JP2575691Y2 - 缶体の蓋 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、ビール、炭酸等の飲
料を収納して密封した缶体の蓋に関し、さらに詳しくは
蓋に設けた注ぎ口を開封した後に、確実に再シールで
き、かつ再シールのための操作が容易である缶体の蓋に
関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、絞り加工あるいは絞りしごき加工
法により製造される缶体の開口部には、種々の蓋が巻き
締められている。そして、巻き締められた蓋によって、
ビール、炭酸飲料等の内容物が缶体内に密封、収納さ
れ、耐圧的に十分耐え得る状態で市場で販売されてい
る。これらの缶体の開口部に巻き締められる蓋は、一般
に「イージーオープンエンド」と呼ばれ、これらのイー
ジーオープンエンドを巻き締めた缶体は、近年大容積の
容器の分野に拡大しつつある。そして、大容積の飲料缶
にあっては、消費者が一度で内容物を消費することが不
可能なため、これらのイージーオープンエンドの注ぎ口
を簡単かつ確実に再シールでき、かつ飲み残した内容物
の品質の保持と缶体内の耐圧性の保持が必要となってく
る。

【０００３】従来の再シール可能な缶体のイージーオー
プンエンドとしては、図６および図７に示すようなもの
がある（特開平０３−１７６３６８号公報に開示）。図
中、５０は環状フランジ部であり、この環状フランジ部
５０が缶体（図示せず）の開口部に巻き締められてイー
ジーオープンエンドが固定されている。環状フランジ部
５０の内側には、溝部５１が形成され、さらに略水平面
を有するパネル部５２が形成されている。パネル部５２
には注ぎ口５３、リベット５４、係止部５５が夫々形成
されている。

【０００４】注ぎ口５３の開口前は、缶体はイージーオ
ープンエンドによって完全に密封されており、図６およ
び図７に示すように注ぎ口５３の天面には押圧して開口
容易なように、スコア５３ａが刻設されている。一方、
この注ぎ口５３の近傍には、キャップ５７がアーム５６
に連結され、さらにこのアーム５６がパネル部５２のリ
ベット５４に支持され、枢動可能にされている。またキ
ャップ５７は、パネル部５２に形成された係止部５５に
係止片５７ａが係止されており、キャップ５７の無用な
枢動が制限されている。

【０００５】キャップ５７を注ぎ口５３に嵌合する場合
は、摘部５８を指で摘み、キャップ５７を上に持ち上げ
ると、キャップ５７の係止片５７ａは係止部５５から外
れ、リベット５４を中心に左右に枢動可能となる。した
がって、注ぎ口５３を開口する場合はキャップ５７を注
ぎ口５３に嵌合し、親指で強くキャップ５７を押圧する
ことにより、スコア５３ａを破断して開口することがで
きる。開口後は、キャップ５７を元の位置に固定して、
内容物を注ぎ口５３から外部に流出することができる。
そして、缶体内に内容物が残った場合は、注ぎ口５３の
開口に再びキャップ５７を嵌合して開口部を再シールし
ていた。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなイージーオープンエンドにあっては、注ぎ口５３を
開口した後、単にキャップ５７を注ぎ口５３に嵌合する
だけでは、注ぎ口５３の密封性が不完全なため、缶体内
の炭酸等が外部に逃げるだけでなく、内容物の品質が変
質することが多かった。

【０００７】この考案は、このような従来の課題に着目
してなされたもので、イージーオープンエンドの開口後
に、缶体内に残った内容物の品質の保持並びに缶体内の
耐圧性の保持を図った缶体の蓋を提供することを目的と
する。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この課題を解決するた
め、この考案の缶体の蓋は、環状フランジ部と、その内
側に形成される溝部と、これらに囲まれるパネル部とか
ら成り、前記パネル部に注ぎ口が突設されると共に、そ
の注ぎ口の天面に押圧により破断して開口部を形成する
スコアが刻設されており、前記注ぎ口の周囲と着脱自在
に嵌合する、注ぎ口の開口部をシールするためのキャッ
プを備えており、そのキャップが、パネル部のリベット
を中心に枢動可能であるアームの端部に連結されてお
り、キャップの内面に前記スコアを破断するための押圧
部が形成され、前記キャップの外周に、注ぎ口に嵌合さ
せた状態のキャップに嵌合させることにより、その周囲
を締め付けてキャップのシールを確実にする補強リング
が着脱自在に嵌合されていることを特徴とするものであ
る。

【０００９】

【作用】以上のような構成をもった、この考案の作用に
ついて説明する。注ぎ口は開口前までは密封されてい
る。キャップを注ぎ口に被せて強く押すと、キャップの
押圧部がスコアを破り、開口部が形成される。したがっ
てその状態で内容物を注ぎ口の開口部から注ぎ出すこと
ができる。注ぎ口の開口部をシールする場合は、注ぎ口
の外周に補強リングを外した状態のキャップを嵌合させ
る。この状態でもある程度シールは可能であるが、さら
にキャップの外周に補強リングを強く嵌合せしめる。そ
れにより、キャップの内周が注ぎ口の外周に強く食い込
み、注ぎ口のキャップによる密封は一層確実なものとな
る。

【００１０】

【実施例】次に、この考案を図面に基づいて説明する。
図１乃至図５は、この考案に係る缶体のイージーオープ
ンエンドの一実施例を示した図面であり、１は環状フラ
ンジ部であり、環状フランジ部１の内側には溝部２が形
成され、これらの内側に略水平なパネル部３が形成され
ている。パネル部３上には、注ぎ口４、リベット５、係
止部６が形成されている。そして、この考案に係るイー
ジーオープンエンドは、缶体の開口部に巻き締められ、
注ぎ口４は開口前まで完全に密封されている。親指によ
る押圧でスコア４ａが切断された後は、注ぎ口４は常に
開口状態となる。

【００１１】一方、この注ぎ口４の近傍には、アーム８
と一体成形で造られたキャップ７がアーム８の端部に設
けられている。そして、キャップ７と、アーム８はパネ
ル部３のリベット５に枢動可能に係止されている。キャ
ップ７は通常パネル部３に形成された係止部６に、キャ
ップ７の係止片７ａが係止されることにより、パネル部
３に固定されている。キャップ７は耐久性を考慮し、薄
肉部７ｃとこの薄肉部７ｃに等間隔に形成されるリブ７
ｄとから構成されている。また、キャップ７の中心位置
には、注ぎ口４の天面を直接押圧する押圧部７ｂが形成
されている。なお、他の実施例として、キャップ７には
リブ７ｄが形成されなくてもよい。

【００１２】さらに、上記の缶体の蓋の特徴は、図面に
示すように、キャップ７と補強リング９とが一体成形で
造られ、キャップ７の外周に補強リング９が連結されて
いる点にある。補強リング９は、図３乃至図５に示すよ
うにヒンジ部１０で折り曲げ可能に成形され、補強リン
グ９をキャップ７の外周に容易に嵌合することができ
る。各図面の符号１１はリング９を着脱するための摘み
である。なお、他の実施例として、補強リング９とキャ
ップ７とは一体成形で造られずに、別々に成形されると
共に、補強リング９とキャップ７とを分離して設けても
よい。

【００１３】

【考案の効果】以上説明してきたように、この考案によ
ればイージーオープンエンドの注ぎ口の再シールを確実
に行うことができ、缶体内に残った内容物の品質の保持
と缶体内の耐圧性の保持を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案に係る缶体の蓋の一実施例を示す平面
図。

【図２】図１のＡ−Ａ線拡大断面図。

【図３】図１のＢ−Ｂ線断面図。

【図４】この考案に係る缶体の蓋を注ぎ口に嵌合して再
シールした状態を示す平面図。

【図５】図４のＣ−Ｃ線拡大断面図。

【図６】従来の缶体の蓋を示す平面図。

【図７】図６のＤ−Ｄ線拡大断面図。

【符号の説明】

１ 環状フランジ部 ２ 溝部 ３ パネル部 ４ 注ぎ口 ５ リベット ７ キャップ ８ アーム ９ 補強リング

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 環状フランジ部と、その内側に形成され
   る溝部と、これらに囲まれるパネル部とから成り、前記 パネル部に注ぎ口が突設されると共に、その注ぎ口
   の天面に押圧により破断して開口部を形成するスコアが
   刻設されており、 前記注ぎ口の周囲と着脱自在に嵌合する、注ぎ口の 開口
   部をシールするためのキャップを備えており、 そのキャップが、パネル部のリベットを中心に枢動可能
   であるアームの端部に連結されており、 キャップの内面に前記スコアを破断するための押圧部が
   形成され、 前記キャップの外周に、注ぎ口に嵌合させた状態のキャ
   ップに嵌合させることにより、その周囲を締め付けてキ
   ャップのシールを確実にする補強リングが着脱自在に嵌
   合されていることを特徴とする缶体の蓋。
2. 【請求項２】 前記補強リングがキャップに対し、折り
   曲げ自在なヒンジ部を介して連結されており、かつ、キ
   ャップと一体成形されていることを特徴とする請求項１
   記載の缶体の蓋。＿