JP2593192Y2 - 焼却飛灰の固形化装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、例えば都市ゴミや産業
廃棄物等の焼却飛灰の固形化装置に関するもので、さら
に詳しくは前記焼却飛灰中に含まれる重金属をその固定
剤で固定した状態でしかも飛散することのないように焼
却飛灰自体を簡単に固形化できる焼却飛灰の固形化装置
に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の焼却飛灰は焼却飛灰中に
含まれる重金属が溶出して環境を汚染することを防ぐ必
要から、例えば焼却飛灰にセメントを添加して重金属を
固定化すると同時に固形化したり、或いは廃棄前に予め
鉱酸により焼却飛灰から重金属を溶出させる等の方法で
焼却飛灰に含まれる重金属を処理していた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来のセメントを用いる処理方法では、重金属の固定化と
焼却飛灰自体の固形化を同時に行える反面、重金属の固
定化を完全に行うことが困難で廃棄物中からの重金属の
溶出を完全に押さえることが難しばかりでなく、焼却飛
灰とセメントを均一に混合する作業が難しく、また取り
扱い易くするために造粒する場合には混合とは別個の工
程で造粒成形する必要があり、さらにはセメントの養生
に時間がかかるという不都合があった。

【０００４】また、鉱酸による溶出の場合は、酸を用い
た溶出作業が面倒であるばかりでなく、焼却飛灰の固形
化を酸処理後に別途行わなければならないという不都合
があった。そこで、本考案は前記従来の不都合を解消
し、重金属の固定化と焼却飛灰自体の固形化を同時にし
かも簡単に行える焼却飛灰の固形化装置を提供すること
を目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本考案の焼却飛灰の固形
化装置は、前記目的を達成するべく、予め水と混合して
おいた重金属固定剤を焼却飛灰と混合し、造粒成形する
ための焼却飛灰の固形化装置であって、有底円筒槽の底
部の中心部に直立して備えられる駆動軸と、該駆動軸の
下方に配置されるスクレーパ羽根と、該駆動軸のスクレ
ーパー羽根上方に配置され後退角を備える平羽根とから
なる。

【０００６】前記平羽根は、焼却飛灰の処理量や固形化
後の造粒形状、造粒径等に応じ、大きさや、形状を適宜
選択すればよく、一般には前記平羽根は複数枚配置させ
るのが好ましい。前記平羽根により、予め水と混合して
おいた重金属固定剤と焼却飛灰を混合、造粒するには、
平羽根に後退角を設けることが必要であり、この後退角
は３°〜８°の範囲であることが好ましい。また、前記
平羽根に２５°〜３５°の範囲のカット角に形成された
カット面を設けるのが好ましい。

【０００７】

【作用】有底円筒槽に収容される焼却飛灰は重力により
底部に向かうが、底部に達した焼却飛灰は駆動軸の回転
によりスクレーパー羽根によって上方にハネ上げられ、
ハネ上げられた焼却飛灰は平羽根の後退角に導かれて有
底円筒槽の円筒壁内面に向かって流動され、平羽根先端
と円筒壁内面との間に形成される間隙において円筒壁内
面に擦り付けられ造粒される。

【０００８】

【実施例】以下、本考案の焼却飛灰の固形化装置の一実
施例を図面に従い説明する。図１は焼却飛灰の固形化装
置の正面縦断面図を示すもので、架台１上の一端側にに
有底円筒槽２が載置され、この有底円筒槽２の底部２ａ
の中心部に直立させて駆動軸３が設けられ、該駆動軸３
にはその下方に配置されるスクレーパー羽根４と、スク
レーパー羽根４の上方に配置される平羽根５が備えられ
ている。また、前記架台１上の他端側には電動機６が設
けられ、前記駆動軸３に連結された従動プーリー７と電
動機に連結された駆動プーリー８とを伝動ベルト９で連
結し、電動機６の駆動により駆動軸１を最大毎分９０回
転、最小毎分４０回転程度の範囲の所望回転数で駆動自
在としてある。本実施例では、スクレーパー羽根４の上
方にこれに直交させて平羽根５を設け、さらにその上方
にピース１０を介して３枚の平羽根５をそれぞれ直交さ
せて設けるようにした。

【０００９】前記各平羽根５は図２及び図３に詳細を示
すように、平羽根５の半分長Ａに対してカット面長Ｂが
８５％程度となるようにカット面５ａを設け、このカッ
ト面５ａのカット角αを２５°〜３５°程度の範囲に形
成した。また、前記平羽根５の半分長Ａと平羽根巾Ｃと
の比率は３：１乃至４：１程度の範囲に形成した。さら
にまた、前記平羽根巾Ｃと先端巾Ｄとによる平羽根５の
後退角βは３°乃至８°程度の範囲に形成した。

【００１０】前記焼却飛灰の固形化装置の使用法につき
説明すれば、例えば、液体キレート樹脂等の重金属固定
剤を適当濃度に予め水と混合しておき、次いで本装置の
有底円筒槽２内に焼却飛灰を計量ホッパーで所定量投入
すると共に前記水と混合した重金属固定剤を投入する。
この時の混合割合は、水１０〜３０％、重金属固定剤
０．５〜５％、焼却飛灰６５〜８９．５％程度にするの
が好ましい。次いで、電動機６に通電し、駆動軸３を所
定回転数で駆動させ、スクレーパー羽根４によって焼却
飛灰を順次上方へハネ上げ、これを平羽根５によりカッ
トしつつ後退角βによって有底円筒槽２の円筒壁内周面
に向かって流動させ、平羽根５先端と円筒壁内周面との
間にできる間隙において焼却飛灰を円筒壁内周面に対し
て擦り付け、造粒する。

【００１１】尚、前記実施例においては平羽根全体をス
テンレス製のもので構成したが、平羽根の磨耗が著しい
ような焼却飛灰を処理する場合は、特に図示しないがカ
ット面をセラッミク製の代え刃と取替自在に構成するの
が好まし。

【００１２】

【考案の効果】以上説明したとおり、本考案の焼却飛灰
の固形化装置によれば、重金属の固定化と焼却飛灰自体
の造粒による固形化を同時にしかも簡単に行えるという
効果を奏する。また、駆動軸の回転数を調整することに
より、平羽根先端の周速度を制御でき、造粒する粒子の
形状、大きさを自由に調整できる。また、必要に応じ、
平羽根の数や大きさ、形状等を適宜選択することにより
造粒する粒子の形状、大きさを自由に調整でき、しかも
焼却飛灰の処理量に適宜対応できるという効果を奏す
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の焼却飛灰の固形化装置の一実施例の縦
断面図

【図２】前記装置に組み込まれる平羽根の平面図

【図３】前記装置に組み込まれる平羽根の端面図

【符号の説明】

１ 架台 ２ 有底円筒槽 ２ａ 底部 ３ 駆動軸 ４ スクレーパー羽根 ５ 平羽根 ５ａ カット面 ６ 電動機 ９ 伝動ベルト Ａ 平羽根の半分長 Ｂ 平羽根のカット面長 Ｃ 平羽根巾 Ｄ 平羽根の先端巾 α カット角 β 後退角

Claims (4)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 予め水と混合しておいた重金属固定剤を
   焼却飛灰と混合し、造粒成形するための焼却飛灰の固形
   化装置であって、有底円筒槽の底部の中心部に直立して
   備えられる駆動軸と、該駆動軸の下方に配置されるスク
   レーパ羽根と、該駆動軸のスクレーパー羽根上方に配置
   され後退角を備える平羽根とからなる焼却飛灰の固形化
   装置。
2. 【請求項２】 前記平羽根を複数枚配置させるようにし
   たことを特徴とする請求項１記載の焼却飛灰の固形化装
   置。
3. 【請求項３】 前記平羽根の後退角は３°〜８°の範囲
   であることを特徴とする請求項１または２記載の焼却飛
   灰の固形化装置。
4. 【請求項４】 前記平羽根に２５°〜３５°の範囲のカ
   ット角に形成したカット面を設けるようにしたことを特
   徴とする請求項１乃至３の何れかに記載の焼却飛灰の固
   形化装置。