ部２足被覆部３複合糸４綿糸７ウレタン糸８ナイロン糸Ａ帯状領域

Claims

(57)【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】腹部，臀部および股部から左右の太もも
部に連なる部分を被覆するパンティ部と、左右の太もも
部から下の部分を被覆する足被覆部とを備えたパンティ
ストッキングであって、上記パンティ部下部の、左右の
太もも部に連なる帯状領域が、ウレタン糸をナイロン糸
でシングルカバリングしたカバリング糸の周囲に、綿糸
とナイロン糸とを引き揃えた糸をリラックスした状態で
巻回してなる複合糸で編成されていることを特徴とする
パンティストッキング。
【請求項２】上記帯状領域の幅寸法が、３．５〜７．
０ｃｍに設定されている請求項１記載のパンティストッ
キング。