JP2593017Y2 - 微生物検査用具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、食品等に使用される微
生物検査用具に関する。

【０００２】

【従来の技術】微生物検査には、例えば実開昭60−1791
99号公報、特開昭63−214176号公報に示すように、種々
の成分を含んだ寒天培地をシャーレ内に作成し、検査材
料から調製された被験液を寒天培地に接種する方法が一
般に行われているが、この方法では、検査材料を間接的
に調べることとなり、被験液の調製に手間がかかってい
た。1970年代に、硬質合成樹脂製容器の辺縁部から寒天
培地が盛上った形状のスタンプ式の細菌検査具が開発さ
れ、検査材料の表面に寒天培地の表面を圧接するだけで
簡単に微生物検査が出来るようになった。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、食品分
野では、検査材料が凸曲面をなしているものが多く、寒
天培地の検査材料への圧接時に、接触面での擦れが生
じ、検査材料に付着している菌数を正確に調べられず、
寒天培地が外部からの衝撃により容器から剥離し易いと
いう問題があった。

【０００４】本考案は、上記従来の問題点を解消し、寒
天培地が剥離し難い微生物検査用具を提供することを目
的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本考案は、培地が開口部
周縁から盛り上がるように充填された可撓性合成樹脂製
容器状本体と蓋体からなり、容器状本体の開口部周縁
に、折返し縁が外方に延設され、容器状本体の内周壁
に、突起が設けられたことを特徴とする。

【０００６】本考案の微生物検査用具に用いられる可撓
性合成樹脂としては、特に限定されないが、菌の発育状
況が視認出来るよう、透明なものを使用するのが好まし
く、例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化
ビニル、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。
又、耐衝撃性を向上させる為、ブタジエン等のゴム成分
を配合してもよい。

【０００７】微生物検査用具の厚み及び成形方法は、特
に限定されないが、厚み 0.2〜 0.6mmのシートから真空
成形もしくはプレス成形により成形するのが好ましい。

【０００８】微生物検査用具の表面には、鉛筆等の筆記
具で文字や記号等が直接記入出来るよう、粗面加工を施
すのが好ましい。

【０００９】微生物検査用具の容器状本体の内周壁に設
けられる突起は、本体と一体に成形されていても、別部
品を接着剤等で固着しても、何れでもよい。又、突起の
位置、数、大きさも、特に限定されず、例えば全周に亙
って連続的に設けても、断続的に設けても何れでもよ
く、後者の場合には全てが同一高さになくともよい。

【００１０】微生物検査用具の容器状本体の底面には、
培養後微生物の数を数える際の目安となるよう、枡目を
印刷もしくは成形しておいてもよい。

【００１１】微生物検査用具の容器状本体と蓋体とは、
必ずしも同一材質である必要はないが、同一材質とする
のが生産効率上好ましい。又、蓋体の内周壁には、微生
物の発育に必要な空気を取入れる為の隙間を、容器状本
体との間に確保出来るよう、上下方向の突条もしくは凹
溝を設けるのが好ましい。

【００１２】微生物検査用具の容器状本体に充填される
寒天培地としては、特に限定されず、例えば、標準寒天
培地、サブロー寒天培地、デソキシコレート寒天培地、
ＴＣＢＳ寒天培地、ＴＧＳＥ寒天培地等の半固形培地が
挙げられる。

【００１３】微生物検査用具は、寒天培地充填前にエチ
レンオキサイドガス（ＥＯＧ）滅菌、放射線滅菌、電子
線滅菌等の方法で滅菌処理されるが、中でもＥＯＧ滅菌
によるのが好ましい。

【００１４】

【作用】本考案は、培地が開口部周縁から盛り上がるよ
うに容器状本体に充填されていると共に、該容器状本体
内周壁に突起が設けられているので、当該突起が当然に
培地内に没入した状態となり、その状態で係止作用が奏
される結果、培地の剥離が防止される。

【００１５】

【００１６】

【実施例】以下本考案の実施例を図面に基いて説明す
る。図１は本考案の微生物検査用具の一実施例を示す斜
視図、図２はその容器状本体の断面図、図３は容器状本
体の手指による挾持状態の側面図である。 実施例１ 図１に於いて、１は可撓性合成樹脂製シートを真空成形
してなる微生物検査用具の容器状本体であって、容器状
本体１の開口部１１周縁には、中間に段部１３を有し、
上部が円形、下部が八角形の折返し縁１２が外方に延設
されている。

【００１７】容器状本体１の内周壁１４には、横長の突
起１５が略等間隔に接着により突設されており、底面１
６には、枡目１７が印刷されている。

【００１８】２は蓋体であって、円板21の周縁から垂設
された側壁22には、内方に突出した上下方向の４本の凹
溝23が、略等間隔に設けられている。

【００１９】クリーンベンチ内で、予めＥＯＧ滅菌処理
をした容器状本体１に、 121℃で20分間高圧蒸気滅菌
し、60℃前後に放冷した寒天培地３を、開口部11周縁か
ら２mm程度盛上がるようにして充填し、蓋体２を被着し
た。

【００２０】使用に際しては、微生物検査用具から蓋体
２を除去し、図３に示すように、容器状本体１の折返し
縁１２を手指で挾持して、寒天培地３の表面を検査材料
の食品の表面に圧接する。蓋体２を再被着した後、孵卵
器に入れて３７℃で２４時間培養する。尚、孵卵器を用
いない場合には、室温で３６〜４８時間培養する。培養
後、表面に生じた集落数を算定し、用いた寒天培地の鑑
別法に従って検査材料の判定を行う。

【００２１】本実施例に於ける容器状本体１からの寒天
培地３の剥離し難さを実証する為、前記したように寒天
培地３を充填した容器状本体１の折返し縁12を手指で挟
持して折曲し、寒天培地の容器状本体１からの剥離が開
始された際の折返し縁12の上部円形部の長さＬを測定し
たところ、30mmであった。変形前の長さＬは40mmであっ
た。これに対して、突起を有しない容器状本体を用いた
場合には、上部円形部の長さＬが40mmから36mmに変形し
た時点で、剥離が始まった。

【００２２】

【００２３】

【考案の効果】本考案は、叙上の通り構成されているの
で、寒天培地が容器から剥離し難い。

【図面の簡単な説明】

【図１】請求項１の考案の微生物検査用具の一例を示す
斜視図。

【図２】図１の容器状本体の断面図。

【図３】容器状本体の手指による挟持状態の側面図。

【符号の説明】 １ 容器状本体 ２ 蓋体 11 開口部 12 折返し縁 14 内周壁 15 突起 16 底面

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 培地が開口部周縁から盛り上がるように
   充填された可撓性合成樹脂製容器状本体と蓋体からな
   り、容器状本体の開口部周縁に、折返し縁が外方に延設
   され、容器状本体の内周壁に、突起が設けられたことを
   特徴とする微生物検査用具。