JP2575834Y2 - 開栓装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、採血管等の容器開口
部に嵌着されたゴム栓を、手を触れることなく引き抜く
ことができる開栓装置に係り、特に、高さ寸法の異なる
複数種類の容器が複数本ラックに立設保持されている場
合であっても同時に開栓を行うことができる開栓装置に
関する。

【０００２】

【従来技術とその課題】周知のように、真空採血管など
の血液が収容される容器には、血液検体の流出を防止す
る目的から、その開口部にゴム栓が嵌着される。

【０００３】ところで、このゴム栓は、例えば、採血管
を自動分析装置にセットする場合には取り外されるが、
このゴム栓の取り外し作業は、従来、人手によって行な
われているのが現状である。

【０００４】しかしながら、ゴム栓の取り外し作業を人
手によって行なう場合には、採血した血液検体と接触し
て種々の病気に感染する虞れがあると共に、ゴム栓の取
り外し作業は、サイズが異なる複数種類の採血管に対し
て行なわれるため、必然的に人手を介することとなり、
かかる作業が非常に煩雑であるという問題を有してい
た。

【０００５】この考案は、かかる現状に鑑み創案された
ものであって、その目的とするところは、ラックに高さ
寸法が異なる複数本の採血管が混在した状態で立設保持
されているような場合であっても、各採血管の高さ位置
を自動的に均一化して、各採血管のゴム栓を手を触れる
ことなく自動的に引き抜くことができる作業性及び安全
性に優れた開栓装置を提供しようとするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この考案にあっては、開栓装置を、高さ寸法が異な
る複数本の容器を立設保持するラックと、該ラックの各
容器保持孔の底部に開設された押上体用の貫通孔と、開
栓位置において上記貫通孔に挿入され上記ラックに保持
された各容器を均一の開栓高さ位置まで夫々持ち上げる
押上体と、開栓位置において開栓高さ位置まで持ち上げ
られた各容器のゴム栓を抜く開栓手段と、を有して構成
されていることを特徴とするものである。

【０００７】

【実施例】以下、添付図面に示す一実施例に基き、この
考案を詳細に説明する。

【０００８】図１と図２に示すように、この実施例に係
る開栓装置は、ゴム栓１６が密に装着された高さ寸法の
異なる採血済みの容器１４を５本毎に立設保持するラッ
ク１５と、該ラック１５を順次開栓位置を経て作業済み
ラックストッカ（図示せず）まで移送するラック移送手
段（図示せず）と、該ラック移送手段の中途部に開設さ
れた開栓装置１と、該開栓装置１の配設部位において独
立作動してラック１５に保持された各容器１４を同一高
さ位置まで持ち上げる押上装置Ｄと、上記開栓装置１に
よって引き抜かれたゴム栓１６を回収するゴム栓回収容
器（図示せず）と、から構成されている。

【０００９】ラック１５は、図２および図３からも明ら
かなように、５本の高さ寸法の異なる容器１４を保持す
る断面略Ｕ字状の容器保持孔２０と、これら各容器保持
孔２０の底部に開設された小径の貫通孔２１と、各容器
１４を所定高さ位置に保持する容器保持体２２と、から
構成されている。尚、容器保持孔２０の深さ寸法は、容
器収納時に各容器１４の上端部がラック１５の上面から
若干突出し、かつ、開栓位置において上記押上装置Ｄに
よって夫々開栓高さ位置まで押し上げられたときに、各
容器１４が上記各保持孔２０から抜け落ちない程度の深
さ寸法となるように形成されている。

【００１０】容器保持体２２は、図３に示すように、容
器保持孔２０の内周面と略同径の内径を有するリング体
２３と、このリング体２３の周方向に沿って所定間隔毎
に突設された弾片２４と、から構成されており、各弾片
２４は、リング体２３の上方向であって該リング体２３
の中心方向に向って延設されている。尚、容器保持体２
２は容器保持孔２０に開設された溝２５内に嵌着されて
いる。

【００１１】それ故、該容器保持体２２に挿通され保持
される各容器１４は、その胴部の寸法が異なっていても
リンク体２３の中心部に立設保持され、かつ、上方向へ
の移動は自由であるが、下方向の移動は各弾片２４によ
って規制される。

【００１２】尚、ラックを移送するラインは、公知のエ
ンドレスベルトコンベアて構成されていると共に、上記
ラック１５の各貫通孔２１と同軸となるように開設され
た貫通孔２が所定間隔ごとに開設されている。

【００１３】また、開栓装置１は、上記ラック移送ライ
ンの両倒に立設された一対の支持体４，５と、これら各
支持体４，５の上部に軸６を介して回動自在に軸支され
てなる回動部材７と、から構成されている。

【００１４】従って、上記ラック１５は、上記一対の支
持体４，５の間を、上記ラック移送ラインによって間欠
移送される。

【００１５】また、上記回動部材７は、水平板部１０
と、該水平板部１０の前縁部から下方に延設されてなる
係止体１１と、上記水平板部１０の奥行側両端部から下
方に延設された支持片部１２と、上記水平板部１０の上
面に固着された作動部１３と、この作動部１３を所定の
範囲内で往復回動させる駆動装置と、から構成されてな
り、上記軸６は、上記各支持片部１２の下方に軸支され
ている。

【００１６】一方、上記回動部材７は、上記水平板部１
０が水平の状態で停止し、該水平状態からより反時計方
向へ回動しないようにストッパ体（図示せず）によって
規制されている。勿論、図１における時計方向への回動
は規制されていない。

【００１７】また、上記係止体１１は、回動部材７が上
記水平状態にセットされているときに、その係止端部１
１ａが、容器１４等の開口部に液密状に嵌着されたゴム
栓１６の頭部周面に確実に食い込んで係止するように、
例えば、鋸歯状に構成されていると共に、この係止体１
１は、水平板部１０が水平状態にセットされた各容器１
４に装着されてなるゴム栓１６の頭部に食い込む高さ位
置に設定されている。勿論、図示はしないが、上記係止
体１１の係止端部１１ａに、公知の圧力センサを配設
し、該圧力センサによって係止体１１の係止端部１１ａ
と接触している部材が容器１４かゴム栓１６かを選別で
きるように構成することで、回動部材７の開栓作動を制
御し、容器１４の破損を確実に防止するように構成する
こともできる。

【００１８】また、上記ゴム栓回収容器８は、上記ラッ
ク移送ラインの一側に配設されており、上記引き抜かれ
たゴム栓１６が該回収容器８内へと自動的に自重落下し
て収納されるように構成されている。

【００１９】一方、開栓位置において上記ラック１５に
保持された各容器１４を押し上げる前記押上装置Ｄは、
上記各貫通孔２，２１内に挿脱される独立した駆動機構
を有する５本の押上棒２６と、この押上棒２６の下端を
連結する支持体２７と、この支持体２７に連結され各支
持体２７を所定のタイミングで昇降させる機構（図示せ
ず）と、から構成されており、上記ラック１５の間欠移
送と同期して上記各押上棒２６を上昇させ、上記各貫通
孔２，２１内に該各押上棒２６を挿入して各容器１４の
ゴム栓１６が水平板部１０の下面に衝合するまで持ち上
げた後は、下降して各押上棒２６を上記各貫通孔２，２
１内から後退させてラック１５の移送の支障とならない
ように駆動制御される。

【００２０】尚、この押上棒２６の上昇ストロークは、
予め各容器１４の高さ寸法を開栓位置に搬入する前に測
定して決定し、或は、圧力センサによってゴム栓１６が
水平板部１０の下面に衝合した時点を検知して上昇を停
止するように構成することができる。

【００２１】また、上記作動部１３を往復回動させる駆
動装置は、該作動部１３に一端部が回動自在に軸支され
てなるリンク１８と、該リンク１８の他端部が回動自在
に軸支されてなる回転体１９と、該回転体１９を回転さ
せるモータ（図示せず）と、から構成されている。勿
論、この駆動装置は、図示の実施例に限定されるもので
はなく、上記作動部１３を所定の範囲内で往復回動させ
る機構であれば、公知の各機構を適用することができ
る。

【００２２】ところで、この作動部１３は、先ず、上記
係止体１１の係止端部１１ａがゴム栓１６の頭部に食い
込み、この状態から、次に、開栓方向へと所要角度回動
されてゴム栓１６を、容器１４の開口部から一度引き上
げた後、該係止体１１は、上記水平位置まで戻され、こ
の後、上記係止体１１を再び開栓方向へと回動させて該
係止体１１の係上端部１１ａをゴム栓１６の段部１６ａ
に確実に食い込み係合させた後、該ゴム栓１６を容器１
４の開口部から完全に引き抜くように駆動制御される。
これは、上記ゴム栓１６が、例えば、弾力性が大きい生
ゴム等で形成されている場合、該ゴム栓１６と容器１４
の密着力が大きく、係止体１１の一度の回動操作では、
ゴム栓１６の抜き残しが発生する虞れがあることから、
これを完全に防止するため、係止体１１は上記のように
作動制御される。

【００２３】尚、上記実施例では、ラック１５に保持さ
れる容器１４の数を５本とした場合を例にとり説明した
が、この考案にあってはこれに限定されるものではな
く、また、上記実施例では、開栓位置において各容器１
４の開栓高さを揃える場合を例にとり説明したが、開栓
位置の手前で各容器１４の開栓高さを揃えた後、該開栓
位置へと搬入するように構成してもよい。勿論、開栓位
置で高さを揃える場合には、容器保持体２２を省略し、
各押上棒２６によって各ゴム栓１６の高さ位置を一定に
保持するように構成しても同様の効果が得られる。

【００２４】

【考案の効果】この考案に係る開栓装置は、以上説明し
たように構成されているので、ラックに高さ寸法が異な
る複数本の採血管が混在した状態で立設保持されている
ような場合であっても、各採血管の高さ位置を自動的に
均一化して、各採血管のゴム栓を手を触れることなく自
動的に引き抜くことができ、その結果、開栓作業効率が
大幅に向上し、しかも、血液接触感染という事故が発生
する虞れも全くなく安全である、という優れた効果を奏
する。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例に係る開栓装置の構成を示
す側面図である。

【図２】同開栓装置の要部の構成を一部省略して示す斜
視断面図である。

【図３】同開栓装置に用いられる容器保持体の斜視図で
ある。

【符号の説明】

１ 開栓装置 ２，２１ 貫通孔 ７ 回動部材 １０ 水平板部 １１ 係止体 １３ 作動部 １４ 容器 １５ ラック １６ ゴム栓 ２０ 容器保持孔 ２２ 容器保持体 ２６ 押上棒 Ｄ 押上装置

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 高さ寸法が異なる複数本の容器を立設保
   持するラックと、このラックの各容器保持孔の底部に開
   設された押上体用の貫通孔と、開栓位置において上記貫
   通孔に挿入され上記ラックに保持された各容器を均一の
   開栓高さ位置まで夫々持ち上げる押上体と、開栓位置に
   おいて開栓高さ位置まで持ち上げられた各容器のゴム栓
   を抜く開栓手段と、を有して構成されてなる開栓装置。