JP2583188C - - Google Patents

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【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、防音防振材などに使用される繊維成形体に関する。 【0002】 【従来の技術】 繊維成形体は、建物や乗物の室内を外部や原動機の騒音や振動から遮断するた
めの防音材や防振材、人や品物を衝撃から保護するためのクッション材、上水設
備における液体濾過装置等で使用されるフィルターなどの分野で使用されており
、本発明はこのような繊維成形体の改良に係るものである。 【0003】 図2は、自動車などのキャビン内の静かさを保つために該キャビンとエンジン ルームとの隔壁あるいはキャビンフロアパネルとカーペットとの間などにインシ
ュレータとして使用される防音防振構造を例示する断面斜視図である。図2にお
いて、エンジンルーム30とキャビン(車室)32との隔壁(ダッシュパネル)
34上にはダッシュインシュレータ36を含むダッシュパネル構造38が形成さ
れ、フロアパネル40とカーペット64との間にはフロアインシュレータ44を
含むフロア構造46が形成されている。 【0004】 前記ダッシュパネル構造38は、鋼板製の前記ダッシュパネル34の内面に、
アスファルト系制振材48および制振材用拘束板50を積層した拘束型制振材5
2を接合し、さらに、その上に多孔質層54およびシート状遮音層56を積層し
た前記ダッシュインシュレータ36を接合した積層構造体で形成されている。一
方、前記フロア構造46は、鋼板製の前記フロアパネル40の内面に、アスファ
ルト系制振材58を接合、その上に多孔質層60およびシート状遮音材62を積
層した前記フロアインシュレータ44を接合した積層構造体で形成されており、
該フロア構造46の内面にはカーペット64が敷かれている。 【0005】 防音層としての前記多孔質層54、60は、粉末状熱硬化性樹脂を結合剤とす
るフェルトあるいは軟質ウレタンフォーム等の発泡体で作られており、この多孔
質層54、60の上に積層される前記シート状遮音層56、62は例えば軟質塩
ビあるいはエチレン酢ビ共重合体で作られている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、従来のダッシュインシュレータ36およびフロアインシュレー
タ44にあっては、前記多孔質層54、60として平板状の材料を使用していた
ので、強度アップ等のため複雑な凹凸形状に成形されたダッシュパネル34やフ
ロアパネル40等の車体パネルの表面に対して十分に密着させることができず、
空隙が生じて防音性能が不充分になることがあった。また、車体パネルに密着し
ないことから、車室内の美観が損なわれ、しかも、寸法の正確さに欠けるため他
部品の取付けに不具合が生じることもあった。 【0007】 そこで、最近では、平板状の多孔質層に替えて、車体パネルの凹凸形状に合致
するウレタンフォームのモールド発泡体あるいは密度0.04g/cm3以上の
フェルトの圧縮成形体などの防音防振材を使用することが提案されている。しか
し、ウレタンフォームのモールド発泡体では、表面に皮膜が形成されたり内部微
細孔構造に膜が残存することから、内部空気が流動しにくくなり、多孔質層が硬
くなってしまい遮音効果が不充分になることがあった。一方、前記フェルトの圧
縮成形体にあっては、平板密度0.04g/cm3以上の平板状のフェルトに圧
縮成形するため、高圧縮される部分が生じて局部的に硬くなり過ぎ、防音性能が
低下する他、全体に重くなって自動車の軽量化に反することになる。 【0008】 本発明はこのような従来技術に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、
防音材、防振材、クッション材、透水材、フィルター材等として使用できる他、
静かな車室空間を実現するためにより高い防音防振性能を有する自動車用内装材
(前記ダッシュインシュレータやフロアインシュレータ)として使用可能な繊維
成形体を提供することであり、特に、前述のような自動車用内装材として使用す
る場合に、吸音性にすぐれ、所望の密度を有しかつ車体パネル等の使用面の凹凸
形状に密着する形状に容易に成形することができ、形状寸法精度が高く防音性能
にすぐれ本繊維成形体を提供することである。 【0009】 【課題解決のための手段】 請求項1の発明は、繊維径分布の中心が30デニール以下の有機質の短繊維か
ら成る基材にこれより低融点の有機質の短繊維から成る結合剤を混合したものを
素材とし、前記素材を送風機によりモールド内へ吹き込んで充填し、モールド内
で前記素材を加熱して前記結合剤を溶融するとともに該素材を使用場所の形状に
合せて平均見かけ密度0.04〜0.15g/cm3の繊維集合体に成形するこ
とを特徴とする繊維成形体により、上記目的を達成するものである。請求項2の
発明は、上記請求項1の構成に加えて、前記繊維集合体に1.0〜8.0kg/
2の面重量を有するシート状遮音層を積層する構成とすることにより、一層効 率よく上記目的を達成するものである。 【0010】 請求項の発明は、上記請求項1、請求項2のいずれかの構成に加えて、前記
繊維集合体を成形固化させるため、短繊維状の歴青質を10重量%以上混合し、
成形固化させることを特徴とする繊維成形体により、吸音性多孔質層に制振機能
を付加し、音響性能がさらに向上する繊維成形体を提供するものである。 【0011】 請求項の発明は、上記請求項1、請求項2、請求項3のいずれかの構成に加
えて、前記モールド内に前記結合剤の融点より高くかつ前記基材の融点より低い
温度の熱風もしくは蒸気を吹き込むことにより前記結合剤を溶融する構成とする
ことにより、吸音性多孔質の密度分布の均質性および成形サイクルを向上させる
とともに成形体の硬化をより均質とすることが可能な繊維成形体を提供するもの
である。 【0012】 以上のような構成の本発明の特徴を要約すると以下のとおりである。第1に、
従来のシート状多孔質層に比較し、本発明による繊維成形体の多孔質層は車体パ
ネル(ダッシュパネル、フロアパネルなど)等の使用表面の凹凸形状に合せて成
形されているので、使用表面との整合性にすぐれ、空隙なく密着させて接合する
ことができ、防音性能を向上させることができる。 【0013】 第2に、従来のウレタン成形体の多孔質層に比較し、本発明の繊維成形体に使
用する多孔質層は短繊維の集合体を成形して得られるので、全体を軟かい繊維状
積層体で構成することができ、共振性が少なく平均的吸音性に優れており、総合
的防音性を向上させることができる。従来の平板状繊維集合体(例えば密度が約
0.04g/cm3に成形したものに比較し、密度分布が少なく全体的に均質
化でき、取付け部などでも過圧縮部分にならないので、共振性が少なく平均的に
軟かい多孔質層にすることができ、もって総合的防音性を向上させることができ
る。 【0014】 【実施例】 以下、本発明を具体的に説明する。まず、請求項1の発明においては、繊維径
分布の中心が30デニール以下の有機質の短繊維を用いるとともに見かけ密度を
所定範囲に納めることで繊維集合体の通気抵抗を大きくして吸音特性を良好にし
た。もし、繊維径分布の中心が30デニール以上の繊維を用いると、同一見かけ
密度において粗な状態になり、通気抵抗が上がらず吸音特性の劣ったものになる
。そこで、これを見かけ密度の高いものにするだけで吸音性を改善しようとする
と、硬くなり過ぎてパネル等よりの振動が内側のシート状質量層まで達して音を
放射しやすくなり、逆に防音性能は低下する。 【0015】 さらに、見かけ密度を高くすることは、重量をアップすることになり、軽量化
に逆行し実益がない。これらの観点から、本発明の目的達成のためには、見かけ
密度の上限は0.15g/cm3に設定する必要がある。一方、30デニール以
下の細い繊維を用いても、見かけ密度が0.04g/cm3以下では、通気抵抗
が大きくならず、吸音性を期待することができず防音性能が不充分となる。 【0016】 本発明による繊維成形体の素材として使用する短繊維は、基本的には繊維径分
布の中心が30デニール以下とし、高吸音性能を実現するためには15デニール
以下の短繊維を用いることが望ましい。前記素材としての短繊維の材質としては
、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、ビニロン
等の合成繊維の他に、羊毛、綿、麻等の天然繊維を使用することもできる。さら
に、これらの繊維を使用した布から開繊した短繊維を使用することもできる。 【0017】 この場合、歴青質あるいはその類似材料を溶融紡糸あるいはその他の方法で繊
維状にし、これを前述した短繊維の中に10重量%以上混入するか、あるいは単
独で使用した繊維集合体の成形品を使用することによっても、大きな遮音吸音効
果が得られる。前記歴青質の類似材料としては、歴青質の脆さや温度依存性を樹
脂やゴムあるいは熱可塑性エラストマー等で改質した歴青質を30重量%以上含
むものが使用される。このような歴青質またはその類似材料を繊維状にしたもの を使用して大きな遮音吸音効果が得られる理由は、歴青質の制振性(高ダンピン
グ性)が繊維集合体の中に付与され、遮音吸音性のみならず、パネルの振動を抑
制する機能が得られるためである。 【0018】 本発明による繊維成形体は、以上述べたような種々の成形法で得ることができ
るが、一層均質な充填を行ない密度分布を小さくするためには、開繊しバラバラ
になった繊維を気体(空気)とともにモールド内へ吹き込み、多数の細孔よりこ
の空気のみを排出し、短繊維のみをモールド内に充填して成形する方法を採用す
る。このような空気搬送式の充填法により、凹凸のあるパネル形状に合致したモ
ールドに沿った形状の充填が可能となり、全体に均質で軟かい多孔質を得ること
ができる。 【0019】 また、このようにして得られる充填物を成形固化するためには結合剤が必要で
ある。この結合剤としては、加熱により溶融しかつ反応固化するフェノール樹脂
あるいは蒸気吹き込みにより反応固化するウレタン系接着剤あるいは基材となる
短繊維より低い温度で溶融する熱可塑性樹脂など種々の材質が考えられる。また
、前記結合剤の形態には、粉状や液状など種々のものがある。しかし、粉状では
、吹き込み充填時に粉状結合剤の偏りが生じ、分散不良を起こす他、空気抜き孔
に結合剤が詰まって、充填不良や密度分布不良を起こす場合、あるいは結合剤の
み飛散する場合がある。一方、液状では、混合時に繊維の固まりができ、良好な
吹き込み充填を得ることができない。 【0020】 これに対し、請求項1の構成のように、有機質の繊維状の結合剤を使用する場
合は、開繊機等を用いて混合することにより良好な分散が得られ、しかも充填時
に何らの支障も生じない。このような繊維状の結合剤としては、加熱あるいは蒸
気によって溶融する低融点のポリエステル繊維、ポリエチレンやポリプロピレン
等の基材となる短繊維より低い融点をもつ繊維を使用することができる。望まし
くは、繊維素材が低融点成分と高融点成分から構成され、低融点成分が高融点成
分の外側、すなわち繊維表面となるように配置して成る複合繊維が、耐久性およ び音響性能の面から好都合である。 【0021】 すなわち、この複合繊維を低融点成分の融点より高くかつ高融点成分の融点よ
り低い温度で加熱成形すれば、結合剤繊維も完全な繊維状態のまま低融点成分の
溶融により結合でき、高い耐久性と音響性能を確保することができる。また、歴
青質の繊維など、繊維形態であり加熱等により溶融するものであれば、その他の
ものを使用することもできる。 【0022】 上記のような繊維系結合剤を混合した多孔質層の成形方法としてはホットプレ
スあるいは加熱モールドによる成形が考えられるが、このような成形方法では、
多孔質層が断熱効果を有するため、内部の結合剤まで溶融させるのに長時間の加
熱が必要であり、成形サイクルを短くするのが困難である。成形温度を高く設定
すれば成形サィクルを短かくすることができるが、反応硬化型以外の結合剤、例
えば歴青質繊維あるいは、ポリエチレン繊維等の熱可塑性結合剤では、離型時に
型くずれを起こす可能性がある。 【0023】 このため、成形方法としては、型温度を結合剤融点以下に調節し、該融点以上
の温度の熱風あるいは蒸気の吹き込みで結合剤を溶融して多孔質成形体を形成す
る方法が望ましい。この場合、熱風および冷風の切換え手段を付加すればさらに
成形サイクルを改善することができるし、熱風等の吹き込みにより、多孔質層内
部まで、均一な溶融・硬化ができる。 【0024】 以上述べたように、モールド内に素材としての短繊維を繊維状の結合剤ととも
に吹き込み、さらに熱風を吹き込んで結合剤を溶融させ、短繊維を結合せしめる
ことにより、軟かくかつ軽量で車体パネル等の使用表面の形状に合致した形状の
多孔質成形体を得ることができる。このような多孔質成形体を用いることにより
、寸法精度が高く、防音性能にすぐれた繊維成形体を得ることができる。さらに
、歴青質繊維を混合すれば、車体パネル等の使用表面の制振性能も付加され、防
音性および防振性にきわめてすぐれた繊維成形体が得られる。【0025】 図1は本発明による繊維成形体の製造装置の模式的縦断面図であり、以下、図
1を参照して本発明による繊維成形体の製造方法を具体的に説明する。排気量1
500ccの小型乗用車のダッシュパネルのインシュレータ(防音防振材)を適
用対象とし、このダッシュパネルの形状に合致したモールド(成形型)を製作し
、図1に示すごとく配置した。 【0026】 図1において、1はプレス機を、2A、2Bはプレス機1に取付けられたモー
ルドを、3はモールド2A、2B内への吹き込み口を、4はモールド2A、2B
のフィルター付きの排気口を、5は送風機を、6は送風機5と吹き込み口を接続
するダクトを、7はホッパーを、8は熱風発生器を、9は熱風発生器8を通りダ
クト6の途中に接続された送風管を、10はホッパー7のダクト6への供給口を
開閉するシャッターを、11はダクト6を開閉するシャッターを、12は送風管
9のダクト6への接続口を開閉するシャッターを、それぞれ示す。 【0027】 素材としての短繊維原料13は繊維状の結合剤などと混合され、ホッパー7へ
供給される。ホッパー7内の短繊維原料13は、シャッター10、11を開きか
つシャッター12を閉じた状態で、送風機5により空気とともに吹き込み口3を
通してモールド2A、2B間の成形空隙内へ吹き込まれる。この成形空隙はプレ
ス機1のストローク設定で所定の形状に作られている。この短繊維原料13のモ
ールド2A、2B内への充填に際しては、搬送用の空気のみは排気口4からモー
ルド2A、2B外へ放出され、モールド2A、2B内には短繊維原料13が効率
よく充填される。 【0028】 短繊維原料13を充填した後、シャッター10、11を閉じるとともにシャッ
ター12を開き、熱風発生器8で作られる熱風を送風管9およびダクト6を通し
て吹き込み口3からモールド2A、2B内へ吹き込む。これと同時にプレス機1
を作動させて充填短繊維原料13を所定の形状寸法に圧縮成形する。図1中にお
いて、14はモールド2A、2B内で圧縮成形された多孔質繊維成形体(繊維集 合体)を示し、15はモールド2A、2B内の所定位置(図示の例では下型2B
の内面)に予め敷設され前記多孔質繊維成形体14に積層されるシート状遮音層
(質量層)を示す。なお、熱風発生器8の吹き込み口は、必要に応じ、吹き込み
口3の他に、モールド2A、2Bの中央付近にも設けることが望ましいし、また
、吹き込み口とは別に設けてもよい。 【0029】 次に、防音防振性が要求される自動車用内装材(ダッシュパネルインシュレー
タやフロアインシュレータ)として使用するのに好適な繊維成形体の場合を例に
挙げて、本発明による繊維成形体の実施例を説明する。 【0030】 実施例:6〜8デニールで平均長さ40mmのポリエステル繊維に、4デニ
ールで平均長さ50mmの低融点ポリエステル繊維を20重量%混合し、図1に
示す装置のホッパー7に投入し、モールド2A、2B内に充填し、200℃の熱
風を吹き込んで成形し、見かけ密度0.08g/cm3の多孔質成形体を得た。
これに、実施例1で用いたシート状遮音層と同じポリ塩化ビニールシートを積層
て繊維成形体を得た。 【0031】 実施例:日本工業規格JISK2207による防水工事用アスファルト3種
を240℃で48時間撹拌して得られたアスファルトを、180℃に加温し、直
径1mmのノズルより押し出しながら250℃の熱風を吹きつけ、2〜10デニ
ールの歴青質よりなる短繊維を得た。この短繊維を、6〜8デニールで長さ40
mmのポリエステル短繊維から成る素材に対し、20重量%の割合で混合し、実
施例と同様の方法で成形し、平均見かけ密度0.10g/cm3の多孔質成形
体を得た。この多孔質成形体に実施例1の場合と同様のポリ塩化ビニールシート
を貼り合せて積層することにより、繊維成形体を得た。 【0032】 以上本発明による繊維成形体の各種実施例を説明したが、後述する防音性能テ
ストに供する従来構造等実施例以外の繊維成形体の構造を、以下に比較例として
、具体的に説明する。 【0033】 比較例1:粉末フェノール樹脂を結合剤として、見かけ密度0.055g/c
3で厚さ40mmのシート状の粗毛フェルトを成形し、このシート状の粗毛フ
ェルトを図1のモールド2A、2B内に敷設し、220℃でプレス加熱し、ダッ
シュパネルの形状に合致する形状の成形体を得た。さらに、この成形体の形状に
合致するよう真空成形された厚さ2mmで密度1.8g/cm3のポリ塩化ビニ
ールシートをモールド内で前記成形体に貼り合せて積層することにより、多孔質
層とシート状遮音層(質量層)から成る比較例1の繊維成形体を得た。前記多孔
質層の平均見かけ密度は1.8g/cm3であった。 【0034】 比較例2:比較例1で用いた真空成形されたポリ塩化ビニールシートに対し、
シート状の粗毛フェルトを、成形寸法に近い厚さになるように層状に貼合せて比
較例2の繊維成形体を得た。この場合のシート状の粗毛フェルトとしては、フェ
ノール樹脂を結合剤として5〜28mm厚さのシート状に成形された粗毛フェル
トを使用した。 【0035】 比較例3:50デニールのポリエステル短繊維の素材に対し、結合剤としての
4デニールの低融点ポリエステル繊維を20重量%混合し、これをモールド内に
充填し、200℃の熱風を吹き込んでプレス成形することにより見かけ密度0.
08g/cm3の多孔質成形体を得た。これに比較例1と同様のポリ塩化ビニー
ルシートを貼り合せて積層し、比較例3の繊維成形体を得た。 【0036】 比較例4:6〜8デニールのポリエステル短繊維の素材に対し、結合剤として
の4デニールの低融点ポリエステル繊維を20重量%混合し、モールド空隙を減
らすとともに送風力を弱くしてモールド内に充填し、これを成形固化させて見か
け密度0.03g/cm3の多孔質成形体を得た。この成形体に比較例1と同様
のポリ塩化ビニールシートを貼り合せて積層し、比較例4の繊維成形体を得た。 【0037】 比較例5:6〜8デニールのポリエステル短繊維の素材に結合剤としての粉末 フェノール樹脂を混合し、これを図1の成形装置でモールド2A、2B内へ吹き
込んで成形した。しかし、途中で排気口4が閉塞し、充填不能になった。以上の
ような実施例1〜および比較例1〜4によって製造した繊維成形体について、
それらの防音性能を比較テストした。 【0038】 防音性能は、各繊維成形体を小型乗用車のダッシュパネルに組付け、この自動
車を回転ドラム上で速度90km/時で走行させ、この時にダッシュパネルから
車室内へ放射される音圧レベルを音響インテンシティ法によって計測した。その
際、自動車の床面は繊維系多孔質体とポリ塩化ビニールシートの積層構造により
遮音するとともに、運転席より後部をウレタンフォームで充填することでダッシ
ュパネルよりの放射音のみを計測できる状態にした。 【0039】 各試料の多孔質層の見かけ密度(g/cm3)および計測された音圧レベル(
dB)は表1に示すとおりであった。表1の音圧レベル(dB)はA特性で周波
数125Hz〜1.6KHzの範囲のエネルギーを加算した値で示す。表1から
、本発明による繊維成形体(実施例1,2)は明らかに騒音低減効果にすぐれた
ものであることが理解される。 【0040】 なお、上記実車テストにおいては、繊維集合体の多孔質層を作った後、これに
シート状質量層(シート状遮音層)を貼り合せて積層したが、予めシート状質量
層をモールド内に敷設しておき、そこへ繊維および熱風を吹き込んで一体的に加
圧成形する製造方法を採用することもできる。以上説明した各実施例によれば、
防音性にすぐれ、軽量でかつ寸法精度が高く、しかも生産性にすぐれた自動車用
内装材に好適な繊維成形体を得ることができた。 【0041】 【表1】 【0042】 【発明の効果】 以上の説明から明らかなごとく、請求項1の発明によれば、繊維径分布の中心
が30デニール以下の有機質の短繊維から成る基材にこれより低融点の有機質の
短繊維から成る結合剤を混合したものを素材とし、モールド内で前記素材を加熱
して前記結合剤を溶融するとともに該素材を使用場所の形状に合せて平均見かけ
密度0.04〜0.15g/cm3の繊維集合体に成形することを特徴とする繊
維成形体としたので、吸音性の繊維集合体を車体パネル等の複雑な凹凸形状の表
面に対しても密着させ得る所望の形状寸法及び密度に成形することができ、それ
によって防音性および防振性に一段とすぐれた繊維成形体が提供される。また、
前記素材を送風機によりモールド内へ吹き込んで充填する構造としたので、多孔
質の密度をさらに安定的にかつ均質となるように制御し得る繊維成形体が提供さ
れる。 【0043】 請求項2の発明によれば、上記請求項1の構成に加えて、前記繊維集合体に1
.0〜8.0kg/m2の面重量を有するシート状遮音層を積層する構成とした
ので、一層効率よく上記効果を達成することができる。 【0044】 請求項の発明によれば、上記請求項1、請求項2のいずれかの構成に加えて
、前記繊維集合体を、成形固化させるため、短繊維状の歴青質を10重量%以上
混合し、成形固化させる構成としたので、吸音性多孔質層に制振機能を付加し、
音響性能がさらに向上する繊維成形体が提供される。 【0045】 請求項の発明によれば、請求項1、請求項2、請求項3のいずれかの構成に
加えて、前記モールド内に前記結合剤の融点より高くかつ前記基材の融点より低
い温度の熱風もしくは蒸気を吹き込むことにより前記結合剤を溶融する構成とし
たので、吸音性多孔質の密度分布の均質性および成形サイクルを向上させるとと
もに成形体の硬化をより均質とすることが可能な繊維成形体が提供される。
【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明を適用した繊維成形体の一実施例を製造するための成形装置の縦断面図
である。 【図2】 本発明による繊維成形体を使用するのに好適な自動車のダッシュパネルおよび
フロアパネルにおける防音構造を示す部分断面斜視図である。 【符号の説明】 1 プレス機 2A モールド 2B モールド 3 吹き込み口 4 排気口 5 送風機 6 ダクト 7 ホッパー 8 熱風発生器 9 送風管 10 シャッター 11 シャッター 12 シャッター 13 短繊維原料 14 繊維成形体(繊維集合体) 15 シート状遮音層(質量層) 30 エンジンルーム 32 車室 34 ダッシュパネル 36 ダッシュインシュレータ(防音防振材) 38 ダッシュパネル構造 40 フロアパネル 44 フロアインシュレータ(防音防振材) 46 フロア構造 48 アスファルト系制振材 50 制振材用拘束板 52 拘束型制振材 54 多孔質層 56 シート遮音層 58 アスファルト系制振材 60 多孔質層 62 シート遮音層

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 繊維径分布の中心が30デニール以下の有機質の短繊維から成
    る基材にこれより低融点の有機質の短繊維から成る結合剤を混合したものを素材
    とし、前記素材を送風機によりモールド内へ吹き込んで充填し、モールド内で前
    記素材を加熱して前記結合剤を溶融するとともに該素材を使用場所の形状に合せ
    て平均見かけ密度0.04〜0.15g/cm3の繊維集合体に成形することを
    特徴とする繊維成形体。 【請求項2】 前記繊維集合体に1.0〜8.0kg/m2の面重量を有する
    シート状遮音層を積層することを特徴とする請求項1の繊維成形体。 【請求項】 前記繊維集合体を成形固化させるため、短繊維状の歴青質を1
    0重量%以上混合し、成形固化させることを特徴とする請求項1又は2の繊維成
    形体。 【請求項】 前記モールド内に前記結合剤の融点より高くかつ前記基材の融
    点より低い温度の熱風もしくは蒸気を吹き込むことにより前記結合剤を溶融する
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかの繊維成形体。

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