JP2576850C - - Google Patents

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JP2576850C
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Sun Medical Co Ltd
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Sun Medical Co Ltd
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【発明の詳細な説明】 (技術分野) 本発明は、歯牙硬組織の欠損部分をメタル、セラミックス、高分子複合材料(
通称コンボジットレジン)などで修復または補綴する症例において、歯の硬組織
(エナメル質、象牙質およびセメント質)と人工修復物、補綴物を連結または接
着固定するときに使用される、歯科用接着剤及びそれに用いるペースト組成物に
関する。 (背景技術) 従来から歯科用に使用されてきた接着性組成物には、リン酸亜鉛セメント、グ
ラスアイオノマーセメントなどの無機材質のものと有機高分子系材質のものがあ
る。無機材質のものは歯牙硬組織との接着性に劣り、密封性が不充分であった。
また、有機高分子系材質のものは接着性にすぐれているが、操作性に問題があっ
た。例えばスーパーボンドC&Bでは、高分子粉末と液状モノマー及び常温重合
開始剤の三者を別々に貯蔵しておき、 使用直前にこの三者の適量を混合練和してペースト状糊剤となし、これを被着体
表面に塗布して接着材として使用してきた。しかし、この方法では、三者の混合
比を常に正確に保つことは難しく、重合硬化物の物性や接着強さが常に変化する
という問題点があった。またこの三者を臨床で使用術前に混合練和するという操
作は繁雑であり、臨床で使用するときのタイミングを失し易く、無意識に臨床予
後(経過)を低下させるという欠点もあった。 (発明の開示) 上記の従来技術の問題点を解決するために本発明を提供するものである。 本発明の歯科用接着剤はペースト組成物及び重合開始剤から成る2成分系であ
り、その各成分は別々に包装して貯蔵及び販売することができるものである。 この2つの成分は使用直前に混合練和されるので、常に確実に硬化し、新鮮な
接着性能を十分に発揮することができる。 即ち、本発明のペースト組成物は、 a)メチルメタクリレート−スチレン−ブタジエン共重合体、 b)n−メタクリロキシアミノサリチル酸及び/又は4−メタ クリロイルトリメット酸無水物である 酸性基を有するモノマー、 c)多官能性モノマー及び単官能性モノマーから成るモノマー混合物、及び d)無機質微粒子 からなるペースト状の組成物であり、接着剤に最適な粘稠度を常に一定して提供
できるものである。 メチルメタクリレート−スチレン−ブタジエン共重合体としては、メチルメタ
クリレート、スチレン及びブタジエンの各成分を夫々、20〜60重量%、20
〜60重量%及び20〜50重量%含むものが好ましい。またペースト組成物中
で、該共重合体は、好ましくは10〜50重量%、より好ましくは、15〜40
重量%含有される。 酸性基を有するモノマーとしては、n−メタクリロキシアミノサリチル酸(M
ASA)及び4−メタクリロイルトリメリット酸無水物(4−MATA)が好ま
しい。これらは、象牙質に対する親和性が高いため本発明接着剤の接着性を向上
させ、かつ、生活歯髄に鎮痛効果を有する成分として、好ましくは0.1〜30
重量%、より好ましくは、1.0〜10重量%の範囲でペースト組成物中に含有
される。 モノマー混合物に含まれる多官能性モノマーの好適例としては、多官能性モノ
マーが下記の一般式(I) [式中、R1及びR2は、夫々独立して水素原子又はメチル基を示し、Aは下記式 −(CH2CH2O)n−R3−(OCH2CH2m− (ここで、R3は少なくとも1個の芳香環を有し、酸素原子を含有していても良
い2価の芳香族基を示し、n及びmは正の整数である。) で表わされる基を示す。] で表わされる多官能(メタ)アクリレート系モノマーを挙げることができる。 特に、2,2−ビスE4−メタクリロキシエトキシフェニルプロパン(2.6
E)が好ましい。 またモノマー混合物に含まれる単官能性モノマーの好適例としては、2−ハイ
ドロキシエチルメタクリレート(HEMA)及びメチルメタクリレート(MMA
)等を挙げることができる。 モノマー混合物は、より好ましくは30〜70重量%でペースト組成物に含ま
れる。このうち、多官能性モノマーは5〜40重量%、単官能性モノマーは10
〜50重量%含有されることが好ましい。 これら成分のうち、HEMAは象牙質に対する親和性を付与し、MMAは重合
硬化物の物性を向上する。 また2.6Eは耐水性を付与する。 無機質微粒子としては、硫酸バリウム、ジルコニウム酸化物、ビスマス酸化物
、炭酸ビスマス、有機ビスマス化合物、チタン酸化物、バリウムガラス、ガラス
ビーズ、ハイドロキシアパタイト及びリン酸カルシウム等を使用することができ
る。 このうち、酸化亜鉛は、抗菌性、抗カビ性及び防臭効果を、バリウムガラスは
X線造影性を本発明ペースト組成物に付与するものである。 無機質微粒子は、ペースト組成物に10〜40重量%含まれる。 本発明のペースト組成物は、各成分を混合することにより容易に調製し得る。 本発明のペースト組成物と重合開始剤とを混合練和すること により、容易に均一に混合された、本発明の歯科用接着剤を得ることができる。 重合開始剤としては、従来の公知のもの、例えば、トリアルキルホウ素(特に
、トリn−ブチルホウ素)及び/又はその部分酸化物並びに可視光線重合開始剤
としてのカンファーキノン、ジメチルp−トルイジン等を、好ましくは本発明の
歯科用接着剤の0.1〜20重量%の範囲で用いることができる。尚、重合硬化
は、使用する重合開始剤の種類に応じて当業者が適宜選択し得る。 本発明の歯科用接着剤は、ペースト組成物と重合開始剤とからなる2成分系で
ある為に、臨床で誰でもが確実に使用でき、歯の硬組織と修復物、補綴物の接着
性が一段と向上し、さらに生活歯髄に安全で、かつ使用操作が極めて単純である
といった優れた点を有しているものである。 尚、本発明のペースト組成物には、必要に応じて、着色剤、ハイドロキノン等
の成分を適当量配合させることもできる。 (発明を実施するための最良の形態) 以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。 尚、以下特記のない限り、各成分の割合は全て重量部で示さ れているものとする。実施例1 メチルメタクリレート(20重量%)、スチレン(30重量%)、ブタジエン(5
0重量%)の共重合体(BTA粉末クレハ化学)17.5部に対して、液状のメ
チルメタクリレート(MMA)を22.1部、2,2−ビスE4−メタクリロキ
シエトキシフェニルプロパン(2.6E)を17.5部、2−ハイドロキシエチ
ルメタクリレート(HEMA)を11.1部、4−メタクリロイルトリメリット
酸無水物(4−META)を1.3部加えてペースト組成物を調製した。このペ
ースト組成物を基材とし、さらにX線造影性を付与するために酸化ジルコニウム
粉末を30部加えて第1成分である本発明のペースト組成物を得た。 1) 硬化時間 このペースト組成物0.2gに対して、第2成分である液体の重合開始剤(T
BB−O)を0.01g加えて練和すると室温で60秒後にゲル化し、15分後
に硬化した。 2) 牛歯象牙質に対する接着強さ クエン酸10部と塩化第1鉄3部からなる象牙質前処理剤で 牛歯の象牙質を清浄にしたのち、アクリル棒を用いて本発明の歯科用接着剤で象
牙質面とつき合わせ接着し、これの引張接着強さを測定したところ、以下の極め
て高い値が得られた。 破断状況はいずれも象牙質面の近傍硬化組成物の凝集破壊であった。 3) X線造影性 アルミナフィラーに比し、2.5倍のX線造影性を示した。 4) 重合硬化後の物性 ブリネル硬さ HB18.2 曲げ強度 598.4 kgf/cm2 5) 保存安定性 該ペースト組成物をガラス瓶中に4週間密閉保存したが、相分離および流動性
の変化等は認められなかった。実施例2 実施例1で用いた共重合体(BTA粉末)17.5部に対し、液状のMMAモ
ノマーを22.1部、2.6Eを17.5部、HEMAを12.1部およびMA
SAを0.3部加えてペースト状となし、これに任意成分のガラスビーズ微粉末
(Shott 製 1ミクロン以下)を30部および酸化亜鉛微粉末1部を加えて第1成分である本
発明のペースト組成物とした。 1) 硬化時間 このペースト組成物0.2gに対して第2成分である液体の重合開始剤(TB
B−O)を0.01g加えて練和すると室温で40秒後にゲル化し、約15分後
に硬化した。 2) 牛歯象牙質に対する接着強さ 実施例1と同じ条件で牛歯象牙質に対する接着強さを測定した。 3) X線造影性 アルミナフィラーと同程度であった。 4) 重合硬化後の物性 ブリネル硬さ HB17.8 曲げ強度 585 kgf/cm2 5) 保存安定性 該ペースト組成物をガラス瓶中に4週間密閉保存したが、相分離および流動性
等の変化は認められなかった。 実施例3 実施例1で用いた共重合体(BTA粉末)17部に対し、液状のMMAモノマ
ーを22部、2.6Eを17.5部、HEMAを12部およびMASAを0.3
部加えてペースト状とし、これに任意成分のハイドロキシアパタイト微粉末を3
0部および酸化亜鉛微粉末2部を加えて第1成分である本発明のペースト組成物
とした。 1) 硬化時間 このペースト組成物0.2gに対して第2成分の液体重合開始剤(TBB−O
)を0.01g加えて練和すると室温で60秒後にゲル化し、20分後に硬化し
た。 2) 牛歯象牙質に対する接着強さ 3) X線造影性 アルミナフィラーに対し、やや薄かった。 4) 重合硬化後の物性 ブリネル硬さ HB17.4 曲げ強度 573 kgf/cm2 5) 保存安定性 該ペースト組成物をガラス瓶中に4週間密閉保存したが、相分離および流動性
の変化は認められなかった。実施例4 実施例1で用いた共重合体(BTA粉末)17.5部に対し、液状のMMAモ
ノマーを22.1部、2.6Eを17.5部、HEMAを12.1部およびMA
SAを0.3部加えてペースト状となし、これに任意成分のガラスビーズ微粉末
を30部および光重合開始剤としてカンファーキノン0.01部、第3アミン0
.01部を加えて本発明の歯科用接着剤とした。 1) 硬化時間 このペースト組成物に可視光線(波長350〜500nm)を10秒間照射す
ると直ちに重合硬化した。 2) このペースト組成物に牛歯象牙質とアクリル棒のつき合せ接着し、これの
剪断接着強さを測定したところ次の値が得られた。 3) X線造影性 アルミナフィラーより薄いX線造影性を示した。 4) 重合硬化後の物性 ブリネル硬さ HB18.2 曲げ強度 598.4 kgf/cm2 5) 保存安定性 該ペースト組成物を遮光したガラス容器中に4週間密閉保存したが、相分離お
よび流動性の変化は認められなかった。比較例 従来の歯科用接着性レジンとして市販されているスーパーボンド(C&B,サ
ンメディカル社)を用いて実施例1,2と同様の実験を実施した。 スーパーボンドの組成:粉末はポリメチルメタクリレート微粉末、モノマー液
体はメチルメタクリレート95部と4−メタクリロイルトリメリット酸無水物(
4−META)5部から成る、重合開始剤にTBB−Oを用いる。 液体3滴にTBB−O1滴を加え、この混合液に粉末0.3gを加えかきまぜ
ペースト状の接着材とした。 実施例1,2で示した同様の試験法により次の項目を測定した。 1) 硬化時間 室温で約8分で硬化した。 2) 牛歯象牙質に対する接着強さ 3) X線造影性 アルミナフィラーよりやや弱い。 4) 重合硬化後の物性 ブリネル硬さ HB13 曲げ強度 ¢5.5 5) 保存安定性 3成分が別々になっており保存性は良好である。 (産業上の利用性) 本発明の歯科用接着剤は、歯科用接着材が具備すべき要件として従来から求め
られてきた物理的強度、歯質とくに象牙質、セメント質に対する接着強さが向上
しており、しかも生活歯髄に対し為害性がなく安心して生活歯に適用できること
が大きな特長となっている。本発明の歯科用接着剤を使用することにより、歯質
欠損部を確実に封鎖することができ、長期的に生活歯を保持することが可能にな
った。従って、本発明は長寿社会に おける生活歯の健康維持に大きな効果をもたらすことが期待できる。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. a)メチルメタクリレート−スチレン−ブタジエン共重合体、 b) n−メタクリロキシアミノサリチル酸及び/又は4−メタクリロイ
    ルトリメット酸無水物である酸性基を有するモノマー、 c) 多官能性モノマー及び 単官能性モノマーから成るモノマー混合物、及び d) 無機質微粒子 から成る歯科用接着剤用ペースト組成物。 . 多官能性モノマーが下記の一般式(I) [式中、R1及びR2は、夫々独立して水素原子又はメチル基を示し、Aは下記式 −(CH2CH2O)n−R3−(OCH2CH2m− (ここで、R3は少なくとも1個の芳香環を有し、酸素原子を含有していても良
    い2価の芳香族基を示し、n及びmは正の整 数である。) で表わされる基を示す。] で表わされる多官能(メタ)アクリレート系モノマーである請求の範囲第1項の
    ペースト組成物。 . 無機質微粒子が硫酸バリウム、ジルコニウム酸化物、ビスマス酸化物、炭
    酸ビスマス、有機ビスマス化合物、チタン酸化物、ガラスビーズ、酸化亜鉛、ハ
    イドロキシアパタイト及びリン酸化カルシウムより成る群より選択される1種又
    は2種以上の混合物である請求の範囲第1項のペースト組成物。 . 共重合体が10〜50重量%、酸性基を有するモノマーが0.1〜30重
    量%、モノマー混合物が30〜70重量%及び無機質微粒子が10〜40重量%
    である請求の範囲第1項〜第項のいずれかに記載のペースト組成物。 . 請求の範囲第1項の歯科用接着剤用ペースト組成物及び重合開始剤から成
    る歯科用接着剤。 . 重合開始剤としてトリアルキルホウ素及び/若しくはその部分酸化物又は
    キノン類及び第3アミンを、1〜20重量%含む請求の範囲第項記載の歯科用
    接着剤。

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