JP2579664B2 - 皮膚レプリカ作成用フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

皮膚レプリカ作成用フィルムおよびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は皮膚レプリカ作成用フィルムおよびその製造
方法に関し、さらに詳しくは皮膚表面の皮膚組織の皮丘
・皮溝にわけ入って、皮膚表面の皮膚組織の微細な凹凸
を転写するような皮膚レプリカ作成用フィルムおよびそ
の製造方法に関する。
〔従来の技術〕
新たな化粧品を開発しようとするような場合、皮膚表
面の皮膚組織に対する化粧品の適合性あるいは皮膚面の
化粧品ののり具合などを視覚的に確認する必要がある。
こうした必要性に対応し、皮膚表面の皮膚組織を精密に
顕微鏡観察するためのいくつかの方法がこれまでにも提
案されている。提案されている方法の多くは皮膚の表面
の微細な皮膚組織の構造を転写する皮膚レプリカ材とよ
ばれる転写材を利用する方法であって、たとえば次のよ
うなものがある。
2段レプリカ法といわれ、シリコン樹脂を皮膚に塗布
して皮膚表面の皮膚組織の陰版の転写膜をまず作り、つ
いでその陰版の転写膜をもとに皮膚表面の皮膚組織の陽
版の転写膜を作成してこれを顕微鏡観察するという方法
がある。
また、2液混合による方法も提案されている。これは
まず、シリコン樹脂あるいはその他のラバーベースに硬
化剤を混合し、混合したそのシリコン樹脂あるいはラバ
ーベースを皮膚表面に塗布する。その際、中に含まれて
いるその硬化剤のはたらきにより皮膚表面にはシリコン
樹脂あるいはその他のラバーベースが硬化して塗膜が形
成される。そして、得られたそのシリコン樹脂を皮膚か
らはがし、顕微鏡観察するものである。
また、他の方法として、セロイジン液といわれるパッ
ク状の透明溶液を皮膚に塗布し、ついで乾燥させ、得ら
れた塗膜を接着剤のついたセロファン紙ではがして顕微
鏡観察するというウルフ法も知られている。また、特開
昭5−43358号公報にはレプリカ材である特定の化合物
を皮膚に塗布して塗膜を作り、そのつぎにポリエステル
樹脂板に粘着性の高いアクリル酸エステル共重合体を塗
布した剥離材を先の塗膜の上から当て、その粘着力を利
用して塗膜を皮膚面からはがし、皮膚に当たっていた塗
膜の表面を顕微鏡観察するという方法が提案されてい
る。
さらに、スンプ板といわれるセルロイド板に酢酸アミ
ルあるいはアセトンを塗付し、そのスンプ板とともに酢
酸アミルあるいはアセトンを皮膚に押し付けて皮膚表面
の皮膚組織の微細な構造を、その酢酸アミルあるいはア
セトン表面に転写し、つぎに乾燥後これをはがして顕微
鏡観察するというスンプ法も知られている。
〔発明が解決しようとする課題〕
このような従来の提案の一つ一つについて子細に検討
をおこなうと、つぎのような多くの問題点が認められ
る。
2段レプリカ法には作業が煩雑であって観察までに長
時間を要するという問題点がある。シリコン樹脂に硬化
剤を混合してこれを使用時に塗布するという方法は、常
時2種類の薬剤を準備しておかなければならず、また、
使用にあたってそのつど2つの薬剤を混合しなければな
らず、薬剤の保存と使用時の取り扱いが困難であるとい
う問題点がある。さらに、2つの薬剤を混合するにはそ
のための計量が必要であり、しかも、この方法の場合に
は皮膚表面に塗る時間的余裕は約2分間と限られてお
り、取り扱いに注意が必要である。また、レプリカ法に
用いられるこれらの素材は、皮膚の狭く深い部分には充
分入り込まずそのためそのような部分の正確な転写を得
ることは難しいという問題点があった。また、素材はい
ずれも不透明であり、採取したレプリカの観察には、反
射型の顕微鏡を使用しなければならず、細部の観察がよ
くできないという問題点がある。
ウルフ法は、2つのウルフ法いずれの場合にも、皮膚
表面とそこに形成した塗膜との接着力が強く、皮膚に塗
布して得られた塗膜を皮膚からはがすときの皮膚や肌の
刺激が強すぎるという問題点があった。また、液状の場
合には皮膚に均一に塗布することが難しく、乾燥時間も
長くかかり、はがすときの失敗も多いという問題点があ
った。
このような問題点を考えると、スンプ法が比較的妥当
であって、一般にはスンプ法が広く用いられている傾向
にある。ところが、凹凸の激しい顔面などにおいて凹部
内の皮溝部分のレプリカを作成しようとすると、セルロ
イド板は皮膚の形状に従わず、結局は平面部分もしくは
凸部の皮膚レプリカしか作成できない。凹部が浅ければ
セルロイド板を強く押し付けることにより凹部奥の皮溝
を転写できるが、皮膚に圧力を加えると皮膚表面の皮膚
組織の微細な構造は、一時的に変形してしまう。そのた
め、自然な状態における皮膚表面の皮膚組織の正確な転
写ができないという問題点があった。さらに、スンプ法
では皮膚レプリカ作成時にスンプ板を皮膚から離す際に
皮膚角質層をはがすことが多く、このため、皮膚の炎症
を引き起こし当面(1ケ月位)の間、同一部位のレプリ
カを採取できないという問題点もあった。
本発明はこのような従来の技術的問題点を解決しよう
とするものであって、頬と鼻の境目のように突き出しや
へこみの激しい部分であっても、その部分の皮膚表面の
皮膚組織の微妙な皮丘・皮溝を正確に転写することがで
きる皮膚レプリカ作成用フィルムとその製造方法を提供
することを技術的課題とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明によれば、以下のものにより上記課題を解決す
ることができる。
ポリ酢酸ビニルの部分鹸化物で平均重合度1000〜15
00のポリビニルアルコールを主要成分とする皮膚レプリ
カ作成用フィルム。
ポリ酢酸ビニルの部分鹸化物で平均重合度1000〜15
00のポリビニルアルコールと、ポリ酢酸ビニルの部分鹸
化物で平均重合度が300〜700のポリビニルアルコールと
を含み、そのうち平均重合度が300〜700のポリビニルア
ルコールの割合が両者合わせたうちの0.5重量倍以下で
あるポリビニルアルコールを主要成分とする皮膚レプリ
カ作成用フィルム。
ポリビニルアルコールを主要成分とする皮膜形成成
分を水系中に溶解し、皮膜形成成分を溶解して得られた
その溶液を平面上で乾燥する皮膚レプリカ作成用フィル
ムの製造方法。
上記において、皮膜形成成分を溶解する水系は、
低級脂肪族アルコールまたは多価アルコールの少なくと
も一方を含有している皮膚レプリカ作成用フィルムの製
造方法。
上記またはにおいて、ポリビニルアルコールを
主要成分とする皮膜形成成分を水系中に溶解し、溶液の
粘度を30000〜70000センチポイズ(以下cpと略記す
る。)に調整したうえで、調整して得られたその溶液を
平面上で乾燥する皮膚レプリカ作成用フィルムの製造方
法。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明にかかわる皮膚レプリカ作成用フィルムの主要
成分に用いられるポリビニルアルコールの平均重合度は
1000〜1500、好ましくは1200〜1500の範囲が選択され
る。平均重合度が1000未満であると、皮膚レプリカ作成
用フィルムの水に対する親和性は高まるものの、反面保
形性が低下し、膨潤等によりヨレ(シワ)を生じ、良好
なレプリカの採取が困難となる。平均重合度が1500を超
えると保形性では優れるものの、皮膚レプリカ作成用フ
ィルムの水に対する親和性が低くなりすぎてしまう。そ
のため、皮膚レプリカを作成する際、より微細な皮溝部
分あるいはより深い皮溝部分に、フィルムの溶解した粘
性水溶液が充分深く入りきれず、転写される皮膚組織の
形状は不鮮明になる。すなわち重合度が低すぎる場合も
高すぎる場合も、皮膚表面の皮膚組織の微細な構造を皮
膚レプリカ作成用フィルムに正確に転写することが困難
になるので好ましくない。
本発明にかかわる皮膚レプリカ作成用フィルムでは、
主要成分に用いられるポリビニルアルコールとして上記
した重合度1000〜1500のものに加えて重合度300〜700の
ものを一定割合下で併用すると更に好ましい。
すなわち、上記した皮膚レプリカ作成用フィルムの保
形性と水に対する親和性のバランスをとりつつ、全ポリ
ビニルアルコール中の0.5重量倍以下、好ましくは0.4重
量倍以下の割合で重合度300〜700のポリビニルアルコー
ルを含有せしめることにより、非常にきめの細かい表面
層が得られるようになる。
重合度300〜700のポリビニルアルコールの全ポリビニ
ルアルコール中の含有割合が0.5重量倍を超えると、水
に対するフィルムの親和性が優先し、保形性が低下して
良好な皮膚レプリカ作成用フィルムとはなり得ない。
なお、上記した重合度1000〜1500のポリビニルアルコ
ールまたは重合度300〜700のポリビニルアルコールはい
ずれもポリ酢酸ビニルの部分鹸化物であり、その鹸化度
は87〜89モル%であるとよい。鹸化度が87〜89モル%で
あると、水に対する親和性が最適の状態になる。鹸化度
が87モル%未満、あるいは89モル%を超えると、いずれ
の場合も水に対する親和性が低下してあまり好ましくな
い。
衆知のように、皮膚レプリカ作成用フィルムの場合に
は、透明性、長期保存性、柔軟性、水に対する親和性な
どとともに肌に対する親和性も高いことが要求される。
この点から、ポリビニルアルコールと同様にシート状の
形成が可能である他の水溶性高分子化合物、たとえば、
プルラン、アルギン酸ナトリウム、ガム質、コラーゲ
ン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、
ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸エステル/メタ
アクリル酸エステル共重合体、ヒドロキシプロピルセル
ロース、ケルトロール、カーボポールなどは、単独では
皮膚レプリカ作成用フィルムに使用し得ないが、本発明
の目的を逸脱しない範囲でポリビニルアルコールととも
に使用することは可能である。
本発明で用いられる皮膚レプリカ作成用フィルムはさ
らに透明性を害さない程度に微量の色素によって着色さ
れていると顕微鏡観察が容易になって好ましい。
また、本発明にかかわる皮膚レプリカ作成用フィルム
の厚さは、30〜80μm、好ましくは40〜60μmが望まし
い。皮膚レプリカ作成用フィルムの厚さが30μm未満で
あると、フィルムの機械的強度が弱くなって好ましくな
い。反対に80μmを超えると、フィルムが柔軟でなくな
って起伏の激しい部分の皮膚の表面の正確な転写が難し
くなるので好ましくない。
このような本発明にかかわる皮膚レプリカ作成用フィ
ルムは、吸湿性が低く湿度に伴う変化も比較的小さく長
期保存が可能であり、また透明性や柔軟性にも優れ、か
つ、水や肌に対する親和性も良好なものである。
本発明にかかわる皮膚レプリカ作成用フィルムの製造
方法は、上記のポリビニルアルコールを主要成分に含ん
だ皮膜形成成分を、水系中に溶解することによる。
ここで、水系とは水もしくは水を主体として水に他の
成分を含有せしめたものをいい、他の成分として、たと
えば、皮膚レプリカ作成用のフィルムの乾燥性を早めて
フィルムの変形を防ぐために低級脂肪族アルコール、た
とえば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプ
ロピルアルコールなどやまたは、皮膚レプリカ作成用フ
ィルムの柔軟性を高め、かつ、保存時のフィルムの乾燥
を防止するために多価アルコール、たとえば、プロピレ
ングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン
などを含有せしめておくとよい。
水系中における低級脂肪族アルコールの濃度は50重量
%以下、好ましくは30重量%以下である。濃度が50重量
%を超えると皮膜形成成分の凝集が起こりむらのない均
一な厚さのフィルムが得られず好ましくない。一方、水
系中の多価アルコールの濃度は5重量%以下、好ましく
は3重量%以下に留めるべきである。濃度が5重量%を
超えると、フィルムの乾燥工程で長時間を要するほか、
保存時でも吸湿性が大きくベタツクなどあまり好ましく
ない。
ポリビニルアルコールを主要成分とする皮膜形成成分
は、水系100重量部に対し、15〜35重量部の量で溶解す
るとよい。
ポリビニルアルコールを主要成分とする皮膜形成成分
を水系に溶解する際、粘度は30000〜70000cp、好ましく
は40000〜60000cpに調整するとよい。粘度が30000〜700
00cpであると平面状に延展しやすく、得られてくるフィ
ルムの厚さが極めて均一になるので好ましい。
粘度の調整は次のように行うとよい。まず、多価アル
コール、たとえば1,3−ブチレングリコールを精製水に
溶解して5重量%以下の多価アルコール水溶液を調製
し、調製して得られたその多価アルコール水溶液にポリ
ビニルアルコールを主要成分に含んだ皮膜形成成分を分
散する。ついですくなくとも80℃以上、好ましくは80〜
85℃に加熱してその分散した皮膜形成成分を溶解する。
加熱温度が80℃未満であるとポリビニルアルコールを主
要成分とする皮膜形成成分は溶解しにくくなって好まし
くない。つぎに、このようにして皮膜形成成分を溶解し
た多価アルコール水溶液を40〜50℃にまで冷却し、つい
で、たとえばB型粘度計のような粘度計で4号ロータな
どを使用し、目標とする粘度の値を確認しながら室温の
水または低級脂肪族アルコール、たとえば、エチルアル
コールを滴下するとよい。
つぎに、このようにしてポリビニルアルコールを主要
成分とする皮膜形成成分を溶解した溶液を磨きガラス板
のような平板な板の上に、たとえば、薄層板作成器など
を用いて厚さ0.1〜0.7mmの厚さで全体に均一に塗布し、
約20℃〜25℃で30分〜1時間放置し、さらに、60℃前後
で3〜6時間乾燥させるとよい。
通常は、このようにすると厚さ30〜80μm程度の透明
なフイルムを得ることができる。ついで、得られたフィ
ルムは25mm×25mmの大きさに切断して用いる。
以上のように製造される皮膚レプリカ作成用フィルム
を用いて皮膚レプリカを作成する場合、予め皮膚組織表
面の凹凸を水で洗浄しておくことが好ましい。この場合
ローション等の水を主体とする化粧水を用いてもよい。
ついで、第4図のように、フィルム1の一面もしくは皮
膚表面2の少なくとも一方に水または化粧水3を塗布
し、フィルム1を前記皮膚表面に付着させる。するとフ
ィルム1の表面は水または化粧水3で溶解し、それが皮
膚表面の皮膚組織の微細な凹凸にわけいり、フィルム全
体が皮膚表面2に密着する。
さらに、そのフィルム1の上から水または化粧水3を
塗布すると、フィルム1の皮膚に接着していない反対側
面も溶解し、フィルム全体が液体に近い状態となり(1
a)、皮膚表面2にさらに強く密着する。この場合、水
の量や時間によりフィルム1が完全に溶解する場合とフ
ィルム1が完全に解けずに芯として残る場合とがある。
フィルム1の上からさらに水3を塗布することの意味
は、もし塗布しないと乾燥したときフィルム1bにシワが
生ずるおそれがあるからである。
ついで、乾燥させて固化したフィルム1bをはがすと、
皮膚表面2を転写した皮膚レプリカが得られる。このよ
うにして得られた皮膚レプリカをプレパラート用基板に
付着して、顕微鏡で観察する。
皮膚表面からフィルム1bをはがす場合には、第5図に
示したような、窓孔5aを有するとともに、一面に接着剤
を塗布してある台紙6を用い、この台紙6の接着面6aを
皮膚表面3のフィルム1bに押し付け、台紙6とともにフ
ィルム1bをはがし、さらに前記窓孔5aに対応した窓孔5b
を有するプレパラート用基板7に台紙6とともにフィル
ム1bをはり着けるとよい。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例について説明する。
<実施例1> 精製水51重量部に1,3−ブチレングリコール2重量部
を溶解して得られた多価アルコール水溶液に、酢酸ビニ
ルを87〜89%部分鹸化して得られた平均重合度1500のポ
リビニルアルコールを15重量部と、酢酸ビニルを87〜89
%部分鹸化して得られた平均重合度500のポリビニルア
ルコール7重量部とを混合したポリビニルアルコールを
分散した。ついでこれを80℃に加熱して溶解し、つぎに
40℃まで冷却後、エチルアルコールを25重量部滴下して
粘度約50000cpのポリビニルアルコール溶液を調整し
た。粘度の確認にはB型粘度計を用い、4号ロータを使
用した。つぎに、このように粘度を調整して得られたポ
リビニルアルコール溶液を、薄層板作成器を用いて、ガ
ラス板上に約0.3mmの均一な厚さに引き延ばすようにし
て塗布したのち、乾燥させた。
以上のようにして厚さ50μmの、均一な厚さの透明フ
ィルムを得た。
そして、予め頬と鼻の境目部分の凹んだ皮膚表面を水
で洗浄し、ついで、その皮膚表面に水を塗布し、皮膚レ
プリカ作成用フィルムを前記皮膚表面に付着させた。つ
いで、そのフィルムの上から水を塗布し、フィルムの皮
膚に接触していない反対側面も溶解させた。
その後、自然乾燥によってて固化したフィルムをはが
し、得られた皮膚レプリカをプレパラート用基板にはり
着けて、顕微鏡で観察した。
顕微鏡観察したところ皮膚表面の皮膚組織の微細な形
状が極めて鮮明に観察された。結果を第1図の写真図に
示す。倍率は15倍とした。
なお、以下ポリビニルアルコールにはすべて、酢酸ビ
ニルを87〜89%部分鹸化して得られたポリビニルアルコ
ールを用いた。顕微鏡写真の倍率はすべて15倍とした。
<実施例2> 精製水を48重量部、平均重合度1300のポリビニルアル
コールを18重量部、粘度を約60000cpとした以外は実施
例1と同一とした。
以上のようにして得られた厚さ55μmの、均一な厚さ
の透明フィルムを用い、実施例1と同一場所の皮膚レプ
リカを同一方法で形成し、同様に顕微鏡観察したところ
皮膚表面の皮膚組織の微細な形状が実施例1の場合と同
様に、極めて鮮明に観察された。
<実施例3> 精製水を53重量部、平均重合度1500のポリビニルアル
コールを13重量部、1,3−ブチレングリコールの代わり
にプロピレングリコール2重量部、粘度を約30000cpと
した以外は実施例1と同一とした。
以上のようにして得られた厚さ45μmの、均一な厚さ
の透明フィルムを用い、実施例1と同一場所の皮膚レプ
リカを同一方法で形成し、同様に顕微鏡観察したところ
皮膚表面の皮膚組織の微細な形状が実施例1の場合と同
様に、極めて鮮明に観察された。
<実施例4> 粘度を約50000cpに調整した後、色素カルミン酸を0.0
05重量部加えて赤紫色に着色し、厚さ50μmのシートを
形成した以外は実施例1と同一とした。
以上のようにして得られた厚さ50μmの、均一な厚さ
の赤紫色の半透明フィルムを用い、実施例1と同一場所
の皮膚レプリカを同一方法で形成し、同様に顕微鏡観察
したところ皮膚表面の皮膚組織の微細な形状が実施例1
の場合と同様に極めて鮮明に観察された。特に着色剤の
作用により凹凸が顕微鏡下に鮮明に映った。
<実施例5> 精製水を53重量部、ポリビニルアルコールとしては、
平均重合度1200のポリビニルアルコールを20重量部の量
で単独で用いた以外は実施例1と同一とした。
以上のようにして得られた厚さ65μmの、均一な厚さ
の透明フィルムを用い、実施例1と同一場所の皮膚レプ
リカを同一方法で形成し、同様に顕微鏡観察したとこ
ろ、皮膚表面の皮膚組織の微細な形状が実施例1の場合
にほぼ匹敵する程度に鮮明に観察された。
<実施例6> 精製水を57重量部、平均重合度1500のポリビニルアル
コールを16重量部、粘度を3000cpとした以外は、実施例
5と同じにした。
以上のようにして得られた厚さ55μmの、均一な厚さ
の透明フィルムを用い、実施例1と同一場所の皮膚レプ
リカを同一方法で形成し、同様に顕微鏡観察したところ
皮膚表面の皮膚組織の微細な形状が実施例1の場合にほ
ぼ匹敵する程度に鮮明に観察された。
<実施例7> 平均重合度1500のポリビニルアルコールを20重量部、
1,3−ブチレングリコールの代わりにグリセリン2重量
部、精製水を53重量部、粘度を70000cpとした以外は、
実施例5と同一とした。
以上のようにして得られた厚さ65μmの、均一な厚さ
の透明フィルムを用い、実施例1と同一場所の皮膚レプ
リカを同一方法で形成し、同様に顕微鏡観察したところ
皮膚表面の皮膚組織の微細な形状が実施例1の場合にほ
ぼ匹敵する程度に鮮明に観察された。
<比較例1> ポリビニルアルコールとして平均重合度500のポリビ
ニルアルコールを23重量部の量で単独で用い、精製水を
50重量部とした以外は実施例1と同一とした。
以上のようにして得られた厚さ50μmの、均一な厚さ
の透明フィルムを用い、実施例1と同一場所の皮膚レプ
リカを同一方法で形成し、同様に顕微鏡観察したところ
顕微鏡に映った皮膚表面の皮膚組織の形状は不鮮明であ
った。
<比較例2> ポリビニルアルコールを平均重合度1700のポリビニル
アルコール18重量部の量で単独で用い、精製水を55重量
部とした以外は実施例1と同じにした。
以上のようにして得られた厚さ40μmの、均一な厚さ
の透明フィルムを用い、実施例1と同一場所の皮膚レプ
リカを同一方法で形成し、同様に顕微鏡観察したところ
顕微鏡に映った皮膚表面の皮膚組織の形状は不鮮明であ
った。
<比較例3> 2液混合による方法として、シリコン系ラバーベース
と硬化剤との2液を混合し、これらの混合液を額部分に
塗布し、硬化した後はがして皮膚レプリカを得た。得ら
れた皮膚レプリカは不透明であり、反射型顕微鏡を用い
て観察した。なお、シリコン系ラバーベースと硬化剤と
は、皮膚レプリカ作成用に市販されている薬剤(イギリ
ス、FLEXICO DEVELOPMENTS製、商品名SILFLO)を用い
た。結果を第2図の写真図に示す。
<比較例4> スンプ板に酢酸アミルを塗布し、額部分を転写した皮
膚レプリカを作成した。スンプ板と酢酸アミルとにはス
ンプ法用に市販されている材料(スンプ研究所製)を用
い、スンプ法として提案されている方法に従った。結果
を第3図の写真図に示す。
次に、以上の観察結果を次の第1表に示す。
以上の観察結果から、本発明にかかわる皮膚レプリカ
作成用フィルムから得られる皮膚レプリカは、額部分の
ような比較的凹凸の少ない部分でスンプ法によって得ら
れる皮膚レプリカと同等あるいはそれ以上に鮮明な皮膚
レプリカを、頬と鼻の境目部分のように深く凹んだ部分
でも作成することができることがわかった。2液を混合
して得られる皮膚レプリカは、特に重要な皮溝の深い部
分の状態が不鮮明であった。また、実施例1から実施例
7を通じ、本発明にかかわる皮膚レプリカ作成用フィル
ムから皮膚レプリカを作成する際、被験者には皮膚に対
する激しい刺激や肌荒れが全く認められなかった。これ
に反して比較例4のスンプ法では、被験者には有機溶剤
特有の鼻に対する強い刺激、皮膚に対する強い痛みかゆ
みが認められた。
〔発明の効果〕
本発明にかかわる皮膚レプリカ作成用フィルムは、前
記のような構成としたので、たとえば頬と鼻の境目部分
のように突き出しやへこみの激しい部分であっても、そ
の凹凸に沿って皮膚表面に密着でき、しかも水に溶解す
ることでその部分の皮溝の深い部分にまでくまなくその
素材すなわちポリビニルアルコールが入り込み、皮膚表
面の皮膚組織の微妙な皮丘・皮溝の形状を正確に転写す
ることができ、皮膚に対する刺激もない。
また、ポリビニルアルコールを主要成分としているの
で透明であり透過型の光学顕微鏡で容易に観察すること
ができる。
本発明にかかわる皮膚レプリカ作成用フィルムの製造
方法は、前記のようなすぐれた皮膚レプリカ作成用フィ
ルムを極めて容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明に係るフィルムを用いて作成した皮膚
レプリカ{皮膚の表面状態(生物の形態)をあらわす}
の顕微鏡写真図、第2図及び第3図は比較例{皮膚の表
面状態(生物の形態)をあらわす}の顕微鏡写真図、第
4図(a)〜(c)は、皮膚レプリカ作成方法を示す工
程図、第5図は皮膚に付着させた皮膚レプリカ作成用フ
ィルムをはがすときに用いるプレパラート用基板であ
る。 1……水溶性透明フィルム、1a……水に溶解したフィル
ム、1b……再度固化したフィルム、2……皮膚表面、3
……水または化粧水、5a,5b……窓孔、6……台紙、7
……プレパラート用基板。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリ酢酸ビニルの部分鹸化物で平均重合度
    1000〜1500のポリビニルアルコールを主要成分とする皮
    膚レプリカ作成用フィルム。
  2. 【請求項2】ポリ酢酸ビニルの部分鹸化物で平均重合度
    1000〜1500のポリビニルアルコールと、ポリ酢酸ビニル
    の部分鹸化物で平均重合度が300〜700のポリビニルアル
    コールとを含み、そのうち平均重合度が300〜700のポリ
    ビニルアルコールの割合が両者合わせたうちの0.5重量
    倍以下であるポリビニルアルコールを主要成分とする皮
    膚レプリカ作成用フィルム。
  3. 【請求項3】ポリビニルアルコールを主要成分とする皮
    膚形成成分を水系中に溶解し、皮膜形成成分を溶解して
    得られたその溶液を平面上で乾燥する皮膚レプリカ作成
    用フィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】皮膜形成成分を溶解する水系は、低級脂肪
    族アルコールまたは多価アルコールの少なくとも一方を
    含有している特許請求の範囲第3項に記載の皮膚レプリ
    カ作成用フィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】水系中にポリビニルアルコールを主要成分
    とする皮膚形成成分を溶解し、溶液の粘度を30000〜700
    00センチポイズに調整したうえで、調整して得られたそ
    の溶液を平面上で乾燥する特許請求の範囲第3項または
    第4項に記載の皮膚レプリカ作成用フィルムの製造方
    法。
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