JP2588076B2 - 真空式下水道システム - Google Patents

真空式下水道システム

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は家庭等から発生する下水
を真空により吸引する真空式下水道システムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から真空式下水道システムに関する
技術は公知とされているのである。例えば特開平3−4
3527号公報に記載の技術の如くである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし該従来の真空式
下水道システムにおいては、真空発生装置により吸引す
る下水管の内部は下水のみではなく、下水と空気が混合
された状態で吸引されている。下水と空気を混合するた
めには、一般的には、真空弁ユニットから下水を吸入し
た後に、空気を吸入する方法が用いられている。しかし
この方式の場合、真空弁が急激に閉鎖した場合に、下水
を吸引中であるとウォーターハンマー現象が発生し、真
空弁に損傷を与えたり、管のヒビ割れを発生するという
不具合があった。これに対して、空気吸入管と下水吸入
管とを合流することにより気液混合流とすると、真空弁
の急激な閉鎖の場合も上述の問題の発生を回避できる。
【0004】このように空気吸入管と下水吸入管とを合
流させて、気液混合流を構成する場合においても、最も
効率的な搬送を行える為の気液比があり、この気液比に
することが必要であるが、空気吸入管と下水吸入管の合
流位置により、汚水タンク内の下水の容量が減少した場
合に、気液比が変化する。また、真空弁ユニットの全体
のシステムに対する配置により真空度が異なることによ
り、気液比が一定しないという不具合があった。本発明
はこのような従来技術の不具合を解消するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の解決すべき課題
は以上の如くであり、次に該課題を解決する手段を説明
する。真空式下水道システムにおいて、家庭からの下水
を貯留して真空吸引する真空弁ユニットAの部分に、下
水を吸入する下水吸入管2と、空気を吸入する空気吸入
管1を配置し、該下水吸入管2と空気吸入管1とを合流
させて、下水を気液混合流9として搬送すべく構成した
ものである。また、真空式下水道システムにおいて、空
気吸入管1と下水吸入管2の合流点を、真空弁ユニット
Aを構成する汚水タンク5の下水制御レベルの制御中心
位置と略一致させたものである。また、真空式下水道シ
ステムにおいて、気液混合流9の気液比を変更すべく、
空気吸入管1と下水吸入管2の合流点の面積比を調節可
能としたものである。
【0006】
【作用】次に図6において作用を説明する。下水レベル
がL3になると真空弁7が開放されて、下水と空気の吸
引が開始され、下水レベルがL4になると真空弁7が閉
鎖される。その間は下水吸入管2と空気吸入管1から下
水と空気が吸引されて、気液混合流9となる。しかし真
空搬送管3の真空度が変化すると、下水レベルLの上下
に伴い気液比が変化するが、どの真空度の場合にも、制
御中心下水レベルL1においては、常時同じ気液比とな
る。そして該下水レベルL1での気液比は、空気吸入管
1の断面積aと、下水吸入管2の断面積bの比率を変化
することにより変えることが出来る。故に断面積a・b
を調節することにより、任意の気液比をどの位置の真空
弁ユニットにおいても得ることが出来る。
【0007】
【実施例】次に本発明の実施例を説明する。図1は真空
式下水道システムの全体機構を示す図面である。汚水の
発生源である一般住宅には、風呂15やトイレ14や台
所16等の汚水源がある。また該汚水源からの汚水が自
然流下管6を流下して真空弁ユニットAに至るまでの間
に、空気が逆流するので通気管17が配置されている。
自然流下管6を流下してきた下水は、真空弁ユニットA
に一時貯留される。真空弁ユニットは、真空下水管3に
接続されており、真空弁ユニット内のあらかじめ定めた
水位により、汚水は自動的に真空下水管内に吸入され
る。
【0008】即ち、各家庭から真空弁ユニットAまで
は、自然流下により下水に流し、真空弁ユニットAから
真空ステーションBの間は真空吸引するのである。そし
て真空搬送管3内に本発明の要部である気液混合流9が
流れ、真空ステーションBに搬送される。該真空搬送管
3内の真空は、本例では真空ステーションB内のエジェ
クタ20から汚水循環ポンプ21よりの圧力下水がノズ
ルの部分で噴射されることにより発生される。真空度の
調節は該エジェクタ20の発停を調節することにより行
う。エジェクタ20の他に、公知の真空ポンプを用いて
真空吸引しても良いものである。
【0009】22は圧送ポンプであり、真空ステーショ
ンBまで真空搬送管3により搬送された下水を、圧送管
23により下水処理施設や、他の大型下水管に圧送す
る。図2は真空弁ユニットAの詳細図、図3は真空弁7
を閉鎖状態として下水の流入状態の真空弁ユニットAの
断面図、図4は真空弁7を開放し下水吸入開始状態の真
空弁ユニットAの断面図、図5は下水の吸入を終了し、
真空弁7を閉鎖しつつある状態の真空弁ユニットAの断
面図である。
【0010】図2において、真空弁ユニットAは汚水タ
ンク5の内部に配置した下水吸入管2と空気吸入管1
と、圧力検出管8とコントローラ4と真空弁7等により
構成されている。各家庭からの下水は自然流下管6によ
り自然流下しながら流れ込む。真空ステーションBから
の真空が真空搬送管3内の負圧を維持しており、真空圧
力取出部10と真空導管11によりコントローラ4に真
空度を伝え、真空弁7を該負圧により閉鎖状態としてい
る。またコントローラ4の下方に圧力検出管8が突出さ
れており、該圧力検出管8内で、下水レベルが上昇する
ことにより、下水の量をコントローラ4により検知す
る。そして該圧力検出管8の下水レベルが一定以上に上
昇すると、コントローラ4が開放作動し、真空導管12
により真空弁7を引っ張って開放し、汚水タンク5内部
に溜まった下水を真空搬送管3に吸引する。圧力検出管
8を使用する以外に、水面に従って上下するフロートを
利用して検知しても良いものである。
【0011】図3の状態では、下水レベルLが低いので
圧力検出管8内の下水レベルLが上昇しないので、コン
トローラ4を開く程の圧力上昇が得られず、真空弁7は
開放されておらず、自然流下管6から家庭下水が流入中
である。故に空気吸入管1からの空気の吸入も行われて
いない。図4においては、下水レベルLが上昇し、コン
トローラ4を開放するので、真空圧力取出部10と真空
導管11からの負圧が真空導管12を介して真空弁7を
引きつけて、真空弁7を開放する。次に真空搬送管3内
の負圧により下水吸入管2から下水が吸引されて、同時
に空気吸入管1から空気が吸引され、気液混合流9とな
って真空搬送管3内を吸引される。
【0012】図5の状態では、下水レベルLが低下し、
圧力検出管8の下端から離れると、圧力検出管8内の圧
力が低下し、コントローラ4により真空導管11の負圧
が真空弁7に至らなくなり、真空弁7が付勢バネにより
閉鎖される。これにより真空弁7が閉鎖する。
【0013】本発明においては、下水吸入管2からの下
水の吸引だけでは、搬送速度が低下し、汚水の吸入の後
に空気を吸入する方法では、空気の吸入が十分でないと
き、または、汚水の流入が大量で、空気を全く吸入しな
いで真空弁が閉鎖した時にウォーターハンマー現象が発
生するので、これを阻止する為に空気吸入管1を設けて
同時に空気を吸引し、下水と空気を混合して気液混合流
9としている。図8においては該空気吸入管1を、真空
弁7の部分に合流すべく構成した実施例を図示してい
る。また図9においては、該空気吸入管1を真空弁7の
後段に合流させている。
【0014】図6に於ける空気吸入管1の実施例におい
ては、該空気吸入管1を下水吸入管2の中途部分に合流
させており、該空気吸入管1と下水吸入管2との合流点
Pを下水レベルLの制御の中心位置L1となるように構
成している。そして該中心位置L1から上方に下水レベ
ルL2だけ上がった位置の下水レベルL3の位置で、真
空弁7が開き、下水レベルL2だけL1から下がった位
置で真空弁7が閉鎖される下水レベルL1に、合流点P
を配置している。
【0015】下水レベルLが上下すると空気吸入管1か
らの空気と、下水吸入管2からの下水の吸引比率が変化
するので気液比が変化する。この変化が気液混合流9の
流れを良否を決定するので、最良の気液比に設定する必
要がある。気液比が大になると、空気の比率が大とな
り、真空搬送管3の中には空気のみが搬送されることと
なり、下水の搬送エネルギー効率が低下する。逆に気液
比が小となると、下水のみとなりウォーターハンマー現
象が発生しやすくなり、また搬送に支障がある。
【0016】また真空搬送管3内の真空度が変化する
と、これによっても気液比が変化してくる。図7におい
ては、真空度が−70KPaと−50KPaと−20K
Paの場合の、中心位置L1からの距離xに対する気液
比の変化を示している。下水レベルLの制御の中心がL
1から下になる程、下水よりも空気を吸引しがちとな
り、空気の含有量が大となり、気液比が大となる。逆
に、中心L1から低い位置にレベルに制御の中心を設定
すると、徐々に空気の吸引量が少なくなり、下水の量が
増加してくる。真空搬送管3の真空度が変化すると、こ
の下水レベルLの変化に対し、それぞれ相違する気液比
を示すことが図7のグラフにおいて理解出来る。
【0017】しかし、合流点Pである下水レベルL1の
位置に制御の中心を設定すると、真空度の相違があった
としても、略同じ程度の気液比となる。故に、真空式下
水道システム内に於ける真空弁ユニットAの位置の相違
により、真空搬送管3内の負圧の量が変化したとして
も、略同じように気液比を得られるように、図7の如
く、異なる真空度の場合でも、略同じ気液比を得られる
ような合流点Pを、下水レベルLの制御レベルの中心位
置L1の部分に配置している。
【0018】図7においては、気液比1.5の位置にお
いて、真空度の違う場合においても常に気液比が同じと
なっている。該気液比1.5が最も搬送効率の良い気液
比では無い場合には、空気吸入管1と下水吸入管2との
間の合流点Pの断面積a・bを変更可能としている。
【0019】
【発明の効果】本発明は、請求項1の如く構成したの
で、下水を吸入した後に空気を吸入する方式のようなウ
ォーターハンマー現象が発生しなくなり、搬送に必要な
空気を絶えず吸入することが出来る。
【0020】また請求項2の如く構成したので、真空弁
ユニットAの配置が真空ステーションBに対し近い位置
と遠い位置とに配置された場合、真空搬送管3内の真空
度がそれぞれ相違することにより、真空弁ユニットごと
の気液比にばらつきが生じ、不具合を発生していた。し
かし本発明では該空気吸入管1と下水吸入管2の合流点
Pを、下水レベルLの制御の中心位置とすることによ
り、真空度の変化に対して一定の気液比を得ることが出
来る。
【0021】請求項3の如く構成したので、真空度の変
化に対しても変化しないようになった気液比を、合流点
Pの面積比率の変更により、最高の下水の搬送効率の状
態を得る気液比を容易に選定することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】真空式下水道システムの全体機構を示す図面で
ある。
【図2】真空弁ユニットAの詳細図である。
【図3】真空弁7を閉鎖状態として下水の流入状態の真
空弁ユニットAの断面図。
【図4】真空弁7を開放し下水吸入開始状態の真空弁ユ
ニットAの断面図である。
【図5】下水の吸入を終了し、真空弁7を閉鎖しつつあ
る状態の真空弁ユニットAの断面図である。
【図6】合流点Pと下水レベルLとの位置関係を示す図
面である。
【図7】下水レベルLの制御中心位置と、合流点Pとの
関係を示す図面である。
【図8】空気吸入管1と下水吸入管2との合流点Pを真
空弁7の部分に配置した他の実施例を示す図面である。
【図9】空気吸入管1と下水吸入管2との合流点Pを真
空弁7よりも後段に配置した実施例の図面である。
【符号の説明】
1 空気吸入管 2 下水吸入管 3 真空搬送管 4 コントローラ 5 汚水タンク 6 自然流下管 7 真空弁 8 圧力検出管 9 気液混合流 a 空気吸入管の断面積 b 下水吸入管の断面積

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空式下水道システムにおいて、家庭か
    らの下水を貯留して真空吸引する真空弁ユニットの部分
    に、下水を吸入する下水吸入管と、空気を吸入する空気
    吸入管を配置し、該下水吸入管と空気吸入管とを合流さ
    せて、下水を気液混合流として搬送すべく構成したこと
    を特徴とする真空式下水道システム。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の真空式下水道システムに
    おいて、空気吸入管と下水吸入管の合流点を、真空弁ユ
    ニットを構成する汚水タンクの下水制御レベルの制御中
    心位置と略一致させたことを特徴とする真空式下水道シ
    ステム。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の真空式下水道システム
    において、気液混合流の気液比を変更すべく、空気吸入
    管と下水吸入管の合流点の面積比を調節可能としたこと
    を特徴とする真空式下水道システム。
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