JP2577338Y2 - 芝生床版装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、スポーツや芸能などの
イベントを行なう、芝生を有する競技場などの場所で、
人工芝生と天然芝生の入れ替えを行なうための機構に設
けられる芝生床版装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】芝生を有する場所には、野球場，陸上競
技場，サッカー競技場などのようにスポーツを行なう場
所がある。また、近年、これらのスポーツを、同じ場所
を使い分けて行なう全天候型のスタジアムなども数多く
存在する。更に、そのようなスタジアムではスポーツ以
外の、例えば芸能などのイベントも催される。このよう
な競技場或いはスタジアムには、人工芝生或いは天然芝
生が備えられる。

【０００３】しかしながら、スポーツの種類によっては
人工芝生よりも天然芝生の方が望ましい場合がある。ま
た天然芝生は痛みやすく管理が難しいことなどから、逆
に人工芝生の方が望ましいイベントなどもある。従来
は、同じ競技場或いはスタジアムなどを使用する限り
は、人工芝生と天然芝生のどちらを使用するかを選ぶこ
とができず、選ぶためには競技場などそのものを選ばな
ければならなかった。

【０００４】そこで本出願人は、同一の競技場などにお
いて、スポーツの種類などにより人工芝生と天然芝生を
自由に入れ替えできる芝生の入れ替え機構を既に出願し
ている。

【０００５】この芝生の入れ替え機構は、スタジアムな
どの芝生を有する場所で、芝生面１から所定深さで収納
凹所３を形成する（図４〜図６参照）。この収納凹所３
内で昇降動作する人工芝生床版５を設ける。この人工芝
生床版５が降下した状態の上方空間を利用して、天然芝
生床版７を水平移動させる。この水平移動により天然芝
生を載置した天然芝生床版７を所定の場所から他の場所
に移動できる。天然芝生を人工芝生に入れ替える場合に
は、天然芝生床版７を他の場所へ移動させた後、再び人
工芝生床版５を上昇させる。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、例えば
人工芝生床版５を上昇させて、人工芝生の上で競技など
が行われる際に、人工芝生床版５が揺れてしまったり、
また周囲の芝生面１とに段差が生じてしまうおそれがあ
ることは好ましくない。従って、上昇させた人工芝生床
版５を芝生面１と面一の高さに確実に位置決めして固定
し得る固定装置を設けることが望ましい。

【０００７】本考案は、以上の如き事情に鑑みて成され
たものであり、その目的は、昇降動作する床版を上昇位
置で周囲と段差を生じさせることなくなく規定の高さに
確実に位置決め固定し得る芝生床版装置を提供すること
にある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】以上の目的を達成するた
めに、本考案の芝生床版装置は、芝生面に形成された収
納凹所に設けられて、該収納凹所から該芝生面に向かっ
て昇降する床版を有する芝生床版装置において、上記床
版と上記収納凹所との間に、上記芝生面に上昇した該床
版に係合して、該床版の高さが該芝生面と面一となるよ
うに上昇位置を矯正して位置決め固定する係脱自在な位
置決め固定手段を設け、該位置決め固定手段が、上記収
納凹所に水平方向に互いに間隔を隔てて配置され、相互
間に上記床版の昇降方向に連続する隙間を形成する一対
の板材と、上記床版に設けられ、該床版の昇降に伴って
上記隙間に位置される板状片と、上記各板材にそれぞれ
設けられ、その押圧ロッドを水平方向に沿って上記隙間
に突出させて該隙間に位置する上記板状片をその水平方
向両側から挟圧する一対のシリンダと、上記板状片の上
記各板材と対向する両面に、少なくとも上記床版の昇降
方向に沿う互いに逆向きのテーパでコーン状に窪ませて
形成された一対のテーパ凹部と、上記押圧ロッドの先端
にそれぞれ設けられ、少なくとも上記床版の昇降方向に
沿う逆向きのテーパでコーン状に形成されて上記各テー
パ凹部にそれぞれ嵌まり込む一対の頭部とからなること
を特徴とする。

【０００９】

【作用】昇降する床版が上昇位置にセットされて、その
停止位置に若干の誤差が生じても、位置決め固定手段の
作用により、床版はその上昇停止位置の誤差を矯正され
て周囲と面一の高さに位置決めされて、収納凹所内に固
定係止される。詳細に説明すると、収納凹所に水平方向
に互いに間隔を隔てて配置され、相互間に床版の昇降方
向に連続する隙間を形成する一対の板材と、床版に設け
られ、床版の昇降に伴って隙間に位置される板状片と、
各板材にそれぞれ設けられ、その押圧ロッドを水平方向
に沿って隙間に突出させて隙間に位置する板状片をその
水平方向両側から挟圧する一対のシリンダという構成を
備えていて、一対の板材で水平方向にクリアランスを有
する床版昇降方向の隙間を形成しこの隙間に挿入された
板状片をシリンダの押圧ロッドで水平方向両側から挟み
込むことに加えて、板状片の各板材と対向する両面に、
少なくとも床版の昇降方向に沿う互いに逆向きのテーパ
でコーン状に窪ませて形成された一対のテーパ凹部と、
押圧ロッドの先端にそれぞれ設けられ、少なくとも床版
の昇降方向に沿う逆向きのテーパでコーン状に形成され
て各テーパ凹部にそれぞれ嵌まり込む一対の頭部という
構成を備えて、これらテーパ凹部と頭部との嵌め合わせ
により、床版の上昇停止位置に若干の誤差があっても、
床版はその誤差が矯正されて周囲と面一の規定の高さに
位置決めされながら、収納凹所内に強固に固定係止され
ることになる。

【００１０】

【実施例】以下、本考案の一実施例を図１〜図６におい
て説明する。このうち図４〜図６は、本実施例の芝生床
版装置が設備される芝生の入れ替え機構を示す。スタジ
アムなどの芝生を有する場所で、芝生面１から所定深さ
で収納凹所３が形成される。この収納凹所３内には、人
工芝生床版５が昇降装置９により昇降動作できるように
設けられている。即ち、人工芝生床版５は柱１１によっ
て支えられるように構成され、この柱１１によって形成
された人工芝生床版５と収納凹所３の底面１３との間の
空間１４に、リンク機構１５が収納されている。このリ
ンク機構１５はシリンダ１７により伸縮し、人工芝生床
版５を昇降動作させる。人工芝生床版５が降下した状態
では、上方に空間１９が形成される。

【００１１】この上方空間１９を利用して、天然芝生床
版７は水平移動されるようになっている。即ち、収納凹
所３の側部にはレール棚２１が設けられ、レール２３が
敷設されている。このレール２３によって案内される車
輪２５が天然芝生床版７に設けられている。

【００１２】人工芝生床版５を降下させた状態の上方空
間１９を利用して、天然芝生床版７を他所から水平移動
してくれば、その収納凹所３を天然芝生床版７で覆うこ
とができ、天然芝生を使用してスポーツなどが行なえ
る。逆に、天然芝生床版７を他所へ移動させた後で、人
工芝生床版５を上昇させれば、収納凹所３を人工芝生床
版５で覆うことができ、人工芝生を使ってスポーツなど
が行なえる。

【００１３】ところで、本実施例は上述したような芝生
面１に形成された収納凹所３に設けられて、収納凹所３
から芝生面１に向かって昇降する人工芝生床版５を有す
る芝生床版装置において、人工芝生床版５と収納凹所３
との間に、芝生面１に上昇した人工芝生床版５に係合し
て、人工芝生床版５の高さが芝生面１と面一となるよう
に上昇位置を矯正して位置決め固定する係脱自在な位置
決め固定手段２７を設け、この位置決め固定手段２７
が、収納凹所３に水平方向に互いに間隔を隔てて配置さ
れ、相互間に人工芝生床版５の昇降方向に連続する隙間
を形成する一対の板材としての対向板４３と、人工芝生
床版５に設けられ、人工芝生床版５の昇降に伴って隙間
に位置される板状片としての舌片部３１と、各対向板４
３にそれぞれ設けられ、その押圧ロッド４９を水平方向
に沿って隙間に突出させて隙間に位置する舌片部３１を
その水平方向両側から挟圧する一対のシリンダ４７と、
舌片部３１の各対向板４３と対向する両面に、少なくと
も人工芝生床版５の昇降方向に沿う互いに逆向きのテー
パでコーン状に窪ませて形成された一対のテーパ凹部３
２と、押圧ロッド４９の先端にそれぞれ設けられ、少な
くとも人工芝生床版５の昇降方向に沿う逆向きのテーパ
でコーン状に形成されて各テーパ凹部３２にそれぞれ嵌
まり込む一対の頭部４２とからなる構成となっている。
すなわち、人工芝生床版５と収納凹所３との間には、上
昇位置で停止された人工芝生床版５を規定の高さに正確
に位置決めして係脱自在に固定係止する位置決め固定手
段２７が設けられていて、芝生面１へ上昇された人工芝
生床版５はその上面の高さが周囲の芝生面１と面一に正
確に位置決めされて固定されるようになっている。

【００１４】すなわち、この位置決め固定手段２７は、
図１〜図３に示すように、人工芝生床版５の側部に設け
られた被係合材２９と、これに対応して収納凹所３の側
部に設けられ係合材４１とから主に構成されている。

【００１５】被係合材２９は、略ボックス状の本体３５
を有し、この本体３５にはその一側壁に舌片部３１が面
を縦にして形成されており、本体３５の上面が取付け面
３７となっていて、その取付け面３７に設けたボルト孔
３９を利用して、人工芝生床版５の強度部材にボルト締
結により固着される。

【００１６】一方、係合材４１は、二枚の対向板４３，
４３が平行に離間して基板材４７へ固着されていて、そ
の狭間へ被係合材２９の舌片部３１が挿入されるように
なっている。基板材４７と各対向板４３，４３との間に
はそれぞれ補強板４５…が固着されており、各対向板４
３，４３には外側にシリンダ４７が各々設けられてい
る。そして、シリンダ４７の押圧ロッド４９が、対向板
４３を貫通して突出するようになっており、対向した一
対の押圧ロッド４９，４９で舌片部３１を挟んで把持す
るようになっている。

【００１７】ここで、位置決め固定手段２７には、シリ
ンダ１７の作動によりリンク機構１５を介して上昇位置
で停止された床版５を、この床版５側に一体的に取付け
られた舌片部３１を収納凹所３側に設けた一対の押圧ロ
ッド４９，４９で挾圧して固定係止するにあたって、芝
生面１に対する人工芝生床版５の上面の高さ位置を周囲
の芝生面１に自動的に面一に合せるための位置決め手段
としての機能が付与されている。

【００１８】つまり、被係合材２９の舌片部３１には位
置合せのためのテーパ凹部３２が略コーン状に窪まされ
た状態で両側に各々形成されている。また、これに対応
して係合材４１側には、シリンダ４７の押圧ロッド４９
の先端にテーパ状に拡径形成された頭部４２が各々設け
られており、図３に示すように、押圧ロッド４９の突出
に伴って頭部４２が舌片部３１のテーパ凹部３２に嵌ま
り込むようになっている。この場合、舌片部３１に形成
するテーパ凹部３２の深さ寸法をｄにしたとすれば、両
テーパ凹部３２間の板厚ｔ1 は２ｄ以上とし、更に舌片
部３１の板厚ｔ0 は３ｄ以上にすることが望ましい。ま
た上記テーパの傾斜角は４５度程度が望ましい。

【００１９】なお、舌片部３１へ臨んで対向する押圧ロ
ッド４９，４９は、対向両者を同時に突出させるように
してもよいが、図３（Ａ）〜（Ｃ）に示すように、まず
一方を所定量突出させて簡易的に当接係止させ、この
後、対向する他方を突出させて両押圧ロッド４９，４９
間で舌片部３１を強固に挾圧固定するようにした方が位
置合せには好ましい。

【００２０】従って、以上のように構成される芝生床版
装置では、人工芝生床版５を使用する場合に、シリンダ
１７の作動によりリンク機構１５を介して当該人口芝生
床版５を収納凹所３内の下部から芝生面１に向けて上昇
させて所定の高さ位置に停止させると、被係合材２９の
舌片部３１が係合材４１の対向板４３，４３の狭間に入
り込む。このとき、シリンダ１７の作動やリンク機構１
５の連結部の各部におけるガタ付き等により、その停止
位置に若干の誤差が生じて位置ズレが起こり得る。

【００２１】次に、シリンダ４７を動作させることによ
り押圧ロッド４９を突出させてその先端で舌片部３１の
両側を対向して押圧し、当該舌片部３１を挟んで把持す
る。このとき、押圧ロッド４９，４９の先端の頭部４２
が、舌片部３１に形成されたテーパ凹部３２と嵌まり合
うので、舌片部３１側に上述のように若干の位置ズレが
生じていても、そのズレは押圧ロッド４９，４９の当接
にともない舌片部３１側が移動して矯正されるので位置
ズレが生じたままでで挟まれることがなく、必ず規定の
位置関係となる。したがって、人工芝生床版５を規定の
位置に自動的に位置決めして強固に固定でき、当該床版
５の揺れが防止される。

【００２２】なお、以上の実施例において昇降装置９に
用いられるシリンダ１７、及び位置決め固定手段２７に
用いられるシリンダ４７は、油圧，水圧、或いは空気圧
のいづれの種類のシリンダであってもよい。

【００２３】

【考案の効果】以上、実施例で詳細に説明したように、
本考案の芝生床版装置によれば、昇降する床版が上昇位
置にセットされて、その停止位置に若干の誤差が生じて
も、位置決め固定手段の作用により、床版をその上昇停
止位置の誤差を矯正して周囲と面一の規定の高さに位置
決めして収納凹所内に強固に固定係止することができ、
床版の揺れをなくすことができる。すなわち、一対の板
材で水平方向にクリアランスを有する床版昇降方向の隙
間を形成しこの隙間に挿入された板状片をシリンダの押
圧ロッドで水平方向両側から挟み込むことに加えて、板
材のテーパ凹部と押圧ロッドの頭部との嵌め合わせによ
り、床版の上昇停止位置に若干の誤差が生じても、その
誤差を矯正して周囲と面一の規定の高さに位置決めしな
がら、この床版を収納凹所内に強固に固定係止すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例に係る芝生床版装置の位置決
め固定手段を示す斜視図である。

【図２】図１の平面図である。

【図３】図１の位置決め固定手段の作動を説明する図で
ある。

【図４】図１の位置決め固定手段が人工芝生床版を上昇
した位置で固定するために用いられている状態を示す縦
断面図である。

【図５】図４の側面図である。

【図６】図４の人工芝生床版が降下した状態を示す図で
ある。

【符号の説明】

１ 芝生面 ３ 収納凹所 ５ 人工芝生床版 ７ 天然芝生床版 ９ 昇降装置 １５ リンク機構 １７ シリンダ １９ 上方空間 ２３ レール ２５ 車輪 ２７ 位置決め固定手段 ２９ 被係合材 ３１ 舌部 ３２ テーパ凹部 ３５ 補強リブ ３７ 取付けプレート ４１ 係合材 ４２ 頭部 ４３ 平行板 ４５ 補強板 ４７ シリンダ ４９ ロッド

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 芝生面に形成された収納凹所に設けられ
   て、該収納凹所から該芝生面に向かって昇降する床版を
   有する芝生床版装置において、上記床版と上記収納凹所
   との間に、上記芝生面に上昇した該床版に係合して、該
   床版の高さが該芝生面と面一となるように上昇位置を矯
   正して位置決め固定する係脱自在な位置決め固定手段を
   設け、 該位置決め固定手段が、 上記収納凹所に水平方向に互いに間隔を隔てて配置さ
   れ、相互間に上記床版の昇降方向に連続する隙間を形成
   する一対の板材と、 上記床版に設けられ、該床版の昇降に伴って上記隙間に
   位置される板状片と、 上記各板材にそれぞれ設けられ、その押圧ロッドを水平
   方向に沿って上記隙間に突出させて該隙間に位置する上
   記板状片をその水平方向両側から挟圧する一対のシリン
   ダと、 上記板状片の上記各板材と対向する両面に、少なくとも
   上記床版の昇降方向に沿う互いに逆向きのテーパでコー
   ン状に窪ませて形成された一対のテーパ凹部と、 上記押圧ロッドの先端にそれぞれ設けられ、少なくとも
   上記床版の昇降方向に沿う逆向きのテーパでコーン状に
   形成されて上記各テーパ凹部にそれぞれ嵌まり込む一対
   の頭部とからなる ことを特徴とする芝生床版装置。