JP2581159Y2 - 燃焼装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は燃焼装置に関する。

【０００２】

【従来の技術及び考案が解決しようとする課題】従来よ
り燃焼装置として各種のものが知られているが、近年燃
焼に伴うＮＯxの生成を低減することの要請が強くなっ
てきており、そこで図４（イ）に示しているように燃焼
室に水を噴霧する形式の燃焼装置が提案されている。

【０００３】この燃焼装置は、油噴霧ノズル１００に近
接して複数の水噴霧ノズル１０２を配設し、油供給管路
１０４を通じて送られて来た油を油噴霧ノズル１００か
ら噴霧するとともに、水供給管路１０６を通じて送られ
て来た水を水噴霧ノズル１０２から噴霧し、そしてその
水噴霧によって火炎の温度を低下させて、発生するＮＯ
xの量を低減するように成したものである。

【０００４】しかしながらこの燃焼装置の場合、バーナ
に複数の水噴霧ノズル１０２を組み込むことが必要であ
るとともに、水送出用のポンプ１０８やストレーナ１１
０，水タンク１１２等を余分に設けることが必要であっ
て、必然的に装置が複雑化，大型化し、コストも高くな
るといった問題がある。

【０００５】そこで本考案者等は、燃焼室下方に貯溜水
室を形成してそこに水を貯溜し、水の蒸発によって火炎
温度を低下させてＮＯxを低減するようにした装置を案
出した。図４（ロ）はその一例を示している。同図にお
いて１１４は送風機１１６を備えたバーナで、その燃焼
室１１８の下方に貯溜水室１２０が形成され、そこに一
定量の水１２２が貯溜されている。

【０００６】この貯溜水室１２０内の貯溜水１２２は火
炎の熱によって蒸発し、これによって火炎の温度が低下
せしめられて、その結果としてＮＯxの生成が低減す
る。

【０００７】この燃焼装置においては、貯溜水室１２０
に隣接して水位を一定に保つための水位調整室１２４が
貯溜水室１２０に連通する状態で設けられ、そしてそこ
にフロートスイッチ１２６が設けられていて、このフロ
ートスイッチ１２６の作用で水位調整室１２４及び貯溜
水室１２０内の水位が一定に保たれるようになってい
る。

【０００８】しかしながらこの燃焼装置においては、万
一不測の事態によって貯溜水室１２０内の水が無くなっ
て貯溜水室１２０が空となった場合、火炎によって空と
なった貯溜水室１２０が過熱されてしまうといった問題
がある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本考案はこのような課題
を解決するためになされたものであり、その要旨は、バ
ーナにおける燃焼室の下方に貯溜水室を形成してそこに
水を貯溜するとともに、該貯溜水室の上面を、板状を成
し且つ該貯溜水を板厚方向に透過可能な孔を多数有する
断熱体単独で若しくは該孔を有しない別途の断熱体とと
もに覆ったことにある。

【００１０】ここで上記孔を多数有する断熱体はセラミ
ックス材とすることが望ましい（請求項２）。

【００１１】

【作用及び考案の効果】以上のように本考案は、燃焼室
の下方に貯溜水室を形成してそこに水を貯溜した上、貯
溜水室の上面を覆うように断熱体を配したもので、本考
案の燃焼装置においては、貯溜水は断熱体における多数
の孔を透過した上で蒸発し、その際に周囲から熱が奪わ
れることによって燃焼温度が低下し、ＮＯxの発生が低
減する。一方不測の事態によって貯溜水が無くなった場
合、断熱体の断熱作用で空となった貯留水室が火炎によ
って過熱されるのが防止される。本考案の燃焼装置にお
いては、図４に示す燃焼装置のように水噴霧ノズル１０
２をバーナに組み込む必要がなく、また水ポンプ１０
８，ストレーナ１１０，水タンク１１２等を設ける必要
もないので燃焼装置の構造が簡素となり、コストも安価
となる利点がある。

【００１２】尚、上記多数の孔を有する断熱体としては
セラミックス材を用いるのが望ましい。このように断熱
体をセラミックス製とした場合、断熱体に良好な耐熱
性，耐久性を付与できる。

【００１３】

【実施例】次に本考案を給湯機に適用した場合の実施例
を図面に基づいて詳しく説明する。図１において１０は
給湯機で、１２は送風機１４を有するバーナである。１
６はタンク１８内の油を供給する油供給管路であり、こ
の油供給管路１６上にストレーナ２０と電磁ポンプ２２
とが設けられている。

【００１４】２４は缶体２６内に配設された熱交換器
で、その下方空間が燃焼室２８とされている。更にこの
燃焼室２８の下方には貯溜水室３０が形成され、そこに
一定量の水３１が貯溜されている。この貯溜水室３０に
隣接して、水位調整室３２が貯溜水室３０に連通する状
態で形成されている。

【００１５】３４は熱交換器２４に水を導くための給水
管路であり、３６は熱交換器２４にて温められたお湯を
取り出すための取出管路である。給水管路３４上には通
水量を検出するための水量センサ３８が設けられてい
る。給水管路３４からは分岐管路４０が分岐しており、
その先端が前記水位調整室３２に接続されている。

【００１６】この水位調整室３２の内部にはフロートス
イッチ４２が配設され、このフロートスイッチ４２のオ
ン・オフ動作に基づいて分岐管路４０から水位調整室３
２への水の供給量が調節され、以て水位調整室３２及び
貯溜水室３０の水位が一定水位に保たれるようになって
いる。

【００１７】前記貯留水室３０にはその上面を覆うよう
にして多孔質セラミックス板４４が横設されている。こ
の多孔質セラミックス板４４は、その焼成時において無
数の微細な連続気孔が形成されたもので、貯溜水室３０
内の貯溜水３１はこのセラミックス板４４における連続
気孔を透過してその表面に滲出する。

【００１８】本例の燃焼装置においては、バーナ１２か
ら噴射された火炎４６の熱によって貯溜水室３０内の貯
溜水３１がセラミックス板４４の表面から蒸発し、その
際に周囲から熱が奪われることによって、更には水蒸気
そのものによって火炎４６の温度が低下され、これによ
ってＮＯxの発生が抑制される。即ち排ガス中のＮＯxの
量が低減される。

【００１９】本装置においては、何らかの原因によって
貯溜水室３０内の貯溜水３１が無くなり、貯溜水室３０
が空となった場合においても、セラミックス板４４の断
熱作用によって空となった貯溜水室３０が火炎４６によ
って過熱されるのが防止される。

【００２０】尚、断熱体としてのセラミックス板４４と
して図２に示しているようにパンチング穴形態の貫通孔
４８を多数有するセラミックス板５０を用いることも可
能である。

【００２１】またセラミックス板における水の浸透能力
に応じて、図３に示しているように貯溜水室３０の上面
の一部を、孔を有するセラミックス板５２にて覆い、他
の部分を孔を有しない別途のセラミックス材その他の断
熱体５４で覆うように成すことも可能である。

【００２２】その他、本考案は排ガス再循環式の燃焼装
置に適用することも可能であり、この場合排ガス中に水
分が含有されることとなるため、火炎温度をより有効に
低下させ得て、発生ＮＯxを一段と低減できる利点が得
られる。この外、本考案はその主旨を逸脱しない範囲に
おいて種々変更を加えた形態で構成可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例である燃焼装置を含む給湯機
の図である。

【図２】図１におけるセラミックス板の他の形態例を示
す図である。

【図３】本考案の他の実施例における断熱体及び周辺部
の図である。

【図４】本考案の背景説明のための説明図である。

【符号の説明】

１０ 給湯機 １２ バーナ ２８ 燃焼室 ３０ 貯留水室 ３１ 水 ４４，５０ セラミックス板 ５４ 断熱体

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 バーナにおける燃焼室の下方に貯溜水室
   を形成してそこに水を貯溜するとともに、該貯溜水室の
   上面を、板状を成し且つ該貯溜水を板厚方向に透過可能
   な孔を多数有する断熱体単独で若しくは該孔を有しない
   別途の断熱体とともに覆ったことを特徴とする燃焼装
   置。
2. 【請求項２】 前記孔を多数有する断熱体がセラミック
   ス材から成っていることを特徴とする請求項１に記載の
   燃焼装置。