JP2583370Y2 - 温度補償機構付きステーダンパ - Google Patents

温度補償機構付きステーダンパ

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JP2583370Y2
JP2583370Y2 JP7398792U JP7398792U JP2583370Y2 JP 2583370 Y2 JP2583370 Y2 JP 2583370Y2 JP 7398792 U JP7398792 U JP 7398792U JP 7398792 U JP7398792 U JP 7398792U JP 2583370 Y2 JP2583370 Y2 JP 2583370Y2
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piston
seal ring
stay damper
piston seal
side chamber
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菊雄 鈴木
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この考案は、自動車におけるバッ
クドアなどの支柱用として広く使用されているガススプ
リング形式のステーダンパに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、この種のステーダンパは、伸長
行程では、シリンダ内を摺動するピストンに対しガスお
よびオイル(オイルは最伸長近傍でのみ作用)が制限通
路を通るときの絞り抵抗を利用して伸び速度を規制し、
当該バックドアが急激に開いて衝撃を発生するのを抑え
ると共に、逆に、圧縮行程にあっては、ピストンに対し
極力前記の絞り抵抗を与えないようにして、バックドア
を容易に閉めることができるようにしてやることが望ま
しい。
【0003】従来、かかる機能を備えたステーダンパと
しては、例えば平成2年実用新案出願公開第12546
号公報にみられるようなものが広く一般に知られ、か
つ、使用に供されている。
【0004】すなわち、このものは、一方では、ピスト
ンによって区画された伸側室と圧側室とを、当該ピスト
ンに形成したラビリンス溝等の抵抗通路によって常時連
通状態に保っている。
【0005】他方、ピストンシールリングの内周面にも
伸側室と圧側室とを互いに連通する通路部分(内周面通
路)を残した状態で、当該ピストンシールリングをピス
トンに対し所定の範囲に亙って軸方向に移動可能に介装
している。
【0006】そして、このピストンシールリングが、ス
テーダンパの伸縮動作に伴いシリンダとの間の摩擦でピ
ストンに沿い左右に相対移動するのを利用して、伸長行
程時にピストンシールリングが圧側室端寄りに位置した
場合にのみ本来のシール機能を果たすよう、ピストンシ
ールリングに対してチェックバルブ機能を付与させると
いう構成をとっている。
【0007】これにより、ステーダンパの伸長行程時に
あっては、ピストンシールリングが圧側室端寄りに位置
することでピストンシールリングの内周面通路を塞ぎ、
ピストンに設けた抵抗通路のみにより大きな絞り抵抗を
与えて伸長速度を抑え、圧縮行程時には、逆に、ピスト
ンシールリングが伸側室端寄りに移動してその内周面通
路を開き、ピストンの抵抗通路と共にこの内周面通路を
も用いることで絞り抵抗を低下させ、圧縮動作を容易に
するようにしている。
【0008】
【考案が解決しようとする課題】しかし、これだけで
は、特に夏季での駐車時のように車内温度が高温になっ
たときに、ステーダンパ内の封入ガス圧力が上昇してそ
の反発力(ガス圧×ピストンロッド断面積による伸長
力)が高まるばかりか、オイルの粘度も減少することか
らステーダンパの伸長速度が速くなり、逆に、冬季の低
温状態では、封入ガス圧力が低下し、かつ、オイルの粘
度も増大するために伸長速度が遅くなる。
【0009】そのために、これを自動車におけるバック
ドア等の支柱用として使用した場合には、夏季ではバッ
クドアが速く開き過ぎて全開時に衝撃を発生し、冬季に
はバックドアがなかなか全開に達しなかったり或いは途
中で止まってしまう等の不具合があった。
【0010】したがって、この考案の目的は、高温から
低温下に亙って自動的に常に安定した伸長速度を確保す
ることのできる改良された温度補償機構付きのステーダ
ンパを提供することである。
【0011】
【問題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、この考案にあっては、伸長行程時にピストンへと
ピストンシールリングが押付けられる両者間の当接面
に、ピストンシールリングの弾性変形量に伴って開口度
が減少する凹部を形成し、この凹部を通してピストン両
側の伸側室と圧側室とを互いに連通するようにしたので
ある。
【0012】
【作用】これにより、温度上昇に伴って弾力性(伸張
性)を増すことで撓み易くなるピストンシールリングの
物性を利用し、伸張行程時において、伸側室に発生する
ガス圧力によりピストンシールリングが押されてピスト
ンとの当接面に押し付けられたとき、高温になればなる
程ピストンシールリングが大きく変形して凹部の開口度
を温度上昇に合わせて小さくする。
【0013】かくして、凹部を流れる封入ガスおよびオ
イルに対する絞り抵抗は、封入ガス圧力の上昇およびオ
イルの粘度低下に適合して常に適正範囲に保たれ、ステ
ーダンパの伸長速度はほぼ一定に自動制御される。
【0014】また、逆に、低温下では、ピストンシール
リングの弾力性が低下して撓みにくくなることから、凹
部の開口度は常に初期の大きさに保たれたままとなり、
ステーダンパの圧縮操作を阻害するようなことはない。
【0015】したがって、低温下での使用に併せて凹部
の開口度を予め設定しておけば、温度上昇に伴う封入ガ
ス圧力の増大でステーダンパの反発力が増し、かつ、オ
イルの粘度が低下するにも拘らず、この温度上昇につれ
て凹部の開口度が減少するためにステーダンパの伸張速
度は所定の速度範囲内に自動調整されることになるので
ある。
【0016】このことから、自動車におけるバックドア
の支柱用として使用した場合であっても、高温下での開
放時に衝撃を発生するようなこともなく、また、低温時
になかなか全開に達しなかったり或いは途中で止まって
しまうというような不具合もなくなる。
【0017】
【実施例】以下、図面に基づいてこの考案を説明する。
【0018】図1に示すように、この考案の一実施例で
あるステーダンパは、密閉筒体のシリンダ1と、このシ
リンダ1内に摺動自在に挿入したピストン2、およびピ
ストン2からシリンダ1の一端密閉部を貫通して外方に
延びるピストンロッド3とからなる。
【0019】ピストン2は、シリンダ1内を伸側室Aと
圧側室Bとに区画し、かつ、シリンダ1の端部とピスト
ンロッド3の突出端にはボールジョイント4,5が取り
付けてある。
【0020】かくして、ステーダンパは、これらボール
ジョイント4,5を介して例えば自動車の車体とバック
ドア間等に装着される。
【0021】図2から明らかなように、上記ピストン2
は、外周に複数個の切欠き6aを備えたストッパ6と共
にピストンロッド3のインロー部3aに対しワッシャ7
を介してピストンナット8により固定してある。
【0022】ピストン2の部分には、従来のステーダン
パと同様にラビリンス溝9b,9cとこれらを繋ぐポー
ト9aとからなる抵抗通路9(図3参照)が設けてあ
り、この抵抗通路9を通して伸側室Aと圧側室Bは互い
に繋がっている。
【0023】一方、ピストン2の外周は、圧側室B端寄
りにストッパ部2aを残して段状に切り欠いてあり、前
記ストッパ6と協同してピストン2の外周に環状溝10
を形作ると共に、この環状溝10内に位置してシリンダ
1とピストン2の摺接面を密封するピストンシールリン
グ11が移動可能に納めてある。
【0024】図2および図3から分るように、ピストン
シールリング11が接するピストン2のストッパ部2a
における当接面には、適宜数の凹部12(この実施例で
は3個)が形成してあり、かつ、この凹部12は、スト
ッパ部2aの外周面に設けた通路13を通して圧側室B
へと通じている。
【0025】また、ピストンシールリング11は、ピス
トン2における環状溝10の底面との間に通路14を残
して納めてあり、これにより、伸側室Aと圧側室Bは、
ストッパ6の切欠き6a,環状溝10,通路14,凹部
12,通路13を通して互いに連通している。
【0026】かくして、ステーダンパの伸長行程時にあ
っては、シリンダ1とピストンシールリング11間の摩
擦および伸側室A内のガス圧力とにより、当該ピストン
シールリング11が、ピストン2におけるストッパ部2
aの当接面へと押し付けられることになる。
【0027】この場合、ピストンシールリング11は、
一般的にニトリルゴム等の弾力性を有する材料で作られ
ているのが普通であり、この材料は、高温になればなる
程弾力性を増して撓み易くなり、逆に、低温下では弾力
性が著しく低下して撓みにくくなる物性をもつ。
【0028】したがって、ステーダンパ内が通常の温度
以下であればピストンシールリング11は撓むことがな
く、伸側室A内の封入ガスおよびオイルは、ピストン2
の抵抗通路9と併せてピストンシールリング11と凹部
12の隙間から通路13を通して圧側室Bへと流れ、こ
れらの絞り抵抗によってステーダンパは所定の速度をも
って伸長動作する。
【0029】それに対し、ステーダンパ内の温度が通常
の温度以上に上昇すればする程、それに伴ってピストン
シールリング11の弾力性が増大し、当該ピストンシー
ルリング11が凹部12内へと撓んで次第に深く入り込
み、、ピストンシールリング11と凹部12との間の開
口度を漸減させつつ、最終的にはピストンシールリング
11で凹部12を塞ぐことになる。
【0030】このことから、ステーダンパ内の温度上昇
に伴う封入ガス圧力の増大でステーダンパの反発力が増
すと共に、オイルの粘度も低下するにも拘らず、この温
度上昇に合わせて凹部12の開口度が次第に減少し、そ
れに伴って、絞り抵抗が漸増することからステーダンパ
の伸張速度は、所定の速度範囲内に自動調整されること
になる。
【0031】一方、圧縮行程時にあっては、シリンダ1
とピストンシールリング11間の摩擦および圧側室B内
のガス圧力とにより、当該ピストンシールリング11
が、ストッパ6における切欠き6aを穿った面へと押し
付けられる。
【0032】これにより、凹部12は圧縮動作の全スト
ロークンに亙って常に全開状態を保ち、圧側室B内の封
入ガスおよびオイルがピストン2の抵抗通路9と併せて
この全開状態となった凹部12からも伸側室Aへと向っ
て流れるため、ステーダンパを比較的軽く縮ませること
ができる。
【0033】したがって、当該ステーダンパを自動車に
おけるバックドアの支柱として適用した場合にあって
も、周囲温度の変化に関係なく常に伸長速度を所定範囲
に保って全開時の衝撃発生を防止し、かつ、閉鎖操作を
も比較的軽く行うことが可能となる。
【0034】なお、上記の実施例にあっては、ピストン
2におけるストッパ部2aの外周面に形成した通路13
を通して凹部12を圧側室Bへと繋ぐようにしたが、図
4の実施例のように、ストッパ部2aを貫通して穿った
ポート13aで凹部12を圧側室Bに繋ぐようにしても
よく、また、凹部12は、図5の実施例のようにピスト
ンシールリング11側に形成してもよい。
【0035】さらに、ピストンシールリング11は、必
ずしも円形断面形状である必要はなく、例えば図5のよ
うに角形或いはその他の断面形状のものであってもよ
く、かつ、その材質についても温度上昇に伴って弾力性
が増すものであれば、樹脂材料或いはその他の材料であ
っても可能である。
【0036】また、これまでの各実施例にあっては、ピ
ストン2に抵抗通路9を併設してあるが、ステーダンパ
の作動上から凹部12を通る通路面積で足りる場合に
は、この抵抗通路9を省略することもできる。
【0037】さらにまた、温度上昇に伴うピストンシー
ルリング11の変形による凹部12の開口度の減少は伸
長行程時にしか発生せず、圧縮行程時には逆にピストン
シールリング11が凹部12を開く方向に変形するの
で、予めピストンシールリング11と凹部12との初期
開口度を、通常温度下での伸長速度が適正範囲内に保た
れるように設定しておけば、特に図示はしないが、必ず
しもピストンシールリング11をピストン2の環状溝1
0に対して可動にしてやる必要はない。
【0038】なお、以上の各変形例の作動については、
これまでの説明に基づいて容易に理解できることである
ので、その説明は省略する。
【0039】
【考案の効果】以上のように、この考案によれば、温度
変化に関係なくステーダンパの伸長速度を所定範囲内に
自動的に調整でき、しかも、圧縮操作時においても常に
これを比較的軽く操作することが可能となる。
【0040】したがって、自動車におけるバックドアの
支柱等としてこれを適用した場合、環境温度の高低に関
係なく常にバックドアの全開時における衝撃の発生を防
止することができるばかりか、その閉鎖操作も比較的軽
く行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この考案の一実施例であるステーダンパの全体
を概略的に示す一部破断正面図である。
【図2】図1のピストン部分を拡大して示す縦断正面図
である。
【図3】ピストンの一方の端面を示す拡大側面図であ
る。
【図4】この考案の他の実施例であるピストン部分の半
面を拡大して示す縦断正面図である。
【図5】同じくこの考案のさらに他の実施例であるピス
トン部分の半面を拡大して示す縦断正面図である。
【符号の説明】
A 伸側室 B 圧側室 1 シリンダ 2 ピストン 3 ピストンロッド 6 ストッパ 6a 切欠き 9 抵抗通路 10 環状溝 11 ピストンシールリング 12 凹部 13 通路 13a ポート 14 通路

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 伸長行程時にピストンへとピストンシー
    ルリングが押付けられる両者間の当接面に、ピストンシ
    ールリングの弾性変形量に伴って開口度が減少する凹部
    を形成し、この凹部を通してピストン両側の伸側室と圧
    側室とを互いに連通したことを特徴とする温度補償機構
    付きステーダンパ。
JP7398792U 1992-09-30 1992-09-30 温度補償機構付きステーダンパ Expired - Lifetime JP2583370Y2 (ja)

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JPH0632785U JPH0632785U (ja) 1994-04-28
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