JP2586515Y2 - オーバーロックミシンにおける飾り縫い用糸ガイド - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、縁かがり縫いを行うオ
ーバーロックミシンに係り、特に、飾り縫いを行うとき
に使用されるオーバーロックミシンにおける飾り縫い用
糸ガイドに関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、縁かがり縫いを行うオーバーロ
ックミシンは、パネルに糸道用溝を形成し、この糸道用
溝内に、第１糸ガイドおよび第２糸ガイドを配設すると
ともに、これらの両糸ガイドの中間部位において糸に張
力を与える糸調子機構の糸調子皿を配設しており、前記
糸道用溝内に糸の中間部位を挿入し、第１糸ガイドおよ
び第２糸ガイドにより糸をガイドするとともに、ばねに
より糸を挟持する糸調子皿により糸に張力を与えて、天
秤の糸引上げ力に抗して余分な糸を繰り出さないように
している。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】ところで、前述したオ
ーバロックミシンにより飾り縫いを行うとき、太糸やウ
ーリーナイロン糸などの特殊な糸を使用してこれらの糸
を糸調子皿へ糸掛けすると、通常使用する中細糸と比較
して、糸道の屈曲抵抗などにより、糸調子皿から糸に作
用する挟持力が大きくなり、この結果、糸の張力が大き
くなってしまうことになる。このため、糸と布の組み合
わせによっては、糸調子機構の張力調整範囲における最
大張力付近において良好な縫い目が得られたり、あるい
は、これとは逆に、最大張力においても良好な縫い目が
得られなかったりするおそれがある。

【０００４】このような問題点を克服するためには、糸
調子機構の張力調整範囲を拡大すればよいが、ある一定
の調整可能範囲内において調整範囲を拡げた場合、糸調
子皿に糸の挟持力を与えるばねのばね定数が大きくなっ
てしまい、張力の調整が敏感になってしまい、糸の供給
の安定性が得られなくなってしまうという問題点が新た
に発生することになる。

【０００５】本考案は、前述した従来のものにおける問
題点を克服し、太糸やウーリーナイロン糸を使用して飾
り縫いを行うことができ、しかも各種の糸を使用しても
各糸の供給を安定的に行うことができるオーバーロック
ミシンにおける飾り縫い用糸ガイドを提供することを目
的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前述した目的を達成する
ため本考案は糸道経路上に、第１糸ガイドおよび第２糸
ガイドを配設するとともに、これらの両糸ガイドの中間
部位において糸に張力を与える糸調子皿を配設したオー
バーロックミシンにおいて、少なくとも前記糸調子皿に
対する糸の嵌合を阻止する阻止部と、糸に摩擦接触する
摺接部とを有し、前記糸道経路上でミシンに着脱自在に
装着される構造とされていることを特徴としている。

【０００７】

【作用】本考案のオーバーロックミシンにおける飾り縫
い用糸ガイドによれば、通常の糸によるかがり縫いのと
きには、この飾り縫い用糸ガイドを使用しないことによ
り糸調子皿により糸を挟持して糸に適度の張力を与える
ことができる。一方、太糸やウーリーナイロン糸などの
特殊な糸を使用して飾り縫いを行うときには、飾り縫い
用糸ガイドをパネルに装着することにより、飾り縫い用
糸ガイドの阻止部により糸調子皿に対する糸の嵌合を阻
止するとともに、その摺接部により太糸やウーリーナイ
ロン糸などの特殊な糸に適度の張力を与えることができ
る。

【０００８】

【実施例】以下、本考案を図面に示す実施例により説明
する。

【０００９】図１は、本考案の飾り縫い用糸ガイドを適
用するためのロックミシンのパネル１を示すものであ
り、このパネル１には、複数の糸道用溝２，２…が相互
に平行に形成されている。そして、各糸道用溝２内に
は、図２に詳示するように、糸駒上方の糸ガイドから導
かれてきた糸を順次ガイドする第１糸ガイド３、糸調子
皿４および第２糸ガイド５が糸６の供給経路に沿って上
流側から下流側にこの順に配設されている。これらのう
ち、両糸ガイド３，５は、それぞれ糸６をガイドするた
めのものである。また、前記糸調子皿４は、図示しない
ばねにより糸６を挟持し糸６に張力を与えて、天秤（図
示せず）の糸引上げ力に抗して余分な糸６を繰り出さな
いようにするためのものである。なお、これらの第１糸
ガイド３、糸調子皿４および第２糸ガイド５は、それぞ
れ公知のものなので、その詳細の説明は省略する。

【００１０】ところで、前記第１糸ガイド３は、前記糸
調子皿４からの糸６の外れ防止ならびに糸調子皿４によ
り糸６へ安定的な張力を与えるため、糸調子皿４におけ
る糸掛け角度θ（図２）をできるだけ小さくするような
位置に配設される必要がある。この糸調子皿４における
糸掛け角度θが小さくできない場合には、前記第１糸ガ
イド３により糸６に微小な張力を与え、糸調子皿４から
の糸６の飛び出し（糸外れ）を防止するようになってい
る。

【００１１】ところで、飾り縫いのために太糸やウーリ
ーナイロン糸などの特殊な糸を使用した場合には、糸道
の屈曲抵抗や前記第１糸ガイドにおける微小張力の影響
によって糸６の張力が高くなり、糸調子機構における張
力調整範囲においては、良好な縫い目が得られなくなる
おそれがある。

【００１２】そこで、前述した太糸やウーリーナイロン
糸などの特殊な糸により飾り縫いを行うときに使用され
るのが本考案の飾り縫い用糸ガイドである。

【００１３】この飾り縫い用糸ガイド７は、図２および
図３に詳示するように、前記パネル１の上端部上に跨座
されるようにほぼコ字形に形成されている長尺の基部８
を有しており、この基部８の基端部８Ａは、前記第１糸
ガイド３の近傍の固定部材９にねじ１０により固定され
るようになっている。一方、前記基部８の先端部８Ｂ
は、前記糸調子皿４の近傍の前記糸道用溝２の外側に臨
んでおり、この先端部８Ｂには、糸６の前記糸道用溝２
内への進入を阻止するための阻止部をなす平板状の邪魔
板１２が、ヘアピン状に１８０度屈曲する屈曲部１１を
介して前記基部８の先端部８Ｂと一体に突設されてい
る。

【００１４】前記邪魔板１２の一端部には、糸６を捕捉
してガイドするフック１３が一体に突設されており、こ
のフック１３の先端部１３Ａは下向きに形成されてい
る。また、前記邪魔板１２には、前記フック１３の先端
部１３Ａを間隔をもって受容している開口１４が形成さ
れており、この開口１４を介して前記フック１３の内側
に糸６を係合させるようになっている。また、前記邪魔
板１２の長手方向の中間部の一側縁には板状の支柱１５
が立設されており、この支柱１５には、糸６に摩擦接触
し糸６にある程度の張力を与える摺接部を保持するケー
シング１６が支持されるようになっている。

【００１５】前記ケーシング１６は下部開口１７を有し
ており、前記ケーシング１６内には、前記下部開口１７
内を、小面積の支持用開口１８と大面積のブラシ収納部
１９とに区画する仕切壁２０が一体に形成されている。
前記ブラシ収納部１９内には、摺接部をなすブラシ２１
が収納されており、このブラシ２１は、前記支持用開口
１８を介して外部に突出している。そして、前記支持用
開口１８内に前記支柱１５を挿入して前記ケーシング１
６を支持することにより、前記ブラシ収納部１９内のブ
ラシ２１の先端部は前記邪魔板１２に当接することにな
る。したがって、前記フック１３内を通過して前記邪魔
板１２を移動する糸６にはブラシ２１の先端部が摺接す
ることになり、これにより糸６にはある程度の張力が付
与されることになる。

【００１６】つぎに、前述した構成からなる本実施例の
作用について説明する。

【００１７】通常の糸によるかがり縫いのときには、飾
り縫い用糸ガイド７を使用しないことにより、糸６は、
図２に一点鎖線で示すように、糸道用溝２内に進入し、
糸調子皿４により挟持され、糸６には適度の張力が与え
られることになる。

【００１８】一方、太糸やウーリーナイロン糸などの特
殊な糸を使用して飾り縫いを行うときには、飾り縫い用
糸ガイド７の基部８の基端部８Ａをねじ１０により固定
部材９に固定してパネルに装着する。そして、邪魔板１
２の開口１４を介してフック１３の内側に糸６を係合さ
せることにより、糸６は、図２に二点鎖線で示すよう
に、邪魔板１２上を移動されることになり、これによ
り、糸調子皿４に対する糸６の嵌合を阻止することがで
きる。一方、前記邪魔板１２上を移動される糸６には、
ブラシ２１の先端部が摺接するので、このブラシ２１に
より太糸やウーリーナイロン糸などの糸に適度の張力を
与えることができる。

【００１９】したがって、太糸やウーリーナイロン糸な
どの特殊な糸を使用する飾り縫いを良好に行うことがで
きる。

【００２０】なお、本考案は、前述した実施例に限定さ
れるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能であ
る。

【００２１】例えば、糸に摩擦接触する摺接部として
は、モルトプレーンのようなものであってもよい。この
モルトプレーンは糸に生じる振動を吸収することができ
る。また、飾り縫い用糸ガイドの固定は基部８に支持さ
せるのでなくとも、図４に示すように、邪魔板１２に相
互に接離する方向に弾性変形しうる１対の板ばね状の支
持部材２２，２２を突設し、両支持部材２２，２２を相
互に近接する方向に弾性変形させるようにして糸道用溝
内に嵌合させ、両支持部材２２，２２の弾性力により糸
道用溝内において両支持部材２２，２２を拡開させて保
持させるようにしてもよい。

【００２２】上記実施例においては、ミシンのパネルに
飾り縫い用糸ガイドを設ける例を示したが、糸道経路上
であって糸調子皿に糸が入らない位置であればどこでも
よい。

【００２３】

【考案の効果】以上説明したように本考案によれば、太
糸やウーリーナイロン糸を使用して飾り縫いを行うこと
ができ、しかも各種の糸を使用しても各糸の供給を安定
的に行うことができるという効果を奏することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の飾り縫い用糸ガイドが適用されるロッ
クミシンのパネルの実施例を示す正面図

【図２】図１の概略縦断面側面図

【図３】Ａ，Ｂは図１および図２の飾り縫い用糸ガイド
を相互に逆方向から見た分解斜視図

【図４】飾り縫い用糸ガイドの他の実施例を示す側面図

【符号の説明】

１ パネル ２ 糸道用溝 ３ 第１糸ガイド ４ 糸調子皿 ５ 第２糸ガイド ６ 糸 ７ 飾り縫い用糸ガイド １２ 邪魔板 １３ フック １６ ケーシング ２１ ブラシ

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 糸道経路上に、第１糸ガイドおよび第２
   糸ガイドを配設するとともに、これらの両糸ガイドの中
   間部位において糸に張力を与える糸調子皿を配設したオ
   ーバーロックミシンにおいて、少なくとも前記糸調子皿
   に対する糸の嵌合を阻止する阻止部と、糸に摩擦接触す
   る摺接部とを有し、前記糸道経路上でミシンに着脱自在
   に装着される構造とされていることを特徴とするオーバ
   ーロックミシンにおける飾り縫い用糸ガイド。