JP2591534B2 - パルス溶接装置 - Google Patents

パルス溶接装置

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JP2591534B2
JP2591534B2 JP50365890A JP50365890A JP2591534B2 JP 2591534 B2 JP2591534 B2 JP 2591534B2 JP 50365890 A JP50365890 A JP 50365890A JP 50365890 A JP50365890 A JP 50365890A JP 2591534 B2 JP2591534 B2 JP 2591534B2
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要一郎 田畑
成夫 殖栗
至宏 植田
正紀 水野
義明 加藤
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 パルス放電を利用した溶接装置すなわちパルス溶接装
置に関し、さらに詳しくは、予め設定したシミュレーシ
ョンアーク長の周期的な繰り返しに従って供給され、ア
ーク溶接を行なう溶接電流波形を補正制御するパルス溶
接装置に関するものである。
背景技術 アーク溶接装置の一例として溶接電極と被溶接物間に
発生させたアーク放電の熱により被溶接物の溶接を行な
うもの、又、アーク放電にパルス放電を利用したパルス
アーク溶接装置があり、特にパルスアーク溶接装置は複
数個のパルス集団から構成されるパルス電流群を使用し
たパルスアーク溶接装置がある。
従来、この種のアーク溶接装置として第47図(a),
(b)に示すように、アーク電流としてパルス電流を同
期的に繰り返して給電し、アーク溶接を行なうものがあ
り、そしてその構成を第44図に示す。図において、
(1)は溶接トーチ(2)に支持されたワイヤ電極
(3)と被溶接物(4b)に溶接電流を給電し、アーク
(4a)を発生させるアーク溶接電源、(5)はワイヤ電
極(3)と被溶接物(4b)間に発生するアーク電圧を検
出する電圧検出器、(6)はアーク電流を検出する電流
検出器、(7a′)は自動溶接評価部であり、その構成と
して、(7a′)は比較電圧Vaを設定する電圧設定器、
(7a′)は検出アーク電圧Vを入力し、アーク電圧Vを
平均電圧Vに変換する平均電圧変換器、(7a3′)は平
均電圧Vと比較電圧Vaを比較する比較器、(7a4′)は
予め設定された所定電流をアーク溶接電源(1)からア
ーク(4a)に供給するための電流設定器、(7a5′)は
比較器(7a3′)の出力信号ΔVを入力して電流設定器
(7a4′)の出力I0を補正するための加算器、(7a6′)
は電流検出器(7a4′)からのアーク電流Iと、加算器
(7a5′)の出力I0とを比較し、アーク電流Iが設定電
流I0に沿った電流となってアーク溶接電源(1)より供
給されるべく指示信号(ON、OFF)を出力する比較器。
次に、上記構成に基づき従来装置の動作について説明
する。アーク溶接電源(1)を構成するスイッチング素
子により、アーク電流波形を供給すべく変換されたアー
ク溶接電圧(以下、溶接電圧とする)がワイヤ電極
(3)と被溶接物(4b)間に印加されると、ワイヤ電極
(3)と被溶接物(4b)との間にはアーク(4a)が発生
し、その際、発する熱でワイヤ電極(3)と被溶接物
(4b)が加熱され溶融し、溶融したワイヤ電極(3)の
溶融塊の被溶接物側への移行で被溶接物(4b)は溶接さ
れる。
しかし、ワイヤ電極送給速度の変動や溶接トーチの振
れ、溶接物の歪などの外乱が生じると、この外乱により
アーク溶接負荷が変わり溶接電源から供給される入熱が
変わり、その結果として通常の溶融塊の溶融・離脱に伴
う規則的なアーク長の軌跡に比べ溶接電極と被溶接物間
の間隔(アーク長)が大きくなりすぎたり、或は狭くな
りすぎたりして溶接状態が不安定になる。そのため、電
圧検出器(5)によって検出した溶接電極−被溶接物間
のアーク電圧Vを平均電圧変換器(7a2′)で平均化
し、その平均アーク電圧Vと電圧設定器(7a1′)によ
って設定された比較電圧Vaとを比較器(7a3′)で比較
し、平均アーク電圧Vが比較電圧Vaより大きければ(Δ
V<0)、比較電圧Vaに相当する仮想平均アーク長より
長いと仮定して予め設定した設定電流I0よりC・ΔV下
げるように加算((7a5′)でI0を補正し、比較器(7
a6′)に出力している。ここでCは比例定数。
従って、一定速度で被溶接物(4)に送給する溶接電
極は溶融量が少なく電極先端の溶融塊も成長しにくくな
るので、次第にアーク長を狭めることになる。
また平均アーク電圧Vが比較電圧Vaより小さければ
(ΔV>0)、比較電圧Vaに相当する仮想平均アーク長
より短かいと仮定して、予め設定した設定電流IOよりC
・ΔV増加させるように加算器(7a5′)でIOを補正
し、比較器(7a6′)に出力している。
この結果、ワイヤ電極に流れるアーク電流は増加し、
ワイヤ電極の送給速度が一定で、電極の溶融量が多くな
るので、次第にワイヤ電極と被溶接物との間隔(アーク
長)が広がる。
しかして、このような単一パルス電流によってアーク
溶接を行なうと、アークを発生するワイヤ電極を被溶接
物上で一定方向に移動させながらアーク溶接を行なう場
合、溶接トーチからアーク、アークから被溶接物へ流れ
る電流パスによって溶接空間中で形成される磁界分布が
変わる。つまり、溶接継手形状やアース点の違いによる
溶接空間中での磁界分布がケースバイケースによって違
う。この磁界分布とアーク電流の方向により電磁力がア
ークに働き、アークを被溶接物に対して傾かせる磁気吹
き現象が生ずる。この磁気吹き現象は第49図の各溶融塊
離脱過程(A-1)〜(C-1),(A-3)〜(C-3)に示され
るごとく、溶融塊が偏向したアークによって持ち上げら
れることで、アーク長が長くなり、ワイヤ先端に形成し
た溶融塊がアークの傾いた方向に曲がり、スムーズな溶
融塊の離脱が行なわないとともに溶融塊が鉄板の溶接部
へ移行せず、外へ飛び出すなどの不安定が生じやすかっ
た。
このような、アークの磁気吹きによる溶融塊の偏向を
抑制するため、第48図に示すように単一のパルスを複数
個のパルスに分割したパルス電流群をアーク電流として
溶接を行なうパルスアーク溶接装置が提案されている。
第45図は上記従来のパルスアーク溶接装置の構成図で
ある。
図において、(1)はパルス電流からなるアーク電流
を溶接器本体に給電するアーク溶接電源であり、その構
成として(1a)は三相交流電圧を所定の周波数に変換し
てトランス(1c)へ出力するインバータ回路部、(1b)
は該インバータ回路を駆動するインバータ駆動回路、
(1d),(1d)は変圧したインバータ出力を整流し、パ
ルス電流からなるアーク電流を得るダイオードである。
(2)は溶接トーチ、(3)はワイヤリールより送給ロ
ーラによって被溶接物(4b)方向に送給したワイヤ電
極、(4a)はワイヤ電極(3)と被溶接物(4b)間に発
するアーク、(5)はアーク電圧を検出する電圧検出
器、(6)はアーク電流を検出する電流検出器、(8a)
はワイヤ電極(3)を被溶接物(4a)に対して送給する
ワイヤ送給装置、(8b)はワイヤ送給速度を設定するワ
イヤ送給速度設定器、(13)は平均アーク電圧を設定す
る平均電圧設定器である。(14)はパルス電流群を設定
し、アーク電流として出力するパルス電流波形制御回路
であり、その回路構成としてパルス波形整形器(14
a)、パルス群周期CB設定器(14b)、パルス群期間X設
定器(14c)、パルス群波形設定器(14d)、パルス幅τ
設定器(14e)、パルス周期CA設定器(14f)、生成され
たパルス電流群とベース電流出力器(14h)より出力さ
れるベース電流を加算する加算器(14g)、アーク電流
検出値とパルス電流群出力を比較する比較器(14i)よ
り構成している。
次に、この従来装置の動作について説明する。まず、
パルス群波形設定器(14d)、パルス幅τ設定器(14
e)、パルス周期CA設定器(14f)からそれぞれパルス群
波形信号、パルス幅τ信号、パルス周期CA信号をパルス
波形整形器(14a)に送る。また、パルス群周期CB設定
器(14b)、パルス群期間X設定器(14c)からそれぞれ
パルス群周期CB信号とパルス群期間X信号をパルス波形
整形器(14a)に送る。そうすると、パルス波形整形器
(14a)は、特定のパルス群波形、パルス周期CAをもつ
パルス群信号を上記のパルス群周期CB信号とパルス群期
間X信号により第48図で示した間欠パルス群波形に整形
する。さらに、ベース電流出力器(14h)からのベース
電流IB信号で上記間欠パルス群波形に直流電流IBを重畳
した波形(第48図)に整形する。この整形したパルス電
流群信号と電流検出器(6)で検出した電流信号とを比
較器(14i)に入力することにより、パルス電流群信号
と検出電流信号の大小関係に応じたインバータ駆動信号
がインバータ駆動回路(1a)からインバータ回路部(1
b)へ伝達され、インバータを駆動している。
このインバータ駆動によって、第48図で示したパルス
アーク電流群を溶接部に供給している。アーク負荷部で
は、パルスアーク電流群の供給と同時にワイヤ電極
(3)がモータ(図示せず)によって連続送給してい
る。したがって、パルスアーク電流群によって、ワイヤ
電極(3)と被溶接物(4b)間にパルスアーク放電(4
a)を生成し、被溶接物(4b)とワイヤ電極(3)の先
端部をパルスアーク放電(4a)で溶融する。このワイヤ
電極(3)の溶融した部分を被溶接物(4b)の溶融部に
連続的に落下させることにより溶接が行なわれるのであ
る。そのため当然にワイヤ電極(3)が連続して消耗し
ていく。その消耗量を補うため上記モータでワイヤ電極
(3)を溶接トーチ(2)へ連続送給している。
次に、上記パルスアーク電流波形IPの高周波特性につ
いて第46図を参照しながら説明すると、1つのパルス電
流のパルス幅τが短くなることと、パルス電流群Xでの
パルス電流が間欠となることにより、一旦パルス電流に
よって生じる電磁力の大きさがパルス電流の印加に対応
して大小に変化する。そうすると、ワイヤ電極(3)の
先端部に形成された溶融塊(3a)に及ぼす力は、パルス
電流が通電しているときはパルスピーク電流値IPによる
電磁力Fが主流を占め、パルス電流の通電が休止すれ
ば、パルス電流の通電時による電磁力に対する反作用、
溶融塊の表面張力、或は重力などによる力がベース電流
による電磁力に比べ非常に強くなり、この力がピンチ力
Pとして溶融塊(3a)に働く。そのため、ワイヤ電極
(3)の先端に形成した溶融塊(3a)はパルス電流群X
のパルス周波数によって振動することになる。この溶融
塊(3a)の振動によって、従来のものでは到底ワイヤ電
極と溶融塊の境界部での『くびれ』が生じにくかったパ
ルスピーク電流値IPの領域においても、早く『くびれ』
Bを生じせさせることが可能となり、溶融塊(3a)の離
脱が容易となる。
溶接加工においては、このようにパルス電流群Xによ
って離脱する溶融塊を細粒化するとともに、規則正しく
被溶接物側へ移行させることが均質な溶接ビードを得る
結果となるため、パルス間隔TAおよびパルス幅τを設定
した複数個のパルス電流で構成したパルス電流群Xを一
定の周期CB毎に繰り返すことが必要である。
しかし、従来のアーク溶接装置は、以上のように仮想
平均アーク長を設定する比較電圧と、ワイヤ電極と被溶
接物間のアーク電圧平均値との比較によりアーク長の変
化を検出する方法をとっている。しかし、実際アーク電
圧平均値は、アーク長が一定であってもアーク電流の変
化によって変ることがあるため、アーク電圧平均値変化
を目安にアーク長変化を判定し、アーク長変化を補正制
御しても精度よく制御できず、ひいては良質なアーク溶
接が期待できないといった問題点があった。更に、又、
そのため例えば第50図(a)のように母材である被溶接
物が一定の割り合で歪み、その歪みに伴なってワイヤ電
極の突き出し長(EX及びアーク長が変化する場合であれ
ば、突き出し長変化に比例するアーク電圧平均値よりア
ーク長変化を検出することは可能である。しかしなが
ら、同図(b)に示されるように、トーチチップ内側が
ワイヤ電極との接触により消耗してチップ径が拡大し、
ワイヤ電極がチップ内に不規則に接触するとワイヤ電極
に対するアーク電流給電点が瞬時に変化し、突出し長
(EX)が瞬時に変化したと同等になる。
又、ワイヤ電極の曲がり癖などでワイヤ電極のチップ
内における接触点が変化すると、上記同様電流給電点が
不規則に変り、突き出し長(EX)が変動したことにな
り、アーク長も瞬時に変動したと同様となる。さらに溶
接ロボット、溶接治具などによる原因によって生ずる不
規則でかつ急激な溶接トーチの振れや、ワイヤ電極リー
ルから溶接トーチまでのワイヤ電極のケーブル経路の遊
びの変化には、アーク長は即座に変化する。このため平
均アーク電圧検出値に基づいては瞬時的なアーク長変化
の管理はできず、その結果、溶接作業中に急激なアーク
長の変化によって溶接の一部分にアンダーカットなどの
溶接欠陥が生じるなどの問題点があり、しかし、これを
解消するには上記のように瞬時的アーク長変化の管理が
必要とされるため溶融塊の溶融・離脱に伴う周期的なア
ーク長軌跡をも加味した精度の良いアーク溶接制御を行
なうことは困難であった。
又、アーク電流をパルス電流群にて構成したパルスア
ーク溶接装置においてはパルス電流群を設定するパルス
電流群波形、パルス電流群出力周期等は予めの設定値に
固定化しているので、パルス電流電荷量も固定してい
る。このため、例えば、ワイヤ電極の曲がり癖などでワ
イヤ電極のチップ内における接触点が変化しアーク電流
給電点が不規則に変り、突き出し長(EX)が変動したり
して、アーク長が瞬時変動したり、さらに溶接ロボッ
ト、溶接治具などによる原因によって生ずる不規則でか
つ急激な溶接トーチの振れや、ワイヤ電極リールから溶
接トーチまでのワイヤ電極のケーブル経路の遊びの変化
でアーク長が変化しても、このアーク長変化を補正すべ
くアーク電流の給電電荷量制御を行えず、溶接品質に悪
影響を与えかねなかった。
この発明は上記のような問題点を解消するためになさ
れたもので、真のアーク長検出と共に、溶滴の離脱、短
絡時を特定できるとともに、瞬時的な変化をも含み、実
際のアーク長変化が検出できるとともに、予め設定した
目標アーク長を沿って安定した溶接が行なえるパルス溶
接装置を得ることを目的とする。
発明の開示 この第1の発明は、溶接電極と被溶接物間に溶接電圧
を印加し、これら溶接電極と被溶接物間に発生するアー
ク放電の熱で被溶接物を溶接するものにおいて、前記溶
接電極と被溶接物間の電流、電圧変化を検出する電流検
出器及び電圧検出器と、前記電流検出器より時々刻々変
化するアーク電流検出値を入力し、該電流検出値に関数
を乗ずる乗算回路、その出力に直流電圧を加算し、基準
アーク電圧を出力する加算回路と、上記電圧検出器より
アーク長変化により時々刻々変化するアーク電圧を入力
し、該アーク電圧と上記加算回路より出力される基準ア
ーク電圧との比較演算に基づきアーク長変化を示すアー
ク長信号L(l)を出力するアーク長演算手段とを備え
たことで上記電圧検出器と電流検出器によりアーク電圧
と同時にアーク電流も同時に検出した後、アーク長演算
手段にて、アーク電流に依存した関数を決め、上記関数
と上記電流値を乗ずる乗算器とその出力に直流電圧を加
算した基準アーク電圧信号を回路でシミュレートし、こ
のシミュレートした基準アーク電圧と上記アーク電圧と
を比較演算に基づき、真のアーク長変化に一体一対応し
たアーク長信号L(l)を出力するようにしたため、真
のアーク長に依存して形成される溶接ビードの余盛形状
や溶け込み深さが時々刻々変化する溶接ビード状態を上
記アーク長信号L(l)の時々刻々の変化で評価するこ
とが可能となり、より溶接品質の向上が図れるセンサー
の役目を果たす効果があり、より製品の品質向上が期待
できる溶接装置を提供できる効果がある。
また、第2の発明は第1の発明はアーク長演算手段よ
り出力されてアーク長信号の信号レベルの急峻立ち上が
り時及び立ち下がり時を検出する微分回路と、該微分回
路の出力信号により、上記立ち上がり時の信号のみを選
択する判定回路とを備え、上記判定回路Aの出力信号を
溶融塊の被溶融物への離脱時刻信号と判断した検出器A
を新たに設けたことにより、アーク溶接中の特異な現象
である溶融塊の離脱時刻を適確に把握することができる
ので、溶接ビードの凹凸状態に対応する溶融塊の離脱周
期を計測することが可能となり、溶接品質の評価に当た
っては正確な評価を下すことができ、より品質の向上に
寄与できるセンサの役目を果たす効果がある。
また、第3の発明は、第2の発明に新たに、微分回路
の出力信号により、上記立ち下がり時の信号のみを選択
する判定回路Bとを備え、上記判定回路Bの出力信号を
溶接電極の溶融塊と被溶接物との短絡する時刻信号と判
断する検出器Bを加えたことにより、アーク溶接中の特
異現象である溶融塊と被溶接物との短絡時刻を適確に把
握することができるので、短絡による溶接ビードの欠陥
やスパッタが溶接板に付着するなどの溶接欠陥率を短絡
回数又は短絡時間を計測することで評価することがで
き、より溶接品質の向上に寄与できるセンサの役目を果
たす効果がある。
また、第4の発明は、第2、第3の発明に新たに、ア
ーク長信号L(l)と基準信号Aとを比較する手段とを
備え、アーク長信号L(l)が基準信号A以上になった
時点を判定する判定回路Cとを備え、上記判定回路Cの
出力信号を溶融塊の被溶接物への離脱時刻信号と判断す
る検出器Cを加えたことにより、第2発明の効果に加
え、離脱検出を基準信号Aのレベル値で判定したので、
より確実に離脱を検出できる効果がある。
また、第5の発明は、第2ないし第4の発明に新た
に、アーク長信号L(l)と上記基準信号Aより低位な
基準信号Bとを比較する手段とを備え、上記比較する手
段によってアーク長信号L(l)が基準信号B以下にな
った時点を判定する判定回路Dとを備え、上記判定回路
Dの出力信号を、溶融電極の溶融塊と被溶接物との短絡
する時刻信号と判定する検出器Dを加えたことにより、
第3の発明の効果に加え、短絡検出を基準信号Bのレベ
ル値で判定したので、より確実に短絡が検出できる効果
がある。
この第6の発明は、被溶接物に対して送給される溶接
ワイヤ電極と前記被溶接物間に給電された溶接電流によ
り発生するアーク放電の熱で前記溶接ワイヤ電極の先端
に成長した溶融塊を被溶接部位へ移行し溶接を行なうも
のにおいて、前記溶接ワイヤ電極先端と被溶接物間のア
ーク長を時々刻々検出し、アーク長信号を出力するアー
ク長検出器、溶接過程の移行に従った時々刻々のアーク
長変化を、予め模擬化して設定したアーク長設定器、溶
接電流基準波形を設定した電流波形設定器、溶接過程の
移行に沿った時々のアーク長検出値とアーク長設定値と
を比較し、差信号を出力する比較器、前記差信号により
溶接電流基準波形のパルスピーク値、もしくはパルス幅
を補正し、目標アーク長を得るべく溶接電流を生成し出
力する演算器を設け、該演算器によってアーク長検出器
によって検出された時々刻々のアーク長と予めアーク長
設定器に設定された模擬アーク長との比較によって得ら
れた差信号により、溶接電流基準波形を補正して溶接電
流波形を生成し出力することで、各溶接過程においてワ
イヤ電極は上記模擬アーク長を保ちながら安定した溶接
を行なうことができる。
又、第7の発明は第3の発明における演算器に、差信
号により溶接電流基準波形ベース電流を補正する機能を
備えることにより、特に溶接電流基準波形中の溶融期間
における波形レベルを上昇させることで、瞬時のアーク
長変化により、アーク長レベルが低下して該アーク長レ
ベル変化を補正し、目標アーク長を保持しながら安定し
た溶接が行なえるとともに、目標アーク長波形の模擬設
定が溶接電流基準波形に合せて容易に行なえるので汎用
性の高いアーク溶接装置が得られる効果がある。
又、第8の発明は、第6、及び第7の発明にアーク長
信号に基づき溶融塊の被溶接物に対する短絡を検出し、
短絡状態の時、短絡期間検出信号を出力する短絡期間検
出器を備えたことにより、上記短絡期間信号に従い、ア
ーク長検出器より出力されたアーク長信号から溶融塊の
短絡状態を検出したならば、模擬アーク長波形を設定し
出力するアーク長設定器へ短絡期間検出信号を出力す
る。この結果、アーク長設定器は模擬アーク長波形の全
体レベルを上げアーク長検出値とを比較するため比較器
へ出力し、各アーク長信号の差信号を出力させる。そし
て、この差信号に基づいて演算器は溶接電流基準波形を
補正することで短絡状態発生時に流れるアーク電流の出
力レベルに合せた溶接電流を生成出力すると共に、ワイ
ヤ電極は短絡発生時に合せた模擬アーク長を保ちながら
安定した溶接を行なうことができる。
又、第9の発明は、第6の発明に新たに、電流波形設
定器からの溶接電流基準波形と、アーク長設定器からの
時々刻々のアーク長変化を模擬設定した模擬アーク長波
形との読み出し周期の同期を取る電流波形周期設定器と
を備え、上記読み出し周期に同期させてアーク長設定器
より模擬アーク長波形を読み出させるようにしたので各
溶接現象の繰り返し周期を電流波形周期で判断でき、条
件の変更に応じて各溶接過程の繰り返し周期の間隔を調
整し得、更に上記模擬アーク長とアーク長検出器によっ
て検出された真のアーク長との比較によって得られた差
信号により、溶接電流基準波形を補正して溶接電流波形
を生成し出力することで、各溶接条件の変更に拘わら
ず、各溶接過程においてワイヤ電極は上記模擬アーク長
を保ちながら安定した溶接を行なうことができるため、
第6の発明に比して更にアーク溶接装置の汎用性を高め
られるとともに、溶接品質の向上、溶接制御速度の高速
化が可能となる効果がある。
又、第10の発明は第3及び第4の発明に新たに、アー
ク長信号に基づきワイヤ電極先端の溶融塊離脱時刻に離
脱検出信号を出力する離脱検出器を設けたことにより、
上記離脱検出器の出力信号に同期して、アーク長設定器
は溶融塊離脱後の各溶接過程におけるアーク長波形を模
擬設定し、この模擬アーク長波形を比較器においてアー
ク長設定値と比較して出力した差信号をもとに溶接電流
基準波形を演算器で補正して溶接電流を生成出力するこ
とで、溶融塊離脱後に設定された模擬アーク長波形に沿
ったアーク長を保持しながら、安定したアーク溶接を行
なうことができる。
又、第11の発明は、第6及び第7の発明にアーク長信
号より、被溶接物に対しワイヤ電極先端の溶融塊の短絡
を検出し、短絡期間信号を出力する短絡期間検出器と、
前記短絡期間信号無出力時のみに行ない、且つ短絡期間
信号出力時に溶接電流基準波形の補正動作を制御する演
算器とを設けたことによって短絡期間信号の出力時に、
上記差信号による演算器での溶接電流基準波形の補正を
制限し、過大な溶接電流の生成を抑止する効果がある。
また、第12の発明は、被溶接物に対して送給するワイ
ヤ電極と前記被溶接物間に給電した溶接電流により発生
するアーク放電の熱で、前記ワイヤ電極先端に成長した
溶融塊を、被溶接部位へ移行し溶接を行なうものにおい
て、前記ワイヤ電極先端と被溶接物間のアーク長変化に
対応したアーク長信号を出力するアーク長検出器と、上
記アーク長信号により平均アーク長信号を出力する平均
アーク長変換器と、目標アーク長を設定した目標アーク
長設置器と、上記平均アークと目標アーク長との差信号
を出力する比較器と、複数個のパルス集団(パルス電流
群波形)を周期的に出力するパルス電流群出力部と、前
記差信号に基づき、上記一周期間のパルス電流又はベー
ス電流を含めたパルス電流群の電荷量を設定する電荷量
設定器、上記設定電荷量設定器の出力と前記出力するパ
ルス電流群の電荷量とが略一定値に至るパルス電流群の
給電を停止するパルス電流群給電制御部とを設けたもの
であり、また、第13の発明は、第12の発明による平均ア
ーク長変換に代えて特定時刻のアーク長信号を抽出し、
サンプリングするサンプリングアーク長変換器を備える
とともに、目標アーク長設定器に代えて目標サンプリン
グアーク長設定器を設けたものであり、これら第12、第
13の発明によれば、目標アーク長設定器で予め設定した
アーク長と、アーク長検出器によって検出した真のアー
ク長に基づくアーク長との差に応じてアーク電流を構成
するパルス群電流のパルス群幅を補正し、アーク電流の
電荷量を制御するようにしたので、ワイヤ電極先端にお
ける溶融塊の溶融容量は各溶接過程で規則的に成長する
ことになる。この結果、平均アーク長は一定化するよう
に制御することができ、よって溶接ビードの余盛量や溶
け込み深さの変動が少なくなり、より良質なアーク溶接
が行なえる効果がある。
更に、第14の発明に係る短絡移行形のパルス溶接装置
は、第12また第13の発明において、短絡期間を検出する
手段と、上記短絡期間によりアーク期間を判断する手段
と、アーク期間中の電荷量と設定電荷量が略一定値に至
ると上記アーク期間中のアーク電流を制限する手段を設
けたことで、短絡移行アーク溶接においてもアーク期間
中の平均アーク長を一定化するように制御することがで
き、その結果、短絡とアーク期間が一定になるととも
に、規則的な短絡とアーク繰り返しで溶接が行なえるた
め、溶接ビードの余盛量や溶け込み深さの変動が少なく
なり、より良質なアーク溶接が行なえる効果がある。
また、第15の発明は第14の発明に新たに、パルス電流
群給電制御部よりパルス電流群電荷量一定判定信号を入
力するまで、パルス電流群の高レベル出力を、パルス電
流群給電制御部へ保持出力するパルス電流出力保持手段
を備えたものであり、また第16の発明は第12の発明を構
成する平均アーク長変換に代えて、特定時刻のアーク長
信号を抽出し、サンプリングするサンプリングアーク長
変換器を備えるとともに、目標アーク長設定器に代えて
目標サンプリングアーク長設定器を備えたものであり、
これら第12及び第13の発明によれば、目標アーク長設定
器で予め設定したアーク長と、アーク長設定器によって
検出した真のアーク長に基づくアーク長との差に応じて
アーク電流を構成するパルス群電流のパルス群幅を伸張
し、アーク電流の電荷量を増加するようにしたので、ワ
イヤ電極先端における溶融塊の溶融容量は各溶接過程で
規則的に成長することになる。この結果、電流によらず
平均アーク長は一定化するように制御することができ、
よって溶接ビードの溶け込み深さの変動が少なくなり、
被溶接物の厚みが変わることで溶接平均電流を変えても
一定の予め設定したアーク長で溶接が行なえる。以上に
より、さらに良質なアーク溶接が行なえる効果がある。
また、第17の発明は、第16の発明のパルス群周期設定
器に代え短絡解除信号出力器を設けると共に、短絡期間
を検出手段と、上記短絡期間によりアーク期間を判断す
る手段と、短絡期間解除後、パルス電流群出力部へパル
ス電流群の出力指示信号を出力する信号出力支持手段と
を設け、短絡移行形溶接装置を構成したことで、短絡移
行アーク溶接においてもアーク期間中の平均アーク長を
一定化するように制御することができ、その結果、短絡
とアーク期間が一定になるとともに、規則的な短絡とア
ークの繰り返しで溶接が行なえるため、溶接ビードの溶
け込み深さの変動が少なくなり、より良質なアーク溶接
が行なえる効果がある。
又、第18の発明は、被溶接物に対して送給されるワイ
ヤ電極と前記被溶接物間に給電された溶接電流により発
生するアーク放電の熱で、前記ワイヤ電極先端に成長し
た溶融塊を、被溶接部位へ移行し溶接を行なうものにお
いて、前記ワイヤ電極先端と被溶接物間のアーク長変化
を時々刻々検出し、アーク長信号を出力するアーク長検
出器と、時々刻々のアーク長検出値の平均値を演算し、
平均アーク長信号を出力する平均アーク長変換器と、目
標アーク長を設定した目標アーク長設定器と、平均アー
ク長と目標アーク長を比較し、差信号を出力する比較器
と、溶接電流を構成するパルス電流の波形を設定し、パ
ルス電流を出力するパルス波形設定器と、前記差信号に
基づき、給電されるパルス電流の電荷量を設定するとと
もに、該設定電荷量と前記パルス波形設定器より出力さ
れるパルス電流の電荷量を比較し、出力パルス電流の電
荷量が設定電荷量に至った時、パルス電流の給電を停止
するパルス電流給電制御部とを設けたことにより、ワイ
ヤ電極先端における溶融塊の溶融容量は各溶接過程で規
則的に成長することになる。この結果、平均アーク長は
一定化し安定した溶接が行なえるため、より良質なアー
ク溶接を提供できる効果がある。
また、第19の発明は第12の発明におけるパルス電流群
出力部に新たに、比較器とから出力される、前記差信号
に応じたパルス電流群のピーク値を決定し、該ピーク値
を有するパルス電流群波形を設定して周期的に出力する
機能を備えたものであり、第20の発明は第16の発明にお
ける平均アーク長変換器に代えて特定時刻のアーク長信
号を抽出し、サンプリングするサンプリングアーク長変
換器を備えるとともに、目標アーク長設定器に代えて目
標サンプリングアーク長設定器を備えたことを特徴とし
たものであり、この構成によれば、アーク長信号によっ
て示される真のアーク長が予め目標アーク長設定器で設
定された目標アーク長より変動した場合、突き出し長
(EX)などの変動(外乱)によりアーク負荷が変動して
溶接電源から供給する入熱が変わり、アーク長が長くな
ったという判断結果に基づき、アーク変動分だけパルス
電流群のピーク値を補正すると共に、パルス電流群給電
制御部でパルス電流群のパルス群幅を補正することで、
パルスアーク電流の給電電荷量は制御され、そのためア
ーク負荷が変動に応じて溶接電源から供給する入熱を抑
制するように制御するようになるのでアーク長は目標ア
ーク長に近づきアーク長が一定化されることで、溶接ビ
ードの余盛量や溶け込み深さの変動が少なくなり、より
良質なアーク溶接が行なえる効果がある。
また、第21の発明は第19の発明に新たに短絡期間を検
出する手段と、上記短絡手段によりアーク期間を判断す
る手段と、アーク期間中の電荷量と設定電荷量が略一定
値に至ると上記アーク期間中のアーク電流を制限する手
段が加えたことにより、短絡移行アーク溶接においても
アーク期間中の平均アーク長を一定化するように制御す
ることができ、その結果短絡とアーク期間が一定になる
とともに、規則的な短絡とアークの繰り返しで溶接が行
なえるため、溶接ビードの余盛量や溶け込み深さの変動
が少なくなり、より良質なアーク溶接が行なえる効果が
ある。
図面の簡単な説明 第1図は第1の発明の一実施例によるパルス溶接装置
の構成図、第2図(a)は本実施例装置におけるアーク
電圧−電流正特性図、第2図(b)は基準アーク長設定
器(14O)の具体的な回路図、第3図は第2、第3の発
明の一実施例によるパルス溶接装置の全体構成図、第4
図(a)は本実施例の動作を説明する信号波形図、第4
図(b)は第4、第5発明の一実施例による短絡・離脱
検出器(12)の構成図、第4図(c)は第4図(b)の
本実施例の動作を説明する信号波形図、第5図は第3の
発明の一実施例によるパルス溶接装置の全体構成図、第
6図(a)は溶接の機能分類を示す図、同図(b)はア
ーク長波形図、同図(c)はシミュレーション電流波形
図、同図(d)は電流波形周期信号CBの出力タイミング
図、第7図はアーク長設定器の内部構成図、第8図は第
7の発明の一実施例によるパルス溶接装置の全体構成
図、第9図はアーク長設定器の内部構成図、第10図
(a)は溶接の機能分類を示す図、同図(b)はアーク
長波形図、第11図はアーク長設定器の動作を説明するた
めの波形図、第12図は第8の発明の一実施例によるパル
ス溶接装置の全体構成図、第13図は本実施例におけるア
ーク長設定器の内部構成図、第14図は第5の発明の他の
実施例によるアーク長設定器の内部構成図、第15図の
(a)は溶接機能分類を示す図、同図の(b)はアーク
長波形図、同図の(c)はシミュレーション電流波形
図、第16図はアーク長設定器の動作を示す図、第17図は
第9の発明の一実施例によるパルス溶接装置の全体構成
図、第18図はアーク長設定器の内部構成図、第19図は電
流波形周期CB設定器の動作を説明する波形図、第20図
(a)は溶接の機能分類を示す図、第21図は第10の発明
の一実施例によるパルス溶接送の全体構成図、第22図は
アーク長波形設定器の内部構成図、第23図は本実施例の
動作を説明するための信号波形図、第24図の(a)は溶
接の機能分類を示す図、同図の(b)はアーク長波形
図、同図の(c)はシミュレーション電流波形図、第25
図は第11の発明の一実施例によるパルス溶接装置の全体
構成図、第26図アーク長波形設定器の内部構成図、第27
図は短絡期間検出器の動作を説明するための波形図、第
28図(a)は溶接の機能分類を示す図、同図(b)はア
ーク長波形図、同図(c)はシミュレーション電流波形
図、第29図(a)は第12の発明の一実施例によるパルス
溶接装置の全体構成図、同図(b)は第13の発明の一実
施例による短絡移行型パルス溶接装置の全体構成図、第
30図(a)は第12の発明の一実施例の動作を説明するた
めの信号波形図、同図(b)は第13の発明の一実施例の
動作を説明するための信号波形図、第31図は第14の発明
の一実施例によるパルス溶接装置の全体構成図、第32図
は第15発明の一実施例によるパルス溶接装置の全体構成
図、第33図は第15の発明の一実施例の動作を説明する信
号波形図、第34図は第15の発明の他の実施例によるパル
ス溶接装置の全体構成図、第35図は第15の発明の他の実
施例の動作を説明する信号波形図、第36図は第16の発明
の一実施例によるパルス溶接装置の全体構成図、第37図
は第17の発明の一実施例による短絡移行型パルス溶接装
置の全体構成図、第38図は第17の発明の一実施例の動作
を説明する信号波形図、第39図は第18の発明の一実施例
によるパルス溶接装置の全体構成図、第40図は本実施例
の動作を説明するための信号波形図、第41図(a)第19
の発明の一実施例によるパルス溶接装置の全体構成図、
同図(b)は第20の発明の一実施例による短絡移行型ア
ーク溶接装置の全体構成図、第42図(a)は本実施例の
動作を説明するための信号波形図、同図(b)は他の実
施例の動作を説明するための信号波形図、第43図は第21
の発明の一実施例によるパルス溶接装置の全体構成図、
第44図、第45図は従来装置の構成図、第46図はパルス電
流群をアーク電流とした場合の各溶接過程を説明する
図、第47図(a),(b)は従来のパルス溶接装置にお
けるパルス電流波形図、第48図は従来のパルス溶接装置
におけるパルス電流群の波形図、第49図、第50図
(a),(b)は従来装置の問題点を説明する図であ
る。
発明を実施するための最良の形態 第1図は、第1の発明によるパルス溶接装置の一実施
例の全体構成を示すブロック図である。図において、
(1)はワイヤ電極(3)にアーク電流を供給するアー
ク溶接電源、(2)はワイヤ電極(3)を支持する溶接
トーチ、(4a)はワイヤ電極(3)と被溶接物(母材)
(4b)間に発生するアーク、(5)はワイヤ電極(3)
と被溶接物(4b)に発生するアーク電圧Vを検出する電
圧検出器、(7)はアーク電流を検出する電流検出器、
(19)は実際のアーク長を検出し、その検出値に応じた
信号を出力するアーク長検出器である。この構成とし
て、(19a)は電圧検出器(5)によって検出されたア
ーク電圧を増幅する絶縁アンプ、(19b)は電流検出器
(6)によって検出されたアーク電流を増幅する絶縁ア
ンプ、(19g)はアーク電流Iを入力して関数設定値K1
(I)を出力する関数設定器、(19c)は第2図(a)
のアーク電圧−電流特性図に示されるよう、アーク電流
Iを基準アーク長をパラメータとしたアーク電圧−電流
特性にのっとったアーク電圧変化に変換する乗算器、
(19d)は基準アク電圧にオフセット電圧をかけるため
の直流電圧定数設定器、(19e)は上記変換したアーク
電圧値にオフセット電圧を加算し、基準アーク電圧VX
得る加算器、(19f)は基準アーク電圧と検出したアー
ク電圧を比較し、実際のアーク長に対応したアーク長信
号を出力する比較器、(190)は基準アーク電圧をシミ
ュレータするための基準アーク電圧設定器である。
次に上記構成に基づき本実施例の動作を第2図(a)
のアーク電圧特性図を参照にして説明する。
第2図(b)は基準アーク電圧設定器(190)の一実
施例で(140a),(140b)はオペアンプで、(140c)は
ボリューム、RA,RB,RC,RD,REは回路抵抗である。
尚、動作説明を行なうにあたって電圧検出器(5)よ
り検出されるアーク電圧Vはアーク長をパラメータと
し、アーク電流の変化に伴なって一定の関数を描いて変
化するように、実験データからアーク電圧V=R(I)・I
+Al+Bと表わされる。(式中、R(I)はアーク電流Iを
流した時、アーク電圧が第2図(a)に示すような特性
が得られるためのアークの特性定数、Iはアーク電流、
Aはアーク長に対する比例定数、lはアーク長、Bはア
ーク長lが0mmとしたときのアーク放電を維持するため
の最小電圧であり、Al+Bは各アーク長がlとしたとき
のV1(維持アーク電圧)である。)なお、第2図(a)
におけるV0はアーク溶接電源の無負荷電圧であり、アー
クが生じると図で示すようにアーク電圧Vは維持アーク
電圧V1から上昇するような特性になる。
以上のようにアーク電圧Vが設定される。電流検出
(6)から絶縁アンプ(19b)を通して検出したアーク
電流Iは乗算器(19c)において電流に依存した関数(k
1(I))を乗算する。この関数は溶接電極のワイヤ径が大
きい程、或はCO2−Ar混合ガスの場合、Ar成分が多い程
傾斜が下がるよう関数を設定する。又、この時(関数
(k1(I))はアークの特性定数(R(I))と対応するよう
に設定する)。そして、関数(k1(I))を乗算した乗算
器(19c)の出力(k1(I)・I)は加算器(19e)に入力
する。この加算器(19e)には直流電圧設定器(19d)で
設定した電圧定数(k2)を入力するため、加算器出力
(基準アーク電圧)VX=k1(I)・I+k2となる。この結
果、アーク電流Iを変数、k1(I)、k2を定数としたとき、
出力である基準アーク電圧VXを描く特性図は第2図
(a)に示すようになり、この電気特性は基準アークl0
とした場合、基準アーク電圧VXは所定レベルの直流電圧
設定数(k2)を起点としてアーク電流Iの変化に伴な
い、関数(k1(I))で決る特性曲線に合せて変化してい
く。これによって、基準アーク長l0におけるアーク電圧
の基準特性が得られる。
このように、アーク電流Iの変化に伴なって逐次設定
される基準アーク電圧(VX)は、電圧検出器(6)より
絶縁アンプ(19d)を通して出力されるアーク電圧Vと
共に、比較器(19f)へ入力され、所定マーク電流値に
おけるアーク長信号(L(l))の演算出力に供され
る。L(l)は次式にて表わされる。L(l)=V−VX
=(R(I)−k1(I))I+Al+B−k2。この式中、R1≒k
(I)と設定されているため、L(l)≒Al+(B−k2
となる。K2=Bとすれば、V≒AlとなりVはlにほぼ比
例する。この結果、(B−k2)は定数であるため検出電
圧Vを設定するAlより真のアーク長に対するアーク長信
号L(l)が得られる。このアーク長は溶接電極先端の
溶融塊の成長、離脱、整形及び短絡とともに変化し、溶
融塊の成長・離脱・整形の繰り返しに従ってアーく長は
周期的に繰り返す。このアーク長変化は電圧検出値Vと
基準アーク電圧VXとの比較により判明する。例えば第2
図に示すように、アーク長l1>l2、の場合では同じ値の
アーク電流であっても、アーク電圧Vは異なる。
このようにして時々刻々変化するアーク長信号を得る
ことでより精度の高い溶接制御が行なえる。
次に第2図(b)の基準アーク電圧設定器(190)の
具体的な一実施例の動作を説明する。
まず、この回路では、第2図(a)の特性でアーク電
流が40A〜600Aの領域では、基準アーク電圧VXは電流に
対してほぼ一次関数と近似して回路構成をしたものであ
る。
図中、第一段のオペアンプ(140a)で一次関数RB/RA
とアーク電流Iと乗算している。
また、第二段のオペアンプ(140b)で、ボリューム
(140c)で設定したVCと乗算した信号(RB/RA・I)と
を加算し、VX(=RC/RD・RB/RA)・I+(RD/RE
VC)を出力している。従って回路抵抗RA〜RBを選択する
ことで、第2図(a)の特性で示すようなK1,K2にシミ
ュレートすることができ、VXを得ることができる。
さらにここでは、図示していないが、アーク電流やア
ーク電圧検出器に外乱が入り、ノイズ信号によって誤動
作することを防ぐため上記ノイズをカットするため、電
流・電圧検出器の出力部、アーク長検出器の出力部でフ
ィルタを設けることや、アーク長検出器(19)の演算部
で、外乱に対する種々の処理を施すことは当然のことで
ある。
次に、第3図は第2の発明によるパルス溶接装置の一
実施例の全体構成を示すブロック図である。図中、第1
図と同一符号は同一、又は相当部分を示し、その詳細な
説明は省略する。尚、アーク長検出器(19)の動作に関
しては第1の発明におけるアーク長検出器の動作と同様
である。
図において、(120)は短絡・離脱検出器であり、そ
の構成として、(120a)はアーク長信号を微分する微分
回路、(120)は微分波形を整形する信号整形回路、(1
20)は整形した微分波形より溶融塊の短絡・離脱を判定
する短絡・離脱判定回路である。
上記構成に従って、本実施例の動作を説明する。本実
施例ではワイヤ電極(3)に供給するアーク電流を第4
図(a)の(b)に示すパルス電流群として説明する。
第4図(a),(b)のように複数個のパルス手段(パ
ルス群)をベース電流に重畳させて周期的に繰り返して
溶接を行なえば、ワイヤ先端にアークによって形成され
た溶融塊がパルス群中で離脱(I)し、その後、新たに
ワイヤ先端部がアークによって溶け、溶融塊を形成(I
I)し、この溶融塊の形成・離脱現象を繰り返して溶接
される。またワイヤ先端に形成した溶融塊と被溶接物と
の短絡(III)が起こる場合がある。この溶接中のアー
ク電圧波形及びアーク長信号を示したものが同図aの
(b)及び(c)である。
上記の溶融塊の形成・離脱現象が繰り返し、又短絡現
象が生じた場合のアーク電圧波形及びアーク長信号につ
いて説明する。まずアーク電圧波形第3図(a)の
(a)は、パルス電流波形に対応して、パルス状に電圧
が変化するとともに、アーク長の変化に応じて変化して
いる。また溶融塊が離脱(I)した時は、アーク電流波
形が連続波形であるのに対し、アーク電圧波形は不連続
になっている。つまり、例えば溶融塊が離脱する前はア
ーク電圧が30Vであったものが、溶融塊が溶接電極
(2)から離脱するとアーク電圧は数μS以下の応答で
35V程度に上昇する。また溶融塊が短絡する前は20Vであ
ったものが、溶融塊が被溶接物と短絡すれば、アーク電
圧は数μS以下の応答で2〜3V以下に降下する。これに
対し、このアーク長信号変化は第3図(a)の(c)の
アーク長信号波形から明らかなように、パルス電流波形
によらず真のアーク長lのみに依存するため溶融塊が離
脱し始めると急激に上昇し、その後溶融塊の成長と共に
アーク長信号は上昇するが、逆に溶融塊が下りアーク長
が短くなると溶融塊が被溶接物に短絡し、アーク長は零
となり、その結果アーク長信号は急激に下がる。
上述のように、例えばアーク長信号でアーク長信号の
急激な変化又は所定レベルとアーク電圧との比較により
離脱・短絡時刻は検出することができる。第4図(a)
の(d)〜(f)はアーク長信号の急激な変化で離脱・
短絡を検出したものが第4図(a)の(d)〜(f)で
ある。このように、溶接時間の移行と共に信号レベルが
変化するアーク長信号(L(l)を微分回路(120a)へ
入力した時、例えばアーク電圧Vが30Vの時、溶融塊が
ワイヤ電極(3)から離脱すると、アーク電圧は35V程
度に上昇している。この場合、アーク長信号は数μS以
下の応答でアーク電流によらず上昇している。この結
果、微分回路(120a)は第3図(a)の(d)に示すよ
うに正方向の微分信号が溶融塊離脱時刻に出力される。
この微分信号は信号整形回路(120b)で整形された後、
短絡・離脱判定回路(120c)へ入力される。その入力さ
れた信号が正方向微分信号であるから溶融塊の離脱と判
定し、第4図(a)の(e)に示すよう離脱信号を出力
する。
或は、上記第1の発明のアーク長信号立ち上がり検出
に代え、第3の発明ではアーク長信号の立ち下がりを検
出する。従って、第3の発明では直流電圧定数(OFFSET
電圧)k2が10V程度の時、溶融塊の短絡が起こると数μ
S以下で最小維持アーク電圧はAl+Bは2−3V以下に降
下するため、その場合アーク長信号はL(l)≒Al+B
+k2の関係からL(l)電圧は第4図(a)の(c)に
示すように一気に−7V程度に降下し、負方向の微分信号
が短絡時刻に出力される。この微分信号は信号整形回路
(120b)で整形された後、短絡・離脱判定回路(120c)
へ入力される。その入力された信号が負方向微分信号で
あることから溶融塊の離脱と判定し、第4図(a)の
(f)に示すような離脱信号を出力する。
また短絡が解除すれば再びアーク電圧が急激に上昇
し、アーク長信号も急激に上昇する。この場合は溶融塊
が短絡離脱したと判断し、第3発明と同様に離脱信号を
出力している。微分回路(12a)からは第4図(a)の
(d)に示すようにアーク長信号降下時に負方向の微分
信号が溶融塊短絡時刻に出力し、そして短絡離脱時に正
方向の微分信号を出力する。この負方向の微分信号は信
号整形回路(12b)で波形整形された後、短絡・離脱判
定回路(12c)へ入力されると、第4図(a)の(f)
に示すような短絡信号が出力される。この結果、離脱・
短絡時刻を正確に把握することができる。
次に、第4図(c)の(c)に示すように、アーク長
信号が大きくなった時点が溶融塊の離脱時刻と対応して
いることから、第4発明ではアーク長信号と基準信号A
とを比較し、このアーク長信号が基準信号Aより大きく
なった時刻に信号を出力し、この信号が出力された時刻
を溶融塊の離脱時と判定し、第4図(c)の(d)に示
すよう離脱信号を出力する。また、溶融塊の短絡が起こ
ると、最小維持アーク電圧は2〜3V程度に降下するた
め、その場合、アーク長信号はK2を10V程度に設定する
とL(l)≒Al+B+K2からアーク長信号は一気に−7V
程度になることから、アーク長信号が小さくなった時点
が溶融塊と被溶接物の短絡時刻と対応していることか
ら、第5発明では、アーク長信号Bとを比較し、このア
ーク長信号が基準信号Bより小さくなった時刻に信号を
出力し、この信号が出力された時刻を短絡時刻と判定
し、第4図(c)の(e)に示すよう短絡信号を出力す
る。
次に、第4、第5発明の一実施例における短絡・離脱
検出器(120)の動作を第4図(b)に示す回路構成図
に従って説明する。
まず、溶接スタート信号が溶接スタートタイマーに入
力されると、溶接スタートタイマ(120d)が働き、タイ
マ期間H信号を反転バッファ(120)を介してアナログ
スイッチ(120f)のゲートに入力される。これにより溶
接スタート時には溶接スタートタイマーが働き、スター
ト期間ではアナログスイッチ(120f)はOFF状態で短絡
・離脱検出器は動作しない。
このように、溶接スタート時には、溶接電源からの印
加電圧によって離脱信号が発生するため、その信号を除
くため、溶接スタート時には短絡・離脱検出器が動作し
ないようにアナログスイッチを設けている。
次に溶接中にはアーク長信号は、アナログスイッチ
(120f)を介して比較器(120i)及び(120j)に入力さ
れる。比較器(120i)ではアーク長信号と離脱レベル設
定器(120g)からの基準信号Aと比較され、比較器(12
0i)の出力はアーク長信号が基準信号Aより大きければ
H信号を出力し、逆にアーク長信号が基準信号Aより小
さければL信号を出力する。
比較器(120i)の出力信号は、立上りエッヂ検出器
(120h)に入力され、ここでは比較器(120i)の出力信
号がL信号からH信号となる立上り時に信号を出力して
離脱時刻を判定している。
また、比較器(120j)ではアーク長信号と短絡レベル
設定器(120h)からの基準信号Bと比較され、比較器
(120j)の出力はアーク長信号が基準信号Bより小さい
ならばH信号を出力し、逆にアーク長信号が基準信号B
より大きければL信号を出力する。比較器(120j)の出
力信号は、立上りエッヂ検出器(12l)に入力され、こ
こでは比較器(120j)の出力信号がL信号からH信号と
なる立上り時に信号を出力して、短絡時刻を判定してい
る。
以上のように第2〜第5発明の短絡・離脱検出器は第
1図、第4図(b)のように構成されているが、実際に
は入力信号であるアーク長信号は第4図(a)の
(c)、第4図(c)の(c)に示すアーク長信号に、
外乱などに起因するノイズが重畳されるため、そのノイ
ズによる短絡・離脱検出器(12)が誤動作することがあ
るため、実際の製品では入力であるアーク長信号又は、
短絡・離脱検出器(12)の出力にノイズ対策を施すこと
は勿論である。
第5図は第6の発明の一実施例によるパルス溶接装置
の全体構成図である。図において、(1)はパルス電流
からなるアーク電流を溶接器本体に給電するアーク溶接
電源であり、その構成として(1a)は三相交流電圧を所
定の周波数に変換してトランス(1c)へ出力するインバ
ータ回路部、(1b)は該インバータ回路を駆動するイン
バータ駆動回路、(1d),(1d)は変圧されたインバー
タ出力を整流し、パルス電流からなるアーク電流を得る
ダイオードである。(2)は溶接トーチ、(3)はワイ
ヤリールより送給ローラによって被溶接物(4b)方向に
送給される溶接ワイヤ電極(以下、単にワイヤ電極と記
載する)、(4a)はワイヤ電極(3)と被溶接物(4b)
間に発するアーク、(5)はアーク電圧を検出する電圧
検出器、(6)はアーク電流を検出する電流検出器、
(8a)はワイヤ送給速度設定器(8b)によって設定され
た送給速度でワイヤ電極(3)を送給するワイヤ送給装
置である。又、(91)はパルス電流波形制御回路であ
り、その回路構成として、(9a)はアーク電圧検出値と
アーク電流検出値に基づいて時々刻々変化する真のアー
ク長を検出し、アーク長信号L(l)を出力するアーク
長検出器、(9b)は第6図(b)の破線で示されるよ
う、各溶接過程で必要とされるアーク長を模擬的に生成
しシミュレーションアーク長波形を設定するアーク長設
定器、(9c)はアーク長検出値とシミュレーションアー
ク長を比較し、差信号ΔL(l)を出力する比較器A、
(9d)は第6図(c)に示すようアーク電流を構成する
パルス電流群の基準波形を模擬的に生成しシミュレーシ
ョン電流波形を設定する電流波形設定器、(9e)はワイ
ヤ送給速度に従い、アーク長波形L0及び電流波形iの読
み出し周期を設定した電流波形周期CB設定器、(9f)は
差信号ΔL(l)によりシミュレーション電流波形のピ
ーク値、又はパルス幅を補正し、アーク電流を生成し出
力する演算器、(9g)は生成したアーク電流に重畳する
ベース電流を出力するベース電流出力器、(9h)はベー
ス電流を重畳させる加算器、(9i)はアーク電流検出値
と生成されたアーク電流を比較し、比較結果に従ってイ
ンバータ駆動回路(1b)をON,OFF制御する比較器B。
尚、上記アーク長設定器(9b)は第7図にその構成を
示すように、シミュレーションアーク長波形中の切断波
形を出力する期間を設定した切断期間設定器(9b1)及
び切断波形を設定した切断波形設定器(9b2)、同じく
溶融波形を出力する期間を設定した溶融期間設定器(9b
5)及び溶融波形を設定した溶融波形設定器(9b6)、並
び整形波形を設定した整形波形設定器(9b9)等の各設
定器と、各設定波形を順に合成してシミュレーションア
ーク長を合成する波形の合成器(9b13)と、各設定波形
を波形の合成器(9b13)へ出力制御するアナログスイッ
チ(9b3),(9b7),(9b10)と、各設定波形の読み出
しを制御するインバータ素子(9b4),(9b8),(9
b12)と、電流波形周期CB信号出力タイミングに基づき
整形波形出力期間を設定するフリップフロップ(9b11
及びANDゲート(9b14)とを備えている。
次に上記構成に基づき本実施例の動作について説明す
る。アーク長は第6図の(a)に示すようにアーク電流
を給電してワイヤ電極を溶融し、溶融塊を成長させる過
程では伸びて行き、次にアーク電流をベース電流のみに
し溶融容量を下げる溶融塊の整形期間では、ワイヤ送給
速度の関係からアーク長は徐々に狭まってゆき、そし
て、一定溶融容量に溶融塊が整形された時点で、急激に
アーク電流を流し、その時発生した電磁ピンチ力で成長
した溶融塊を離脱させると再びアーク長は伸びる。
実際、アーク溶接が正常に行なわれると以上のような
アーク長変化を呈することになるので、このアーク長変
化をシミュレーションアーク長波形として予め設定し、
このシミュレーションアーク長波形を保つべくアーク電
流給電制御を行なえば良好な溶接ビードが得られる安定
したアーク溶接が行える。
そのためには、先ずワイヤ送給速度に関係して設定さ
れる電流波形周期信号(以下単に周期信号と記載する)
CBが電流波形周期CB設定器(9e)よりアーク長設定器
(9b)へ入力された時点で第6図の(b)における破線
で示されるようなシミュレーションアーク長波形を合成
する。アーク長波形合成としては、第7図に示されるよ
うに、周期信号CBがフリップフロップ(9b11)のSET端
子へ入力されると、フリップフロップ(9b11)からはタ
イマ回路で構成される切断期間設定器(9b1)へ“H"レ
ベルのON信号が入力され切断期間に対応した時間だけ
“H"レベルのON信号がウェーブメモリより構成される切
断波形設定器(9b2)とアナログスイッチ(9b3)へ入力
される。この結果切断波形設定器(9b2)からはアナロ
グスイッチ(9b3)を介して切断波形データ(第6図の
(b)におけるS)が波形の合成器(9b13)へ出力され
る。次に、切断期間設定器(9b1)より出力されたON信
号が“L"レベルに変るとインバータ素子(9b4)の出力
は“H"レベルに反転して溶融期間設定器(9b5)のON信
号となり溶融期間に対応した時間だけ“H"レベルのON信
号が溶融波形設定器(9b6)及びアナログスイッチ(9
b7)へ入力され、溶融波形データ(第6図の(b)にお
けるT)がアナログスイッチ(9b7)を介して波形の合
成器(9b13)へ入力される。更に、溶融期間が終りON信
号が“L"レベルになるとインバータ素子(9b8)の出力
は“H"レベルに反転し、フリップフロップ(9b11)のリ
セット端子、ANDゲート(9b14)の一方入力、及び整形
波形設定器(9b9)へ入力されるため、フリップフロッ
プ(9b11)の出力は“L"レベルとなってANDゲート(9b
14)の他方入力に接続されたインバータ素子(9b12)へ
入力される。これによりANDゲート(9b14)はON状態と
なってアナログスイッチ(9b10)をONし、整形波形デー
タ(第6図の(b)におけるV)を波形の合成器(9
b13)へ入力してシミュレーションアーク長波形の合成
を始める。次に、フリップフロップ(9b11)のSET端子
へ周期信号CBが入力されると、フリップフロップ(9
b11)の出力は“H"レベルとなってインバータ素子(9b
12)へ入力されるためANDゲート(9b14)はOFFとなり、
アナログスイッチ(9b10)もOFFとなって整形波形デー
タ出力は停止する。しかして、フリップフロップ(9
b11)の出力は切断期間設定器(9b1)へ入力されたため
再び切断波形データ読み出しとなる。この結果、周期信
号CB入力毎に、溶融、整形、切断時のシミュレーション
アーク長波形が合成される。
以上のようにシミュレーションアーク長波形が設定さ
れたならば、アーク長波形の信号レベルL0と、アーク長
検出器によって検出された真のアーク長L(l)(第6
図の(b)の実線部分)とを比較器A(9c)比較し、そ
の差信号(ΔL(l)=L(l)−L0)を算出する。こ
の差信号ΔL(l)は、周期信号CBの出力とともに電流
波形設定器(9d)より読み出されたシミュレーション電
流波形(第6図の(c))とともに演算器へ入力され、
パルス電流波形信号のピーク値iをi=i−Δ・L
(l)の関係式によって補正する。或はパルス電流波形
信号のパルス幅τをτ=τ−B・ΔL(l)の関係式に
よって補正する。このようにアーク長変化に伴なってパ
ルス電流波形信号を補正することで、各溶接過程では予
め設定したシミュレーションアーク長を保持しながら溶
接が行えるとともに、アーク長変化を補正すべく溶接電
流が得られる。この溶接電流は更に加算器(9h)におい
てベース電流出力器(9g)より出力されるアーク切れ防
止のベース電流を重畳し比較器B(9i)へ入力される。
比較器B(9i)では電流検出器(6)にて検出されたア
ーク電流検出値とアーク電流基準値とを比較し、アーク
電流検出値<アーク電流基準値であればインバータ駆動
回路(16)へON信号を出力し、ワイヤ電極(3)と被溶
接物(4b)間にアーク溶接電源(1)から出力されるパ
ルスアーク電流を給電する。又、アーク電流検出値>ア
ーク電流基準値の間はインバータ駆動回路(1b)へ動作
OFF信号を出力する。
上記アーク長検出回路(9a)の動作に関して第1の発
明で説明したのと同様である。
なお、上記実施例では、複数個のパルスの集団(パル
ス群)を周期的に繰り返したものについて述べたが、単
一パルスを周期的に繰り返した溶接でアーク長設定器に
予め設定した模擬アーク長と、アーク長検出器より検出
された実際のアーク長とを比較し得られた差信号ΔL
で、上記単一パルス波形の瞬時電流iを差信号ΔLに応
じてi=i−D・ΔLに補正するようにしてもよい。ま
た、上記実施例では、パルスアーク溶接装置について示
したが、短絡とアークを繰り返して溶接する短絡移行ア
ーク溶接装置であってもよく、この場合はアーク期間中
のみアーク長検出器が働き、アーク期間中のアーク長と
模擬アーク長と比較し、アーク期間の瞬時電流iを差信
号ΔLに応じてi=i−D・ΔLに補正すれば、上記実
施例と同様の効果を奏する。
第8図は第7の発明の一実施例によるパルス溶接装置
の全体構成図である。図中、第5図と同一符号は同一、
又は相当部分を示し、その詳細な説明は省略する。又、
(92)は本実施例におけるパルス電流波形制御回路であ
り、その回路構成として、(9a)はアーク電圧検出値と
アーク電流検出値に基づいて時々刻々変化する真のアー
ク長を検出し、アーク長信号L(l)を出力するアーク
長検出器、(9b)は第10図(b)の破線で示されるよ
う、各溶接過程で必要とされるアーク長を後述する溶接
電流基準波形に対応させて模擬的に生成しシミュレーシ
ョンアーク長波形を設定するアーク長設定器、(9c)は
アーク長検出値とシミュレーションアーク長を比較し、
差信号ΔL(l)を出力する比較器A、(9d)は第11図
の(a)に示すようアーク電流を構成するパルス電流群
の基準波形を模擬的に生成したシミュレーション電流波
形を設定する電流波形設定器、(9e)はワイヤ送給速度
に従い、アーク長波形L0及び電流波形iの読み出し周期
を設定した電流波形周期CB設定器、(9f)は差信号ΔL
(l)によりシミュレーション電流波形のピーク値、又
はパルス幅を補正し、アーク電流を生成し出力する演算
器、(9g)は生成したアーク電流に重畳するベース電流
を出力するベース電流出力器、(9h)はベース電流を重
畳させる加算器、(9i)はアーク電流検出値と生成され
たアーク電流を比較し、比較結果に従ってインバータ駆
動回路(1b)をON,OFF制御する比較器B。
尚、上記アーク長設定器(9b)は第9図にその構成を
示すように、シミュレーション電流波形信号(第11図の
(a))を平滑化し第11図の(b)に示す如くアーク長
信号S(i)を得る充電・放電回路(9b1)、シミュレ
ーションアーク長波形中の切断波形を出力する期間を設
定した切断期間設定器(9b2)及び切断過程におけるア
ーク長信号を増幅する切断波形アンプ(9b3)、同じく
溶融波形を出力する期間を設定した溶融期間設定器(9b
6)及び溶融過程におけるアーク長信号を増幅する溶融
波形アンプ(9b7)、並び整形波形を設定した整形波形
設定器(9b11)等の各設定器と、各設定波形を順に合成
してシミュレーションアーク長を合成する波形の合成器
(9b16)と、各設定波形を波形の合成器(9b16)へ出力
制御するアナログスイッチ(9b4),(9b8),(9b12
と、各設定波形の読み出しを制御するインバータ素子
(9b5),(9b9),(9b14)と、電流波形周期CB信号出
力タイミングに基づき整形波形出力期間を設定するフリ
ップフロップ(9b13)及びANDゲート(9b15)とを備え
ている。
次に上記構成に基づき本実施例の動作について説明す
る。アーク長は第10図(a)に示すようにアーク電流を
給電してワイヤ電極を溶融し、溶融塊を成長させる過程
では伸びて行き、次にアーク電流をベース電流のみにし
溶融容量を下げる溶融塊整形期間では、ワイヤ送給速度
とアーク電流によるワイヤ電極の溶融塊の成長とのバラ
ンスの関係からアーク長は徐々に狭まってゆき、そし
て、溶融塊が整形され、アーク長が短くなった時点で、
大きなアーク電流を流し、その大きなアーク電流による
電磁ピンチ力で成長した溶融塊を離脱させる。離脱する
と再びアーク長は伸び上記の溶融塊の成長、整形、溶融
の現象を繰り返す。
実際、アーク溶接が正常に行なわれると以上のような
アーク長変化を呈することになるので、このアーク長変
化をシミュレーションアーク長波形として予め設定し、
このシミュレーションアーク長波形を保つべくアーク電
流給電制御を行なえば良好な溶接ビードが得られる安定
したアーク溶接が行える。
そのためには、先ずワイヤ送給速度に関係して設定さ
れる電流波形周期信号(以下単に周期信号と記載する)
CBが電流波形周期CB設定器(9e)より電流波形設定器
(9d)へ入力された時点で同期させ、アーク長設定器
(9b)は第10図(b)の破線で示されるようなシミュレ
ーションアーク長波形を形成する。このシミュレーショ
ンアーク長波形を形成するにあたり、アーク長設定器
(9b)は電流波形設定器(9d)において設定したパルス
電流群からなるシミュレーション電流波形信号を、充電
・放電回路に入力し、平滑化してシミュレーションアー
ク長波形信号を形成する。
そのために、先ずアーク長設定器(9b)は電流波形設
定器(9d)に設定されたシミュレーションアーク電流波
形信号(第11図の(a))を充電・放電回路(9b1)へ
入力する。この結果、シミュレーション電流波形信号を
構成するパルス電流群は第11図の(c)に示す如く平滑
化されアーク長信号S(i)となる。そして、切断過程
におけるアーク長信号を切断波形アンプ(9b3)へ入力
し、信号レベルをSA(=A・S(i) A(増幅ゲイ
ン)に、また溶融過程におけるアーク長信号を溶融波形
アンプ(9b7)へ入力し、信号レベルをTA(=B・S
(i) B:増幅ゲイン)にした後信号レベル設定器(9b
10)によって信号レベルをレベルCだけ上昇する。この
ように、各信号レベルが上昇するよう設定された後、周
期信号CBがフリップフロップ(9b13)のSET端子へ入力
されると、フリップフロップ(9b13)からはタイマ回路
で構成される切断期間設定器(9b2)へ“H"レベルのON
信号が入力され切断期間に対応した時間だけ“H"レベル
のON信号が切断波形アンプ(9b3)とアナログスイッチ
(9b4)へ入力する。この結果切断波形アンプ(9b3)か
らはアナログスイッチ(9b4)を介して切断波形データ
(第11図の(c)のSA)が波形の合成器(9b16)へ出力
する。次に、切断期間設定器(9b2)より出力したON信
号が“L"レベルに変るとインバータ素子(9b5)の出力
は“H"レベルに反転して溶融期間設定器(9b6)のON信
号となり溶融期間に対応した時間だけ“H"レベルのON信
号が溶融波形アンプ(9b7)及びアナログスイッチ(9
b8)へ入力し、溶融波形データ(第11図の(c)におけ
るTA)がアナログスイッチ(9b8)を介して波形の合成
器(9b16)へ入力する。更に、溶融期間が終りON信号が
“L"レベルになるとインバータ素子(9b9)の出力は
“H"レベルに反転し、フリップフロップ(9b13)のリセ
ット端子、ANDゲート(9b15)の一方入力、及び整形波
形設定器(9b11)へ入力するため、フリップフロップ
(9b13)の出力は“L"レベルとなってANDゲート(9
b15)の他方入力に接続したインバータ素子(9b14)へ
入力する。これによりANDゲート(9b15)はON状態とな
ってアナログスイッチ(9b12)をONし、整形波形データ
(第11図の(b)のV)を波形の合成器(9b16)へ入力
してシミュレーションアーク長波形の合成を始める。次
に、フリップフロップ(9b13)のSET端子へ周期信号CB
が入力すると、フリップフロップ(9b13)の出力は“H"
レベルとなってインバータ素子(9b14)へ入力している
ためANDゲート(9b15)はOFFとなり、アナログスイッチ
(9b12)もOFFとなって整形波形データ出力は停止す
る。だが、フリップフロップ(9b13)の出力は切断期間
設定器(9b2)へ入力するため再び切断波形データ読み
出しとなる。この結果、周期信号CB入力毎に、溶融、整
形、切断時のシミュレーションアーク長波形を合成し、
シミュレーションアーク長波形信号(L0)(第11図の
(c))を出力する。
以上のようにシミュレーションアーク長波形が設定さ
れたならば、アーク長波形の信号レベルL0と、アーク長
検出器によって検出した真のアーク長L(l)(第10図
(b)の実線部分)とを比較器A(9c)で比較し、その
差信号(ΔL(l)=L(l)−L0)を算出する。この
差信号ΔL(l)は、周期信号CBの出力時に電流波形設
定器(9d)より読み出したシミュレーション電流波形
(第11図の(a))とともに演算器へ入力し、パルス電
流波形信号のピーク値iをi=i−A・ΔL(l)の関
係式によって補正する。或はパルス電流波形信号のパル
ス幅τをτ=τ−B・ΔL(l)の関係式によって補正
する。このようにアーク長変化に伴なってパルス電流波
形信号を補正することで、各溶接過程では予め設定した
シミュレーションアーク長を保持しながら溶接が行える
とともに、アーク長変化を補正すべく溶接電流が得られ
る。この溶接電流は更に加算器(9h)においてベース電
流出力器(9g)より出力したアーク切れ防止のベース電
流とを重畳し比較器B(9i)へ入力する。比較器B(9
i)では電流検出器(6)にて検出したアーク電流検出
値とアーク電流基準値とを比較し、アーク電流検出値<
アーク電流基準値であればインバータ駆動回路(16)へ
ON信号を出力し、ワイヤ電極(3)と被溶接物(4b)間
にアーク溶接電源(1)から出力されるパルスアーク電
流を給電する。又、アーク電流検出値>アーク電流基準
値の間はインバータ駆動回路(1b)へ動作OFF信号を出
力する。
なお、上記実施例では、複数個のパルスの集団(パル
ス群)を周期的に繰り返したものについて述べたが、単
一パルスを周期的に繰り返した溶接でアーク長設定器に
予め設定した模擬アーク長と、アーク長検出器より検出
したアーク長信号とを比較し得られた差信号ΔLで、上
記単一パルス波形の瞬時電流iを差信号ΔLに応じてi
=i−D・ΔLに補正するようにしてもよい。
また、上記実施例では、パルスアーク溶接装置につい
て示したが、短絡とアークを繰り返して溶接する短絡移
行アーク溶接装置であってもよく、この場合はアーク期
間中のみアーク長検出器が働き、アーク期間中のアーク
長と模擬アーク長と比較し、アーク期間の瞬時電流iを
差信号ΔLに応じてi=i−D・ΔLに補正すれば、上
記実施例と同様の効果を奏する。
第12図は第8の発明の一実施例によるパルス溶接装置
の全体構成図である。図中、第8図と同一符号は同一、
又は相当部分を示し、その詳細な説明は省略する。又、
(93)は本実施例におけるパルス電流波形制御回路であ
り、その回路構成として、(9a)はアーク電圧検出値と
アーク電流検出値に基づいて時々刻々変化する真のアー
ク長を検出し、アーク長信号L(l)を出力するアーク
長検出器、(9b)はアーク長信号L(l)をもとに溶融
界の短絡を検出し、短絡検出期間信号Sを出力する短絡
期間検出器、(9c)は第16図の(b)の破線で示される
ように、各溶接過程で必要とされるアーク長を模擬的に
生成してシミュレーションアーク長波形L(o)を設定
するとともに、上記短絡期間検出信号Sの入力時に上記
シミュレーションアーク長波形L(o)のレベルを第15
図の(b)のように上昇させるアーク長設定器、(9d)
はアーク長検出値L(l)とシミュレーションアーク長
L0を比較し、差信号ΔL(l)を出力する比較器A、
(9e)は第16図の(c)に示すようアーク電流を構成す
るパルス電流群の基準波形を模擬的に生成しシミュレー
ション電流波形を設定する電流波形設定器、(9f)はア
ーク長波形L0及び電流波形iの読み出し周期を設定する
電流波形周期CB設定器、(9g)は差信号ΔL(l)によ
りシミュレーション電流波形のピーク値、又はパルス幅
を補正し、アーク電流を生成し出力する演算器、(9h)
は生成したアーク電流に重畳するベース電流を出力する
ベース電流出力器、(9i)はベース電流を重畳させる加
算器、(9j)はアーク電流検出値と生成されたアーク電
流を比較し、比較結果に従ってインバータ駆動回路(1
b)をON,OFF制御する比較器B。
尚、上記アーク長設定器(9c)は第13図にその構成を
示すように、短絡期間検出器(9b)から入力した短絡期
間検出信号Sの出力継続時間をもとに単位時間当りの短
絡信号を測定する短絡時間変換器(9c1)、予め規定し
た規定短絡時間信号を設定する規定短絡時間設定機(9c
2)を設定する短絡時間設定器(9c2)、単位時間当りの
短絡時間と、規定短絡時間信号値とを比較し、その差信
号としてシミュレーションアーク長波形のレベル修正信
号Δγを出力する比較器(9c3)、シミュレーションア
ーク長波形設定器(9b11)等の各設定器と、各設定波形
を順に合成してシミュレーションアーク長を合成する波
形の合成器(9b16)と、各設定波形を波形の合成器(9b
16)へ出力制御するアナログスイッチ(9b4),(9
b8),(9b12)と、各設定波形の読み出しを制御するイ
ンバータ素子(9b5),(9b9),(9b14)と、電流波形
周期CB信号出力タイミングに基づき整形波形出力期間を
設定するフリップフロップ(9b13)及びANDゲート(9b
15)とを備えている。
次に上記構成に基づき本実施例の動作について説明す
る。アーク長は第15図(a)に示すようにアーク電流を
給電してワイヤ電極を溶融し、溶融塊を成長させる過程
では伸びて行き、次にアーク電流をベース電流のみにし
溶融容量を下げる溶融塊整形期間では、ワイヤ送給速度
とアーク電流によるワイヤ電極の溶融塊の成長とのバラ
ンスの関係からアーク長は徐々に狭まってゆき、そし
て、溶融塊が整形され、アーク長が短くなった時点で、
大きなアーク電流を流し、その大きなアーク電流による
電磁ピンチ力で成長した溶融塊を離脱させる。離脱する
と再びアーク長は伸び上記の溶融塊の成長、整形、切断
の現象を繰り返す。
実際、アーク溶接が正常に行なわれると以上のような
アーク長変化を呈することになるので、このアーク長変
化をシミュレーションアーク長波形として予め設定し、
このシミュレーションアーク長波形を保つべくアーク電
流給電制御を行なえば良好な溶接ビードが得られる安定
したアーク溶接が行える。
しかして、溶接条件の変更で、アーク電流が外乱の影
響を受けやすくなり溶接塊の短絡状態が頻繁に発生しや
すくなった場合、シミュレーションアーク長波形のレベ
ルを上げるとともに、シミュレーションアーク長波形に
沿ったアーク長を保持しながらアーク溶接を行なわせる
ことで、短絡状態が減少し、ノンスパッタ化が図れる。
このためには、例えば第13図に示すアーク長設定器(9
c)に示されるように、短絡期間検出器(9b)より出力
された短絡期間信号Sを短絡時間変換器(9c1)へ入力
し(第16図(c))、単位時間当りの短絡時間に変換し
た後、比較器(9c3)で規定短絡時間設定器(9c2)にお
いて規定した短絡時間と比較する。比較の結果、単位時
間当りの短絡時間が規定短絡時間より大きくなれば波形
修正信号Δγを切断波形S設定器(9c5)、溶融波形t
設定器(9c9)、整形波形V設定器(9c12)へ出力し
(第16図の(b))、切断波形Sを(S+AΔγ)、溶
融波形tを(t+BΔγ)そして整形波形Vを(V+C
Δγ)のレベルに引き上げる(第16図の(a))。
以上のように、各波形レベルが引き上げられた後、周
期信号CBがフリップフロップ(9b13)のSET端子へ入力
されると、フリップフロップ(9b13)からはタイマ回路
で構成される切断期間設定器(9b2)へ“H"レベルのON
信号が入力され切断期間に対応した時間だけ“H"レベル
のON信号が切断波形S設定器(9b5)とアナログスイッ
チ(9b6)へ入力する。この結果切断波形S設定器アン
プ(9c5)からはアナログスイッチ(9c6)を介して切断
波形データ(第16図の(a)のS)が波形の合成器(9c
17)へ出力する。次に、切断期間設定器(9c4)より出
力したON信号が“L"レベルに変るとインバータ素子(9c
7)の出力は“H"レベルに反転して溶融期間設定器(9
c8)のON信号となり溶融期間に対応した時間だけ“H"レ
ベルのON信号が溶融波形T設定器(9c9)及びアナログ
スイッチ(9c10)へ入力し、溶融波形データ(第15図の
(b)のT)がアナログスイッチ(9c7)を介して波形
の合成器(9c17)へ入力する。更に、溶融期間が終りON
信号が“L"レベルになるとインバータ素子(9c11)の出
力は“H"レベルに反転し、フリップフロップ(9c14)の
リセット端子、ANDゲート(9c16)の一方入力、及び整
形波形設定器(9c12)へ入力するため、フリップフロッ
プ(9c14)の出力は“L"レベルとなってANDゲート(9c
16)の他方入力に接続したインバータ素子(9c15)へ入
力する。これによりANDゲート(9c16)はON状態となっ
てアナログスイッチ(9c13)をONし、整形波形データ
(第15図の(a)のV)を波形の合成器(9c17)へ入力
してシミュレーションアーク長波形の合成を始める。次
に、フリップフロップ(9c14)のSET端子へ周期信号CB
が入力すると、フリップフロップ(9c14)の出力は“H"
レベルとなってインバータ素子(9c15)へ入力している
ためANDゲート(9c16)はOFFとなり、アナログスイッチ
(9c13)もOFFとなって整形波形データ出力は停止す
る。だが、フリップフロップ(9c14)の出力は切断期間
設定器(9c4)へ入力するため再び切断波形データ読み
出しとなる。この結果、周期信号CB入力毎に、溶融、整
形、切断時のシミュレーションアーク長波形を合成し、
シミュレーションアーク長波形信号(L0)(第15図の
(b)を出力する。
以上のようにシミュレーションアーク長波形が設定さ
れたならば、アーク長波形の信号レベルL0と、アーク長
検出器によって検出した真のアーク長L(l)(第15図
の(b)の実線部分)とを比較器A(9c)で比較し、そ
の差信号(ΔL(l)=L(l)−L0)を算出する。こ
の差信号ΔL(l)は、周期信号CBの出力時に電流波形
設定器(9d)より読み出したシミュレーション電流波形
(第15図の(b))とともに演算器へ入力し、パルス電
流波形信号のピーク値iをi=i−A・ΔL(l)の関
係式によって補正する。或はパルス電流波形信号のパル
ス幅τをτ=τ−B・ΔL(l)の関係式によって補正
する。このようにアーク長変化に伴なってパルス電流波
形信号を補正することで、設定周期で繰り返される各溶
接過程では溶融塊の短絡状態を考慮して補正したシミュ
レーションアーク長を保持しながら溶接が行えるととも
に、アーク長変化を補正すべく溶接電流が得られる。こ
の溶接電流は更に加算器(9i)においてベース電流出力
器(9h)より出力したアーク切れ防止のベース電流とを
重畳し比較器(9j)へ入力する。比較器B(9j)では電
流検出器(6)にて検出したアーク電流検出値とアーク
電流基準値とを比較し、アーク電流検出値<アーク電流
基準値であればインバータ駆動回路(16)へON信号を出
力し、ワイヤ電極(3)と被溶接物(4b)間にアーク溶
接電源(1)から出力されるパルスアーク電流を給電す
る。又、アーク電流検出値>アーク電流基準値の間はイ
ンバータ駆動回路(1b)へ動作OFF信号を出力する。
尚、上記実施例では一定時間以上の単位時間当りの短
絡時間を測定して、各波形レベルの修正動作を行なうよ
うにしていた。だが、第14図に示すように、短絡検出信
号Sを短絡回数変換回路(9c1a)にて計数し、所定時間
内における短絡状態発生回数の延べ回数を計数したなら
ば、この計数値と短絡回数設定器(9c2a)で設定した短
絡回数とを比較器(9c3a)で比較し、短絡回数が設定回
数以上であれば、短絡の発生頻度が大きいとして、第2
図に示すように各波形レベルを引き上げてシミュレーシ
ョンアーク長波形を合成するようにしてもよい。
なお、上記実施例では、複数個のパルスの集団(パル
ス群)を周期的に繰り返したものについて述べたが、単
一パルスを周期的に繰り返した溶接でアーク長設定器に
予め設定した模擬アーク長と、アーク長検出器より検出
したアーク長信号とを比較し得られた差信号ΔLで、上
記単一パルス波形の瞬時電流iを差信号ΔLに応じてi
=i−D・ΔLに補正するようにしてもよい。
また、上記実施例では、パルスアーク溶接装置につい
て示したが、短絡とアークを繰り返して溶接する短絡移
行アーク溶接装置であってもよく、この場合はアーク期
間中のみアーク長検出器が働き、アーク期間中のアーク
長と模擬アーク長と比較し、アーク期間の瞬時電流iを
差信号ΔLに応じてi=i−D・ΔLに補正すれば、上
記実施例と同様の効果を奏する。
第17図は第9の発明の一実施例によるパルス溶接装置
の全体構成図である。図中、第8図と同一符号は同一、
又は相当部分を示し、その詳細な説明は省略する。
(94)は本実施例におけるパルス電流波形制御回路であ
り、その回路構成として、(9a)はアーク電圧検出値と
アーク電圧検出値に基づいて時々刻々変化する真のアー
ク長を検出し、アーク長信号L(l)を出力するアーク
長検出器、(9b)は第19図(a)の破線で示されるよ
う、各溶接過程で必要とされるアーク長を後述する溶接
電流基準波形に対応させて模擬的に生成しシミュレーシ
ョンアーク長波形を設定するアーク長波形設定器、(9
c)はアーク長検出値とシミュレーションアーク長を比
較し、差信号ΔL(l)を出力する比較器A、(9d)は
第19図の(b)に示すようアーク電流を構成するパルス
電流群の基準波形を模擬的に生成しシミュレーション電
流波形を設定する電流波形設定器、(9e)はアーク長波
形L0及び電流波形iの読み出し周期を設定した電流波形
周期CB設定器、(9f)は差信号ΔL(l)によりシミュ
レーション電流波形のピーク値、又はパルス幅を補正
し、アーク電流を生成し出力する演算器、(9g)は生成
したアーク電流に重畳するベース電流を出力するベース
電流出力器、(9h)はベース電流を重畳させる加算器、
(9i)はアーク電流検出値と生成されたアーク電流を比
較し、比較結果に従ってインバータ駆動回路(1b)をO
N,OFF制御する比較器B。
尚、上記アーク長設定器(9b)は第18図にその構成を
示すように、シミュレーションアーク長波形中の切断波
形を出力する期間を設定した切断期間設定器(9b1)及
び切断波形を設定した切断波形設定器(9b2)、同じく
溶融波形を出力する期間を設定した溶融期間設定器(9b
5)及び溶融波形を設定した溶融波形設定器(9b6)、並
び整形波形を設定した整形波形設定器(9b9)等の各設
定器と、各設定波形を順に合成してシミュレーションア
ーク長を合成する波形の合成器(9b13)と、各設定波形
を波形の合成器(9b13)へ出力制御するアナログスイッ
チ(9b3),(9b7),(9b10)と、各設定波形の読み出
しを制御するインバータ素子(9b4),(9b8),(9
b12)と、電流波形周期CB信号出力タイミングに基づき
整形波形出力期間を設定するフリップフロップ(9b11
及びANDゲート(9b14)とを備えている。
次に上記構成に基づき本実施例の動作について説明す
る。アーク長は第20図(a)に示すようにアーク電流を
給電してワイヤ電極を溶融し、溶融塊を成長させる過程
では伸びて行き、次にアーク電流をベース電流のみにし
溶融容量を下げる溶融塊整形期間では、ワイヤ送給速度
とアーク電流によるワイヤ電極の溶融塊の成長とのバラ
ンスの関係からアーク長は徐々に狭まってゆき、そし
て、溶融塊が整形され、アーク長が短くなった時点で、
大きなアーク電流を流し、その大きなアーク電流による
電磁ピンチ力で成長した溶融塊を離脱させる。離脱する
と再びアーク長は伸び上記の溶融塊の成長、整形、切断
の現象を繰り返す。
実際、アーク溶接が正常に行なわれると以上のような
アーク長変化を呈することになるので、溶融塊の成長、
整形、切断の現象がアーク電流波形と対応することを利
用し、アーク電流波形のタイミングで上記のアーク長変
化をシミュレーションアーク長波形として予め設定し、
このシミュレーションアーク長波形を保つべくアーク電
流給電制御を行なえば良好な溶接ビードが得られる安定
したアーク溶接が行える。
しかして、上記各溶接過程の繰り返し周期は、溶接条
件、例えばアーク溶接に必要とされるシールドガスの成
分混合比においてCO2が多い場合は上記周期を広くと
り、或はArが多い場合は周期を短くする。或は磁気吹き
現象といった特異な現象が発生し、成長した溶融塊が偏
向したアークによって上方に押し上げられる場合は、繰
り返し周期を遅らせ、整形過程を十分にとり、溶融塊が
上方に押し上げられたものをもとの状態に戻し、切断過
程を始めるようにすることが必要とされる。このために
は、上記各条件に合せて出力周期の設定された電流波形
周期信号(以下、単に周期信号と記する)CB(第19図の
(c))が電流波形周期CB設定器(9e)より、アーク長
設定器(9b)及び電流波形設定器(9d)のそれぞれに同
時に出力される。この結果、アーク長設定器(9b)は第
19図の(a)の破線で示されるようなシミュレーション
アーク長波形を合成し出力する。アーク長波形合成とし
ては、第18図に示されるように、周期信号CBがフリップ
フロップ(9b11)のSET端子へ入力されると、フリップ
フロップ(9b11)からはタイマ回路で構成される切断期
間設定器(9b1)へ“H"レベルのON信号が入力され切断
期間に対応した時間だけ“H"レベルのON信号が切断波形
S設定器(9b2)とアナログスイッチ(9b3)へ入力す
る。この結果切断波形S設定器(9b2)からはアナログ
スイッチ(9b3)を介して切断波形データ(第19図の
(a)のS)が波形の合成器(9b13)へ出力する。次
に、切断期間設定器(9b1)より出力したON信号が“L"
レベルに変るとインバータ素子(9b4)の出力は“H"レ
ベルに反転して溶融期間設定器(9b5)のON信号となり
溶融期間に対応した時間だけ“H"レベルのON信号が溶融
波形T設定器(9b5)及びアナログスイッチ(9b7)へ入
力し、溶融波形データ(第19図の(a)のT)がアナロ
グスイッチ(9b7)を介して波形の合成器(9b13)へ入
力する。更に、溶融期間が終りON信号が“L"レベルにな
るとインバータ素子(9b8)の出力は“H"レベルに反転
し、フリップフロップ(9b11)のリセット端子、ANDゲ
ート(9b14)の一方入力、及び整形波形設定器(9b9
へ入力するため、フリップフロップ(9b11)の出力は
“L"レベルとなってANDゲート(9b15)の他方入力に接
続したインバータ素子(9b12)へ入力する。これにより
ANDゲート(9b14)はON状態となってアナログスイッチ
(9b10)をONし、整形波形データ(第19図の(a)の
V)を波形の合成器(9b13)へ入力してシミュレーショ
ンアーク長波形の合成を始める。次に、フリップフロッ
プ(9b11)のSET端子へ周期信号CBが入力すると、フリ
ップフロップ(9b11)の出力は“H"レベルとなってイン
バータ素子(9b11)へ入力しているためANDゲート(9b
14)はOFFとなり、アナログスイッチ(9b10)もOFFとな
って整形波形データ出力は停止する。だが、フリップフ
ロップ(9b11)の出力は切断期間設定器(9b1)へ入力
するため再び切断波形データ読み出しとなる。この結
果、周期信号CB入力毎に、溶融、整形、切断時のシミュ
レーションアーク長波形を合成し、シミュレーションア
ーク長波形信号(L0)(第20図の(b))を出力する。
以上のようにシミュレーションアーク長波形が設定さ
れたならば、アーク長波形の信号レベルL0と、アーク長
検出器によって検出した真のアーク長L(l)(第19図
の(b)の実線部分)とを比較器A(9c)で比較し、そ
の差信号(ΔL(l)=L(l)−L0)を算出する。こ
の差信号ΔL(l)は、周期信号CBの出力時に電流波形
設定器(9d)より読み出したシミュレーション電流波形
(第19図の(b))とともに演算器へ入力し、パルス電
流波形信号のピーク値iをi=i−A・ΔL(l)の関
係式によって補正する。或はパルス電流波形信号のパル
ス幅τをτ=τ−B・ΔL(l)の関係式によって補正
する。このようにアーク長変化に伴なってパルス電流波
形信号を補正することで、各溶融過程では予め設定した
シミュレーションアーク長を保持しながら溶接が行える
とともに、アーク長変化を補正すべく溶接電流が得られ
る。この溶接電流は更に加算器(9h)においてベース電
流出力器(9g)より出力したアーク切れ防止のベース電
流とを重畳し比較器B(9i)へ入力する。比較器B(9
i)では電流検出器(6)にて検出したアーク電流検出
値とアーク電流基準値とを比較し、アーク電流検出値<
アーク電流基準値であればインバータ駆動回路(16)へ
ON信号を出力し、ワイヤ電極(3)と被溶接物(4b)間
にアーク溶接電源(1)から出力されるパルスアーク電
流を給電する。又、アーク電流検出値>アーク電流基準
値の間はインバータ駆動回路(1b)へ動作OFF信号を出
力する。
なお、上記実施例では、複数個のパルスの集団(パル
ス群)を周期的に繰り返したものについて述べたが、単
一パルスを周期的に繰り返した溶接でアーク長設定器に
予め設定した模擬アーク長と、アーク長検出器より検出
したアーク長信号とを比較し得られた差信号ΔLで、上
記単一パルス波形の瞬時電流iを差信号ΔLに応じてi
=i−D・ΔLに補正するようにしてもよい。
また、上記実施例では、パルスアーク溶接装置につい
て示したが、短絡とアークを繰り返して溶接する短絡移
行アーク溶接装置であってもよく、この場合はアーク期
間中のみアーク長検出器が働き、アーク期間中のアーク
長と模擬アーク長と比較し、アーク期間の瞬時電流iを
差信号ΔLに応じてi=i−D・ΔLに補正すれば、上
記実施例と同様の効果を奏する。
第21図は第10の発明の一実施例によるパルス溶接装置
の全体構成図である。図中、第17図と同一符号は同一、
又は相当部分を示し、その詳細な説明は省略する。又、
(95)は本実施例におけるパルス電流波形制御回路であ
り、その回路構成として、(9a)はアーク電圧検出値と
アーク電流検出値に基づいて時々刻々変化する真のアー
ク長を検出し、アーク長信号L(l)を出力するアーク
長検出器、(9b)はアーク長信号L(l)に基づき溶融
塊の離脱を検出し、離脱信号を出力する離脱検出器、
(9c)は第24図の(b)の破線で示されるよう、各溶接
過程で必要とされるアーク長を後述する溶接電流基準波
形に対応させて模擬的に生成しシミュレーションアーク
長波形を設定するアーク長波形設定器、(9d)はアーク
長検出値とシミュレーションアーク長を比較し、差信号
ΔL(l)を出力する比較器A、(9e)は第4図の
(c)に示すようアーク電流を構成するパルス電流群の
基準波形を模擬的に生成しシミュレーション電流波形を
設定する電流波形設定器、(9f)はワイヤ送給速度に従
い、アーク長波形L0及び電流波形iの読み出し周期を設
定した電流波形周期CB設定器、(9g)は差信号ΔL
(l)によりシミュレーション電流波形のピーク値、又
はパルス幅を補正し、アーク電流を生成し出力する演算
器、(9h)は生成したアーク電流に重畳するベース電流
を出力するベース電流出力器、(9i)はベース電流を重
畳させる加算器、(9j)はアーク電流検出値と生成され
たアーク電流を比較し、比較結果に従ってインバータ駆
動回路(1b)をON,OFF制御する比較器B。
上記、離脱検出器(9b)はアーク長検出器(9a)より
入力したアーク長信号を微分処理して微分信号を得、そ
の信号レベルが第23図の(b)に示すようにプラスであ
れば、ワイヤ電極先端の溶融塊の離脱状態(第23図の
(a)として離脱信号SD(第23図の(d))を出力す
る。
又、上記アーク長波形設定器(9c)は第22図にその構
成を示すように、シミュレーションアーク長波形中の切
断波形Tを出力する期間を設定した切断期間設定器(9c
1)及び切断波形Sを設定した切断波形S設定器(9
c12)、切断波形の出力制御を行なうとともに、離脱信
号入力にもとづき溶融波形Tの出力制御を行なうORゲー
ト(9c4)、インバータ素子(9c5)、フリップフロップ
(以下F/Fと略記する)(9c7),(9c8)、溶融波形T
を出力する期間を設定した溶融期間設定器(9c8)及び
溶融波形Tを設定する溶融波形T(9b9)、並び整形波
形Vを設定した整形波形V設定器(9c12)等の各設定器
と、各設定波形を順に合成してシミュレーションアーク
長を合成する波形の合成器(9c14)と、各設定波形を波
形の合成器(9c14)へ出力制御するアナログスイッチ
(9c3),(9c10),(9c13)と、各設定波形の読み出
しを制御するインバータ素子(9c11),(9c15)と、電
流波形周期CB信号出力タイミングに基づき整形波形出力
期間を設定するフリップフロップ(9c19)及びANDゲー
ト(9c15)とを備えている。
次に上記構成に基づき本実施例の動作について説明す
る。アーク長は第23図の(a)に示すようにアーク電流
を給電してワイヤ電極を溶融し、溶融塊を成長させる過
程では伸びて行き、次にアーク電流をベース電流のみに
し溶融容量を下げる溶融塊整形期間では、ワイヤ送給速
度とアーク電流によるワイヤ電極の溶融塊の成長とのバ
ランスの関係からアーク長は徐々に狭まってゆき、そし
て、溶融塊が整形され、アーク長が短くなった時点で、
大きなアーク電流を流し、その大きなアーク電流による
電磁ピンチ力で成長した溶融塊を離脱させる。離脱する
と再びアーク長は伸び上記の溶融塊の成長、整形、切断
の現象を繰り返す。
或は、整形期間で成長した溶融塊が被溶接物に短絡
し、アーク長信号が急激にマイナス方向に減少した時点
で、アーク電流を急激に上昇させると短絡溶融塊は離脱
し、再びアーク長がプラス方向に伸びて溶融期間に入
る。
実際、アーク溶接が正常に行なわれると以上のような
アーク長変化を呈することになるので、このアーク長変
化をシミュレーションアーク長波形として予め設定し、
このシミュレーションアーク長波形を保つべくアーク電
流給電制御を行なえば良好な溶接ビードが得られる安定
したアーク溶接が行える。
しかして、溶接塊の離脱時刻は常に一定とは限らず、
溶接条件の変更、或はアーク電流に対する外乱によって
時期が乱れることがある。そのため、正常アーク溶接を
もとに設定したシミュレーションアーク長波形に従って
アーク長制御を行なうと、実際のアーク長変化に即した
アーク長制御を行なうための溶接電流が生成できない。
そこで、実際のアーク長変化に則せるシミュレーション
アーク長波形を合成するにあたり、溶融塊の離脱に同期
して、切断波形Sより溶融波形Tへの生成切り換え、次
に整形波形vの生成を行ない、各波形を合成すること
で、実際のアーク長変化に則せるシミュレーションアー
ク長波形が合成できる。
次に上記状況に合せてシミュレーションアーク長波形
を合成する場合について第22図のアーク長波形設定回路
及び第23図の信号波形図に従って説明する。先ず、ワイ
ヤ送給速度に関係して設定される電流波形周期信号(以
下単に周期信号と記載する)CBが電流波形周期CB設定器
(9c)よりアーク長波形設定器(9c)へ入力すると、周
期信号CBはフリップフロップ(9c17)のSET端子へ入力
されると、フリップフロップ(9c17)からはタイマ回路
で構成される切断期間設定器(9c1)へ“H"レベルのON
信号が入力され切断期間に対応した時間だけ“H"レベル
のON信号が切断波形S設定器(9c2)とアナログスイッ
チ(9c3)へ入力する。この結果切断波形アンプ(9b3
からはアナログスイッチ(9c3)を介して切断波形デー
タSが波形の合成器(9c14)へ出力する。しかして、切
断期間より溶融期間への切り換えは、離脱検出器(9b)
より離脱信号Sがアーク長波形設定器(9c)へ入力され
た時点で行なわれるので、離脱信号入力までは切断波形
を継続する必要がある。この切断波形Sを継続するに
は、先ず、切断期間設定器(9c1)より出力された“H"
レベルのON信号はORゲート(9c4)を介して切断波形設
定器(9c2)へ入力される一方、インバータ素子(9c5
を通して“L"レベルの信号となってF/F(9c6)と(9
c9)へ入力される。この時点では両F/F(9c6),(9
c9)は出力信号を出力しないが、切断期間が終了し、ON
信号が“L"レベルに変り、インバータ素子(9c5)の出
力が“H"レベルに反転すると、F/F(9c7)はセット状態
となり、またF/F(9c6)は“H"レベルのON信号をORゲー
ト(9c4)を介して切断波形S設定器(9c2)へ入力す
る。したがって、切断波形S設定器(9c2)は、切断波
形Sの出力を継続することができる。次に、セット状態
になっているF/F(9c7)へトリガとして離脱信号SP(第
23図の(c))が入力すると、F/F(9c7)は出力信号を
リセット信号としてF/F(9c6)のリセット端子へ入力
し、切断波形S設定器(9c2)へのON信号を停止すると
ともに、溶融期間設定器(9c8)へON信号を出力する。
この結果、切断波形S継続出力より溶融波形Tの出力へ
と切り換わる。
溶融期間設定器(9c8)は溶融期間に対応した時間だ
け“H"レベルのON信号が溶融波形T設定器(9c8)及び
アナログスイッチ(9c10)へ入力し、溶融波形データ
(第24図の(b)のT)がアナログスイッチ(9c10)を
介して波形の合成器(9c14)へ入力する。更に、溶融期
間が終りON信号が“L"レベルになるとインバータ素子
(9b9)の出力は“H"レベルに反転し、フリップフロッ
プ(9b13)のリセット端子、ANDゲート(9b15)の一方
入力、及び整形波形設定器(9b11)へ入力するため、フ
リップフロップ(9b13)の出力は“L"レベルとなってAN
Dゲート(9c15)の他方入力に接続されたインバータ素
子(9c14)へ入力する。これによりANDゲート(9c15
はON状態となってアナログスイッチ(9c13)をONし、整
形波形データVを波形の合成器(9c14)へ入力してシミ
ュレーションアーク長波形の合成を始める。次に、フリ
ップフロップ(9c17)のSET端子へ周期信号CBが入力さ
れると、フリップフロップ(9c17)の出力は“H"レベル
となってインバータ素子(9c16)へ入力するためANDゲ
ート(9c15)はOFFとなり、アナログスイッチ(9c13
もOFFとなって整形波形データ出力は停止する。だが、
フリップフロップ(9c17)の出力は切断期間設定器(9c
1)へ入力するため再び切断波形データ読み出しとな
る。この結果、周期信号CB及び離脱信号SD入力毎に、溶
融、整形、切断時のシミュレーションアーク長波形を合
成し、シミュレーションアーク長波形信号(L0)(第24
図の(b))を出力する。
以上のようにシミュレーションアーク長波形が設定さ
れたならば、アーク長波形の信号レベルL0と、アーク長
検出器によって検出した真のアーク長L(l)(第24図
の(b)の実線部分)とを比較器A(9d)で比較し、そ
の差信号(ΔL(l)=L(l)−L0)を算出する。こ
の差信号ΔL(l)は、周期信号CBの出力時に電流波形
設定器(9e)より読み出したシミュレーション電流波形
(第24図の(c))とともに演算器(9g)へ入力し、パ
ルス電流波形信号のピーク値iをi=i+A・ΔL
(l)の関係式によって補正する。或はパルス電流波形
信号のパルス幅τをτ=τ−B・ΔL(l)の関係式に
よって補正する。このようにアーク長変化に伴なってパ
ルス電流波形信号を補正することで、溶融塊の離脱時期
変動によるアーク長変動を含めて設定したシミュレーシ
ョンアーク長を保持しながら溶接が行えるとともに、ア
ーク長変化を補正すべく溶接電流が得られる。
この溶接電流は更に加算器(9h)においてベース電流
出力器(9g)より出力したアーク切れ防止のベース電流
とを重畳し比較器B(9i)へ入力する。比較器B(9i)
では電流検出器(6)にて検出したアーク電流検出値と
アーク電流基準値とを比較し、アーク電流検出値<アー
ク電流基準値であればインバータ駆動回路(16)へON信
号を出力し、ワイヤ電極(3)と被溶接物(4b)間にア
ーク溶接電源(1)から出力されるパルスアーク電流を
給電する。又、アーク電流検出値>アーク電流基準値の
間はインバータ駆動回路(1b)へ動作OFF信号を出力す
る。
なお、上記実施例では、複数個のパルスの集団(パル
ス群)を周期的に繰り返したものについて述べたが、単
一パルスを周期的に繰り返した溶接でアーク長設定器に
予め設定した模擬アーク長と、アーク長検出器より検出
したアーク長信号とを比較し得られた差信号ΔLで、上
記単一パルス波形の瞬時電流iを差信号ΔLに応じてi
=i−D・ΔLに補正するようにしてもよい。
また、上記実施例では、パルスアーク溶接装置につい
て示したが、短絡とアークを繰り返して溶接する短絡移
行アーク溶接装置であってもよく、この場合はアーク期
間中のみアーク長検出器は働き、アーク期間中のアーク
長と模擬アーク長と比較し、アーク期間の瞬時電流iを
差信号ΔLに応じてi=i−D・ΔLに補正すれば、上
記実施例と同様の効果を奏する。
以下、第11の発明の一実施例を図について説明する。
第25図は第11の発明の一実施例によるパルス溶接装置の
全体構成図である。図中、第21図と同一符号は同一又は
相当部分を示し、その詳細な説明は省略する。又、
(96)は本実施例におけるパルス電流波形制御回路であ
り、その回路構成として、(9a)はアーク電圧検出値と
アーク電流検出値に基づいて時々刻々変化する真のアー
ク長を検出し、アーク長信号L(l)を出力するアーク
長検出器、(9b)はアーク信号の変化によって溶融塊が
短絡状態であることを判断した時に、短絡期間信号を出
力する短絡期間検出器、(9c)は第27図(b)の破線で
示されるよう、各溶接過程で必要とされるアーク長を後
述する溶接電流基準波形に対応させて模擬的に生成しシ
ミュレーションアーク長波形を設定するアーク長波形設
定器、(9d)はアーク長検出値とシミュレーションアー
ク長を比較し、差信号ΔL(l)を出力する比較器A、
(9e)は第28図の(a)に示すようアーク電流を構成す
るパルス電流群の基準波形を模擬的に生成しシミュレー
ション電流波形を設定する電流波形設定器、(9f)はワ
イヤ送給速度に従い、アーク長波形L0及び電流波形iの
読み出し周期を設定した電流波形周期CB設定器、(9g)
は差信号ΔL(l)によりシミュレーション電流波形の
ピーク値、又はパルス幅を補正し、アーク電流を生成し
出力する演算器、(9h)は短絡期間信号を受信した時
に、比較器A(9d)より演算器(9g)へ差信号をカット
するアナログスイッチ、(9i)は生成したアーク電流に
重畳するベース電流を出力するベース電流出力器、(9
j)はベース電流を重畳させる加算器、(9k)はアーク
電流検出値と生成されたアーク電流を比較し、比較結果
に従ってインバータ駆動回路(1b)をON,OFF制御する比
較器B。
尚、上記アーク長波形設定器(9c)は第26図にその構
成を示すように、シミュレーションアーク長波形中の切
断波形Sを出力する期間を設定した切断期間設定器(9c
1)及び切断過程波形Sを設定する切断波形S設定器(9
c2)、同じく溶融波形Tを出力する期間を設定した溶融
期間設定器(9c5)及び溶融波形Tを設定する溶融波形
設定器(9c6)、並び整形波形を設定した整形波形V設
定器(9c9)等の各設定器と、各設定波形を順に合成し
てシミュレーションアーク長を合成する波形の合成器
(9c13)と、各設定波形を波形の合成器(9c13)へ出力
制御するアナログスイッチ(9c3),(9c7),(9c10
と、各設定波形の読み出しを制御するインバータ素子
(9c4),(9c8),(9c12)と、電流波形周期CB信号出
力タイミングに基づき整形波形出力期間を設定するフリ
ップフロップ(9c11)及びANDゲート(9c14)とを備え
ている。
次に上記構成に基づき本実施例の動作について説明す
る。アーク長は第27図(a)に示すようにアーク電流を
給電してワイヤ電極を溶融し、溶融塊を成長させる過程
では伸びて行き、次にアーク電流をベース電流のみにし
溶融容量を下げる溶融塊整形期間では、ワイヤ送給速度
とアーク電流によるワイヤ電極の溶融塊の成長とのバラ
ンスの関係からアーク長は徐々に狭まってゆき、そし
て、溶融塊が整形され、アーク長が短くなった時点で、
大きいなアーク電流を流し、その大きなアーク電流によ
る電磁ピンチ力で成長した溶融塊を離脱させる。離脱す
ると再びアーク長は伸び上記の溶融塊の成長、整形、切
断の現象を繰り返す。
実際、アーク溶接が正常に行なわれると以上のような
アーク長変化を呈することになるので、このアーク長変
化をシミュレーションアーク長波形として予め設定し、
このシミュレーションアーク長波形を保つべくアーク電
流給電制御を行なえば良好な溶接ビードが得られる安定
したアーク溶接が行える。
そのためには、先ずワイヤ送給速度に関連して設定さ
れる電流波形周期信号(以下単に周期信号と記載する)
CBが電流波形周期CB設定器(9e)より電流波形設定器
(9d)へ入力するのと同期して、アーク長設定器(9b)
は第28図(b)の破線で示されるようなシミュレーショ
ンアーク長波形を形成する。このシミュレーションアー
ク長波形を形成するにあたり、先ず、電流波形周期CB
定器(9f)より周期信号CBをフリップフロップ(9c11
のSET端子へ入力すると、フリップフロップ(9c11)か
らはタイマ回路で構成される切断期間設定器(9c1)へ
“H"レベルのON信号が入力され、切断期間に対応した時
間だけ“H"レベルのON信号が切断波形アンプ(9c2)と
アナログスイッチ(9c3)へ入力する。この結果切断波
形S設定器(9c2)からはアナログスイッチ(9c3)を介
して切断波形データSが波形の合成器(9c13)へ出力す
る。次に、切断期間設定器(9c1)より出力したON信号
が“L"レベルに変るとインバータ素子(9c4)の出力は
“H"レベルに反転して溶融期間設定器(9c5)のON信号
となり溶融期間に対応した時間だけ“H"レベルのON信号
が溶融波形T設定器(9c6)及びアナログスイッチ(9
c7)へ入力し、溶融波形データTがアナログスイッチ
(9c7)を介して波形の合成器(9c13)へ入力する。更
に、溶融期間が終りON信号が“L"レベルになるとインバ
ータ素子(9c8)の出力は“H"レベルに反転し、フリッ
プフロップ(9c11)のリセット端子、ANDゲート(9
c15)の一方入力、及び整形波形T設定器(9c7)へ入力
するため、フリップフロップ(9c11)の出力は“L"レベ
ルとなってANDゲート(9c14)の他方入力に接続したイ
ンバータ素子(9c12)へ入力する。これによりANDゲー
ト(9c14)はON状態となってアナログスイッチ(9c10
をONし、整形波形データVを波形の合成器(9c13)へ入
力してシミュレーションアーク長波形の合成を始める。
次に、フリップフロップ(9c11)のSET端子へ周期信号C
Bが入力すると、フリップフロップ(9c11)の出力は
“H"レベルとなってインバータ素子(9c12)へ入力して
いるためANDゲート(9c14)はOFFとなり、アナログスイ
ッチ(9c10)もOFFとなって整形波形データ出力は停止
する。だが、フリップフロップ(9c11)の出力は切断期
間設定器(9c1)へ入力するため再び切断波形データ読
み出しとなる。この結果、周期信号CB入力毎に、溶融、
整形、切断時のシミュレーションアーク長波形を合成
し、シミュレーションアーク長波形信号(L0)(第28図
の(c))を出力する。
以上のようにシミュレーションアーク長波形が設定さ
れたならば、アーク長波形の信号レベルL0と、アーク長
検出器によって検出した真のアーク長L(l)(第4図
の(b)の実線部分)とを比較器A(9c)で比較し、そ
の差信号(ΔL(l)=L(l)−L0)を算出する。こ
の差信号ΔL(l)は、周期信号CBの出力時に電流波形
設定器(9d)より読み出したシミュレーション電流波形
(第28図の(c))とともに演算器へ入力し、パルス電
流波形信号のピーク値iをI=i−A・ΔL(l)の関
係式によって補正する。或はパルス電流波形信号のパル
ス幅τをτ=τ−B・ΔL(l)の関係式によって補正
する。このようにアーク長変化に伴なってパルス電流波
形信号を補正することで、各溶接過程では予め設定した
シミュレーションアーク長を保持しながら溶接が行える
とともに、アーク長変化を補正すべく溶接電流が得られ
る。
だが、第27図の(a)に示す如く、何らかの原因で切
断期間が不規則となり、溶融塊の離脱が行なわれず、溶
融塊が被溶接物(4b)に短絡すると、アーク長検出器
(9b)はマイナス方向に減少するアーク長信号L(l)
を出力することになる。又、このアーク長信号L(l)
を比較対象としアーク長設定値(L0)で比較器(9d)で
比較動作を行なうと、比較器(9d)より出力される差信
号ΔLは非常に大きくなる。そのため、この差信号ΔL
を演算器(9g)へ送出し、シミュレーション電流波形を
補正し、溶接電流を生成し出力すると、溶接電流は瞬間
的に大きな電流として流れ、溶接の不安定性を招き得な
いので、短絡期間検出器(9b)による短絡動作時(第27
図の(a),(b)には短絡期間信号をアナログスイッ
チ(9h)へ出力し(第27図の(c))、比較器(9d)よ
り演算器(9g)へ出力される差信号を遮断し、電流波形
の補正の抑止することで、溶融塊短絡時に過大な溶接電
流を流すべく指示はなくなる。そしてシミュレーション
電流波形のみによって生成出力された溶接電流は更に加
算器(9j)においてベース電流出力器(9i)より出力し
たアーク切れ防止のベース電流とを重畳し比較器B(9
k)へ入力する。比較器B(9k)では電流検出器(6)
にて検出したアーク電流検出値とアーク電流基準値とを
比較し、アーク電流検出値<アーク電流基準値であれば
インバータ駆動回路(16)へON信号を出力し、ワイヤ電
極(3)と被溶接物(4b)間にアーク溶接電源(1)か
ら出力されるパルスアーク電流を給電する。又、アーク
電流検出値>アーク電流基準値の間はインバータ駆動回
路(1b)へ動作OFF信号を出力する。
なお、上記実施例では、複数個のパルスの集団(パル
ス群)を周期的に繰り返したものについて述べたが、単
一パルスを周期的に繰り返した溶接でアーク長設定器に
予め設定した模擬アーク長と、アーク長検出器より検出
したアーク長信号とを比較し得られた差信号ΔLで、上
記単一パルス波形の瞬時電流iを差信号ΔLに応じてi
=i−D・ΔLに補正するようにしてもよい。
また、上記実施例では、パルスアーク溶接装置につい
て示したが、短絡とアークを繰り返して溶接する短絡移
行アーク溶接装置であってもよく、この場合はアーク期
間中のみアーク長検出器が働き、アーク期間中のアーク
長と模擬アーク長と比較し、アーク期間の瞬時電流iを
差信号ΔLに応じてi=i−D・ΔLに補正すれば、上
記実施例と同様の効果を奏する。
第29図(a)は第12の発明の一実施例におけるパルス
アーク溶接装置の全体構成図である。図中、第25図と同
一符号は同一、又は相当部分を示す。図において、(1
1)はアーク長信号L(l)に基づき時々刻々変化する
アーク長変化の平均値を求め平均アーク長信号(l)
を出力する平均アーク長変換器、(12)は目標アーク長
L0を設定する目標アーク長設定器である。又、(101
はパルス電流群を生成し、出力制御するパルス電流波形
制御回路であり、その回路構成として、(10a)は平均
アーク長(l)と目標アーク長L0とを比較し、差信号
ΔL(=(l)−L0)を出力する比較器A、(10b)
はパルス電流群波形を整形し、アーク電流を構成するパ
ルス電流群IPを出力するパルス波形整形器、(10c)は
パルス電流群IPを構成する単一パルスの最大パルス幅τ
maxを設定する最大パルス幅max設定器、(10d)は各単
一パルス出力周期CAを設定するパルス周期CA設定器、
(10e)はパルス電流群波形を設定するパルス群波形設
定器、(10f)はパルス電流の出力周期CBを設定するパ
ルス群周期CB設定器、(10g)はパルス電流の出力制御
を行ない給電するパルス電流群の給電期間を設定するパ
ルス群期間X設定器、(10h)は出力したパルス電流群I
Pに、ベース電流出力器(10i)より出力したベース電流
IBを重畳する加算器、(10j)は出力するパルス電流IO
(=IP+IB)と電流検出器(6)によって検出されたア
ーク電流Iと比較し、比較結果に応じてインバータ駆動
回路(1b)をON−OFF制御する比較器Cである。(10k)
は給電するパルス電流群IPの電荷量、すなわちパルス群
幅を設定するパルス群電荷量設定部であり、この電荷量
設定部の構成として、(10k1)は給電するパルス電流群
の電荷量Qを求める積分器、(10k2)は比較器A(10
a)より出力する差信号ΔLに基づいて給電すべきパル
ス電流群の電荷量QO(=QO−A・ΔL A;比例定数)を予
め設定する所定電荷QO設定器、(10k3)は上記求められ
た電荷量Qが所定電荷量QOに至った時パルス群期間X設
定器(10g)及び積分器(10k1)へリセット信号を出力
し、一定のパルス幅にてパルス電流群IPの給電を停止す
る比較器Bである。
次に上記構成に基づき本実施例の動作について第30図
(a)の波形図を参照して説明する。
平均アーク長は、溶接トーチの振れ、被溶接物の熱歪
み、或はパルス電流群のパルス群幅の変動による溶融塊
の持ち上りにより変化する。このため、これら溶接物の
不具合による平均アーク長の変動を抑制し、平均アーク
長を一定にするには、アーク電流の給電量を制御し、溶
融塊の溶融量をコントロールする必要がある。
このためアーク長検出器(9a)は、電圧検出器(5)
及び電流検出器(6)で検出したアーク電圧V及びアー
ク電流Iに基づき溶接過程(溶融塊の切断、溶融、整
形、切断…)の移行に伴ない変化する真のアーク長を検
出し、逐次アーク長信号L(l)を平均アーク長変換器
(11)へ出力する。平均アーク長変換器(11)では逐次
入力する各溶接過程での真のアーク長の平均値(平均ア
ーク長)(l)を生成し比較器A(10a)へ入力す
る。上記生成した平均アーク長(l)は比較器A(10
a)において、目標アーク長設定器(12)で設定した平
均アーク長の目標値(目標アーク長)L0と比較し、各ア
ーク長の差((l)−L0)に応じた差信号ΔLが出力
する。
この結果、パルス電荷量設定部(10k)は差信号ΔL
に応じて、給電すべきパルス電流群の電荷量QOを所定電
荷量QO設定器(10k2)で設定し、比較器(10k3)へ比較
対象データとして入力する。一方、アーク電流として給
電されるパルス電流群IPは、最大パルス群τmax設定器
(10c)でパルス群を構成する単一の最大パルス幅τmax
を、パルス周期CA設定器(10d)で各単一パルスの出力
周期CAを、更にパルス群波形設定器(10e)で、パルス
群波形を設定した後、これら設定値に基づいてパルス波
形整形器(10b)において、所定パルス群波形のパルス
電流群IPを整形する。
次にパルス周期群CB設定器(10f)から出力するパル
ス群周期CB信号(第30図(a)の(c))に同期して、
パルス波形整形器(10b)より所定パルス群波形のパル
ス電流群IPが加算器(10h)及びパルス電荷量設定部(1
0k)の積分器(10k1)へ出力する。加算器(10h)では
アーク切れを防止するため最低アーク維持電流としてベ
ース電流IBをベース電流出力器(10i)より入力しパル
ス電流IPに重畳した後(第30図(a)の(a))、アー
ク電流IO(=IP+IB)として比較器C(10j)へ入力す
る。一方、積分器(10k1)は、パルス電流群IPの各単一
パルスを積分することでパルス電流群電荷量Q(第30図
(a)の(b))の出力レベルをパルス電流給電時間変
化に沿って上昇させながら比較器B(10k3)へ入力す
る。比較器B(10k3)には差信号ΔLに応じ、給電すべ
きパルス電流の所定電荷量QO(=QO−A・ΔL A;比例定
数)が、予め所定電荷量QO設定器(10k2)で設定し、入
力しているため、パルス電荷量Qが所定電荷量QOに至る
と、比較器B(10k3)よりリセット信号(第2図(a)
の(d))が積分器(10k1)へ入力し、積分動作を停止
するとともに、パルス群期間X設定器(10g)を構成す
るフリップフロップへも入力して、パルス波形整形器
(10b)に出力停止信号を出力する。その結果、パルス
波形整形器(10b)から出力するパルス群電流IPは、所
定電荷量を決定するパルス幅(第30図(a)の(a))
となって、ベース電流IBを重畳する加算器(10f)へ出
力し、アーク電流IO(=IP+IB)となって比較器C(10
j)へ入力される。比較器C(10j)ではアーク電流検出
値Iと上記生成されたIOとを比較し、IO>Iの場合はイ
ンバータ駆動回路(1b)へON信号を入力し、アーク溶接
電源(1)より溶接機本体へアーク電流を給電し、また
IO>Iの場合はOFF信号を入力し、アーク電流給電を停
止する。
次に、上記パルス電流群の電荷量給電制御を短絡移行
型アーク溶接装置に適用した場合の第13の発明を第29図
(b)及び第30図(b)を参照して説明する。第29図
(b)は短絡移行型アーク溶接装置の全体構成図であ
り、図中、第29図(a)と同一符号は同一、又は相当部
分を示す。図において、(7a)はアーク長信号L(l)
に基づいて溶融塊の短絡期間を検出すると短絡検出信号
Saを出力する短絡期間出力器、(10m)は短絡検出信号S
aの入力期間は出力を“L"とし、短絡検出信号Saの消失
時には“H"レベルの短絡解除信号Sacを出力する短絡解
除信号出力器、(101)は短絡検出信号Sa入力時に、短
絡溶融塊へ給電するアーク電流波形を設定し、加算器
(10h)へ出力する短絡波形設定器である。
以上の構成に基づき短絡移行型アーク溶接装置の動作
を第30図(b)の波形図を参照して説明する。先ず、短
絡期間出力器(7a)はアーク長信号L(l)の急激なア
ーク長レベル減少に基づき溶融塊の短絡している期間中
“H"レベル信号となって出力される短絡検出信号Saを短
絡解除信号出力器(10a)と短絡波形設定器(101)へ出
力する。そうすると、短絡波形設定器(101)はワイヤ
電極の先端に形成した溶融塊を被溶接物との短絡により
スムーズに被溶接物側へ移行させるべく(短絡期間信号
が“H"レベルの間)最適な電流の立ち上がり波形にした
短絡電流波形Isを加算器(10h)へ出力している(第30
図(b)の(a))。一方、短絡期間信号Saを入力して
いる短絡解除信号出力器(10m)は短絡期間信号SaがH
レベルからLレベルに立下がる時、短絡解除信号Sac
パルス電流群期間設定器(10g)及びパルス波形設定器
(10e)へ出力している。そのため、短絡期間中はパル
ス電流波形整形器(10b)は動作せず、短絡が解除する
と短絡解除信号Sacによりパルス電流波形整形器(10b)
は動作し、パルス波形を加算器(10h)に出力してい
る。次に短絡状態が解除され短絡解除信号出力器(10
m)より短絡解除信号Sac(第30図(b)の(c))が出
力すると、パルス波形整形器(10b)より所定パルス群
波形のパルス電流群IPが加算器(10h)及びパルス電荷
量設定部(10k)の積分器(10k1)へ出力する。加算器
(10h)ではアーク切れを防止するため最低アーク維持
電流としてベース電流IBをベース電流出力器(10i)よ
り入力しパルス電流IPに重畳した後(第2図(b)の
(a))、アーク電流IO(=IP+IB)として比較器C
(10j)へ入力する。一方、積分器(10k1)は、パルス
電流群IPの各単一パルスを積分することでパルス電流群
電荷量Q(第30図(b)の(b))の出力レベルをパル
ス電流給電時間変化に沿って上昇させながら比較器B
(10k3)へ入力する。比較器B(10k3)には差信号ΔL
に応じ、給電すべきパルス電流の所定電荷量QO(=O0
A・ΔL A;比例定数)が、予め所定電荷量QO設定器(10
k2)で設定入力されているため、パルス電荷量Qが所定
電荷量QO(=QOに至ると、比較器B(10k3)よりリセッ
ト信号(第30図(b)の(d))が積分器(10k1)へ入
力され積分動作を停止するとともに、パルス群期間X設
定器(10g)を構成するフリップフロップへも入力し
て、パルス波形整形器(10b)に出力停止信号を出力す
る。その結果、パルス波形整形器(10b)から出力する
パルス群電流IPは、所定電荷量を決定するパルス幅(第
30図(b)の(a))となって、ベース電流IBを重畳す
る加算器(10f)へ出力し、アーク電流IO(=IP+IB
となる。そして、再びこのアーク電流IOに従って溶接電
流がワイヤ電極(3)へ給電すると、ワイヤ電極(3)
の先端に溶融塊が成長し、被溶接物(4b)と再び短絡
し、この短絡期間中は短絡電流ISによって溶融塊を被溶
接物へ短絡移行させる事により溶接が行なわれる。又、
この時短絡期間出力器(7a)から短絡期間信号Saが短絡
解除信号出力器(10m)へ出力し、短絡期間信号SaがL
レベルになると短絡解除信号Sacを出力している。
上記第12の発明の実施例では、アーク長変化の平均値
を求め、この平均アーク長変化の変動に応じて、パルス
電流群の給電電荷量を制御する方法を示した。また、第
31図の第10の発明の実施例に示すよう、サンプリングア
ーク長変換器(13)において特定時刻におけるアーク長
信号をサンプリングアーク長設定器(14)で設定した特
定時刻における目標サンプリングアーク長L0を比較し、
その差信号ΔL(=L(l)S−L0)に従ってパルス電
流群の給電時間を制御するようにしても同様の効果を奏
する。
尚、第14発明の実施例に関しては、アーク長変動検出
のための比較対象が異なるのみで、他の動作は第9の発
明の実施例と同様であるため動作説明は省略する。
また、これら第12〜第14発明ではパルス電荷量設定部
(10k)の積分器(10k1)に入力される信号をIPとした
が、加算器(10h)の出力であるIO又は電流検出器
(6)の検出信号Iでもよく、さらに、その信号をアー
ク期間中のみの信号になるような手段を設けてもよい。
第32図は第15の発明の一実施例におけるパルスアーク
溶接装置の全体構成図である。図中、第29図と同一符号
は同一、又は相当部分を示す。図において、又、(1
04)は本実施例におけるパルス電流波形制御回路であ
り、その回路構成として、(10a)は平均アーク長
(l)と目標アーク長L0とを比較し、差信号ΔL(=
(l)−L0)を出力する比較器A、(10b)はパルス電
流群波形を整形し、アーク電流を構成するパルス電流群
IPを出力するパルス波形整形器、(10c)はパルス電流
群IPを構成する単一パルスのパルス幅τを設定するパル
ス幅τ設定器、(10d)は各単一パルス出力周期CAを設
定するパルス周期CA設定器、(10e)はパルス電流群波
形を設定するパルス群波形設定器、(10f)はパルス電
流の出力周期CBを設定するパルス群周期CB設定器、(10
g1)はパルス電流の出力制御を行ない給電するパルス電
流群の給電期間を設定するフリップフロップ(以下、単
にF/Fと略記する)から構成されるパルス群期間x設定
器、(10g2)は規定数のパルスからなるパルス群の出力
期間を設定した規定パルス群期間x0設定器、(10g3)は
インバータ素子、(10g4)はANDゲートでこれら倫理素
子によって規定パルス群期間x0以外のパルス出力制御を
パルス波形整形器(10b)に対して行なう。(10h)は出
力したパルス電流群IPに、ベース電流出力器(10i)よ
り出力したベース電流IBを重畳する加算器、(10j)は
出力するパルス電流IO(=IP+IB)と電流検出器(6)
によって検出されたアーク電流Iとを比較し、比較結果
に応じてインバータ駆動回路(1b)をON−OFF制御する
比較器Cである。(10k)は給電するパルス電流群IP
電荷量、すなわちパルス群幅を設定するパルス群電荷量
設定部であり、この電荷量設定部の構成として、(10
k1)は給電するパルス電流群の電荷量Qを求める積分
器。(10k2)は比較器A(10a)より出力する差信号Δ
Lに基づいて給電すべきパルス電流群の電荷量QO(=QO
−A・ΔL A;比例定数)を予め設定する所定電荷QO設定
器、(10k3)は上記求められた電荷量Qが所定電荷量QO
に至った時パルス群期間x設定器(10g)及び積分器(1
0k1)へリセット信号を出力し、一定のパルス幅にてパ
ルス電流群IPの給電を停止する比較器Bである。
次に上記構成に基づき本実施例の動作について第33図
の波形図を参照して説明する。
平均アーク長は、溶接トーチの振れ、被溶接物の熱歪
み、或はパルス電流群のパルス群幅の変動による溶融塊
の持ち上りにより変化する。このため、これら溶接物の
不具合による平均アーク長の変動を抑制し、平均アーク
長を一定にするには、アーク電流の給電量を制御し、溶
融塊の溶融量をコントロールする必要がある。
このためアーク長検出器(9a)は、電圧検出器(5)
及び電流検出器(6)で検出したアーク電圧V及びアー
ク電流Iに基づき溶接過程(溶融塊の切断、溶融、整
形、切断…)の移行に伴ない変化する真のアーク長を検
出し、逐次アーク長信号L(l)を平均アーク長変換器
(11)へ出力する。平均アーク長変換器(11)では逐次
入力する各溶接過程での真のアーク長の平均値(平均ア
ーク長)(l)を生成し比較器A(10a)へ入力す
る。上記生成した平均アーク長L()は比較器A(10
a)において、目標アーク長設定器(12)で設定した平
均アーク長の目標値(目標アーク長)L0と比較し、各ア
ーク長の差((l)−L0)に応じた差信号ΔLが出力
する。
この結果、パルス電荷量設定部(10k)は差信号ΔL
に応じて、給電すべきパルス電流群の電荷量QOを所定電
荷量QO設定器(10k2)で設定し、比較器(10k3)へ比較
対象データとして入力する。一方、アーク電流として給
電されるパルス電流群IPは、パルス幅τ設定器(10c)
でパルス群を構成する単一のパルス幅τを、パルス周期
CA設定器(10d)で各単一パルスの出力周期CAを、更に
パルス群波形設定器(10e)ではパルス群波形を、ま
た、規定パルス群期間xo設定器(10g2)では上記パルス
幅τ設定器(10c)で設定された設定幅の単一パルスの
出力期間を設定し、設定信号をパルス幅τ設定器(10
c)へ出力する。以上のように、各設定器で各設定要素
が定められた後、パルス群周期CB設定器(10f)よりパ
ルス群周期CB信号(第33図の(c))が出力されると、
その信号に同期して、セット信号Sがパルス群期間x設
定器(10g1)を構成するF/Fと、規定パルス群期間xo
定器(10g2)へ出力される。この結果、パルス波形整形
器(10b)は、規定パルス群期間xo設定器(10g2)より
出力される設定期間信号xoが“H"レベルの間(第33図の
(e))、パルス幅がτで、パルス同期がCAであるパル
ス電流群IOを加算器(10h)及びパルス電荷量設定部(1
0k)の積分器(10k1)へ出力する。加算器(10h)では
アーク切れを防止するため最低アーク維持電流としてベ
ース電流IBをベース電流出力器(10i)より入力しパル
ス電流IPに重畳した後(第33図の(a))、アーク電流
IO(=IP+IB)として比較器C(10j)へ入力する。一
方、積分器(10k1)は、パルス電流群IPの各単一パルス
を積分することでパルス電流群電荷量Q(第33図の
(b))の出力レベルをパルス電流給電時間変化に沿っ
て上昇させながら比較器B(10k3)へ入力する。比較器
B(10k3)には差信号ΔLに応じ、給電すべきパルス電
流の所定電荷量QO(=QO−A・ΔL A;比例定数)が、予
め所定電荷量QO設定器(10k2)で設定し、入力している
ため。しかして、規定パルス群期間xoに出力されるパル
ス電流群の電荷量はパルス群電荷量設定器(10k)にて
設定された電荷量より少ない場合は、更にパルス電流の
給電を継続し、平均アーク長を目標アーク長に近づける
必要がある。
そこで、パルス電流の給電を継続するには、“L"レベ
ルに反転した期間設定信号xoをインバータ素子(10g3
を通してF/Fの“H"出力とともにANDゲート(10g4)へ入
力し、ANDゲート出力τf(第33図の(g))により、パ
ルス波形整形器(10b)はパルス電流レベルのステップ
状のアーク電流を加算器(10h)及び積分器(10k1)へ
出力する。そして、パルス電荷量Qが所定電荷量QOに至
ると、比較器B(10k3)よりリセット信号(第33図の
(d))が積分器(10k1)へ入力し、積分動作を停止す
るとともに、パルス群期間x設定器(10g)を構成するF
/Fへも入力して、パルス波形整形器(10b)に出力停止
信号を出力する。その結果、パルス波形整形器(10b)
から出力するパルス群電流IPは、所定電荷量と一致する
パルス幅(第33図の(a)に示すτf)に伸張されて、
ベース電流IBを重畳する加算器(10f)へ出力し、アー
ク電流IO(=IP+IB)となって比較器C(10j)へ入力
される。比較器C(10j)ではアーク電流検出値Iと上
記生成されたIOとを比較し、IO>Iの場合はインバータ
駆動回路(1b)へON信号を入力し、アーク溶接電源
(1)より溶接機本体へアーク電流を給電し、またIO
Iの場合はOFF信号を入力し、アーク電流給電を停止す
る。
尚、上記実施例では、パルス電流群IPの最終単一パル
スの幅を伸張して、パルス電流群IPの電荷量をパルス群
電流電荷量設定値に一致させるようにした。だが、第35
図の信号波形図に示すように、パルス電流群中に、各パ
ルス周期CA毎に出力され各単位パルスの幅を伸ばし、全
体的なパルス幅伸張によってパルス電流群IPの電荷量を
設定電荷量に一致させるようにしてもよい。このよう
な、電荷量制御方法を用いた第16の発明によるパルス溶
接装置として、第34図に示すものがある。図において、
(10n)はパルス電流群中の単一パルスの出力周期CA
設定するパルス周期CA設定器、(10c)は単一パルスの
パルス幅を設定するパルス幅設定器、(10p)はパルス
電流群の出力期間xを設定するパルス群期間x設定器で
ある。尚、第32図と同一符号は同一、又は相当部分を示
し、その詳細な説明は省略する。
次に、上記構成に基づきこの実施例の動作を第35図の
信号波形図を参照して説明する。
まず、パルス波形整形器(10b)ではパルス群期間x
設定器(10p)によってパルス電流群の出力期間x、パ
ルス群周期CB設定器(10f)によってパルス電流群の出
力周期CB、パルス群波形設定器(10e)によってパルス
電流群の波形が設定される。上記各設定要素が設定され
た後、パルス周期CA設定器(10n)よりパルス周期信号C
A(第35図の(c))がF/Fで構成されるパルス幅設定器
(10m)のセット端子と、パルス群波形設定器(10e)へ
入力されると、パルス波形整形器(10b)は、F/F(10
m)の出力(第35図の(e))が“H"レベルのあいだパ
ルス群波形設定器(10e)によって設定された、単一パ
ルスの高レベル信号を、加算器(10h)とパルス群電荷
量設定器(10k)の積分器(10k1)へ保持出力する。こ
の高レベル信号は積分器(10k1)で積分処理され電荷量
Qとして比較器(10k3)へ出力される。この比較器(10
k3)には所定電荷量設定器(10k2)で設定された所定電
荷量QOが入力されており、電荷量Qが所定電荷量QOに至
った時(第35図の(b))、リセット信号(第35図の
(d))をF/F(10m)へ出力し、パルス波形整形器(10
b)へ出力している出力(第35図の(e))を“L"レベ
ルに反転する。この結果、パルス波形整形器(10b)は
出力している高レベル信号を遮断し、所定電荷量QOに応
じた単一パルス電流を形成する。この単一パルス電流形
成後、次のパルス周期信号CAが出力されるまで、アーク
電流としてベース電流が出力される。以上のように、パ
ルス周期信号CA出力毎に、パルス波形整形器(10b)よ
り出力されるパルス電流のパルス幅を制御することで、
パルス群電荷量設定値に応じた電荷量を有するパルス電
流群をアーク電流として給電することができる。
上記第15の発明の実施例では、アーク長変化の平均値
を求め、この平均アーク長変化の変動に応じて、パルス
電流群の給電電荷量を制御する方法を示した。また、第
36図の第16の発明の実施例に示すよう、サンプリングア
ーク長変換器(13)において特定時刻におけるアーク長
信号をサンプリングし、このサンプリングアーク長L
(l)Sと目標サンプリングアーク長設定器(9a)で設
定した特定時刻における目標サンプリングアーク長L0
比較し、その差信号ΔL(=L(l)S−L0)に従って
パルス電流群のパルス幅を前記同様に制御しても同様の
効果を奏する。
尚、第16の発明の実施例に関しては、アーク長変動検
出のための比較対象が異なるのみで、他の動作は第15の
発明の実施例と同様であるため動作説明は省略する。
次に、上記パルス電流群の電荷量給電制御を短絡移行
型アーク溶接装置に適用した第17の発明を第37図及び第
38図を参照して説明する。第37図は短絡移行型アーク溶
接装置の全体構成図であり、図中、第36図と同一符号は
同一、又は相当部分を示す。図において、(7a)はアー
ク長信号L(l)に基づいて溶融塊の短絡期間を検出す
ると短絡検出信号Saを出力する短絡期間出力器、(1
07)は本実施例におけるパルス電流波形制御回路、(10
m)は短絡検出信号Saの入力期間は出力を“L"とし、短
絡検出信号Saの消失時には、“H"レベルの短絡解除信号
Sacを出力する短絡解除信号出力器、(101)は短絡検出
信号Sa入力時に、短絡溶融塊へ給電するアーク電流波形
を設定し、加算器(10h)へ出力する短絡波形設定器で
ある。
以上の構成に基づき短絡移行型アーク溶接装置の動作
を第38図の波形図を参照して説明する。先ず、短絡期間
出力器(7a)はアーク長信号L(l)の急激なアーク長
レベル減少に基づき溶融塊の短絡している期間中“H"レ
ベル信号となって出力される短絡検出信号Saを短絡解除
信号出力器(10a)と短絡波形設定器(101)へ出力す
る。そうすると、短絡波形設定器(101)はワイヤ電極
の先端に形成した溶融塊を被溶接物との短絡によりスム
ーズに被溶接物側へ移行させるべく(短絡期間信号が
“H"レベルの間)最適な電流の立ち上がり波形にした短
絡電流波形Isを加算器(10h)へ出力している(第38図
の(a))。
一方、短絡期間信号Saを入力している短絡解除信号出
力器(10m)は短絡期間信号SaがHレベルからLレベル
に立下がる時、短絡解除信号Sacをパルス電流群期間設
定器(10g)及びパルス波形設定器(10e)へ出力してい
る。そのため、短絡期間中はパルス電流波形整形器(10
b)は動作せず、短絡が解除すると短絡解除信号Sacによ
りパルス電流波形整形器(10b)は動作し、パルス波形
を加算器(10h)に出力している。次に短絡状態が解除
され短絡解除信号出力器(10m)より短絡解除信号S
ac(第38図の(c))が出力すると、パルス波形整形器
(10b)より、平均アーク長L(l)の変動に応じてピ
ーク値が補正された所定パルス群波形のパルス電流群IP
が加算器(10h)及びパルス電荷量設定部(10k)の積分
器(10k1)へ出力する。加算器(10h)ではアーク切れ
を防止するため最低アーク維持電流としてベース電流IB
をベース電流出力器(10i)より入力しパルス電流IP
重畳した後(第38図の(a))、アーク電流IO(=IP
IB)として比較器C(10j)へ入力する。一方、積分器
(10k1)は、パルス電流群IPの各単一パルスを積分する
ことでパルス電流群電荷量Q(第38図の(b))の出力
レベルをパルス電流給電時間変化に沿って上昇させなが
ら比較器B(10k3)へ入力する。比較器B(10k3)には
差信号ΔLに応じ、給電すべきパルス電流の所定電荷量
QO(=QO−A・ΔL A;比例定数)が、予め所定電荷量QO
設定器(10k2)で設定入力されている。しかして、規定
パルス群期間xoに出力されるパルス電流群の電荷量はパ
ルス群電荷量設定器(10k)にて設定された電荷量より
少ない場合は、更にパルス電流の給電を継続し、平均ア
ーク長を目標アーク長に近づける必要がある。
そこで、パルス電流の給電を継続するには、“L"レベ
ルに反転した期間設定信号xoをインバータ素子(10g3
を通してF/Fの“H"出力とともにANDゲート(10g4)へ入
力し、ANDゲート出力τf(第33図の(g))により、パ
ルス波形整形器(10b)は、パルス電流レベルであるス
テップ状のアーク電流を加算器(10h)及び積分器(10k
1)へ出力する。そして、パルス電荷量Qが所定電荷量Q
Oに至ると、比較器B(10k3)よりリセット信号(第38
図の(d))が積分器(10k1)に入力され積分動作を停
止するとともに、パルス群期間x設定器(10g)を構成
するF/Fへも入力して、パルス波形整形器(10b)に出力
停止信号を出力する。その結果、パルス波形整形器(10
b)から出力するパルス群電流IPは、所定電荷量を一致
するパルス幅(第38図の(a))に伸張されて、ベース
電流IBを重畳する加算器(10f)へ出力し、アーク電流I
O(=IP+IB)となる。そして、再びこのアーク電流IO
に従って溶接電流をワイヤ電極(3)へ給電すると、
ワイヤ電極(3)の先端に溶融塊が成長し、被溶接物
(4b)と再び短絡し、この短絡期間中は短絡電流ISによ
って溶融塊を被溶接物へ短絡移行させる事により溶接が
行なわれる。又、この時短絡期間出力器(7a)から短絡
期間信号Saが短絡解除信号出力器(10m)へ出力し、短
絡期間信号SaがLレベルになると短絡解除信号Sacを出
力している。
第39図は第18の発明の一実施例によるパルス溶接装置
の全体構成図である。図中、第29図と同一符号は同一又
は相当部分を示す。又、(108)は本実施例におけるパ
ルス電流波形制御回路であり、その回路構成として、
(10a)は平均アーク長(l)と目標アーク長L0とを
比較し、差信号ΔL(=((l)−L0)を出力する比
較器A、(10b)は基準となるパルス電流波形を設定
し、所定パルス幅のパルス電流IPを出力するパルス波形
設定器、(10c)は補正後のパルス波形を整形出力する
パルス波形整形器、(10d)はパルス電流の出力周期CA
を設定するパルス周期CA設定器、(10e)はパルス電流
の出力制御を行ない給電されるパルス電流IPのパルス幅
を設定するパルス幅設定器、(10f)は出力されたパル
ス電流IPにベース電流出力器(10g)より出力されたベ
ース電流IBを重畳する加算器、(10h)は出力されるパ
ルス電流IO(=IP+IB)と電流検出器(6)によって検
出されたアーク電流Iを比較し、比較結果に応じてイン
バータ駆動回路(1b)をON−OFF制御する比較器Cであ
る。(10i)は給電されるパルス電流IPの電荷量、すな
わちパルス幅を設定するパルス電荷量設定器であり、こ
の電荷量設定器の構成として、(10i1)は給電されるパ
ルス電流の電荷量Qを求める積分器、(10i2)は比較器
(10a)より出力される差信号ΔLに基づいて給電すべ
きパルス電流の電荷量QO(=QO−A・ΔL A;比例定数)
を予め設定する所定電荷QO設定器、(10i3)は上記求め
られた電荷量Qが所定電荷量QOに至った時パルス幅設定
器(10e)及び積分器(10i1)へリセット信号を出力
し、一定のパルス幅にてパルス電流IPの給電を停止する
比較器Bである。
次に上記構成に基づき本実施例の動作について第40図
の波形図を参照して説明する。
平均アーク長は溶接トーチの振れ、被溶接物の熱歪み
により変化する。このため、これら溶接物の不具合によ
る平均アーク長の変動を抑制し、平均アーク長を一定に
するには、アーク電流の給電量を制御し、溶融塊の溶融
量をコントロールする必要がある。
このためアーク長検出器(7)は、電圧検出器(5)
及び電流検出器(6)で検出されたアーク電圧V及びア
ーク電流Iに基づき溶接過程(溶融塊の切断、溶融、整
形、切断…)の移行に伴ない変化する真のアーク長を検
出し、逐次アーク長信号(l)を平均アーク長変換器
(8)へ出力する。平均アーク長変換器(8)では逐次
入力される各溶接過程での真のアーク長の平均値(平均
アーク長)(l)を生成し比較器A(10a)へ入力す
る。上記生成された平均アーク長(l)は比較器A
(10a)において、目標アーク長設定器(9)で設定さ
れた平均アーク長の目標値(目標アーク長)L0と比較さ
れ、各アーク長の差((l)−LO)に応じた差信号Δ
Lが出力される。
この結果、パルス電荷量設定部(10i)は差信号ΔL
に応じて、給電すべきパルス電流の電荷量QOを所定電荷
量QO設定器(10i2)で設定し、比較器(10i3)へ比較対
象データとして入力する。一方、アーク電流として給電
されるパルス電流は、パルス波形設定器(10b)におい
てパルス電流波形のパルス幅、パルスレベルが設定され
た後、パルス波形整形器に出力される。次にパルス周期
CA設定器から出力されるパルス周期CA信号(第40図の
(b))に同期して、パルス波形整形器(10c)より所
定パルス波形のパルス電流が加算器(10f)及びパルス
電荷量設定部(10i)の積分器(10i1)へ出力される。
加算器(10f)ではアーク切れを防止するため最低アー
ク維持電流としてベース電流IBをベース電流出力器(10
g)より入力しパルス電流IPに重畳した後(第40図の
(a))、アーク電流IO(=IP+IB)として比較器C
(10h)へ入力する。一方、積分器(10i1)は、パルス
電流IPを積分することでパルス電流電荷量Q(第40図の
(c))の出力レベルをパルス電流給電時間変化に沿っ
て上昇させながら比較器B(10i3)へ入力する。比較器
B(10i3)には差信号ΔLに応じ、給電すべきパルス電
流の所定電荷量QO(=QO−A・ΔL)が、予め所定電荷
量設定器(10i2)で設定入力されているため、パルス電
荷量Qが所定電荷量QOに至ると、比較器B(10i3)より
リセット信号(第4図の(d))が積分器(10i1)へ入
力され積分動作を停止するとともに、パルス幅設定器
(10e)を構成するフリップフロップへも入力してパル
ス波形整形器(10c)へ出力停止信号を出力する。それ
により、パルス波形整形器(10c)から出力されるパル
ス電流は、所定電荷量を決定するパルス幅(第40図の
(e))となった後、ベース電流IBを重畳する加算器
(10f)へ出力され、アーク電流IO(=IP+IB)となっ
て比較器C(10h)へ入力される。比較器C(10h)では
アーク電流検出値Iと上記生成されたIOとを比較し、IO
>Iの場合はインバータ駆動回路(1b)へON信号を入力
し、アーク溶接電源(1)より溶接機本体へアーク電流
を給電し、またIO<Iの場合はOFF信号を入力し、アー
ク電流給電を停止する。
なお、上記実施例では、単一パルスを周期的に繰り返
したものについて述べたが、複数個のパルスの集団から
なるパルス群を周期的に繰り返すパルスアーク溶接にお
いて、目標アーク長設定器に予め設定した平均アーク長
とアーク長検出器より検出された実際のアーク長より求
めた平均アーク長とを比較して得られた差信号ΔLに応
じて、上記パルス群のパルス群幅を補正するようにして
もよい。
第41図(a)は第19の発明の一実施例におけるパルス
アーク溶接装置の全体構成図である。図中、第29図
(a)と同一符号は同一、又は相当部分を示す。図にお
いて、又、(109)はパルス電流群を生成し、出力制御
するパルス電流波形制御回路であり、その回路構成とし
て、(10a)は平均アーク長(l)と目標アーク長L0
とを比較し、差信号ΔL(=(l)−L0)を出力する
比較器A、(10b)はパルス電流群波形を整形し、アー
ク電流を構成するパルス電流群IPを出力するパルス波形
整形器、(10c)はパルス電流群IPを構成する単一パル
スの最大パルス幅τmax設定器、(10d)は各単一パルス
出力周期CAを設定するパルス周期CA設定器、(10e)は
パルス電流群波形を設定するとともに、上記差信号ΔL
に応じてパルス電流群のピーク値を決定するパルス群波
形設定器、(10f)はパルス電流の出力周期CBを設定す
るパルス群周期CB設定器、(10g)はパルス電流の出力
制御を行ない、給電するパルス電流群の給電時間を設定
するパルス群期間X設定器、(10h)は出力したパルス
電流群IPに、ベース電流出力器(10i)より出力したベ
ース電流IBを重畳する加算器、(10j)は出力するパル
ス電流IO(=IP+IB)と電流検出器(6)によって検出
されたアーク電流Iとを比較し、比較結果に応じてイン
バータ駆動回路(1b)をON−OFF制御する比較器Cであ
る。(10k)は給電するパルス電流群IPの電荷量、すな
わちパルス群幅を設定するパルス群電荷量設定部であ
り、この電荷量設定部の構成として、(10k1)は給電す
るパルス電流群の電荷量Qを求める積分器、(10k2)は
比較器A(10a)より出力する差信号ΔLに基づいて給
電すべきパルス電流群の電荷量QO(=QO−A・ΔL A:比
例定数)を予め設定する所定電荷QO設定器、(10k3)は
上記求められた電荷量Qが所定電荷量QOに至った時パル
ス群期間X設定器(10g)及び積分器(10k1)へリセッ
ト信号を出力し、一定のパルス幅にてパルス電流群IP
給電を停止する比較器Bである。
次に、上記構成に基づき本実施例の動作について第42
図(a)の波形図を参照して説明する。
平均アーク長は、溶接トーチの振れ、被溶接物の熱歪
み、或はパルス電流群のパルス群幅の変動による溶融塊
の持ち上りにより変化する。このため、これた溶接物の
不具合による平均アーク長の変動を抑制し、平均アーク
長を一定にするには、アーク電流の給電量を制御し、溶
融塊の溶融量をコントロールする必要がある。
このためアーク長検出器(7)は、電圧検出器(5)
及び電流検出器(6)で検出したアーク電圧V及びアー
ク電流Iに基づき、溶接過程(溶融塊の切断、溶融、整
形、切断…)の移行に伴ない変化する真のアーク長を検
出し、逐次アーク長信号L(l)を平均アーク長変換器
(8)へ出力する。平均アーク長変換器(8)では逐次
入力する各溶接過程での真のアーク長の平均値(平均ア
ーク長)(l)を生成し比較器A(10a)へ入力す
る。上記生成した平均アーク長(l)は比較器A(10
a)において、目標アーク長設定器(9)で設定した平
均アーク長の目標値(目標アーク長)LOと比較し、各ア
ーク長の差((l)−L0)に応じた差信号ΔLをパル
ス群波形設定器(10e)とパルス電荷量設定器(10)へ
が出力する。
この結果、パルス群波形設定器は第42図(a)の破線
で示すように、平均アーク長の変動分B/ΔL(B:比例定
数)だけパルス群波形ピーク値を上昇させ、このパルス
群波形をパルス波形整形器(10b)に設定する。また、
このパルス波形整形器(10b)には、最大パルス幅τmax
設定器(10c)で設定されたパルス群中の単一パルスの
最大パルス幅τmax及び、パルス周期CA設定器(10d)で
設定された各単一パルスの出力周期CAが設定される。そ
して、これら設定値に基づいてパルス波形整形器(10
b)は所定パルス群波形のパルス電流群IPを整形し出力
する。パルス電荷量設定部(10k)は差信号ΔLに応じ
て、給電すべきパルス電流群の電荷量QOを所定電荷量QO
設定器(10k2)で設定し、比較器(10k3)へ比較対象デ
ータとして入力する。
次にパルス周期群CB設定器(10f)から出力するパル
ス群周期CB信号(第42図(a)の(c))に同期して、
パルス波形整形器(10b)より所定パルス群波形のパル
ス電流群IPが加算器(10h)及びパルス電荷量設定部(1
0k)の積分器(10k1)へ出力する。加算器(10h)では
アーク切れを防止するため最低アーク維持電流としてベ
ース電流IBをベース電流出力器(10i)より入力しパル
ス電流IPに重畳した後(第2図(a)の(a))、アー
ク電流IO(=IP+IB)として比較器C(10j)へ入力す
る。一方、積分器(10k1)は、パルス電流群IPの各単一
パルスを積分することでパルス電流群電荷量Q(第42図
(a)の(b))の出力レベルをパルス電流給電時間変
化に沿って上昇させながら比較器B(10k3)ヘ入力す
る。比較器B(10k3)には差信号ΔLに応じ、給電すべ
きパルス電流の所定電荷量QO(=QO−A・ΔL A;比例定
数)が、予め所定電荷量QO設定器(10k2)で設定し、入
力しているため、パルス電荷量Qが所定電荷量QOに至る
と、比較器B(10k3)よりリセット信号(第42図(a)
の(d))が積分器(10k1)へ入力し、積分動作を停止
するとともに、パルス群期間X設定器(10g)を構成す
るフリップフロップへも入力して、パルス波形整形器
(10b)に出力停止信号を出力する。その結果、パルス
波形整形器(10b)から出力するパルス群電流IPは、所
定電荷量を決定するパルス幅(第42図(a)の(a))
となって、ベース電流IBを重畳する加算器(10f)へ出
力する。この時パルス電流群のパルス群幅(第42図
(a)の(a)に示す破線部分)は平均アーク長の変動
がない場合のパルス群幅(同図(a)の(a)の実線部
分)に比較して狭くなる。このように電荷量給電制御さ
れたパルス電流群IPはアーク電流IO(=IP+IB)となっ
て比較器C(10j)へ入力される。比較器C(10j)では
アーク電流検出値Iと上記生成されたIOとを比較し、IO
>Iの場合はインバータ駆動回路(1b)へON信号を入力
し、アーク溶接電源(1)より溶接機本体へアーク電流
を給電し、またIO<Iの場合はOFF信号を入力し、アー
ク電流給電を停止する。
次に、上記パルス電流群の電荷量給電制御を短絡移行
型アーク溶接装置に適用した場合の第20の発明を第41図
(b)及び第42図(b)を参照して説明する。第41図
(b)は短絡移行型アーク溶接装置の全体構成図であ
り、図中、第41図(a)と同一符号は同一、又は相当部
分を示す。図において、(7a)はアーク長信号L(l)
に基づいて溶融塊の短絡期間を検出すると短絡検出信号
Saを出力する短絡期間出力器、(10m)は短絡検出信号S
aの入力期間は出力を“L"とし、短絡検出信号Saの消失
時には“H"レベルの短絡解除信号Sacを出力する短絡解
除信号出力器、(101)は短絡検出信号Sa入力時に、短
絡溶融塊へ給電するアーク電流波形を設定し、加算器
(10h)へ出力する短絡波形設定器である。
以上の構成に基づき短絡移行型アーク溶接装置の動作
を第42図(b)の波形図を参照して説明する。先ず、短
絡期間出力器(7a)はアーク長信号L(l)の急激なア
ーク長レベル減少に基づき溶融塊の短絡している期間中
“H"レベル信号となって出力される短絡検出信号Saを短
絡解除信号出力器(10a)と短絡波形設定器(101)へ出
力する。そうすると、短絡波形設定器(101)はワイヤ
電極の先端に形成した溶融塊を被溶接物との短絡により
スムーズに被溶接物側へ移行させるべく(短絡期間信号
が“H"レベルの間)最適な電流の立ち上がり波形にした
短絡電流波形Isを加算器(10h)へ出力している(第42
図(b)の(a))。一方、短絡期間信号Saを入力して
いる短絡解除信号出力器(10m)は短絡期間信号SaがH
レベルからLレベルに立下がる時、短絡解除信号Sac
パルス電流群期間設定器(10g)及びパルス波形設定器
(10e)へ出力している。そのため、短絡期間中はパル
ス電流波形整形器(10b)は動作せず、短絡が解除する
と短絡解除信号Sacによりパルス電流波形整形器(10b)
は動作し、パルス波形を加算器(10h)に出力してい
る。次に短絡状態が解除され短絡解除信号出力器(10
m)より短絡解除信号Sac(第42図(b)の(c))が出
力すると、パルス波形整形器(10b)より、平均アーク
長L(l)の変動に応じてピーク値が補正された所定パ
ルス群波形のパルス電流群IPが加算器(10h)及びパル
ス電荷量設定部(10k)の積分器(10k1)へ出力する。
加算器(10h)でアーク切れを防止するため最低アーク
維持電流としてベース電流IBをベース電流出力器(10
i)より入力しパルス電流IPに重畳した後(第42図
(b)の(a))、アーク電流IO(=IP+IB)として比
較器C(10j)へ入力する。一方、積分器(10k1)は、
パルス電流群IPの各単一パルスを積分することでパルス
電流群電荷量Q(第42図(b)の(b))の出力レベル
をパルス電流給電時間変化に沿って上昇させながら比較
器B(10k3)へ入力する。比較器B(10k3)には差信号
ΔLに応じ、給電すべきパルス電流の所定電荷量QO(=
QO−A・ΔL A;比例定数)が、予め所定電荷量QO(10
k2)で設定入力されているため、パルス電荷量Qが所定
電荷量QOに至ると、比較器B(10k3)よりリセット信号
(第42図(b)の(d))が積分器(10k1)へ入力され
積分動作を停止するとともに、パルス群期間X設定器
(10g)を構成するフリップフロップへも入力して、パ
ルス波形整形器(10b)に出力停止信号を出力する。そ
の結果、パルス波形整形器(10b)から出力するパルス
群電流IPは、所定電荷量を決定するパルス幅(第42図
(b)の(a))となって、ベース電流IBを重畳する加
算器(10f)へ出力し、アーク電流IO(=IP+IB)とな
る。そして、再びこのアーク電流IOに従って溶接電流を
ワイヤ電極(3)へ給電すると、ワイヤ電極(3)の先
端に溶融塊が成長し、被溶接物(4b)と再び短絡し、こ
の短絡期間中は短絡電極ISによって溶融塊を被溶接物へ
短絡移行させる事により溶接が行なわれる。又、この時
短絡期間出力器(7a)から短絡期間信号Saが短絡解除信
号出力器(10m)へ出力し、短絡期間信号SaがLレベル
になると短絡解除信号Sacを出力している。
上記第19の発明の実施例では、アーク長変化の平均値
を求め、この平均アーク長変化の変動に応じて、パルス
電流群の給電電荷量を制御する方法を示した。また、第
43図の第21の発明の実施例に示すよう、サンプリングア
ーク長変換器(8a)において特定時刻におけるアーク長
信号をサンプリングし、このサンプリングアーク長L
(l)Sと目標サンプリングアーク長設定器(9a)で設
定した特定時刻における目標サンプリングアーク長L0
比較し、その差信号ΔL(=L(l)S−L0)を従って
パルス電流群の給電時間を制御するようにしても同様の
効果を奏する。
尚、第21の発明の実施例に関しては、アーク長変動検
出のための比較対象が異なるのみで、他の動作は第19の
発明の実施例と同様であるため動作説明は省略する。
また、これら第19〜第21発明ではパルス電荷量設定部
(10k)の積分器(10k1)に入力される信号をIPとした
が、加算器(10h)の出力であるIO又は電流検出器
(6)の検出信号Iでもよく、さらに、この信号をアー
ク期間中のみに信号になるような手段を設けてもよい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平1 −92599 (32)優先日 平1(1989)4月12日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平1 −92600 (32)優先日 平1(1989)4月12日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平1 −92601 (32)優先日 平1(1989)4月12日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平1 −92602 (32)優先日 平1(1989)4月12日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平1 −92603 (32)優先日 平1(1989)4月12日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平1 −92604 (32)優先日 平1(1989)4月12日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平1 −92605 (32)優先日 平1(1989)4月12日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平1 −92606 (32)優先日 平1(1989)4月12日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平1 −157444 (32)優先日 平1(1989)6月20日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平1 −179881 (32)優先日 平1(1989)7月12日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平1 −179882 (32)優先日 平1(1989)7月12日 (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 水野 正紀 愛知県名古屋市東区矢田南5丁目1番14 号 三菱電機株式会社 名古屋製作所内 (72)発明者 加藤 義明 愛知県名古屋市東区矢田南5丁目1番14 号 三菱電機株式会社 名古屋製作所内 (72)発明者 長野 修 愛知県名古屋市東区矢田南5丁目1番14 号 三菱電機株式会社 名古屋製作所内 (56)参考文献 特開 昭54−103757(JP,A) 特開 昭54−16345(JP,A)

Claims (27)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶接電極に供給されるアーク電流を検出す
    る電流検出器より時々刻々変化するアーク電流検出値を
    入力し、該電流検出値に関数を乗ずる乗算器、該乗算器
    出力に直流電圧設定器で設定された直流電圧を加算し、
    基準アーク電圧を出力する加算器と、前記電圧検出器よ
    りアーク長変化により時々刻々変化するアーク電圧を入
    力し、該アーク電圧と前記加算器より出力される基準ア
    ーク電圧との比較演算に基づきアーク長変化を示すアー
    ク長信号を出力する比較器と、前記アーク長信号レベル
    の急峻立ち上がり時及び立ち下がり時を検出する微分回
    路、該微分回路の出力信号により、前記立ち上がり時の
    信号のみを選択する判定回路と、該判定回路の信号出力
    時刻を溶融塊の被溶融物への離脱時刻と判断する検出器
    とを有した第1の溶融塊変化検出手段を備えたことを特
    徴とするパルス溶接装置。
  2. 【請求項2】請求の範囲第1項記載のパルス溶接装置に
    おいて、前記第1の溶融塊変化検出手段は前記微分回路
    の出力信号により、前記立ち下がり時の信号のみを選択
    する判定回路とを備え、前記判定回路よりの信号出力時
    刻より溶融塊が被溶接物に短絡する時刻と判断する検出
    器を有したことを特徴とするパルス溶接装置。
  3. 【請求項3】請求の範囲第1項記載のパルス溶接装置に
    おいて、アーク長信号と基準信号Aとを比較する手段
    と、アーク長信号が基準信号A以上になった時点を判定
    する判定回路、前記判定回路よりの信号出力時刻を溶融
    塊の被溶接物への離脱時刻信号と判断する検出器Cとを
    有した第2の溶融塊変化検出手段を備えたことを特徴と
    するパルス溶接装置。
  4. 【請求項4】請求の範囲第3項記載のパルス溶接装置に
    おいて、前記第2の溶融塊変化検出手段は、アーク長信
    号と前記基準信号Aより低信号レベルの基準信号Bとを
    比較する手段と、前記比較する手段によってアーク長信
    号が基準信号B以下になった時点を判定する判定回路D
    と、前記判定回路Dよりの信号出力時刻を、溶融電極の
    溶融塊と被溶接物との短絡する時刻と判定する検出器D
    とを有したことを特徴とするパルス溶接装置。
  5. 【請求項5】請求の範囲第4項に記載のパルス溶接装置
    において、前記判定回路は、溶接スタート信号入力と共
    にアーク長信号の入力時間を設定する溶接スタートタイ
    マ、該設定された時間ON動作し、アーク長信号を入力す
    るアナログスイッチ、前記アーク長信号のレベルに基づ
    き溶融塊の離脱時を設定する離脱レベル設定器、前記ア
    ーク長の信号レベルに基づき溶融塊の短絡時を設定する
    短絡レベル設定器、入力された前記アーク長の信号レベ
    ルと離脱レベル設定値とを比較する第1の比較器、入力
    された前記アーク長信号のレベルと短絡レベル設定値と
    を比較する第2の比較器を有し、前記検出器は、前記第
    1の比較器より出力される信号の立ち上がりエッヂを検
    出し、離脱信号を出力する第1の立ち上がりエッヂ検出
    器、前記第2の比較器より出力される信号の立ち上がり
    エッヂを検出し短絡信号を出力する第2の立ち上がりエ
    ッヂ検出器を有したことを特徴とするパルス溶接装置。
  6. 【請求項6】請求の範囲第1項ないし第5項のいずれか
    に記載のパルス溶接装置において、溶接過程の移行に従
    った時々刻々のアーク長変化を、予め模擬化して設定し
    たアーク長設定器、溶接電流基準波形を設定した電流波
    形設定器、前記アーク長検出器より検出された溶接アー
    ク長検出値と模擬化アーク長設定値とを比較し、差信号
    を出力する比較器、該溶接電流基準波形を前記差信号に
    て補正し、目標アーク長を得るべく溶接電流を生成し出
    力する演算器を有したパルス電流波形制御回路を備えた
    ことを特徴とするパルス溶接装置。
  7. 【請求項7】請求の範囲第6項記載のパルス溶接装置に
    おいて、前記パルス電流波形制御回路は、ワイヤ送給速
    度に従い、前記アーク長設定器及び電流波形設定器より
    模擬アーク長信号及び溶接電流基準波形の読み出し周期
    を設定する電流波形周期設定器を有したことを特徴とす
    るパルス溶接装置。
  8. 【請求項8】請求の範囲第6項または第7項記載のパル
    ス溶接装置において、アーク長設定器は、模擬化アーク
    長波形中の切断波形を出力する期問を設定した切断期問
    設定器、切断波形を設定した切断波形設定器、溶融波形
    を出力する期問を設定した溶融期間設定器、溶融波形を
    設定した溶融波形設定器、整形波形を設定した整形波形
    設定器、各設定波形を順に合成して模擬化アーク長を合
    成する波形の合成器、各設定波形を波形の合成器へ出力
    制御する各波形設定器毎のアナログスイッチと、各設定
    波形の読み出しを制御するインバータ素子、電流波形周
    期信号出力タイミングに基づき整形波形出力期間を設定
    するフリップフロップ、整形波形設定器の出力制御用の
    アナログスイッチをON/OFF制御するANDゲートとを備え
    たことを特徴とするパルス溶接装置。
  9. 【請求項9】請求の範囲第6項に記載のパルス溶接装置
    において、前記アーク長設定器は、溶接過程の移行に従
    った時々刻々のアーク長変化を示すアーク長波形を前記
    電流波形設定器で設定された溶接電流基準波形に対応さ
    せて模擬設定したことを特徴とするパルス溶接装置。
  10. 【請求項10】請求の範囲第8項または第9項記載のパ
    ルス溶接装置において、前記アーク長設定器は、電流波
    形設定器より出力された模擬化電流波形信号を平滑化し
    模擬化アーク長信号を得る充電・放電回路を備えたこと
    を特徴とするパルス溶接装置。
  11. 【請求項11】請求の範囲第8項ないし第10項のいずれ
    かに記載のパルス溶接装置において、前記アーク長設定
    回路は、前記アーク長信号に基づき溶融塊の被溶接物に
    対する短絡を検出し、短絡期間検出信号を出力する短絡
    期間検出器と、前記短絡期間信号により、単位時間当り
    の短絡時間もしくは短絡回数を計測し、該計測値と予め
    規定した規定値とを比較し、この比較した差信号に応じ
    てアーク長波形を模擬アーク長波形レベルにを修正する
    手段を備えたことを特徴とするパルス溶接装置。
  12. 【請求項12】請求の範囲第8項ないし第11項のいずれ
    かに記載のパルス溶接装置において、前記アーク長設定
    器は、前記短絡期間検出器から入力した短絡期問検出信
    号の出力継続時間をもとに単位時間当りの短絡信号を測
    定する短絡時間変換器、予め規定した規定短絡時間信号
    を設定する規定短絡時間設定器、単位時間当りの短絡時
    間と、規定短絡時間信号値とを比較し、その差信号とし
    て模擬アーク長波形信号レベルのレベル修正信号△γを
    出力する比較器とを備えたことを特徴とするパルス溶接
    装置。
  13. 【請求項13】請求の範囲第11項記載のパルス溶接装置
    において、前記アーク長設定器は、短絡検出信号を計数
    し、所定時間内における短絡状態発生回数に変換する短
    絡回数変換器と、予め所定時間内における短絡状態発生
    回数を設定した短絡回数設定器と、前記短絡回数変換器
    より変換出力された短絡・状態発生回数と前記短絡回数
    設定数とを比較し、短絡状態発生回数が短絡設定数以上
    の時、アーク長波形信号レベルのレベル修正信号を出力
    する比較器とを備えたことを特徴とするパルス溶接装
    置。
  14. 【請求項14】請求の範囲第6項、第8項ないし第13項
    のいずれかに記載のパルス溶接装置において、前記パル
    ス電流波形制御回路は、前記溶接電流基準波形とアーク
    長波形の読み出し周期の同期を取る電流波形周期設定器
    を有したことを特徴とするパルス溶接装置。
  15. 【請求項15】請求の範囲第6項ないし第14項のいずれ
    かに記載のパルス溶接装置において、前記アーク長設定
    器は、前記アーク長信号に基づきワイヤ電極先端の溶融
    塊離脱時刻に離脱検出信号を出力する離脱検出器と、前
    記離脱検出器の出力信号に応じて予め設定した模擬アー
    ク長波形設定器の出力信号を補正する出力制御手段と、
    前記設定された溶接電流基準波形を入力して模擬設定す
    る手段を有したことを特徴とするパルス溶接装置。
  16. 【請求項16】請求の範囲第15記載のパルス溶接装置に
    おいて、前記アーク長設定器は、前記離脱検出信号入力
    に基づき溶融期問設定器をON制御し、溶融波形設定器よ
    りの溶融波形の出力制御を行なう制御手段を備えたこと
    を特徴とするパルス溶接装置。
  17. 【請求項17】請求の範囲第6項記載のパルス溶接装置
    において、パルス電流波形制御回路は、前記比較器より
    出力された差信号による溶接電流基準波形の補正を、前
    記短絡期間無出力時のみに行ない、且つ短絡期間信号出
    力時に補正動作を制限する演算器を備えたことを特徴と
    するパルス溶接装置。
  18. 【請求項18】請求の範囲第1項記載のパルス溶接装置
    において、前記アーク長信号により平均アーク長信号を
    出力する平均アーク長変換器と、目標アーク長を設定し
    た目標アーク長設定器と、前記平均アーク長信号と目標
    アーク長との差信号を出力する比較器と、複数個のパル
    ス集団(パルス電流群波形)を周期的に出力するパルス
    電流群出力部と、前記差信号に基づき、前記一周期間の
    パルス電流群又はベース電流を含めたパルス電流群の電
    荷量を設定する電荷量設定器、前記電荷量設定器の出力
    と前記出力するパルス電流群の電荷量とが略一定値に至
    るとパルス電流群の給電を停止するパルス電流群給電制
    御部とを備えたことを特徴とするパルス溶接装置。
  19. 【請求項19】請求の範囲第1項記載のパルス溶接装置
    において、前記アーク長信号を特定の時刻毎に抽出し、
    サンプリングしてサンプリングアーク長信号を出力する
    サンプリングアーク長変換器と、特定時刻における目標
    サンプリングアーク長を設定したサンプリングアーク長
    設定器と、前記サンプリングアーク長信号と目標サンプ
    リングアーク長との差信号を出力する比較器と、複数個
    のパルス集団(パルス電流群波形)を周期的に出力する
    パルス電流群出力部と、前記差信号に基づき、前記一周
    期間のパルス電流群又はベース電流を含めたパルス電流
    群の電荷量を設定する電荷量設定器、前記電荷量設定器
    の出力と前記出力するパルス電流群の電荷量とが略一定
    値に至るとパルス電流群の給電を停止するパルス電流群
    給電制御部とを備えたことを特徴とするパルス溶接装
    置。
  20. 【請求項20】請求の範囲第18項または第19項記載のパ
    ルス溶接装置において、前記パルス電流波形制御回路
    は、溶融塊の短絡期間を検出する手段と、前記短絡期間
    によりアーク期間を判断する手段と、アーク期問中の電
    荷量と設定電荷量が略一定値に至ると前記アーク期間中
    のアーク電流を制限する手段を有したパルス溶接装置。
  21. 【請求項21】請求の範囲第1項記載のパルス溶接装置
    において、アーク長検出器より出力された、時々のアー
    ク長検出値の平均値を演算し、平均アーク長信号を出力
    する平均アーク長変換器と、目標アーク長を設定した目
    標アーク長設定器と、平均アーク長と目標アーク長とを
    比較し、差信号を出力する比較器と、複数個のパルス集
    団から構成されるパルス電流群波形を設定するととも
    に、パルス電流群を周期的に出力するパルス電流群出力
    部と、前記差信号をに基づき、パルス電流群又はベース
    電流を含めたパルス電流群の電荷量を設定するととも
    に、該設定電荷量と前記出力するパルス電流群の電荷量
    を比較し、出力パルス電流群の電荷量が略一定値に至る
    と判定信号を出力するパルス電流群給電制御部と、前記
    判定信号検出に至るまで、パルス電流群の高レベル出力
    をパルス電流給電制御部より保持出力するパルス電流出
    力保持手段を有した電流波形制御回路とを備えたことを
    特徴とするパルス溶接装置。
  22. 【請求項22】請求の範囲第1項記載のパルス溶接装置
    において、前記アーク長信号を特定の時刻毎に抽出し、
    サンプリングしてサンプリングアーク長信号を出力する
    サンプリングアーク長変換器と、特定時刻における目標
    サンプリングアーク長を設定したサンプリングアーク長
    設定器と、前記サンプリングアーク長信号と目標サンプ
    リングアーク長とを比較し、差信号を出力する比較器
    と、複数個のパルス集団から構成されるパルス電流群波
    形を設定するとともに、パルス電流群を周期的に出力す
    るパルス電流群出力部と、前記差信号に基づき、パルス
    電流群又はベース電流を含めたパルス電流群の電荷量を
    設定するとともに、該設定電荷量と前記出力するパルス
    電流群の電荷量を比較し、出力パルス電流群の電荷量が
    略一定値に至ると判定信号を出力するパルス電流群給電
    制御部と、前記判定信号検出に至るまで、パルス電流群
    の高レベル出力を、パルス電流給電制御部へ保持出力す
    るパルス電流出力保持手段を有した電流波形制御回路と
    を備えたことを特徴とするパルス溶接装置。
  23. 【請求項23】請求の範囲第21項または第22項記載のパ
    ルス溶接装置において、前記パルス電流波形の制御回路
    は、短絡期問を検出する手段と、前記短絡期間信号より
    アーク期間を判断する手段と、短絡期間解除後、パルス
    電流群出力部へパルス電流群の出力指示信号を出力する
    信号出力指示手段とを有したことを特徴とするパルス溶
    接装置。
  24. 【請求項24】請求の範囲第1項記載のパルス溶接装置
    において、アーク長信号よりアーク長信号の平均値を演
    算し、平均アーク長信号を出力する平均アーク長変換器
    と、目標アーク長を設定した目標アーク長設定器と、平
    均アーク長と目標アーク長とを比較し、差信号を出力す
    る比較器と、複数個のパルス集団から構成されるパルス
    電流群波形を設定するとともに、前記差信号に応じてパ
    ルス電流群のピーク値を決定し、パルス電流群を周期的
    に出力するパルス電流群出力部と、前記差信号に基づ
    き、パルス電流群又はベース電流を含めたパルス電流群
    の電荷量を設定するとともに、該設定電荷量と前記出力
    するパルス電流群の電荷量を比較し、出力パルス電流群
    の電荷量が略一定値に至るとパルス電流群の給電を停止
    するパルス電流群給電制御部とを有したパルス電流波形
    制御回路を備えたことを特徴とするアーク溶接装置。
  25. 【請求項25】請求の範囲第1項記載のパルス溶接装置
    において、前記アーク長信号を特定の時刻毎に抽出し、
    サンプリングしてサンプリングアーク長信号を出力する
    サンプリングアーク長変換器と、特定時刻における目標
    サンプリングアーク長を設定したサンプリングアーク長
    設定器と、前記サンプリングアーク長信号と目標サンプ
    リングアーク長とを比較し、差信号を出力する比較器
    と、複数個のパルス集団から構成されるパルス電流群波
    形を設定するとともに、前記差信号に応じてパルス電流
    群のピーク値を決定し、パルス電流群を周期的に出力す
    るパルス電流群出力部と、前記差信号に基づき、パルス
    電流群又はベース電流を含めたパルス電流群の電荷量を
    設定するとともに、該設定電荷量と前記出力するパルス
    電流群の電荷量を比較し、出力パルス電流群の電荷量が
    略一定値に至るとパルス電流群の給電を停止するパルス
    電流群給電制御部とを有したパルス電流波形制御回路を
    備えたことを特徴とするアーク溶接装置。
  26. 【請求項26】請求の範囲第24項または第25項記載のパ
    ルス溶接装置において、前記パルス電流波形制御回路
    は、短絡期間を検出する手段と、前記短絡期間によりア
    ーク期間を判断する手段と、アーク期問中の電荷量と設
    定電荷量が略一定値に至ると前記アーク期間中のアーク
    電流を制限する手段を有したことを特徴とするパルス溶
    接装置。
  27. 【請求項27】請求の範囲第1項記載のパルス溶接装置
    において、前記アーク長検出器より出力される時々刻々
    のアーク長検出値の平均値を演算し、平均アーク長信号
    を出力する平均アーク長変換器と、目標アーク長を設定
    しる目標アーク長設定器と、平均アーク長と目標アーク
    長を比較して差信号を出力する比較器と、溶接電流を決
    めるパルス電流の波形を設定し、パルス電流を出力する
    パルス波形設定器と、前記差信号に基づき、給電される
    パルス電流の電荷量を設定するとともに、該設定電荷量
    と前記出力されるパルス電流の電荷量を比較し、出力パ
    ルス電流の電荷量が設定電荷量に至った時、パルス電流
    の給電を停止するパルス電流給電制御部とを有したパル
    ス電流波形制御回路を備えたことを特徴とするパルス溶
    接装置。
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