JP2585851Y2 - 内視鏡の送水管路切り換え装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、観察窓の表面に向か
う送水と観察窓の前方に向かう送水とを切り換えること
ができる内視鏡の送水管路切り換え装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】内視鏡を体腔内に挿入すると、粘液など
が観察窓の表面に付着して観察を妨げるので、観察窓の
表面に向けて送水をして、観察窓の表面を洗浄する必要
がある。

【０００３】また、大腸内などでは、被観察体である腸
内に汚物等が付着していて腸粘膜を観察できない場合が
あるので、観察窓の前方に向けて勢いよく送水をして汚
物等を洗い流す必要がある。

【０００４】そこで、大腸用内視鏡などの挿入部先端に
は、観察窓の表面に向けて開口する観察窓洗浄用送水ノ
ズルと観察窓の前方に向けて開口する前方洗浄用送水ノ
ズルとが設けられている。

【０００５】この前方洗浄用送水ノズルからは、水をで
きるだけ勢いよく噴出させる必要がある。そこで旧来
は、前方洗浄用送水ノズルに対する送水には、注射器を
用いて、手の力で水を前方洗浄用送水ノズルに向けて押
し出していた。

【０００６】これは、観察窓洗浄用送水ノズルに水を送
るために光源装置などに標準装備されているポンプの圧
力が、前方洗浄用としては低すぎるためにとられた方式
であるが、注射器を操作するために助手が必要である
等、はなはだ操作性が悪かった。

【０００７】そこで、近年はポンプの圧力が高められ
て、前方洗浄も観察窓洗浄と同じポンプの圧力を利用で
きるように改良され、例えば特開昭５７−８９８４０号
に示されるように、観察窓洗浄用送水ノズルに送水する
ための観察窓送水管の入口と、前方洗浄用送水ノズルに
送水するための前方洗浄用送水管の入口と、水が送られ
てくる共通送水管の出口とを操作部において共通のシリ
ンダ体に接続し、シリンダ体内に嵌挿した切り換え弁を
回転させることによって、観察窓洗浄用送水管と前方洗
浄用送水管のいずれか一方を選択的に共通送水管に接続
させて、ポンプの圧力によって観察窓洗浄のための送水
と前方洗浄のための送水とを行うことができるようにし
ていた。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】内視鏡を使用後に完全
に洗浄することは近年の極めて重要な課題であり、内視
鏡の外表面はもちろんのこと、体内の汚物等が先端開口
から逆流する可能性のある送水管の内部も確実に洗浄す
る必要がある。

【０００９】そのような送水管内を確実に洗浄するため
には、管内をブラッシングする必要がある。しかし、送
水管の先端開口部には先細りのノズルが設けられている
ので、管内に先端側から掃除用ブラシを挿入することは
できない。

【００１０】したがって、ブラシは管の基端が接続され
たシリンダ体側から挿入しなければならないが、送水管
はシリンダ体に対して管軸に垂直の方向に接続されてい
たので、切り換え弁をシリンダ体から取り外しても、シ
リンダ体の開口部から送水管内に掃除用ブラシを挿入す
るのは困難であった。

【００１１】そのため従来は、送水管内をブラッシング
によって掃除することができず、送水管内に付着した汚
物等が除去されないまま次の患者の検査が行われて、不
衛生なことになってしまう場合があった。

【００１２】そこで本考案は、観察窓洗浄用と前方洗浄
用のいずれの送水管内も、検査終了後にブラッシングに
よって確実に掃除することのできる衛生的な内視鏡の送
水管路切り換え装置を提供することを目的とする。

【００１３】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本考案の内視鏡の送水管路切り換え装置は、挿入部
先端に設けられた観察窓の表面に向けて開口する観察窓
洗浄用送水ノズルに送水をするための観察窓洗浄用送水
管の入口と、上記観察窓の前方に向けて開口する前方洗
浄用送水ノズルに送水をするための前方洗浄用送水管の
入口と、水が送られてくる共通送水管の出口とを共通の
シリンダ体に接続し、上記シリンダ体内に嵌挿されて外
部から操作される切り換え弁を上記シリンダ体内で動作
させることによって、上記観察窓洗浄用送水管と上記前
方洗浄用送水管のいずれか一方を選択的に上記共通送水
管に接続するようにした内視鏡の送水管路切り換え装置
において、上記切り換え弁を上記シリンダ体に対して着
脱自在に設けると共に、上記観察窓洗浄用送水管の入口
と上記前方洗浄用送水管の入口と上記共通送水管の出口
とが、各々上記切り換え弁が取り外されたときのシリン
ダ体の開口部の方向に向くように、上記観察窓洗浄用送
水管と上記前方洗浄用送水管と上記共通送水管とを上記
シリンダ体に対して斜めに接続したことを特徴とする。

【００１４】

【実施例】図面を参照して実施例を説明する。図２は、
内視鏡１とそれに接続された送気ポンプ２などを略示し
ている。

【００１５】送気ポンプ２は、例えば強、中、弱の３段
階にポンプ圧を調整することができ、送水ボトル３内に
空気を吐出するように設けられている。送水ボトル３内
には水が入れられて、その上端開口部には気密栓がされ
ている。

【００１６】内視鏡１のコネクタ４は、光源装置に接続
されるものであるが、給気管５と給水管６の入口がコネ
クタ４の側部に開口しており、その開口部と送水ボトル
３とが接続管７を介して接続されている。なお、吸引接
続管などは図示が省略されている。

【００１７】そして、給水接続管７ｂの入口は送水ボト
ル３内の水中に開口し、給気接続管７ａの入口は、送水
ボトル３内の、水面より上側の空気層部分に開口してい
る。内視鏡１の挿入部１１の先端１１ａには、前方に向
けて観察窓１２が設けられていて、その内側に配置され
た対物光学系１３の結像位置に固体撮像素子１４が設け
られている。

【００１８】固体撮像素子１４から出力された画像信号
は、図示されていないビデオプロセッサで処理されて、
モニタに観察像が表示される。ただし本考案は、イメー
ジガイドファイババンドルによって像伝達を行うタイプ
の内視鏡に適用してもよい。

【００１９】挿入部先端１１ａには、観察窓１２の表面
を洗浄するための観察窓洗浄用送水ノズル１６と送気ノ
ズル１７とが、各々観察窓１２の表面に向けて開口して
配置されている。また、観察視野の中心方向に勢いよく
水を噴出して被写体を洗浄するための前方洗浄用送水ノ
ズル１８が、観察窓１２の前方に向けて開口して設けら
れている。

【００２０】挿入部１１の基端側は、連結部２０を介し
て操作部２１に連結されている。操作部２１には、送気
送水操作釦２２と吸引操作釦２３とが並んで突設されて
いる他、ビデオプロセッサをリモートコントロールする
ための複数のリモートコントロールスイッチ２４が突設
されている。その他に、挿入部１１の先端側の部分を遠
隔操作によって屈曲させるための湾曲操作機構なども操
作部２１に設けられているが、その図示は省略されてい
る。

【００２１】送気送水操作釦２２の内側には、送気送水
切り換え装置２６が設けられており、給気管５の出口と
給水管６の出口、及び送気管２７の入口と共通送水管２
８の入口とが接続されている。

【００２２】この送気送水切り換え装置２６は、平成４
年７月２日に出願した実願平４−４６１５８号の実施例
に記載したものと同じであり、各管５，６，２７，２８
を、送気送水切り換え装置２６のシリンダ体に対して、
斜め方向又は軸と同方向に接続してある。

【００２３】そして、送気送水釦２２を操作することに
よって、送気管２７の入口と共通送水管２８の入口が共
に閉塞される待機状態と、給気管５と送気管２７とが連
通される送気状態と、給水管６と共通送水管２８とが連
通される送水状態とが切り換えられる。

【００２４】３０は、挿入部先端１１ａに開口する鉗子
チャンネル３１の基端部分に連通して連結部２０に突設
された鉗子挿入口部であり、ゴム製のキャップ状の鉗子
栓３２がその口元に取り付けられている。

【００２５】観察窓洗浄用送水ノズル１６に接続された
観察窓洗浄用送水管３６と、前方洗浄用送水ノズル１８
に接続された前方洗浄用送水管３８とは、各々挿入部１
１内を通って、連結部２０において、送水管路切り換え
装置４０を介して共通送水管２８に接続されている。

【００２６】図３及び図４は、連結部２０部分を拡大し
て示している。鉗子チャンネル３１の口元と鉗子栓３２
との間には、吸引操作釦２３の内側の吸引切り換え装置
（図示せず）に連通する吸引管３９が接続されている。
この鉗子挿入口部３０部分は本願考案と直接関係しない
ので、詳細な説明は省略する。

【００２７】送水管路切り換え装置４０においては、シ
リンダ体４１の筒部４１ａにその底部を塞ぐように固定
ナット４２で取り付けられた底ブロック４１ｂが、図４
に示されるように、操作部２１のフレーム２１ａにビス
止め固定されている。４３及び４４はシール用のＯリン
グである。

【００２８】シリンダ体４１内には、外方に開口する筒
部４１ａの口元側から、底ブロック４１ｂ内に切り換え
弁４６が差し込まれている。その切り換え弁４６は、底
ブロック４１ｂに形成された凹部内に回転自在に嵌合し
ている。４７はシール用のＯリングである。

【００２９】図５に示されるように、底ブロック４１ｂ
には、一方から共通送水管２８の出口が接続され、それ
と逆の方向から、観察窓洗浄用送水管３６の入口と前方
洗浄用送水管３８の入口とが接続されている。

【００３０】ただし、図３に示されるように、各管２
８，３６，３８は、その開口が筒部４１ｂの開口部口元
の方向に向くように、シリンダ体４１に対して斜めに接
続されている。

【００３１】そして、底ブロック４１ｂの内側に位置す
る切り換え弁４６の先端部分には、図５に断面形状が示
されるように、底ブロック４１ｂに接続された三つの管
２８，３６，３８と連通をするようなＹ字状の連通孔４
９が穿設されている。

【００３２】したがって、図５に示される状態では、連
通孔４９を介して、共通送水管２８が観察窓洗浄用送水
管３６と前方洗浄用送水管３８の両方に連通し、送気送
水操作釦２２を送水状態にすると、観察窓洗浄用送水ノ
ズル１６と前方洗浄用送水ノズル１８の両方から水が噴
出する。

【００３３】そして、図６に示されるように、共通送水
管２８と観察窓洗浄用送水管３６とだけが連通するよう
に切り換え弁４６を回転させると、観察窓洗浄用送水ノ
ズル１６だけから水が噴出し、図７に示されるように、
共通送水管２８と前方洗浄用送水管３８とだけが連通す
るように切り換え弁４６を回転させると、前方洗浄用送
水ノズル１８だけから水が噴出する。なお、各図におい
てＷは観察窓洗浄用を意味し、Ｊは前方洗浄用を意味す
る。

【００３４】図３及び図４に戻って、シリンダ体４１の
筒部４１ａの口元には外方からキャップ５０が螺着され
ている。５１は、連結部２０の外面とキャップ５０との
間に挟み付けられるシール用のゴムパッキンである。キ
ャップ５０にも、外面側にはゴムライニング５０ａが施
されている。

【００３５】キャップ５０の中央から外方に突出した切
り換え弁４６の突端部分には、操作つまみ５７がビス止
め固定されており、この操作つまみ５７を手動で回転さ
せることによって、切り換え弁４６を回転させ、前述の
送水管路の切り換え操作を行うことができる。操作つま
み５７の外表面はプラスチックカバー５７ａで被覆され
ている。

【００３６】図８は、操作つまみ５７を正面から見た状
態を示しており、操作つまみ５７に形成された二連指標
５２を連結部２０の表面に形成されたＪＷ印の二連指標
５３に合わせれば、図５に示される観察窓洗浄と前方洗
浄の併用状態になり、操作つまみ５７に形成された単一
指標５４を連結部２０表面のＷ印の指標５５に合わせれ
ば、図６に示される観察窓洗浄状態になり、操作つまみ
５７の単一指標５４をＪ印の指標５６に合わせれば、図
７に示される前方洗浄状態になる。

【００３７】再び図３に戻って、切り換え弁４６とシリ
ンダ体４１の筒部４１ａとには、キャップ５０で蓋をさ
れた内側の部分に、クリック機構が取り付けられてい
る。即ち、切り換え弁４６側には、クリックボール６１
とそのボール６１を付勢するクリックバネ６２とが取り
付けられ、筒部４１ａ側には、クリック溝６３が形成さ
れたクリック板６４がビス止めされている。

【００３８】図９に示されるように、クリック溝６３
は、切り換え弁４６に形成された連通孔４９の形状に対
応するＹ字形に形成されており、図１０に示されるよう
に、クリック溝６３にクリックボール６１が係合する位
置で、切り換え弁４６の回転が安定状態で静止する。こ
の三つの静止位置は、前述の図５、６及び７の各状態に
対応している。

【００３９】図１に示されるように、筒部４１ａのねじ
部からキャップ５０を緩めると、切り換え弁４６と操作
つまみ５７とキャップ５０とを、一体的にシリンダ体４
１から取り外すことができる。

【００４０】すると、シリンダ体４１の筒部４１ａの開
口部口元から、底ブロック４１ｂに開口する共通送水管
２８の出口と、観察窓洗浄用送水管３６の入口と前方洗
浄用送水管３８の入口とを斜めに望むことができ、その
結果、図１に示されるように、筒部４１ａの開口部口元
から各管２８，３６，３８内に掃除用ブラシ７０を挿入
することができる。

【００４１】したがって、内視鏡検査が一床例終了する
毎に、キャップ５０を取り外し、シリンダ体４１の筒部
４１ａの開口部口元から掃除用ブラシ７０を差し込ん
で、共通送水管２８、観察窓洗浄用送水管３６及び前方
洗浄用送水管３８の各管内をブラッシングにより確実に
掃除することができる。

【００４２】また、切り換え弁４６の先端部分に形成さ
れている連通孔４９にも掃除用ブラシ７０を挿入して、
連通孔４９内をブラッシングにより掃除することができ
る。

【００４３】

【考案の効果】本考案の内視鏡の送水管路切り換え装置
によれば、シリンダ体から切り換え弁を取り外せば、シ
リンダ体の開口部から観察窓洗浄用送水管と観察窓洗浄
用送水管と前方洗浄用送水管とに掃除用ブラシを挿入す
ることが可能なので、内視鏡検査が済む度にそれら各送
水管内をブラッシングにより確実に掃除することがで
き、前の検査中に管内に付着した汚物や粘液等を完全に
取り除いて衛生的な検査を行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例の内視鏡の送水管路切り換え装置の掃除
状態を示す側面断面図である。

【図２】実施例の内視鏡の全体略示図である。

【図３】実施例の内視鏡の連結部の側面断面図である。

【図４】実施例の内視鏡の送水管路切り換え装置の平面
断面図である。

【図５】実施例の内視鏡の送水管路切り換え装置の切り
換え状態説明図である。

【図６】実施例の内視鏡の送水管路切り換え装置の切り
換え状態説明図である。

【図７】実施例の内視鏡の送水管路切り換え装置の切り
換え状態説明図である。

【図８】実施例の内視鏡の送水管路切り換え装置の操作
つまみ部分の正面図である。

【図９】実施例の内視鏡の送水管路切り換え装置のクリ
ック板の平面図である。

【図１０】実施例の内視鏡の送水管路切り換え装置のク
リック板の側面図である。

【符号の説明】

２８ 共通送水管 ３６ 観察窓洗浄用送水管 ３８ 前方洗浄用送水管 ４０ 内視鏡の送水管路切り換え装置 ４１ シリンダ体 ４１ａ 筒部 ４１ｂ 底ブロック ４６ 切り換え弁

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】挿入部先端に設けられた観察窓の表面に向
   けて開口する観察窓洗浄用送水ノズルに送水をするため
   の観察窓洗浄用送水管の入口と、上記観察窓の前方に向
   けて開口する前方洗浄用送水ノズルに送水をするための
   前方洗浄用送水管の入口と、水が送られてくる共通送水
   管の出口とを共通のシリンダ体に接続し、上記シリンダ
   体内に嵌挿されて外部から操作される切り換え弁を上記
   シリンダ体内で動作させることによって、上記観察窓洗
   浄用送水管と上記前方洗浄用送水管のいずれか一方を選
   択的に上記共通送水管に接続するようにした内視鏡の送
   水管路切り換え装置において、 上記切り換え弁を上記シリンダ体に対して着脱自在に設
   けると共に、上記観察窓洗浄用送水管の入口と上記前方
   洗浄用送水管の入口と上記共通送水管の出口とが、各々
   上記切り換え弁が取り外されたときのシリンダ体の開口
   部の方向に向くように、上記観察窓洗浄用送水管と上記
   前方洗浄用送水管と上記共通送水管とを上記シリンダ体
   に対して斜めに接続したことを特徴とする内視鏡の送水
   管路切り換え装置。