JP2590024Y2 - 二輪車用アンチロックブレーキ装置 - Google Patents

二輪車用アンチロックブレーキ装置

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JP2590024Y2
JP2590024Y2 JP1993041698U JP4169893U JP2590024Y2 JP 2590024 Y2 JP2590024 Y2 JP 2590024Y2 JP 1993041698 U JP1993041698 U JP 1993041698U JP 4169893 U JP4169893 U JP 4169893U JP 2590024 Y2 JP2590024 Y2 JP 2590024Y2
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昭則 赤井
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この考案は、車体バンク角度を考
慮して目標スリップ率を可変するようにした二輪車用ア
ンチロックブレーキ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】雨上がりの舗装道路や雪道などの走行中
に四輪車や二輪車に急制動をかけると、車輪の回転が完
全に停止してしまい、車輪と路面との間の摩擦抵抗によ
る制動が効かないいわゆるロックアップ状態が発生する
ことがある。こうしたロックアップ状態が発生すると、
通常の制動距離を越えて車輪がスリップしてしまうた
め、例えば二輪車の場合は直進力を失って転倒する危険
があった。
【0003】図8は、従来の二輪車用アンチロックブレ
ーキ装置の一例を示す概略ブロック構成図である。同図
に示した二輪車用アンチロックブレーキ装置1は、ブレ
ーキ操作時に前輪2と後輪3にかける制動力をコントロ
ーラ4が個別にコンピュータ制御し、車輪ロックを防止
する働きをする。具体的には、制動中に前輪2(又は後
輪3)がスリップを生じたときに、前輪速fvw(又は
後輪速rvw)と推定車速VRとに差が生じたことを検
知したコントローラ4が、現に発生している前輪スリッ
プ率λf(又は後輪スリップ率λr)を予め設定された
目標スリップ率λsに一致させるよう前輪アクチュエー
タ5f(又は後輪アクチュエータ5r)を制御し、アク
チュエータ5f(又は5r)が前輪ブレーキ2a(又は
後輪ブレーキ3a)の作動油圧を可変する。その結果、
前輪2(又は後輪3)に対する制動力を最適化する動作
が高速で繰り返され、アンチロック制御が行われる。
【0004】なお、スリップ率λf,λrは、車輪速f
vw,rvwと推定車速VRから、 λf=(VR−fvw)/VR λr=(VR−rvw)/VR として定義されるが、車輪速fvw,rvwは、それぞ
れ前輪速センサ6fと後輪速センサ6rにより検出さ
れ、推定車速VRは、コントローラ4に接続した車速推
定器9により前輪速fvwと後輪速rvwを用いて一定
の推定周期が経過するつど推定され、常に最新の推定値
がコントローラ4内のメモリに格納保持されるようにな
っている。こうして得られた車輪速fvw,rvwと推
定車速VRは、コントローラ4内でスリップ率λf,λ
rの演算に用いられ、得られたスリップλf,λrは
予め設定された目標スリップ率λsと比較される。
【0005】ところで、車輪2,3が路面に対して発生
する制動力(摩擦力)Fbとスリップ率λf,λrとの
間には、図9に示す関係があり、両者の関係は路面状態
もしくは車輪仕様に応じて変化するが、制動力Fbは一
般にスリップ率0.05〜0.2の範囲で最大となる。
これに対し、コーナリングフォースFcは、スリップ率
0のときに最大となり、スリップ率の増加に伴い減少す
る。コーナリングフォースFcは、その値が大きいほど
車輪2,3の側面からの力に対する抵抗力が増し、それ
だけ横滑りを起こしにくくなる。このため、制動力と姿
勢安定性を両立させる観点から、スリップ率λf,λr
に対する制動力FbとコーナリングフォースFcの最適
点は、両曲線の交点を中心とした一定範囲(例えば図9
に梨地模様を付して示したスリップ率0.2〜0.3)
に限定するのが常套的手法であり、一般には上記の一定
範囲内の適当な点に目標スリップ率λsを設定する方法
がとられてきた。
【0006】
【考案が解決しようとする課題】上記従来の二輪車用ア
ンチロックブレーキ装置1は、平坦路を二輪車が直進し
ているとき、すなわち車体バンク角度θが0度の状態を
想定して目標スリップ率λsを設定しており、このため
コーナリングにさいし車体を左右いずれかの方向に傾斜
させた状態、すなわち車体バンク角度θが生じた状態で
の走行に対しては、画一的に設定された目標スリップ率
λsでは十分な対応ができないといった課題があった。
通常、二輪車はカーブ走行時に多少ともカーブ又はコー
ナーの曲率中心側に車体を傾斜させて走行するのが普通
であり、極端な場合、車体の側方突出部が路面に接触す
る物理的な限界、例えば40度程度の車体バンク角度θ
まで車体を左又は右に傾斜させて走行させることもでき
る。しかし、こうした傾斜走行では、図9に一点鎖線又
は二点鎖線で示したように、車体バンク角度θが増加す
るにつれて車輪2,3と路面との間の制動力Fbもコー
ナリングフォースFcもともにピーク値が下がるため
に、制動力曲線とコーナリングフォース曲線との交点又
はその近傍に設定される目標スリップ率λsが、平坦路
直進走行時の目標スリップ率λsの値よりも低下するこ
とになる。
【0007】しかし、従来の二輪車用アンチロックブレ
ーキ装置1は、車体バンク角度θのいかんによらず、平
坦路直進走行時の目標スリップ率λsをもってコントロ
ーラ4がアクチュエータ5f,5rを制御する構成であ
り、このため車体バンク角度θが存在するが故に本来で
あれば例えば0.07程度の目標スリップ率λsが最適
であるにも拘わらず、0.15程度の目標スリップ率λ
sに従ってアンチロックブレーキ制御を行っているのが
現状であり、そうした場合に、走行姿勢が安定せずに、
意図した走行経路に従ってコーナーを曲がり切れなかっ
たり、或いは車輪2,3が過度にスリップして転倒した
りするといった危険があった。また、特開平5−970
25「ブレーキ制御方法および装置」には、前輪軸の両
側に配設した一対の超音波センサの対地距離から車体バ
ンク角度を検出し、車体バンク角度にほぼ逆比例させて
目標スリップ率を可変設定するようにしたアンチロック
ブレーキ装置が開示されている。しかしながら、この装
置は、一対の超音波センサにより検出される対地距離を
もって瞬間ごとの車体バンク角度を検出する構成であ
り、このため路面の荒れた道路や非舗装道路等を走行す
るときには、路面の凹凸による外乱の影響を受けやす
く、舗装道路を走行するときほどの精度よく車体バンク
角度が検出できないために、目標スリップ率が現実の車
体バンク角度を反映せず、所期のアンチロックブレーキ
効果を挙げることができないことがある等の課題を抱え
るものであった。また、車体バンク角度の演算に用いる
対地距離を計測する一対の超音波センサが前輪軸の両側
に設けてあるため、超音波センサと路面との間には前輪
半径ほどの距離があり、このため一対の超音波センサの
出力差が対地距離に占める割合が低く、それだけ車体バ
ンク角度の検出精度が悪い等の課題を抱えるものであっ
た。 また、特開平2−216355号「アンチロックブ
レーキシステム」には、車体バンク角度を生むカーブ走
行の認定にハンドル舵角を用いたシステムが開示されて
いる。しかしながら、このシステムは、カーブ走行に起
因しない車輪荷重の変化を除去するため、カーブ走行時
にハンドル舵角と車体バンク角度との間に発生する時間
軸上の相関則に着目し、カーブ走行中であるか否かを判
定する目的をもってハンドル舵角を監視するに過ぎず、
ハンドル舵角の外に前後輪速度差と推 定車速を併せ推定
車体バンク角度を演算するものではないため、車体バン
ク姿勢から幾何学的にハンドル舵角を求める方式のよう
に、ハンドル舵角から正確な車体バンク角度を導き得な
いことは明らかであった。
【0008】
【課題を解決するための手段】この考案は、上記課題を
解決したものであり、制動時に目標スリップ率を目標に
二輪車の車輪の制動力を可変制御するアンチロックブレ
ーキ機構と、二輪車の車体中心から左右に所定距離だけ
離間させて設けられ、それぞれ路面までの距離を検出す
る一対の超音波センサと、該一対の超音波センサの出力
を移動平均し、移動平均値から前記車体バンク角度を演
算するバンク角度演算器と、該バンク演算器から車体バ
ンク角度を供給され、該車体バンク角度が増すほど前記
アンチロックブレーキ機構に設定する目標スリップ率を
小さな値に可変設定する手段とを具備することを特徴と
するものである。また、前記一対の超音波センサを、二
輪車の左右のフットレストに振り分けて配設したことを
特徴とするものである。
【0009】また、この考案は、制動時に目標スリップ
率を目標に二輪車の車輪の制動力を可変制御するアンチ
ロックブレーキ機構と、ハンドル舵角を検出するハンド
ル舵角センサと、前輪の速度を検出する前輪速センサ
と、後輪の速度を検出する後輪速センサと、前記舵角セ
ンサと前輪速センサ及び後輪速センサの出力に基づき、
演算式又はテーブルに従って前記車体バンク角度を推定
する車体バンク角度推定器と、該車体バンク角度推定器
から推定車体バンク角度を供給され、該推定車体バンク
角度が増すほど前記アンチロックブレーキ機構に設定す
る目標スリップ率を小さな値に可変設定する手段とを具
備することを特徴とするものである。
【0010】
【作用】この考案は、制動時に二輪車の車輪のスリップ
率を目標スリップ率を目標に制動力を制御するアンチロ
ック機構に対し、二輪車の車体バンク角度の演算値又は
推定値にほぼ逆比例するよう目標スリップ率を可変設定
することにより、コーナリング中の制動時に制動力を確
保し、かつ操縦安定性を維持する。
【0011】
【実施例】以下、この考案の実施例について、図1ない
し図7を参照して説明する。図1は、この考案の二輪車
用アンチロックブレーキ装置の一実施例を示す概略ブロ
ック構成図、図2は、図1に示した車体バンク角度検出
器による車体バンク角度の検出原理を説明するための
図、図3は、車体バンク角度と目標スリップ率の関係を
示す図である。
【0012】図1に示す二輪車用アンチロックブレーキ
装置11は、アンチロックブレーキ機構10に車体バン
ク角度検出器12を付加し、コントローラ14に設定す
る目標スリップ率λrを車体バンク角度θにほぼ逆比例
させて可変設定する構成としたものである。実施例の場
合、アンチロックブレーキ機構10は、車輪速センサ6
f,6r,車速推定器9,コントローラ4,アクチュエ
ータ5f,5r,前輪ブレーキ2a,後輪ブレーキ3a
とコントローラ14等から構成される。
【0013】車体バンク角度検出器12は、二輪車の車
体中心から左右に延びる左右のフットレスト(図示せ
ず)に設けた超音波センサ12l,12rと、左右一対
の超音波センサ12l,12rにより検出した路面まで
の距離L,Rから車体バンク角度θを演算するバンク角
度演算器12cからなる。超音波センサ12l,12r
は、いずれも下方に向けて超音波を送信する超音波送信
器(図示せず)と、路面で反射されて戻る超音波を受信
する超音波受信器(図示せず)からなり、超音波送信器
が超音波を送信してから超音波受信器が超音波を受信す
るまでの時間Tに、超音波の進行速度vを乗算し、乗算
結果を1/2して得られる距離Tv/2が、超音波セン
サ12l,12rと路面までの距離L,Rとなる。左右
の超音波センサ12l,12rの水平距離Dは設計段階
で明らかであり、従って図2に示した幾何学的な空間位
置関係から明らかなように、車体バンク角度θと距離
L,Rとの間には、 Dtanθ=|L−R| なる関係が成立する。このため、車体バンク角度θは、 θ=arctan(|L−R|/D) として求まる。ただし、ここでは、路面の凹凸による外
乱の影響を排除するため、超音波センサ12l,12r
の出力L,Rをそれぞれ一定期間移動平均し、移動平均
値をもって車体バンク角度θの演算に供するようにして
ある。従って、舗装道路以外の悪路への適用も十分可能
である。
【0014】こうしてバンク角度演算器12cによって
演算された車体バンク角度θは、さらにバンク角度演算
器12c内で目標スリップ率λsの計算に供される。こ
こでは、カーブ走行時又はコーナリング時に車体が左又
は右に傾斜したときに生ずる車体バンク角度θに応じ
て、スリップ率λf,λrに対する車輪の制動力特性と
コーナリングフォース特性とが変化し、その変化を受け
て両特性の交点が低スリップ率側に遷移することを考慮
し、車体バンク角度θが増すほど目標スリップ率λsを
低下させるようにしてある。すなわち、実施例では、車
体バンク角度θと目標スリップ率λsとの間に、近似的
に λs/λso+θ/θo=1 なる一次線形関係をもたせてある。ただし、λsoは、
車体バンク角度θが0度のときの目標スリップ率λsの
値(例えば0.15)であり、θoは、目標スリップ率
λsが0をとるときの車体バンク角度θの値(例えば4
5度)である。
【0015】バンク角度演算器12cが演算する車体バ
ンク角度θと目標スリップ率λsの厳密な関係は、図3
に示した通りであり、直線関係というよりは若干下に凸
に膨らんだ曲線性を帯びているが、大局的な見地からは
線形関係にあるとして差し支えない。従って、路面に対
して垂直に走行する車体バンク角度0度から、市販の公
道走行用の二輪車では走行限界もしくはそれを若干越え
る車体バンク角度45度にかけて、車体バンク角度θが
増えるにつれて、目標スリップ率λsは一定の割合で低
めに設定される。このため、例えばコーナリング中の制
動によって車輪2,3がスリップしたときに、従来のよ
うに平坦路直進走行時と全く変わらない例えば0.15
程度の目標スリップ率λsに従ってアンチロック制御す
るのではなく、車体バンク角度θに応じて例えば0.0
7程度の目標スリップ率λsを目標にアンチロック制御
が行われる。このため、意図した走行経路に従ってコー
ナーを曲がり切れなかったり、或いは車輪が過度にスリ
ップして転倒したりするといった事故を防止することが
できる。
【0016】また、実施例では、車体バンク角度検出器
12を、二輪車の車体中心から左右に所定距離だけ離間
させて設けられ、それぞれ路面までの距離を検出する一
対の超音波センサ12l,12rと、これら一対の超音
波センサ12l,12rの出力から車体バンク角度θを
演算するバンク角度演算器12cから構成したので、左
右に離間させて設けた一対の超音波センサ12l,12
rが検出する路面までの距離L,Rを用い、距離L,R
の差の絶対値|L−R|を超音波センサ12l,12r
間の距離Dで除して得られる|L−R|/Dのアークタ
ンジェントをとることで、車体バンク角度θを幾何学的
な空間距離関係から正確に演算することができる。
【0017】なお、上記実施例では、車体バンク角度検
出器12を二輪車の左右のフットレストに設けた超音波
センサ12l,12rを用いて構成したが、フットレス
ト以外にも、例えばフロントフォークやハンドルの適当
な箇所等に、左右対称に一対の超音波センサ12l,1
2rを配設することもできる。
【0018】また、実施例では、車体バンク角度θを空
間的位置関係から幾何学的に求める方法をとったが、図
4に示す二輪車用アンチロックブレーキ装置21のごと
く、前述の車体バンク角度検出器12に代えて車体バン
ク角度推定器22を設け、車体バンク角度θの生成要因
を形成するファクタ、すなわちハンドルを左又は右に切
ったことを示すハンドル舵角θhや、カーブ走行時に前
輪2と後輪3の間で発生するトレース軌跡差に基づく微
妙な前後輪速度差fvw−rvwを、ハンドル舵角セン
サ23と前輪速センサ6fと後輪速センサ6rにより検
出し、ハンドル舵角θhと前後輪速度差fvw−rvw
と推定車速VRとから車体バンク角度θを推定すること
も可能である。ただし、車体バンク角度θを上記3種の
変数θh,fvw−rvw,VRから割り出すために
は、様々な路面状況での実測テストが必要である。ここ
では、実測の結果得られたデータを、演算式にまとめる
か、又は一覧表にテーブル化する方法をとっており、演
算式を採用した場合は、この演算式に相当する演算プロ
グラムをコントローラ24に内蔵させて、高速演算によ
り実地対応すればよく、また一覧テーブルを採用した場
合は、テーブル内容をROM化し、パラメータθh,f
vw−rvw,VRをアドレスにして車体バンク角度θ
を読み出すことができる。一般に、車体バンク角度θと
fvw−rvw,VRの間及び車体バンク角度θとθ
h,VRの間には、図5,6に示す定性的関係がある。
【0019】なお、上記実施例では、コントローラ24
の外部に車速推定器9と車体バンク角度推定器22を設
けたが、車速推定器9と車体バンク角度推定器22のそ
れぞれの機能をコントローラ24に負担させることも可
能である。この場合のアンチロックブレーキ動作は、例
えば図7に示すフローにしたがって行われる。
【0020】まず、図7のステップ(101),(10
2)において、センサ6f,6rから前輪速fvwと後
輪速rvwを取り込む。次に、ステップ(103)にお
いて、コントローラ24内のメモリに格納しておいた前
回推定時の推定車速VRに前輪速fvwと後輪速rvw
を加味して最新の車速を推定し、推定車速度VRを演算
する。次に、前輪2と後輪3について、ステップ(10
4)において λf=(VR−fvw)/VR λr=(VR−rvw)/VR に従ってスリップ率λf,λrを演算する。さらに、続
くステップ(105)において、車輪の減速度(減速す
る速度の時間比率)を演算する。
【0021】車体バンク角度θの推定には、3種のパラ
メータθh,fvw−rvw,VRが必要であるが、こ
れまでのステップにおいてこれらのパラメータが出揃う
ため、ステップ(106)において、所定の変換テーブ
ルに従ってバンク角度θを推定する。次に、推定された
バンク角度θを用い、ステップ(107)において、図
3に示した関係を表す演算式に従って目標スリップ率λ
sを割り出す。次に、目標スリップ率λsに従って、ス
テップ(108)において、コントローラ24が前輪ア
クチュエータ5f又は後輪アクチュエータ5rを駆動す
る。こうして、アンチロックブレーキ動作の大半は完了
するが、最後にセンサ6f,6r,23やアクチュエー
タ5f,5rの診断演算を行い、しかるのちループタイ
マに設定されたタイマ時間が経過するのを待って、判断
ステップ(110)からステップ(101)に戻り、再
びアンチロックブレーキ動作を継続的に実行する。
【0022】このように、コントローラ24に車速推定
機能と車体バンク角度推定機能を担わせることにより、
ハードウェア上の負担を軽減し、装置コストの低減が可
能になる等のメリットを享受することができる。
【0023】
【考案の効果】以上説明したように、この考案は、二輪
車の車体中心から左右に所定距離だけ離間させて設けた
一対の超音波センサにより、それぞれ路面までの距離を
検出し、これら一対の超音波センサの出力を移動平均
し、移動平均値から前記車体バンク角度を演算し、車体
バンク角度が増すほどアンチロックブレーキ機構に設定
する目標スリップ率を小さな値に可変設定する構成とし
たから、平坦路の直進走行を想定して目標スリップ率を
固定していた従来の二輪車用アンチロックブレーキ装置
と異なり、カーブ走行時に車体が左又は右に傾斜したと
きに生ずる車体バンク角度に応じて、スリップ率に対す
る車輪の制動力特性とコーナリングフォース特性とが変
化し、その変化を受けて両特性の交点が低スリップ率側
に遷移することを考慮し、車体バンク角度が増すほど目
標スリップ率を低下させるため、例えばコーナリング中
にかなり車体を傾斜させて走行させたために、十分なコ
ーナリングフォースが得られないにも拘わらず、目標ス
リップ率が高く設定されているために、過制動の状態と
なり、意図した走行経路に従ってコーナーを曲がり切れ
なかったり、或いは車輪が過度にスリップして転倒した
りするといったことはなく、目標スリップ率が抑制され
ることで、操縦安定性を維持しながらも可能な最大の制
動力を確保することができ、しかも路面の凹凸による外
乱の影響を排除するため、左右一対の超音波センサの出
力をそれぞれ一定期間移動平均し、移動平 均値をもって
車体バンク角度を演算するようにしたので、舗装道路以
外の悪路への適用も十分可能である等の優れた効果を奏
する。
【0024】また、前記一対の超音波センサは、二輪車
の左右のフットレストに振り分けて配設したので、一対
の超音波センサが検出する路面までの距離L,Rを用
い、距離L,Rの差の絶対値|L−R|を一対の超音波
センサ間の距離Dで除して得られる|L−R|/Dのア
ークタンジェントをとることで、車体バンク角度θを幾
何学的な空間距離関係から正確に演算することができ、
しかもフットレストと路面間の距離は前輪軸と路面間の
距離よりも短く、路面と最も近い場所から路面に発射し
た超音波の往復時間は、車体バンク角度の変化に敏感に
応答して変化するため、車体バンク角度を非常に高い精
度をもって検出することができる等の効果を奏する。
【0025】さらにまた、この考案は、ハンドル舵角を
検出するハンドル舵角センサと、前輪の速度を検出する
前輪速センサと、後輪の速度を検出する後輪速センサ
と、前記舵角センサと前輪速センサ及び後輪速センサの
出力に基づいて、演算式又はテーブルに従って前記車体
バンク角度を推定する車体バンク角度推定器とを設け、
車体バンク角度を推定する構成としたから、車体バンク
角度の生成原因となるファクタ、すなわちハンドルを左
又は右に切ったことを示すハンドル舵角と前輪と後輪の
間で発生する前後輪速度差及び推定車速をもって車体バ
ンク角度を推定することが可能であり、実際には様々な
路面状況での実測テストを繰り返した上で、実測により
得られたデータを、例えばハンドル舵角と前後輪速度差
と推定車速とをパラメータに演算式にまとめるか、又は
一覧表にテーブル化しておき、演算式を採用した場合
は、この演算式に相当する演算プログラムをコントロー
ラに内蔵させて、高速演算により実地対応すればよく、
また一覧テーブルを採用した場合は、テーブル内容をR
OM化し、パラメータをアドレスにして車体バンク角度
を読み出すようにするとよく、また幾何学的な空間距離
から車体バンク角度を直接的に求める方法との併用によ
り、より正確に車体バンク角度を検出することができる
等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この考案の二輪車用アンチロックブレーキ装置
の一実施例を示す概略ブロック構成図である。
【図2】図1に示した車体バンク角度検出器による車体
バンク角度の検出原理を説明するための図である。
【図3】車体バンク角度と目標スリップ率の関係を示す
図である。
【図4】この考案の二輪車用アンチロックブレーキ装置
の他の実施例を示す概略ブロック構成図である。
【図5】車体バンク角度と前後輪速度差の関係を示す図
である。
【図6】車体バンク角度とハンドル舵角の関係を示す図
である。
【図7】図4に示したコントローラが車速推定とバンク
角推定を一括して行う場合のアンチロックブレーキ動作
を説明するためのフローチャートである。
【図8】従来の二輪車用アンチロックブレーキ装置の一
例を示す概略ブロック構成図である。
【図9】スリップ率と制動力及びコーナリングフォース
との関係を示す図である。
【符号の説明】
2 前輪 3 後輪 2a 前輪ブレーキ 3a 後輪ブレーキ 4 コントローラ 5 アクチュエータ 6f 前輪速センサ 6r 後輪速センサ 9 車速推定器 10 アンチロックブレーキ機構 11,21 二輪車用アンチロックブレーキ装置 12 車体バンク角度検出手段(車体バンク角度検出
器) 14,24 コントローラ 22 車体バンク角度検出手段(車体バンク角度推定
器) 23 ハンドル舵角センサ

Claims (3)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 制動時に目標スリップ率を目標に二輪車
    の車輪の制動力を可変制御するアンチロックブレーキ機
    構と、二輪車の車体中心から左右に所定距離だけ離間さ
    せて設けられ、それぞれ路面までの距離を検出する一対
    の超音波センサと、該一対の超音波センサの出力を移動
    平均し、移動平均値から前記車体バンク角度を演算する
    バンク角度演算器と、該バンク演算器から車体バンク角
    度を供給され、該車体バンク角度が増すほど前記アンチ
    ロックブレーキ機構に設定する目標スリップ率を小さな
    値に可変設定する手段とを具備することを特徴とする二
    輪車用アンチロックブレーキ装置。
  2. 【請求項2】 前記一対の超音波センサは、二輪車の左
    右のフットレストに振り分けて配設したことを特徴とす
    る請求項1記載の二輪車用アンチロックブレーキ装置。
  3. 【請求項3】 制動時に目標スリップ率を目標に二輪車
    の車輪の制動力を可変制御するアンチロックブレーキ機
    構と、ハンドル舵角を検出するハンドル舵角センサと、
    前輪の速度を検出する前輪速センサと、後輪の速度を検
    出する後輪速センサと、前記舵角センサと前輪速センサ
    及び後輪速センサの出力に基づき、演算式又はテーブル
    に従って前記車体バンク角度を推定する車体バンク角度
    推定器と、該車体バンク角度推定器から推定車体バンク
    角度を供給され、該推定車体バンク角度が増すほど前記
    アンチロックブレーキ機構に設定する目標スリップ率を
    小さな値に可変設定する手段とを具備することを特徴と
    する二輪車用アンチロックブレーキ装置。
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