JP2592635Y2 - ディスク再生装置のディスククランプ機構 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案はディスク再生装置のディ
スククランプ機構に関し、詳しくは光学的に情報を記録
したコンパクトディスク，ビデオディスク，あるいはア
ナログ式に音声を記録したレコード等のディスク類をタ
ーンテーブルに載置してこれを回転させる際に、ディス
クがターンテーブルに対してスリップしないようにクラ
ンプするディスク再生装置のディスククランプ機構に関
する。

【０００２】

【従来の技術】従来のこの種のディスククランプ機構
は、ディスクの中心に形成されたディスク孔を挿入する
スピンドルと称される外方に突出したディスク孔挿入部
が設けられているターンテーブルに、ディスクのディス
ク孔をローディングし、別体のクランパでディスク上を
外方から押さえ付けるようにしたものが一般的である。
しかるにこのような従来の装置は、別体のクランパを必
要とするので必然的に部品点数も多くなり、かつクラン
プ機構も大型化するという欠点があった。

【０００３】このような欠点を解消するため、ターンテ
ーブル中央にディスク孔挿入部を突設し、該ディスク孔
挿入部内を昇降しかつ径方向に移動するディスク押え片
によってディスクをクランプするようにし、部品点数が
少なく、プレーヤの小型化を図ったディスククランプ機
構が提案されている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなディスク孔挿入部内を昇降する押え片を設けたディ
スククランプ機構にあっては、ディスク孔挿入部の高さ
がディスクを挿入時の挿入し易さを考慮して高さが約２
ｍｍと低いため、ディスクの回転中に押え片によるクラ
ンプが解除された場合、ディスクがディスク孔挿入部か
ら飛び出してしまうことがあるという問題点があった。

【０００５】また、ディスク孔挿入部が、円筒体の上端
部に円錐面を形成した形状であるため、ディスクが傾斜
した状態でローディングされた場合、ディスク孔の真円
の内縁がディスク孔挿入部の傾斜した楕円形の外周面の
一部のみに当りディスクがディスク孔挿入部の途中に引
っかかり、ディスクが傾いたままになってしまい、正常
にローディングできなくなるという問題があった。

【０００６】本考案は、このような従来の課題に鑑みて
なされたもので、ディスク孔挿入部の高さをディスクの
厚さの３倍程度の高さにすることにより、クランプ解除
後のディスクの飛び出しがないディスククランプ機構を
提供することを目的とする。

【０００７】また、ディスク押え片がターンテーブル面
との間でディスクをクランプするためのディスクの厚み
程度の幅のディスク押え部下面を備えているのでディス
ク押え部の径方向への揺動を小さくすることができるの
で、ディスククランプ装置も小さくできターンテーブル
へのディスク装着が容易に行える。

【０００８】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の本考案
は、ターンテーブル中央に突設されたディスク孔挿入部
と、該ディスク孔挿入部に形成されたガイド孔内を昇降
しかつ径方向に揺動するディスク押え片とを備え、該デ
ィスク押え片とターンテーブルとの間でディスクをクラ
ンプするようにしたディスク再生装置のディスククラン
プ機構であって、前記ディスク孔挿入部のターンテーブ
ル面からの高さのディスクの厚さの３倍程度にしたこと
を特徴とするものである。

【０００９】ディスク孔挿入部のターンテーブル面から
の高さはディスクの厚さの３倍程度が望ましく、好まし
くは４〜６ｍｍであり、５ｍｍが最も好ましい。ここ
に、この高さをディスクの厚さの３倍程度としたのは、
高さを２倍以下にすると、ディスクの飛び出しを防止す
る効果がなく、高さを４倍以上にすると、高くなり過
ぎ、ディスクの挿入が滑らかでなくなるばかりか、部材
量も増えコスト増となるからである。

【００１０】また、請求項２記載の本考案は、請求項１
におけるディスク押え片がターンテーブル面との間でデ
ィスクをクランプするためのディスクの厚みの程度の幅
のディスク押え部下面を備えていることを特徴とするも
のである。

【００１１】

【作用】請求項１記載の本考案では、ディスク孔挿入部
のターンテーブル面からの高さがディスクの厚さの３倍
程度であるため、ディスクのディスク孔が挿入された状
態でクランプが解除されても、ディスクが傾斜または外
方に飛び出そうとしてもディスク孔の内周とディスクの
挿入部の外周との間に係合または摩擦接触が発生して飛
び出しを抑制する。

【００１２】また、請求項２記載の本考案のディスクク
ランプ機構では、ディスク押え片がターンテーブル面と
の間でディスクをクランプするためのディスクの厚み程
度の幅のディスク押え部下面を備えているので、ディス
ク押え部の径方向への揺動を小さくすることができるの
で、ディスククランプ装置も小さくできターンテーブル
へのディスク装着が容易に行える。

【００１３】

【実施例】以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明
する。図１〜４は請求項１記載の本考案に係るディスク
再生装置のディスククランプ機構の一実施例を示す図で
ある。まず、構成について説明する。図１において、１
００はディスククランプ機構であり、ディスククランプ
機構１００のターンテーブル１にはディスクを載置する
ターンテーブル面２を設けると共に、このターンテーブ
ル面２の中心部には、スピンドル孔と称されるディスク
の中心孔が挿入されるディスク孔挿入部３が設けられ、
このディスク孔挿入部３の中心から下方には、ディスク
モータ４のシャフト４ａが装着されるシャフト孔５が設
けられたボス６が設けられている。

【００１４】前記ディスク孔挿入部３のターンテーブル
面２からの高さＨは、３〜１０ｍｍ，好ましくは４〜６
ｍｍである。この実施例では、より好ましい５ｍｍに形
成されている。これはディスクの厚み（規格１．１〜
１．５ｍｍ）の３倍の高さであり、後述するようにクラ
ンプが解除されてもディスクがディスク孔挿入部３から
飛び出さないようになされている。

【００１５】前記ディスク孔挿入部３とターンテーブル
面２にはそれぞれにガイド孔７，８が設けられている。
ディスク孔挿入部３のガイド孔７は図３に示すように下
部が幅広部７ａとなっており、この幅広部７ａの上部両
側にテーパ状のカム面１４，１４が形成されている。こ
のガイド孔７は、前記ディスク孔挿入部３の円周上ほぼ
等間隔に三か所に形成されている。

【００１６】前記ガイド孔７にはディスクの押え片１１
の上端に形成されているディスク押え部９が嵌挿されて
いる。この押え片１１は前記ターンテーブル１のボス６
に昇降可能に嵌挿されているリング状部１０と一体に形
成され、ディスク押え部９は径方向へ揺動し得る弾性を
有している。前記ディスク押え部９の内端左右両側に
は、押え片１１が上昇時に前記カム面１４と係合する突
出部１３が形成されている。また、押え片１１の内側に
は、押え片１１が下降時に前記ガイド孔８の内周縁１５
に係合するカム面１６が形成されている。

【００１７】前記ターンテーブル面２の下側と、ディス
クの押え片１１のリング状部１０との間にばね１２を装
架して、押え片１１を下方に向かって付勢している。前
記ディスクモータ４が取り付けられたシャーシ１７に
は、支軸１８によって、先端を昇降可能にレバー１９が
軸支されており、このレバー１９の他端側とプレーヤデ
ィスク１７との間には、レバー１９の先端を下方に付勢
するばね２０が装架されている。

【００１８】次に作用を説明する。図２において、レバ
ー１９の他端側をばね２０の付勢に抗して押下すれば、
レバー１９の他端は上昇して、押え片１１のリング状部
１０をばね１２に抗して押し上げ、そのために押え片１
１はターンテーブル１に対して上昇する。その上昇に伴
って押え部９も上昇するが、その際に押え部９の左右両
側に突設した突出部１３がターンテーブル１のガイド孔
７の左右両側に設けたカム面１４にガイドされ、ターン
テーブル面２との間でディスクＡを挟持する押え部９の
先端を、ディスク孔挿入部３の周面内側に引き込ませ
る。

【００１９】そのためにディスクＡは、その中心孔をタ
ーンテーブル１のディスク孔挿入部３に嵌合するように
してターンテーブル面２に載置でき、その載置を行った
後にレバー１９の他端側の押下を中止して、ばね２０の
付勢力でその先端を下降させる。すると、リング状部１
０に対するばね１２の付勢力により押え片１１が下降す
るので、押え部９も下降し、この押え部９の下方に設け
たカム面１６がガイド孔８の内周縁１５に押されて、押
え部９の外周側の先端をディスク孔挿入部３の外周側に
突出させる。

【００２０】この時に、押え片１１も下降しているの
で、押え部９の下面がターンテーブル面２に載置されて
いるディスクＡの上面に押し付けられ、ディスクＡは押
え部９とターンテーブル面２間でクランプされ、ディス
クモータ４の回転がスリップすることなくディスクＡに
回転が伝達されるものである。

【００２１】上述の動作において、ターンテーブル１の
回転中にレバー１９を押下しディスクＡのクランプを解
除した場合、従来のようにディスク孔挿入部３の高さが
低いとディスクが挿入部３から飛び出すおそれがある。
本実施例では、挿入部３の高さＨが５ｍｍと高くしてあ
るので、ディスクがクランプの解除により、傾斜しなが
ら、または、上方に移動しようとしても、その途中で、
ディスクのディスク孔の内周と挿入部３の外周との間に
接触が起こり、ディスクの飛び出しが抑制され、ディス
クが飛び出すことがない。このため、ディスクは常に、
ターンテーブル面上に安定して載置され、飛び出しが防
止される。

【００２２】図５〜７は、請求項２記載の本考案のディ
スク再生装置のディスククランプ機構の一実施例を示す
図であり、図１に示す実施例と同じ構成には同じ符号を
つける。２００はディスククランプ機構であり、ディス
ククランプ機構２００はターンテーブル１のディスク孔
挿入部３が、前記ディスク孔挿入部３の側面から上面に
至る面を一つの球面体の外表面の球面の一部を構成する
球面部３ａとした場合である。これはディスクＡ₁が図
６に示すように傾斜した状態でローディングされた場
合、ディスク孔挿入部３が円錐状体であると途中で引っ
かかる虞があるが、本考案のディスク孔挿入部３は側面
が球面からなる球面部３ａとなっているので、ディスク
孔の真円の内周縁は傾斜しても球面部３ａの円形の外周
面に一様に当り、引っかかることがなく滑らかにターン
テーブル１上にローディングされる。

【００２３】

【本考案の効果】以上説明したように、本考案によれ
ば、ディスク孔挿入部の高さをディスクの厚さの３倍程
度にすることにより、ディスク回転中にクランプが解除
してもディスクが飛び出すことがなくなり、他の特殊な
飛び出し防止手段も必要とせず、ディスクの飛び出しを
簡単な機構により低コストに実施することができる。ま
た、ディスク押え片がターンテーブル面との間でディス
クをクランプするためのディスクの厚み程度の幅のディ
スク押え部下面を備えているのでディスク押え部の径方
向への揺動を小さくすることができるので、ディスクク
ランプ装置も小さくできターンテーブルへのディスク装
着が容易に行える。

【図面の簡単な説明】

【図１】請求項１記載の本考案のディスク再生装置のデ
ィスククランプ機構の一実施例を示す縦断側面図であ
る。

【図２】図１に示す実施例の作動状態を示す縦断面図で
ある。

【図３】図１に示す実施例のディスク孔挿入部の側面図
である。

【図４】図１に示す実施例のディスク押え片の側面図で
ある。

【図５】請求項２記載の本考案のディスククランプ機構
の一実施例を示す縦断面図である。

【図６】図５に示す実施例の作動状態を示す縦断面図で
ある。

【図７】図５に示す実施例のディスク孔挿入部の側面図
である。

【符号の説明】

Ａ，Ａ₁ ディスク １ ターンテーブル ２ ターンテーブル面 ３ ディスク孔挿入部 ３ａ 球面部 ７ ガイド孔 ８ ガイド孔 ９ ディスク押え部 １１ ディスク押え片 １００ ディスククランプ機構 ２００ ディスククランプ機構

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ターンテーブル中央に突設されたディスク
   孔挿入部と、該ディスク孔挿入部に形成されたガイド孔
   内を昇降し、かつ径方向に揺動するディスク押え片とを
   備え、該ディスク押え片とターンテーブルとの間でディ
   スクをクランプするようにしたディスク再生装置のディ
   スククランプ機構であって、前記ディスク孔挿入部のタ
   ーンテーブル面からの高さをディスクの厚さの３倍程度
   にしたことを特徴とするディスク再生装置のディスクク
   ランプ機構。
2. 【請求項２】前記ディスク押え片は、ターンテーブル面
   との間でディスクをクランプするためのディスクの厚み
   程度の幅のディスク押え部下面を備えていることを特徴
   とする請求項１記載のディスク再生装置のディスククラ
   ンプ機構。