JPH0351394B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、栄養培地保持器と、カバーと、密封
用フオイルとから成る栄養培地保持装置に関す
る。栄養培地で満たされた栄養培地保持器は、微
生物の培養及び微生物の決定の目的に供される。
微生物の接種のために、いわゆるペトリ皿が現在
まで使用されて来た。このペトリ皿の底は栄養培
地の層でおおわれており、円形若しくは長方形で
ある。また、その底は平坦面から区劃された面で
ある。

これらのペトリ皿は、ペトリ皿の上面に載置さ
れ得る蓋で閉蓋される［グライナー著 医学の実
験技術と研究（Greiner、Labortechnik fu¨r
Medizin und Forschung）1976年35−36参照］。
表面接触培養又はいわゆる「デイツプ スライ
ド」（dip slide）は、局在する微生物を同定する
目的に供される。

現在まで、接触シヤーレが表面接触培養のため
に使用されて来た。それらはペトリ皿と形状が似
ているが、しかし、ペトリ皿よりは低い縁を有し
ており、その縁の上に接触のために栄養培地が突
き出ている（上記引用文献37頁参照）。

いわゆる、デイツプ スライドは栄養分培地に
おおわれた細長い細片である。かかる細片は栓若
しくは同様のシール部材で微生物による侵入を不
可能にした小さな管のなかに密封される。そして
該細片は液体培地中の微生物の決定のために用い
ることができる。

又、空気中の微生物の含有量を試験するための
装置は特公昭56−15227号公報で知られている。

そして、この装置に於ては、栄養培地でおおわ
れた保持器フオイルが使用されているが、該フオ
イルは該装置の大きさに合わされていると共に栄
養培地を受け入れるべく複数個のカツプに分割さ
れている。

ペトリ皿、接触シヤーレ、及びデイツプスライ
ドは比較的高価であり又同時に、これらペトリ皿
と接触シヤーレは、使用前に強固に密封し得られ
ないので、汚染される危険性が高く、特に、輸送
中に汚染される危険性が高い。

これに加え、これら３つの型式の容器の夫々
は、各別の処理と、各別の機器等を必要とする。
而して微生物の決定に当りこれら３つの型式の全
てに関与する使用者は、それらの容器の夫々を各
別に在庫品として保持しておく必要がある。

ペトリ皿は、微生物学の試験のために、これま
でロバート、コツホの時代から、すなわち約100
年間本質的に換えられることなく使用されて来
た。ただ一つ変わつたことは、皿の材料として今
日、合成樹脂が、当初ガラスが使用されてきたと
同様に使用されていることである。ペトリ皿方式
は、それが主に、少数のグループの使用者のため
に適用される限り、又試験が小規模に行なわれて
いる限りは或程度満足し得るものであり、また有
用なものと認められる。

しかしながら技術の進歩と合理化に伴い、製造
の見地から一層容易で且つ経済的であり、又標準
化された品質を提供し、且つ又二次汚染から保護
される方式の要求が起つた。

特公昭56−15227号公報に記述されているフオ
イルも、確かに、無菌包装を具備するものである
が、しかし、密封用フオイルが取り除かれ空気中
に含まれている微生物についての試験に使用され
た後では、もはや栄養培地保持器は自動的にカバ
ーに固着することができない。このシステムは、
接着テープ或はスライド或はその他の同様の手段
の助けによつて密封し得られるにすぎない。その
上、該フオイルは、特にその使用が意図された機
器にのみ特に使用し得るように作られている。

それゆえ、本発明の目的は、微生物による侵入
が不可能であるように気密に封口され、而も、ペ
トリ皿の代りに使用できるのみならず、表面接触
用並に液中の微生物の決定用にも使用できる多目
的性の容器を合理的な手段で経済的に提供するこ
と、更に、該容器のシールは、輸送中等使用前に
は微生物による侵入をできなくするものであり、
且つ又該容器は、ペトリ皿等と同様に接種後培養
まで再び充分に密封し得られるものを提供するこ
とにある。

本発明によれば、上記の問題は次のような栄養
培地保持器の保持装置によつて解決される。即ち
該装置は、栄養培地保持器と、カバーと、密封用
フオイルとから成る栄養培地保持装置において、
栄養培地保持器は、栄養培地を受け入れるべく形
成された凹部と、該凹部内を桟により細分し形成
される区劃室と、該凹部を囲繞すると共に該栄養
培地の表面よりも隆起せしめた玉縁と、その一端
の把手と、その両側と該把手の反対側の他端にか
け延びて該玉縁を囲繞する平坦縁とを有し、該カ
バーは、凹部と、該凹部を囲繞し、密封用フオイ
ルを受ける平坦縁とを有し、該カバーの該凹部
は、両側面と一端面において該平坦縁に向つて段
状に広がり該栄養培地保持器の大きさにまで達し
た段階状の棚を備え、而してその凹部の狭い方の
部分の大きさは、その両側壁と一端壁とが前記保
持器の該玉縁の両側と把手の反対側の一端におい
て接触するような寸法に形成され、更に該カバー
は、該棚の上縁に、栄養培地保持器を保持するた
めの係止用フランジを有し、該保持器の平坦縁
は、該段状棚に載置され、更に該カバーの凹部
は、栄養培地保持器の把手を載置する側で円形若
しくは傾斜状に形成されると共に該円形状若しく
は傾斜状部は、栄養培地保持器を把持し引出すた
めの凹部を備えることを特徴とする。

栄養培地保持器と、カバーと密封用フオイルは
任意に殺菌可能なフオイルで構成し得、その最初
に述べた２つの部材は、深絞り加工装置の助けに
よつて技術的に簡単な方法で製造し得られる。殺
菌可能な合成樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビ
ニル、ポリエステル、ポリスチロール、ポリエチ
レン、ポリプロピレン等の熱可塑性プラスチツク
を用いることが好ましい。

該栄養培地保持器は、栄養培地で塗覆され、該
カバー内にその被覆側を下向にした状態で挿入さ
れ、次で該密封用フオイルで、これを該カバーの
平坦縁上に気密に押し付け封口することにより気
密に密封する。しかしながら、特別の目的のため
には、栄養培地保持器とカバーと密封用フオイル
とから成る方式はまず始めには栄養培地なしでも
製造され、殺菌され、そして販売し得る。

栄養培地保持器は、長方形の形状であることが
好ましく、又その大きさは100×50mmであること
が特に好ましい。もちろん、その大きさは、それ
よりも大きくとも、小さくとも構わない。

栄養培地保持器の凹部は、25cm²の面積であるこ
とが好ましい。それにより、面積m²当りの微生物
の標準的発見の簡単な換算をすることができる。
この凹部は、多数の凹んだ区劃室に分割形成さ
れ、これにより栄養培地は所定位置に一層しつか
り保持されると共に微生物をカウントすることが
容易となる結果をもたらす。又これら区劃室は、
正方形若しくは長方形とし、且つその各面積は１
cm²とすることが好ましい。これら区劃室の分離形
成は、横桟と縦桟によつてなし得られる。長方形
の栄養培地保持器を安定化するためには、縦桟よ
り横桟をいくらか高くした縦横格子とすることが
好ましい。

栄養培地の表面を取り囲んでいる玉縁はその意
図する用途によりその高さを変えることが出来
る。高い玉縁で且つその玉縁より低い栄養培地面
レベルとした構成では本装置はいわゆるペトリ皿
として使用できる。一方、低い玉縁で且つ栄養培
地面レベルを該玉縁を越えてアーチ状に突出せし
めた構成では、本装置は表面接触培養又は液中培
養の微生物の決定に使用することができる。即
ち、コンタクトプレート、微生物インジケータ
ー、デイツプスライド等として使用できる。

その上、本装置は微生物学的感度（抗生物質に
対する抵抗）の決定及び病原生物（多様変種）の
同定にも使用することができる。玉縁が高い構成
形態では、該玉縁の高さは８mmとすることが好ま
しく、１方玉縁が低い構成形態では、該玉縁の高
さは４mmとすることが好ましい。両方の構成形態
とも、全く同じ形成用工具で製造することがで
き、その工具は、その玉縁の所望の高さに調整す
るだけでよい。低い玉縁の構成形態は、可撓性で
あることが都合がよい。而してそれはコンタクト
プレートとして使用する時に特別な利益をもたら
す。又更にこの構成形態では、図示しないが該玉
縁の１箇所又はそれ以上の箇所で凹溝のようなも
のを貫通させ、例えば、それが液体と共に用いら
れたときに該玉縁の周囲の該平坦縁より、良好な
排出を確保するようにしてもよい。

栄養培地保持器が栄養培地で満たされる場合に
は、該栄養培地面のレベルを玉縁よりも約2.5mm
以下にすることが有利である。特別の構成形態に
おいては、栄養培地保持器の凹部は、更に１つ若
しくはそれ以上の壁で分割し得られると共に各種
の栄養培地が個々の区劃室内に入れられる。

栄養培地保持器はその一端に把手を有し、その
結果、栄養培地に触れることなく、操作すること
ができる。該把手は、安定化のための浮き彫り突
起（profile）を備えることができる。又把手は
栄養培地保持器の幅を横断して延びることが適し
ており、その長さは20乃至25mmである。

該カバーは、凹部とともに平坦縁とから構成さ
れている。栄養培地保持器が入れられる該凹部は
平坦縁に向つて栄養培地保持器の大きさまで段状
に広がつている。而してその狭い側の底部は、そ
の両側壁と一端壁、よりに正確に述べれば、両側
壁と把手の反対側の一端壁が栄養培地保持器の玉
縁に接触するような大きさに作られる。上記の
「接触」の語により、該保持器が該カバーに挿入
されるとき、これらの壁は互いにすべり合うこと
が理解される。該保持器の玉縁を囲繞する平坦縁
は（カバーの凹部の）棚上を摺動する。該棚の上
部には栄養培地保持器を所定位置に固定するため
の係止用フランジがある。この結果、密封用フオ
イルを除去して菌を接種した後に、該栄養培地保
持器はカバー内にしつかりと押し込まれるか、よ
り詳しく言えばスナツプ固定され得るので、培養
までの無菌操作が保証される。

該係止用フランジは、該カバーの３方の周縁に
お互いに間隔を置いて、配設することができる。
しかしながら、それらをまた間隔のない連続した
ものに構成してもよい。

該カバーの栄養培地保持器の把手が載置するこ
ととなる側を、円形状若しくは傾斜状に形成し、
これによつて該保持器ははみ出すことがない。さ
らに、使用者が指を中に突つ込み且つ容易に栄養
培地保持器をつかみ込んで引張り出すことができ
るような凹部を備えている。その上縁凹部は必要
なガス交換に役立つ。

同じタイプのカバーを高い玉縁と低い玉縁とを
有する両方の形式の栄養培地保持器に使用するこ
とができる。夫々の場合において、該凹部の大き
さは、該保持器の玉縁と該カバーの底面との間に
必要なガス交換用の空隙が残るようなものにしな
ければならない。この空隙の幅は随意であるが、
約１乃至４mmであることが都合がよい。

装置全体を気密に且つ無菌的に密封する密封用
フオイルは、該カバーの平坦縁上に固着されてい
る。

本発明の実施の１例を示す図面につきさらに詳
細に説明する。第１図の栄養培地保持器１は、栄
養培地を受け入れるための長方形の凹部４を有し
ている。これは多数本の桟５によつて多数の長方
形の区劃室６に細分割されている。該凹部４の底
面から立ち上つた玉縁７が該凹部４全周を囲繞し
て延びている。栄養培地保持器１の一端に、把手
８が見られる。該把手８は安定用の浮き彫り突起
１５で補強されている。この構成においては、玉
縁７の延長部が安定用突起１５を形成したものを
図示している。平坦縁９は把手８と同じ平面上に
横たわりその玉縁７の周面を囲繞して延びてい
る。

第２図示の該カバー２は浴槽状の凹部１０を有
する。該凹部１０はその栄養培地保持器１の把手
８が重なり載置されるべき一端に凹部１４をもつ
丸みを有する。該凹部１０の丸みを有する側以外
の３方の直線部に沿い、コ字状に段階状の棚１２
が延びている。而してこれらの配備構成の全体を
囲繞して、本発明の栄養培地保持器１全体を気密
に密封するための密封用フオイル３を施すための
平坦縁１１が延びている。前記３方の直線部に沿
い、該平坦縁１１の内側には、係止用フランジ１
３が配設されており、これら係止用フランジ１３
は、密封用フオイル３がすでに除去された時でさ
え、該栄養培地保持器１をそのカバー２内に挿入
した状態で、その所定位置に保持するべく作用す
る。

第３図は、本発明に係る栄養培地保持装置全体
の中央縦断面図を示す。これに於て栄養培地保持
器１は、その栄養培地を受け入れるための凹部４
が下向きの状態で、即ち、該カバー２の底面を指
向した状態で該カバー２内に挿入収納されてい
る。而してその全体は、密封用フオイル３で密封
される。該密封用フオイル３は該カバー２の平坦
縁１１上面と同一平面上に載置固着される。この
断面図において、該段状棚１２、玉縁７、栄養培
地保持器１内の浴槽状凹部４、及び所定の位置に
栄養培地を受け入れ且つ保持する多数のカツプ状
の区劃室６に凹部４内を細分する桟５が確認でき
る。さらに、該カバー２の凹部１０内の把手８の
位置と、この把手８に使用者の手を挿入して把握
を可能にする凹部１４とが確認できる。さらに
又、該平坦縁１１から該凹部１０に向つて突出さ
せ、該突出部の下に凹溝を形成し、これにより栄
養培地保持器１の平坦縁９、従つて該栄養培地保
持器１全体を所定位置に保持する係止用フランジ
１３も又確認できる。

【図面の簡単な説明】

図面は、本発明実施の１例を示し、第１図は栄
養培地保持器の上面図、第２図はカバーの上面
図、第３図は栄養培地保持器装置の使用状態を示
すＡ−Ａ線断面図、第４図は同Ｂ−Ｂ線截断面図
を示す。 １…栄養培地保持器、２…カバー、３…密封用
フオイル、４…凹部、５…桟、６…区劃室、７…
玉縁、８…把手、９…平坦縁、１０…凹部、１１
…平坦縁、１２…棚、１３…係止用フランジ、１
４…凹部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 栄養培地保持器１と、カバー２と、密封用フ
   オイル３とからなる栄養培地保持器装置におい
   て、栄養培地保持器１は、栄養培地を受け入れる
   べく形成された凹部４と、該凹部４内を桟５によ
   り細分し形成される区劃室６と、該凹部４を囲繞
   すると共に該栄養培地の表面よりも隆起せしめた
   玉縁７と、その一端の把手８と、その両側と該把
   手８の反対側の他端にかけ延びて該玉縁７を囲繞
   する平坦縁９とを有し、該カバー２は、凹部１０
   と、該凹部１０を囲繞し、密封用フオイル３を受
   ける平坦縁１１とを有し、該カバー２の該凹部１
   ０は、両側面と一端面において該平坦縁１１に向
   つて段状に広がり該栄養培地保持器１の大きさに
   まで達した段階状の棚１２を備え、而してその凹
   部１０の狭い方の部分の大きさは、その両側壁と
   一端壁とが前記保持器１の該玉縁７の両側と把手
   ８の反対側の一端において接触するような寸法に
   形成され、更に該カバー２は、該棚１２の上縁
   に、栄養培地保持器１を保持するための係止用フ
   ランジ１３を有し、該保持器１の平坦縁９は、該
   段状棚１２上に載置され、更に該カバー２の凹部
   １０は、栄養培地保持器１の把手８を載置する側
   で円形状若しくは傾斜状に形成されると共に該円
   形状若しくは傾斜状部は、栄養培地保持器１を把
   持し引出すための凹部１４を備えることを特徴と
   する栄養培地保持装置。 ２ 栄養培地保持器１及びカバー２は長方形の形
   状であることを特徴とする特許請求の範囲第１項
   に記載の装置。 ３ 栄養培地保持器１は100×50mmの大きさであ
   ることを特徴とする特許請求の範囲第１項又は第
   ２項に記載の装置。 ４ 栄養培地を受け入れる凹部４は25cm²の表面積
   を有することを特徴とする特許請求の範囲第１項
   乃至第３項の何れかに記載の装置。 ５ 該区劃室６は夫々１cm²の面積を有しているこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第１項乃至第４項
   の何れかに記載の装置。 ６ 該区劃室６は夫々長方形の形状を有すること
   を特徴とする特許請求の範囲第１項乃至第５項の
   何れかに記載の装置。 ７ 該桟５に関して、横方向桟は縦方向の桟より
   も高いことを特徴とする特許請求の範囲第２項乃
   至第６項の何れかに記載の装置。 ８ 該把手８は安定又は補強用の浮彫り突起を備
   えることを特徴とする特許請求の範囲第１項乃至
   第７項の何れかに記載の装置。 ９ 該玉縁７は４mmの高さを有することを特徴と
   する特許請求の範囲第１項乃至第８項の何れかに
   記載の装置。 １０ 該玉縁７は、８mmの高さを有することを特
   徴とする特許請求の範囲第１項乃至第８項の何れ
   かに記載の装置。 １１ 該凹部４は１本若しくは数本の区劃用桟を
   有することを特徴とする特許請求の範囲第１項乃
   至第１０項の何れかに記載の装置。 １２ 該凹部４は栄養培地で満たされていること
   を特徴とする特許請求の範囲第１項乃至第１１項
   の何れかに記載の装置。 １３ 該区劃室６は異なる種類の栄養培地で満た
   されていることを特徴とする特許請求の範囲第１
   ２項に記載の装置。 １４ 該栄養培地保持器１と、該カバー２は殺菌
   可能なプラスチツクフオイルから成ることを特徴
   とする特許請求の範囲第１項乃至第１３項の何れ
   かに記載の装置。