JP2585232B2 - 含浸形陰極 - Google Patents

含浸形陰極

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、表示管,ブラウン管,撮像管,進行波管等
の電子管に用いられる高電流密度陰極の含浸形陰極、特
に、電子放出特性を向上させた含浸形陰極に関する。
〔従来の技術〕
含浸形陰極は高電流密度陰極で、電子管の高性能化、
特に高精細度,高輝度化を計るための陰極として有望視
されている。
従来からの含浸形陰極は、タングステン(W)等から
なる耐熱多孔質体に、バリウム(Ba)化合物からなる電
子放出物質を含浸した構造が基本である。含浸形陰極
は、高い電子放出能を有する反面、動作温度が高いとい
う欠点を有するその動作温度は1100〜1200℃と高く、一
般的に使用されている塗布形酸化陰極に比べて約400℃
も高い。動作温度が高いために、管球に実装する場合、
電極を高融点金属材料に変更しなければならない上に、
陰極からBa,BaO(酸化バリウム)が多量に蒸発し、電極
に付着してグリツド・エミツシヨンの原因となり、管球
特性に悪影響を及ぼす。また、含浸形陰極の長時間加熱
に耐え得る信頼性の高いヒータの設計・製造が非常に困
難である。したがつて、含浸形陰極の研究・開発に当つ
て、動作温度を低くすることが最重要課題である。動作
温度を低くするには、陰極からの電子放出能を高め、結
果として、動作温度を下げることが出来る。動作温度を
低くする方法、即ち電子放出能を高くする方法として
は、特公昭47−21343号公報のように陰極表面に仕事関
数の高いオスミウム(Os)−ルテニウム(Ru)合金など
の金属を被覆することによつて、陰極としての仕事関数
を下げ、電子放出能を高める方法が、一般的である。こ
の方法によれば、含浸形陰極の動作温度は100〜150℃程
度、下げることが可能である。しかし、塗布形酸化物陰
極に比べて、まだ250℃以上も高く、実用化への障害に
なつている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明の目的は、従来の含浸形陰極よりも、さらに電
子放出能を高めることにより、含浸形陰極の動作温度を
下げ、実用化に耐え得るような、信頼性の高い含浸形陰
極を提供することにある。
〔問題点を解決するための手段〕
上記目的は、従来の含浸形陰極表面に、W及びWとSc
を含む酸化物(Sc2W3O12,Sc6WO12など)からなる薄膜層
を設けた新構成の含浸形陰極により達成される。
本発明の下地含浸形陰極は、従来の一般的な陰極、す
なわち、W,Mo(モリブデン)あるいはこれらを含む合金
粒子から作られた耐熱多孔質体内細孔部にBaを含む電子
放出物質が含浸されたものである。電子放出物質は一般
にBa3Al2O6化合物を基本として、CaO,SrO,MgO,ZrO2,Sc2
O3,Y2O3などの酸化物が添加され、電子放出能向上、Ba
蒸発量抑制に役立つ構成となつている。陰極表面に披着
する薄膜層は、スパツタ蒸着やCVD(化学蒸着)などに
より形成できる。第1図は本発明の含浸形陰極8断面の
模式図である。1は耐熱多孔質体、2は電子放出物質、
3は薄膜層、4は障壁層、5はスリーブ、6は加熱用ヒ
ータである。先ず、スパツタ蒸着によつて陰極表面にSc
2O3を薄く被着し、電子放出能を測定した。その結果、
下地陰極よりも電子放出能が高いことが分つた。次に、
WとScを含む酸化物、すなわち、Sc2W3O12とSc6WO12
合成し、陰極表面に被着した。その結果、Sc2O3を被着
した場合よりも高い電子放出能を示した。Sc2W3O12とSc
6WO12を比べると前者が高つた。さらに、Sc2O3粉とW粉
でスパツタ用ターゲツトを種々組成で作製し、陰極表面
に被着し、電子放出能を測定した結果、動作温度に換算
して約250℃程度低くできることが分つた。したがつ
て、陰極表面にW及びScとWを含む酸化物からなる薄膜
層を設けることが陰極の電子放出能を高めるに有効な手
段であることが分つた。また、WとSc2W3O6の多元ター
ゲツトを用いて層状に被着した場合でも同様な効果があ
ることを確認した。さらに詳しくは調査した結果、Os−
Ru合金など金属を被覆した含浸形陰極よりも高い電子放
出能を示した薄膜層の組成は、Sc2W2O6あるいはSc2W3O
12が2〜50重量%で、残りがWの場合であり、その膜厚
は50〜1000nmの範囲で顕著な効果が見られた。
本発明の薄膜層は、WとSc2W3O12もしくはSc6WO12
構成されるが、この構成を基本として、微量の第3元素
の添加によつて、更に、電子放出能が向上することが考
えられる。
さらに前記目的は、陰極表面に、W,WO2及びSc2O3から
なる薄膜層を設けた新構成の含浸形陰極によつても達成
される。
下地の含浸形陰極の材料,電子放出物質,薄膜層の形
成方法,含浸形陰極構造の例などはこの構成の場合も前
記の場合と同様である。
さて、含浸形陰極の動作温度を低下させる目的で、先
ずスパツタ蒸着によつて陰極表面にSc2O3を薄く被着
し、電子放出特性を測定した。その結果、電子放出能を
高めることが分つた。次に、WとSc2O3を被着し、電子
放出特性を測定した結果、電子放出能は大巾に向上し
た。動作温度に換算して約200℃低下させることが出来
た。W,Sc2O3層にWO2を添加することによつて、更に電子
放出能が高まることが分つた。動作温度に換算すると更
に約50〜100℃低下出来ることが分り、W,WO2及びSc2O3
からなる薄膜層が電子放出能を高めるのに有効であるこ
とが分つた。さらに詳しく実験を行なつた結果、Os−Ru
合金などを被着させた含浸形陰極よりも高い電子放出能
を示した複合薄膜層の組成は、Sc2O3が2〜30重量%で
かつ、Sc2O3+WO2が50重量%以下であり、残りがWの場
合であり、その膜厚は、50〜1000nmの範囲で顕著な効果
が見られた。
本発明の複合薄膜層は、W,WO2,Sc2O3から構成される
が、Wの一部がW3Oであつても特性には何ら影響を及ぼ
さなかつた。さらにこの構成を基本として微量の添加物
を加えることによつて、更に電子放出能が高まることが
予想される。
さらにまた前記の目的は、含浸形陰極表面に、WとSc
酸化物及びBaを含む酸化物(BaO,Ba2Sc2O5など)からな
る薄膜層を設けた新構成の含浸形陰極によつても達成さ
れる。
下地含浸形陰極の材料,電子放出物質,薄膜層の形成
方法,含浸形陰極構造の例などは、この構成の場合も前
記の場合と同様である。
さて、スパツタ蒸着によつて、陰極表面にWとSc2O3
を薄く被着し、電子放出能を測定した。その結果、下地
陰極よりも高い電子放出能から得られることが分つた。
しかし、高い電子放出能が得られる反面、陰極間のばら
つきが大きかつた。そこで、BaOを含んだ薄膜層を同じ
く、スパツタ蒸着により形成し、電子放出能及び陰極間
のばらつきについて調べた。その結果、電子放出能を損
うことなく、しかも、陰極間のばらつきも小さくなつ
た。またBaOの代りにBa3Al2O6,Ba5CaAl2O5,Ba2CaAl2O6,
Ba3Sc4O9,Ba2Sc2O5,Ba3WO6,Ba3Y2O6を用いても同様な効
果が得られた。動作温度に換算すると約250℃程度低く
出来る見通しを得た。薄膜層のBa酸化物は、上記に示し
た2種以上の組合せでも良いということが想像される。
また、Sc酸化物は必ずしもSc2O3だけではなく、Sc−W
−O系(Sc2W3O12やSc6WO12)でも良いことが分つた。
上記薄膜層は、W,Sc酸化物,Ba酸化物の多元ターゲツト
を用いて層状に被着した場合でも同様な効果が得られる
ことを確認した。さらに詳しく調査した結果、Os−Ru合
金を被覆した含浸形陰極よりも高い電子放出能を示した
薄膜層の組成は、Sc酸化物,Ba酸化物はSc2O3,BaOに換算
して1〜10wt%,1〜40wt%で残りがWの場合であつた。
また、その膜厚は50〜1000nmの範囲で顕著な効果が見ら
れた。
〔作用〕
本発明の構成の含浸形陰極8は、ヒータ6で加熱する
ことによつて、下地含浸形陰極内で耐熱多孔質体1と電
子放出物質2とが反応してBaが生成し、細孔内を通つて
陰極表面に達し、さらには薄膜層3からはScとO(酸
素)が陰極表面に供給され、陰極表面がBaとSc,Oが結合
し、単〜数分子層程度の非常に薄い(Ba,Sc,O)複合化
合物層7が形成される。この単〜数分子層の(Ba,Sc,
O)複合化合物がW上に形成されることによつて、仕事
関数が約2.0eVから約1.2eVと低下した。したがつて、従
来の含浸形陰極表面に薄膜層7を設けたことによつて、
低仕事関数の表面が形成され、仕事関数の低下が電子放
出能の向上に結びつき、さらには動作温度を下げること
ができたと判断している。単〜数分子層程度の非常に薄
い(Ba,Sc,O)複合化合物層7は、オージエ分析によつ
て同定した。
本発明の第二の構成の含浸形陰極は、ヒータで加熱す
ることによつて、下地陰極内で耐熱多孔質体と電子放出
物質とが反応し、Baが生成し細孔内を通つて表面に達
し、さらに薄膜層からはScとO(酸素)が陰極表面に供
給されて、陰極表面に単〜数分子層程度の(Ba,Sc,O)
複合化合物層が形成される。この形成された単〜数分子
層の(Ba,Sc,O)複合化合物層(第1図,7)がW上に形
成することによつて仕事関数を約1.2eV(下地陰極は〜
2.0eV)と低下し、高い電子放出能が得られたものと判
断している。(Ba,Sc,O)複合化合物層は、オージエ分
析によつて同定した。本発明の薄膜層にWO2を添加する
ことによつて、さらに効果が得られた理由は明確ではな
いが、(Ba,Sc,O)複合化合物層へのO(酸素)の供給
を容易にし、(Ba,Sc,O)複合化合物層が生成し易くな
つたものと考える。
本発明の第三の構成の含浸形陰極8は、ヒータ6で加
熱することによつて、下地含浸形陰極内で多孔質W基体
1と電子放出物質2とが反応してBaが生成され、Baは細
孔内を通つて陰極表面に達する。一方、薄膜層3からは
Sc,O(酸素)及びBaが陰極表面に供給される。陰極表面
でBa,Sc,Oが結合し、単〜数分子層程度の非常に薄い(B
a,Sc,O)複合層7が形成される。この単〜数分子層の
(Ba,Sc,O)複合層がW上に形成されたことによつて、
仕事関数が約2.0eVから約1.2eVと低下し、電子放出能を
高めた。したがつて、陰極表面に薄膜層7を設けたこと
により、低仕事関数表面が得られた結果、電子放出能が
高くなり動作温度を下げることができたと判断してい
る。さらには、薄膜層3内のBa酸化物は、陰極内からの
Ba供給を補い、陰極表面に(Ba,Sc,O)複合層を形成し
易くした結果、陰極間の特性にばらつきのないものとし
たと考える。単〜数分子層の(Ba,Sc,O)複合層7はオ
ージエ分析により同定した。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例により説明する。
実施例1 下地含浸形陰極は、粒径5μmのW粉を用いてプレス
成形,水素中仮焼結,真空中焼結によつて作製した空孔
率23%の多孔質W体1を作製した。次いで、水素雰囲気
中で、4BaO・CaO・Al2O3の組成比からなる電子放出物質
2を加熱溶融して含浸し、下地含浸形陰極を作製した。
本発明の含浸形陰極の薄膜層3は高周波スパツタ装置を
用いて形成した。また薄膜層3の組成は、溶液発光分光
分析(ICPS法)と蛍光X線分析(FLX法)によつて求
め、W及びScとWを含む酸化物(Sc2W3O12,Sc6WO12)は
X線回折法によつて確認した。スパツタ用ターゲツト
は、W粉と予め合成したSc2W3O12もしくはSc6WO12粉を
種々の組成比で混合・プレス成形したものを用いた。上
記、下地含浸形陰極とWとSc2W3O12もしくはSc6WO12
らなるターゲツトをスパツタ装置内に装着し、10−7Tor
r台まで装置内を排気したのち、Arガスを導入し、10−2
Torr台のArガス雰囲気中で、下地含浸形陰極表面にWと
Sc2W3O12もしくはSc6WO12からなる薄膜層3を形成し
た。薄膜層3は、種々組成のダーゲツトを用いて形成し
た。薄膜層3の厚さは、スパツタ時間を調節することに
よつて変えた。以上の様に薄膜層3を形成した本発明の
含浸形陰極8の電子放出能は、10−9Torr台の真空容器
内でアノードとカソードからなる2極管形式で、アノー
ドに正のパルス電圧を印加して、電子放出特性を測定し
た。代表的結果を第2図に示す。第2図に示した陰極の
電子放出特性は、下地陰極として用いた従来型の含浸形
陰極特性9、Os−Ru合金を500nm被覆した金属被覆型含
浸形陰極特性10、及び薄膜層3を設けた本発明の含浸形
陰極特性11である。図に示した薄膜層3の組成及び膜厚
は、それぞれW−7wt%Sc2W3O12(組成は分析結果から
計算して算出した)、210nmである。
本発明によつて得られた含浸形陰極8の特性11から動
作温度の低下量を求めると、下地の従来型含浸形陰極
(特性9)に較べて250℃以上、従来のOs−Ru被覆含浸
形陰極(特性10)に較べて100℃以上低温動作上出来る
ことになる。また、バリウム及び酸化バリウムの蒸発量
を質量分析計で測定したところ、動作温度の低下量に比
例して減少すること分つた。具体的には従来型の含浸形
陰極に較べると1〜2.5桁小さくなることが分った。動
作温度が100〜250℃以上も低下したことにより、管球の
電極材料を変更することもなく、また消費電力も低下
し、さらにはヒータの寿命が塗布形酸化物陰極を加熱し
たと同程度の数万時間の寿命が得られ、信頼性の高い含
浸形陰極となつた。
実施例2 下地の含浸形陰極は粒径5μmのW粉を用いて、プレ
ス成形,水素中仮焼結,真空中焼結によつて作製した空
孔率23%の多孔質W体1に、水素雰囲気中で4BaO・Al2O
3・CaOの組成比からなる電子放出物質2を溶融含浸した
従来型の含浸形陰極を予め用意した。本発明の含浸形陰
極の薄膜層3はスパツタ装置を用いて形成し、その組成
は溶液発光分光分析(ICPS法)、蛍光X線分析(FLX
法)によつて求めた。スパツタ用ターゲツトは、W,WO2
及び,Sc2O3粉を種々の組成比で混合・プレス成形したも
のを用いた。上記、下地陰極とW,WO2及びSc2O3からなる
ターゲツトをスパツタ装置内に装着し、10-7Torr台まで
装置内を排気したのちに、Arを導入し、10-2Torr台のAr
ガス雰囲気中で、下地含浸形陰極表面にW,WO2及び,Sc2O
3からなる薄膜層を形成した。薄膜層は種々ターゲツト
を用いて種々組成の薄膜を形成した。薄膜層の厚さは、
スパツタ時間を調節することによつて変えた。以上のよ
うに薄膜層を形成した本発明の含浸形陰極8は、10-9To
rr台の真空容器内にアノード・カソードの平行平板から
なる2極形式で電子放出能をパルス電圧を印加して測定
した。その結果を第3図に示す。第3図に示した陰極の
放出電流特性は、従来型の含浸形陰極特性9、Os−Ru合
金を500nm被覆した金属被覆型含浸形陰極特性10及び薄
膜層を被着させた本発明の陰極特性12を示す。図に示し
た薄膜層の組成は、W−17wt%WO2−5wt%Sc2O3であ
る。
本発明によつて得られた含浸形陰極8,12は従来型陰極
(特性9)に較べて約300℃、従来のOs−Rs被覆陰極
(特性10)に較べて約150℃低温で動作出来る特性が得
られた。また、バリウム及び酸化バリウムの蒸発量を質
量分析計で測定し、比較したところ1.5〜3桁低下出来
ることが分つた。動作温度が150〜300℃低下したことに
より、消費電力も低下し、さらにヒータの寿命が塗布型
酸化物陰極を加熱したと同程度の数万時間の寿命が得ら
れ、信頼性の高い含浸形陰極となつた。
実施例3 下地含浸形陰極は、粒径5μmのW粉を用いて、プレ
ス成形,水素中仮焼結,真空中焼結によつて作製した空
孔率23%の多孔質W基体1を作製した。次いで、水素雰
囲気中で、4BaO・CaO・Al2O3の組成比からなる電子放出
物質2を加熱溶融して含浸し、下地含浸形陰極を作製し
た。本発明の含浸形陰極の薄膜層3は高周波スパツタ装
置を用いて形成した。薄膜層3の組成は、スパツタター
ゲツト組成で調節し、詳しくは、溶液発光分光分析(IC
PS法)及び蛍光X線分析(FLX法)によつて求めた。ま
た、Sc酸化物及びBa酸化物はX線回折法によつて確認し
た。
スパツタ用ターゲツトとしては、WとSc2O3及びBa3Al
2O3、WとSc2O12及びBaOからなり、種々組成比で混合・
プレス成形したものを用いた。上記ターゲツトと下地含
浸形陰極をスパツタ装置内に装着し、10-7Torr台まで装
置内を排気したのちにArガスを導入し、10-2Torr台のAr
ガス雰囲気中で、下地含浸形陰極表面にWとSc酸化物、
Ba酸化物からなる薄膜層3を形成した。薄膜層3は、種
々組成のターゲツトを用いて形成した。薄膜層3の厚さ
は、スパツタ時間を調節することによつて変えた。薄膜
層3を形成した本発明の含浸形陰極8の電子放出能は、
10-9Torr台の真空容器内でアノードとカソードからなる
2極管形式で、アノードに正のパルス電圧を印加して電
子放出特性を測定した。第4図は、Os−Ru合金を被覆し
た場合よりも高い電子放出能を示した複合薄膜層3の組
成範囲13を示す。図はSc2O3,BaOに換算して示した。す
なわちW−(1〜10wt%)Sc2O3−(1〜40wt%)BaO
が、良い特性を示す組成領域13であつた。第5図は、従
来型の含浸形陰極特性9、Os−Ru合金を500nm被覆した
金属被覆型含浸形陰極10、及び複合薄膜層3を設けた本
発明の含浸形陰極特性14である。図に示した複合薄膜層
3の組成及び膜厚はそれぞれW−2wt%Sc2O3−16wt%Ba
Al2O6(組成は分析結果から算出した。)210nmである。
本発明によつて得られた含浸形陰極8の特性12から、
動作温度の低下量を求めると、下地の従来型含浸形陰極
(特性9)に比べて250℃以上、従来のOs−Ru被覆含浸
形陰極(特性10)に比べて、100℃以上低温動作出来る
ことになる。また、バリウム及び酸化バリウムの蒸発量
を質量分析計で測定したところ、動作温度の低下量に比
例して減少することが分つた。具体時には、従来型の含
浸形陰極に比べると1〜2.5桁小さくなることが分つ
た。動作温度が100〜250℃以上も低下したことにより、
管球の電極材料を変更することもなく、また消費電力も
低下し、さらにはヒータ寿命が塗布形酸化物陰極を加熱
したと同程度の数万時間の寿命が得られ、信頼性の高い
含浸形陰極となつた。
〔発明の効果〕
従来型の含浸形陰極表面にWとSc2W3O12もしくはSc6W
O12からなる薄膜層3を被着させた本発明の含浸形陰極
によれば、加熱することによつて陰極表面、単〜数分子
層程度の非常に薄い(Ba,Sc,O)複合化合物層7を容易
に形成し、仕事関数が〜2.0eVから1.2eVに低下し、電子
放出能が高められた。動作温度に換算すると従来型に比
べて100〜250℃以上低温動作化出来、それとともに、バ
リウム(含酸化バリウム)の蒸発量も1〜2.5桁も小さ
くなつた。さらに、動作温度の低下により、陰極加熱消
費電力も小さく出来、加熱用ヒータへの負担を軽くする
ことが出来るなど、信頼性を高める効果もある。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の含浸形陰極断面模式図、第2図,第
3図,第5図は、各種含浸形陰極の放出電流特性を比較
した図、第4図は、薄膜層の組成範囲を示す図である。 1……耐熱多孔質体、2……電子放出物質、3……W及
びSc2W3O12もしくはSc6WO12からなる薄膜層、4……障
壁層、5……スリーブ、6……加熱ヒータ、7……単〜
数分子層程度の(Ba,Sc,O)複合化合物層、8……本発
明の含浸形陰極、9……従来型含浸形陰極の放出電流特
性、10……Os−Ru合金被覆型含浸形陰極の放出電流特
性、11,12,14……本発明の含浸形陰極の放出電流特性。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐々木 進 国分寺市東恋ヶ窪1丁目280番地 株式 会社日立製作所中央研究所内 (56)参考文献 特開 昭61−13526(JP,A) 特開 昭61−91822(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】耐熱多孔質体とその細孔部にバリウムを含
    む電子放出物質を含浸した構造を採る含浸形陰極におい
    て、陰極表面に、タングステン,二酸化タングステン及
    び酸化スカンジウムとからなる薄膜層を設けたことを特
    徴とする含浸形陰極。
  2. 【請求項2】上記薄膜層の厚さは50〜1000nmであること
    を特徴とする特許請求の範囲第1項記載の含浸形陰極。
  3. 【請求項3】上記薄膜層の酸化スカンジウム量は、薄膜
    層重量の2〜30%であり、かつ二酸化タングステンとの
    合計が、薄膜層重量の50%以下としたことを特徴とする
    特許請求の範囲第1項又は第2項記載の含浸形陰極。
JP23456986A 1986-05-28 1986-10-03 含浸形陰極 Expired - Fee Related JP2585232B2 (ja)

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