JP2594951B2 - 油圧式4輪駆動装置 - Google Patents

油圧式4輪駆動装置

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良太 大橋
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Description

【発明の詳細な説明】 (イ)産業上の利用分野 本発明は、HST式変速装置を搭載した4輪駆動式走行
車輌の、旋回時前輪増速装置に関するものである。
(ロ)従来技術 従来から、操向輪、固定輪とも各々1つのモーターと
デフ装置により回転を伝達するようにした技術は、実開
昭59−23471号公報や、実開昭50−80113号公報に記載の
如き技術が公知とされているのである。
また、ステアリングハンドルの操作に連動して、左右
の前輪駆動用モーターを操作する技術は公知とされてい
るのである。例えば、特開昭53−119531号公報や、実開
昭54−63330号公報に記載の技術の如くである。
また、従来から、走行車輌の旋回時において、前後輪
の速度差の発生を無くすべく、前輪の速度を増速させる
技術は公知とされているのである。例えば、特開昭60−
0026号公報や、実開昭55−160924号公報の如くである。
しかし、該特開昭60−60026号公報においては、旋回
角に応じた設定値に従い、4個の油圧モーターの速度を
増速したものであり、電気的なセンサーや判断回路が必
要であり、構成が複雑となり、値段が高く成っていたの
である。
また、実開昭55−160924号公報においては、或る旋回
角度以上になると、前輪が常速から高速変化するもので
あり、旋回角度に比例して増速するのではなく、高低に
2段に変速するものであり、実際の速度差を無くした技
術とはなってないのである。
(ハ)発明が解決しようとする問題点 本発明は、従来は高圧用の油圧モーターが2台必要で
あったものを改良し、高圧用の油圧モーターは固定輪駆
動用固定容量モーターMRのみとし、操向輪駆動用可変モ
ーターMF用の油圧モーターは戻り油を案内するので、低
圧の油圧モーターでも使用できるようにして、コストの
低減を図ったものである。
また、該固定輪駆動用固定容量モーターMRと操向輪駆
動用可変モーターMFの2個のモーターを駆動する為には
通常は2個の可変容量ポンプPが必要なのであるが、本
発明においては、固定輪駆動用固定容量モーターMRの可
変容量ポンプPを、操向輪駆動用可変モーターMFの駆動
用にも利用することにより、可変容量ポンプPの数を少
なくしたものである。
(ニ)問題を解決するための手段 本発明の目的は以上の如くであり、次に該目的を達成
する為の構成を説明する。
操向輪駆動用可変モーターMFの回転をフロントデフ装
置19を介して、左右の前輪11L,11Rに伝達し、固定輪駆
動用固定容量モーターMRの回転をリアデフ装置20を介し
て、左右の後輪12L,12Rに伝達すべく構成した無段変速
走行車輌において、エンジンEにより駆動される1個の
可変容量ポンプPと、固定輪駆動用固定容量モーターMR
とにより閉回路を構成し、該閉回路から圧油を取出す自
動切換弁Vを配置し、該自動切換弁Vは前進と後進の場
合において、可変容量ポンプPからの吐出油が固定輪駆
動用固定容量モーターMRを通過し、これを駆動した後の
下流の圧油を、操向輪駆動用可変モーターMFの前進と後
進の回転方向に案内すべく構成し、前記操向輪駆動用可
変モーターMFの可変斜板2を、ステアリングハンドル1
の回動に連動して回動操作させたものである。
(ホ)実施例 本発明の目的・構成は以上の如くであり、次に添付の
図面に示した実施例の構成と作用を説明する。
第1図は本発明の油圧式無段変速装置を搭載したトラ
クターの全体側面図、第2図は油圧式無段変速装置の油
圧回路図、第3図は本発明の油圧式4輪駆動装置の油圧
回路図、第4図は操向旋回状態を示す図面である。
第1図において、モア装置13を装着したトラクターの
全体的な構成について説明する。
機体フレーム14の前部上にエンジンEが搭載され、該
エンジンEの部分にボンネット10が被せられている。
該ボンネット10内のエンジンEに付設して可変容量ポ
ンプPが設けられ、主として固定輪駆動用固定容量モー
ターMRを駆動し、戻り油にて操向輪駆動用可変モーター
MFを駆動する為の圧油が吐出されている。
機体フレーム14の前部下方に前輪11L,11Rが支架さ
れ、また後部下方には後輪12L,12Rが支架されている。
また、該前輪11と後輪12Lの間の中央位置にモア装置1
3が吊り下げ装着されている。
ボンネット10の後端にステアリングハンドル1が配置
されており、座席15に座ったオペレーターが旋回時にお
いてステアリングハンドル1を操作するのである。
次に、第2図の構成を説明する。
エンジンEに付設して可変容量ポンプPが設けられて
おり、該可変容量ポンプPに付設してチャージポンプ4
が設けられている。
該チャージポンプ4より吐出した圧油は、閉回路に構
成した可変容量ポンプPと固定輪駆動用固定容量モータ
ーMRと操向輪駆動用可変モーターMFの回路内の作動油が
減少した際において、チェックバルブ25,26を介して作
動油を補充する役割をしている。17はチャージポンプ4
のリリーフバルブである。
また、HST式変速装置全体に過負荷が掛けられて、操
向輪駆動用可変モーターMFや固定輪駆動用固定容量モー
ターMRが回転不能の場合に、可変容量ポンプPの圧油を
ドレーン回路に逃がす為のオーバーロードリリーフバル
ブ18が、チェックバルブ27,28の間に配置されている。
そして、可変容量ポンプPには可変装置としての斜板
3が設けられており、該斜板3を変速レバーにより回動
操作することにより、前進・中立・後進の間で無段変速
が可能とされている。
該斜板3の傾斜調節により、可変容量ポンプPからの
圧油の吐出流量及び吐出方向が異なるものである。
そして、可変容量ポンプPからの吐出油は、固定輪駆
動用固定容量モーターMR、操向輪駆動用可変モーターMF
が直列に配置されて構成された閉回路内に、送油されて
いるのである。
そして、互いに他方のモーターの戻り油を利用して回
転すべく構成しているのである。
第2図においては、前進時は固定輪駆動用固定容量モ
ーターMRへ吐出油が先に送油され、固定輪駆動用固定容
量モーターMRを駆動し、その後の戻り油にて操向輪駆動
用可変モーターMFを駆動するのである。
逆に後進の場合には、操向輪駆動用可変モーターMFを
先に駆動し、戻り油にて固定輪駆動用固定容量モーター
MRを駆動するものである。
次に第3図において、本発明の要部を説明する。
第2図の構成の場合には、固定輪駆動用固定容量モー
ターMRが先と成ったり、操向輪駆動用可変モーターMFが
先に成ったりするものであり、いつも固定輪駆動用固定
容量モーターMRを主に駆動し、操向輪駆動用可変モータ
ーMFを後に戻り油にて従に駆動することが出来なかった
のである。
これに対して、第3図の本発明においては、自動切換
弁Vを設けて、前進と後進の場合において、該自動切換
弁Vを自動的に切り換えることにより、常に固定輪駆動
用固定容量モーターMRを主に駆動し、操向輪駆動用可変
モーターMFを従として戻り油により駆動することが可能
と成ったものである。
即ち、自動切換弁Vを介装したこことにより、可変容
量ポンプPからの吐出油が、固定輪駆動用固定容量モー
ターMRを通過し、これを駆動した後の下流の圧油を自動
切換弁Vを介して、操向輪駆動用可変モーターMFに案内
しているのである。
次に、前輪駆動部について説明する。
操向輪駆動用可変モーターMFは可変装置である可変斜
板2の回動により、モーター軸7の回転を変速可能とし
ており、該可変斜板2をステアリングハンドル1の切れ
角に対応する部材に連動し、同時に回動すべく構成して
いるのである。
該操向輪駆動用可変モーターMFのモーター軸7にピニ
オンギア7aが設けられており、該ピニオンギア7aにより
フロントデフ装置19を駆動している。該フロントデフ装
置19から左右に突出されるフロントアクスル軸により前
輪11L,11Rを駆動しているのである。
次に、後輪駆動装置において説明する。
固定輪駆動用固定容量モーターMRは定容量式であり、
斜板は設けられておらず、可変容量ポンプPからの送油
量の方向と量により、前進・中立・後進の変速を行うの
であるが、該固定輪駆動用固定容量モーターMRの部分の
みでの変速は出来ないのである。
該固定輪駆動用固定容量モーターMRのモーター軸8に
ピニオン8aが付設されており、リアデフ装置20を駆動
し、該リアデフ装置20より左右に突出するリアアクスル
軸により後輪12L,12Rを駆動しているのである。
第5図から第9図は、操向輪駆動用可変モーターMFの
斜板の油圧式操作機構の実施例を示す図面であるが、勿
論機械的なリンク機構での連通も、図示しないが、可能
である。第10図はギヤボックスの一例を示す図面であ
る。
次に、操向輪駆動用可変モーターMFの可変斜板2の操
作機構の一例として油圧的に行われたものを説明する。
第5図では、可変斜板2の操作部に油圧シリンダーCy
1を装着し、操向ギアボックスGに連動の回動軸30に固
定した揺動カムCに油圧シリンダーCy2のピストンロッ
ドを接当し、両シリンダー室を配管で結び、内部に作動
油を充満させている。ステアリングハンドル1を回転す
ることにより揺動カムCが揺動し、油圧シリンダーCy2
内の圧油を油圧シリンダーCy1へ送り込んで伸長させ、
可変斜板2を操作するのである。
第6図では、チャージポンプ4を利用し、この吐出油
で油圧シリンダーCy1を伸長動作させるものである。そ
して、チャージポンプ4の吐出通路に分岐して可変リリ
ーフバルブRV1を設け、そのバネ力を操向ギアボックス
Gより揺動カムCの揺動によって高めるようにされてい
る。
第7図では、油圧シリンダーCy1を複動型とし、その
一端を可変斜板2に、他端を該油圧シリンダーCy1を伸
縮させる為の切換弁SVのバルブケースに連結している。
切換弁SVのスプールは前記操向ギアボックスGの揺動カ
ムCで切換操作される。
第8図では、第6図の変形例を示し、可変リリーフバ
ルブRV1の代わりに電磁比例リリーフ弁RV2を用い、可変
容量モーター操向ギアボックスGの回動軸端に位置セン
サーSを設け、その回動量をコントローラーTで判断さ
せ、電磁比例リリーフ弁RV2への励磁電流値を可変とす
るものである。
第9図は、第8図のものと同様に位置センサーSを設
けたもので、複数型の油圧シリンダーCy1を伸縮動作さ
せる電磁弁EVの励磁方向、励磁時間をコントローラーC
により制御するものである。
第10図は、操向ギアボックスGの一例を示すもので、
ステアリングハンドル1を操作するとアームGaが揺動
し、ロッドを介してベルクランクG日が回動軸30と共に
回転し、ナックルアーム操作ロッドGcを押し引きするの
である。
回動軸30の回転により揺動カムCが揺動し、第5図、
第6図、第7図の油圧シリンダーCy2可変リリーフバル
ブRV1や切換弁SVを操作するのである。
なお、油圧シリンダーCy2、可変リリーフバルブRV1、
切換弁SVは勿論他の構造によっても操作可能である。
(ヘ)発明の作用 第4図に示す如く、4輪車輌が直進する場合には、前
輪11も後輪12も同一速度で回転しているのであるが、一
旦ステアリングハンドル1を操作して旋回すると、スム
ーズな旋回を行う為に、後輪12の車輪線を延長した線上
の一点を操向旋回中心Oとして前輪11、後輪12が旋回す
べく構成しているのである。
故に、直進時において前輪11と後輪12を略同じ程度の
速度に構成しているのであるが、旋回操向の場合には前
輪11は半径R2の大きな円弧上を通過し、後輪12は半径R1
の小さい円弧上を通過することとなるので、理論上から
は速度が一致しなくなるのである。
しかし、前輪11と後輪12の速度を略同じに構成してい
る場合には、該通常の速度で前輪11と後輪12が回転して
いる為に、前輪11は移動速度よりも速度が遅くなること
となり、前輪11はひきづられているような状態となるこ
とから、芝生を引っ張って、軟弱土壌を書き取ることと
なるのである。
該前輪の移動素度と実際の回転速度との速度差はステ
アリングハンドル1による前輪11の切れ角Θの変化によ
り、操向旋回中心Oが移動するので切れ角Θに対応して
変化するものである。
故に、本発明においては、ステアリングハンドル1の
回転により変化する切れ角Θに応じて、操向輪駆動用可
変モーターMFの可変斜板2の角度を変更し、操向輪駆動
用可変モーターMFの回転数を増加し、前輪11の速度を増
速しているのである。
これにより、該前輪11の速度を半径R1に沿って操向旋
回する為に発生する実際の移動速度と一致させることが
可能となるのである。
そして、左右の前輪11L,11Rの間に発生する差動回転
については、従来と同様に左右の前輪11L,11Rの走行抵
抗により、フロントデフ装置19が差動回転を与えている
のである。
故に、半径R1と半径R2の差により発生する速度の差
を、操向輪駆動用可変モーターMFに設けた可変斜板2に
より増速すれば、前輪11L,11Rは実際の移動速度と同じ
速度で回転することとなるのである。
(ト)発明の効果 本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を
奏するものである。
第1に、前進時も後進時も、可変容量ポンプPからの
圧油は先ず固定輪駆動用固定容量モーターMRを駆動し、
その戻り油を自動切換弁Vにより操向輪駆動用可変モー
ターMFに案内しているので、固定輪駆動用固定容量モー
ターMRは常時高圧であるので、高圧用の油圧モーターが
必要であるが、操向輪駆動用可変モーターMFは、常時下
流の戻り油により駆動するので、低圧用の油圧モーター
を用いることができ、値段の安いモーターを使用するこ
とができたのである。
第2に、1個の可変容量ポンプPの吐出油を、固定輪
駆動用固定容量モーターMRに流し、その戻り油により、
操向輪駆動用可変モーターMFを駆動する為に使用したの
で、それぞれのモーター毎に可変容量ポンプPを設ける
必要が無くなったので、部品点数の減少をさせることが
出来たものである。
第3に、操向輪駆動用可変モーターMFからの回転をフ
ロントデフ装置19を介して、前輪11L,11Rに伝達してお
り、固定輪駆動用固定容量モーターMRの回転をリアデフ
装置20を介して、左右の後輪12L,12Rに伝達すべく構成
しているので、各車輪毎に油圧モーターを配置すること
がなく、前後1台ずつの油圧モーターにより駆動できる
ので、コストを安くすることが出来るのである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の油圧式無段変速装置を搭載したトラク
ターの全体側面図、第2図は油圧式無段変速装置の油圧
回路図、第3図は本発明の油圧式4輪駆動装置の油圧回
路図、第4図は操向旋回状態を示す図面、第5図から第
9図は操向輪駆動用可変モーターMFの斜板の油圧式操作
機構の実施例を示す図面、第10図はギヤボックスの一例
を示す図面である。 P……可変容量ポンプ MF……操向輪駆動用可変モーター MR……固定輪駆動用固定容量モーター V……自動切換弁 1……ステアリングハンドル 2……操向輪駆動用可変モーターの可変斜板 3……可変容量ポンプの斜板 11……前輪 12……後輪
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大橋 良太 尼崎市猪名寺341番地 株式会社神崎高 級工機製作所内 (56)参考文献 実開 昭59−23471(JP,U) 実開 昭50−80113(JP,U)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】操向輪駆動用可変モーターMFの回転をフロ
    ントデフ装置19を介して、左右の前輪11L,11Rに伝達
    し、固定輪駆動用固定容量モーターMRの回転をリアデフ
    装置20を介して、左右の後輪12L,12Rに伝達すべく構成
    した無段変速走行車輌において、エンジンEにより駆動
    される1個の可変容量ポンプPと、固定輪駆動用固定容
    量モーターMRとにより閉回路を構成し、該閉回路から圧
    油を取出す自動切換弁Vを配置し、該自動切換弁Vは前
    進と後進の場合において、可変容量ポンプPからの吐出
    油が固定輪駆動用固定容量モーターMRを通過し、これを
    駆動した後の下流の圧油を、操向輪駆動用可変モーター
    MFの前進と後進の回転方向に案内すべく構成し、前記操
    向輪駆動用可変モーターMFの可変斜板2を、ステアリン
    グハンドル1の回動に連動して回動操作させたことを特
    徴とする油圧式4輪駆動装置。
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