JP2575763B2 - 導電性樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

導電性樹脂成形体の製造方法

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JP2575763B2 JP32843587A JP32843587A JP2575763B2 JP 2575763 B2 JP2575763 B2 JP 2575763B2 JP 32843587 A JP32843587 A JP 32843587A JP 32843587 A JP32843587 A JP 32843587A JP 2575763 B2 JP2575763 B2 JP 2575763B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は異方導電性樹脂成形体の製造方法に関するも
のである。
〔従来の技術〕
静電気帯電防止、易メッキ性の付与、あるいは電磁波
シールド性の付与を目的とした導電性の樹脂組成物の開
発が行われている。この目的のために従来、アルミニウ
ム、ステンレス鋼などの金属の粉末や繊維、或いは炭素
の粉末や繊維などを添加混合して導電性の樹脂組成物を
製造することが行われている。一方、高分子化合物の主
鎖に複素5員環式化合物が連なった構造を有するポリピ
ロール、ポリフラン、ポリチオフェン、ポリセレノフェ
ン等の導電性高分子化合物は高い導電率を示すと共に、
ドーピングにより絶縁体−金属転移を生じ、その値が任
意に制御でき、またはこれに伴い光学的、磁気的性質が
大きく変化することから、これを利用する様々な機能応
用が可能な機能性素材として極めて注目されている。
従来これらの導電性高分子化合物はあらゆる溶媒に不
溶で、かつ加熱によっても溶解しないことから、加工性
に乏しいことが大きな欠点であったが、最近になって可
溶性及び溶融性の導電性高分子化合物が合成され、従来
の高分子化合物と共に溶液から成形したり、または溶融
成形して導電性樹脂組成物を製造する方法が提案されて
いる。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、このような方法で得られる導電性樹脂
組成物は樹脂との分散性が良好で、樹脂の物性も低下し
ないなどの特徴があるが、導電性の良好な物を得るため
には導電性高分子化合物の添加量比を比較的多くしなけ
ればならないという問題があった。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者らは、上記問題を解決するため鋭意検討した
結果、少なくとも1方向に延伸または圧延された、特定
の構造単位を有する複素5員環式化合物重合体と熱可塑
性樹脂との組成物の導電性が良好になることを見出して
本発明を完成した。
即ち、本発明は熱可塑性樹脂、一般式〔I〕 (式〔I〕中、R1、R2は水素原子、アルカリ金属原子ま
たは炭化水素残基、Z1,Z2は二重結合、三重結合、ヘテ
ロ原子またはヘテロ原子を含む原子団、Xは酸素原子、
硫黄原子、セレン原子、テルル原子、イミノ基、アルキ
ルイミノ基又はアリールイミノ基を示す。k、L、m、
nは0を含む正の整数であり、R1に含まれる炭素数と
k、mの和とR2に含まれる炭素数とL、nの和の少なく
とも一方の値が3以上である。) で示される複素5員環式化合物の重合体の混合物及びこ
れにドーパントを含み又は含まない組成物を、少なくと
も1方向に延伸または圧延することを特徴とする導電性
樹脂成形体の製造方法である。
本発明で使用される複素5員環式化合物は上式〔I〕
で示したように複素5員環核上の3位の位置あるいは3
位及び4位に置換基を有しており、このような置換基と
してはプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチ
ル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル等の直鎖アル
キル基のほかに、シクロヘキシル、シクロオクチルなど
の環状アルキル基、あるいは分枝構造を有するアルキル
基などが挙げられる。これらのアルキル基にはZ1,Z2
示してあるように二重結合、三重結合、ヘテロ原子また
はヘテロ原子を含む原子団、ハロゲン、ニトロ、シア
ノ、アルコキシ、アリール、アルケニルなどの基を有し
てもよい。
これらの基の具体例としては などが挙げられる。ここでR′、R″及びRは水素原
子、アルキル基、アリール基を示し、同一基内のR′、
R″は同一又は異なっていてもよい。
また、ここでR1に含まれる炭素数とk、mの和とR2
含まれる炭素数とL、nの和の少なくとも一方の値が3
以上であることが必要である。上記した置換基の炭素数
が、2以下のアルキル基であるときはそれが2個あって
も重合体としたとき、それのフィルムを延伸することが
困難であり、またR1、R2が50よりも大きな炭素数のアル
キル基の重合体を得るのが困難であり、また得られた重
合体からは電気伝導度の小さな値のフィルムしか得られ
ないので好ましくない。
本発明で使用される複素5員環式化合物の重合体は、
通常上記複素5員環式化合物を酸化的カップリング反応
することによって製造される。また、上記複素5員環式
化合物の2位及び5位をジハロゲン化し、次いで該置換
複素5員環式化合物をマグネシウムと反応させてジグリ
ニャール化した後、ニッケル触媒を用いてカップリング
重合する方法によっても製造することができる。
複素5員環式化合物の酸化的カップリング反応による
具体的な重合方法としては酸化剤触媒用いて重合する方
法、電気化学的に酸化重合する方法等が挙げられる。こ
れらの方法はすでに公知であり、例えば、応用物理、第
56巻、第11号(1987年)第1433頁等に例が見られる。中
でも酸化剤触媒を用いて重合する方法では重合体を安価
に、容易に得ることができる。
これらの重合用触媒としては塩化アルミニウム、塩化
鉄、塩化モリブデン、塩化タングステン、塩化錫、塩化
アンチモン、五フッ化ヒ素等のルイス酸として知られて
いる化合物が挙げられる。これらのうち、酸化アルミニ
ウムのように酸化力を持たないものや酸化力の弱いもの
は、酸化銅や二酸化マンガン、酸素などの酸化剤を併用
することも好ましい。
これらの酸化剤触媒を、上記式〔I〕で示される置換
複素5員環式化合物中に添加することにより室温下で容
易に複素5員環式化合物重合体が得られる。必要に応じ
て、この反応系中に不活性溶媒を加えることも反応の制
御などを容易にするために好ましい方法である。
本発明の組成物は、熱可塑性樹脂と上に示した複素5
員環式化合物重合体の混合物及びこれにドーパントを含
み又は含まない組成物を少なくとも1方向に延伸あるい
は圧延することによって製造される。ここで熱可塑性樹
脂としては特に制限はなく、例えばポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化
ビニリデン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネー
ト、ポリフェニレンオキサイド、ポリビニールアルコー
ル、ポリエーテル、ポリエステル、セルロース系樹脂、
ポリアクリルアミド、ポリアミド、熱可塑性ポリイミド
又はポリアミック酸、ポリスルホン酸など工業上入手可
能な熱可塑性樹脂なら、あらゆる種類の樹脂を用いるこ
とができる。
本発明では複素5員環式化合物重合体と熱可塑性樹脂
の混合比は必要に応じて任意の量比を取ることができ
る。例えば、導電性良好な樹脂組成物が必要なときは複
素5員環式化合物重合体の量比を大きくすればよく、一
般に複素5員環式化合物重合体と熱可塑性樹脂の混合比
は1:99〜99:1(重量比)くらいである。又、成形時の流
動性や成形体の機械的強度安定性などの物性を改良する
目的で成形加工時に適当な可塑剤が充填剤を添加しても
よい。
本発明の導電性樹脂組成物を延伸または圧延する具体
的な方法としては、熱可塑性樹脂と上記で示した複素5
員環式化合物重合体の混合物のフィルムを用いる場合
は、その両端をチャックに挟んで引き伸ばす方法が挙げ
られる。この場合特に重要なことは、延伸時のフィルム
の温度は導電性樹脂組成物の軟化点温度前後の温度であ
ることが好ましいが下限温度として室温程度でも構わな
い。延伸速度は1分間当たり1.1倍から1000倍、好まし
くは1.5倍から100倍の延伸倍率になるようにする。必要
に応じて、延伸後、フィルムの温度が導電性樹脂組成物
の軟化点温度を越えない温度の範囲で一定時間、熱固定
することも好ましい。また、工業的に延伸フィルムを製
造する場合は、既に熱可塑性樹脂の一般的な加工方法と
して公知の1軸延伸や2軸延伸などの加工方法を利用す
ることができる。
別の方法としては、ロール加工やカレンダー加工のよ
うに回転するローラー間で圧延する方法でも製造され
る。この場合、ローラー周速度は1分間当たり1mから10
00m、好ましくは5mから500mである。またローラー間の
圧力は1kgから1000kg、好ましくは5kgから500kgであ
る。この場合も延伸時のフィルムの温度は導電性樹脂組
成物の軟化点温度前後の温度であることが好ましいが下
限温度として室温程度でも構わない。
本発明の方法では、成形体はフィルムに限らず、ファ
イバー、ロッドなど延伸できるものであればあらゆる形
態の成形体をも含有する。
本発明では、さらにこのようにして得られた成形体に
必要に応じてさらに適当なドーパントをドープする工程
により導電性の製品を製造することもできる。また、ド
ーパントは成形する前に組成物に予め混合しておくこと
ももちろん可能である。
ここで使用されるドーパントとしては特に制限はな
く、導電性の複素5員環式化合物重合体を製造するため
に通常使用されている公知のドーパント化合物が使用さ
れる。そのようなドーパントとしては沃素、臭素、塩
素、三塩化沃素などのハロゲン化合物、硫酸、硝酸、過
塩素酸、ホウフッ化水素酸等のプロトン酸、三塩化アル
ミニウム、三塩化鉄、塩化モリブデン、塩化タングステ
ン、塩化アンチモン、五フッ化ヒ素、三酸化イオウなど
のルイス酸、ヘキサフルオロアンチモン酸ニトロシル
(NOSbF6)、ヘキサフルオロヒ酸ニトロシル(NOAs
F6)、トリフルオロメタンスルホン酸ニトロシル(NOCF
3SO3)、ヘキサフルオロアンチモン酸ニトロイル(NO2S
bF6)、トリフルオロメタンスルホン酸ニトロイル(NO2
CF3SO3)などの酸化剤、Li、Na、K、Rb、Csなどのアル
カリ金属、テトラアルキルアンモニウム塩等が挙げられ
る。
これらのドーパントを成形体にドープする方法につい
ては特に制限はなく、一般的には成形体とドーパント物
質とを接触させればよく、気相あるいは液相中で行われ
ることが多い。あるいは、過塩素産リチウム(LiC
l4)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)、ヘキ
サフルオロヒ酸リチウム(LiAsF6)、テトラフルオロホ
ウ酸テトラブチルアンモニウム(Bu4NBF4)、過塩素酸
テトラブチルアンモニウム(Bu4NClO4)などの電解質塩
を含む電解溶液中で電気化学的にドープする方法も採用
できる。
このようにして得られた組成物は延伸方向と、延伸方
向と直交する方向の電気伝導度の比が1.1倍以上の異方
性を有し、さらに延伸方向の電気伝導度は未延伸の成形
物に比べて大きな電気伝導度を有する。
〔実施例〕
以下に本発明を実施例を挙げて具体的に説明する。
合成例 クロロホルム3中に無水塩化第2鉄180gを入れたの
ち、さらに3−オクチルチオフェン60gを加えて30℃で1
5時間攪拌し反応混合物をメタノール10中に加えて良
くかきまぜたのち不溶解物をろ過により集め、メタノー
ル、希塩酸、水、アンモニア水を含むメタノール、蒸留
水で充分に洗浄して、減圧下80℃で10時間乾燥し、暗緑
色のポリ(3−オクチルチオフェン)〔分子量(テトラ
ヒドロフラン中、ポリスチレンスタンダード)146000〕
50gを得た。
3−オクチルチオフェンの代わりに3−ヘキシルチオ
フェン、3−ドデシルチオフェン、3−ブトキシメチル
チオフェン、3,4−ジヘキシルチオフェンを使用して、
同様にしてポリ(3−ヘキシルチオフェン)〔分子量
(同上)293000〕、ポリ(3−ドデシルチオフェン)
〔分子量(同上)109000〕、ポリ(3−ブトキシメチル
チオフェン)〔分子量(同上)112000〕、ポリ(3,4−
ジヘキシルチオフェン)〔分子量(同上)38000〕が得
られた。これらのポリマーの電気伝導度は何れも10-15S
/cm以下であった。
実施例1 合成例で得られたポリ(3−オクチルチオフェン)と
ポリスチレンを重量比で1:9の割合でヘンシェルミキサ
ー中で混合したのち、押し出し機(BT−25、プラスチッ
ク工学研究所(株)製)を用いて造粒し、得られた組成
物を0.1mmの空隙を有する二枚の鉄板の間に挟んで200℃
で5分間ホットプレスして、厚さ0.2mmのフィルムをえ
た。
このフィルムを巾3cmにカットして、恒温延伸機に取
りつけた。チャック間距離は4cmとした。フィルムを100
℃に加熱した後、1分間当たり20倍の延伸速度で8倍の
延伸倍率になるように延伸した。次いで銅温度で3分間
静置した後、室温まで冷却してからフィルムを取り出し
た。得られた延伸フィルムに室温で飽和蒸気圧の沃素に
24時間接触させたのち4端子法で電気伝導度を測定した
ところ、延伸方向の電気伝導度は10-2S/cmであり延伸方
向と直交する方向の電気伝導度は10-4S/cmであった。
一方、延伸前のフィルムを室温で飽和蒸気圧の沃素ガ
スに24時間接触させ(このときの電気伝導度は10-4S/cm
であった)、ついで、上記と同様に延伸した。得られた
延伸フィルムの延伸方向の電気伝導度は3×10-4S/cmで
あり、これと直交する方向の電気伝導度は10-5S/cmであ
った。
実施例2、3 ポリ(3−オクチルチオフェン)の代わりにポリ(3
−ヘキシルチオフェン)、又はポリ(3−ドデシルチオ
フェン)を用い、ポリスチレンの代わりにポリプロピレ
ンを用いた以外は実施例1と同様にして延伸した。得ら
れた延伸フィルムに室温で飽和蒸気圧の沃素に10時間接
触させたのち4端子法で電気伝導度を測定したところ、
延伸方向の電気伝導度はそれぞれ10-2S/cm、10-3S/cmで
あり延伸方向と直交する方向の電気伝導度はそれぞれ10
-3S/cm、10-4S/cmであった。
実施例4 ポリ(3−オクチルチオフェン)の代わりにポリ(3
−ブトキシメチルチオフェン)を用いた以外は実施例1
と同様にして延伸した、得られた延伸フィルムに室温で
飽和蒸気圧の沃素に10時間接触させたのち電気伝導度を
測定したところ、延伸方向の電気伝導度は-4S/cmであり
延伸方向と直交する方向の電気伝導度は10-5S/cmであっ
た。
実施例5 ポリ(3−オクチルチオフェン)の代わりにポリ(3,
4−ジヘキシルチオフェン)を用いた以外は実施例1と
同様にして1分間当たり20倍の延伸速度で8倍の延伸倍
率になるように延伸した。次いで同温度で3分間静置し
た後、室温まで冷却してからフィルムを取り出した。得
られた延伸フィルムに室温で飽和蒸気圧の沃素に10時間
接触させたのち電気伝導度を測定したところ、延伸方向
の電気伝導度は10-5S/cmであり延伸方向と直交する方向
の電気伝導度は10-6S/cmであった。
〔発明の効果〕
本発明の組成物は電気伝導性が良好であり、しかも容
易に製造することが可能であり、工業上極めて価値があ
る。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性樹脂、一般式〔I〕 (式〔I〕中、R1、R2は水素原子、アルカリ金属原子ま
    たは炭化水素残基、Z1,Z2は二重結合、三重結合、ヘテ
    ロ原子またはヘテロ原子を含む原子団、Xは酸素原子、
    硫黄原子、セレン原子、テルル原子、イミノ基、アルキ
    ルイミノ基又はアリールイミノ基を示す。k、L、m、
    nは0を含む正の整数であり、R1に含まれる炭素数と
    k、mの和とR2に含まれる炭素数とL、nの和の少なく
    とも一方の値が3以上である。) で示される複素5員環式化合物の重合体の混合物及びこ
    れにドーパントを含み又は含まない組成物を、少なくと
    も1方向に延伸または圧延することを特徴とする導電性
    樹脂成形体の製造方法。
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