JP2583526B2 - エンジンの吸気装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、多気筒エンジンの吸気装置に関し、特に、
吸気系において吸気の共振現象を生じさせて吸気過給を
行うようにしたものに関する。

（従来の技術） 従来より、エンジンの気筒内の燃焼室に吸入される吸
気の動的効果によって吸気の充填効率を高め、エンジン
の出力トルクを増大させるようにしたものは種々知られ
ている。その一例として、例えば特公昭60−14169号公
報等に示されるものでは、多気筒エンジンにおける吸気
通路を、吸気順序（点火順序）が連続しない気筒を同じ
グループとする２つの気筒グループの各気筒がそれぞれ
接続される２つの吸気通路に分け、その各々の吸気通路
を、吸気マニホールドのブランチ部上流端が接続された
拡大室と、この拡大室に接続された共鳴用吸気通路とで
構成するとともに、該共鳴用吸気通路の上流端を上流側
集合室に連通させ、上記拡大室に、両吸気通路同士を連
通状態又は連通遮断状態に切り換える切換装置を設け、
上記切換装置によって両吸気通路同士の連通を遮断した
ときには、各気筒の吸気行程に生じた負の圧力波を上記
上流側集合室で反射させて正の圧力波に反転させ、その
反転した正の圧力波により比較的低い回転域で吸気の慣
性過給効果を発揮させる一方、各吸気通路同士を連通さ
せたときには、上記吸気圧力波の反転反射位置を吸気ポ
ートに近付けて、吸気圧力振動の固有周波数を高くし、
高速回転域で慣性過給効果を得るようになされている。

また、特開昭59−565号公報には、Ｖ型エンジンの吸
気をその共振現象により過給する場合において、その具
体的な構造として、エンジンの左右バンク間に、内部に
空間を有する外壁と、該外壁の空間内に略鉛直面内で外
壁に沿って環状に延びるように配置され、下流端が各吸
気ポートに連通する複数のラム管式吸気管とを備えてな
るプレナム型吸気マニホールドを配置することにより、
コンパクトな吸気マニホールドでもって吸気を過給する
ようにすることが開示されている。

この他、例えば吸気順序の連続しない気筒グループに
おける各気筒の吸気ポートをサージタンク等の容積拡大
室のない共鳴用吸気通路（吸気通路）に接続し、その共
鳴用吸気通路での吸気の共振周波数がエンジンの特定回
転域になるように共鳴用吸気通路の長さを設定すること
により、吸気をその共鳴効果によって過給するようにす
ることも可能である。

（発明が解決しようとする課題） ところで、上記従来例の如く、エンジンの複数の気筒
を吸気順序が連続しない気筒を同一グループとする２つ
の気筒グループに分け、この各気筒グループに共鳴用吸
気通路を接続して、この共鳴用吸気通路での吸気の共振
現象を利用して吸気を過給する場合において、共鳴用吸
気通路の一端に、各気筒に吸気を供給する吸気供給通路
を接続すると、各気筒から吸気供給通路までの距離のば
らつきにより、共鳴状態における吸気の圧力波の伝播状
態が異なり、各気筒間で吸気充填量に差異が生じ、吸気
供給通路から流入する吸気の動圧の提供と相俟って、吸
気供給通路に近い上流側の気筒での吸気充填量が吸気供
給通路から遠い下流側の気筒よりも多くなる。それ故、
その上流側気筒での空燃比がリーン側に偏り過ぎ、ノッ
キングが生じる虞れがある。

本発明の目的は、上記の共鳴用吸気通路の形状及び該
共鳴用吸気通路に対する吸気供給通路の接続部位を特定
することにより、エンジンの各気筒と吸気供給通路との
距離を均等化し、共鳴域での気筒間の吸気充填量のばら
つきを低減して、空燃比の不均一によるノッキングの発
生を抑制しようとすることにある。

（課題を解決するための手段） この目的を達成するために、本発明の解決手段は、複
数の気筒を、吸気順序が連続しない気筒を同一グループ
とする２つの気筒グループに分けるとともに、該各気筒
グループに接続される共鳴用吸気通路と、各気筒に吸気
を供給する吸気供給通路とを備え、上記共鳴用吸気通路
で吸気を共鳴同調させて過給するようにした多気筒エン
ジンの吸気装置を前提とする。そして、上記共鳴用吸気
通路は、各々一端が閉塞され上記同じ気筒グループの各
気筒に通じる一対の連通路と、該両連通路の他端同士を
接続する連通部とによって構成され、上記各気筒グルー
プの各連通路において閉塞端側に位置する気筒と該閉塞
端側気筒に隣接する気筒との間に、上記吸気供給通路を
接続したものとする。

（作用） 上記の構成により、本発明では、エンジンの運転中、
共鳴用吸気通路において吸気の共鳴同調が生じ、この共
鳴同調により吸気が過給されて、エンジンの出力トルク
が増大する。

その場合、上記共鳴用吸気通路を、各々一端が閉塞さ
れ吸気順序の連続しない同一の気筒グループの各気筒に
通じる一対の連通路と、該両連通路の他端同士を接続す
る連通部とによって構成すると共に、各気筒グループの
各連通路において閉塞端側に位置する気筒とそれに隣接
する気筒との間に吸気供給通路が接続されているので、
各気筒グループにおける気筒と吸気供給通路との距離
は、その吸気供給通路を共鳴用吸気通路の一端に接続す
る場合に比して、概ね均等になる。このため、吸気の圧
力波の伝播が各気筒グループでのどの気筒に対しても略
等しく行われ、しかも吸気供給通路からの吸気の動圧に
よる影響も小さくなり、よって各気筒の吸気充填量のば
らつきを低減して、空燃比の不均一によるノッキングの
発生を効果的に抑制できることとなる。

（実施例） 以下、本発明の実施例について図面に基づき説明す
る。

第１図は本発明の実施例に係るエンジンの吸気装置の
全体構成を示し、１はＶ型に配置された第１〜第６の６
つの気筒2a〜2fを有する燃料噴射式Ｖ型６気筒エンジン
であって、これら６気筒2a〜2fの点火順序は気筒番号ど
おりに第１気筒2a〜第６気筒2fの順序に設定されてい
る。上記６つの気筒2a〜2fは点火順序（吸気順序）が連
続しない第１、第３及び第５気筒2a,2c,2eの３つの気筒
と、第２、第４及び第６気筒2b,2d,2fの３つの気筒とを
それぞれ同一グループとする２つの気筒グループに分け
られ、その一方の気筒グループの３つの気筒2a,2c,2eは
エンジン１のＶ型に配置された一方のバンク1aに順に形
成され、他方の気筒グループの３つの気筒2b,2d,2fは他
方のバンク1aに順に形成されている。

上記各気筒2a〜2fは吸気ポート３及び図示しない排気
ポートを備え、上記各吸気ポート３にはサージタンク等
による容積拡大室のない吸気通路４が接続されている。
この吸気通路４は、独立吸気通路5,5,…と第１及び第２
の共鳴用吸気通路6,7と吸気供給通路９とで構成されて
いる。上記各独立吸気通路５はその下流端が上記各気筒
2a〜2fの吸気ポート３に接続されている。また、上記第
１の共鳴用吸気通路６は、各々一端が閉塞され直線状に
延びる１対の連通路6a,6aと、該連通路6a,6aの各他端部
同士を接続する連通部6bとによって構成され、上記各連
通路6a,6aにそれぞれ上記各気筒グループの気筒2a,2c,2
e（又は2b,2d,2f）に対応する３つの独立吸気通路5,5,
…の上流端が接続されている。

一方、上記第２の共鳴用吸気通路７も対向する一対の
下流端部7a,7aを有する略Ｕ字形状に彎曲形成され、そ
の両下流端部7a,7aはそれぞれ上記第１の共鳴用吸気通
路６の両連通路6a,6aに接続されている。よって、上記
第１及び第２の共鳴用吸気通路6,7により共鳴用環状吸
気通路８が形成されている。すなわち、第１及び第２の
共鳴用吸気通路6,7の各通路長さはエンジン回転数に対
応した所定長さに設定されており、吸気順序の連続しな
い各気筒グループの各気筒2a〜2fの吸気ポート３付近
に、該各気筒2a〜2fの吸気行程終期に生じた吸気の正の
圧力波を第１及び第２の共鳴用吸気通路6,7において互
いに異なる２方向に伝播されて共鳴用環状吸気通路８を
略一周させた後、同じ気筒グループの他の気筒2a〜2fの
吸気ポート３に作用させることにり、吸気を共鳴過給さ
せるように構成されている。

さらに、上記吸気供給通路９は、その下流端が上記第
２の共鳴用吸気通路７の中央部つまり上流端に接続され
ており、この吸気供給通路９の上流端はエアクリーナ10
に接続され、吸気供給通路９の途中には、吸入空気量を
測定するエアフローメータ11と、その下流側に位置し吸
気供給通路９（吸気通路４）を絞るスロットバルブ12と
が配置されている。

そして、上記第２の共鳴用吸気通路７の一方の下流端
部7aは、第１の共鳴用吸気通路６の一方の連通路6aに対
し、一方の気筒グループに属する第１気筒2aに連通する
独立吸気通路５の上流端との接続部と同じ気筒グループ
の隣りの第３気筒2cに連通する独立吸気通路５の上流端
との接続部との間において接続されている。一方、第２
の共鳴用吸気通路７の他方の下流端部7aは、第１の共鳴
用吸気通路６の他方の連通路6aに対し、他方の気筒グル
ープに属する第２気筒2bに連通する独立吸気通路５の上
流端との接続部と同じ気筒グループの隣りの第４気筒2d
に連通する独立吸気通路５の上流端との接続部との間に
おいて接続されている。すなわち、上記吸気供給通路９
は第１の共鳴用吸気通路６の各連通路6aに、上記各気筒
グループにおいて閉塞端側に位置する第１気筒2aとそれ
に隣接する第３気筒2cとの間に、並びに閉塞端側の第２
気筒2bとそれに隣接する第４気筒2dとの間において第２
の共鳴用吸気通路７を介して接続されている。

さらに、上記第１の共鳴用吸気通路６における連通部
6bの連通路6a,6aとの接続端部寄りには、互いに同期し
て開閉する蝶弁からなる１対の可変バルブ13,13が配設
されている。これらの可変バルブ13,13は、第２図下半
部に示すようにエンジン回転数に応じて開閉制御され、
エンジン回転数が低いときには閉じられ、高いときには
開かれるように制御される。

したがって、上記実施例においては、エンジン１の運
転中、その回転数が低いときには、第１の共鳴用吸気通
路６における可変バルブ13,13が閉じられ、第１及び第
２の共鳴用吸気通路6,7で構成される共鳴用環状吸気通
路８が途中で閉塞された状態となる。この状態では、各
気筒グループにおける各気筒2a〜2fの吸気ポート３付近
に該各気筒2a〜2fの吸気行程初期に生じた吸気の負の圧
力波がそれぞれ第２の共鳴用吸気通路７を通ってその上
流側へ移行して、その中央上流端の吸気供給通路９との
合流部で反射されて正の圧力波に反転し、この正の圧力
波が同じ各気筒2a〜2fの吸気行程終期に作用するという
吸気の慣性過給状態となり、このことにより吸気が過給
され、第２図上半部で実線にて示すように、エンジン１
の各気筒2a〜2f内の平均有効圧力（エンジン１の出力ト
ルク）が増大してそのピークが生じる。

一方、エンジン１が高速回転域になると、上記可変バ
ルブ13,13が開かれて、共鳴用環状吸気通路８が開放さ
れる。この状態では、吸気順序が連続しない一方の気筒
グループと各気筒2a,2c,2e（又は2b,2d,2f）の吸気ポー
ト３付近において、該各気筒2a,2c,2eの吸気行程終期に
正圧となる吸気の圧力振動が生じ、この正の圧力波が第
１及び第２の共鳴用吸気通路6,7（共鳴用環状吸気通路
８）において互いに異なる２方向に伝播して、共鳴用環
状吸気通路８を略一周したのち同じ気筒グループの他の
気筒2a,2c,2e（又は2b,2d,2f）の吸気ポート３に作用
し、吸気の共鳴状態が生じる。この共鳴状態により吸気
が過給され、第２図上半部で破線にて示すように、エン
ジン１の出力トルクを増大させることができる。

この場合、上記第２の共鳴用吸気通路７の一方の下流
端部7aは、第１の共鳴用吸気通路６の一方の連通路6aに
対し、一方の気筒グループに属する連通路閉塞端側の第
１気筒2aとその隣りの第３気筒2cとの間において接続さ
れており、一方、第２の共鳴用吸気通路７の他方の下流
端部7aは、第１の共鳴用吸気通路６の他方の連通路6aに
対し、他方の気筒グループに属する連通路閉塞端側の第
２気筒2bとその隣りの第４気筒2dとの間において接続さ
れているので、この第２の共鳴用吸気通路７の下流端7
a,7aをそれぞれ第１の共鳴用吸気通路６における連通路
6a,6aの閉塞端に接続した場合に比較して、各気筒グル
ープにおける気筒2a,2c,2e（又は2b,2d,2f）と吸気供給
通路９との距離は概ね均等になる。このため、上記吸気
の共鳴同調状態又は慣性過給状態において、吸気の圧力
波の伝播が各気筒グループにおいてどの気筒2a〜2fでも
略等しく行われ、しかもその吸気の圧力波伝播に対する
吸気供給通路９からの吸気の動圧による影響も小さくな
り、よって各気筒2a〜2fの吸気充填量のばらつきが低減
され、空燃比の不均一によるノッキングの発生を効果的
に抑制することができる。

しかも、上記吸気供給通路９の第１の共鳴用吸気通路
６への接続部を、連通路閉塞端側の第１気筒2aとその隣
りの第３気筒2cとの間の連通路6aの部位、並びに連通路
閉塞端側の第２気筒2bとその隣りの第４気筒2dとの間の
連通路5aの部位としたので、同じ大きさの吸気系では、
第２の共鳴用吸気通路７の長さを可及的に長くできる分
だけ、共鳴用環状吸気通路８のループ長を長く設定する
ことができる利点がある。

尚、本発明は、上記実施例の如きＶ型６気筒以外の多
気筒エンジンに対しても適用することができるのはいう
までもない。

（発明の効果） 以上説明したように、本発明によると、多気筒エンジ
ンにおける複数の気筒を吸気順序が連続しない２つの気
筒グループに分け、その各気筒グループに共鳴用吸気通
路を接続して、その共鳴用吸気通路での吸気の共鳴同調
により吸気を過給する場合において、上記共鳴用吸気通
路を、各々一端が閉塞され同じ気筒グループの各気筒に
通じる一対の連通路と該両連通路の他端同士を接続する
連通部とで構成すると共に、上記各気筒グループの各連
通路において閉塞端側に位置する気筒とその隣りの気筒
との間に吸気供給通路を接続したことにより、その吸気
供給通路を共鳴用吸気通路の一端に接続する場合に比
べ、各気筒グループにおける各気筒と吸気供給通路との
距離をほぼ均等にして、吸気と圧力波を各気筒グループ
での気筒間で略等しく伝播させることができ、しかも吸
気供給通路からの吸気の動圧による影響も小さくでき、
よって各気筒の吸気充填量のばらつきを低減して、空燃
比の不均一によるノッキングの発生を効果的に抑制でき
る。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本発明の実施例を示し、第１図はそ
の全体構成を示す模式平面図、第２図はエンジン回転数
に対する可変バルブの開度及びエンジンの各気筒の平均
有効圧力の特性を示す特性図である。 １……エンジン、2a〜2f……気筒、６……第１の共鳴用
吸気通路、6a……連通路、6b……連通部、７……第２の
共鳴用吸気通路、８……共鳴用環状吸気通路、９……吸
気供給通路、13……可変バルブ。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】複数の気筒を、吸気順序が連続しない気筒
   を同一グループとする２つの気筒グループに分けるとと
   もに、該各気筒グループに接続される共鳴用吸気通路
   と、各気筒に吸気を供給する吸気供給通路とを備え、上
   記共鳴用吸気通路で吸気を共鳴同調させて過給するよう
   にした多気筒エンジンの吸気装置であって、 上記共鳴用吸気通路は、各々一端が閉塞され上記同じ気
   筒グループの各気筒に通じる一対の連通路と、該両連通
   路の他端同士を接続する連通部によって構成され、 上記各気筒グループの各連通路において閉塞端側に位置
   する気筒と該閉塞端側気筒に隣接する気筒との間に、上
   記吸気供給通路を接続したことを特徴とするエンジンの
   吸気装置。