JP2595188B2 - コンパクトな高電流交差電界プラズマスイッチ - Google Patents

コンパクトな高電流交差電界プラズマスイッチ

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JP2595188B2
JP2595188B2 JP5262415A JP26241593A JP2595188B2 JP 2595188 B2 JP2595188 B2 JP 2595188B2 JP 5262415 A JP5262415 A JP 5262415A JP 26241593 A JP26241593 A JP 26241593A JP 2595188 B2 JP2595188 B2 JP 2595188B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は一般にクロスアトロン
(CROSSATRON)スイッチと呼ばれるグリッド変調された
プラズマスイッチ、および10kA以上の電流レベルにお
けるこのようなスイッチの動作に関する。
【0002】
【従来の技術】クロスアトロンスイッチは、サイラトロ
ンのような速い閉成速度および真空管のような速い開放
速度が得られるグリッド変調されたプラズマスイッチで
ある。クロスアトロンは、ヒューズエアクラフト社の登
録商標名である。一連のクロスアトロン設計は、Harvey
氏による米国特許第4,247,804 号明細書(1981年 6月27
日出願)、Schumacher氏他による第4,596,945 号明細書
(1986年 6月24日出願)および氏による第5,019,752 号
明細書(1991年 5月28日出願)に示されており、これら
の特許は全て本出願人のヒューズエアクラフト社に譲渡
されている。
【0003】クロスアトロンスイッチの動作原理は図1
に示されている。スイッチは、中心軸2を中心にその周
囲に配置された4つの同軸の円筒形電極を有する水素プ
ラズマ装置である。最も外側の電極4は陰極であり、そ
れは陰極表面の近くに集中された突出形状の磁界8を生
成するように軸方向の周期的な永久磁石積層6によって
包囲されている。最も内側の電極10は陽極として機能
し、その外側の電極12は制御グリッドであり、さらに外
側の電極14はソースグリッドである。
【0004】陰極表面で生成された2次電子は磁界中に
トラップされ、放射状の電界および磁界の軸方向の成分
のため円筒形陽極10の周囲においてサイクロイドのE×
B軌道で移動する(ここでEは電界であり、Bは磁界で
ある)。電子は最終的に衝突によりそれらのエネルギを
失い、陽極またはグリッドによって収集される。陰極表
面の近くの電子の長い通路長は水素ガスのイオン化を高
め、スイッチが動作するために必要なガス圧力をサイラ
トロンに比較して減少させることができる。このスイッ
チ中の水素圧力は、電極間の間隙の距離と電圧レベルと
に応じて100乃至1000パスカルの範囲である。陰
極材料は典型的にモリブデンであり、陰極加熱電力は不
要である。
【0005】ソースグリッド14は陰極への低レベルの
(典型的に20mAより小さい)DC放電を維持するこ
とによってオン切替えジッタを最小にするために使用さ
れ、一方制御グリッド12は通常陰極電位に対して約1k
V以内の電位に保持される。スイッチが開放状態にある
時、スイッチ中の高電圧は制御グリッド12と陽極10との
間の間隙を横切って維持される。スイッチは陰極の電位
より上の電圧電位に制御グリッド12をパルス駆動するこ
とによって閉じられ、それによってプラズマ16の密度を
高め、プラズマ16を制御グリッド12と陽極10との間の空
間に拡散させる。その結果、陰極と陽極との間に低いイ
ンピーダンス導通路が生成され、スイッチが結果的に閉
じられる。このようにして高密度プラズマがスイッチ中
に生成され、陽極電流の上昇率は閉成電圧パルスが制御
グリッド12に供給されるより約1マイクロ秒前にソース
グリッド14に予めパルス電圧を与えることによって増大
されることができる。
【0006】クロスアトロンスイッチは閉成専用スイッ
チとして始めに開発された(米国特許第4,247,804 号明
細書)が、高電流遮断の可能な変調器スイッチも開発さ
れた(米国特許第4,569,945 号明細書)。また米国特許
第5,019,752 号明細書に記載されている装置おいては、
スイッチの順方向電圧降下を減少させるために、陰極は
陰極軸の周囲に円周方向に延在する一連のクロムめっき
された環状の溝または環状の波形ひだを具備している。
波形ひだはそのひだの谷部分の空間に発生した2次電子
を拘束して2次電子による電離の機会を増加させ、プラ
ズマ密度を増加させて結果的にスイッチの順方向電圧降
下を減少させるものであり、またプラズマに露出された
実効陰極表面積を増加させることによってクロム表面か
らの放射電子流密度を減少させてアークの発生が最小に
なるように抑制している。
【0007】陰極波形ひだを使用する別の異なる方法
は、本出願人によって1992年 6月19日に出願され、ヒュ
ーズエアクラフト社に譲渡された米国特許出願第07/90
1,353号明細書(特開平6−76745号)に記載され
ている。この特許明細書中の陰極波形ひだは米国特許第
5,019,752 号明細書のように周辺方向ではなく軸方向に
延在し、波形ひだの深さは陰極面積を増加させるために
それらの幅の2倍以上である。この装置は高い絶縁破壊
電圧のスイッチを得ることを目的とするもので、そのた
めに充填ガスとして高い絶縁破壊電圧の得られる重水素
ガスを使用するものであり、従来重水素ガスを使用する
と電流密度が低下して使用に適しないものであったのを
前記のような構造のひだを設けることによって電流密度
の低下を補償するものである。この装置では絶縁破壊電
圧を 100kVより大きくして高い電圧で動作することを
可能にし、しかも1kAのピーク閉成電流のスイッチン
グを可能にしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記のスイッチにより
達成される電流レベルは、スイッチがCO2 レーザおよ
びエキシマレーザのような大きい電流を使用するレーザ
の放電スイッチングに使用されることを可能にするよう
に十分に高くはない。これらに使用するにはスイッチが
約2.5乃至10kAのピーク電流能力と、CO2 レー
ザに対しては2×1010A/秒またエキシマレーザに対
してほぼ1×1011A/秒より大きい閉成速度を有する
ことが必要とされる。現在ガス放電レーザでは、Cobin
氏による文献(“Thyratron ”,McGraw-Hill Encyclop
edia of Electronics and Computers ,McGraw-Hill In
c., 1984年, 855乃至 856頁)に記載されているような
サイラトロンおよびスパーク間隙が使用されている。ク
ロスアトロンスイッチはサイラトロンおよびスパーク間
隙スイッチよりかなり長寿命であり、しかも同様に速い
閉成速度と非常に高いパルス反復周波数を有しており、
ガスレーザシステムに対してクロスアトロンスイッチを
使用することが望ましい。しかしながら、現在利用可能
なクロスアトロンスイッチは3kAまたはそれ以下のピ
ーク電流に制限されている。、電子放出面積を増加する
ように陰極直径を増加させることによってピーク電流レ
ベルを高めようとする試みが行われており、10kAを
越えるピーク電流能力を持つスイッチが25cm以上の陰
極直径を使用することによって達成されている。残念な
がら、商用レーザではスイッチは規定された直径のソケ
ットを備えており、それに適合しなければならないか
ら、約10cmを越す陰極直径を持つクロスアトロンスイ
ッチはレーザの構造を改造しないでサイラトロン等の代
りに使用することは不可能である。したがって、現在開
発されている高電流クロスアトロンスイッチはレーザス
イッチングに必要な十分なピーク電流能力を有している
が、実際はそれらは大き過ぎてレーザ装置には使用でき
ない。
【0009】本発明の目的は、10kA以上のピーク電
流およびエキシマおよびCO2 レーザに適したスイッチ
ング速度を有し、高い信頼性の下に動作することが可能
であり、さらに通常のエキシマおよびCO2 レーザのス
イッチのソケット内に適合するように十分にコンパクト
な改良されたクロスアトロンプラズマスイッチを提供す
ることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】これらの目的は、従来の
技術と対照的に実際に動作するが、組合せにおいて非常
に高いピーク電流容量およびスイッチング速度を持つコ
ンパクトなスイッチを可能にする多数の特徴を有する新
しいクロスアトロンスイッチ設計によって達成される。
陰極は軸方向に延在する波形ひだを使用するが、スイッ
チの最高電流伝送容量がさらに高いにもかかわらず、前
記特開平6−76745号公報のものより波形ひだが浅
く、また、先端において丸みを付けられて滑らかにされ
ている。波形ひだの深さが波形ひだ間の幅の2倍以上で
ある前記公報記載の装置と対照的に、本発明において波
形ひだの深さは波形ひだ間の距離の1.5倍以下であ
り、1.0乃至1.5倍であることが好ましい。浅い波
形ひだは小さい直径のスイッチにおいてプラズマの容積
を50乃至100cm3 に大きくすることができ、したが
って1011A/秒またはそれより良好なスイッチング速
度を実現することが可能になり、一方において丸みを付
けられたエッジはアークが発生させずに電流密度を高め
ることを可能にする。
【0011】利用可能なプラズマ容積はまた10cmの直
径の陰極において従来に使用されていた6.4cmの直径
よりも陽極の直径を大幅に減少することによって増加さ
せることができる。パッシェン破壊を防止するために陽
極直径に対する下限が存在するが、本発明の別の設計特
徴によれば、2.5cmの小さい陽極直径がエキシマレー
ザに対して使用可能なことが認められた。それより少し
低いピーク電流のCO2 レーザに対してはさらに小さい
1.25cmの陽極直径にすることができる。エキシマレ
ーザでは、陽極は陰極と同じ材料すなわちモリブデンか
ら形成されることが好ましい。これは、陽極のイオン衝
突およびスパッタリングを生じさせる各エキシマレーザ
パルスの端部における高い負の陽極電圧スパイクと関連
した陽極スパッタリング効果を相殺する。
【0012】磁石設計もまた高電流密度を得るために修
正されることが好ましい。電子を限定し、プラズマを生
成するために波形ひだの先端においてスイッチ軸に沿っ
て適切な磁界Bz (300ガウスより大きい)を提供
し、さらに著しいプラズマ発生を阻止してスイッチのラ
ッチを阻止するために陽極と制御グリッドとの間の間隙
において十分に低く(200ガウスより小さく)磁界強
度を維持するために、磁石は従来のクロスアトロンスイ
ッチに比較して長くされ、また強度が高められ、さらに
陰極と制御グリッドとの間の間隔を増加することにより
制御グリッドから離される。10cmの直径の陰極を包囲
している磁石は長さが軸方向において約2.5乃至3cm
であり、約1.2乃至2.4kGの表面強度を有してい
ることが好ましい。また2つの積重ねられた磁石は、従
来の設計のような多数の磁石層および多数のプラズマリ
ングではなく、スイッチ中に単一のプラズマリングを生
成するために使用される。
【0013】本発明のこれらおよびその他の特徴および
利点は、以下の詳細な説明および添付図面から当業者に
明らかになるであろう。
【0014】
【実施例】高いピーク電流容量および速いスイッチング
速度を提供するために本発明にしたがって構成されたク
ロスアトロンスイッチの断面は図2に示されている。ス
イッチ用の真空ハウジング18はほぼ円筒形の陰極20を含
み、この陽極20は陽極シリンダ22を包囲し、それから半
径方向外側に間隔を隔てられている。以下、図3を参照
して陰極上の軸方向の波形ひだを説明する。ソースグリ
ッド24および制御グリッド26は陽極22の周囲に環状に、
陰極20から内部方向に向かって配置されている。陰極、
陽極およびグリッドは中心軸27を中心にして同軸的に配
置されている。電気コネクタ28、30および32は容器ヒー
タ、ソースグリッドおよび制御グリッドのそれぞれのた
めに設けられており、一方陰極接続はベースフランジ33
を介して行われる。陽極22は、セラミックブッシング34
から機械的に吊下げられ、電気導体36を介して電圧信号
を供給される。パッシェンシールドと呼ばれる上部陰極
延在部38は、そうでなければ結果的にパッシェン破壊を
生じさせる陽極と陰極との間の大きい間隙の形成を阻止
するために陽極の上部を包囲する。永久磁石40は外部陰
極壁に位置される。スイッチの内部のための十分な水素
ガスは容器42から供給される。
【0015】レーザ放電用に対しては、高電流上昇率
(>2×1010A/秒)における高いピーク電流(>
2.5kA)が要求される。これは、高密度のプラズマ
がスイッチ中で非常に速く生成されなければならず、し
たがって高いイオン化率が必要であることを意味する。
スイッチ中のイオン化の率は近似的にスイッチ中の中性
ガス圧力およびイオン化が発生することができるスイッ
チボリュームの両者に直接比例する。このボリューム
は、1次電子が拘束される陰極とソースグリッドとの間
の空間と考えられる。コンパクトで小さいボリュームの
スイッチは、同じ電流上昇率において大きいボリューム
のスイッチより著しく高いガス圧力を必要とすることが
認められている。しかしながら、陰極直径が約10cmで
あることが好ましい上記の約40kVの電圧のスイッチ
により、充填された水素ガス圧力はパッシェン破壊によ
って約600乃至700パスカルの圧力に制限される。
この圧力範囲内において、50乃至100cm3 のボリュ
ームプラズマは、エキシマレーザによって要求されるよ
うな1×1011A/秒のスイッチング速度を達成するため
に必要とされることが決定されている。
【0016】ここに記載されている本発明の別の特徴と
共に使用される軸方向に波形ひだを有する陰極は、高い
ピーク電流容量を実現し、イッチング速度を高めること
ができる。図3は好ましい陰極構造を示した断面図であ
る。陰極20はほぼ円筒形の形状であり、陰極軸に向かっ
て内方に向かって突出する一連の波形ひだ44として形成
される。波形ひだは軸方向に延在し(図3で紙面に垂
直)、モリブデンのシートを折り畳んで波形ひだを有す
る構造にし、外部中空ステンレス鋼支持シリンダ46にそ
れをスポット溶接またはろう付けすることによって形成
されることが好ましい。波形ひだは波形ひだ間の谷部の
空間において大きい陰極面積および大きいプラズマ発生
領域の両者を提供する。波形ひだの内端部はアークの発
生を阻止するために十分に丸みを付けられている。
【0017】循環運動している電子は波形ひだ44間の空
間に入ることはなく、したがって実効プラズマボリュー
ムの外部限界は波形ひだの丸くされた端部によって定め
られる。本発明によると、波形ひだは特開平6−767
45号公報のものより著しく浅く形成され、さらに充填
された水素ガスによりでアーク放電が始まる前の状態に
おける許容可能な電流密度は、重水素ガス充填による前
記公報記載のものの最大電流密度約10A/cm2 と対照
的に100A/cm2 程度に増加される。波形ひだ44の深
さ(陰極ベース周囲48から波形ひだの先端までのそれら
の内方への突出距離)は、波形ひだ間の距離の1乃至
1.5倍であることが好ましい。10cm直径の陰極に対
して、波形ひだは深さが約5乃至7mmであり、約4乃至
6mm間隔を隔てられ、陰極の軸方向の長さが約2.5乃
至3cmであることが好ましい。特定の実施例において、
波形ひだは深さが約6mmであり、隣接した波形ひだ間の
距離が約4.8mmであり、陰極の軸方向の長さが約2.
6cmである。波形ひだをこのように浅くし、しかし依然
として高電流動作に十分な陰極面積を保持することによ
って、実効プラズマボリュームはスイッチをレーザソケ
ットと機械的に適合させることのできる10cmよりも大
きく陰極のベース直径を拡大することを必要とせずに、
エキシマレーザによって要求されるスイッチング速度が
達成されるレベルに拡張されることができる。
【0018】新しい陽極設計はまたプラズマの容積を増
加するために適用される。前記特開平6−76745号
公報記載のクロスアトロンスイッチに対する約6cmの陽
極直径と比較して、陽極は10kAのピーク電流を生成
するために600乃至700パスカルの水素圧力および
2cmのプラズマ接触する軸長(2つの磁石の行間を中心
とする)の場合に約2.5cmの直径に減少されることが
できることが認められている。陽極22の直径を減少する
ことにより、ソースグリッド24および制御グリッド26の
直径が同様に約3.6cmおよび3.0cmにそれぞれ減少
される。浅い陰極波形ひだと組合されたソースグリッド
直径の減少は、結果的にエキシマレーザスイッチングに
必要な大きいプラズマの容積を生じさせる。この直径の
縮小は電流処理能力を大きくするためにはスイッチ寸法
を増加する従来の傾向と対照的である。
【0019】許容可能な陽極寸法に対する下限は、電流
密度を導くのに十分な陽極面積を保持する必要性により
与えられる。クロスアトロンスイッチ中の電流の半分以
上が陽極に流れるプラズマ電子によって伝送される。エ
キシマレーザスイッチに対して、最小の信頼できる陽極
直径は約2.5cm であることが認められた。CO2 レーザ
と関連したそれより低いピーク電流に対して、陽極直径
はさらに約1.25cmに減少されることができる。この
陽極直径の減少はプラズマボリュームをさらに増加さ
せ、またソースグリッドおよび制御グリッド直径の減少
を可能にすることによって材料が大幅に節約される。
【0020】従来のクロスアトロンスイッチの陽極は、
典型的に良好な熱伝達特性を提供し、容易に機械加工さ
れ、比較的安価な銅またはステンレス鋼から構成され
た。しかしながら、上記に示されているように、従来の
クロスアトロンスイッチはガスレーザスイッチングには
適さなかった。制動下のエキシマレーザ回路において、
約20kVまでの大きい負の電圧スパイクは各パルスの端
部において陽極に印加される。この負の電圧スパイクは
イオンを引付け、陰極およびグリッドに陽極表面材料を
スパッタリングする。しかしながら、陰極は高電流密度
能力のために、銅またはステンレス鋼ではなく、典型的
にモリブデンから形成されているために、陰極表面への
異なる陽極材料のスパッタリングは本発明によって考慮
された高い動作レベルで結果的にアークを生じさせる可
能性がある。したがって、このスイッチの陽極はまたこ
のようなアークを防止するためにエキシマレーザ装置に
適用する場合にはモリブデンから形成される。モリブデ
ン陽極は従来から陽極のアーク放電により故障して溶融
することを防止するために真空管において使用されてい
るが、クロスアトロンスイッチに関しては陽極アークの
問題は存在しない。しかし、本発明のエキシマレーザ態
様においてはモリブデンは陰極へのスパッタリングのた
めに陽極に対して使用される。スイッチがCO2 レーザ
と共に使用された場合に、非常に小さい負の電圧が陽極
に供給され、ステンレス鋼または銅陽極がその適用に使
用されることができる。
【0021】磁石40はまた特にプラズマが速いスイッチ
閉成のために非常に高い速度で生成されるように設計さ
れる。管の軸方向において測定される磁界が300ガウ
スを十分に越えることが好ましい比較的高い磁界は、高
電流レーザスイッチによって必要とされる高いプラズマ
密度を生成するために波形ひだの内端において必要とさ
れる。しかしながら、陽極間隙(陽極と制御グリッドと
の間の領域)中の磁界強度は高過ぎるならば(約 200ガ
ウスより大きい)、スイッチはプラズマがこの領域中で
E×B放電により生成されるため意図しないのに導通し
て閉路されるおそれがある。磁界強度の所望の傾斜特性
は磁界強度、軸方向の寸法、磁石とグリッドとの間の半
径方向の間隔、および使用される磁石数の特有の組合せ
により得られる。
【0022】磁石40の表面磁界強度は陰極波形ひだの先
端で大きい磁界強度を得るために増加され、システム軸
に平行な磁石の長さは磁界の先端がシステム軸に向かっ
てさらに内部に延在し、したがって本発明において使用
される小さい陽極直径を考慮するように増加される。特
に表面磁界強度が約800ガウス、長さが約2.2cmの
従来のセラミック磁石と対照的に、本発明は約1.2乃
至2.4kGの表面磁界強度およびほぼ2.5乃至3cm
の長さを有する磁石を使用する。実施例において、実際
の磁界表面強度は1.67kGであり、長さは2.5cm
であった。さらに、3個以上の磁石を積層した従来実施
されている構成とは対照的に、本発明は全体的な磁石構
造40を形成するために2つの磁石40aおよび40bだけを
積層する。図1に示されているように、3つの積重ねら
れた磁石の従来の使用は磁界に二重の先端を生じさせ
た。しかしながら、1kAより上の電流レベルに対して
ほとんど全てのプラズマはE×B電磁界によって押し下
げられることが認められている。したがって、3つの従
来の磁石の最上部のものは本発明によって考慮された高
電流レベルで使用された場合にプラズマ分布にあまり影
響を与えないので、それは簡単に取除かれる。
【0023】図4は、ガスレーザに対する放電回路中の
新しいクロスアトロンスイッチ50の使用を示した簡単化
された概略図である。レーザは気体レーザ媒体を含み、
共振器空洞を限定する放電管52、放電管52の一端におけ
る完全反射鏡54および管の他端の部分反射鏡56を含む。
陽極および陰極プレート58および60はレーザ放射路から
外れて放電室の対向した側に沿って延在する。
【0024】40kVのような適切なレーザ放電電圧容量
を持つ自己調整電源62は、充電抵抗R1 および可飽和リ
アクタL1 を通してパルス蓄積キャパシタC1 に接続さ
れている。放電キャパシタC2 および充電インダクタL
2 は、パルス蓄積キャパシタC1 の電源62と反対側とス
イッチの陰極50aとの間においてレーザ空洞電極58およ
び60と並列に接続されている。スイッチの陽極50bは、
充電抵抗R1 と可飽和リアクタL1 との間に接続されて
いる。動作において、スイッチが開放された場合、電源
62は充電抵抗R1 および可飽和リアクタL1 を通してパ
ルス蓄積キャパシタC1 を充電する。充電インダクタL
2 は充電時間スケールで低インピーダンスを有し、充電
回路を完成する。スイッチが閉じたときに、それはキャ
パシタC1 およびC2 に対して2キャパシタリンギング
回路を完成する。パルス蓄積キャパシタC1 は放電キャ
パシタC2 に放電し、次にキャパシタC2 はポンプ動作
を生じさせるようにレーザに非常に速く放電する。リン
ギング回路は、閉成電流が約100Aに増加したとき
に、可飽和リアクタのコアが飽和してインダクタンスが
降下する可飽和リアクタL1 を含んでいる。可飽和リア
クタは最初に閉じたときにスイッチにあるインピーダン
スを与え、それによって電位漏洩問題を回避するが、し
かし閉成サイクルの最初の部分の後可飽和リアクタのイ
ンダクタンスはパルス蓄積キャパシタC1 の迅速な充電
を可能にするように十分に降下する。充電インダクタL
2 はキャパシタ充電期間中に低インピーダンスを提供す
るが、それは本質的にパルス蓄積キャパシタC1 から短
い放電パルスへの開回路として現れ、したがって放電キ
ャパシタC2 の充電を妨害しない。
【0025】スイッチ50の動作回路は、ソースグリッド
50cにかなり低い“キープアライブ”電圧を維持するた
めに抵抗R2 を通して接続された電源64およびスイッチ
の気体容器用のヒータ68に加熱電流を供給する別の電源
66を含む。制御グリッド50dは、電源70によって再充電
される制御パルスキャパシタC3 からのパルスによって
動作される。シリコン制御整流器(SCR)72は、制御
パルスキャパシタC3と制御グリッド50dとの間の(抵
抗R3 を介して)回路を完成するために制御端子74に供
給された低電圧パルスによってトリガーされる。パルス
変成器T1 は、閉じた時にスイッチ中で発生した電圧パ
ルスから制御グリッド回路の残りのものを分離する。バ
イアスキャパシタC4 および並列電源76は、パルス間で
制御グリッドに小さい負のバイアスを与えるために変成
器側で制御グリッド50dに接続される。これは残留プラ
ズマがスイッチ中に存在している場合にスイッチがキャ
パシタ再充電サイクル中に不適切に自己的にオンに切替
わることを阻止する。種々の回路素子に対して適切な値
は以下の通りである: R1 1 kΩ 電源62 40 kV R2 5 kΩ 電源64 500 V R3 5 Ω 電源66 2.5 V L2 100 μH 電源70 1 kV C1 22 nf 電源76 -150V C2 28 nf C3 100 nf C4 2 μf 図5は、通常のエキシマレーザシステムのスイッチソケ
ット80に取付けられた本発明のクロスアトロンスイッチ
78を示した簡単な構成図である。レーザシステムの観察
可能な素子は、両端部に反射鏡84を備えたレーザ空洞8
2、高電圧電源86、充電システム88、キャパシタ90、グ
リッド駆動装置92およびヒータ電源94を含む。送風機96
およびファン98は、低インダクタンスの相互接続100 に
よってレーザ空洞電極に接続された電気素子を冷却する
ために設けられている。スイッチの10cmの陰極直径
は、アークを生ぜずにレーザハウジングの別の素子に取
付けられることが可能である。それはソケットフロアに
ボルトで取付けられた下端にフランジを持つブラケット
を含む。
【0026】以上、本発明の実施例が図示および説明さ
れてきたが、当業者は種々の変更および別の実施例を認
識するであろう。このような種々の変更および別の実施
例は検討され、添付された特許請求の範囲に限定されて
いるような発明の技術的範囲を逸脱することなく実行可
能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のクロスアトロンスイッチの動作を示す断
面図。
【図2】本発明によるクロスアトロンスイッチの断面
図。
【図3】陰極軸に対して垂直な方向の好ましい陰極構造
の断面図。
【図4】ガスレーザと共に使用されるスイッチを示した
概略図。
【図5】レーザのスイッチソケット中に位置された本発
明によるコンパクトなクロスアトロンスイッチを備えた
レーザの概略図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ロバート・エル・ポーシェル アメリカ合衆国、カリフォルニア州 91360、サウザンド・オークス、カレ・ コーラド 935 (72)発明者 ロニー・エム・ワトキンス アメリカ合衆国、カリフォルニア州 91301、アゴウラ、ユニット・エー、ス カイビュー・ウエイ 5716 (56)参考文献 特開 平6−76745(JP,A) 米国特許5019752(US,A)

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空ハウジングと、前記ハウジング内に配置され、ほぼ円筒形に構成され、
    ベースの内面から内側方向に突出するほぼ軸方向に延在
    する波形のひだを備えている2次電子のソースを提供す
    る冷陰極と、 陰極の内部に同軸に配置され、前記陰極ベースの内
    の直径の半分以下の直径を有するほぼ円筒形の陽極と、 前記陽極と陰極との間に同軸的に配置されているほぼ円
    筒形のソースグリッドと、 前記陰極およびソースグリッドがそれらの間の予め定め
    られた電圧差に応答してそれらの間にプラズマを維持す
    るために陰極とソースグリッドとの間の空間にイオン化
    可能なガスを導入する手段と、 陰極と陽極との間のプラズマ路を選択的に設定し、それ
    によって制御グリッドに供給された制御電圧信号に応答
    してスイッチを閉じる前記ソースグリッドと陽極との間
    に配置されたほぼ円筒形の制御グリッドと、 陰極とソースグリッドとの間の領域中に延在する磁界を
    生成して前記陰極とソースグリッドとの間の予め定めら
    れた電圧差と共同して前記陰極からの2次電子に前記領
    域中でサイクロイド軌道をたどらせる磁石手段とを具備
    し、前記軸方向に延在する波形のひだの深さは前記波形のひ
    だ間の距離の1.5倍以下であり、かつそのひだの内側
    端部が丸くされており、それによって同一直径の平滑な
    内側表面を有する冷陰極に比較してプラズマスイッチの
    電流密度が増加されている ことを特徴とするプラズマス
    イッチ。
  2. 【請求項2】 前記波形のひだを有する陰極および陽極
    それらの間に50cm3 以上の容積の空間を限定してい
    る請求項1記載のプラズマスイッチ。
  3. 【請求項3】 前記波形のひだを有する陰極は約2.5
    乃至3.0cmの距離軸方向に延在する請求項記載
    のプラズマスイッチ。
  4. 【請求項4】 真空ハウジングと、前記ハウジング内に配置され、 ベース面から内に突
    出するほぼ軸方向に延在する波形のひだを備え、波形の
    ひだ間の距離に対する波形のひだの深さの比がほぼ1.
    0乃至1.5の範囲である2次電子のソースを提供す
    ぼ円筒形の冷陰極と、 陰極の内部に同軸的に配置されたほぼ円筒形の陽極と、 前記陽極と陰極との間に同軸的に配置され、前記陰極と
    の間に約50乃至100cm3 容積の空間を限定する
    ほぼ円筒形のソースグリッドと、 前記陰極およびソースグリッドがそれらの間の予め定め
    られた電圧差に応答してそれらの間にプラズマを維持す
    るために陰極とソースグリッドとの間の空間にイオン化
    可能なガスを導入する手段と、 陰極と陽極との間のプラズマ路を選択的に設定し、それ
    によって制御グリッドに供給された制御電圧信号に応答
    してスイッチを閉じる前記ソースグリッドと陽極との間
    に配置されたほぼ円筒形の制御グリッドと、 陰極とソースグリッドとの間の領域中に延在する磁界を
    生成して前記陰極とソースグリッドとの間の予め定めら
    れた電圧差と共同して前記陰極からの2次電子に前記領
    域中でサイクロイド軌道をたどらせる磁石手段とを具備
    していることを特徴とするプラズマスイッチ。
  5. 【請求項5】 前記磁石手段は前記波形のひだの内端で
    実質的に300ガウスより大きく、前記制御グリッドで
    実質的に200ガウスより小さい軸方向の磁界を生じさ
    せる請求項1または記載のプラズマスイッチ。
  6. 【請求項6】 前記陰極および陽極は同じタイプの材料
    から形成されている請求項1または記載のプラズマス
    イッチ。
  7. 【請求項7】 真空ハウジングと、前記ハウジング内に配置され、 内面に約0.5乃至0.
    7cmだけベース面から内に突出し、波形のひだ間
    の距離が約0.4乃至0.6cmであるほぼ軸方向に延
    在する波形のひだを備え、前記ベース面が10cm程
    度の直径を有する2次電子のソースを提供するほぼ円筒
    形の冷陰極と、 陰極の内部に同軸的に配置され、前記陰極ベース面の直
    径の半分より小さい直径を有するほぼ円筒形の陽極と、 前記陽極と陰極との間に同軸的に配置され、前記陰極と
    の間に約50乃至100cm3 容積の空間を限定する
    ほぼ円筒形のソースグリッドと、 前記陰極およびソースグリッドがそれらの間の予め定め
    られた電圧差に応答してそれらの間にプラズマを維持す
    るために陰極とソースグリッドとの間の空間にイオン化
    可能なガスを導入する手段と、 陰極と陽極との間のプラズマ路を選択的に設定し、それ
    によって制御グリッドに供給された制御電圧信号に応答
    してスイッチを閉じる前記ソースグリッドと陽極との間
    に配置されたほぼ円筒形の制御グリッドと、 陰極とソースグリッドとの間の領域中に延在する磁界を
    生成して前記陰極とソースグリッドとの間の予め定めら
    れた電圧差と共同して前記陰極からの2次電子に前記領
    域中でサイクロイド軌道をたどらせる磁石手段とを具備
    していることを特徴とするプラズマスイッチ。
  8. 【請求項8】 前記磁石手段は約2.5乃至3.0cm
    の軸方向の長さにわたって陰極の周囲に延在する一連の
    磁石を含み、約1.2乃至2.4kガウスの磁界強度を
    有している請求項記載のプラズマスイッチ。
  9. 【請求項9】 前記磁石は約2.5cmの軸方向の長さ
    にわたって延在し、約1.6乃至1.75kガウスの磁
    界強度を有している請求項記載のプラズマスイッチ。
  10. 【請求項10】 前記磁石手段は2つの積重ねられた磁
    石によって構成されている請求項1、5またはのいず
    れか1項記載のプラズマスイッチ。
  11. 【請求項11】 前記陰極および陽極の両者はモリブデ
    ンから形成されている請求項または記載のプラズマ
    スイッチ。
  12. 【請求項12】 イッチソケットを具備するレーザハ
    ウジングと、 前記ハウジング内のレーザ共振器空洞と、 その中のガスをポンプするように前記共振器空洞内にお
    いて放電を開始するためのレーザ電極とを備えているレ
    ーザシステムにおいて使用され、 前記スイッチは前記レーザ電極の付勢を制御し、前記ス
    イッチソケットに取付けられており、 前記スイッチの陰極および陽極は、スイッチが閉じられ
    たときに前記レーザ電極用の放電回路を完成するように
    接続されている請求項乃至11のいずれか1項記載の
    スイッチ。
  13. 【請求項13】 スイッチの陽極の直径がエキシマレー
    ザでは2.5cm程度に定められ、CO 2 レーザに対し
    ては1.25cm程度に定められている請求項1記載
    のスイッチ。
JP5262415A 1992-10-20 1993-10-20 コンパクトな高電流交差電界プラズマスイッチ Expired - Lifetime JP2595188B2 (ja)

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JPH06215700A JPH06215700A (ja) 1994-08-05
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