JP2574901B2 - 薄膜磁気ヘッド及びその製造方法 - Google Patents

薄膜磁気ヘッド及びその製造方法

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JP2574901B2 JP1242072A JP24207289A JP2574901B2 JP 2574901 B2 JP2574901 B2 JP 2574901B2 JP 1242072 A JP1242072 A JP 1242072A JP 24207289 A JP24207289 A JP 24207289A JP 2574901 B2 JP2574901 B2 JP 2574901B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は磁気記録装置、特に、磁気デイスク装置に使
用するに好適な薄膜磁気ヘツド及び磁性薄膜の製造方法
に関する。
〔従来の技術〕
磁気記録装置の記録密度の向上は目ざましく、多方面
から精力的に進められている。特に、磁気デイスク装置
においては、記録密度は2.5〜3年で約2倍の速度で記
録密度が向上しており、情報化社会における外部記憶装
置として重要な役割をはたしている。磁気デイスク装置
における記録密度向上の鍵となる中心的な部品が薄膜磁
気ヘツドである。磁気デイスク装置の磁気ヘツドに永年
使用されてきたフエライト型バルク磁気ヘツドに比べ
て、薄膜磁気ヘツドは狭トラツク化が容易であり、数MH
z〜数十MHzの高周波領域で大きな信号対雑音比(S/N)
を確保出来ることから、今後増々発展が期待されてい
る。
薄膜磁気ヘツドの記録・再生特性は磁性膜の磁気特性
に大きく依存している。薄膜磁気ヘツドは高周波領域で
使用するために、磁性膜としては高周波領域で大きな透
磁率を必要とする。高周波領域で大きな透磁率となる磁
性膜としてはニツケル鉄合金であるパーマロイが公知で
あり、パーマロイ薄膜が薄膜磁気ヘツドの磁性膜に使用
されていることは良く知られている。
薄膜磁気ヘツドのパーマロイ薄膜の製造方法としては
めつき法とスパツタリング法との2つの方法が公知であ
る。
一方、薄膜磁気ヘツドの再生出力の不安定性は磁性膜
の組成の不均一性,製造ロツト毎の磁性膜の組成変動が
起因している。磁性膜の組成の均一性,製造ロツト毎の
組成再現性に優れたスパツタリング法がめつき法に比べ
て工業生産上有利であることが明らかになつている。
〔発明が解決しようとする課題〕
従来、高透磁率・低保磁力のパーマロイ薄膜をスパツ
タリングする方法としては代表的には3つある。
第1の方法はジヤーナル,アプライド,フイジツクス
61巻,4157頁,1987年、(J.Appl.Phys.61,4157(198
7))において論じられているように、アルゴンガスを
用いて、250℃〜300℃という高い基板温度でスパツタリ
ングするものである。
第2の方法はシン,ソリツド,フイルムズ86巻,165
頁,1981年、(Thin Solid Films,86,165(1981))にお
いて論じられているように、アルゴンガスを用いて、基
板にバイアス電位を印加してスパツタリングするもので
ある。
第3の方法はアイ・イー・イー・イー,トランザクシ
ヨン オン マグネチツクス,エムエージー20,851頁,1
984年、(IEEE Trans,Magnetics,MAG−20,851(198
4))において論じられているように、アルゴンとチツ
素との混合ガスを用いてスパツタリングするものであ
る。第3の方法すなわちアルゴンとチツ素との混合ガス
を用いてスパツタリングする方法は基板にバイアスを印
加する場合もあることが前記文献(IEEE Trans.Magneti
cs,MAG−20,851(1984))に記載されている。
高透磁率・低保磁力のパーマロイ薄膜をスパツタリン
グ法で形成する第1の方法、すなわち、アルゴンガスを
用いて250℃〜300℃という高い基板温度でスパツタリン
グする方法では、基板温度が高いためにパーマロイ薄膜
の内部応力が大きいという欠点があつた。内部応力が大
きいために、応力誘起異方性が大きくなり、パーマロイ
薄膜のわずかな組成変動により再生出力が小さくなつた
り、再生出力の不安定性が生じる。パーマロイ薄膜の組
成変動はスパツタリングターゲツトの組成変動およびス
パツタリング出力の変動等により生じ、スパツタリング
条件は狭い範囲でしか実用になつていなかつた。また、
基板温度が250℃〜300℃と高いために、薄膜磁気ヘツド
の絶縁膜として耐熱温度が250℃という低い耐熱性を有
するホトレジストを用いることが出来ないという欠点を
有していた。
高透磁率・低保磁力のパーマロイ薄膜をスパツタリン
グ法で形成する第2の方法、すなわち、基板にバイアス
電位を印加してスパツタリングする方法では、薄膜磁気
ヘツドの上部磁性膜のように平坦部と斜面部の組成変動
が大きいという欠点および基板の面内でも組成変動が大
きいという欠点があり、再生出力の不安定性が大きいと
いう問題があつた。基板にバイアスを印加してスパツタ
リングする方法では、膜の堆積とイオンによる膜の除去
が同時に起る。平坦部と斜面部とではイオン入射角が異
なることから、スパツタリング収量のイオン入射角依存
性が元素によつて異なることが原因して、平坦部と斜面
部とで組成が変動する。また、基板の面内に電位分布が
ある場合にはスパツタリング収量の電位依存性が元素に
よつて異なることが原因して、基板の面内に組成変動が
生じる。
高透磁率・低保磁力のパーマロイ薄膜をスパツタリン
グ法で形成する第3の方法、すなわち、アルゴンとチツ
素との混合ガスを用いてスパツタリングする方法は、薄
膜磁気ヘツドを作製する上で有効な方法であるが、パー
マロイ薄膜の結晶構造と磁気特性に関しては何ら触れら
れていない。スパツタリング法で形成したパーマロイ薄
膜はスパツタリング方式やスパツタリング条件によつ
て、結晶粒度,結晶配向性,柱状晶の有無等の結晶性お
よび保磁力等の磁気特性が大きく変動することが公知で
ある。
ジヤーナル,アプライド,フイジツクス,57巻,3991
頁,1985年、(J.Appl.Phys.57,3991、(1985))には高
周波スパツタリング法で形成したパーマロイ薄膜の結晶
性について論じてあり、純アルゴンガスでスパツタリン
グしたパーマロイ薄膜の平均結晶粒径が650Åであり、
アルゴンに1%チツ素を添加した混合ガスでスパツタリ
ングしたパーマロイ薄膜の平均結晶粒径は250Åと微細
結晶粒が成長していることを記載している。また、本文
献ではアルゴンとチツ素との混合ガスでスパツタリング
したパーマロイ薄膜は(002)の配向性が大きいことを
述べている。ここで、(002)配向性とは下地に平行な
結晶面として、面心立方晶であるパーマロイの(002)
面が多く成長していることを意味している。
また、ジヤーナル,アプライド,フイジツクス,61巻,
3520頁,1987年、(J.Appl.Phys.61,3520(1987))には
イオンビームスパツタリング法で形成したパーマロイ薄
膜の結晶性と磁気特性について論じており、アルゴンと
チツ素との混合ガスでスパツタリングしたパーマロイ薄
膜は純アルゴンガスでスパツタリングしたパーマロイ薄
膜に比べて、小さな結晶粒と純アルゴンガスでスパツタ
リングした時に成長する相対的に大きな結晶粒の混合で
あり、柱状結晶が少なくなり、<111>配向が少なくな
ることが報告されている。ここで、<111>配向とは下
地の法線方向に面心立方晶であるパーマロイの<111>
方向が多くなることを意味し、(111)面が下地に平行
であることと同じである。すなわち、アルゴンとチツ素
との混合ガスでスパツタリングしたパーマロイ薄膜は下
地に平行な結晶面として(111)面が少なくなると述べ
ている。しかし、どの結晶面の配向性が大きくなつてい
るかは触れられていない。また、本文献ではアルゴンと
チツ素との混合ガスでスパツタリングしたパーマロイ薄
膜は小さな保磁力となると報告している。
ジヤーナル,アプライド,フイジツクス,57巻,3991
頁,1985年、(J.Appl.Phys.57,3991(1985))には、ア
ルゴンとチツ素との混合ガスでスパツタリングしたパー
マロイ薄膜の結晶粒は微細化するのみとの報告である
が、ジヤーナル,アプライド,フイジツクス,61巻,3520
頁,1987年、(J.Appl.Phys.61,3520(1987))には、ア
ルゴンとチツ素との混合ガスでスパツタリングしたパー
マロイ薄膜の結晶は小さな結晶粒と純アルゴンガスでス
パツタリングした時に成長する相対的に大きな結晶粒と
の混合であると記載されている。アルゴンとチツ素との
混合ガスでスパツタリングしたパーマロイ薄膜におい
て、このように結晶成長が異なつているのは、スパツタ
リング方式およびスパツタリングガス圧,基板温度等の
スパツタリング条件の違いに起因している。
本発明の目的は内部応力が小さく、平坦部と斜面部お
よび基板面内で組成の均一性に優れたスパツタリング方
式やスパツタリング条件を規定するものではなくて、高
透磁率・低保磁力の磁性膜を具備する薄膜磁気ヘツド及
び磁性薄膜の製造方法を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、基板上に下部磁性膜,磁気ギヤツプ膜,絶
縁膜,コイル,上部磁性膜を具備する薄膜磁気ヘツドに
おいて、低い基板温度でスパツタリングして内部応力を
低減し、平坦部と斜面部および基板面内で組成の均一性
に優れた高透磁率・低保磁力の磁性膜を達成するため
に、実質的に面心立方晶と体心正方晶の2つの結晶構造
の混合体から成り、原子比でニッケル80〜85%及び鉄15
〜20%を有するニッケル−鉄系合金に窒素,酸素,炭素
及びホウ素の少なくとも1つを0.1〜1原子%含有させ
たニッケル−鉄系合金薄膜を磁性膜に用いたものであ
る。
磁性膜が実質的に面心立方晶と体心正方晶の2つの結
晶構造の混合体から成る実質的にニツケル鉄合金におい
て、面心立方晶よりも体心正方晶が多い磁性膜は低い基
板温度でも広い膜厚範囲で高透磁率・低保磁力を実現で
きる点で望ましい。また、実質的に面心立方晶と体心正
方晶の2つの結晶構造の混合体から成る実質的にニツケ
ル鉄合金薄膜において、体心正方晶の結晶面{002}
が、下地面に実質的に平行に配向した磁性膜は広いスパ
ツタリング条件で高透磁率・低保磁力を実現出来る。
NiFeXなる元素から構成され、Xがチツ素,酸素,炭
素,ホウ素の群より選ばれる1種ないし2種以上の元素
から成るスパツタリング法で形成される磁性膜は高透磁
率・低保磁力で実質的に面心立方晶と体心正方晶の混合
体を実現出来る。また、磁性膜の原子組成比をNilFemXn
で表わした時、l=残部,m=15〜20%,n=0.1〜1%の
範囲とするのが、低磁歪で、かつ熱安定性の点で優れて
いる。ここで、Xはチツ素,酸素,炭素,ほう素の群よ
り選ばれる1種ないし2種以上の元素を表わす。
Ni残部Fe15〜200.1〜1の原子組成比で、実質的に
面心立方晶と体心正方晶とが混合する磁性膜はターゲツ
ト組成をNi80〜85Fe15〜20とし、アルゴンとチツ素を1
〜10容量%含む混合ガスでスパツタリングすることによ
つて作製出来る また、実質的に面心立方晶と体心正方晶の混合体から
成る磁性膜と非磁性膜とを交互に積層した多層磁性膜を
下部磁性膜あるいは上部磁性膜の少なくとも一方に使用
した薄膜磁気ヘツドは高周波透磁率が大きく、高周波磁
気損失が少ない点で望ましい。更に、多層磁性膜中の非
磁性膜として金属元素Mと酸素とチツ素を含む絶縁膜と
することにより酸化物をスパツタリングターゲツトと
し、磁性膜をスパツタリングするアルゴンとチツ素との
混合ガスと同じスパツタリングガスを用いて非磁性膜を
スパツタリング出来る点で工業生産性に富んでいる。こ
こで金属元素MとしてはAl,Si,Ti,V,Cr,Zr,Nb,Mo,Ta,W
の群より選ばれる1種ないし2種以上の元素が膜のち密
性の点で望ましい。
〔作用〕
バルクのニツケル鉄合金は著者ボゾルスのフエロマグ
ネテイズム,デイ,バン,ノストランド カンパニー
1951年出版、(Ferromagnetism,D,Van Nostrand Compan
y,1951)に論じられているように、高透磁率・低保磁力
の代表的な材料である。高透磁率・低保磁力となるニツ
ケル鉄合金は一般にパーマロイと呼ばれており、その組
成はニツケルが75〜85%、鉄が15〜25%である。
パーマロイの結晶構造は面心立方晶である。
パーマロイを薄膜磁気ヘツドの磁性膜に使用する場合
には、先に記載の如くめつき法あるいはスパツタリング
法で形成する。めつき法あるいはスパツタリング法で形
成したパーマロイはパーマロイ薄膜と呼ばれており、バ
ルクのパーマロイに比べて一般に内部応力が大きく、結
晶粒度等の結晶性が異なることから、その磁気特性はバ
ルクパーマロイとは異なつている。パーマロイ薄膜で高
透磁率・低保磁力を実現するには磁性薄膜特有の垂直磁
気異方性を小さくする必要がある。
従来、パーマロイ薄膜において垂直磁気異方性が生じ
る原因は、応力誘起異方性と微視的形状異方性とで主に
説明されている。すなわち、パーマロイ薄膜の膜面内に
内部応力σが作用している時、パーマロイ薄膜の磁歪定
数をλとすれば、λとσとの積λσが負で垂直磁気異方
性が発生する。λσが負となるのはλが正でσが負、あ
るいはλが負でσが正の場合である。ここで、σが正と
は膜面内に引張りの内部応力、σが負とは膜面内に圧縮
の内部応力を意味する。磁歪定数λの値はパーマロイ薄
膜の組成と結晶配向性とによつて決るものである。
バルクのパーマロイは1000℃程度の十分に高い温度で
熱処理することから、内部応力は十分に小さく、応力誘
起異方性は十分に小さい。
一方、パーマロイ薄膜は内部応力が大きく、応力誘起
異方性が大きい。このことがバルクパーマロイとパーマ
ロイ薄膜との磁気特性が大きく異なる点の一つである。
一般に、薄膜は形成条件の違いによつて粒状の結晶が
成長する場合と柱状晶が成長する場合とがある。パーマ
ロイ薄膜においても形成条件の違いによつては粒状晶あ
るいは柱状晶が成長する。柱状晶とは一つの結晶粒の膜
面内での長さに比べて膜厚方向の長さが大きい結晶を言
い、粒状晶とは一つの結晶粒の膜面内での長さと膜厚方
向の長さがほぼ等しい結晶を言う。柱状晶の一つの結晶
に着目した時、膜面内に比べて膜厚方向は結晶の長さが
大きいために、反磁界が小さくなり、垂直異方性が発生
する。一方、粒状晶では膜厚方向と膜面内とでは反磁界
はほぼ等しいことから、垂直異方性は発生しない。この
ような結晶の形状の違いによつて発生する異方性は微視
的形状異方性と呼ばれている。バルクパーマロイではほ
ぼ粒状晶であり、微視的形状異方性はほとんど無視出来
る。一方、パーマロイ薄膜では柱状晶が成長する場合も
あることから、微視的形状異方性は無視出来ない。
スパツタリング法で形成したパーマロイ薄膜の磁気特
性がスパツタリング方式やスパツタリング条件の違いに
よつて大きく変わるのは、内部応力σ、結晶配向性ある
いは結晶の形状が変わることによつて垂直磁気異方性が
変わるためである。
本発明者らはパーマロイ薄膜の結晶構造と磁気特性を
詳細に調べた結果、垂直磁気異方性発生の第3の原因を
明らかにし、この第3の原因を除去したパーマロイ薄膜
で高透磁率・低保磁力を実現した。第3の垂直磁気異方
性発生原因は面心立方晶パーマロイの結晶磁気異方性で
ある。薄膜磁気ヘツドの磁性膜に使用されるパーマロイ
薄膜は多結晶であり、その結晶粒の大きさは0.03〜0.2
μmの範囲が一般的である。このことから結晶磁気異方
性は各結晶粒の平均とみなして、結晶磁気異方性は全体
的には無いものと考えられ、結晶磁気異方性と垂直磁気
異方性あるいは保磁力との関係は従来ほとんど論じられ
ていない。アイ・イー・イー・イー,トランザクシヨン
オン マグネチツクス エムエージー6,619頁,1970年
(IEEE Trans.on Magnetics.MAG−6,619(1970))には
膜面内の一軸磁気異方性の不均一性すなわちランダム異
方性と結晶磁気異方性とについて論じられているが、垂
直磁気異方性あるいは保磁力と結晶磁気異方性との関係
は論じられていない。
薄膜磁気ヘツドの磁性膜に用いるパーマロイ薄膜は磁
歪定数を小さくする必要がある。磁歪定数の小さなパー
マロイ薄膜は結晶配向性の違う場合も考慮すると(80〜
85%)ニツケル(15〜20%)鉄である。この組成範囲の
パーマロイはフイジカル レビユー 89巻,624頁,1953
年(Phys.Review 89,624(1953))に論じられているよ
うに結晶磁気異方性定数K1は負である。結晶磁気異方性
定数K1が負の材料では結晶方位<111>が磁化容易軸と
なる。従つて、多結晶パーマロイ薄膜においても、膜面
の法線方向に<111>が多い、すなわち膜面に平行な面
に{111}面が多いパーマロイ薄膜では結晶磁気異方性
に起因する垂直磁気異方性が発生する。垂直磁気異方性
は透磁率の低下,保磁力の増大をもたらし、薄膜磁気ヘ
ツドの磁性膜には適さない。一方、パーマロイの平衡状
態の結晶構造は面心立方晶であり、面心立方晶の最ちゆ
う密結晶面は{111}面である。従つて、面心立方晶の
パーマロイ薄膜は下地面と平行すなわち膜面に平行な面
最ちゆう密結晶面{111}が多く成長する。従つて、従
来のパーマロイ薄膜では結晶磁気異方性に起因して保磁
力が大きくなり易い欠点を有していた。
発明者らはパーマロイ薄膜のX線回折による詳細な結
晶構造解析を行つた結果、著者ボゾルスのフエロマグネ
テイズム デイ バン ノストランド カンパニー 19
51年出版(Ferromagnetism D,Von Nostrand Company,19
51)に論じられていない、平衡状態では存在し得ない、
準安定相と思われる体心正方晶の結晶が存在することを
明らかにした。しかも、この体心正方晶はパーマロイ薄
膜の磁気特性と密接に関係していることも明らかにし
た。ここで、体心正方晶とは3つの結晶軸間のなす角が
お互に90度であり、2つの結晶軸の格子定数aは等し
く、他の1つの結晶軸の格子定数cは前者と異なり、原
子は1つの体心位置と8ケのコーナ位置に配置した結晶
のことである。
実質的に面心立方晶のみからなるパーマロイ薄膜に比
べて、実質的に面心立方晶と体心正方晶の混在したパー
マロイ薄膜では高透磁率・低保磁力となる。
薄膜磁気ヘツドの磁性膜の膜厚は0.5〜4μmの範囲
で使用されるのが一般的である。パーマロイ薄膜はこの
広い膜厚範囲で高透磁率・低保磁力とするのが肝要であ
る。面心立方晶に比べて体心正方晶が多く存在するパー
マロイ薄膜では0.5〜4μmと広い膜厚範囲に渡つて高
透磁率・低保磁力となることから、薄膜磁気ヘツドの磁
性膜に好適である。特に、面心立方晶と体心正方晶の混
在するパーマロイ薄膜において、体心正方晶の{002}
結晶面が下地面に実質的に平行、望ましくは±10度以内
に最大存在割合をもつ様に配向しておれば、スパツタリ
ング条件の変動に対しても高透磁率・低保磁力を実現出
来る点で望ましい。
体心正方晶の増加すなわち面心立方晶の減少に伴なつ
て、高透磁率・低保磁力となる膜厚範囲やスパツタリン
グ条件の範囲が広がるのは次の様に考えられる。先に記
載の如く{111}配向した面心立方晶パーマロイ薄膜は
結晶磁気異方性に起因する垂直磁気異方性があるが、面
心立方晶の減少に伴なつて垂直磁気異方性は減少する。
また、体心正方晶パーマロイ単体の結晶磁気異方性定数
は不明であるが、少なくとも結晶のc軸方向が磁化容易
軸ではないと思われる。体心正方晶の{002}結晶面が
下地面に実質的に平行、すなわちc軸が実質的に膜面の
法線方向になるように体心正方晶の結晶が成長しても、
体心正方晶の結晶磁気異方性によつては垂直磁気異方性
は発生しないことになる。これら2つのことが原因して
体心正方晶の混在したパーマロイ薄膜は広い膜厚範囲や
広いスパツタリング条件の範囲で高透磁率・低保磁力と
なる。更に、発明者らの実験に依れば、柱状晶が多く存
在しても、体心正方晶が多く存在すれば高透磁率・低保
磁力となり、ほとんど粒状晶でも体心正方晶が実質的に
存在しなければ大きな保磁力となつた。これらの実験か
ら、微視的形状異方性よりも結晶磁気異方性が垂直磁気
異方性により大きく寄与しているものと考えられる。
準安定相と思われる体心正方晶を実質的に含むパーマ
ロイ薄膜を作製するには、ニツケルおよび鉄に比べて原
子半径の小さいほう素,炭素,窒素,酸素等を1種ある
いは2種以上添加するものである。また、パーマロイ薄
膜の作製法としては組成制御性に優れたスパツタリング
法が最も適しており、真空蒸着法やイオンプレーテイン
グ法等の他のドライ方式も適用可能である。めつき法で
ほう素を含んだニツケル鉄合金薄膜の形成は可能である
が、めつき液の安定性が十分でなく、工業的でない。ほ
う素,炭素,窒素,酸素等を1種あるいは2種以上含ん
だパーマロイ薄膜は原子密度の小さい結晶面{002}の
結晶が下地面と平行に多く成長する。原子密度の小さい
結晶面{002}が下地面と平行に多く成長するのは、格
子の侵入型に入る小さな原子半径のほう素,炭素,窒
素,酸素等を受入れ易いからである。原子半径の小さな
ほう素,炭素,窒素,酸素等が侵入型に入ることによ
り、結晶の成長方向であるc軸が伸び、膜面内の結晶軸
であるa軸が縮んで体心正方晶となる。侵入型に入るほ
う素,炭素,窒素,酸素等の量が多くなるにつれて体心
正方晶の割合は多くなる。パーマロイ薄膜の原子組成比
をNilFemXnで表わし、Xをほう素,炭素,窒素,酸素の
群より選ばれる1種ないし2種以上とした時、l≒80〜
85%,m=15〜20%とするのが小さな磁歪定数とするため
に必要である。更に、Xの原子パーセントを表わすnは
0.1〜1%が適当であり、0.1%以下では実質的に面心立
方晶のみのパーマロイ薄膜であり広い膜厚範囲、広いス
パツタリング条件の範囲で高透磁率・低保磁力とならな
い。また、1%以上のほう素,炭素,窒素,酸素を含む
パーマロイ薄膜は保磁力等の磁気特性の熱安定性に劣る
ことから好ましくない。
尚、磁性膜の面心立方晶と体心正方晶とは、マクロ的
には均一に形成されることが好ましい。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明す
る。
<実施例−1> 第1図において表面を十分に研磨・洗浄したセラミツ
クス基板1の上に下部磁性膜2として膜厚1.2μmの窒
素を含有したパーマロイ薄膜を高周波マグネトロンスパ
ツタリング法で作製した。この時、パーマロイ薄膜の組
成は本発明による82.35原子%ニツケル−0.42原子%窒
素−0.20原子%酸素−残りは鉄と不可避的に含まれる不
純物であつた。この膜の磁気特性は飽和磁束密度1.0テ
スラ、保磁力0.5Oe,1MHzの透磁率2000,磁歪定数−0.5×
10-6であつた。スパツタリング条件はスパツタリングガ
スとしてAr+8重量%N2を用い、ガス圧0.mTorr、基板
温度室温、高周波出力密度2.7W/cm2であつた。また、膜
面内に一軸磁気異方性を付与するために膜面に平行に50
エルステツドの磁界をスパツタリング時に印加した。
スパツタリング後、下部磁性膜はイオンシリング法に
より所定の形状にパターニングした。次いで、アルミナ
から成る磁気ギヤツプ膜3をスパツタリングしてイオン
ミリング法によりパターニングした。次に、ポジ型ホト
レジストから成る絶縁膜4を塗布・露光・現像・熱処理
により所定の形状にパターニングした。次に、銅から成
るコイル5をフレームめつき法でパターニングした。次
に、コイル5と上記磁性膜7とを絶縁する絶縁膜6を所
定の形状にパターニングした。絶縁膜6の材質と形成法
は絶縁膜4と同じである。次に、上部磁性膜として膜厚
1.9μmの下部磁性膜2とスパツタリング時間だけは異
なるスパツタリング条件は下部磁性膜2の場合と同じ条
件で上部磁性膜7を形成した。上部磁性膜の組成は82.4
5原子%ニツケル−0.20原子%窒素−0.12原子%酸素−
残りは鉄と不可避的に含まれる不純物であつた。この膜
の飽和磁束密度は1.0テスラ、保磁力0.4Oe,1MHzの透磁
率2100,磁歪定数−0.5×10-6であつた。上部磁性膜スパ
ツタリング後、イオンミリング法により所定の形状にパ
ターニングした。次いて、第1図には省略しているが端
子部をスパツタリング法,めつき法,イオンミリング
法,化学エツチング法等を組合せて作製し,更に、アル
ミナから成る保護膜8をスパツタリング法により形成し
た。次に、所定の機械加工により薄膜磁気ヘツドとし
た。
X線回折法で下部磁性膜と上部磁性膜の結晶構造を調
べた結果、以下の通りであつた。下部磁性膜は面心立方
晶が3%、体心正方晶が97%であり、体心正方晶の{00
2}面の最大存在割合となる面は下地面と平行な面から
1.5度しか傾いていなかつた。上部磁性膜は面心立方晶
が1%、体心正方晶が99%であり、体心正方晶の{00
2}面の最大存在割合となる面は下地面と平行な面から
0.7度しか傾いていなかつた。ここで、面心立方晶と体
心正方晶の割合は、カリテイ著,松村訳,X線回折要論,
アグネ社,昭和36年出版に論じられているように実験的
に得られるX線回折強度と、構造因子,多重因子,ロー
レンツ因子,温度因子とから容易に求めることができ
る。また、{002}結晶面の最大存在割合となる面はX
線回折法により、シンチレーシヨン検出器を{002}回
折線の角度に固定して、試料を回転することにより容易
に測定することができる。
なお、体心正方晶の割合および体心正方晶{002}面
の下地面からの傾き等は本実施例記載のスパツタリング
条件と同一の条件でスパツタリングしても同じになると
は限らない。すなわち、体心正方晶の存在割合等はカソ
ード電極電位,プラズマ電位,ガス導入位置と真空排気
系の相対位置,ターゲツトと基板との相対位置,残留ガ
ス圧と残留ガスの種類等によつて変わることは注意すべ
きである。
本発明の薄膜磁気ヘツドと比較するために、下部磁性
膜および上部磁性膜を従来の技術で作製し、他の部材は
本発明と同様の方法で薄膜磁気ヘツドを作製し、2つの
薄膜磁気ヘツドの記録再生特性を比較した。比較のため
に作製した薄膜磁気ヘツドの下部磁性膜と上部磁性膜の
形成法および磁気特性は以下の通りであつた。下部磁性
膜は膜厚1.2μmで、窒素を含まないArガスを用い、ガ
ス厚0.2mTorr、基板温度室温、高周波出力密度2.7W/cm2
のスパツタリング条件で形成し、磁性膜の組成が82.30
原子%ニツケル−0.05原子%酸素−残りは鉄と不可避的
に含まれる不純物で、飽和磁束密度1.0テスラ、保磁力
5.0Oe,1MHzの透磁率300,磁歪定数−0.7×10-6,面心立方
晶は99%で体心正方晶が1%であつた。上部磁性膜は膜
厚1.9μmで窒素を含まないArガスを用い、ガス圧0.2mT
orr、基板温度室温、高周波出力密度2.7W/cm2で形成
し、磁性膜の組成が82.50原子%ニツケル−0.03原子%
酸素−残りが鉄と不可避的に含まれる不純物で、飽和磁
束密度1.0テスラ、保磁力7.5Oe,1MHzの透磁率250,磁歪
定数−0.7×10-6、面心立方晶は99%で体心正方晶は1
%であつた。すなわち、下部磁性膜、上部磁性膜とも実
質的に面心立方晶から成るパーマロイ薄膜であり、保磁
力が大きく、透磁率が小さい磁性膜であつた。
本発明の薄膜磁気ヘツドと従来の技術で作製した薄膜
磁気ヘツドを酸化鉄磁性粉を塗布した記録媒体と組合せ
て記録再生特性を比較した。2つの薄膜磁気ヘツドは重
ね書き特性で代表される記録特性には実質的に差異は認
められなかつた。しかし、本発明の薄膜磁気ヘツドは従
来の技術で作製した薄膜磁気ヘツドに比べて再生特性が
50%大きく、高記録密度用薄膜磁気ヘツドとして好適で
ある。
<実施例−2> 下部磁性膜と上部磁性膜の形成法、磁気特性、組成結
晶構造および膜厚が実施例1の本発明とは異なるが、他
の点では第1図と同じ薄膜磁気ヘツドを作製した。下部
磁性膜の膜厚は2.0μm、Ar+1容量%O2ガスを用い、
ガス圧0.17mTorr、基板温度100℃、高周波出力密度1.5W
/cm2のスパツタリング条件で形成し、磁性膜組成が82.3
3原子%ニツケル−0.60原子%酸素−残りは鉄と不可避
的に含まれる不純物で、飽和磁束密度1.0テスラ、保磁
力0.5Oe,1MHzの透磁率2000、面心立方晶は10%、体心正
方晶は90%であつた。上部磁性膜は膜厚2.6μm、Ar+
0.5容量%O2ガスを用い、ガス圧0.17mTorr、基板温度10
0℃、高周波出力密度1.5W/cm2のスパツタリング条件で
形成し、磁性膜組成が82.55原子%ニツケル−0.24原子
%酸素−残りが鉄と不可避的に含まれる不純物で、飽和
磁束密度1.0テスラ、保磁力0.35Oe、1MHzの透磁率190
0、面心立方晶は20%で体心正方晶は80%であつた。本
薄膜磁気ヘツドをスパツタリング法で作製したCo−Ni−
Zr連続媒体と組合せて記録再生特性を測定した。比較の
ために、下部磁性膜および上部磁性膜を従来の技術であ
るArガスを用いてスパツタリング法で形成した薄膜磁気
ヘツドを作製した。従来技術で作製した薄膜磁気ヘツド
は下部磁性膜および上部磁性膜形成時のスパツタリング
ガスおよび面心立方晶の存在割合、組成および磁気特性
が本発明の薄膜磁気ヘツドと異なる点以外他の構成部材
および形状は同じである。2つの薄膜磁気ヘツドの記録
再生特性を比較した結果、本発明の薄膜磁気ヘツドは従
来の技術で作製した薄膜磁気ヘツドに比べて再生特性が
40%大きく、高記録密度用薄膜磁気ヘツドとして好適で
ある。
<実施例−3> 下部磁性膜と上部磁性膜の形成法,磁気特性,組成お
よび結晶構造が実施例1の本発明とは異なるが、他の点
では第1図と同じ本発明より成る他の薄膜磁気ヘツドを
作製した。下部磁性膜は膜厚1.2μm、窒素を含まないA
rガスを用い、ガス圧0.24mTorr、基板温度275℃、高周
波出力密度2.7W/cm2のスパツタリング条件で形成し、磁
性膜組成が82.50原子%ニツケル−0.07原子%酸素−残
りが鉄と不可避的に含まれる不純物で飽和磁束密度1.0
テスラ、保磁力0.6Oe,1MHzの透磁率1800,面心立方晶が9
7%で体心正方晶が3%の実質的に面心立方晶から成る
パーマロイ薄膜であつた。上部磁性膜は膜厚が1.9μ
m、炭素を1原子%含むパーマロイターゲツトを用い、
Arガスをスパツタリングガスとして用い、ガス圧0.25mT
orr、基板温度100℃、高周波出力密度2.7W/cm2のスパツ
タリング条件で形成し、磁性膜組成が81.05原子%ニツ
ケル−0.33原子%炭素−残りが鉄と不可避的に含まれる
不純物で、飽和磁束密度1.1テスラ、保磁力0.4Oe,1MHz
の透磁率2200,面心立方晶が1%,体心正方晶が99%の
体心正方晶の多い磁性膜であつた。この本発明の薄膜磁
気ヘツドは薄膜磁気ヘツドの製造工程途中での200℃程
度熱履歴に対して保磁力が増大する等の磁気特性の劣化
はなく、磁気特性の熱安定性は問題がなかつた。
本発明の薄膜磁気ヘツドを酸化鉄磁性粉を塗布した記
録媒体と組合せて記録再生特性を測定した。本発明の薄
膜磁気ヘツドは実施例1に記載の従来技術で作製した薄
膜磁気ヘツドと記録再生特性を比較した。本発明の薄膜
磁気ヘツドは従来技術で作製した薄膜磁気ヘツドに比べ
て記録電流が30%小さく、再生出力が55%大きく、記録
再生特性共に優れていた。
<実施例−4> 磁性体ターゲツト中のほう素量を変えることによつて
含有するほう素量を変えた膜厚3μmの磁性膜を作製し
て、組成と結晶構造と磁気特性を測定した。スパツタリ
ングガスとしてはArを用い、ガス圧0.3mTorr、基板温度
80℃、高周波出力密度1.3W/cm2であつた。ニツケルと鉄
とほう素を分析し磁性膜の原子組成を(Ni0.8260Fe
0.1740100_XBXと記し、得られた結果をxに対してプ
ロツトした。第2図は体心正方晶の割合Pをxに対して
プロツトしてあり、第3図は保磁力Hcをxに対してプロ
ツトしてある。第2図よりほう素量xが多くなるにつれ
て体心正方晶が多くなり、第3図よりほう素量xが多く
なるにつれて保磁力が小さくなつていることが分る。す
なわち、体心正方晶が多くなるにつれて低保磁力となつ
ていることが第2図と第3図から明らかである。
第3図に示すなかで保磁力が1Oe以下の磁性膜は透磁
率が大きく、このような磁性膜から成る薄膜磁気ヘツド
は記録再生特性に優れていることは明らかである。
本特許明細書の実施例には発明者らが実施した多数の
実験の一部分を記載したのみであるが、下部磁性膜と上
部磁性膜のうちの少なくとも一方、望ましくは両者を多
層磁性膜とすることにより、高周波透磁率が大きく、高
周波磁気損失が少なく、再生出力波形の不安定性が全く
無く、記録再生特性が極めて優れている薄膜磁気ヘツド
を提供するという利点を有していることは明らかであ
る。更に、パーマロイ薄膜を構成する金属元素としてニ
ツケルと鉄の場合について説明したが、耐食性向上を目
的としてパラジウム,ロジウム,白金,イリジウム,オ
スミウム,ルテニウム等を1種ないし2種以上添加した
パーマロイ薄膜についても同様な効果が期待出来ること
は明らかである。更に、保磁力や異方性磁界を低減する
ことを目的として銅,モリブデン,クロム,バナジウム
等を1種ないし2種以上添加したパーマロイ薄膜につい
ても同様な効果が期待出来ることは明らかである。
また、本特許明細書の実施例には磁性膜の形成法とに
高周波スパツタリング法についてのみ記載してあるが、
直流スパツタリング法あるいはイオンビームスパツタリ
ング法を用いても良く、肝要な点はスパツタリング方式
ではなく形成した磁性膜に体心正方晶の結晶を実質的に
含むことである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例の薄膜磁気ヘツドの断面図、
第2図と第3図は本発明の実施例を説明するための特性
図である。 1……基板、2……下部磁性膜、3……磁気ギヤツプ
膜、4,6……絶縁膜、5……コイル、7……上部磁性
膜、8……保護膜。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西岡 浩一 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所日立研究所内 (72)発明者 熊谷 昭 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所日立研究所内 (72)発明者 佐野 雅章 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所日立研究所内 (72)発明者 杉田 愃 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所日立研究所内 (72)発明者 荒井 礼子 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所日立研究所内 (72)発明者 小林 哲夫 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式 会社日立製作所小田原工場内 (72)発明者 吉田 敏博 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式 会社日立製作所小田原工場内 (72)発明者 斉藤 翼生 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式 会社日立製作所小田原工場内 (72)発明者 辻 義一 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式 会社日立製作所小田原工場内 (72)発明者 林 将章 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式 会社日立製作所小田原工場内 (56)参考文献 特開 平2−152208(JP,A) 特開 平2−68906(JP,A) 特開 平1−175205(JP,A) 特開 昭62−71015(JP,A) 特開 昭58−141510(JP,A) 特開 昭63−58807(JP,A) 特開 昭62−174905(JP,A) 特開 昭63−98816(JP,A) 特開 昭62−287410(JP,A)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に設けられたニッケル−鉄系合金か
    らなる下部磁性膜と、 前記下部磁性膜上に形成され一端が前記下部磁性膜の一
    端に接し他端が前記下部磁性膜の他端に磁気ギャップを
    介して対向して磁気回路を形成するニッケル−鉄系合金
    からなる上部磁性膜と、 前記下部磁性膜と前記上部磁性膜との間を通り前記磁気
    回路と交差する所定回巻数のコイルを形成する導体膜
    と、 前記導体膜の相互間、前記導体膜と前記下部磁性膜との
    間及び前記導体膜と前記上部磁性膜との間を電気的に絶
    縁する絶縁膜と、を具備する薄膜磁気ヘッドにおいて、 前記下部磁性膜及び前記上部磁性膜の少なくとも一方
    は、原子比で鉄15〜20%及びニッケル80〜85%を有する
    ニッケル−鉄系合金にN,O,C及びBの群より選ばれる少
    なくとも1種が0.1〜1原子%含有され、体心正方晶の
    量が面心立方晶の量より多い混合組織を有することを特
    徴とする薄膜磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】基板上に設けられたニッケル−鉄系合金か
    らなる下部磁性膜と、 前記下部磁性膜上に形成され一端が前記下部磁性膜の一
    端に接し他端が前記下部磁性膜の他端に磁気ギャップを
    介して対向して磁気回路を形成するニッケル−鉄系合金
    からなる上部磁性膜と、 前記下部磁性膜と前記上部磁性膜との間を通り前記磁気
    回路と交差する所定回巻数のコイルを形成する導体膜
    と、 前記導体膜の相互間、前記導体膜と前記下部磁性膜との
    間及び前記導体膜と前記上部磁性膜との間を電気的に絶
    縁する絶縁膜と、を具備する薄膜磁気ヘッドにおいて、 前記下部磁性膜及び前記上部磁性膜の少なくとも一方
    は、原子比で鉄15〜20%及びニッケル80〜85%を有する
    ニッケル−鉄系合金にN,O,C及びBより選ばれる少なく
    とも1種が0.1〜1原子%含有され、体心正方晶の量が
    面心立方晶の量より多い混合組織を有し、前記体心正方
    晶の結晶面{002}が前記磁性膜の下地面に実質的に平
    行に配向したことを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  3. 【請求項3】基板上にスパッタリング法で形成されたニ
    ッケル−鉄系合金からなる下部磁性膜と、 前記下部磁性膜上に一端が前記下部磁性膜の一端に接し
    他端が前記下部磁性膜の他端に磁気ギャップを介して対
    向して磁気回路を形成するようにスパッタリング法で形
    成されたニッケル−鉄系合金からなる上部磁性膜と、 前記下部磁性膜と前記上部磁性膜との間を通り前記磁気
    回路と交差する所定回巻数のコイルを形成する導体膜
    と、 前記導体膜の相互間、前記導体膜と前記下部磁性膜との
    間及び前記導体膜と前記上部磁性膜との間を電気的に絶
    縁する絶縁膜と、を具備する薄膜磁気ヘッドにおいて、 前記下部磁性膜及び前記上部磁性膜の少なくとも一方
    は、原子比で鉄15〜20%及びニッケル80〜85%を有する
    ニッケル−鉄系合金にN,O,C及びBより選ばれる少なく
    とも1種が0.1〜1原子%含有され、体心正方晶の量が
    面心立方晶の量より多い混合組織を有することを特徴と
    する薄膜磁気ヘッド。
  4. 【請求項4】基板上に設けられたニッケル−鉄系合金か
    らなる下部磁性膜と、 前記下部磁性膜上に形成され一端が前記下部磁性膜の一
    端に接し他端が前記下部磁性膜の他端に磁気ギャップを
    介して対向して磁気回路を形成するニッケル−鉄系合金
    からなる上部磁性膜と、 前記下部磁性膜と前記上部磁性膜との間を通り磁気回路
    と交差する所定回巻数のコイルを形成する導体膜と、 前記導体膜の相互間、前記導体膜と前記下部磁性膜との
    間及び前記導体膜と前記上部磁性膜との間を電気的に絶
    縁する絶縁膜と、を具備する薄膜磁気ヘッドの製造方法
    において、 前記下部磁性膜及び前記上部磁性膜の少なくとも一方
    を、原子比で鉄15〜20%及びニッケル80〜85%を有する
    ニッケル−鉄系合金からなるダーゲットを用いて窒素1
    〜10容量%を含むアルゴン−窒素混合ガス中でスパッタ
    リングし、原子比が鉄15〜20%及びニッケル80〜85%を
    有するニッケル−鉄系合金に窒素を0.1〜1.0原子%含有
    させ、体心正方晶の量が面心立方晶の量より多い混合組
    織とすることを特徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  5. 【請求項5】基板上に設けられたニッケル−鉄系合金か
    らなる下部磁性膜と、 前記下部磁性膜上に形成され一端が前記下部磁性膜の一
    端に接し他端が前記下部磁性膜の他端に磁気ギャップを
    介して対向して磁気回路を形成するニッケル−鉄系合金
    からなる上部磁性膜と、 前記下部磁性膜と前記上部磁性膜との間を通り前記磁気
    回路と交差する所定回巻数のコイルを形成する導体膜
    と、 前記導体膜の相互間、前記導体膜と前記下部磁性膜との
    間及び前記導体膜と前記上部磁性膜との間を電気的に絶
    縁する絶縁膜と、を具備する薄膜磁気ヘッドにおいて、 前記下部磁性膜及び前記上部磁性膜の少なくとも一方
    は、原子比で鉄15〜20%及びニッケル80〜85%を有する
    ニッケル−鉄系合金にN,O,C及びBより選ばれる少なく
    とも1種が0.1〜1原子%含有され、体心正方晶の量が
    面心立方晶の量より多い混合組織を有し、平均結晶粒径
    が0.1μm〜0.01μmであり、磁歪定数が絶対値で1×1
    0-6以下であることを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  6. 【請求項6】基板上に設けられたニッケル−鉄系合金か
    らなる下部磁性膜と、 前記下部磁性膜上に形成され一端が前記下部磁性膜の一
    端に接し他端が前記下部磁性膜の他端に磁気ギャップを
    介して対向して磁気回路を形成するニッケル−鉄系合金
    からなる上部磁性膜と、 前記下部磁性膜と前記上部磁性膜との間を通り前記磁気
    回路と交差する所定回巻数のコイルを形成する導体膜
    と、 前記導体膜の相互間、前記導体膜と前記下部磁性膜との
    間及び前記導体膜と前記上部磁性膜との間を電気的に絶
    縁する絶縁膜と、を具備する薄膜磁気ヘッドにおいて、 前記下部磁性膜及び前記上部磁性膜の少なくとも一方
    は、非磁性体と原子比で鉄15〜20%及びニッケル80〜85
    %を有するニッケル−鉄系合金にN,O,C及びBより選ば
    れる少なくとも1種が0.1〜1原子%含有されたニッケ
    ル−鉄系合金からなる磁性体とを交互に積層した多層磁
    性膜であり、前記磁性体が体心正方晶の量が面心立方晶
    の量より多い混合組織を有することを特徴とする薄膜磁
    気ヘッド。
  7. 【請求項7】請求項6において、前記非磁性体が、金属
    元素,酸素及び窒素を有し、前記金属元素が、Al,Si,T
    i,V,Cr,Zr,Nb,Mo,Ta及びWの少なくとも1種の元素であ
    る薄膜磁気ヘッド。
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