JP2582362Y2 - 部品エージング装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】 本考案は、コンデンサー等電子
部品をエージング加工する電気加熱処理装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】 コンデンサー等電子部品のエージング
加工は、温度が８０°Ｃ雰囲気下の電気加熱炉内で、リ
ードフレームに多数個並列に設ける前記部品に電源を接
続し、通電して行われる。このエージング加工のさい、
前記部品のリード線にスプリング圧を利用したクリップ
等電気接続部材を接続しエージング加工用電源を通電す
るが、該接続操作の反復あるいは、電気加熱炉内の高温
度の雰囲気による材質の疲労でクリップの圧着圧力が低
下し、結果クリップの電気接点がチャタリングし、酸化
して電気接続不良を起こすことがままあり、作業効率を
低下させる要因となっていた。また、エージング加工前
段の、部品のリード線末端をクリップで挟む電気接続作
業を、各々の部品に対し一つ一つ行うため、接続操作に
かなりの時間を要していた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】 そこで、従来の問題
点に鑑み、本考案は、前記クリップを、クリップの疲労
による圧着圧力減衰を排除し、安定した電気接続操作可
能に改良することにより、作業効率良好な部品エージン
グ装置を提供することを課題とした。

【０００４】

【課題を解決するための手段】 上記課題を達成するた
め本考案の部品エージング装置は、従来のクリップを改
良した。すなわち電気加熱炉内の雰囲気温度を利用し
て、８０°Ｃ（加工温度）等の高温領域においては部品
リード部分を締め付け通電可能とし、常温等低温領域で
は該リード部分を開放するように記憶させた形状記憶合
金と、金属スプリング圧力により前記部品リード部分の
締め付け、開放を付勢するスプリング材質の合金とで二
重構造にしたクリップを形成し、該クリップを耐熱性電
気絶縁基台に複数並列に固定して解決手段とした。

【０００５】

【作用】 前記形状記憶合金とスプリング材質の合金と
の二重構造のクリップの作用により、クリップの部品リ
ード末端への接触、離脱が温度条件により自動的に行わ
れるため、従来の部品一つ一つに対するクリップ接続及
び離脱作業が不要となり、部品を該装置にセットし、加
熱するのみで通電されエージング加工することができ
る。また、低温領域ではクリップは開放状態にあるた
め、各々の部品のリード末端を容易に開放口に挿入可能
で、高温領域の電気接続状態では、従来のスプリング圧
を利用したクリップのようなスプリング疲労に起因する
電気接点のチャタリング、酸化による電気接続不良をお
こすことがなく、安定した接触圧力の維持が図られ、エ
ージング加工時の通電状態を安定させることができる。

【０００６】

【実施例】 本考案の一実施例について図面を参考にし
て説明する。図１は従前のエージング加工装置の略図で
ある。電子部品をエージング加工する場合、従前におい
ては、電気炉１に電気発熱抵抗線Ｒ１を設けて、電源Ｅ
１の電気によって炉内５の温度を８０°Cの高温領域に
維持させ、一方リードフレーム２のリード線２ａ、２ａ
ｎにつながる電子部品３、３ｎのリード線２ｂ、２ｂｎ
ヘエージング電源Ｅ２の電気を通電させるスプリング圧
を利用したクリップ４、４ｎを接続して、所定時間を通
電させエージング加工をする。このエージング加工を反
復繰り返えすと、該クリップ４、４ｎの接続保持圧力が
クリップ操作等による機械的運動や炉内高温雰囲気等で
材質疲労を起こして、結果該クリップ圧力の衰弱によっ
て電気的接点にチャタリングを発生させ、該接点が電気
的腐食酸化を起こして通電不良の原因となる。さらに前
記電子部品３、３ｎ毎に電気接続のためのクリップ操作
を必要とするため、該操作にかなりの時間を要してい
る。

【０００７】図２、図３は本考案の一実施例の略図であ
る。エージング加工の状況は従前の場合と同様である
が、被加工物である部品３、３ｎのリード線２ｂ、２ｂ
ｎへ接続するクリップ部材６、６ｂｎを、形状記憶合金
とスプリング合金とで二重構造にして、耐熱性電気絶縁
体でできた基台７へ複数並列させて螺子６ｂで固定して
ある。該クリップ６、６ｂｎの形状記憶合金には、常温
等低温領域では部品リード線２ｂ、２ｂｎとの接点を開
放状態にして、一方、加工温度である８０°C等高温領
域では部品リード線２ｂ、２ｂｎとの接点を接触状態を
持続するよに記憶を付与させてある。

【０００８】該装置を用いてのエージング加工は、電気
炉用電源Ｅ１を電気炉１内の電気発熱抵抗線Ｒ１へ通電
させて炉内５の雰囲気温度を８０°Cにし、エージング
加工用電源Ｅ２の電気を電子部品３、３ｎにクリップ
６、６ｂｎを接触させし通電し加工を行う。この場合
に、クリップ部材６、６ｎは常温等低温領域では開放状
態であるので、エージング加工用の部品３、３ｎのリー
ド線２ｂ、２ｂｎを前記クリップ開放部へ挿入可能で、
挿入操作後炉内５の寡囲気温度を８０°C等高温領域へ
上昇させれば、自動的に該クリップ６、６ｎは形状記憶
合金のクリップ締め付け記憶によって、リード線２ｂ、
２ｂｎに接触締め付け状態となり、電源Ｅ２の通電が行
われエージング加工ができる。加工終了後、炉内雰囲気
温度が下降して、常温等低温状態になるとクリップ６、
６ｎはリード線２ｂ、２ｂｎへの締め付けを開放し部品
３、３ｎの離脱が自由となる。

【０００９】

【考案の効果】 以上説明のように本考案によれば、前
記二重構造のクリップにより低温領域では開放状態、高
温状態では締め付け状態と、電気部品のリード線との開
放、接続が温度条件により自動となるため、該リード線
一つ一つへのクリップ操作が不要となり作業効率を向上
させることができる。また、従来のスプリング圧を利用
したクリップで問題となる、接続操作の反復、あるい
は、電気加熱炉内の高温雰囲気による材質の疲労による
クリップの圧着圧力の低下が解消するため、チャタリン
グ、電気腐食酸化が防止され安定したエージング加工が
可能となった。

【図面の簡単な説明】

【図１】 従前の一実施例の略図である。

【図２】 本考案の一実施例の略図である。

【図３】 本考案の図２のクリップ６、６ｎ部分の略側
面図である。

【符号の説明】

１ 電気炉 ２ リードフレーム ２ａ、２ａｎ リード ２ｂ、２ｂｎ リード ３、３ｎ エージング加工部品 ４、４ｎ 電気接続用クリップ ５ 炉内 ６、６ｎ 形状記憶合金とスプリング合金との二重構造
のクリップ ７ 耐熱性電気絶縁材質の基台 Ｅ１ 電気炉用電源 Ｅ２ エージング加工用電源 Ｒ１ 電気発熱抵抗線 Ｒ２ 安定化抵抗線

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 電気加熱炉内で、リードフレームに設け
   た複数個の部品に通電し、エージング加工する装置にお
   いて、該部品の一端に接触させて通電可能となすクリッ
   プを、炉内温度により前記部品へ接触、離脱する機能を
   もたせた形状記憶合金とスプリング材質の合金とで二重
   構造に形成し、該クリップを耐熱性電気絶縁基台に複数
   並列に固定したことを特徴とする部品エージング装置。