JP2592475Y2 - 提げ手付きカートン - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、ビールや清涼飲料等
の缶容器入り飲料に広く用いられているアルミニウム缶
のような上下両端部が先細り状に絞り込まれてなる缶容
器入り飲料用の提げ手付きカートンに関する。

【０００２】

【従来の技術】ビール、清涼飲料等の缶入り飲料は、１
カートンに２４缶が詰め込まれて包装されることが多い
が、そうすると、３５０ｃｃの缶容器のものは、１カー
トンの重量が９ｋｇ前後になってしまう。これを手で運
ぶ場合、いささか運び難いために、種々の提げ手付きカ
ートンが提案されている（例えば、特開平２−２８２０
４１号、特公平３−２７４３号等）。

【０００３】

【従来技術の課題】ところが、このような従来の提げ手
付きカートンは、提げ手を形成するために通常のカート
ンより材料を多く必要としたり、またあるものは、予め
カートンの一部を切り欠いて手指差し入れ孔が設けられ
ているために、提持し難かったり、缶の一部が露出して
外観体裁が悪くなったり、輸送・運搬時に缶に傷が付い
たり、するというような欠点があった。

【０００４】そこで、本願考案者は、アルミニウム缶は
周壁上下両端部が、先細り状に絞り込まれてやや細くな
っており、カートンに詰め込んだ場合、前記周壁上下両
端部とカートンの角部との間に隙間ができることに着目
した。そして、この隙間をうまく利用して、一般に使用
されている缶入り飲料用カートンを、別材料を用いるこ
となく僅かに加工するだけで、使い勝手の良い提げ手が
得られることに思い至ったのである。

【０００５】すなわち、この考案は、通常のカートンと
同じ材料費で製作することができ、かつ提持携行時以外
は、缶が外から見えることなく外観体裁も良好であっ
て、輸送・運搬中に缶容器に傷を付ける虞もなく、しか
も飲料メーカーの従来の包装ラインに支障なく対応ので
きる提げ手付きカートンを提供することを目的とするも
のである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】而して、上記目的を達成
するために、この考案は、側壁に一対の切目を設けて、
提げ手を側壁の長さ方向に沿って形成するものとし、ま
た、底壁及び上壁の提げ手側の側端部を、提げ手を起こ
す際に斜状となるものとして、提げ手を起こしやすくし
ている。

【０００７】すなわち、この考案は、上下両端部が先細
り状に絞り込まれてなる缶容器の上下両面が上壁又は底
壁に向かい合うものとなされたカートンであって、前記
上壁及び底壁に折り目を介して連設された側壁の中央部
に、側壁の長さ方向に沿った提げ手を形成するための一
対の提げ手形成用切目が設けられると共に、前記上壁及
び底壁に、提げ手を起こす際に上壁及び底壁の端部を缶
容器の上下両端部に対応した斜状とする、前記側壁に跨
がる一対の切目が設けられ、前記上壁及び底壁には、一
対の切目を結ぶ折目が設けられると共に、前記側壁に
は、前記提げ手形成用切目と切目とを円弧状に結ぶ円弧
状折目が設けられてなることを特徴とする提げ手付きカ
ートン、を要旨としている。

【０００８】また、前記側壁の裏面に、提げ手補強用薄
材が貼着されていることが好ましい。

【０００９】

【作用】提げ手両側の側壁中央部を内方に押し下げなが
ら、提げ手の両側端を掴んでカートンを持ち上げると、
被包装物の重量により、上壁及び底壁の前記側壁がわの
端部が提げ手に引っ張られて斜状となる。その分、側壁
中央部が上方にもち上がり、ひいては提げ手が上昇し、
提げ手と被包装物との間に、手指を差し入れるだけの空
間が生じる。

【００１０】

【実施例】以下、この考案を図面に示す実施例に基いて
説明する。

【００１１】この考案に係る提げ手付きカートンは、従
来一般に使用されているいわゆるラップラウンド式の段
ボール製のカートンの基本的形態をそのまま踏襲したも
ので、１枚のダンボールから作製され、図４に展開状態
で示すように上壁（１）、側壁（２）、底壁（３）、側
壁（４）及び胴貼り用接合片（５）が折目（２０）（２
１）（２２）（２３）を介して一連に連設され、底壁
（３）の内面上に被包装物である缶容器の所定個数を直
立状態で整列させた後、側壁（２）、上壁（１）、側壁
（４）及び胴貼り用接合片（５）を缶容器に巻き回すよ
うに折り曲げていくものとなされている。

【００１２】また、上壁（１）、側壁（２）、底壁
（３）及び側壁（４）の、図４に示す展開状態における
各々の上下両端部には、折目（２４）（２４）（２５）
（２５）（２６）（２６）（２７）（２７）を介して開
口部を閉鎖する閉鎖片（１４）（１４）（１５）（１
５）（１６）（１６）（１７）（１７）が連設されてい
る。図１は、所定個数の缶容器（Ｐ）（Ｐ）……が、こ
の提げ手付きカートンに包装された状態を示し、前記閉
鎖片（１４）（１５）（１６）（１７）が開口部を閉鎖
している。

【００１３】上壁（１）及び底壁（３）に折目（２０）
（２１）を介して連設された側壁（２）の略々中央部
に、側壁（２）の長さ方向に沿って一対の提げ手形成用
切目（７）（７）が設けられ、その主体部（７ａ）（７
ａ）間の帯状部位が提げ手（６）となされている。この
提げ手（６）の裏面には、側壁（２）の両端部にまで延
びた帯状の提げ手補強用薄材（１８）が貼着されてい
る。前記提げ手形成用切目（７）（７）は、主体部（７
ａ）（７ａ）が円弧状に形成されると共に、各々の両端
部（７ｂ）（７ｂ）は、外方に向かって緩やかにカーブ
する略々し字状に形成され、その先端どうしは折目（１
１）（１１）を介して結ばれている。（１２）（１２）
は、前記提げ手形成用切目（７）（７）と前記折目（１
１）（１１）とに囲まれた押下げ部である。

【００１４】一方、上壁（１）及び底壁（３）に、提げ
手（６）を起こす際に、上壁（１）及び底壁（３）の端
部を斜状とする、前記側壁（２）に跨がる一対のし字状
切目（８）（８）、（８）（８）と、この一対の切目
（８）（８）、（８）（８）を結ぶ折目（９）（９）と
が設けられている。し字状切り目（８）（８）（８）
（８）と前記提げ手形成用切目（７）（７）とは、側壁
（２）の下面側において、円弧状折目（１０）（１０）
を介して結ばれると共に、側壁（２）を挟んで対向する
し字状切目（８）（８）（８）（８）どうしは、折目
（１３）（１３）を介して互いに結ばれている。

【００１５】また、上壁（１）には、上壁（１）の長さ
方向の中央部であって一方の側壁（２）寄りの部位に、
上壁（１）の幅方向に沿った一文字状切目（３０）と、
の一文字状切目（３０）の両側に一対のハ字状の切目
（３１）（３１）（３１）（３１）が設けられると共
に、上壁（１）内面のライナーには、前記一文字状切目
（３０）と直交する一対の互いに平行なミシン目（３
２）（３２）が刻設されている。このミシン目（３２）
（３２）は、上壁（１）に連設された閉鎖片（１４）
（１４）にまで延設され、前記一文字状切目（３０）を
引裂き開始部位とし、ミシン目（３２）（３２）に沿っ
て上壁（１）を破断しうるものとなされている。一方、
側壁（４）にも同様の一文字状切目（３０）、ハ字状切
目（３１）（３１）（３１）（３１）及びミシン目（３
２）（３２）が設けられている。このミシン目（３２）
（３２）は、側壁（４）に連設された閉鎖片（１７）
（１７）にまで延設され、前記一文字状切目（３０）を
引裂き開始部位とし、ミシン目（３２）（３２）に沿っ
て側壁（４）を破断しうるものとなされている。このよ
うにして上壁（１）及び側壁（４）を破断することによ
り、陳列に際して、カートンの基本形態を損なうことな
く所定の部位のみを切り取って缶容器（Ｐ）を視認でき
る状態で複数個のカートンを段積みすることが可能とな
る。

【００１６】なお、図中（３３）は、引裂きを補整する
ための切目である。

【００１７】上記構成を有する提げ手付きカートンは、
前記のとおり、通常のラップラウンド式のカートンと同
様に、箱詰め及びカートンの所要箇所の貼着が機械によ
り行われ、図１に示す包装完了状態が得られる。

【００１８】次に、この包装完了状態から、提げ手を起
こして、提げ持つ際の操作について説明する。先ず、こ
の包装完了状態において、提げ手（６）とその両側の押
し下げ部（１２）（１２）とは、面一の状態にあるが、
押し下げ部（１２）（１２）を押し下げると、提げ手
（６）が、その側端部を掴みうる程度に相対的に押し下
げ部（１２）（１２）より高位置にあるものとなる。そ
こで、提げ手（６）の左右両側端を掴みながらカートン
を持ち上げるか、あるいは、さらに提げ手（６）のみを
引き上げると、側壁（２）の側端部を上方に引っ張り上
げる力が生じる。その際、側壁（２）の側端部に連なる
上壁（１）及び底壁（３）の端部は、し字状切目（８）
（８）（８）（８）と、切目（８）（８）（８）（８）
どうしを結ぶ折目（９）（９）とに囲まれた部位が、側
壁（２）側に傾斜して、側壁（２）の中間部が上方に引
き上げられる。ひいては前記中間部が引き上げられた分
だけ提げ手（６）も実質的に上方に移動するので、提げ
手（６）と被包装物（Ｐ）との間に手指を差し入れるの
に十分な空間が生じる。また、提げ手形成用切目（７）
（７）と、上壁（１）又は底壁（３）と側壁（２）とに
跨がるし字状切目（８）（８）（８）（８）とを結ぶ円
弧状折目（１０）（１０）（１０）（１０）によって、
提げ手（６）が起こしやすくなる。そして、この空間に
手指を差し入れて、提げ手（６）を把持すれば、カート
ンの提持携行を楽に行うことができる。

【００１９】また、提げ手（６）を用いた運搬後、カー
トンをすぐには開封しないで保管しておく場合には、提
げ手（６）を、押し下げると、押し下げ部（１２）（１
２）と面一の状態になって、側壁（２）が略々平になり
缶容器が露出することもなく衛生的であると共に、外観
体裁も良好である。

【００２０】なお、側壁裏面の提げ手補強用薄材（１
８）は、実施例においては提げ手（６）の裏面を通る程
度の太さのものであるが、要すれば側壁裏面全体を覆う
ようなものであっても良いし、段ボールの強度が許せ
ば、必ずしも必要なものではない。

【００２１】

【考案の効果】上述の次第で、この考案に係る提げ手付
きカートンは、上下両端部が先細り状に絞り込まれてな
る缶容器（Ｐ）の上下両面が上壁（１）又は底壁（３）
に向かい合うものとなされたカートンであって、前記上
壁（１）及び底壁（３）に折り目（２０）（２１）を介
して連設された側壁（２）の中央部に、側壁（２）の長
さ方向に沿った提げ手（６）を形成するための一対の提
げ手形成用切目（７）（７）が設けられると共に、前記
上壁（１）及び底壁（３）に、提げ手（６）を起こす際
に上壁（１）及び底壁（３）の端部を缶容器（Ｐ）の上
下両端部に対応した斜状とする、前記側壁（２）に跨が
る一対の切目（８）（８）、（８）（８）が設けられ、
前記上壁（１）及び底壁（３）には、一対の切目（８）
（８）、（８）（８）を結ぶ折目（９）（９）が設けら
れると共に、前記側壁（２）には、前記提げ手形成用切
目（７）（７）と切目（８）（８） （８）（８）とを円
弧状に結ぶ円弧状折目（１０）（１０）（１０）（１
０）が設けられてなるものであるから、提げ手（６）を
起こしやすくかつ提げ手（６）と被包装物Ｐとの間に手
指を差し入れるだけの十分な空間が生じるので、提持し
やすい。

【００２２】また、提げ手（６）を使用する前は、カー
トンに切目（７）（７）（８）（８）……や折目（９）
（９）があるだけで、中の被包装物が見えないので外観
体裁も良いし、被包装物の十分な保護もできる。

【００２３】さらに、従来のカートンに提げ手形成用切
目（７）（７）、前記側壁（２）に跨がる一対の切目
（８）（８）、（８）（８）及びこの一対の切目（８）
（８）、（８）（８）を結ぶ折目（９）（９）や切目
（８）（８）、（８）（８）と提げ手形成用切目（７）
（７）とを結ぶ円弧状折目（１０）（１０）（１０）
（１０）を付加するだけで、簡単に製作でき、かつ、従
来のカートンを用いた包装ラインにそのまま対応できる
ので、コストアップを生じることがないという利点を有
する。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案に係る提げ手付きカートンの一部切欠
き斜視図である。

【図２】同提げ手付きカートンの提げ手を起こした状態
の斜視図である。

【図３】図２のＩＩＩ−ＩＩＩ線断面図である。

【図４】同提げ手付きカートンの展開状態の平面図であ
る。

【符号の説明】

１…上壁 ２…側壁 ３…底壁 ４…側壁 ６…提げ手 ７…提げ手形成用切目 ８…し字状切目 ９…折目 １０…円弧状折目 ２０、２１…折目

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 上下両端部が先細り状に絞り込まれてな
   る缶容器（Ｐ）の上下両面が上壁（１）又は底壁（３）
   に向かい合うものとなされたカートンであって、前記上
   壁（１）及び底壁（３）に折り目（２０）（２１）を介
   して連設された側壁（２）の中央部に、側壁（２）の長
   さ方向に沿った提げ手（６）を形成するための一対の提
   げ手形成用切目（７）（７）が設けられると共に、前記
   上壁（１）及び底壁（３）に、提げ手（６）を起こす際
   に上壁（１）及び底壁（３）の端部を缶容器（Ｐ）の上
   下両端部に対応した斜状とする、前記側壁（２）に跨が
   る一対の切目（８）（８）、（８）（８）が設けられ、
   前記上壁（１）及び底壁（３）には、一対の切目（８）
   （８）、（８）（８）を結ぶ折目（９）（９）が設けら
   れると共に、前記側壁（２）には、前記提げ手形成用切
   目（７）（７）と切目（８）（８）（８）（８）とを円
   弧状に結ぶ円弧状折目（１０）（１０）（１０）（１
   ０）が設けられてなることを特徴とする提げ手付きカー
   トン。
2. 【請求項２】前記側壁（２）は、裏面に提げ手補強用薄
   材（１８）が貼着されてなる請求項１に記載の提げ手付
   きカートン。