JP2587588B2 - 蓄熱式ラジアントチューブバーナ装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、一対の蓄熱式バーナを
チューブの両端部に備え、各バーナを交互に燃焼させる
蓄熱式ラジアントチューブバーナ装置に関し、より詳し
くは、各バーナを蓄熱体に向けて配置し、一方のバーナ
の燃焼熱により直接的に一方の蓄熱体を加熱し、次の他
方のバーナの燃焼の際には、上記一方の蓄熱体で加熱さ
れた燃焼用気体がラジアントチューブを介して炉内を加
熱するとともに上記他方のバーナから噴出する燃料を燃
焼させる蓄熱式ラジアントチューブバーナ装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、蓄熱式ラジアントチューブバーナ
装置(以下、「バーナ装置」という。)として、例えば実開
平４−３３８２５号公報、同４−３３８２６号公報に開
示されるものがあり、前者の実開平４−３３８２５号公
報に開示されるバーナ装置５０は、図７に示すように、
ラジアントチューブ５３の両端部に蓄熱式バーナ５４,
５５が連結されている。

【０００３】上記蓄熱式バーナ５４,５５は、燃料噴射
ノズル５６,５７と、その周囲に形成された燃焼用空気
ノズル５８,５９とをそれぞれ備えており、この燃焼用
空気ノズル５８,５９に蓄熱体６０,６１が配設されてい
る。上記燃料噴射ノズル５６,５７は、燃料開閉弁６２,
６３を介して燃料供給装置６４に接続されている。上記
燃焼用空気ノズル５８,５９は、四方弁６５を介して空
気供給ファン６６と排ガス排出ファン６７に接続されて
おり、この四方弁６５の操作に基づいて、空気供給ファ
ン６６から供給された燃焼用空気を一方の蓄熱式バーナ
５４に供給し、排ガス排出ファン６７により他方の蓄熱
式バーナ５５から排ガスを排気する状態と、排ガス排出
ファン６７により一方の蓄熱式バーナ５４から排ガスを
排気し、空気供給ファン６６から供給された燃焼用空気
を他方の蓄熱式バーナ５５に供給する状態に、切り替え
できるようになっている。

【０００４】したがって、上記バーナ装置５０は、四方
弁６５と燃料開閉弁６２,６３の操作に基づいて、蓄熱
式バーナ５４,５５を交互に燃焼状態と非燃焼状態に切
り替えて運転される。すなわち、蓄熱式バーナ５４で燃
料を燃焼させる場合、一方の燃料開閉弁６２を開状態、
他方の燃料開閉弁６３を閉状態、四方弁６５を実線状態
に設定し、蓄熱式バーナ５４に燃料と燃焼用空気を供給
して燃焼する。また、燃焼によって発生した高温の排ガ
スはラジアントチューブ５３内を矢印(実線)方向に流
れ、蓄熱体６１に熱が奪われることにより低温となって
放出される。一方、蓄熱式バーナ５５で燃料を燃焼させ
る場合、一方の燃料開閉弁６２を閉状態、他方の燃料開
閉弁６３を開状態、四方弁６５を点線状態に設定し、蓄
熱式バーナ５５に燃料と燃焼用空気を供給して燃焼させ
る。このとき、燃焼用空気は蓄熱体６１と接触して予熱
されるので、高効率の燃焼が得られる。また、排ガスは
ラジアントチューブ５３内を矢印(点線)方向に流れて蓄
熱体６０を加熱し、この熱が次回の蓄熱式バーナ５４に
よる燃焼時に燃焼用空気の予熱に利用される。以上のよ
うに、上記バーナ装置５０では、排ガスが持つ熱を回収
し、この熱を燃焼用空気の予熱に利用するので、エネル
ギーの省力化と熱効率の改善が同時に達成できる。

【０００５】また、上記実開平４−３３８２６号公報に
開示する蓄熱式ラジアントチューブバーナ装置７０は、
図８に示すように、蓄熱式バーナ５４,５５への燃料供
給の切替を、四方弁６５と連動するように同軸上に配設
されたロータリ三方弁７１をロータリアクチュエータ７
２で回転させて行うものであり、これ以外の構成は上記
バーナ装置５０と同じである。したがって、このバーナ
装置７０でもバーナ装置５０と同様の効果を奏すること
ができる。なお、バーナ装置７０については、上記バー
ナ装置５０と同一部材には同一符号を付して構成及び燃
焼動作の説明を省略する。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記バ
ーナ装置５０,７０では、ラジアントチューブ内で燃料
を燃焼させるため、硫黄分等の腐食成分を含む燃料を使
用した場合にはチューブに腐食を生じ、チューブの寿命
が短命化するという問題点があり、これを防止してチュ
ーブの延命化を図るためには腐食に強い材質からなるチ
ューブを選ぶ必要があった。また、ラジアントチューブ
内に燃焼火炎が形成されるために、チューブの形状(例
えば、直径、曲がり部の位置など)に制約があり、さら
には、火炎近傍のチューブ温度が他の部分に比べて高く
なり、チューブの均一加熱が困難であるという問題点も
あった。

【０００７】一方、燃焼の分野では、ＮＯxの発生防止
とエネルギーの省力化のために純酸素や酸素濃度の高い
混合気体を燃焼用気体として使用する方法が知られてい
る。しかし、純酸素等を燃焼して得られる火炎の温度は
極めて高温となり、チューブを焼損する原因となるた
め、従来の蓄熱式ラジアントチューブバーナ装置では使
用できなかった。

【０００８】

【課題を解決するための手段】そこで、本発明は、従来
の蓄熱式ラジアントチューブバーナ装置とはバーナを逆
向きに配置してラジアントチューブ内に排ガスや燃焼火
炎が存在しないようにすることにより、チューブの腐食
やチューブ形状の制約等の上記問題点を解決する蓄熱式
ラジアントチューブバーナ装置の提供を目的としてなさ
れたもので、請求項１の発明は、(a) 両端部を開放し
たラジアントチューブと、(b) 一端側を上記ラジアン
トチューブの端部にそれぞれ連結した第１と第２の燃焼
チューブと、(c) これら第１と第２の燃焼チューブ内
にそれぞれ収容した第１と第２の蓄熱体と、(d) 上記
第１と第２の燃焼チューブ内であって蓄熱体のラジアン
トチューブ側に、燃料噴射口を蓄熱体に向けてそれぞれ
配置した第１と第２のバーナと、(e) これら第１と第
２のバーナにそれぞれ接続した燃料供給装置と、(f)
上記第１と第２の燃焼チューブの他端部にそれぞれ接続
した燃焼用空気供給装置と、(g) この燃焼用空気供給
装置と同様に、上記第１と第２の燃焼チューブの他端部
にそれぞれ接続した排ガス排出装置と、(h) 上記燃焼
用空気供給装置から第１の燃焼チューブに供給された燃
焼用空気を第１の蓄熱体とラジアントチューブを介し第
２の燃焼チューブに供給して第２のバーナから噴射した
燃料を燃焼させ第２の蓄熱体を加熱すると共に、この第
２の蓄熱体を通過した排ガスを排ガス排出装置で放出す
る第１の燃焼状態と、燃焼用空気供給装置から第２の燃
焼チューブに供給された燃焼用空気を第２の蓄熱体とラ
ジアントチューブを介し第１の燃焼チューブに供給して
第１のバーナから噴射した燃料を燃焼させ第１の蓄熱体
を加熱すると共に、この第１の蓄熱体を通過した排ガス
を排ガス排出装置で放出する第２の燃焼状態とを所定時
間ごとに交互に実行する制御装置と、を備えたものであ
る。

【０００９】また、請求項２の発明は、請求項１の発明
と同様にバーナを逆向きに配置すと共に、燃焼用気体と
して酸素の使用を可能にしてＮＯxの発生を防止する蓄
熱式ラジアントチューブバーナ装置の提供を目的として
なされたもので、(a) 両端部を開放したラジアントチ
ューブと、(b) 一端側を上記ラジアントチューブの端
部にそれぞれ連結した第１と第２の燃焼チューブと、
(c) これら第１と第２の燃焼チューブ内にそれぞれ収
容した第１と第２の蓄熱体と、(d) 上記第１と第２の
燃焼チューブ内であって蓄熱体のラジアントチューブ側
に、燃料噴射口を蓄熱体に向けてそれぞれ配置した第１
と第２のバーナと、(e) これら第１と第２のバーナに
それぞれ接続した燃料供給装置と、(f) 上記第１と第
２の燃焼チューブの他端部に接続され、第２の燃焼チュ
ーブから吸引した排ガスの一部を第１の燃焼チューブに
供給する状態と、第１の燃焼チューブから吸引した排ガ
スの一部を第２の燃焼チューブに供給する状態とに切替
可能な排ガス循環装置と、(g) この排ガス循環装置か
ら燃焼チューブに供給される排ガスに酸素を供給する酸
素供給装置と、(h) 第１の燃焼チューブに供給された
排ガスと酸素の混合気体を第１の蓄熱体とラジアントチ
ューブを介し第２の燃焼チューブに供給して第２のバー
ナから噴射した燃料を燃焼させ第２の蓄熱体を加熱する
と共に、第２の蓄熱体を通過した排ガスを排ガス循環装
置で放出する第１の燃焼状態と、第２の燃焼チューブに
供給された排ガスと酸素の混合気体を第２の蓄熱体とラ
ジアントチューブを介し第１の燃焼チューブに供給して
第１のバーナから噴射した燃料を燃焼させ第１の蓄熱体
を加熱すると共に、第１の蓄熱体を通過した排ガスを排
ガス循環装置で放出する第２の燃焼状態とを交互に実行
する制御装置と、を備えたものである。

【００１０】

【作用】上記構成からなる請求項１の蓄熱式ラジアント
チューブバーナ装置では、燃料供給装置から第１のバー
ナに供給された燃料が燃焼用空気供給装置から第２の蓄
熱体、ラジアントチューブを経て送られる燃焼用空気に
よって燃焼し、その燃焼熱によって第１の蓄熱体が直接
加熱される。この第１の蓄熱体を通過した排ガスは、選
択的に接続された排ガス排出装置によって放出される。
なお、燃焼用空気は第２の蓄熱体を通過する間に、前回
の第２のバーナの燃焼により蓄熱した熱によって加熱さ
れる。加熱された燃焼用空気は、ラジアントチューブ内
を流れる間に放熱して炉内を加熱したのち、上記第１の
バーナの燃焼に供される。このような燃焼動作が、第１
と第２のバーナにおいて交互に繰り返される。

【００１１】また、請求項２の蓄熱式ラジアントチュー
ブバーナ装置は、燃焼用気体として酸素の使用を可能に
したもので、上記構成からなる請求項１の蓄熱式ラジア
ントチューブバーナ装置に排ガス循環装置を設けたこと
を特徴とする。すなわち、燃料供給装置から第１のバー
ナに供給された燃料が第２の蓄熱体、ラジアントチュー
ブを経て送られる燃焼用気体によって燃焼し、その燃焼
熱によって第１の蓄熱体が直接加熱される。ただし、こ
の第１の蓄熱体を通過した排ガスは、選択的に接続され
た排ガス循環装置によって吸引され、一部は放出される
が残りの排ガスは第２の蓄熱体に供給される。この供給
過程において、選択的に接続される酸素供給装置から酸
素が供給され、排ガスと所定割合で混合される。この酸
素と排ガスの混合気体が上記第２の蓄熱体で加熱され、
ラジアントチューブを介して炉内を加熱するとともに燃
焼用気体として供されることは上記請求項１の場合と同
様である。

【００１２】

【実施例】以下、添付図面を参照して本発明の実施例に
ついて説明する。図１、図２は請求項１の発明にかかる
蓄熱式ラジアントチューブバーナ装置１の概略図であ
り、図３はこのバーナ装置１に使用される開閉弁の制御
装置３１の入出力を示したものである。上記バーナ装置
１は、炉壁３に固定されたラジアントチューブ４と、こ
のラジアントチューブ４の両端部に連結された第１と第
２の燃焼チューブ５,６及びこれら第１と第２の燃焼チ
ューブ５,６にそれぞれ接続された燃焼用空気供給装置
７と排ガス排出装置８と燃料供給装置１９から主として
構成されている。

【００１３】上記第１と第２の燃焼チューブ５,６の内
部には第１と第２の蓄熱体１３,１４がそれぞれ収容さ
れている。また、第１と第２の燃焼チューブ５,６の内
部であって第１と第２の蓄熱体１３,１４のラジアント
チューブ側には、燃料噴射口１５,１６を第１と第２の
蓄熱体１３,１４に向けて第１と第２のバーナ１１,１２
がそれぞれ配置されている。上記蓄熱体１３,１４は、
例えばアルミナボールなどの蓄熱媒体を収容した蓄熱器
で構成されており、通気性を備えている。また、上記第
１と第２のバーナ１１,１２には、燃料開閉弁１７,１８
を介して燃料供給装置１９が接続されている。

【００１４】上記燃焼用空気供給装置７は、燃焼用空気
を供給するファン２１と、このファン２１の排出部に一
端部を接続した燃焼用空気供給管２２からなり、この燃
焼用空気供給管２２は２つに分岐し、空気開閉弁２３,
２４を介して燃焼チューブ５,６にそれぞれ接続されて
いる。一方、上記排ガス排出装置８は、燃焼により生じ
た排ガスを放出するファン２５と、このファン２５の吸
引部に一端部を接続した排ガス排出管２６からなり、こ
の排ガス排出管２６の分岐した２つの他端部が排ガス開
閉弁２７,２８を介して第１と第２の燃焼チューブ５,６
にそれぞれ接続されている。

【００１５】なお、本実施例では燃焼チューブ５,６内
に蓄熱体１３,１４を収容した場合について説明した
が、蓄熱体１３,１４は燃焼チュ−ブ５,６の端部に接続
するよう取り付けることも本発明に含む。この場合、蓄
熱体５,６の他端部に燃焼用空気供給管２２が接続され
ることになる。

【００１６】以上の構成を備えたバーナ装置１の燃焼動
作について説明する。まず、第１のバーナ１１で燃料を
燃焼させる場合、図３に示すように、制御装置３１に第
１のバーナ１１による燃焼を指示する電気信号が入力さ
れ、この信号に基づき各開閉弁の操作信号が出力され
る。これによりバーナ装置１は、図１に示すように、燃
料開閉弁１７、空気開閉弁２４及び排ガス開閉弁２７を
開状態、これらと対をなす燃料開閉弁１８、空気開閉弁
２３及び排ガス開閉弁２８が閉状態に設定される。

【００１７】燃料は、燃料供給装置１９から燃料開閉弁
１７を介して第１のバーナ１１に供給され、燃料噴射口
１５から噴射される。燃焼用空気は、ファン２１から燃
焼用空気供給管２２、空気開閉弁２４を介して、燃料が
供給されない第２のバーナ１２側の第２の蓄熱体１４に
供給される。この第２の蓄熱体１４は前回の第２のバー
ナ１２による燃焼の際に、燃焼熱により直接加熱されて
蓄熱しているため、燃焼用空気は第２の蓄熱体１４を通
過する間に加熱され、高温空気となってラジアントチュ
ーブ４に送られる。そして、ラジアントチューブ４内を
矢印a方向に流れる間に、ラジアントチューブ４の表面
から炉内２９に放熱する。その後、第１の燃焼チューブ
５内に達した燃焼用空気は、第１のバーナ１１から噴射
した燃料と混合されて燃焼し、この燃焼熱によって第１
の蓄熱体１３が直接加熱される。第１の蓄熱体１３で熱
を回収されて低温となった排ガスは、排ガス開閉弁２７
及び排ガス排出管２６を介してファン２５により放出さ
れる。

【００１８】上記第１のバーナ１１による燃焼状態を一
定時間継続し、第１の蓄熱体１３が所定の蓄熱量に達し
たとき、上記制御装置３１に入力される電気信号に基づ
き、バーナ装置１は、図２に示すように、空気開閉弁２
４、燃料開閉弁１７、排ガス開閉弁２７を順に閉じ、排
ガス開閉弁２８、空気開閉弁２３、燃料開閉弁１８を順
に開いて第２のバーナ１２による燃焼状態に設定され
る。このとき、燃料は燃料供給装置１９から燃料開閉弁
１８を介して第２のバーナ１２に供給され、燃焼用空気
はファン２１から燃焼用空気供給管２２、空気開閉弁２
３を介して第１の蓄熱体１３に供給される。上記第１の
バーナ１１の燃焼によって蓄熱した第１の蓄熱体１３で
高温となった燃焼用空気は、ラジアントチューブ４内を
矢印b方向に流れて放熱したのち、第２のバーナ１２か
ら噴出した燃料と混合して燃焼する。この燃焼熱で第２
の蓄熱体１４が加熱され、第２の蓄熱体１４に熱を回収
されて低温となった排ガスは排ガス開閉弁２８、排ガス
排出管２６を介してファン２５により放出される。

【００１９】上記第２のバーナ１２による燃焼状態を一
定時間継続し、第２の蓄熱体１４が所定の蓄熱量に達し
たとき、上記制御装置３１により、再び図１に示す第１
のバーナ１１による燃焼状態に切り替えられる。このよ
うに、上記２つの燃焼状態が所定時間ごとに交互に繰り
返される。

【００２０】以上に説明したバーナ装置１では、ラジア
ントチューブ４内に燃焼火炎が形成されないため、従来
火炎接触防止上で強要されたチューブ形状に制約がな
く、チューブの材質選定における耐熱要求も緩和され
る。また、このバーナ装置１では、ラジアントチューブ
４の加熱媒体として高温の燃焼用空気を使用するため、
従来のように排ガスに含まれるＳＯxや腐食性金属酸化
物などに起因するチューブの腐食も生じない。さらに、
ラジアントチューブ４内に燃焼火炎がなく、かつ切替燃
焼により燃焼用空気の流れる方向が反転するため、チュ
ーブ温度が均一となる。なお、このバーナ装置１におい
ても燃焼用空気は予熱されているため、エネルギーの省
力化と高効率の燃焼が達成される。

【００２１】以上のバーナ装置１の説明では、燃焼用空
気供給管２２、排ガス排出管２６の切替手段として開閉
弁を使用したが、これに限るものではなく、例えば図４
に示すようなロータリ四方弁を使用してもよい。また、
バーナ装置１には１組のバーナを設けるものとしたが、
複数組のバーナを設けてもよいことは明らかである。

【００２２】次に、請求項２の発明にかかるバーナ装置
２について、図４、図５、図６を参照しつつ説明する。
なお、このバーナ装置２の構成は、図４に示すように、
ラジアントチューブ４、第１と第２の燃焼チューブ５,
６、第１と第２のバーナ１１,１２に燃料開閉弁１７,１
８を介して接続された燃料供給装置１９については上記
バーナ装置１と同じであるため、これらには同一符号を
付して説明を省略する。

【００２３】上記バーナ装置２は排ガス循環装置３０を
備えており、この排ガス循環装置３０は燃焼用気体供給
管(以下、「気体供給管」という。)３４,３５、ロータリ
四方弁３６、排ガス管４１,４２、ファン４３及び排ガ
ス排出管４４から構成される。上記気体供給管３４,３
５の一端部はそれぞれ第１と第２の燃焼チューブ５,６
に連結されており、これら気体供給管３４,３５の他端
部は、上記ロータリ四方弁３６の第１ポート３７、第２
ポート３８にそれぞれ接続されている。上記ロータリ四
方弁３６の第３ポート３９と第４ポート４０には、排ガ
ス管４１,４２の一端部が接続され、この一方の排ガス
管４１の他端部はファン４３の吸引部に、他方の排ガス
管４２の他端部はファン４３の排出部に連結された排ガ
ス排出管４４にそれぞれ接続されている。

【００２４】上記気体供給管３４,３５には、酸素供給
管４５,４６を介して酸素供給源４７が接続されてお
り、これら酸素供給管３４,３５に設けた酸素開閉弁４
８,４９の開閉操作により気体供給管３４,３５に純酸素
を供給できるようにしてある。

【００２５】以上の構成を備えたバーナ装置２の燃焼動
作について説明する。まず、第１のバーナ１１で燃料を
燃焼させる場合、図６に示す制御装置３２に入力される
電気信号に基づき、バーナ装置２は、図４に示すよう
に、燃料開閉弁１７と酸素開閉弁４９が開状態、これら
と対をなす燃料開閉弁１８と酸素開閉弁４８が閉状態に
設定され、ロータリ四方弁３６の弁３３は図示する実線
位置に設定される。

【００２６】燃料は、燃料供給装置１９から燃料開閉弁
１７を介して第１のバーナ１１に供給されて燃料噴射口
１５から噴射され、燃焼していない第２のバーナ１２側
からラジアントチューブ４を介して供給される燃焼用気
体と混合燃焼する。この燃焼熱によって第１の蓄熱体１
３は直接加熱されて蓄熱する一方、蓄熱により熱を回収
されて低温となった排ガスは第１の蓄熱体１３を通過し
て気体供給管３４に吸引される。

【００２７】次に、排ガスは、ロータリ四方弁３６の第
１ポート３７及び第３ポート３９、排ガス管４１を介し
てファン４３に送られる。ファン４３から排出された排
ガスの一部は、排ガス排出管４４を介して放出される
が、残りの排ガスは排ガス管４２、ロータリ四方弁３６
の第４ポート４０及び第２ポート３８を介して第２の燃
焼チューブ６に通じる気体供給管３５に送られる。ここ
で酸素供給装置４７から所定量の純酸素が供給されて酸
素濃度が例えば１５〜２１％の混合気体に調整され、こ
の混合気体が第２の蓄熱体１４に供給される。

【００２８】この第２の蓄熱体１４は、前回の第２のバ
ーナ１２による燃焼の際に、燃焼熱により直接加熱され
て蓄熱しているため、上記混合気体は第２の蓄熱体１４
を通過する間に加熱され、高温気体となってラジアント
チューブ４に送られる。そして、ラジアントチューブ４
内を矢印c方向に流れる間に、ラジアントチューブ４の
表面から放熱して炉内２９を加熱する。その後、第１の
燃焼チューブ５内に達した混合気体は、燃焼用気体とし
て第１のバーナ１１の燃焼に供される。なお、混合気体
の酸素濃度は上記のように１５〜２１％に調整されてい
るため、燃焼火炎の温度は空気を燃焼用気体として使用
した場合の火炎温度程度に維持される。

【００２９】上記第１のバーナ１１による燃焼状態を一
定時間継続し、第１の蓄熱体１３が所定の蓄熱量に達し
たとき、上記制御装置３２に入力される第２のバーナ１
２の燃焼を指示する電気信号に基づき、バーナ装置２
は、図５に示すように、酸素開閉弁４９、燃料開閉弁１
７を順に閉じ、ロータリ四方弁３６の弁３３を図４に示
す位置から９０°回転させたのち、酸素開閉弁４８、燃
料開閉弁１８を順に開いて第２のバーナ１２による燃焼
状態に設定される。この場合、燃料は燃料供給装置１９
から第２のバーナ１２に供給されて燃料噴射口１６から
噴射され、燃焼していない第１のバーナ１１側からラジ
アントチューブ４を介して供給される燃焼用気体と混合
燃焼する。

【００３０】この燃焼熱で第２の蓄熱体１４が加熱され
て蓄熱する一方、この蓄熱で熱を回収されて低温となっ
た排ガスは、気体供給管３５、ロータリ四方弁３６の第
２ポート３８及び第３ポート３９、排ガス管４１、ファ
ン４３を介してその一部が排ガス排出管４４から放出さ
れる。残りの排ガスは、排ガス管４２、ロータリ四方弁
３６の第４ポート４０及び第１ポート３７を介して気体
供給管３４に送られる。ここで排ガスは、酸素供給源４
７から酸素開閉弁４８を介して供給された所定量の酸素
と混合され、酸素濃度１５〜２１％の混合気体に調整さ
れて第１の蓄熱体１３に供給される。この第１の蓄熱体
１３の通過によって高温となった混合気体は、ラジアン
トチューブ４内を矢印d方向に流れる間に放熱したの
ち、燃焼用気体として第２のバーナ１２の燃焼に供され
る。

【００３１】上記第２のバーナ１２による燃焼状態を所
定時間継続し、第２の蓄熱体１４が所定の蓄熱量に達し
たとき、上記制御装置３２により、再び第１のバーナ１
１による燃焼状態に切り替えられる。このように、上記
２つの燃焼状態が所定時間ごとに交互に繰り返される。

【００３２】以上に説明したバーナ装置２においても、
ラジアントチューブ４内に燃焼火炎が形成されず、切替
燃焼により燃焼用気体の流れる方向が反転するため、上
記バーナ装置１とほぼ同様の効果を有する。一方、バー
ナ装置２では、空気ではなく、窒素を含まない酸素混合
気体を燃焼用気体として使用するため、サーマルＮＯx
が発生せず、放出される排ガス量も少ないので、従来の
蓄熱式バーナより効率が更に向上する。

【００３３】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項
１の発明にかかる蓄熱式ラジアントチューブバーナ装置
によれば、以下の効果がある。 (１) ラジアントチューブの加熱媒体として高温の燃焼
用空気を使用するので、従来、腐食成分を含む燃料を使
用したときに排ガスに含まれるＳＯxや腐食性金属酸化
物により生じていたチューブの腐食を防止でき、これに
より、チューブの材質選定が容易となる。 (２) ラジアントチューブ内に燃焼火炎が形成されない
ので、チューブ形状の制約がなく、チューブ内を高速噴
流とすれば対流加熱効果によりチューブ直径を小径化す
ることもできる。 (３) ラジアントチューブ内に燃焼火炎が形成されず、
かつ、切替燃焼により燃焼用空気の流れる方向が反転す
るため、チューブ温度が均一になると共に、チューブの
材質選定における耐熱要求も緩和される。 (４) 燃焼用空気は蓄熱体で予熱されているため、エネ
ルギーの省力化と高効率の燃焼が達成される。

【００３４】また、請求項２の発明にかかる蓄熱式ラジ
アントチューブバーナ装置によれば、上記(２)(３)(４)
の効果に加えて、燃焼用気体として窒素を含まない酸素
を使用することができるので、サーマルＮＯxの発生を
完全に防止できると共に、放出される排ガス容積を減量
することができ、更にエネルギーの省力化を図ることが
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 請求項１の発明にかかる蓄熱式ラジアントチ
ューブバーナ装置の概略図である。

【図２】 図１における蓄熱式ラジアントチューブバー
ナ装置の操作の一状態を説明するための図である。

【図３】 請求項１の発明にかかる蓄熱式ラジアントチ
ューブバーナ装置の制御装置の入出力図である。

【図４】 請求項２の発明にかかる蓄熱式ラジアントチ
ューブバーナ装置の概略図である。

【図５】 図４における蓄熱式ラジアントチューブバー
ナ装置の操作の一状態を説明するための図である。

【図６】 請求項２の発明にかかる蓄熱式ラジアントチ
ューブバーナ装置の制御装置の入出力図である。

【図７】 従来の蓄熱式ラジアントチューブバーナ装置
の一例を示す概略図である。

【図８】 従来の蓄熱式ラジアントチューブバーナ装置
の別の例を示す概略図である。

【符号の説明】

１,２…蓄熱式ラジアントチューブバーナ装置、４…ラ
ジアントチューブ、５,６…第１と第２の燃焼チュー
ブ、７…燃焼用空気供給装置、８…排ガス排出装置、１
１,１２…第１と第２のバーナ、１３,１４…第１と第２
の蓄熱体、１９…燃料供給装置、２１,２５,４３…ファ
ン、３０…排ガス循環装置、３６…ロータリ四方弁、４
７…酸素供給装置

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】(a) 両端部を開放したラジアントチュー
   ブと、(b) 一端側を上記ラジアントチューブの端部に
   それぞれ連結した第１と第２の燃焼チューブと、(c)
   これら第１と第２の燃焼チューブ内にそれぞれ収容した
   第１と第２の蓄熱体と、(d) 上記第１と第２の燃焼チ
   ューブ内であって蓄熱体のラジアントチューブ側に、燃
   料噴射口を蓄熱体に向けてそれぞれ配置した第１と第２
   のバーナと、(e) これら第１と第２のバーナにそれぞ
   れ接続した燃料供給装置と、(f) 上記第１と第２の燃
   焼チューブの他端部にそれぞれ接続した燃焼用空気供給
   装置と、(g) この燃焼用空気供給装置と同様に、上記
   第１と第２の燃焼チューブの他端部にそれぞれ接続した
   排ガス排出装置と、(h) 上記燃焼用空気供給装置から
   第１の燃焼チューブに供給された燃焼用空気を第１の蓄
   熱体とラジアントチューブを介し第２の燃焼チューブに
   供給して第２のバーナから噴射した燃料を燃焼させ第２
   の蓄熱体を加熱すると共に、この第２の蓄熱体を通過し
   た排ガスを排ガス排出装置で放出する第１の燃焼状態
   と、 燃焼用空気供給装置から第２の燃焼チューブに供給され
   た燃焼用空気を第２の蓄熱体とラジアントチューブを介
   し第１の燃焼チューブに供給して第１のバーナから噴射
   した燃料を燃焼させ第１の蓄熱体を加熱すると共に、こ
   の第１の蓄熱体を通過した排ガスを排ガス排出装置で放
   出する第２の燃焼状態とを所定時間ごとに交互に実行す
   る制御装置と、を備えたことを特徴とする蓄熱式ラジア
   ントチューブバーナ燃焼装置。
2. 【請求項２】(a) 両端部を開放したラジアントチュー
   ブと、(b) 一端側を上記ラジアントチューブの端部に
   それぞれ連結した第１と第２の燃焼チューブと、(c)
   これら第１と第２の燃焼チューブ内にそれぞれ収容した
   第１と第２の蓄熱体と、(d) 上記第１と第２の燃焼チ
   ューブ内であって蓄熱体のラジアントチューブ側に、燃
   料噴射口を蓄熱体に向けてそれぞれ配置した第１と第２
   のバーナと、(e) これら第１と第２のバーナにそれぞ
   れ接続した燃料供給装置と、(f) 上記第１と第２の燃
   焼チューブの他端部に接続され、第２の燃焼チューブか
   ら吸引した排ガスの一部を第１の燃焼チューブに供給す
   る状態と、第１の燃焼チューブから吸引した排ガスの一
   部を第２の燃焼チューブに供給する状態とに切替可能な
   排ガス循環装置と、(g) この排ガス循環装置から燃焼
   チューブに供給される排ガスに酸素を供給する酸素供給
   装置と、(h) 第１の燃焼チューブに供給された排ガス
   と酸素の混合気体を第１の蓄熱体とラジアントチューブ
   を介し第２の燃焼チューブに供給して第２のバーナから
   噴射した燃料を燃焼させ第２の蓄熱体を加熱すると共
   に、第２の蓄熱体を通過した排ガスを排ガス循環装置で
   放出する第１の燃焼状態と、 第２の燃焼チューブに供給された排ガスと酸素の混合気
   体を第２の蓄熱体とラジアントチューブを介し第１の燃
   焼チューブに供給して第１のバーナから噴射した燃料を
   燃焼させ第１の蓄熱体を加熱すると共に、第１の蓄熱体
   を通過した排ガスを排ガス循環装置で放出する第２の燃
   焼状態とを交互に実行する制御装置と、を備えたことを
   特徴とする蓄熱式ラジアントチューブバーナ装置。