JP2577313B2 - 地下式貯槽の屋根部アンカーボルト付設装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、地下式貯槽のコンクリ
ート屋根内面に、保冷材，メンブレンを張設するに際
し、屋根内面にアンカーボルトを付設する装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】地下式貯槽のコンクリート屋根内面に、
保冷材（硬質ウレタンフォームなど）を張設し、この表
面にメンブレン材を張設する場合、従来はコンクリート
屋根の内面に打設するアンカーボルトの打込み位置の芯
罫書、この芯罫書き位置にハンマードリルによる孔明
け、手ハンマーによるこの穿設された孔にアンカーボル
トの打込みの順で作業を行っている。（例えば、特開平
４−２２４４００号公報参照）

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前述したような従来の
アンカーボルト打込作業では、アンカーボルトの打込み
位置ごとに芯罫書を行わなければならず、また、作業者
の孔明け，打込み姿勢が上向きであるため、芯罫書き精
度が低下するという課題とがある。更に、孔明け作業や
アンカーボルトの打設作業も、上向きの作業姿勢で１個
づつ位置，角度の微調整をしなければならないため、多
くの時間と苛酷な作業が要求されるという不都合があ
る。

【０００４】本発明の目的は、アンカーボルトの孔明
け，打設作業を、打込みガイド治具をガイトとして行う
ことで作業の迅速化，適正化，省力化と品質の向上が図
れる装置を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】従来技術の課題を解決す
る本発明の構成は、コンクリート屋根内面での作業の目
的で設置せる平面形状が円形をした作業床の上面に、適
当の間隔毎に２条一組からなる複数組の平行なレール４
を同心円状に設置せしめ、この各組のレール４間に前記
作業床の径方向にそった２条のレール５をもつ大台車枠
を乗載するとともに、この大台車枠のレール５に、台車
と、前記大台車枠のレール５と直交する平行２条のレー
ル８をもつ小台車枠とを乗載せしめ、前記台車上には、
前記コンクリート屋根の内面に打込みガイド治具を当接
支持する支持板１７を昇降可能に搭載し、また、前記各
小台車枠には、前記打込みガイド治具をガイドとしてコ
ンクリート屋根内面に穿孔する削孔装置を昇降可能に搭
載せる台車２９と、穿孔部にアンカーボルトを付設する
打込み装置を昇降可能に搭載せる台車３５とを乗載した
ものである。

【０００６】

【実施例】次に、図面について本発明実施例の詳細を説
明する。図１は本発明装置の配置を示す説明図、図２は
本発明装置の配置を示す平面図、図３は本発明装置の正
面図、図４は本発明装置の配置を示す側面図、図５は打
込みガイド治具を示す平面図、図６は本発明装置の一部
を省略した側面図、図７は打込みガイド治具をガイドと
した孔明け作業を示す要部の側面図、図８は削孔装置を
搭載した台車枠の側面図、図９は打込み装置を搭載した
台車枠の側面図、図１０はアンカーボルトにメンブレン
取付用の金具をとりつけた要部の断面図、図１１はメン
ブレン取付用の金具の平面図である。

【０００７】Ａは、地下式貯槽であって、該地下式貯槽
Ａはコンクリート躯体１，コンクリート屋根２によって
構成されており、通常、コンクリート躯体１の内側面，
コンクリート屋根２の内面には保冷材，メンブレン材が
張設される。このコンクリート屋根２の内面に保冷材，
メンブレン材を張設するに当り、この作業の目的のため
平面形状が円形をした作業床３が設けられ、この作業床
３を作業足場として保冷材，メンブレン材の張設が行わ
れるものである。そして、前記作業床３の上面には、適
当の間隔毎に２条一組からなる複数組の平行なレール４
が同心円状に配設されている。前記各組のレール４間
に、前記作業床３の径方向にそった平行２条のレール５
をもつ大台車枠６を橋架的に乗載するとともに、この大
台車枠６を構成するレール５間に台車７を乗載するとと
もに、該台車７の前後側に、前記大台車枠６のレール５
に乗載され、かつ、このレール５と直交する平行２条の
レール８をもつ小台車枠９を配設する。また、前記大台
車枠６の前後端部にはレール４に乗載する車輪１０が夫
々軸支されており、この車輪１０の全部、または、一部
を駆動することによりレール４に対して大台車枠６が作
業床３の周方向に対する往復移動を可能としたものであ
る。また、前記小台車枠９を構成するレール８は、大台
車枠６のレール５間隔よりも長尺としたものである。図
中９ａは小台車枠９に軸支した車輪で、大台車枠６のレ
ール５に乗載されている。

【０００８】図３〜図６に示すように、前記台車７の左
右側縁に設けた車輪１１が前記大台車枠６のレール５に
嵌係合されている。この台車７上には、エキスパンダ機
構１２を介して台板１３が昇降可能に搭載してあり、ま
た、この台板１３上にはこれより大型のテーブル１４を
旋回，固定可能に乗載せしめる。更に、このテーブル１
４上には、スライド調整機構１５を介し、而も、四隅部
に上向きのバキュームパッド１６を操作機構１６ａによ
り上下動可能に設けるとともに、前記テーブル１４より
大型の支持板１７を乗載する。この支持板１７上には、
伸縮調整機構１８を介して間隔が調整可能な平行した２
条の長尺なフレーム１９が乗載されており、このフレー
ム１９間に図５に示すような大型の打込みガイド治具２
０が交換可能に搭載してある。この打込みガイド治具２
０はアンカーボルトの打込み位置を決める４個一組のド
リル挿入用のスリーブ管２１をもつガイド孔２２と孔２
３が設けられている。また、この打込みガイト治具２０
はコンクリート屋根２の中心部，外周部用によって形と
大きさが異るものである。前記スライド調整機構１５は
次のように構成されている。前記テーブル１４上の四隅
部に設けた支持プレート２４に、両端に操作把手２５を
とりつけた２本の平行した回動軸２６の両端部を支承す
るとともに、支持プレート２４に対応する回動軸２６部
に夫々ピニオン２７をとりつけ、一方、このピニオン２
７に乗載噛合するラック杆２８を前記支持板１７の下面
に設けたものである。そして、前記操作把手２５を手動
にて回動することにより、ピニオン２７，ラック杆２８
を介して支持板１７を作業床３の径方向に対する微量調
整がなしうるようにしたものである。

【０００９】図４〜図９に示すように、前記小台車枠９
を構成するレール８には、削孔装置Ｂが移動可能に乗載
されている。この削孔装置Ｂは、前記レール８に台車２
９の前後縁に軸支した車輪３０を乗載させ、この台車２
９上にエキスパンダ機構３１を介して台座３２を昇降可
能に乗載するとともに、この台座３２上に回動ハンドル
機構３３によって昇降する電動ドリル３４を搭載したも
のによって構成されている。また、前記削孔装置Ｂを搭
載した小台車枠９のレール８上には、打込み装置Ｃが乗
載されている。この打込み装置Ｃは、前記レール８に台
車３５の前後縁に軸支した車輪３６を乗載させ、この台
車３５上にエキスパンダ機構３７を介して台車３８を昇
降可能に乗載するとともに、この台座３８上に押込ロッ
ド３９を有する油圧ジャッキ４０を搭載したものによっ
て構成されている。図中４１は、前記小台車枠９の左右
端部下方に設けたアウトリガーである。

【００１０】

【作用の説明】次に、前述した実施例についてその作用
を説明する。先づレール４にそって大台車枠６を移動し
所定の位置で係止させ、これの移動を固定する。そし
て、大台車枠６に対して台車７を移動するとともに、台
板１３に対するテーブル１４の旋回調整ピニオン２７と
ラック杆２８とによる左右移動調整を行って、台車７の
支持板１７上に搭載されている打込みガイド治具２０を
所定の位置に誘導する。打込みガイド治具２０のコンク
リート屋根２の内面に対する据付位置が決まったら、エ
キスパンダ機構１２により全体を上昇させ、クッション
４２を介して前記打込みガイド治具２０をコンクリート
屋根２の内面の定められた位置に押圧保持させる。これ
と同時に、操作機構１６ａによってバキュームパット１
６を屋根壁面に吸着させ、打込みガイド治具２０を定着
せしめる。

【００１１】次に、前記大台車枠６の前後側に配設され
ている小台車枠９を移動し、この小台車枠９に乗載され
ている台車２９の削孔装置Ｂによって、図５に示す打込
みガイド治具２０の四隅部に近い孔２３をガイドとして
先行削孔し、次いで、台車３５の打込み装置Ｃを誘導し
て削孔部にアンカーボルト４８を打設したのち、このア
ンカーボルト４８にナット４９を螺合して前記打込みガ
イド治具２０をコンクリート屋根２の内面に仮固定す
る。

【００１２】上述のように打込みガイド治具２０を仮固
定したら、バキュームパッド１６の吸着を解除するとと
もに、エキスパンダ機構１２の操作により全体を降下さ
せ、打込みガイド治具２０のみを屋根壁面に残す。次い
で、台車７の前後方向移動，台板１３に対するテーブル
１４の旋回回避移動を行いながら、台車２９，３５を移
動させ、これら台車２９，３５に搭載されている削孔装
置Ｂ，打込み装置Ｃによって前述と同一の要領で削孔，
アンカーボルト４３の打設をガイド孔２２を案内として
行う。このとき、アウトリガー４１を作業床３上に押圧
固定して反力を吸収する。全てのガイド孔２２にアンカ
ーボルト４３の打設が終了したら、屋根壁面に仮固定さ
れている打込みガイド治具２０の下方に台車７を誘導す
るとともに、支持板１７に乗載せるフレーム１９をそわ
せたのち、エキスパンダ機構１２により全体を上昇して
打込みガイド治具２０をフレーム１９にて支持する。そ
して、屋根壁面に対して打込みガイド治具２０を仮固定
するナット４９をボルト４８より外すことにより打込み
ガイド治具２０はフリーとなり、エキスパンダ機構１２
により全体を降下させ、打込みガイド治具２０を屋根壁
面より下方に離反させることにより、打込みガイド治具
２０によるアンカーボルト４３の打設作業が終了する。
次いで、アウトリガー４１を作業床３の上面より離反さ
せたのち、大台車枠６をレール４にそって移動させ、同
様な操作でアンカーボルト４３の打設をコンクリート屋
根２の全域に行うものである。

【００１３】図１０，図１１に示すように、コンクリー
ト屋根２の所定個所に打設された４本一組のアンカーボ
ルト４３に、先端部にボルト螺合孔４４を有する載頭円
錐形状の金具４５のフランジ部４５ａを挿通し、ナット
４６にて金具４５を固定するとともに、この金具４５の
高さと同厚の保冷材４７をコンクリート屋根２の内面に
張設し、更に、この保冷材４７の表面に前記金具４５を
用いメンブレン（図示略）を張設するようにしたもので
ある。

【００１４】

【発明の効果】上述のように本発明の構成によれば、次
のような効果が得られる。（ａ）広範囲をカバーする打
込みガイド治具を使用し、この打込みガイド治具に設け
たガイト孔を利用して屋根壁面への削孔，アンカーボル
トの打設するので、従来技術に比べて大幅な省力化，効
率化，品質の向上は勿論のこと工期の短縮が図れる。
（ｂ）上向き姿勢で重量物を支える作業がなくなるの
で、作業者に苛酷な作業が要求されない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明装置の配置を示す説明図である。

【図２】本発明装置の配置を示す平面図である。

【図３】本発明装置の正面図である。

【図４】本発明装置の配置を示す側面図である。

【図５】打込みガイド治具を示す平面図である。

【図６】本発明装置の一部を省略した側面図である。

【図７】打込みガイド治具をガイドとした孔明け作業を
示す要部の側面図である。

【図８】削孔装置を搭載した台車枠の側面図である。

【図９】打込み装置を搭載した台車枠の側面図である。

【図１０】ホールインアンカーボルトにメンブレン取付
用の金具をとりつけた要部の断面図である。

【図１１】メンブレン取付用の金具の平面図である。

【符号の説明】

Ａ 地下式貯槽 Ｂ 削孔装置 Ｃ 打込み装置 １ コンクリート躯体 ２ コンクリート屋根 ３ 作業床 ４ レール ５ レール ６ 大台車枠 ７ 台車 ８ レール ９ 小台車枠 ９ａ 車輪 １０ 車輪 １１ 車輪 １２ エキスパンダ機構 １３ 台板 １４ テーブル １５ スライド調整機構 １６ バキュームパッド １６ａ 操作機構 １７ 支持板 １８ 伸縮調整機構 １９ フレーム ２０ 打込みガイド治具 ２１ スリーブ管 ２２ ガイド孔 ２３ 孔 ２４ 支持プレート ２５ 操作把手 ２６ 回動軸 ２７ ピニオン ２８ ラック杆 ２９ 台車 ３０ 車輪 ３１ エキスパンダ機構 ３２ 台座 ３３ 回動ハンドル機構 ３４ 電動ドリル ３５ 台車 ３６ 車輪 ３７ エキスパンダ機構 ３８ 台座 ３９ 押込ロッド ４０ 油圧ジャッキ ４１ アウトリガー ４２ クッション ４３ アンカーボルト ４４ ボルト螺合孔 ４５ 金具 ４５ａ フランジ部 ４６ ナット ４７ 保冷材 ４８ アンカーボルト ４９ ナット

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 湯川 浩幸 千葉県野田市二ツ塚118番地 川崎重工 業株式会社野田工場内

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 コンクリート屋根内面での作業の目的で
   設置せる平面形状が円形をした作業床の上面に、適当の
   間隔毎に２条一組からなる複数組の平行なレール（４）
   を同心円状に設置せしめ、この各組のレール（４）間に
   前記作業床の径方向にそった２条のレール（５）をもつ
   大台車枠を乗載するとともに、この大台車枠のレール
   （５）に、台車と、前記大台車枠のレール（５）と直交
   する平行２条のレール（８）をもつ小台車枠とを乗載せ
   しめ、前記台車上には、前記コンクリート屋根の内面に
   打込みガイド治具を当接支持する支持板（１７）を昇降
   可能に搭載し、また、前記各小台車枠には、前記打込み
   ガイド治具をガイドとしてコンクリート屋根内面に穿孔
   する削孔装置を昇降可能に搭載せる台車（２９）と、穿
   孔部にアンカーボルトを付設する打込み装置を昇降可能
   に搭載せる台車（３５）とを乗載したことを特徴とする
   地下式貯槽の屋根部アンカーボルト付設装置。